説明

電子機器及び撮像装置

【課題】簡易な構造で水圧(水深)と大気圧を測定可能な電子機器及び撮像装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1において、筐体10は、通気孔71を塞ぐ防水通気膜72を有する。コントローラ110は、筐体10内の気圧センサ92aによって検出される検出気圧値Pに基づいて、筐体10の水深値Dを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示されている技術は、気圧センサを備える電子機器及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水密構造を有する筐体から露出する水圧センサによって水圧を直接検出する手法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−140828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この手法では、水密性を保持しながら水圧センサを筐体から露出させるために、複雑な取り付け構造が採用されている。
【0005】
ここに開示されている技術は、上述の状況に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で水圧(水深)と大気圧を測定可能な電子機器及び撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される電子機器は、通気孔と通気孔を塞ぐ防水通気膜とを有する水密構造の筐体と、筐体内に配置され、筐体内の気圧を検出する気圧センサと、気圧センサによって検出される検出気圧値に基づいて、筐体にかかる水圧及び筐体の水深のうち少なくとも一方を算出するコントローラと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
ここに開示されている技術によれば、簡易な構造で水圧(水深)と大気圧を測定可能な電子機器及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態に係るデジタルカメラの正面斜視図である。
【図2】実施形態に係るデジタルカメラの後面斜視図である。
【図3】実施形態に係る筐体の正面図である。
【図4】実施形態に係る筐体の後面斜視図である。
【図5】実施形態に係る筐体の分解斜視図である。
【図6】図3のVI−VI断面図である。
【図7】実施形態に係るデジタルカメラの機能ブロック図である。
【図8】実施形態に係るコントローラの機能ブロック図である。
【図9】統合LSIの動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なっている場合がある。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
なお、以下の実施形態では、「撮像装置」の一例としてデジタルカメラを例に挙げて説明する。以下の説明において、「前」「後」「上」「下」「右」「左」は、被写体に正対する横撮り姿勢のデジタルカメラを基準とする用語である。なお、横撮り姿勢とは、横長矩形画像の長辺方向が画像内の水平方向と略一致する場合におけるデジタルカメラの姿勢である。
【0011】
(デジタルカメラ1の概略構成)
実施形態に係るデジタルカメラ1の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るデジタルカメラ1の正面斜視図である。図2は、実施形態に係るデジタルカメラ1の後面斜視図である。
【0012】
デジタルカメラ1は、筐体10と、前カバー20と、後カバー30と、操作ユニット40と、光学系50と、液晶モニタ60と、フラッシュ65と、を備える。
【0013】
筐体10は、水密構造を有する収容箱である。筐体10の外形は、水中に入れられると水圧に応じて変形する。筐体10の変形量は、水深が大きくなるほど増加する。このような筐体10は、可撓性及び弾性を有する材料によって構成されることが好ましい。
【0014】
前カバー20は、筐体10の前面に取り付けられる。後カバー30は、筐体10の後面に取り付けられる。操作ユニット40は、筐体10の後面に取り付けられており、後カバー30から露出する。
【0015】
操作ユニット40は、ユーザの各種操作を受け付ける。本実施形態において、操作ユニット40は、撮影モードの一つとして水深測定モードの選択操作を受け付ける。光学系50は、筐体10の前面に取り付けられており、前カバー20から露出する。光学系50は、撮影時に外部光を筐体10の内部に取り入れる。液晶モニタ60は、筐体10の後面に取り付けられており、後カバー30から露出する。液晶モニタ60には、撮像画像が表示される。フラッシュ65は、筐体10の前面に取り付けられており、前カバー20から露出する。
【0016】
(筐体10の内部構成)
図3は、実施形態に係る筐体10の正面図である。図4は、実施形態に係る筐体10の後面斜視図である。図5は、実施形態に係る筐体10の分解斜視図である。図6は、図3のVI−VI断面図である。
【0017】
筐体10は、前板70と後板80とによって構成されており、筐体10の内部には、制御基板90が配置されている。前板70と後板80は、筐体10の水密性を確保するために密着されている。制御基板90は、前板70と後板80との間(すなわち、筐体10内)に密封されている。
【0018】
前板70は、通気孔71と、防水通気膜72と、を有する。通気孔71は、筐体10の内外に連通している。防水通気膜72は、通気孔71を塞いでいる。防水通気膜72は、通気性を有する材料によって構成される。そのため、デジタルカメラ1が空気中に位置する場合、筐体10内の気圧は大気圧と一致する。また、防水通気膜72は、防水性を有する材料によって構成される。そのため、デジタルカメラ1が水中に位置する場合、通気孔71からの水の侵入が抑止される。防水通気膜72の材料としては、例えば、ジャパンゴアテックス社の「GORE−TEX(登録商標)」などを用いることができる。
【0019】
なお、前板70と光学系50及びフラッシュ65との間には、図示しない防水テープが取り付けられる。また、後板80と操作ユニット40及び液晶モニタ60との間には、図示しないパッキンが取り付けられる。
【0020】
制御基板90は、基板本体91と、基板本体91の前面に載置されるセンサユニット92、カードスロット93及びAFE(Analog Front End)94と、基板本体91の後面に載置される統合LSI100と、を有する。
【0021】
基板本体91は、各種電子部品を載置するための板状部材である。
【0022】
センサユニット92は、図6に示すように、気圧センサ92aと、温度センサ92bと、を有する。気圧センサ92aは、筐体10内の気圧を検出する。デジタルカメラ1が空気中に位置する場合、気圧センサ92aによる検出気圧値Pは、大気圧と一致する。また、デジタルカメラ1が水中に位置する場合、気圧センサ92aによる検出気圧値Pは、筐体10の水深が深くなるほど、すなわち、筐体10内の体積が小さくなるほど上昇する。温度センサ92bは、筐体10内の気温を検出する。
【0023】
カードスロット93は、メモリカードを着脱可能に挿入するためのスロットである。AFE94は、後述するCCDイメージセンサ95(図7参照、「撮像手段」の一例)により生成された画像データに対して、雑音抑圧処理、A/Dコンバータの入力レンジ幅への増幅処理及びA/D変換処理などを施す。
【0024】
統合LSI100は、デジタルカメラ1が備える各種電子部品の動作を統括制御する。統合LSI100の構成については後述する。
【0025】
(デジタルカメラ1の機能構成)
図7は、実施形態に係るデジタルカメラ1の機能構成を示す機能ブロック図である。なお、以下の説明では、上述した構成以外の構成について主に説明する。
【0026】
光学系50は、フォーカスレンズ51、ズームレンズ52、絞り53およびシャッタ54を有する。フォーカスレンズ51は、被写体のフォーカス状態を調節する。ズームレンズ52は、被写体の画角を調節する。絞り53は、CCDイメージセンサ95に入射する光量を調節する。シャッタ54は、CCDイメージセンサ95に入射する光の露出時間を調節する。フォーカスレンズ51、ズームレンズ52、絞り53およびシャッタ54それぞれは、DCモータ又はステッピングモータ等の駆動ユニットにより、コントローラ110から送信される制御信号に従って駆動される。
【0027】
CCDイメージセンサ95は、本実施形態に係る「撮像手段」の一例である。CCDイメージセンサ95は、光電変換によって画像データを生成する。
【0028】
統合LSI100は、コントローラ110と、画像処理部120と、バッファメモリ130と、フラッシュメモリ140と、を有する。
【0029】
コントローラ110は、デジタルカメラ1全体の動作を統括制御する。コントローラ110は、ROMおよびCPU等により構成される。ROMには、ファイル制御、オートフォーカス制御(AF制御)、自動露出制御(AE制御)、フラッシュ65の発光制御に関するプログラムの他、デジタルカメラ1全体の動作を統括制御するためのプログラムが格納されている。
【0030】
本実施形態において、コントローラ110は、モード検出部111、気圧値補正部112、差分算出部113、及び水深算出部114を有する。コントローラ110は、操作ユニット40において水深測定モードの選択操作がユーザから受け付けられた場合、気圧センサ92aによって検出される検出気圧値Pに基づいて、筐体10の水深値Dを算出する。この際、コントローラ110は、フラッシュメモリ140から基準気圧値P及び基準気温値tを読み出す。コントローラ110の機能構成及び動作については後述する。
【0031】
なお、コントローラ110は、プログラムを実行するマイクロコンピュータやハードワイヤードな電子回路によって構成することができる。
【0032】
画像処理部120は、AFE94により各種処理が施された画像データに対して、ホワイトバランス補正、色再現補正、ガンマ補正、スミア補正、YC変換処理、電子ズーム処理等の処理を施す。本実施形態において、画像処理部120は、筐体10の水深値Dが所定の閾値(例えば、3m程度)を超えた場合に、画像データにホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正を施す。この際、画像処理部120は、撮像画像の青みが強くなる(すなわち、撮像画像の赤みが減衰する)ことを抑えるようにホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正を施す。
【0033】
なお、画像処理部120は、プログラムを実行するマイクロコンピュータやハードワイヤードな電子回路によって構成することができる。
【0034】
バッファメモリ130は、コントローラ110及び画像処理部120のワークメモリとして機能する揮発性の記憶媒体である。本実施形態において、バッファメモリ130は、DRAMである。
【0035】
フラッシュメモリ140は、デジタルカメラ1の内部メモリである。フラッシュメモリ140は、不揮発性の記録媒体である。本実施形態において、フラッシュメモリ140には、基準気圧値P及び基準気温値tが格納されている。
【0036】
(検出気圧値Pから水深値Dを計測する仕組み)
デジタルカメラ1は通気孔71を防水通気膜72で塞いでいる。大気中では、気圧変化が生じても、防水通気膜72の通気性により、筐体10の内圧も追従する。これにより、筐体10の内圧は大気圧と等しくなる。
【0037】
デジタルカメラ1の高度を徐々に下げて、水面下に入った直後は、筐体10内の気圧は、水面の高度における気圧とほぼ等しくなる。その後、水中に沈んでいく過程において、筐体10が水圧により変形しないと仮定すれば、筐体10内の気圧は変化しない。しかしながら実際には、デジタルカメラ1の筐体10は、水深が深くなるにつれて高くなる水圧により、徐々に変形していく。この変形に伴って、筐体10内の気圧は徐々に高くなっていく。この筐体10内の気圧変化を測定することで、外部の水圧(水深値D)を推定することができる。これが、本実施形態のデジタルカメラ1における、水深値Dを計測(推定)する仕組みである。
【0038】
すなわち、水圧による筐体10の変形に起因する筐体10内の気圧変化量を、気圧センサ92aで計測し、この気圧変化量に基づいて水圧(水深値D)を推定することができる。なお、筐体10内部の気圧変化量と水圧(水深値D)の関係は、所定の非線形関数(以下、「水深算出関数」という。)で近似することができる。
【0039】
(コントローラ110の機能構成)
図8は、実施形態に係るコントローラ110の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0040】
コントローラ110は、モード検出部111と、気圧値補正部112と、差分算出部113と、水深算出部114と、を有する。
【0041】
モード検出部111は、水深計測モードか否かを判断する。水深計測モードの設定および解除は、操作ユニット40によって行われる。モード検出部111が水深計測モードであると判断した場合、気圧値補正部112にその旨を通知する。
【0042】
気圧値補正部112は、フラッシュメモリ140に記憶されている基準温度値tと、気圧センサ92aによって検出された検出気圧値Pと、温度センサ92bによって検出された検出温度値tとに基づいて、検出気圧値Pの温度補正を行う。具体的に、気圧値補正部112は、補正後の気圧値P’を、次の式(1)によって算出する。
【0043】
P’=P×(273.2+t)/(273.2+t) ・・・(1)
差分算出部113は、フラッシュメモリ140に記憶した基準気圧値Pと、気圧値補正部112によって算出された補正後の気圧値P’との差分ΔPを算出する。この差分ΔPは、基準気圧値Pを0に換算した相対的な気圧の変化量である。
【0044】
水深算出部114は、水深算出関数と差分検出部102によって求められた差分ΔPとに基づいて、水深値Dを算出する。水深算出部114は、算出した水深値Dを液晶モニタ60に表示する。また、水深算出部114は、算出した水深値Dが所定の水深(例えば、3m程度)を超えた場合は、画像処理部120にその旨を通知する。画像処理部120は、水深算出部114からの通知に応じて、画像データのホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正を実施する。
【0045】
(統合LSI100の動作)
実施形態に係る統合LSI100の動作について、図面を参照しながら説明する。図9は、統合LSI100の動作を説明するためのフロー図である。以下においては、モード検出部111において水深測定モードが検出されたものとして説明する。
【0046】
ステップS10において、コントローラ110は、フラッシュメモリ140に記録された基準気圧値P、基準温度値tを読み出す。
【0047】
ステップS20において、コントローラ110は、水深計測モードが継続されているか否かを判断する。水深計測モードが継続されている場合、処理はステップS30に進む。モード検出部111において水深計測モードの解除が検出された場合は水深計測処理を終了する。
【0048】
ステップS30において、コントローラ110は、気圧センサ92aによって出力された検出気圧値P、温度センサ92bによって出力された検出温度値tを検出する。
【0049】
ステップS40において、コントローラ110は、ステップS10で読み出した基準温度値tと、ステップS30で検出された検出温度値t及び検出気圧値Pより温度補正後の検出気圧値P’を求める。
【0050】
ステップS50において、コントローラ110は、ステップS10で読み出した基準気圧値PとステップS40で算出した温度補正後の検出気圧値P’との差分ΔPを算出する。
【0051】
ステップS60において、コントローラ110は、ステップS50で求めた差分ΔPと水深算出関数とを用いて、水深値Dを求める。
【0052】
ステップS70において、コントローラ110は、ステップS60で求めた水深値Dを液晶モニタ60に表示する。
【0053】
ステップS80において、コントローラ110は、ステップS60で求めた水深値Dが所定の閾値(例えば、3m程度)を超えているか否かを判断する。所定の閾値を超えている場合、処理はステップS90へ移行する。所定の閾値を超えていない場合、処理はステップS20へ移行する。
【0054】
ステップS90において、画像処理部120は、画像データにホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正を行う。
【0055】
(作用及び効果)
(1)実施形態に係るデジタルカメラ1において、水密構造の筐体10は、通気孔71を塞ぐ防水通気膜72を有する。コントローラ110は、筐体10内の気圧センサ92aによって検出される検出気圧値Pに基づいて、筐体10の水深値Dを算出する。
【0056】
このように、気圧センサ92aが筐体10内に配置されるので、筐体10から気圧センサ92aを露出させる必要がない。また、気圧センサ92aの検出結果によって水深値Dを測定できるので、気圧センサ92aとは別に水圧センサを設ける必要がない。さらに、通気孔71が防水通気膜72によって塞がれているので、筐体10が空気中に位置する場合には、気圧センサ92aによって大気圧を検出できる。以上より、簡易な構造で水深と大気圧とを測定することができる。
【0057】
(2)コントローラ110は、検出気圧値Pと基準気圧値Pとの差分ΔPを算出する差分算出部113と、差分ΔPに基づいて水深値Dを算出する水深算出部114と、を有する。
【0058】
従って、コントローラ110は、基準気圧値Pを基準とする相対的な気圧の変化量に応じて、水深値Dを簡易に算出することができる。
【0059】
(3)差分算出部113は、水深計測モードの選択が検出された場合に、差分ΔPを算出する。従って、入水を自動検知するための機能を備える必要がないので、より簡易な構造で水深と大気圧とを測定することができる。
【0060】
(4)差分算出部113は、基準気圧値Pとして所定値を使用する。従って、基準気圧値Pを検出或いは算出する必要がないので、簡易かつ迅速に水深値Dの算出処理を開始することができる。
【0061】
(5)コントローラ110は、温度センサ72bによる検出気温値tに基づいて検出気圧値Pを補正する気圧値補正部112を有する。差分算出部113は、気圧値補正部112によって補正された検出気圧値P’を使用する。
【0062】
従って、筐体10内の気温変化によって水深値Dに誤差が生じることを抑制できるので、より精度良く水深値Dを算出することができる。
【0063】
(6)デジタルカメラ1は、コントローラ110によって算出される水深値Dに基づいて画像データに補正を施す画像処理部120を備える。画像処理部120は、水深値Dが所定の閾値を超えた場合に、ホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正を行う。
【0064】
これらの補正によって、撮像画像の青みが強くなることを抑えることができるので、撮像画像の品質を向上させることができる。
【0065】
(その他の実施形態)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0066】
(A)上記実施形態において、コントローラ110は、ユーザによって水深測定モードが選択された場合に、水深値Dの算出処理を開始することとしたが、これに限られるものではない。デジタルカメラ1が、筐体10の入水を検出する入水検出部を備えている場合には、筐体10の入水が検出されたときに水深値Dの算出を開始することとしてもよい。この場合、入水を自動検知できるので、ユーザの操作に応じて水深値Dの算出処理を開始する場合に比べて、より精度良く水深値Dを測定することができる。なお、コントローラ110は、例えば、筐体10の外表面上に設けられた一対の電極間における電圧変化に応じて筐体10の入水を検出する入水検出部を有していればよい。
【0067】
(B)上記実施形態において、コントローラ110は、基準気圧値P及び基準気温値tとしてフラッシュメモリ140に格納された所定値を使用することとしたが、これに限られるものではない。
【0068】
例えば、コントローラ110は、基準気圧値Pとして、水深計測モードの選択が検出されたときの検出気圧値Pを使用してもよい。この場合には、水深値Dの算出処理を開始する時点における大気圧の大小を考慮して水深値Dを算出することができる。そのため、より精度良く水深値Dを算出することができる。
【0069】
また、コントローラ110は、基準気圧値Pとして、上述の入水検出部によって筐体10の入水が検出されたときの検出気圧値Pを使用してもよい。この場合には、入水時点の検出気圧値Pを基準にできるので、より精度良く水深値Dを算出することができる。
【0070】
さらに、コントローラ110は、基準気圧値Pとして、ユーザによって指定された時点における検出気圧値Pを使用してもよい。この場合には、上述の入水検出部がない場合であっても、入水時点を精度良く把握できるので、より精度良く水深値Dを算出することができる。
【0071】
(C)上記実施形態において、画像処理部120は、水深値Dが所定の閾値を超えた場合に、ホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正を行うこととしたが、これに限られるものではない。例えば、画像処理部120は、水深値Dが大きくなるにしたがって徐々にホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正それぞれの強度を大きくしてもよい。この場合には、水深値Dに応じて補正強度を変更できるので、撮像画像の品質をより向上させることができる。
【0072】
また、画像処理部120は、撮像画像の青みが強くなることを抑えるために、ホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正のうち少なくとも一つの補正を行うこととしてもよい。
【0073】
(D)上記実施形態において、水深算出部114は、水深値Dを算出することとしたが、これに限られるものではない。水深算出部114は、水深値Dに代えて“水圧値”を算出してもよい。このような“水圧値”は、上記実施形態にて説明した水深算出関数と類似する関数によって算出することができる。
【0074】
(E)上記実施形態では、「電子機器」の一例としてデジタルカメラ1(「撮像装置」の一例)を挙げて説明したが、これに限られるものではない。「電子機器」としては、ビデオカメラ、携帯電話、ICレコーダーなどが挙げられる。
【0075】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、簡易な構造で水圧(水深)と大気圧を測定可能な電子機器及び撮像装置を提供できるので、電子機器及び撮像装置の分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…デジタルカメラ
10…筐体
20…前カバー
30…後カバー
40…操作ユニット
50…光学系
51…フォーカスレンズ
52…ズームレンズ
53…絞り
54…シャッタ
60…液晶モニタ
65…フラッシュ
70…前板
71…通気孔
72…防水通気膜
80…後板
90…制御基板
91…基板本体
92…センサユニット
92a…気圧センサ
92b…温度センサ
93…カードスロット
94…AFE
95…CCDイメージセンサ
100…統合LSI
110…コントローラ
111…モード検出部
112…気圧値補正部
113…差分算出部
114…水深算出部
120…画像処理部
130…バッファメモリ
140…フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気孔と前記通気孔を塞ぐ防水通気膜とを有する水密構造の筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体内の気圧を検出する気圧センサと、
前記気圧センサによって検出される検出気圧値に基づいて、前記筐体にかかる水圧及び前記筐体の水深のうち少なくとも一方を算出するコントローラと、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記検出気圧値と基準気圧値との差分を算出する差分算出部と、
前記差分に基づいて前記水圧及び前記水深のうち少なくとも一方を算出する水深算出部と、
を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記コントローラは、水深を計測する水深計測モードがユーザによって選択されたことを検出するモード検出部を有し、
前記差分算出部は、前記水深計測モードの選択が検出された場合に、前記差分を算出する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記コントローラは、前記筐体が入水したことを検出する入水検出部を有し、
前記差分算出部は、入水したことが検出された場合に、前記差分を算出する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記差分算出部は、前記基準気圧値として、所定値を使用する、
請求項2乃至4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記差分算出部は、前記基準気圧値として、前記水深計測モードの選択が検出されたときに前記気圧センサによって検出された気圧値を使用する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項7】
前記差分算出部は、前記基準気圧値として、入水したことが検出されたときに前記気圧センサによって検出された気圧値を使用する、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体内に配置され、前記筐体内の気温を検出する温度センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記温度センサによって検出される検出気温値に基づいて前記検出気圧値を補正する気圧値補正部を有し、
前記差分算出部は、前記検出気圧値として、前記気圧値補正部によって補正された気圧値を使用する、
請求項2乃至7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
水密構造を有する筐体と、
前記筐体内に配置され、前記筐体内の気圧を検出する気圧センサと、
前記気圧センサによって検出される検出気圧値に基づいて、前記筐体にかかる水圧及び前記筐体の水深のうち少なくとも一方を算出するコントローラと、
光電変換によって画像データを生成する撮像手段と、
を備える撮像装置。
【請求項10】
前記コントローラによって算出される前記水圧及び前記水深のうち少なくとも一方に基づいて前記画像データにホワイトバランス補正、色再現補正、及びガンマ補正のうち少なくとも一つを施す画像処理部をさらに備える、
請求項9に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−163938(P2012−163938A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150626(P2011−150626)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】