説明

電子機器

【課題】コネクタ連結部の組立て作業性が向上される電子機器を提供する。
【解決手段】プラグインモジュール収納部と該プラグインモジュール収納部に挿脱可能なプラグインモジュールを具備する電子機器に於いて、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか一方に固定コネクタ5が固定して設けられると共にガイドピン8が突設され、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか他方にフローティングプレートを介してフローティングコネクタが設けられ、前記フローティングプレートには漏斗形状のピンガイド23が設けられ、前記固定コネクタ5と前記フローティングコネクタとの連結時に前記ガイドピン8が前記ピンガイド23に嵌入し、前記フローティングプレートが連結方向とは直交する方向に変位して前記フローティングコネクタと前記固定コネクタ5との芯合せが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器本体と該電子機器本体に挿脱可能なプラグインモジュールを具備する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器、特に無線通信システムの中継基地に設置される大型の電子機器では、機能毎にモジュール化された構成を有し、又モジュールはメンテナンス等の作業性が考慮され、電子機器本体に挿脱可能となっている。
【0003】
図5、図6に於いて、挿脱可能なモジュールを有する電子機器について略述する。
【0004】
図5は電子機器のモジュール収納部を示しており、電子機器の全体については図示を省略している。図5中、1は電子機器本体のラック(図示せず)に設けられるモジュール収納部としてのサブラックであり、2は該サブラック1に実装される増幅ユニット、無線ユニット等のプラグインモジュールである。
【0005】
前記サブラック1と前記プラグインモジュール2とはコネクタ連結部3を介して電気的に連結可能であり、該コネクタ連結部3はフローティングコネクタ4と固定コネクタ5とを有し、前記フローティングコネクタ4と前記固定コネクタ5とは連結解除可能となっている。
【0006】
図6は前記コネクタ連結部3を示しており、前記サブラック1の対面パネル6には前記固定コネクタ5が固定して取付けられている。該固定コネクタ5に隣接して一対のガイドピン8,8が立設され、該ガイドピン8の先端部は先細りのテーパ形状となっている。
【0007】
前記プラグインモジュール2の対面パネル9にはフローティングプレート12を貫通するブッシュ11が取付けられ、前記フローティングプレート12は前記ブッシュ11を介して前記対面パネル9に取付けられ、前記フローティングプレート12は前記ブッシュ11が貫通する孔の遊び分だけ前記対面パネル9に対して変位可能となっている。又、前記フローティングプレート12には前記ガイドピン8が貫通可能なガイド孔13が穿設され、又前記フローティングコネクタ4が干渉しない様にコネクタ取付け孔14が穿設され、前記フローティングプレート12に前記フローティングコネクタ4が取付けられている。
【0008】
前記対面パネル9には前記コネクタ取付け孔14に対応して前記フローティングコネクタ4と干渉しない様にコネクタ逃げ孔15が穿設され、又前記ガイドピン8と干渉しない様にガイドピン逃げ孔16が穿設されている。
【0009】
而して、前記フローティングコネクタ4は前記フローティングプレート12と一体に前記対面パネル9に対し、前記ブッシュ11の遊び分だけ変位可能となっている。
【0010】
図5に於いて、前記プラグインモジュール2を前記サブラック1に対して挿入すると、先ず前記ガイドピン8が前記ガイド孔13に嵌合する。前記固定コネクタ5と前記フローティングコネクタ4とが芯ずれを起していた場合は、前記ガイドピン8の先端部はテーパ形状となっているので、該ガイドピン8が前記ガイド孔13に嵌合する時点で、前記ガイド孔13が変位し芯ずれが矯正される。尚、芯ずれ矯正量(フローティング量)は、前記ガイドピン8先端部の傾斜量に対応する。
【0011】
上記した前記コネクタ連結部3に於いて、フローティング量は前記ガイドピン8先端部の傾斜量に対応し、又該ガイドピン8の直径、フローティング作用を有する傾斜角等の制限から、大きなフローティング量は得られない。
【0012】
この為、製作上許容される芯ずれ誤差が小さく、前記プラグインモジュール2、前記サブラック1、前記コネクタ連結部3部分について、製作精度、組立て精度が要求され、組立て作業性を悪くし、又芯合せ作業の煩雑化等作業量の増大を招いていた。
【0013】
尚、フローティング機能を有するコネクタ連結部を介してプラグインモジュールとサブラック等とを結合するものとしては特許文献1に示されるものがある。
【0014】
【特許文献1】特開2003−243095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は斯かる実情に鑑み、大きなフローティング量を有するコネクタ連結部によりプラグインモジュールが実装可能であり、製作精度、組立て精度を要求することなく、組立て作業性を向上するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、プラグインモジュール収納部と該プラグインモジュール収納部に挿脱可能なプラグインモジュールを具備する電子機器に於いて、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか一方に固定コネクタが固定して設けられると共にガイドピンが突設され、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか他方にフローティングプレートを介してフローティングコネクタが設けられ、前記フローティングプレートには漏斗形状のピンガイドが設けられ、前記固定コネクタと前記フローティングコネクタとの連結時に前記ガイドピンが前記ピンガイドに嵌入し、前記フローティングプレートが連結方向とは直交する方向に変位して前記フローティングコネクタと前記固定コネクタとの芯合せが行われる電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プラグインモジュール収納部と該プラグインモジュール収納部に挿脱可能なプラグインモジュールを具備する電子機器に於いて、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか一方に固定コネクタが固定して設けられると共にガイドピンが突設され、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか他方にフローティングプレートを介してフローティングコネクタが設けられ、前記フローティングプレートには漏斗形状のピンガイドが設けられ、前記固定コネクタと前記フローティングコネクタとの連結時に前記ガイドピンが前記ピンガイドに嵌入し、前記フローティングプレートが連結方向とは直交する方向に変位して前記フローティングコネクタと前記固定コネクタとの芯合せが行われるので、前記固定コネクタと前記フローティングコネクタ間の芯合せ量が大きく、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールを高精度に製作する必要がなく、又組立て等の作業性が向上し、組立て作業時間が短縮できる等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0019】
尚、図1〜図3中、図5、図6中で示したものと同等のものには同符号を付し、サブラック1とプラグインモジュール2の関係は図5で示されたものと同様である。
【0020】
対面パネル6に固定コネクタ5が設けられると共に該固定コネクタ5に隣接して一対のガイドピン8,8が立設される。該ガイドピン8,8は前記固定コネクタ5に対して対角線上に配置され、先端部が先細りのテーパ形状となっている。
【0021】
図2に示される様に、フローティングコネクタ4はフローティングプレート21を介して対面パネル9に取付けられる様になっている。
【0022】
前記フローティングプレート21にはコネクタ取付け孔14が穿設され、又少なくとも2箇所にカラー22が固着され、該カラー22の高さは前記対面パネル9の板厚より僅かに大きくなっている。又、前記ガイドピン8と対応する位置にピンガイド23が固着される。該ピンガイド23は前記固定コネクタ5側に向って広がる内円錐面23aを有する漏斗形状となっており、最小内径(通孔の内径)は前記ガイドピン8の軸径と略等しくなっている。
【0023】
前記対面パネル9にはコネクタ逃げ孔24、ガイドピン逃げ孔25、カラー逃げ孔26が穿設され、前記フローティングプレート21は前記カラー22を前記カラー逃げ孔26に挿通し、座金27を介してボルト28を前記カラー22に螺着することで、前記フローティングプレート21を前記対面パネル9に取付ける様になっている。又、前記ガイドピン逃げ孔25の径は前記ガイドピン8の外径より充分大きく、又前記カラー逃げ孔26の径は前記カラー22の外径より充分大きく、更に前記コネクタ逃げ孔24は前記フローティングコネクタ4の前記対面パネル9側に突出する部分4aより充分大きくなっている。
【0024】
前記フローティングプレート21は前記カラー22と前記カラー逃げ孔26の径差分(遊び分)だけ前記対面パネル9に対して変位可能であり、又前記フローティングプレート21の移動に対して、前記フローティングコネクタ4と前記コネクタ逃げ孔24とは干渉しない様になっている。
【0025】
以下、前記フローティングコネクタ4と前記固定コネクタ5の連結について説明する。
【0026】
前記プラグインモジュール2を前記サブラック1に挿入すると、先ず、前記ガイドピン8が前記ピンガイド23に進入する。前記固定コネクタ5と前記フローティングコネクタ4との芯がずれている場合は、前記ガイドピン8の先端が前記ピンガイド23の内円錐面23aに当接し、該内円錐面23aに沿って摺動することで、前記フローティングプレート21が変位し、芯ずれが矯正される。又前記ガイドピン8の先端が前記ピンガイド23の通孔に掛った後は、前記ガイドピン8の先端部のテーパ形状によって芯合せがなされ、該ガイドピン8が通孔に完全に嵌合することで、前記フローティングコネクタ4と前記固定コネクタ5との芯合せが完了し、前記フローティングコネクタ4と前記固定コネクタ5とが連結される。
【0027】
以上述べた様に、前記フローティングコネクタ4と、前記固定コネクタ5間の芯ずれを矯正できる量は、前記ピンガイド23の矯正量と前記ガイドピン8の矯正量の和となり、大きな矯正量が得られる。
【0028】
従って、前記サブラック1、前記プラグインモジュール2を製作する場合の製作誤差、組立て誤差が大きくても、前記プラグインモジュール2の実装が可能となり、電子機器の製作費の低減、作業性の向上、組立て等の作業時間の短縮が可能となる。
【0029】
又、上記実施の形態に於いて、前記対面パネル6側にフローティングコネクタ4をフローティングプレート21を介して設け、前記対面パネル9側に固定コネクタ5、ガイドピン8を設ける様にしてもよい。
【0030】
次に、図4は第2の実施の形態を示しており、該第2の実施の形態では、フローティングコネクタ4を連結方向にもフローティング可能としたものである。
【0031】
カラー22の高さを高くし、フローティングプレート21と対面パネル9間に間隙が形成される様にし、又前記フローティングプレート21と前記対面パネル9間に湾曲した板バネ29を挾設し、前記フローティングプレート21を固定コネクタ5側に付勢したものである。
【0032】
従って、前記フローティングプレート21は前記板バネ29の付勢力以上の力で押込まれることで、前記対面パネル9側に変位する。従って、前記フローティングコネクタ4と前記固定コネクタ5間で連結方向に誤差を有していても、前記フローティングプレート21が連結方向に変位することで、誤差が吸収され、前記フローティングコネクタ4と前記固定コネクタ5とは完全な連結がなされる。
【0033】
尚、前記板バネ29は前記フローティングプレート21を前記固定コネクタ5側に付勢する手段であり、他の付勢手段を用いてもよい。例えば、前記板バネ29を前記対面パネル9の反対面側に取付け、前記板バネ29の先端をボルト28の頭に当接させ、該ボルト28を図4中左方に付勢する様にしてもよい。或は、板バネ29に代え、コイルバネを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態の要部を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態に於けるフローティングコネクタ側の分解斜視図である。
【図3】図1のA−A矢視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示すフローティングコネクタ側の側断面図である。
【図5】電子機器のモジュール収納部の断面図である。
【図6】従来の電子機器のモジュール収納部のコネクタ連結部を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 サブラック
2 プラグインモジュール
3 コネクタ連結部
4 フローティングコネクタ
5 固定コネクタ
6 対面パネル
8 ガイドピン
9 対面パネル
21 フローティングプレート
22 カラー
23 ピンガイド
25 ガイドピン逃げ孔
26 カラー逃げ孔
27 座金
29 板バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグインモジュール収納部と該プラグインモジュール収納部に挿脱可能なプラグインモジュールを具備する電子機器に於いて、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか一方に固定コネクタが固定して設けられると共にガイドピンが突設され、前記プラグインモジュール収納部、前記プラグインモジュールのいずれか他方にフローティングプレートを介してフローティングコネクタが設けられ、前記フローティングプレートには漏斗形状のピンガイドが設けられ、前記固定コネクタと前記フローティングコネクタとの連結時に前記ガイドピンが前記ピンガイドに嵌入し、前記フローティングプレートが連結方向とは直交する方向に変位して前記フローティングコネクタと前記固定コネクタとの芯合せが行われることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−280839(P2007−280839A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107583(P2006−107583)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】