説明

電子機器

【課題】
照度を適度に変更すると共に、消費エネルギーの消耗を防止することができる電子機器を提供する。
【解決手段】
車載用の電子機器本体2に設けられて被照明対象を照明するために発光制御される照明手段(LCD表示画面、操作ボタン)3、4を備えた電子機器1であって、電子機器本体2から外方に向って検出信号(赤外線)Sを出力する検出信号出力部(赤外LED)5と、対象物(使用者の手)Hにより反射された検出信号Sを検出する検出信号検出部(赤外線選出センサ)6と、この検出信号検出部6の出力に応じて対象物Hと電子機器本体2との距離を演算する距離演算手段(距離演算部)11と、この距離演算手段11の演算結果に応じて照明手段3、4の照度を変更する照度変更手段(照度変更部)12とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用の電子機器本体の外方にある被照明対象を照明する照明手段を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの照明器具として、これを使用する使用者の手を検知するためのセンサを設け、このセンサの検知エリアに手をかざすと照明装置がオン・オフ制御されるものが考案されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、自動車等の車内に配設される車内用電子機器では、車外の明るさによって電子機器に設けられた照明装置の照度が調整できるものが考えられている。
【特許文献1】実開平5−17996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、センサの検知エリアに手をかざすことによって照明装置をオン・オフ制御する照明器具では、照明器具の照度を変更することができないので、照明器具の下方が常に一定の照度となっていた。
【0005】
また、車外の明るさによって電子機器に設けられた照明装置の照度が調整できる電子機器では、電子機器を使用せず、照明が不要な場合であっても車外の明るさに応じて照明装置が点灯することがあるため、エネルギーを浪費してしまうという問題が生じていた。
【0006】
そこで、この発明は、照度を適度に変更すると共に、消費エネルギーの消耗を防止することができる電子機器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車載用の電子機器本体に設けられて被照明対象を照明するために発光制御される照明手段を備えた電子機器であって、前記電子機器本体から外方に向って検出信号を出力する検出信号出力部と、対象物により反射された検出信号を検出する検出信号検出部と、該検出信号検出部の出力に応じて前記対象物と前記電子機器本体との距離を演算する距離演算手段と、該距離演算手段の演算結果に応じて前記照明手段の照度を変更する照度変更手段とを備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、車載用の電子機器本体に設けられて被照明対象を照明するために発光制御される照明手段を備えた電子機器であって、前記電子機器本体から外方に向って赤外線を出力する赤外LEDと、対象物により反射された赤外線を検出する赤外線検出センサと、該赤外線検出センサの検出出力に基づき前記照明手段を発光制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記赤外線検出センサが検出した赤外線が前記対象物によって反射されたものか否かを判定する赤外線判定部と、該赤外線判定部によって赤外線が前記対象物に反射されたものと判定された場合に前記赤外線検出センサの出力に応じて前記対象物と前記電子機器本体との距離を演算する距離演算部と、該距離演算部の演算結果に応じて前記照明手段の照度を変更する照度変更部とを有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係わる電子機器によれば、電子機器本体から外方に向って検出信号を出力すると共に、対象物により反射された検出信号を検出し、対象物と電子機器本体との距離を演算して照明手段の照度を変更することができるので、照明手段の照度を対象物との距離に応じて適当な照度に変更することができる。
【0010】
そのため、電子機器本体を操作しやすい適当な照度に変更することができると共に、無駄な照明を抑制して消費エネルギーの消耗を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態の電子機器を説明する。
【0012】
図1は本発明に係る電子機器の斜視図である。
【0013】
本発明に係る電子機器1は、自動車等の車両の車室内に配設される例えばオーディオ機器等であり、電子機器本体(以下、機器本体という)2を備えている。
【0014】
この機器本体2は、車室内に配設された際に図示しないインストルメントパネルによって覆われ、使用者から前面2aのみが見えるようになる。
【0015】
機器本体2の前面2aには、被照明対象を照明するために発光制御される照明手段であるLCD表示画面(液晶キャラクターディスプレイ)3及び複数の操作ボタン4と、この機器本体2から外方に向って検出信号である赤外線Sを出力する赤外LED5と、対象物、ここでは使用者の手H、によって反射された赤外線Sを検出する赤外線検出センサ6とが設けられている。
【0016】
照明手段であるLCD表示画面3は、演奏中のCD等の曲番号や曲名、ラジオの選局番号等を適宜表示するものである。このLCD表示画面3は、内部に配設された発光素子が発光することによって所定の内容を表示することができる。なお、この構成については周知であるのでここでは説明を省略する。
【0017】
LCD表示画面3と同様に照明手段である複数の操作ボタン4は、それぞれオン・オフ操作することによって所定のスイッチ操作を行うことができるものである。各操作ボタン4には、LEDを内蔵した図示しない発光部が形成されており、この発光部が適宜発光することによって照明できるようになっている。
【0018】
赤外LED5は、検出信号である赤外線Sを出力する検出信号出力部であり、ここでは機器本体2の前面2aの両側部に一対設けられている。
【0019】
赤外線検出センサ6は、検出信号である赤外線Sを検出する検出信号検出部であり、ここでは機器本体2の前面2aのほぼ中央に設けられている。
【0020】
そして、機器本体2の内部には、図2に示すように、赤外線検出センサ6の検出出力に基づいてLCD表示画面3や複数の操作ボタン4を発光制御する制御部10が設けられている。
【0021】
この制御部10は、機器本体2の内部に設けられたいわゆるマイクロコンピュータ(マイコン;CPU)である。そして制御部10は、図2に示すように、赤外線検出センサ6の出力に応じて使用者の手Hと機器本体2の前面2aとの距離を演算する距離演算手段である距離演算部11と、この距離演算部11の演算結果に応じてLCD表示画面3や操作ボタン4の照度を変更する照度変更手段である照度変更部12とを備えている。また、この制御部10には、赤外LED5から赤外線Sを発射させる制御を行う赤外線噴射信号出力部13が設けられている。
【0022】
距離演算部11は、赤外線検出センサ6に増幅器(AMP)20や抵抗21、コンデンサ22を介して接続され、この赤外線検出センサ6によって検出された検出信号が入力されるようになっている。
【0023】
なお、ここでは、増幅器20と、抵抗21及びコンデンサ22の直列回路と、コンデンサ22とが互いに並列に接続された回路を介して、距離演算部11に検出信号が入力されるようになっている。これにより、ノイズ成分が除去されると共に検出信号を安定して入力することができる。
【0024】
また、この距離演算部11に入力される検出信号は、図示しないA/D変換器によってデジタル信号に変換されてから入力される。
【0025】
そして、この距離演算部11によって、使用者の手Hと機器本体2の前面2aとの距離が演算される。ここでは、入力信号の強さによって距離を判断し、入力信号が強い(大きい)ほど使用者の手Hと機器本体2との距離が近く、入力信号が弱い(小さい)ほど使用者の手Hと機器本体2との距離が遠いと判断する。
【0026】
照度変更部12は、LCD表示画面3及び複数の操作ボタン4にそれぞれ接続されている。この照度変更部12は、距離演算部12の演算結果によって制御され、LCD表示画面3や操作ボタン4の照度を適宜変更する変更信号を出力する。
【0027】
赤外線噴射信号出力部13は、赤外LED5に接続されており、機器本体2の図示しない主電源がオンされると、赤外線Sを出力するように赤外LED5に発信信号を出力するものである。
【0028】
次に、この発明の電子機器1の作用について説明する。
【0029】
この電子機器1を使用するには、まず図示しない主電源をオンする。主電源をオンすることによって制御部10の赤外線噴射信号出力部13から発信信号が赤外LED5に出力される。そして、赤外LED5から赤外線Sが図2において破線で示すように、外方に向って出力される。
【0030】
出力された赤外線Sは、機器本体2の前方に位置している使用者の手Hによって反射される。そして、この図2において破線で示す反射された赤外線Sは、赤外線検出センサ6によって検出される。
【0031】
この赤外線検出センサ6によって検出された検出信号は、増幅器20や抵抗21、コンデンサ22を介して制御部10の距離演算部11に入力される。
【0032】
距離演算部11では、入力された検出信号の強さを判断し、この検出信号の強さによって使用者の手Hと機器本体2との距離を演算する。そして、この演算結果に基づいて使用者の手Hと機器本体2との距離が制御部10によって判断される。
【0033】
さらに、この制御部10が使用者の手Hと機器本体2との距離が一定距離以内であると判断した場合には、LCD表示画面3とすべての操作ボタン4とがそれぞれ点灯する(オンする)ように照度変更部12を制御し、この照度変更部12から変更信号が出力される。
【0034】
そして、このように照度変更部12から出力された変更信号によって、LCD表示画面3及びすべての操作ボタン4が発光して自動的に点灯することとなる。
【0035】
また、制御部10が使用者の手Hと機器本体2との距離が一定距離以上であると判断した場合には、LCD表示画面3とすべての操作ボタン4とをそれぞれ点灯しない(オフ状態を維持する)ように照度変更部12を制御し、この場合には照度変更部12から変更信号が出力されない。
【0036】
さらに、一旦LCD表示画面3及びすべての操作ボタン4が点灯した後に、一定時間、例えば60秒間赤外線検出センサ6が赤外線Sを検出しない場合には、制御部10によって使用者の手Hと機器本体2との距離が一定距離以上であると判断する。
【0037】
そして、照度変更部12から変更信号を出力して、LCD表示画面3の照度を一定の照度になるように落とす(暗くする)とともに、すべての操作ボタン4を消灯する。
【0038】
このように、本発明の電子機器1では、赤外LED5から出力された赤外線Sを赤外線検出センサ6によって検出し、この赤外線検出センサ6の検出出力に応じて使用者の手Hと機器本体2との距離を距離演算部11によって演算する。そしてこの演算結果に応じて、照明変更部12からLCD表示画面3及び操作ボタン4の照度を変更する変更信号が出力され、LCD表示画面3及び操作ボタン4の照度が適宜変更されるようになっている。
【0039】
そのため、赤外線検出センサ6によって使用者の手Hが機器本体2に近づいたか否かを検知することができる。そして、使用者の手Hが機器本体2に近づかず、機器本体2を操作しないと判断した場合には、外部の明るさに関わらず、照明手段であるLCD表示画面3や操作ボタン4を点灯させることがない。
【0040】
したがって、不必要な点灯を抑制して、消費エネルギーの消耗を防止することが可能となる。
【0041】
また、赤外線検出センサ6によって検知される検出信号から、使用者の手Hと機器本体2との距離を判断することができ、LCD表示画面3や操作ボタン4の照度を、この距離に応じた適切な照度に自動的に変更し、調整することができる。
【0042】
そして、LCD表示画面3や操作ボタン4の照度を、操作しやすい照度に容易に変更することができる。
【0043】
以上、この発明にかかる実施の形態の一つを図面により詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施の形態に限らない。この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等はこの発明に含まれる。
【0044】
例えば、上述の実施の形態では、赤外線検出センサ6によって検出された検出信号(以下、単に検出信号という)が距離演算部11に入力されるようになっているが、図3に示すように、赤外線判定部14にもこの検出信号が入力されるようにしてもよい。
【0045】
この赤外線判定部14は制御部10に設けられており、検出信号が対象物である使用者の手Hによって反射されたものであるか否かを判定するものである。
【0046】
なお、この赤外線判定部14は、増幅器(AMP)20を介して赤外線検出センサ6に接続され、赤外線が検出されたか否かを判定できるようになっている。また、赤外線判定部14に入力される検出信号は、図示しないA/D変換器によってデジタル信号に変換されてから入力される。
【0047】
このように、検出信号を赤外線判定部14に入力し、この検出信号が対象物である使用者の手Hによって反射されたものであるか否かを判定することによって、ノイズに基づいて使用者の手Hと機器本体2との距離を演算して、機器本体2が誤作動することを防止できる。
【0048】
また、上述の実施の形態では照明手段としてLCD表示画面3や操作ボタン4が示されているが、これに限らず、車室内を照明するためのランプ(車内灯)や時間を表示するための時計であってもよい。
【0049】
さらに、上述の実施の形態では使用者の手Hと機器本体2との距離に応じてLCD表示画面3の照度を一段階落としている(暗くする)が、複数段階分けて徐々に照度を変更してもよい。
【0050】
この場合、使用者の手Hの位置に応じてさらに適切な照度に変更することができて、機器本体2をより操作しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の実施の形態にかかる電子機器の外観を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施の形態にかかる電子機器のブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態の他の例にかかる電子機器のブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
1 電子機器
2 機器本体
3 LCD表示画面(照明手段)
4 操作ボタン(照明手段)
5 赤外LED(検出信号出力部)
6 赤外線検出センサ(検出信号検出部)
11 距離演算部(距離演算手段)
12 照度変更部(照度変更手段)
S 赤外線(検出信号)
H 使用者の手(対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用の電子機器本体に設けられて被照明対象を照明するために発光制御される照明手段を備えた電子機器であって、
前記電子機器本体から外方に向って検出信号を出力する検出信号出力部と、対象物により反射された検出信号を検出する検出信号検出部と、該検出信号検出部の出力に応じて前記対象物と前記電子機器本体との距離を演算する距離演算手段と、該距離演算手段の演算結果に応じて前記照明手段の照度を変更する照度変更手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
車載用の電子機器本体に設けられて被照明対象を照明するために発光制御される照明手段を備えた電子機器であって、
前記電子機器本体から外方に向って赤外線を出力する赤外LEDと、対象物により反射された赤外線を検出する赤外線検出センサと、該赤外線検出センサの検出出力に基づき前記照明手段を発光制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記赤外線検出センサが検出した赤外線が前記対象物によって反射されたものか否かを判定する赤外線判定部と、該赤外線判定部によって赤外線が前記対象物に反射されたものと判定された場合に前記赤外線検出センサの出力に応じて前記対象物と前記電子機器本体との距離を演算する距離演算部と、該距離演算部の演算結果に応じて前記照明手段の照度を変更する照度変更部とを有していることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−79975(P2006−79975A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−263685(P2004−263685)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】