電子機器及びその制御方法、並びにプログラム
【課題】動作の安定性を確保した上で、起動時間を短縮した電子機器の提供。
【解決手段】電源オフ時のシャットダウン処理でリブートフラグをオンに設定し、再度ブート処理を行う。ブート処理では、リブートフラグがオンの場合(S202)に装置の再起動を行うための予め定められた処理(S205、S207)のみを実行して省電力モードに移行する(S208)。省電力モード移行後、電源スイッチがオンとされた場合に省電力モードを解除し(S209)、以降のブート処理(S210,S211、S212)を実行する。
【解決手段】電源オフ時のシャットダウン処理でリブートフラグをオンに設定し、再度ブート処理を行う。ブート処理では、リブートフラグがオンの場合(S202)に装置の再起動を行うための予め定められた処理(S205、S207)のみを実行して省電力モードに移行する(S208)。省電力モード移行後、電源スイッチがオンとされた場合に省電力モードを解除し(S209)、以降のブート処理(S210,S211、S212)を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、省電力モードが実行可能な電子機器及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の画像形成装置は高機能化に伴い、ユーザが電源スイッチをONしてから操作可能となるまで長くなる傾向にある。
【0003】
これに対し、ユーザが電源OFF操作をした際に主記憶メモリを通電したままにするいわゆるサスペンド方式による高速化手法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−327678号公報
【特許文献2】特開2002−73220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばACPI−S3方式等の前回終了時の状態を記憶しておき、その状態に復帰する方法を用いた場合、制御プログラムにリセットがかからなくなるため、例えばメモリの断片化等が進んでいく等の不具合が発生する可能性がある。また、設定変更などに伴い制御プログラムにリセットを必要とする判断を正確に行わなければならなくなる。
【0006】
これらのリスクの軽減のため、より安全には必ず制御プログラムにリセットを掛けることが好ましい。
【0007】
このように、従来の技術では、電子機器の起動を高速化すると動作の安定性を損なうことがあるという問題点があった。
【0008】
本発明の目的は、起動の高速化及び動作の安定性を確保した電子機器、及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の電子機器は、電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器であって、前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウン手段と、前記シャットダウン手段によりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動手段と、前記再起動手段により前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行手段と、前記移行手段により前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、起動の高速化及び動作の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器としての画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるコントローラの概略構成を示す図である。
【図3】図2における電源ユニットの概略構成を示す図である。
【図4】図2におけるコントローラの電源及びリセットに関する構成を示す図である。
【図5】図1の画像形成装置1により実行されるシャットダウン処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の画像形成装置1により実行されるブート処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】画像形成装置本体の状態の時間変化を示す図であり、(A)は従来技術における時間変化、(B)は本実施の形態に係るシャットダウン、ブート処理を行った場合の時間変化、(C)は図6のステップS211,212を実行しない場合の時間変化を示している。
【図8】図3における電源ユニットの変形例を示す図である。
【図9】図8におけるタイマによって強制オフとされる場合の時間変化を示す図である。
【図10】図8におけるタイマによって強制オフとされる場合の時間変化を示す図であり、(A)は正常系、(B)は異常系の時間変化を示す図である。
【図11】図4に示したコントローラの電源及びリセットに関する構成の変形例を示す図である。
【図12】図11に示したコントローラの構成で実行されるシャットダウン及びブート処理における時間変化を示す図である。
【図13】図11のCPUにより実行されるリブート処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図11のCPUにより実行されるタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器としての画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【0014】
図1において、画像形成装置1は、コントローラ3、スキャナ装置2、FAX装置7、操作部5、HDD6、及びプリンタ装置4で構成される。
【0015】
コントローラ3は、画像形成装置1全体を制御するもので、図1に示されるスキャナ装置2などと接続され各モジュールに指示を出す事により、画像形成装置1でジョブを実行することが可能となっている。スキャナ装置2は、原稿から光学的に画像を読み取りデジタル画像に変換する。そして、スキャナ装置2は、原稿束を自動的に逐次入れ替えることが可能な原稿給紙ユニット21、原稿を光学スキャンしデジタル画像に変換する事が可能なスキャナユニット22を備え、変換された画像データはコントローラ3に送信される。
【0016】
プリンタ装置4は、デジタル画像を紙デバイスに出力する。そしてプリンタ装置4は、紙束から一枚ずつ逐次給紙可能な給紙ユニット42、給紙した紙に画像データを印刷するためのマーキングユニット41、印刷後の紙を排紙するための排紙ユニット43を備える。
【0017】
FAX装置7は、電話回線等にデジタル画像を送信する。操作部5(表示手段)は、ユーザが画像形成装置1の操作を行なうために用いられる。HDD6には、デジタル画像や制御プログラム等が記憶されている。
【0018】
この画像形成装置1は多彩なジョブを実行可能である。一例を以下に記載する。
・複写機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をHDD6に記録し、同時にプリンタ装置4を使用して印刷を行なう。
・画像送信機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をLAN8を介してコンピュータ9に送信する。
・画像保存機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をHDD6に記録し、必要に応じて画像送信や画像印刷を行なう。
・画像印刷機能
コンピュータ9から送信された例えばページ記述言語を解析し、プリンタ装置4で印刷する。
【0019】
図2は、図1におけるコントローラ3の概略構成を示す図である。
【0020】
図2において、コントローラ3は、メインボード200と、サブボード220から構成される。
【0021】
メインボード200はいわゆる汎用的なCPUシステムである。メインボード200は、CPU201、ブートロム202、USBコントローラ208、メモリ203、バスコントローラ204、不揮発性メモリ205、ディスクコントローラ206、及びフラッシュディスク207で構成される。
【0022】
CPU201は、メインボード200全体を制御する。ブートロム202は、ブートプログラムが記憶されている。メモリ203は、揮発性のメモリであり、CPU201がワークメモリとして使用する。通常、ソフトウェアは不揮発性メモリ205に記憶されており、それを動作させるための一時的なデータ等がメモリ203には展開されるが、このデータに加え、メモリ203には不揮発性メモリ205に記憶されているソフトウェアから生成されたソフトウェアが展開されることもある。コントローラ3はソフトウェアに従って画像形成装置1を制御することとなるが、メモリ203に記憶されたデータやソフトウェア等の情報に不具合が発生することにより、ソフトウェアの動作状態が不正な状態となる。この場合、メモリ203に電源を供給して他のデバイス(例えばプリンタ装置4)等を再起動しても、当然に不安定な状態が継続することとなる。従って、コントローラ3への電力の供給を遮断することでメモリ203への電力の供給を遮断して再起動することで、ソフトウェアの動作が不正な状態から正常に動作させることができる。
【0023】
バスコントローラ204は、外部バスとのブリッジ機能を有する。不揮発性メモリ205は、電源の供給が断たれた場合でも情報を保持することができる。ディスクコントローラ206は、ストレージ装置を制御する。フラッシュディスク(例えばSSD等)207は、半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置である。USBコントローラ208は、USBを制御することが可能なコントローラである。
【0024】
メインボード200には外部に上述したUSBコントローラ208、操作部5、及びHDD6が接続される。また、HDD6は不揮発デバイスであればその種を問わない。このうちの操作部5は、ユーザに情報を表示したり、ユーザが操作するための各種ボタンやタッチパネル等で構成される。
【0025】
サブボード220は比較的小さな汎用CPUシステムと、画像処理ハードウェアから構成される。
【0026】
サブボード220は、CPU221、メモリ223、バスコントローラ224、不揮発性メモリ225、画像処理プロセッサ227、デバイスコントローラ226,228で構成される。
【0027】
CPU221は、サブボード220全体を制御する。メモリ223は、CPU221がワークメモリとして使用する。バスコントローラ224は、外部バスとのブリッジ機能を有する。不揮発性メモリ225は、電源の供給が断たれた場合でも情報を保持することができる。
【0028】
画像処理プロセッサ227は、リアルタイムデジタル画像処理を行う。デバイスコントローラ226,228は、それぞれプリンタ装置4、スキャナ装置2と画像処理プロセッサ227との間のデータの受け渡しを行う。FAX装置7はCPU221が直接制御を行う。
【0029】
電源ユニット302は、コントローラ3、プリンタ装置4、及びスキャナ装置2に電源を供給する。電源監視部603は、電源ユニット302に設けられた電源スイッチからのスイッチの状態が入力される。リセット回路601、及びリセット回路604は、それぞれメインボード200、及びサブボード220におけるリセット回路である。これら電源周りに関しては後に詳細な説明をする。
【0030】
なお、図1は説明を簡単にするために、画像形成装置1の構成を簡略化したものとなっている。例えばCPU201、CPU221等にはチップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等のCPU周辺ハードウェアが多数含まれているが、説明の粒度的に不必要であるため簡略化記載しており、このブロック構成が本発明を制限するものではない。
【0031】
上記構成におけるコントローラ3の動作について、画像複写を例に説明する。
【0032】
ユーザが操作部5から画像複写を指示すると、CPU201がCPU221を介してスキャナ装置2に画像読み取り命令を送る。スキャナ装置2は紙原稿を光学スキャンしデジタル画像データに変換してデバイスコントローラ226を介して画像処理プロセッサ227に入力する。画像処理プロセッサはCPU221を介してメモリ223にDMA転送を行いデジタル画像データの一時保存を行う。
【0033】
CPU201はデジタル画像データがメモリ223に一定量もしくは全て入ったことが確認できると、CPU221を介してプリンタ装置4に画像出力指示を出す。CPU221は画像処理プロセッサ227にメモリ223の画像データの位置を教える。プリンタ装置4からの同期信号に従ってメモリ223上の画像データは画像処理プロセッサとデバイスコントローラ226を介してプリンタ装置4に送信され、プリンタ装置4にて紙デバイスにデジタル画像データが印刷される。
【0034】
複数部印刷を行う場合、CPU201がメモリ223の画像データをHDD6に対して保存を行い、2部目以降はスキャナ装置2から画像をもらわずともプリンタ装置4に画像を送ることが可能である。
【0035】
図3は、図2における電源ユニット302の概略構成を示す図である。
【0036】
図3において、電源ユニット302は、スイッチ301、及びAC−DCコンバータ303を備えている。
【0037】
スイッチ301はトグル型スイッチであり、ON/OFFの状態のどちらか一方の状態をメカ的に保持し続けるスイッチである。AC−DCコンバータ303はAC電源をDC電源に変換して、それをコントローラ3、プリンタ装置4、及びスキャナ装置2に供給する。スイッチ301の状態は、コントローラ3に通知され、コントローラ3は、AC−DCコンバータ303からの出力を制御する。
【0038】
ユーザはスイッチ301をON/OFFのいずれか側に倒す事で画像形成装置1をON/OFFすることが可能である。このスイッチ301はON時にAC−DCコンバータ303に接続されており電源の通電状態を制御することができる。
【0039】
また、OFF時はコントローラ3がシステムのシャットダウンが完了するまでコントローラ3への電源供給を停止してはならない。つまり、コントローラ3は、スイッチ301の状態が信号線307により通知され、シャットダウンが完了後に信号線308により電源リモート信号を用いて、自らへのDC電源の供給を断つようになっている。
【0040】
本実施の形態ではOFF/ONが明示的なトグル型スイッチを用いているが、パーソナルコンピュータ等では状態を持たない電源スイッチ(電源スイッチ自体が省電力移行スイッチとして機能するもの等も含む)を採用しているものが多数ある。これらの状態を持たないスイッチは、1.装置電源が入っている状態では「OFF/省電力モード移行指示」として機能し、2.装置電源が入っていない状態においては「ON」と機能する。また、3.一定時間以上スイッチを押下し続けることで「強制OFF」を入力する、等の制御パターンがある。このように、本実施の形態に係る画像形成装置1は省電力モードが実行可能な電子機器となっている。
【0041】
上述した1、2のON/OFFのパターンにトグルスイッチのON/OFFを当てはめれば、本実施の形態におけるスイッチ301を、状態を持たないスイッチに適用することができる。
【0042】
図4は、図2におけるコントローラ3の電源及びリセットに関する構成を示す図である。
【0043】
図4において、メインボード200は、上述したCPU201、電源監視部603、リセット回路601、BIOS602、H/W群605で構成される。また、サブボード220は、リセット回路604、及びH/W群606で構成される。
【0044】
このうち、BIOSは、メインボード200上のハードウェアの基本的な部分を制御するもので、低レベルのH/W制御ライブラリ等が含まれている。一般的にはIBM(登録商標)互換機の互換性確保のためのものであり、いわゆるコンピュータシステム上必須ではないが、例えばACPI規格による省電力機能の一部を実行する事も可能であるため一例として記載した。
【0045】
電源監視部603は、コントローラ3の電源制御を監視する専用ロジック回路であり、ASICを用いる場合は、小さなCPUシステムでもよい。また、H/W群605,606は、図4において示されてなく、図2において示されたハードウェアをまとめて表現したものである。
【0046】
同期型のH/Wはリセットにより内部状態をリセットするため、同期型で組まれたH/W回路は電源ON後電力が各チップに供給された後にリセット回路が各H/Wをリセットする必要がある。
【0047】
複数のH/Wチップは主従関係を持つため、リセットシーケンスを設計し、順次リセットを掛けていく事になる。そのため一般的には本実施の形態のように一つのボードに一つのリセット回路を持ち、各々のボード内のリセット動作を各リセット回路が行うことになる。
【0048】
上述した電源監視部603は、信号線308を用いてメインボード200における電源供給を制御することが出来る、等の機能を有する。CPU201が正常に動作出来る場合、CPU201の指示に従いシステムにリセットを掛けることが可能である。また、CPU201に電源が供給されていない状態ではスイッチ301の入力から信号線308を介して制御することで、コントローラ3の電源を投入したりすることが出来る。
【0049】
本実施の形態では省電力モードとして一般的なACPI−S3方式(メモリをレジュームする方式によるサスペンド技術)を例に説明する。
【0050】
以上のH/W構成をもつ画像形成装置において、例えばトグル型電源スイッチであるスイッチ301をOFFにする際に、CPU201は電源監視部603を介してスイッチ301の状態を受け取ることが可能である。
【0051】
つまり、通常CPU201は電源OFFを検知してシャットダウンシーケンスを動作させ、電源監視部603にシャットダウン指示を行う。その結果、信号線308を介してAC−DCコンバータ303に電源OFFが通知され、コントローラ3のDC電源供給源である遮断することで画像形成装置1は完全にシャットダウンされる。
【0052】
このシャットダウンはCPU201上のプログラムも完全に終了するため、次回スイッチ301をONにした際、CPU201のプログラムは通常通り起動することになる。
【0053】
なお、現在の技術で高速に起動することが可能な技術の一般的な一例として、ACPI−S3サスペンド方式による高速化手法がある。このACPI−S3方式を画像形成装置1に適用した場合について以下に説明する。
【0054】
スイッチ301をOFFにすると、信号線307を介して電源監視部603に通知される。CPU201は割り込みにより現象を知ることが可能であり、例えばKernelの省電力I/Fをコールすることで、最終的にBIOS602と電源監視部603が持っている機能であるACPI−S3状態に移行し、信号線308を介して電源ユニット302に対してACPI−S3省電力モード(メモリと一部のH/Wのみを通電状態)へと移行させることが可能である。
【0055】
この時システムとしてはOFF状態ではなくメモリにプログラム状態を保持した「一時中断状態」となっており、その場合ACPI−S3の復帰処理相当の時間でコントローラ3を高速に起動することが可能である。しかし、メモリレジュームのような省電力方式を選択した場合、電源スイッチOFF/ONの操作で、リセット回路601,604がリセットする対象のボード上のH/W群605,606にリセットがかかるが、CPU201上で動作しているソフトウェアにはリセットがかからない。
【0056】
長時間ソフトウェアをリセットしないことにより発生する不具合は一般的に知られており、理想的にはCPU201上で動作している制御ソフトウェアもリセットする事が好ましい。しかし、CPU201上の制御ソフトウェアをリセットしてしまうと、次回起動時に起動時間がかかってしまい、ユーザが操作可能となる時間が遅くなるという課題がある。以下、上記課題を解決するための本実施の形態における処理について説明する。
【0057】
図5は、図1の画像形成装置1により実行されるシャットダウン処理(シャットダウン手段)の手順を示すフローチャートである。
【0058】
図5の処理は、ユーザによりスイッチ301がOFFされたことを検知した場合にCPU201により実行される処理である。
【0059】
まず、シャットダウン中であることを操作部5に表示し(ステップS101)、現在行っているサービス等の中断・終了処理を行う(ステップS102)。終了処理は複数のプロセスで平行に実行されているため、それら終了処理が完了すると(ステップS103でYES)、メモリに記憶されているデータをHDD6などの不揮発性の記憶装置にシンクする(ステップS104)。例えばメモリ203にキャッシュしたストレージバッファをHDD6にシンクする等の処理が該当する。
【0060】
次いで、リブートフラグをセットする(ステップS105)。このリブートフラグは、CPU201がアクセス可能で、H/Wリセットにより状態がリセットされない何らかのレジスタに設けられる。本実施の形態においては、リセット回路601の上位に電源監視部603が存在するため、ここのレジスタにリブートフラグをオンにする。
【0061】
次いで、KernelのシャットダウンI/Fをコールし、カーネルのソフトウェア最終終了処理、すなわちカーネルシャットダウンを行い(ステップS106)、電源監視部603に対してリブート要求を発行する。
【0062】
このリブート要求によって、電源監視部603はリセット回路601に対してシステム全体リセットを発行し、リセット回路601はサブボード220のリセット回路604にリセットを通知し、これによりコントローラ3全体にリセットが発行される。このリセットはリブート要求であるため、CPU201もリセットがかかり、CPU201はリセット例外発行により例えばBIOS602からのブート処理を行う。
【0063】
つまり本実施の形態ではシャットダウンにも関わらず、電源を落とすのではなくリブートする事になる。従って上記シャットダウン処理終了後は引き続きブート処理が実行されることとなる。
【0064】
図6は、図1の画像形成装置1により実行されるブート処理の手順を示すフローチャートである。
【0065】
図6の処理は、上記図5の処理から引き続きCPU201により実行される処理である。
【0066】
なお、ブート方法はシステムにより多段階的に起動するものであるが、非常に難しい部分であるため、図6のフローチャートは、CPU201が行う処理の概念をフロー化したものである。
【0067】
まず、H/Wを初期化する(ステップS201)。H/Wの初期化はレジスタや割り込みの初期化、カーネル起動部においては対応したデバイスドライバの登録等がある。
【0068】
次いで、リブートフラグがオンか否か判別し(ステップS202)、リブートフラグがオンのとき(ステップS202でYES)、ステップS204に進み、リブートフラグがオフのとき(ステップS202でNO)、操作部5の初期化及び表示を行う(ステップS203)。ここでの表示内容は、最初の表示であるため「起動中」の旨となっている。つまり、リブートフラグがオンの時、すなわち起動処理の実行中は操作部5に起動中であることを表示しない状態で初期化を継続させる。
【0069】
次いで、ソフトウェアレイヤの初期化に入る。各ライブラリの初期化ルーチンを呼ぶことでライブラリを初期化し(ステップS204)、第1プロセス・スレッド群を起動する(ステップS205)。主にこの起動は周辺H/Wに影響のない純粋なソフトウェアサービス等が適切である。理由は後述する。なお、第1プロセス・スレッド群の起動処理は、再起動が完了するまでに要する再起動処理のうちの一部の処理に含まれる。
【0070】
再びリブートフラグがオンか否か判別し(ステップS206)、リブートフラグがオフのとき(ステップS206でNO)、ステップS211に進み、リブートフラグがオンのとき(ステップS206でYES)、今回のブートが起動準備のための起動であるため、第1プロセス・スレッド群の起動完了を待つ。この起動完了待ちに代えて、ウエイト等の非同期制御でもよい。このように、リブートフラグがオンの状態で本処理が実行されている場合、操作部5における表示はなされておらず起動途中だが、第1プロセス・スレッド群の起動が完了すると(ステップS207でYES)、省電力モードに移行する(ステップS208)(移行手段)。ここでの省電力モードは高速に復帰することが出来るモードが好ましい。一般的にはACPI−S4ハイバネーション、ACPI−S3サスペンド方式がよく用いられるが、この場合、速度的優位性の高いS3状態に移行する。本H/WにおいてACPI−S3方式については既に説明したためここでは省略する。なお、上述したステップS201、202、203〜207が再起動手段に対応する。
【0071】
この状態で起動は一旦停止し、電源はメインボード200のメモリ203と、電源監視部603だけに供給され、消費電力が数Wのシステム起動待機状態となる。
【0072】
このように、シャットダウンの際にシャットダウン後電源を落とさずにリブートを行い、次回起動時に操作表示部を表示せずに起動途中で省電力モードに移行するのが本実施の形態において特徴的な1つのシーケンスである。ユーザはリブートしたのではなくシャットダウンが通常よりも長く継続しているように見え、違和感を感じない事になる。
【0073】
ユーザが画像形成装置1を使用する場合はスイッチ301をONにする。信号線307より電源監視部603は電源ONを検知し、信号線308を用いて電源ユニット302に「スイッチONによる全装置ON」を通知する。電源ユニット302は画像形成装置1全体にスイッチON時に応じた電力供給、具体的にはコントローラ3、プリンタ装置4、スキャナ装置2に各DC電源供給径路介して通電を行う。
【0074】
プリンタ装置4、スキャナ装置2は各々のCPUが電源ONによる初期化動作を開始する。このように、省電力モードに移行した後に、スイッチ301がONとされた場合に、省電力モードが解除される。
【0075】
コントローラ装置3はサスペンド状態になっている場合、省電力モードが解除され(ステップS209でYES)(解除手段)、操作部5の初期化及び表示を行う(ステップS210)。これにより操作部5は「起動中」と表示する状態となる。次いで、第2プロセス・スレッド群を起動する(ステップS211)。これらのプログラムは主に周辺装置、例えばプリンタ装置4やスキャナ装置2と起動のためのコミュニケーションを行うために、ACPI−S3サスペンド省電力モード前での起動が不適切であったものだけを起動する。次いで、周辺装置(プリンタ装置4、スキャナ装置2)とネゴシエーション処理を行う(ステップS212)ことで、周辺機器との通信を確立する。その後、画像形成装置1はアイドル状態へ移行する。
【0076】
本実施の形態では、通常の起動に対し、起動時にステップS201〜205の処理を省略することが出来るため、この時間分だけ高速に起動することができる。
【0077】
図6の処理によれば、シャットダウンされた後に、画像形成装置1の再起動を行うための予め定められた処理を実行し(ステップS201、202、203〜207)、予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させ(ステップS208)、省電力モードに移行した後に、スイッチ301がオンとされた場合に、省電力モードを解除する(ステップS209でYES)ので、起動の高速化及び動作の安定性を確保することができる。
【0078】
図7は、画像形成装置1本体の状態の時間変化を示す図であり、(A)は従来技術における時間変化、(B)は本実施の形態に係るシャットダウン、ブート処理を行った場合の時間変化、(C)は図6のステップS211,212を実行しない場合の時間変化を示している。
【0079】
図7において、横軸が時間を示し、縦軸がブート状況を示しており、「ブート完了」に到達するとブートが完了したこととなる。さらに、図中の「スイッチ301」に示されるように、図7(A)〜(C)のいずれの場合もスイッチ301のオン、オフタイミングは同じとなっている。
【0080】
最初に図7(A)について説明する。ユーザがスイッチ301をオンすることで、区間711だけ要してブートが完了する。このとき操作部5には、「起動中」が表示される。ブートの完了により、動作可能となった後、スイッチ301のオフにより、シャットダウン処理が開始され、区間712だけ要して画像形成装置1がシャットダウンされる。このとき、操作部5には、「シャットダウン中」が表示される。シャットダウンが完了すると電源はオフ状態、操作部5の表示もオフ状態となる。
【0081】
その後、再びユーザがスイッチ301をオンすることで、区間713だけ要してブートが完了する。このとき操作部5には、「起動中」が表示される。区間713は、区間711と同様の起動処理が行われるため、処理に差異は無く、おおよそ同じ時間で起動する。
【0082】
次いで、図7(B)について説明する。なお、図7(B)では、縦軸に「省電力モード」を設けている。もちろん、起動中に「省電力モード」の値になっても省電力モードに移行するわけではない。また、操作部5に表示される内容は、図7(A)と同様に、そのときの状態に対応した内容が表示される。
【0083】
図7(B)においても、ユーザがスイッチ301をオンすることで区間711と同じだけの区間721だけ要してブートが完了し、スイッチ301のオフにより、シャットダウン処理が開始され、区間712と同じだけの区間722だけ要してシャットダウンされる。ここからが図7(A)とは異なり、本実施の形態ではシャットダウン後に、リブート要求が発行された遅延により、区間723だけの時間を経て、図6で説明したブート処理が開始される。
【0084】
区間724は図6の201〜207までの処理に対応しており、本実施の形態における起動の場合、ステップS203の操作部初期化・表示が行われないため、この区間では操作部5による表示が無い状態で起動することができる。
【0085】
区間725は、ステップS208に対応し、省電力モード(本実施の形態ではACPI−S3状態)へ移行する。通常、移行時間はさほどかからない。省電力モードへの移行が完了した状態でスイッチ301のオンを待つ期間が区間726であり、ステップS209に対応する。
【0086】
再びユーザがスイッチ301をオンすることで、区間727で省電力モードからの復帰を行い、このときステップS210で操作部5の初期化・表示が実行される。これにより、操作部5に「起動中」が表示されることになる。その後、区間728では、ステップS211、ステップS212の処理完了だけの時間だけ起動中が継続しその後動作可能状態となる。
【0087】
次いで、図7(C)について説明する。図6のステップS211、212が必要ない場合が考えられる。この場合、ステップS207の終了でブートが完了することとなる。従ってブートの途中ではなく、ブート完了後に省電力モードに移行するので、図6(C)に示されるように、時刻Tの時点でブート完了となる。この場合、図7(C)における「起動中」は、省電力モードからの復帰時間である。
【0088】
このようにユーザがスイッチ301でオフにしたときに、本実施の形態のように次回のブートの準備を行っておくことで、ブートに要する時間を短くすることが可能である。またリブート後に操作表示を行わないことで、外部から見てシャットダウン状態が継続しているのと等価となるため、特に違和感なく高速な起動を実現させることができる。
【0089】
また、図7(B)の区間726において、操作部5の状態を、バックライトを消した状態、また黒を表示した状態といった電源がオフの場合と同様の状態とすれば、外部からシャットダウンしている状態に見える。
【0090】
また、外部からの見かけにこだわらない場合や操作部を持たない場合、図7(B)において、操作部5に対して特別な操作を行わないという方法もある。この方法でも起動時間の短縮を行うことが可能である。この場合、スイッチ301をオフにした後、シャットダウン時における操作部5には「終了中」が表示され、その後リブート時に通常の起動同様に「起動中」が表示されてしまうことになる。その後表示が消え、スイッチ301がオンされることを待つという流れとなる。従って、もともと起動時間がさほど長く無い装置であれば適用しても違和感は少ない。
【0091】
また、省電力起動を有する装置に図7(C)を適用する場合、時刻Tの動作可能状態から省電力に入るまでの時間を規定しておく。通常タイマによる省電力機能を有する場合、再起動後一定時間後に省電力モードに自動的に移行する。従って本実施の形態を適用せずとも再起動後放置することで省電力モードへと移行することになる。しかし本実施の形態ではこの省電力に移行する時間より短い時間、理想的には動作可能状態になって出来るだけ早いタイミングで省電力モードに自発的に移行させることを特徴とし、これにより画像形成装置1の消費電力を最小にすることができる。
【0092】
なお、特許文献1にあるように、メモリ値の電力保持によるACPI−S3相当サスペンド技術の他に、メモリ値を外部メモリ保持デバイス(ストレージ等)に保持するACPI−S4ハイバネーション技術や、特定H/Wのクロックだけを止める方法等、多くの方法が存在する。このように省電力中の状態が違っても本実施の形態では同一の効果を得る事が可能である。従って、本実施の形態ではメモリサスペンドを用いた形態を記載したが、他の省電力モードでも同様の効果が期待できるものであり、省電力モードをサスペンドに規定するものではない。
【0093】
図8は、図3における電源ユニット302の変形例を示す図である。
【0094】
図8において、電源ユニット302は、図3に示した構成に加え、保護タイマであるタイマ801をさらに備えている。
【0095】
タイマ801は、スイッチ301がオフとされると時間計測を開始し、一定時間後にAC−DCコンバータ303は、DC出力を強制的にオフにするようになっている(強制オフ手段)。
【0096】
このような実施の形態は、例えば特許文献2に開示があるように、高い電力を使用する構成を持つ画像出力装置等で、ユーザによる明示的なスイッチオフに対して忠実に従う事が装置のポリシー的に重要な一要素となる。トグル型のようにオン/オフ状態を明示的に持たないスイッチを有する装置では、一般的に長押しにより強制オフするようになっている。
【0097】
図9は、図8におけるタイマ801によって強制オフとされる場合の時間変化を示す図である。
【0098】
時刻T1において、ユーザによりスイッチ301がオフされると、タイマ801は時間計測を開始し、タイムアウトとなった時刻T2で強制的に電源をオフとする。これにより、シャットダウン中に仮にハングアップによりシャットダウンが完了せず、処理がロックした場合でも電源をオフとすることができる。
【0099】
なお、図8では、電源をオフするという役割的に電源ユニット302内にタイマ801を配置したが、リモート信号で電源ユニット302を制御することが可能であるため、例えばコントローラ3にタイマを持つ構成でも構わない。
【0100】
図10は、図8におけるタイマ801によって強制オフとされる場合の時間変化を示す図であり、(A)は正常系、(B)は異常系の時間変化を示す図である。
【0101】
図10では、前提として、省電力中にタイムアウトとなった場合には、強制的に電源をオフにする必要がないので、何もしないという制御がされている。これは、電源の状態で処理を切り分けることにより実現できる。他の制御方法としては、省電力中に入った時点でタイマ801を停止させるようにしてもよい。
【0102】
この制御により、図10(A)に示されるように、シャットダウンして起動準備がタイムアウトとなる前に終了して省電力モードに移行した場合は、タイムアウトになっても問題は発生しない。
【0103】
おおよそこの場面で使用する省電力モードはメモリレジュームの場合はACPI−S3等価状態であり、その通電状態を継続すれば良い。また、ACPI−S4ハイバネーションモードであれば、チップセット内の一部のハードウエアロジックで通電保持しているACPI−S4状態が解除されなければ良い。省電力モードを電源オフと等価とみなす場合、このように省電力中はオフを行わないという制御を行う。
【0104】
図10(B)について説明する。例えばストレージ速度の低下、起動時の特別な初期化処理等で、起動準備が長くかかってしまった場合、タイムアウトが発生する。起動準備中は省電力モードではないので、強制的に電源がオフとされる。これは電源的にハングアップと見分けがつかないため、オフにしないと電源保護できなくならからである。このような動作中のシャットダウンを行わない電源のオフはストレージにダメージを与える可能性がある。
【0105】
図11は、図4に示したコントローラ3の電源及びリセットに関する構成の変形例を示す図である。
【0106】
図11において、コントローラ3は、図4に示した構成に加え、タイマ901(第2計測手段)、RTC(Real Time Clock)902、及びRTC902に電源を供給するバッテリ903をさらに備えている。従って、電源ユニット302のタイマ801(第1計測手段)と併せて2つのタイマを備えていることとなる。タイマ901は、RTC902を用いて時間計測し、リブート処理等を実行とは独立して時間計測する。すなわち、タイマ901による計測はCPU201のリセットを共有しない。
【0107】
図12は、図11に示したコントローラ3の構成で実行されるシャットダウン及びブート処理における時間変化を示す図である。
【0108】
この図12を用いて図11に示したコントローラ3の構成で実行されるシャットダウン及びブート処理の概要を説明したのちに、フローチャートの説明をする。
【0109】
まず、スイッチ301が時刻T1でオフされると、2つのタイマ801,901が起動され、それぞれ時間計測が開始される。タイマ901は、タイマ801よりも早くタイムアウトする設定となっている。
【0110】
その後、画像形成装置1本体は、シャットダウンされ、時刻T2でシャットダウンが完了すると、リブートされる。そして起動準備が開始され、その後タイマ901がタイムアップし、時刻T3で割り込みが入る。その場合、現在省電力モードに移行できるか否かを判別する。
【0111】
例えばカーネル起動前等の特別な状態は省電力モードに移行することができないため、シャットダウンを行う。この場合、次回の起動は高速化されない。省電力モードに移行できる場合は省電力モードに移行し、電源状態は省電力モードとなる。つまり、起動途中タイマ901に連動して省電力モードに強制移行させる。この省電力モードに移行するための時間を用いて、下記式1によりタイマ901がタイムアウトするまでの設定時間が求まる。
【0112】
タイマ901設定時間= タイマ801設定時間−省電力移行時間 …(式1)
上記タイマ901設定時間は第2時間に対応し、タイマ801設定時間が第1時間に対応する。
【0113】
画像形成装置1が省電力モードあれば、タイマ801がタイムアウトしても、省電力モードであるため強制的に電源がオフされることは無い。また、この省電力モードでスイッチ301がオンされると、時刻T3で中断された状態から起動処理が再開され、起動時間経過後に起動が完了する。
【0114】
図13は、図11のCPU201により実行されるリブート処理の手順を示すフローチャートである。
【0115】
図13において、スイッチ301がオフとされると、タイマ801、901を起動され、時間計測が開始される(ステップS301)。上述したように、タイマ901は、タイマ801よりも早くタイムアウトする設定となっている。
【0116】
次いで、シャットダウンを行い(ステップS302)、リブートとし(ステップS303)、起動開始(ステップS304)となる。
【0117】
次いで、リブートフラグがオンか否か判別し(ステップS305)、リブートフラグがオフのとき(ステップS309でNO)、起動処理を行い(ステップS309)、起動が完了したら(ステップS310でYES)、ステップS313に進む。上記ステップS305からステップS309に進む場合は、リブートではなく通常の起動処理ということとなる。
【0118】
ステップS305の判別の結果、リブートフラグがオンのとき(ステップS305でYES)、タイマ901からの割り込みを許可し(ステップS306)、起動処理を行い(ステップS307)、起動が完了したら(ステップS308でYES)、ステップS311でタイマ901が動作中か否か判別し(ステップS311)、タイマ901が動作中でないとき(ステップS311でNO)、直ちに本処理を終了し、タイマ901が動作中のとき(ステップS311でYES)、タイマ901を停止し(ステップS312)、省電力モードに移行して(ステップS313)、本処理を終了する。本処理を終了すると、画像形成装置1はスタンバイ状態となっている。
【0119】
図13のフローチャートにおいて、図12で説明したように、タイマ901により割り込みが入る場合がある。そして、ステップS311,312,313の処理は、このタイマ901によるタイムアウトに間に合った場合に実行される処理である。
【0120】
図14は、図11のCPU201により実行されるタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。
【0121】
図14において、タイマ901より割り込みが入ると、タイマ901終了処理を行い(ステップS401)、省電力モードに移行可能か否か判別する(ステップS402)。省電力モードに移行可能か否かの判断は、上述した通りである。
【0122】
ステップS402の判別の結果、省電力モードに移行可能なとき(ステップS403でYES)、省電力モードに移行して(ステップS403)(他の移行手段)、本処理を終了する。省電力モードに移行不可能なとき(ステップS402でNO)、シャットダウンして(ステップS404)、本処理を終了する。
【0123】
以上のように起動準備の途中で中断して省電力待機状態に入ることにより、次にユーザによりオンとされたあと、通常の起動よりも短い時間でスタンバイ状態に移行することが可能となり、強制電源オフに対応しつつ、最も早く起動することが可能となる。
【0124】
フロー中、1311、1312、1313はタイマ901に起動準備が間に合った場合のフローで、図11の1103完了後に省電力モードに移行するルートである。また、1309は起動準備のためのリブートではなく通常のブートの時に通るルートとなる。
【0125】
以上、タイマ901を用いることで、強制的に電源がOFFにされる構成において、本発明を適用した場合でも、可能な限り早く起動できる手段について述べた。
【0126】
なお、タイマ901を用いた理由だが、CPU201はリブート間隔が挟まるため、時間が測定できない時間帯が発生する。この時間帯が安定して短い場合はCPU201のソフトウェアタイマ、CPUタイマ等のリソースを使用してもよい。また、タイマ901のように専用のH/Wが無い場合が考えられるが、RTC902及びバッテリ903は、カレンダ機能を持つ装置には必ず装着されるので、これをそのまま利用することが可能である。具体的にはRTC902のアラーム割り込みとして設定しておけばリブート中の電源・リセットが不安定な状態があったとしても、RTC902は自発的に正確に時間を刻むことが可能であり、また、割り込みもCPU201に入れる事が可能だからである。
【0127】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置
3 コントローラ
5 操作部
201、221 CPU
202 ブートロム
301 スイッチ
302 電源ユニット
303 AC−DCコンバータ
601、604 リセット回路
602 BIOS
603 電源監視部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、省電力モードが実行可能な電子機器及びその制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現行の画像形成装置は高機能化に伴い、ユーザが電源スイッチをONしてから操作可能となるまで長くなる傾向にある。
【0003】
これに対し、ユーザが電源OFF操作をした際に主記憶メモリを通電したままにするいわゆるサスペンド方式による高速化手法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−327678号公報
【特許文献2】特開2002−73220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばACPI−S3方式等の前回終了時の状態を記憶しておき、その状態に復帰する方法を用いた場合、制御プログラムにリセットがかからなくなるため、例えばメモリの断片化等が進んでいく等の不具合が発生する可能性がある。また、設定変更などに伴い制御プログラムにリセットを必要とする判断を正確に行わなければならなくなる。
【0006】
これらのリスクの軽減のため、より安全には必ず制御プログラムにリセットを掛けることが好ましい。
【0007】
このように、従来の技術では、電子機器の起動を高速化すると動作の安定性を損なうことがあるという問題点があった。
【0008】
本発明の目的は、起動の高速化及び動作の安定性を確保した電子機器、及びその制御方法、並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の電子機器は、電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器であって、前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウン手段と、前記シャットダウン手段によりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動手段と、前記再起動手段により前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行手段と、前記移行手段により前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、起動の高速化及び動作の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子機器としての画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるコントローラの概略構成を示す図である。
【図3】図2における電源ユニットの概略構成を示す図である。
【図4】図2におけるコントローラの電源及びリセットに関する構成を示す図である。
【図5】図1の画像形成装置1により実行されるシャットダウン処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の画像形成装置1により実行されるブート処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】画像形成装置本体の状態の時間変化を示す図であり、(A)は従来技術における時間変化、(B)は本実施の形態に係るシャットダウン、ブート処理を行った場合の時間変化、(C)は図6のステップS211,212を実行しない場合の時間変化を示している。
【図8】図3における電源ユニットの変形例を示す図である。
【図9】図8におけるタイマによって強制オフとされる場合の時間変化を示す図である。
【図10】図8におけるタイマによって強制オフとされる場合の時間変化を示す図であり、(A)は正常系、(B)は異常系の時間変化を示す図である。
【図11】図4に示したコントローラの電源及びリセットに関する構成の変形例を示す図である。
【図12】図11に示したコントローラの構成で実行されるシャットダウン及びブート処理における時間変化を示す図である。
【図13】図11のCPUにより実行されるリブート処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】図11のCPUにより実行されるタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器としての画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【0014】
図1において、画像形成装置1は、コントローラ3、スキャナ装置2、FAX装置7、操作部5、HDD6、及びプリンタ装置4で構成される。
【0015】
コントローラ3は、画像形成装置1全体を制御するもので、図1に示されるスキャナ装置2などと接続され各モジュールに指示を出す事により、画像形成装置1でジョブを実行することが可能となっている。スキャナ装置2は、原稿から光学的に画像を読み取りデジタル画像に変換する。そして、スキャナ装置2は、原稿束を自動的に逐次入れ替えることが可能な原稿給紙ユニット21、原稿を光学スキャンしデジタル画像に変換する事が可能なスキャナユニット22を備え、変換された画像データはコントローラ3に送信される。
【0016】
プリンタ装置4は、デジタル画像を紙デバイスに出力する。そしてプリンタ装置4は、紙束から一枚ずつ逐次給紙可能な給紙ユニット42、給紙した紙に画像データを印刷するためのマーキングユニット41、印刷後の紙を排紙するための排紙ユニット43を備える。
【0017】
FAX装置7は、電話回線等にデジタル画像を送信する。操作部5(表示手段)は、ユーザが画像形成装置1の操作を行なうために用いられる。HDD6には、デジタル画像や制御プログラム等が記憶されている。
【0018】
この画像形成装置1は多彩なジョブを実行可能である。一例を以下に記載する。
・複写機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をHDD6に記録し、同時にプリンタ装置4を使用して印刷を行なう。
・画像送信機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をLAN8を介してコンピュータ9に送信する。
・画像保存機能
スキャナ装置2から読み込んだ画像をHDD6に記録し、必要に応じて画像送信や画像印刷を行なう。
・画像印刷機能
コンピュータ9から送信された例えばページ記述言語を解析し、プリンタ装置4で印刷する。
【0019】
図2は、図1におけるコントローラ3の概略構成を示す図である。
【0020】
図2において、コントローラ3は、メインボード200と、サブボード220から構成される。
【0021】
メインボード200はいわゆる汎用的なCPUシステムである。メインボード200は、CPU201、ブートロム202、USBコントローラ208、メモリ203、バスコントローラ204、不揮発性メモリ205、ディスクコントローラ206、及びフラッシュディスク207で構成される。
【0022】
CPU201は、メインボード200全体を制御する。ブートロム202は、ブートプログラムが記憶されている。メモリ203は、揮発性のメモリであり、CPU201がワークメモリとして使用する。通常、ソフトウェアは不揮発性メモリ205に記憶されており、それを動作させるための一時的なデータ等がメモリ203には展開されるが、このデータに加え、メモリ203には不揮発性メモリ205に記憶されているソフトウェアから生成されたソフトウェアが展開されることもある。コントローラ3はソフトウェアに従って画像形成装置1を制御することとなるが、メモリ203に記憶されたデータやソフトウェア等の情報に不具合が発生することにより、ソフトウェアの動作状態が不正な状態となる。この場合、メモリ203に電源を供給して他のデバイス(例えばプリンタ装置4)等を再起動しても、当然に不安定な状態が継続することとなる。従って、コントローラ3への電力の供給を遮断することでメモリ203への電力の供給を遮断して再起動することで、ソフトウェアの動作が不正な状態から正常に動作させることができる。
【0023】
バスコントローラ204は、外部バスとのブリッジ機能を有する。不揮発性メモリ205は、電源の供給が断たれた場合でも情報を保持することができる。ディスクコントローラ206は、ストレージ装置を制御する。フラッシュディスク(例えばSSD等)207は、半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置である。USBコントローラ208は、USBを制御することが可能なコントローラである。
【0024】
メインボード200には外部に上述したUSBコントローラ208、操作部5、及びHDD6が接続される。また、HDD6は不揮発デバイスであればその種を問わない。このうちの操作部5は、ユーザに情報を表示したり、ユーザが操作するための各種ボタンやタッチパネル等で構成される。
【0025】
サブボード220は比較的小さな汎用CPUシステムと、画像処理ハードウェアから構成される。
【0026】
サブボード220は、CPU221、メモリ223、バスコントローラ224、不揮発性メモリ225、画像処理プロセッサ227、デバイスコントローラ226,228で構成される。
【0027】
CPU221は、サブボード220全体を制御する。メモリ223は、CPU221がワークメモリとして使用する。バスコントローラ224は、外部バスとのブリッジ機能を有する。不揮発性メモリ225は、電源の供給が断たれた場合でも情報を保持することができる。
【0028】
画像処理プロセッサ227は、リアルタイムデジタル画像処理を行う。デバイスコントローラ226,228は、それぞれプリンタ装置4、スキャナ装置2と画像処理プロセッサ227との間のデータの受け渡しを行う。FAX装置7はCPU221が直接制御を行う。
【0029】
電源ユニット302は、コントローラ3、プリンタ装置4、及びスキャナ装置2に電源を供給する。電源監視部603は、電源ユニット302に設けられた電源スイッチからのスイッチの状態が入力される。リセット回路601、及びリセット回路604は、それぞれメインボード200、及びサブボード220におけるリセット回路である。これら電源周りに関しては後に詳細な説明をする。
【0030】
なお、図1は説明を簡単にするために、画像形成装置1の構成を簡略化したものとなっている。例えばCPU201、CPU221等にはチップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等のCPU周辺ハードウェアが多数含まれているが、説明の粒度的に不必要であるため簡略化記載しており、このブロック構成が本発明を制限するものではない。
【0031】
上記構成におけるコントローラ3の動作について、画像複写を例に説明する。
【0032】
ユーザが操作部5から画像複写を指示すると、CPU201がCPU221を介してスキャナ装置2に画像読み取り命令を送る。スキャナ装置2は紙原稿を光学スキャンしデジタル画像データに変換してデバイスコントローラ226を介して画像処理プロセッサ227に入力する。画像処理プロセッサはCPU221を介してメモリ223にDMA転送を行いデジタル画像データの一時保存を行う。
【0033】
CPU201はデジタル画像データがメモリ223に一定量もしくは全て入ったことが確認できると、CPU221を介してプリンタ装置4に画像出力指示を出す。CPU221は画像処理プロセッサ227にメモリ223の画像データの位置を教える。プリンタ装置4からの同期信号に従ってメモリ223上の画像データは画像処理プロセッサとデバイスコントローラ226を介してプリンタ装置4に送信され、プリンタ装置4にて紙デバイスにデジタル画像データが印刷される。
【0034】
複数部印刷を行う場合、CPU201がメモリ223の画像データをHDD6に対して保存を行い、2部目以降はスキャナ装置2から画像をもらわずともプリンタ装置4に画像を送ることが可能である。
【0035】
図3は、図2における電源ユニット302の概略構成を示す図である。
【0036】
図3において、電源ユニット302は、スイッチ301、及びAC−DCコンバータ303を備えている。
【0037】
スイッチ301はトグル型スイッチであり、ON/OFFの状態のどちらか一方の状態をメカ的に保持し続けるスイッチである。AC−DCコンバータ303はAC電源をDC電源に変換して、それをコントローラ3、プリンタ装置4、及びスキャナ装置2に供給する。スイッチ301の状態は、コントローラ3に通知され、コントローラ3は、AC−DCコンバータ303からの出力を制御する。
【0038】
ユーザはスイッチ301をON/OFFのいずれか側に倒す事で画像形成装置1をON/OFFすることが可能である。このスイッチ301はON時にAC−DCコンバータ303に接続されており電源の通電状態を制御することができる。
【0039】
また、OFF時はコントローラ3がシステムのシャットダウンが完了するまでコントローラ3への電源供給を停止してはならない。つまり、コントローラ3は、スイッチ301の状態が信号線307により通知され、シャットダウンが完了後に信号線308により電源リモート信号を用いて、自らへのDC電源の供給を断つようになっている。
【0040】
本実施の形態ではOFF/ONが明示的なトグル型スイッチを用いているが、パーソナルコンピュータ等では状態を持たない電源スイッチ(電源スイッチ自体が省電力移行スイッチとして機能するもの等も含む)を採用しているものが多数ある。これらの状態を持たないスイッチは、1.装置電源が入っている状態では「OFF/省電力モード移行指示」として機能し、2.装置電源が入っていない状態においては「ON」と機能する。また、3.一定時間以上スイッチを押下し続けることで「強制OFF」を入力する、等の制御パターンがある。このように、本実施の形態に係る画像形成装置1は省電力モードが実行可能な電子機器となっている。
【0041】
上述した1、2のON/OFFのパターンにトグルスイッチのON/OFFを当てはめれば、本実施の形態におけるスイッチ301を、状態を持たないスイッチに適用することができる。
【0042】
図4は、図2におけるコントローラ3の電源及びリセットに関する構成を示す図である。
【0043】
図4において、メインボード200は、上述したCPU201、電源監視部603、リセット回路601、BIOS602、H/W群605で構成される。また、サブボード220は、リセット回路604、及びH/W群606で構成される。
【0044】
このうち、BIOSは、メインボード200上のハードウェアの基本的な部分を制御するもので、低レベルのH/W制御ライブラリ等が含まれている。一般的にはIBM(登録商標)互換機の互換性確保のためのものであり、いわゆるコンピュータシステム上必須ではないが、例えばACPI規格による省電力機能の一部を実行する事も可能であるため一例として記載した。
【0045】
電源監視部603は、コントローラ3の電源制御を監視する専用ロジック回路であり、ASICを用いる場合は、小さなCPUシステムでもよい。また、H/W群605,606は、図4において示されてなく、図2において示されたハードウェアをまとめて表現したものである。
【0046】
同期型のH/Wはリセットにより内部状態をリセットするため、同期型で組まれたH/W回路は電源ON後電力が各チップに供給された後にリセット回路が各H/Wをリセットする必要がある。
【0047】
複数のH/Wチップは主従関係を持つため、リセットシーケンスを設計し、順次リセットを掛けていく事になる。そのため一般的には本実施の形態のように一つのボードに一つのリセット回路を持ち、各々のボード内のリセット動作を各リセット回路が行うことになる。
【0048】
上述した電源監視部603は、信号線308を用いてメインボード200における電源供給を制御することが出来る、等の機能を有する。CPU201が正常に動作出来る場合、CPU201の指示に従いシステムにリセットを掛けることが可能である。また、CPU201に電源が供給されていない状態ではスイッチ301の入力から信号線308を介して制御することで、コントローラ3の電源を投入したりすることが出来る。
【0049】
本実施の形態では省電力モードとして一般的なACPI−S3方式(メモリをレジュームする方式によるサスペンド技術)を例に説明する。
【0050】
以上のH/W構成をもつ画像形成装置において、例えばトグル型電源スイッチであるスイッチ301をOFFにする際に、CPU201は電源監視部603を介してスイッチ301の状態を受け取ることが可能である。
【0051】
つまり、通常CPU201は電源OFFを検知してシャットダウンシーケンスを動作させ、電源監視部603にシャットダウン指示を行う。その結果、信号線308を介してAC−DCコンバータ303に電源OFFが通知され、コントローラ3のDC電源供給源である遮断することで画像形成装置1は完全にシャットダウンされる。
【0052】
このシャットダウンはCPU201上のプログラムも完全に終了するため、次回スイッチ301をONにした際、CPU201のプログラムは通常通り起動することになる。
【0053】
なお、現在の技術で高速に起動することが可能な技術の一般的な一例として、ACPI−S3サスペンド方式による高速化手法がある。このACPI−S3方式を画像形成装置1に適用した場合について以下に説明する。
【0054】
スイッチ301をOFFにすると、信号線307を介して電源監視部603に通知される。CPU201は割り込みにより現象を知ることが可能であり、例えばKernelの省電力I/Fをコールすることで、最終的にBIOS602と電源監視部603が持っている機能であるACPI−S3状態に移行し、信号線308を介して電源ユニット302に対してACPI−S3省電力モード(メモリと一部のH/Wのみを通電状態)へと移行させることが可能である。
【0055】
この時システムとしてはOFF状態ではなくメモリにプログラム状態を保持した「一時中断状態」となっており、その場合ACPI−S3の復帰処理相当の時間でコントローラ3を高速に起動することが可能である。しかし、メモリレジュームのような省電力方式を選択した場合、電源スイッチOFF/ONの操作で、リセット回路601,604がリセットする対象のボード上のH/W群605,606にリセットがかかるが、CPU201上で動作しているソフトウェアにはリセットがかからない。
【0056】
長時間ソフトウェアをリセットしないことにより発生する不具合は一般的に知られており、理想的にはCPU201上で動作している制御ソフトウェアもリセットする事が好ましい。しかし、CPU201上の制御ソフトウェアをリセットしてしまうと、次回起動時に起動時間がかかってしまい、ユーザが操作可能となる時間が遅くなるという課題がある。以下、上記課題を解決するための本実施の形態における処理について説明する。
【0057】
図5は、図1の画像形成装置1により実行されるシャットダウン処理(シャットダウン手段)の手順を示すフローチャートである。
【0058】
図5の処理は、ユーザによりスイッチ301がOFFされたことを検知した場合にCPU201により実行される処理である。
【0059】
まず、シャットダウン中であることを操作部5に表示し(ステップS101)、現在行っているサービス等の中断・終了処理を行う(ステップS102)。終了処理は複数のプロセスで平行に実行されているため、それら終了処理が完了すると(ステップS103でYES)、メモリに記憶されているデータをHDD6などの不揮発性の記憶装置にシンクする(ステップS104)。例えばメモリ203にキャッシュしたストレージバッファをHDD6にシンクする等の処理が該当する。
【0060】
次いで、リブートフラグをセットする(ステップS105)。このリブートフラグは、CPU201がアクセス可能で、H/Wリセットにより状態がリセットされない何らかのレジスタに設けられる。本実施の形態においては、リセット回路601の上位に電源監視部603が存在するため、ここのレジスタにリブートフラグをオンにする。
【0061】
次いで、KernelのシャットダウンI/Fをコールし、カーネルのソフトウェア最終終了処理、すなわちカーネルシャットダウンを行い(ステップS106)、電源監視部603に対してリブート要求を発行する。
【0062】
このリブート要求によって、電源監視部603はリセット回路601に対してシステム全体リセットを発行し、リセット回路601はサブボード220のリセット回路604にリセットを通知し、これによりコントローラ3全体にリセットが発行される。このリセットはリブート要求であるため、CPU201もリセットがかかり、CPU201はリセット例外発行により例えばBIOS602からのブート処理を行う。
【0063】
つまり本実施の形態ではシャットダウンにも関わらず、電源を落とすのではなくリブートする事になる。従って上記シャットダウン処理終了後は引き続きブート処理が実行されることとなる。
【0064】
図6は、図1の画像形成装置1により実行されるブート処理の手順を示すフローチャートである。
【0065】
図6の処理は、上記図5の処理から引き続きCPU201により実行される処理である。
【0066】
なお、ブート方法はシステムにより多段階的に起動するものであるが、非常に難しい部分であるため、図6のフローチャートは、CPU201が行う処理の概念をフロー化したものである。
【0067】
まず、H/Wを初期化する(ステップS201)。H/Wの初期化はレジスタや割り込みの初期化、カーネル起動部においては対応したデバイスドライバの登録等がある。
【0068】
次いで、リブートフラグがオンか否か判別し(ステップS202)、リブートフラグがオンのとき(ステップS202でYES)、ステップS204に進み、リブートフラグがオフのとき(ステップS202でNO)、操作部5の初期化及び表示を行う(ステップS203)。ここでの表示内容は、最初の表示であるため「起動中」の旨となっている。つまり、リブートフラグがオンの時、すなわち起動処理の実行中は操作部5に起動中であることを表示しない状態で初期化を継続させる。
【0069】
次いで、ソフトウェアレイヤの初期化に入る。各ライブラリの初期化ルーチンを呼ぶことでライブラリを初期化し(ステップS204)、第1プロセス・スレッド群を起動する(ステップS205)。主にこの起動は周辺H/Wに影響のない純粋なソフトウェアサービス等が適切である。理由は後述する。なお、第1プロセス・スレッド群の起動処理は、再起動が完了するまでに要する再起動処理のうちの一部の処理に含まれる。
【0070】
再びリブートフラグがオンか否か判別し(ステップS206)、リブートフラグがオフのとき(ステップS206でNO)、ステップS211に進み、リブートフラグがオンのとき(ステップS206でYES)、今回のブートが起動準備のための起動であるため、第1プロセス・スレッド群の起動完了を待つ。この起動完了待ちに代えて、ウエイト等の非同期制御でもよい。このように、リブートフラグがオンの状態で本処理が実行されている場合、操作部5における表示はなされておらず起動途中だが、第1プロセス・スレッド群の起動が完了すると(ステップS207でYES)、省電力モードに移行する(ステップS208)(移行手段)。ここでの省電力モードは高速に復帰することが出来るモードが好ましい。一般的にはACPI−S4ハイバネーション、ACPI−S3サスペンド方式がよく用いられるが、この場合、速度的優位性の高いS3状態に移行する。本H/WにおいてACPI−S3方式については既に説明したためここでは省略する。なお、上述したステップS201、202、203〜207が再起動手段に対応する。
【0071】
この状態で起動は一旦停止し、電源はメインボード200のメモリ203と、電源監視部603だけに供給され、消費電力が数Wのシステム起動待機状態となる。
【0072】
このように、シャットダウンの際にシャットダウン後電源を落とさずにリブートを行い、次回起動時に操作表示部を表示せずに起動途中で省電力モードに移行するのが本実施の形態において特徴的な1つのシーケンスである。ユーザはリブートしたのではなくシャットダウンが通常よりも長く継続しているように見え、違和感を感じない事になる。
【0073】
ユーザが画像形成装置1を使用する場合はスイッチ301をONにする。信号線307より電源監視部603は電源ONを検知し、信号線308を用いて電源ユニット302に「スイッチONによる全装置ON」を通知する。電源ユニット302は画像形成装置1全体にスイッチON時に応じた電力供給、具体的にはコントローラ3、プリンタ装置4、スキャナ装置2に各DC電源供給径路介して通電を行う。
【0074】
プリンタ装置4、スキャナ装置2は各々のCPUが電源ONによる初期化動作を開始する。このように、省電力モードに移行した後に、スイッチ301がONとされた場合に、省電力モードが解除される。
【0075】
コントローラ装置3はサスペンド状態になっている場合、省電力モードが解除され(ステップS209でYES)(解除手段)、操作部5の初期化及び表示を行う(ステップS210)。これにより操作部5は「起動中」と表示する状態となる。次いで、第2プロセス・スレッド群を起動する(ステップS211)。これらのプログラムは主に周辺装置、例えばプリンタ装置4やスキャナ装置2と起動のためのコミュニケーションを行うために、ACPI−S3サスペンド省電力モード前での起動が不適切であったものだけを起動する。次いで、周辺装置(プリンタ装置4、スキャナ装置2)とネゴシエーション処理を行う(ステップS212)ことで、周辺機器との通信を確立する。その後、画像形成装置1はアイドル状態へ移行する。
【0076】
本実施の形態では、通常の起動に対し、起動時にステップS201〜205の処理を省略することが出来るため、この時間分だけ高速に起動することができる。
【0077】
図6の処理によれば、シャットダウンされた後に、画像形成装置1の再起動を行うための予め定められた処理を実行し(ステップS201、202、203〜207)、予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させ(ステップS208)、省電力モードに移行した後に、スイッチ301がオンとされた場合に、省電力モードを解除する(ステップS209でYES)ので、起動の高速化及び動作の安定性を確保することができる。
【0078】
図7は、画像形成装置1本体の状態の時間変化を示す図であり、(A)は従来技術における時間変化、(B)は本実施の形態に係るシャットダウン、ブート処理を行った場合の時間変化、(C)は図6のステップS211,212を実行しない場合の時間変化を示している。
【0079】
図7において、横軸が時間を示し、縦軸がブート状況を示しており、「ブート完了」に到達するとブートが完了したこととなる。さらに、図中の「スイッチ301」に示されるように、図7(A)〜(C)のいずれの場合もスイッチ301のオン、オフタイミングは同じとなっている。
【0080】
最初に図7(A)について説明する。ユーザがスイッチ301をオンすることで、区間711だけ要してブートが完了する。このとき操作部5には、「起動中」が表示される。ブートの完了により、動作可能となった後、スイッチ301のオフにより、シャットダウン処理が開始され、区間712だけ要して画像形成装置1がシャットダウンされる。このとき、操作部5には、「シャットダウン中」が表示される。シャットダウンが完了すると電源はオフ状態、操作部5の表示もオフ状態となる。
【0081】
その後、再びユーザがスイッチ301をオンすることで、区間713だけ要してブートが完了する。このとき操作部5には、「起動中」が表示される。区間713は、区間711と同様の起動処理が行われるため、処理に差異は無く、おおよそ同じ時間で起動する。
【0082】
次いで、図7(B)について説明する。なお、図7(B)では、縦軸に「省電力モード」を設けている。もちろん、起動中に「省電力モード」の値になっても省電力モードに移行するわけではない。また、操作部5に表示される内容は、図7(A)と同様に、そのときの状態に対応した内容が表示される。
【0083】
図7(B)においても、ユーザがスイッチ301をオンすることで区間711と同じだけの区間721だけ要してブートが完了し、スイッチ301のオフにより、シャットダウン処理が開始され、区間712と同じだけの区間722だけ要してシャットダウンされる。ここからが図7(A)とは異なり、本実施の形態ではシャットダウン後に、リブート要求が発行された遅延により、区間723だけの時間を経て、図6で説明したブート処理が開始される。
【0084】
区間724は図6の201〜207までの処理に対応しており、本実施の形態における起動の場合、ステップS203の操作部初期化・表示が行われないため、この区間では操作部5による表示が無い状態で起動することができる。
【0085】
区間725は、ステップS208に対応し、省電力モード(本実施の形態ではACPI−S3状態)へ移行する。通常、移行時間はさほどかからない。省電力モードへの移行が完了した状態でスイッチ301のオンを待つ期間が区間726であり、ステップS209に対応する。
【0086】
再びユーザがスイッチ301をオンすることで、区間727で省電力モードからの復帰を行い、このときステップS210で操作部5の初期化・表示が実行される。これにより、操作部5に「起動中」が表示されることになる。その後、区間728では、ステップS211、ステップS212の処理完了だけの時間だけ起動中が継続しその後動作可能状態となる。
【0087】
次いで、図7(C)について説明する。図6のステップS211、212が必要ない場合が考えられる。この場合、ステップS207の終了でブートが完了することとなる。従ってブートの途中ではなく、ブート完了後に省電力モードに移行するので、図6(C)に示されるように、時刻Tの時点でブート完了となる。この場合、図7(C)における「起動中」は、省電力モードからの復帰時間である。
【0088】
このようにユーザがスイッチ301でオフにしたときに、本実施の形態のように次回のブートの準備を行っておくことで、ブートに要する時間を短くすることが可能である。またリブート後に操作表示を行わないことで、外部から見てシャットダウン状態が継続しているのと等価となるため、特に違和感なく高速な起動を実現させることができる。
【0089】
また、図7(B)の区間726において、操作部5の状態を、バックライトを消した状態、また黒を表示した状態といった電源がオフの場合と同様の状態とすれば、外部からシャットダウンしている状態に見える。
【0090】
また、外部からの見かけにこだわらない場合や操作部を持たない場合、図7(B)において、操作部5に対して特別な操作を行わないという方法もある。この方法でも起動時間の短縮を行うことが可能である。この場合、スイッチ301をオフにした後、シャットダウン時における操作部5には「終了中」が表示され、その後リブート時に通常の起動同様に「起動中」が表示されてしまうことになる。その後表示が消え、スイッチ301がオンされることを待つという流れとなる。従って、もともと起動時間がさほど長く無い装置であれば適用しても違和感は少ない。
【0091】
また、省電力起動を有する装置に図7(C)を適用する場合、時刻Tの動作可能状態から省電力に入るまでの時間を規定しておく。通常タイマによる省電力機能を有する場合、再起動後一定時間後に省電力モードに自動的に移行する。従って本実施の形態を適用せずとも再起動後放置することで省電力モードへと移行することになる。しかし本実施の形態ではこの省電力に移行する時間より短い時間、理想的には動作可能状態になって出来るだけ早いタイミングで省電力モードに自発的に移行させることを特徴とし、これにより画像形成装置1の消費電力を最小にすることができる。
【0092】
なお、特許文献1にあるように、メモリ値の電力保持によるACPI−S3相当サスペンド技術の他に、メモリ値を外部メモリ保持デバイス(ストレージ等)に保持するACPI−S4ハイバネーション技術や、特定H/Wのクロックだけを止める方法等、多くの方法が存在する。このように省電力中の状態が違っても本実施の形態では同一の効果を得る事が可能である。従って、本実施の形態ではメモリサスペンドを用いた形態を記載したが、他の省電力モードでも同様の効果が期待できるものであり、省電力モードをサスペンドに規定するものではない。
【0093】
図8は、図3における電源ユニット302の変形例を示す図である。
【0094】
図8において、電源ユニット302は、図3に示した構成に加え、保護タイマであるタイマ801をさらに備えている。
【0095】
タイマ801は、スイッチ301がオフとされると時間計測を開始し、一定時間後にAC−DCコンバータ303は、DC出力を強制的にオフにするようになっている(強制オフ手段)。
【0096】
このような実施の形態は、例えば特許文献2に開示があるように、高い電力を使用する構成を持つ画像出力装置等で、ユーザによる明示的なスイッチオフに対して忠実に従う事が装置のポリシー的に重要な一要素となる。トグル型のようにオン/オフ状態を明示的に持たないスイッチを有する装置では、一般的に長押しにより強制オフするようになっている。
【0097】
図9は、図8におけるタイマ801によって強制オフとされる場合の時間変化を示す図である。
【0098】
時刻T1において、ユーザによりスイッチ301がオフされると、タイマ801は時間計測を開始し、タイムアウトとなった時刻T2で強制的に電源をオフとする。これにより、シャットダウン中に仮にハングアップによりシャットダウンが完了せず、処理がロックした場合でも電源をオフとすることができる。
【0099】
なお、図8では、電源をオフするという役割的に電源ユニット302内にタイマ801を配置したが、リモート信号で電源ユニット302を制御することが可能であるため、例えばコントローラ3にタイマを持つ構成でも構わない。
【0100】
図10は、図8におけるタイマ801によって強制オフとされる場合の時間変化を示す図であり、(A)は正常系、(B)は異常系の時間変化を示す図である。
【0101】
図10では、前提として、省電力中にタイムアウトとなった場合には、強制的に電源をオフにする必要がないので、何もしないという制御がされている。これは、電源の状態で処理を切り分けることにより実現できる。他の制御方法としては、省電力中に入った時点でタイマ801を停止させるようにしてもよい。
【0102】
この制御により、図10(A)に示されるように、シャットダウンして起動準備がタイムアウトとなる前に終了して省電力モードに移行した場合は、タイムアウトになっても問題は発生しない。
【0103】
おおよそこの場面で使用する省電力モードはメモリレジュームの場合はACPI−S3等価状態であり、その通電状態を継続すれば良い。また、ACPI−S4ハイバネーションモードであれば、チップセット内の一部のハードウエアロジックで通電保持しているACPI−S4状態が解除されなければ良い。省電力モードを電源オフと等価とみなす場合、このように省電力中はオフを行わないという制御を行う。
【0104】
図10(B)について説明する。例えばストレージ速度の低下、起動時の特別な初期化処理等で、起動準備が長くかかってしまった場合、タイムアウトが発生する。起動準備中は省電力モードではないので、強制的に電源がオフとされる。これは電源的にハングアップと見分けがつかないため、オフにしないと電源保護できなくならからである。このような動作中のシャットダウンを行わない電源のオフはストレージにダメージを与える可能性がある。
【0105】
図11は、図4に示したコントローラ3の電源及びリセットに関する構成の変形例を示す図である。
【0106】
図11において、コントローラ3は、図4に示した構成に加え、タイマ901(第2計測手段)、RTC(Real Time Clock)902、及びRTC902に電源を供給するバッテリ903をさらに備えている。従って、電源ユニット302のタイマ801(第1計測手段)と併せて2つのタイマを備えていることとなる。タイマ901は、RTC902を用いて時間計測し、リブート処理等を実行とは独立して時間計測する。すなわち、タイマ901による計測はCPU201のリセットを共有しない。
【0107】
図12は、図11に示したコントローラ3の構成で実行されるシャットダウン及びブート処理における時間変化を示す図である。
【0108】
この図12を用いて図11に示したコントローラ3の構成で実行されるシャットダウン及びブート処理の概要を説明したのちに、フローチャートの説明をする。
【0109】
まず、スイッチ301が時刻T1でオフされると、2つのタイマ801,901が起動され、それぞれ時間計測が開始される。タイマ901は、タイマ801よりも早くタイムアウトする設定となっている。
【0110】
その後、画像形成装置1本体は、シャットダウンされ、時刻T2でシャットダウンが完了すると、リブートされる。そして起動準備が開始され、その後タイマ901がタイムアップし、時刻T3で割り込みが入る。その場合、現在省電力モードに移行できるか否かを判別する。
【0111】
例えばカーネル起動前等の特別な状態は省電力モードに移行することができないため、シャットダウンを行う。この場合、次回の起動は高速化されない。省電力モードに移行できる場合は省電力モードに移行し、電源状態は省電力モードとなる。つまり、起動途中タイマ901に連動して省電力モードに強制移行させる。この省電力モードに移行するための時間を用いて、下記式1によりタイマ901がタイムアウトするまでの設定時間が求まる。
【0112】
タイマ901設定時間= タイマ801設定時間−省電力移行時間 …(式1)
上記タイマ901設定時間は第2時間に対応し、タイマ801設定時間が第1時間に対応する。
【0113】
画像形成装置1が省電力モードあれば、タイマ801がタイムアウトしても、省電力モードであるため強制的に電源がオフされることは無い。また、この省電力モードでスイッチ301がオンされると、時刻T3で中断された状態から起動処理が再開され、起動時間経過後に起動が完了する。
【0114】
図13は、図11のCPU201により実行されるリブート処理の手順を示すフローチャートである。
【0115】
図13において、スイッチ301がオフとされると、タイマ801、901を起動され、時間計測が開始される(ステップS301)。上述したように、タイマ901は、タイマ801よりも早くタイムアウトする設定となっている。
【0116】
次いで、シャットダウンを行い(ステップS302)、リブートとし(ステップS303)、起動開始(ステップS304)となる。
【0117】
次いで、リブートフラグがオンか否か判別し(ステップS305)、リブートフラグがオフのとき(ステップS309でNO)、起動処理を行い(ステップS309)、起動が完了したら(ステップS310でYES)、ステップS313に進む。上記ステップS305からステップS309に進む場合は、リブートではなく通常の起動処理ということとなる。
【0118】
ステップS305の判別の結果、リブートフラグがオンのとき(ステップS305でYES)、タイマ901からの割り込みを許可し(ステップS306)、起動処理を行い(ステップS307)、起動が完了したら(ステップS308でYES)、ステップS311でタイマ901が動作中か否か判別し(ステップS311)、タイマ901が動作中でないとき(ステップS311でNO)、直ちに本処理を終了し、タイマ901が動作中のとき(ステップS311でYES)、タイマ901を停止し(ステップS312)、省電力モードに移行して(ステップS313)、本処理を終了する。本処理を終了すると、画像形成装置1はスタンバイ状態となっている。
【0119】
図13のフローチャートにおいて、図12で説明したように、タイマ901により割り込みが入る場合がある。そして、ステップS311,312,313の処理は、このタイマ901によるタイムアウトに間に合った場合に実行される処理である。
【0120】
図14は、図11のCPU201により実行されるタイマ割り込み処理の手順を示すフローチャートである。
【0121】
図14において、タイマ901より割り込みが入ると、タイマ901終了処理を行い(ステップS401)、省電力モードに移行可能か否か判別する(ステップS402)。省電力モードに移行可能か否かの判断は、上述した通りである。
【0122】
ステップS402の判別の結果、省電力モードに移行可能なとき(ステップS403でYES)、省電力モードに移行して(ステップS403)(他の移行手段)、本処理を終了する。省電力モードに移行不可能なとき(ステップS402でNO)、シャットダウンして(ステップS404)、本処理を終了する。
【0123】
以上のように起動準備の途中で中断して省電力待機状態に入ることにより、次にユーザによりオンとされたあと、通常の起動よりも短い時間でスタンバイ状態に移行することが可能となり、強制電源オフに対応しつつ、最も早く起動することが可能となる。
【0124】
フロー中、1311、1312、1313はタイマ901に起動準備が間に合った場合のフローで、図11の1103完了後に省電力モードに移行するルートである。また、1309は起動準備のためのリブートではなく通常のブートの時に通るルートとなる。
【0125】
以上、タイマ901を用いることで、強制的に電源がOFFにされる構成において、本発明を適用した場合でも、可能な限り早く起動できる手段について述べた。
【0126】
なお、タイマ901を用いた理由だが、CPU201はリブート間隔が挟まるため、時間が測定できない時間帯が発生する。この時間帯が安定して短い場合はCPU201のソフトウェアタイマ、CPUタイマ等のリソースを使用してもよい。また、タイマ901のように専用のH/Wが無い場合が考えられるが、RTC902及びバッテリ903は、カレンダ機能を持つ装置には必ず装着されるので、これをそのまま利用することが可能である。具体的にはRTC902のアラーム割り込みとして設定しておけばリブート中の電源・リセットが不安定な状態があったとしても、RTC902は自発的に正確に時間を刻むことが可能であり、また、割り込みもCPU201に入れる事が可能だからである。
【0127】
(他の実施の形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成装置
3 コントローラ
5 操作部
201、221 CPU
202 ブートロム
301 スイッチ
302 電源ユニット
303 AC−DCコンバータ
601、604 リセット回路
602 BIOS
603 電源監視部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器であって、
前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウン手段と、
前記シャットダウン手段によりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動手段と、
前記再起動手段により前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行手段と、
前記移行手段により前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除手段と
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記予め定められた処理は、再起動が完了するまでに要する再起動処理のうちの一部の処理であり、前記再起動処理のうちの前記一部の処理を除く他の処理は、前記解除手段により前記省電力モードが解除された後に実行されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記他の処理は、前記電子機器に接続された周辺機器とのネゴシエーション処理が含まれることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記スイッチがオフとされてから時間計測を開始する第1計測手段と、
前記スイッチがオフとされてから時間計測を開始する第2計測手段と、
前記第1計測手段により計測された時間が予め定められた第1時間になり、かつ前記電子機器が省電力モードではない場合に前記電源を強制的にオフとする電源オフ手段と、
前記第2計測手段により計測された時間が前記第1時間より短い第2時間となり、かつ前記電子機器が省電力モードとなっていない場合に、省電力モードに移行可能であれば省電力モードに移行させる他の移行手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2計測手段は、RTCを用いて時間計測することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2計測手段は、前記再起動手段による前記予め定められた処理の実行とは独立して時間計測することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器が起動中か否かを表示する表示手段を備える場合は、前記再起動手段による前記予め定められた処理の実行中は、起動中であることを表示しないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器の制御方法であって、
前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウンステップと、
前記シャットダウンステップによりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動ステップと、
前記再起動ステップにより前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行ステップと、
前記移行ステップにより前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウンステップと、
前記シャットダウンステップによりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動ステップと、
前記再起動ステップにより前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行ステップと、
前記移行ステップにより前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。
【請求項1】
電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器であって、
前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウン手段と、
前記シャットダウン手段によりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動手段と、
前記再起動手段により前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行手段と、
前記移行手段により前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除手段と
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記予め定められた処理は、再起動が完了するまでに要する再起動処理のうちの一部の処理であり、前記再起動処理のうちの前記一部の処理を除く他の処理は、前記解除手段により前記省電力モードが解除された後に実行されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記他の処理は、前記電子機器に接続された周辺機器とのネゴシエーション処理が含まれることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記スイッチがオフとされてから時間計測を開始する第1計測手段と、
前記スイッチがオフとされてから時間計測を開始する第2計測手段と、
前記第1計測手段により計測された時間が予め定められた第1時間になり、かつ前記電子機器が省電力モードではない場合に前記電源を強制的にオフとする電源オフ手段と、
前記第2計測手段により計測された時間が前記第1時間より短い第2時間となり、かつ前記電子機器が省電力モードとなっていない場合に、省電力モードに移行可能であれば省電力モードに移行させる他の移行手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2計測手段は、RTCを用いて時間計測することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2計測手段は、前記再起動手段による前記予め定められた処理の実行とは独立して時間計測することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器が起動中か否かを表示する表示手段を備える場合は、前記再起動手段による前記予め定められた処理の実行中は、起動中であることを表示しないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器の制御方法であって、
前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウンステップと、
前記シャットダウンステップによりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動ステップと、
前記再起動ステップにより前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行ステップと、
前記移行ステップにより前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除ステップと
を備えたことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
電源をオン又はオフとするためのスイッチを備え、省電力モードが実行可能な電子機器の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記制御方法は、
前記スイッチがオフとされた場合に、前記電子機器をシャットダウンさせるシャットダウンステップと、
前記シャットダウンステップによりシャットダウンされた後に、前記電子機器の再起動を行うための予め定められた処理を実行する再起動ステップと、
前記再起動ステップにより前記予め定められた処理が実行されると、省電力モードに移行させる移行ステップと、
前記移行ステップにより前記省電力モードに移行した後に、前記スイッチがオンとされた場合に、前記省電力モードを解除する解除ステップと
を備えたことを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−155534(P2012−155534A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14044(P2011−14044)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]