説明

電子機器

【課題】 キーシートを機器ケース内に正確に組み込むことができる電子機器を提供する。
【解決手段】 上ケース8と下ケース9とからなる第1ケース1にキー入力部4を設けた電子機器において、キー入力部4は複数のキー釦部16を有するキーシート14を備え、このキーシート14に複数のキー釦部16の箇所を除いて多数のピンホール22を設け、上ケース8の内面にキーシート14のピンホール22に挿入して嵌着する多数の嵌着突起23を設けた。従って、上ケース8にキーシート14を取り付けるときに、キーシート14のピンホール22に上ケース8の嵌着突起23を挿入させて嵌着させることにより、上ケース8の内面にキーシート14を確実に密着させて正確に位置決めした状態で取り付けることができる。このため、上ケース8と下ケース9とを接合するときに、キーシート14が位置ずれを起こさず、正確に第1ケース1内に組み込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子辞書や電子手帳、電卓、携帯電話機、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)などのキー入力部を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話機などの電子機器においては、部品点数を削減するために、特許文献1に記載されているように、電子部品を収納する機器ケースを上ケースと下ケースとに分割して形成し、この分割された上ケースと下ケースとの各周縁部間にキーシート一体型のゴム製環状パッキンを挟み付けた構成のものがある。
【特許文献1】特開平10−004273号
【0003】
すなわち、この種の電子機器は、上ケースと下ケースとの各周縁部間に対応する環状パッキンをキー入力部に対するキーシートに一体に形成することにより、キーシート一体型のゴム製環状パッキンを構成し、このキーシート一体型のゴム製環状パッキンの環状パッキン部分を上ケースの全周に沿って設けられた凹状溝に係合させ、この状態で上ケースと下ケースとを接合するときに、下ケースに設けられた押圧リブで環状パッキン部分を押圧することにより、部品点数を削減して上ケースと下ケースとの防水を図っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の電子機器では、キーシート一体型のゴム製環状パッキンを上ケースに取り付けるときに、上ケースの全周に沿って設けられた凹状溝にキーシート一体型のゴム製環状パッキンの環状パッキン部分を係合させるだけであるから、キーシートの中央部が弛みやすく上ケースの内面に密着しにくい。このため、この状態で下ケースに電子部品を配置して上ケースと下ケースとを接合すると、キーシートの中央部が位置ずれを起こしやすく、キーシートを機器ケース内に正確に組み込むことができず、品質の低下を招くという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、キーシートを機器ケース内に正確に組み込むことができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、上ケースと下ケースとからなる機器ケースと、この機器ケースに設けられたキー入力部とを備えた電子機器において、
前記キー入力部は、前記上ケースの内面に配置されて前記上ケースの上面に露出する複数のキー釦部を有するキーシートを備え、
前記キーシートには、前記複数のキー釦部の箇所を除いて、多数のピンホールが設けられており、
前記上ケースの内面には、前記キーシートの前記多数のピンホールにそれぞれ挿入して嵌着する多数の嵌着突起が設けられていることを特徴とする電子機器である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記機器ケースにスピーカ部が設けられており、このスピーカ部は、前記下ケースに設けられたスピーカ収納部と、このスピーカ収納部に収納されたスピーカと、前記上ケースに設けられて前記スピーカの上面における周縁部を押えるスピーカ押え部とを備え、
前記キーシートには、前記スピーカの上面における周縁部と前記スピーカ押え部との間に配置されるスピーカパッキン部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記スピーカパッキン部に、前記上ケースに設けられた前記スピーカ押え部に挟み付く挟持部が一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記キーシートの周縁部を、前記上ケースと前記下ケースとが接合する周囲の継ぎ目まで延出させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記機器ケースの前記下ケースにスイッチ部材が設けられており、前記キーシートには、前記スイッチ部材を覆うスイッチカバー部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、前記機器ケースの前記上ケースに、その上面部にストッパ孔が貫通して設けられており、前記キーシートには、前記ストッパ孔に挿入して前記上ケースの上面から前記キー釦部よりも高く突出するストッパ部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、前記機器ケースの前記下ケースに、その底面に脚挿入孔が貫通して設けられており、前記キーシートには、前記脚挿入孔に挿入して前記下ケースの下面から下側に突出する脚部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器である。
【0013】
請求項8に記載の発明は、前記機器ケースの前記下ケースにタッチ入力部が設けられており、前記キーシートには、前記タッチ入力部が配置される入力挿入部が設けられており、前記上ケースには、入力開口部が前記キーシートの前記入力挿入部に対応して設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子機器である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、上ケースの内面にキーシートを取り付けるときに、キーシートに設けられた多数のピンホールに、上ケースの内面に設けられた多数の嵌着突起をそれぞれ挿入して嵌着させることにより、上ケースの内面にキーシートをその中央部が弛むことなく確実に密着させることができると共に、上ケースの内面にキーシートを正確に位置決めして取り付けることができる。このため、上ケースと下ケースとを接合するときに、キーシートが位置ずれを起こすことがないので、キーシートを機器ケース内に正確に組み込むことができ、これにより品質の高いものを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
以下、図1〜図5を参照して、この発明を電子辞書に適用した実施形態1について説明する。
図1はこの発明の電子辞書を開いて使用する状態を示した正面図、図2はそのA−A矢視における要部の拡大断面図である。
この電子辞書は、図1に示すように、第1ケース1と第2ケース2とをヒンジ部3によって回動可能に連結した構成になっている。
【0016】
すなわち、第1、第2ケース1、2は、それぞれ同じ大きさの平板状の薄い箱形状に形成されている。この場合、第1ケース1には、図1に示すように、キー入力部4、スピーカ部5、およびタッチ入力部6が第2ケース2に対面する第1ケース1の上面側に露呈して設けられている。また、第2ケース2には、液晶表示パネルやEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどの平面型の表示パネルかなる表示部7が第1ケース1に対面する第2ケース2の上面に露呈して設けられている。そして、これら第1、第2ケース1、2は、互いに対応する端部がヒンジ部3によって回動可能に連結されている。
【0017】
これにより、この電子辞書は、ヒンジ部3を中心に第1、第2ケース1、2を回動させて開くと、図1に示すように、第1ケース1の上面にキー入力部4、スピーカ部5、およびタッチ入力部部6が露呈すると共に、第2ケース2の上面に表示部7が露呈し、またヒンジ部3を中心に第1、第2ケース1、2を回動させて閉じると、第1ケース1のキー入力部4、スピーカ部5、およびタッチ入力部6が、第2ケース2の表示部7に対面した状態で、第1、第2ケース1、2が互いに重なり合うように構成されている。
【0018】
ところで、第1ケース1は、図2に示すように、上ケース8と下ケース9とを備えている。上ケース8には、図1および図3に示すように、キー挿入孔10がキー入力部4に対応して縦横に配列された状態で設けられている。また、この上ケース8の手前側における両側部には、スピーカ部5の放音部11がそれぞれ設けられていると共に、この上ケース8の手前側における中間部には、パネル開口部12がタッチ入力部6に対して設けられている。さらに、上ケース8におけるパネル開口部12と放音部11との間に位置する箇所には、キー入力部4の一部であるスイッチ釦13が上下方向に変位可能に設けられている。
【0019】
キー入力部4は、図1および図2に示すように、キーシート14とスイッチ基板15とを備えている。キーシート14は、ゴムやエラストマなどの弾性を有するシートであり、図2および図5に示すように、上ケース8の内面(図2では下面)に取り付けられている。すなわち、このキーシート14には、図4に示すように、複数のキー釦部16が縦横に配列されて形成されていると共に、スピーカ部5のスピーカパッキン部17が一体に形成されているほか、タッチ入力部6が配置するパネル挿入部18が形成されている。なお、このキーシート14の下面には、各キー釦部16にそれぞれ連通して空気が流れる連通溝19が設けられている。
【0020】
この場合、複数のキー釦部16は、文字キー、ファンクションキー、カーソルキーなどの辞書機能に必要な各種のキーの釦部であり、図2に示すように、キーシート14に弾性変形可能なドーム形状に膨出形成されている。この複数のキー釦部16の内面(図2では下面)には、カーボンなどの導電性を有する可動接点部20がそれぞれ設けられている。これにより、複数のキー釦部16は、図2に示すように、キーシート14が上ケース8の内面に配置されたときに、上ケース8のキー挿入孔10に内側から挿入されて上ケース8の上面から上方に突出し、この突出した部分が上方から押されると、弾性変形するように構成されている。
【0021】
スイッチ基板15は、図2に示すように、その上面に複数の固定接点部21が複数のキー釦部16の各可動接点部20に対応して設けられ、この状態でキーシート14の下面に配置されている。これにより、スイッチ基板15は、図2に示すように、複数の固定接点部21に複数のキー釦部16の各可動接点部20が接離可能に離間対向し、複数のキー釦部16が上方から押されて弾性変形したときに、キー釦部16の可動接点部20が固定接点部21に接触してキー信号を出力するように構成されている。
【0022】
また、キーシート14には、図4に示すように、複数のキー釦部16の箇所を除いて、多数のピンホール22が設けられている。すなわち、この多数のピンホール22は、裁縫用の針が挿入する程度の小さい孔であり、図4に示すように、キーシート14における複数のキー釦部16間に位置する箇所、およびキーシート14の周縁部に位置する箇所にそれぞれ設けられている。
【0023】
また、上ケース8の内面(図2では下面)には、図3に示すように、キーシート14の各ピンホール22にそれぞれ挿入して嵌着する嵌着突起23が多数形成されている。この多数の嵌着突起23は、ピンホール22よりも少し大きいピン状の突起であり、図3に示すように、上ケース8の内面における複数のキー挿入孔10間に位置する箇所、およびキーシート14の周縁部に対応する箇所にそれぞれキーシート14の各ピンホール22に対応して設けられている。
【0024】
一方、スピーカ部5は、図2に示すように、下ケース9に設けられたスピーカ収納部24と、このスピーカ収納部24に収納されるスピーカ25と、上ケース8にスピーカ25と対応して設けられた放音部11と、この放音部11の内面つまり上ケース8の内面に設けてスピーカ25の上面における周縁部を押えるスピーカ押え部26と、スピーカ25の上面における周縁部とスピーカ押え部26の下端部との間に配置されるスピーカパッキン部17とを備えた構成になっている。
【0025】
この場合、スピーカ収納部24は、図2に示すように、円筒形状に形成され、下ケース9の手前側における両側の内部に上ケース8の放音部11と対応して設けられている。上ケース8の放音部11は、図1および図2に示すように、上ケース8の手前側の両側部分に多数の小孔11aが設けられている。スピーカ押え部26は、図2および図3に示すように、スピーカ収納部24と同じ大きさのほぼ円筒形状のものであり、上ケース8の放音部11の内面(図2では下面)に一体に設けられている。
【0026】
スピーカパッキン部17は、図2に示すように、上ケース8に設けられたスピーカ押え部26内に挿入するリング形状に形成され、図4に示すように、キーシート14の手前側における両側に位置した状態で、連結部27によってキーシート14に一体に形成されている。このスピーカパッキン部17の外周部には、図2および図4に示すように、スピーカ押え部26の下端縁に挟み付く挟持部28が一体に設けられている。
【0027】
これにより、スピーカパッキン部17は、図2に示すように、上ケース8のスピーカ押え部26内に挿入してスピーカパッキン部17の下端面がスピーカ25の上面における周縁部に対応すると共に、スピーカパッキン部17の外周部に設けられた挟持部28がスピーカ押え部26の下端縁に挟み付き、この状態でスピーカパッキン部17の下端面が上ケース8のスピーカ押え部26によって下ケース9のスピーカ収納部24に配置されたスピーカ25の上面における周縁部を押え付けるように構成されている。
【0028】
また、タッチ入力部6は、手書き入力部であり、表示パネル上に透明なタッチパネルを積層した構成で、全体がほぼ長方形の板状に形成されている。このタッチ入力部6は、下ケース9内に支持された状態で、キーシート14のパネル挿入部18内に配置されると共に、上ケース8のパネル開口部12に対応して配置され、上ケース8のパネル開口部12を通してタッチパネルの表面を入力ペンでタッチ操作すると、そのタッチ操作による文字などの手書き情報が下側の表示パネルに表示されると共に、その手書き情報が入力されるように構成されている。
【0029】
さらに、スイッチ釦13は、キー入力部4の一部である決定キーや選択キーなどの釦部であり、下ケース9内にそれぞれ設けられたスイッチ部材(図示せず)に対応して設けられている。すなわち、スイッチ釦13は、ほぼ長方形状をなし、その一辺部(図5では下辺部)が上ケース8に上下方向に屈曲可能に連結された状態で、上ケース8に一体に形成されている。これにより、スイッチ釦13は、上方から押されて下側に撓んだときに、下ケース9内に設けられたスイッチ部材を押圧してスイッチ動作させるように構成されている。
【0030】
なお、上ケース8の手前側における両側部の放音部11には、図1、図3、図4に示すように、第1、第2ケース1、2を重ね合わせたときに、第2ケース2の上面つまり第1ケース1に対面する対向面に当接するストッパ部30が、上ケース8の上面からキー釦部16よりも高く突出した状態で埋め込まれている。また、下ケース9内には、図2に示すように、回路基板31が下ケース9に設けられた支持リブ32によって支持された状態で設けられている。さらに、下ケース9の下面における四隅には、ゴム足33がそれぞれ設けられている。
【0031】
次に、この電子辞書の第1ケース1を組立てる場合について説明する。
まず、図5に示すように、第1ケース1の上ケース8の内面にキーシート14を取り付ける。このときには、図2に示すように、キーシート14に形成された複数のキー釦部16を上ケース8の各キー挿入孔10に挿入し、キーシート14に一体に形成されたスピーカパッキン部17を上ケース8の押え部26に対応させて挿入すると共に、図5に示すように、キーシート14のパネル挿入部18を上ケース8のパネル開口部12に対応させる。
【0032】
この状態で、キーシート14に設けられた多数のピンホール22に、上ケース8の内面に設けられた多数の嵌着突起23をそれぞれ挿入して嵌着させると共に、スピーカパッキン部17の周囲に設けられた挟持部28を、図2に示すように上ケース8のスピーカ押え部26の下端縁に挟み付ける。これにより、図5に示すように、キーシート14が弛むことなく上ケース8の内面に密着した状態で確実に取り付けられると共に、キーシート14に一体に形成されたスピーカパッキン部17も、上下にふら付くことがなく、上ケース8のスピーカ押え部26に密着した状態で確実に取り付けられる。この状態では、上ケース8を上下反転させても、キーシート14が上ケース8から脱落することがない。
【0033】
この後、キーシート14の下にスイッチ基板15を配置し、このスイッチ基板15の上面に設けられた複数の固定接点部21を、複数のキー釦部16の各可動接点部20に離間させて対応させ、この状態で上ケース8を下ケース9に取り付ける。このときには、予め、下ケース9のスピーカ収納部24にスピーカ25を収納すると共に、下ケース9の所定箇所にタッチ入力部6、スイッチ部材(図示せず)、および回路基板30を組み付ける。そして、この下ケース9に上ケース8を重ね合わせて接合する。すると、キーシート14のスピーカパッキン部17が下ケース9のスピーカ収納部24に収納されたスピーカ25の上面における周縁部を押え付ける。
【0034】
これにより、図1および図5に示すように、第1ケース1にキー入力部4が上ケース8のキー挿入孔10からキーシート14の各キー釦部16が露出して設けられ、また上ケース8の手前側の両側部にスピーカ部5が設けられると共に、上ケース8の手前側の中間部のパネル開口部12にタッチ入力部6が対応して設けられ、さらに上ケース8におけるパネル開口部12と放音部11との間に位置する箇所に、スイッチ釦13がスイッチ部材(図示せず)に対応して設けられる。この後、図1に示すように、第1ケース1と第2ケース2との互いに対応する端部同士をヒンジ部3によって回動可能に連結する。
【0035】
このような電子辞書を使用する場合には、ヒンジ部3を中心に第1、第2ケース1、2を回動させて開くと、図1に示すように、第1ケース1の上面にキー入力部4、スピーカ部5、およびタッチ入力部6が露呈すると共に、第2ケース2の上面に表示部7が露呈する。これにより、表示部7に表示された情報を見ながら、キー入力部4を操作することができると共に、表示された情報をスピーカ部5で音声として放音することができるほか、タッチ入力部6を入力ペンでタッチ操作することにより、手書き情報を入力することができる。
【0036】
また、この電子辞書では、ヒンジ部3を中心に第1、第2ケース1、2を回動させて閉じると、第1ケース1のキー入力部4、スピーカ部5、およびタッチ入力部6が、第2ケース2の表示部7に相対的に対面した状態で、第1、第2ケース1、2が互いに重なり合うので、機器全体がコンパクトになり、良好に携帯することができる。
【0037】
このときには、第1ケース1の上ケース8における放音部11に設けられたストッパ部28が、上ケース8の上面からキーシート14の複数のキー釦部16よりも高く突出しているので、第1、第2ケース1、2が重なり合ったときに、第1ケース1のストッパ部28に第2ケース2の上面つまり第1ケース1に対面する対向面における周縁部が当接し、これにより第2ケース2の上面が複数のキー釦部16に接触してキー釦部16を誤操作したり、第2ケース2の表示部7がキー釦部16によって傷付いたりするのを防ぐことができる。
【0038】
このように、この電子辞書によれば、第1ケース1の上ケース8の内面にキーシート14を取り付けるときに、キーシート14に設けられた多数のピンホール22に、上ケース8の内面に設けられた多数の嵌着突起23をそれぞれ挿入して嵌着することにより、上ケース8の内面にキーシート14を弛むことなく確実に密着させることができると共に、上ケース8の内面にキーシート14を正確に位置決めして取り付けることができる。このため、上ケース8と下ケース9とを重ね合わせて接合するときに、上ケース8を上下反転させても、キーシート14が脱落したり、キーシート14が位置ずれを起こしたりすることがないので、キーシート14を第1ケース1内に正確に組み込むことができ、これにより品質の高いものを提供することができる。
【0039】
この場合、第1ケース1に設けられたスピーカ部5は、第1ケース1の下ケース9に設けられたスピーカ収納部24と、このスピーカ収納部24に収納されたスピーカ25と、第1ケース1の上ケース8に設けられてスピーカ25の上面における周縁部を押えるスピーカ押え部26とを備え、キーシート14には、スピーカ25の上面における周縁部とスピーカ押え部26との間に配置されるスピーカパッキン部17が一体に形成されていることにより、別部品としてのパッキンが不要となるので、部品点数を削減することができると共に、キーシート14と同時にスピーカパッキン部17を上ケース8に組み付けることができるので、組立て作業の簡素化をも図ることができる。
【0040】
また、このスピーカパッキン部17には、第1ケース1の上ケース8に設けられたスピーカ押え部26の下端縁に挟み付く挟持部28が一体に形成されているので、キーシート14を上ケース8に取り付けるときに、スピーカパッキン部17の挟持部28を上ケース8に設けられたスピーカ押え部26の下端縁に挟み付けることにより、スピーカパッキン部17をスピーカ押え部26の下端縁に正確に位置決めして取り付けることができ、これにより上ケース8を下ケース9に重ね合わせて接合するときに、スピーカパッキン部17が位置ずれを起こしたり、上下にふら付いたりすることがないので、スピーカパッキン部17によってスピーカ25の上面における周縁部を確実に且つ良好に押え付けることができる。
【0041】
さらに、この電子辞書によれば、第1ケース1にタッチ入力部6が設けられており、キーシート14にはタッチ入力部6が配置されるパネル挿入部18が設けられていることにより、タッチ入力部6を下ケース9に組み付け、この下ケース9に上ケース8を重ね合わせて接合するときに、タッチ入力部6をキーシート14のパネル挿入部18内に配置させることができる。これにより、タッチ入力部6を上ケース8のパネル開口部12に位置ずれを起こさずに正確に且つ確実に対応させることができる。このため、パネル開口部12を通してタッチ入力部6を入力ペンで良好にタッチ操作することができるので、良好に手書き情報を入力ができる。
【0042】
(実施形態2)
次に、図6〜図8を参照して、この発明を電子辞書に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子辞書は、キーシート14にスイッチカバー部40を一体に形成し、このスイッチカバー部40で第1ケース1の下ケース9に設けられたスイッチ部材41を覆うようにした構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0043】
この場合、スイッチ部材41は、タクトスイッチであり、図6に示すように、スイッチ本体41a内に操作子41bが出没可能に設けられ、この操作子41bの一端部がスイッチ本体41aの上方に突出し、この突出した操作子41bの一端部が押されると、スイッチ本体41a内のスイッチ部がスイッチ動作してスイッチ信号を出力するように構成されている。このスイッチ部材41は、図6に示すように、下ケース9内に設けられた回路基板31上に取り付けられ、上ケース8の手前側におけるスピーカ部5とタッチ入力部6との間に設けられたスイッチ釦13の下側に対応して配置されている。
【0044】
スイッチカバー部40は、図6に示すように、スイッチ部材41の底面を除く、外周面つまり側面および上面を覆う形状に形成され、図7および図8に示すように、上ケース8のスイッチ釦13に対応した状態で、キーシート14の手前側におけるスピーカ部5とタッチ入力部6との間に位置する箇所にキーシート14と一体に形成されている。
【0045】
この場合、スイッチカバー部40には、図6および図7に示すように、スイッチ部材41の操作子41bが挿入して上方に突出する挿入孔40aが設けられていると共に、上ケース8のスイッチ釦13の内面に設けられてスイッチ部材41の操作子41bを押圧するための押圧凸部42が嵌着する枠状の嵌着凹部43が設けられている。また、このスイッチカバー部40の内面と外面とのうち、例えば図6に示す内面には、カーボンなどの導電性材料からなる静電気対策用のシールド皮膜44が設けられている。
【0046】
スイッチ釦13は、実施形態1と同様、ほぼ長方形状をなし、その一辺部(図8では下辺部)が上ケース8に上下方向に屈曲可能に連結された状態で上ケース8に一体に形成されている。これにより、スイッチ釦13は、上方から押されて下側に撓んだときに、下ケース9内に設けられたスイッチ部材41の操作子41bを押圧してスイッチ動作させるように構成されている。この場合、スイッチ釦13の内面に設けられた押圧凸部42には、図6に示すように、スイッチカバー部40の挿入孔40aに挿入されて上方に突出したスイッチ部材41の操作子41bが嵌着する嵌着穴45が設けられている。
【0047】
このような電子辞書においても、実施形態1と同様の作用効果があるほか、第1ケース1の下ケース9にスイッチ部材41を設け、キーシート14にスイッチ部材41を覆うスイッチカバー部40を一体に形成したので、スイッチカバー部40によってスイッチ部材41の防水性を確保することができると共に、スイッチカバー部40の内面に設けられたシールド皮膜44によってスイッチ部材41を静電気から保護することができるほか、スイッチ部材41を覆うカバー部材を別部品として形成する必要がないため、部品点数を削減することができると共に、キーシート14と同時にスイッチカバー部40を上ケース8に組み付けることができるので、組立て作業の簡素化をも図ることができる。
【0048】
この場合、上ケース8のスイッチ釦13の内面には、スイッチ部材41の操作子41bを押圧操作する押圧凸部42が設けられており、スイッチカバー部40には、上ケース8のスイッチ釦13の内面に設けられた押圧凸部42が嵌着する枠状の嵌着凹部43が設けられているので、キーシート14を上ケース8の内面に取り付けるとき、スイッチカバー部40の嵌着凹部43にスイッチ釦13の押圧凸部42を嵌着させることができる。
【0049】
これにより、スイッチカバー部40を上ケース8に一体に形成されたスイッチ釦13の内面に正確に位置決めして取り付けることができるので、上ケース8を下ケース9に重ね合わせて接合するときに、スイッチカバー部40が位置ずれを起こしたり、上下にふら付いたりすることがなく、スイッチカバー部40によってスイッチ部材41を確実に且つ良好に覆うことができる。
【0050】
(実施形態3)
次に、図9〜図13を参照して、この発明を電子辞書に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子辞書は、キーシート14にストッパ部50を一体に形成し、このストッパ部50を第1ケース1の上ケース8に設けられたストッパ孔51に嵌め込んで上ケース8の上方に突出させた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成なっている。
【0051】
この場合、上ケース8の手前側における両側に設けられたスピーカ部5の放音部11における下辺側には、図9〜図11に示すように、それぞれストッパ孔51が上ケース8のスピーカ押え部26を避けて上下に貫通して設けられている。ストッパ部50は、図12および図13に示すように、キーシート14のスピーカパッキン部17の外周部に一体に形成される。すなわち、このストッパ部50は、スピーカパッキン部17の外周部に一体に形成された連結板部50aと、この連結板部50aに一体に形成されて上ケース8の放音部11のストッパ孔51に挿入するストッパ突起部50bとを備えている。
【0052】
このストッパ部50は、上ケース8の内面にキーシート14を取り付けるときに、連結板部50aが上ケース8の内面つまり放音部11の下面に対応すると共に、ストッパ突起部50bが放音部11のストッパ孔51に挿入して上ケース8の上面つまり放音部11の上面から上方に突出し、この突出した上端部分が上ケース8の上面に突出したキーシート14の各キー釦部16よりも高く突出するように構成されている。なお、下ケース9には、図11に示すように、上ケース8が接合されたときに、ストッパ部50の下面つまり連結板部50aの下面に当接してストッパ突起部50bが上ケース8内に没入するのを阻止する支持リブ52が設けられている。
【0053】
このような電子辞書においても、実施形態1と同様の作用効果があるほか、第1ケース1の上ケース8における放音部11にストッパ孔51を設け、キーシート14に一体に形成されたスピーカパッキン部17の外周部にストッパ部50を一体に形成したので、ストッパ部50を実施形態1のストッパ部30のように別部品として形成する必要がないため、部品点数を削減することができると共に、キーシート14およびスイッチパッキン部17と同時にストッパ部50を上ケース8に組み付けることができるので、組立て作業の簡素化をも図ることができる。
【0054】
この場合、ストッパ部50は、キーシート14のスピーカパッキン部17に連結板部50aが一体に形成され、この連結板部50aに上ケース8の放音部11のストッパ孔51に挿入するストッパ突起部50bを一体に形成し、このストッパ突起部50bが放音部11の上面から上方に突出し、この突出した上端部分がキーシート14の各キー釦部16よりも高く突出するように形成されているので、第1、第2ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動して重なり合ったときに、第1ケース1のストッパ突起部50bに第2ケース2の上面つまり第1ケース1に対面する対向面における周縁部が当接し、これにより第2ケース2の上面が複数のキー釦部16に接触してキー釦部16を誤操作したり、第2ケース2の表示部7がキー釦部16によって傷付いたりするのを確実に防ぐことができる。
【0055】
なお、上記実施形態3では、キーシート14に一体に形成されたスピーカパッキン部17の外周部にストッパ部50を一体に形成した場合について述べたが、必ずしもスピーカパッキン部17の外周部に設ける必要はなく、キーシート14の手前側における両端部にストッパ部50を一体に形成しても良い。
【0056】
(実施形態4)
次に、図14〜図16を参照して、この発明を電子辞書に適用した実施形態4について説明する。この場合には、図9〜図13に示された実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子辞書は、第1ケース1の下ケース9の下面に配置されるゴム足55をキーシート14に一体に形成した構成であり、これ以外は実施形態3とほぼ同じ構成になっている。
【0057】
この場合、下ケース9における手前側の両側部には、図14および図15に示すように、細長い楕円形状の脚挿入孔56が、それぞれキーシート14のストッパ部50に対応して設けられている。ゴム足55は、図15および図16に示すように、キーシート14のスピーカパッキン部17の外周部に一体に形成されたストッパ部50の下面(図16では上面)に一体に形成されている。すなわち、このゴム足55は、下ケース9の脚挿入孔56に挿入するほぼ楕円柱状に形成され、その下端部(図16では上端部)が下ケース9の下面から下方に突出して卓上などの載置面に当接することにより、下ケース9が載置面上で滑るのを防ぐように構成されている。
【0058】
このような電子辞書においても、実施形態3と同様の作用効果があるほか、第1ケース1の下ケース9における手前側の両側部に脚挿入孔56をストッパ部50に対応させて設け、キーシート14のスピーカパッキン部17の外周部に一体に形成されたストッパ部50の下面にゴム足55を一体に形成したので、ゴム足55を実施形態1のゴム足33のように別部品として形成する必要がないため、部品点数を削減することができると共に、キーシート14、スイッチパッキン部17、およびストッパ部50と同時にゴム足55を上ケース8に組み付けることができるので、組立て作業の簡素化をも図ることができる。
【0059】
すなわち、上ケース8を下ケース9に重ね合わせて接合するときに、ゴム足55を下ケース9の脚挿入孔56に正確に且つ確実に挿入することができると共に、ゴム足55を下ケース9の下面から突出させることができる。この場合には、ストッパ部50によってゴム足55が下ケース9に没入するのを確実に防ぐことができ、これによりゴム足55を下ケース9の脚挿入孔56内に確実に固定することができると共に、ゴム足55によって下ケース9が載置面上で滑らないように良好に保持することができる。
【0060】
なお、上記実施形態4では、キーシート14のスピーカパッキン部17の外周部に一体に形成されたストッパ部50の下面にゴム足55を一体に形成した場合について述べたが、必ずしもストッパ部50の下面に設ける必要はなく、キーシート14の手前側における両端部にゴム足55を一体に形成しても良い。
【0061】
(実施形態5)
次に、図17〜図21を参照して、この発明を電子辞書に適用した実施形態5について説明する。この場合には、図1〜図5に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子辞書は、キーシート14の周縁部60を上ケース8と下ケース9とが接合する周囲の継ぎ目まで延出させた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0062】
すなわち、キーシート14は、実施形態1と同様、ゴムやエラストマなどの弾性を有するシートであり、図18に示すように、複数のキー釦部16が縦横に配列されて形成されていると共に、スピーカ部5のスピーカパッキン部17が一体に形成されている。この場合にも、キーシート14は、複数のキー釦部16の箇所を除いて、多数のピンホール22が設けられている。この多数のピンホール22は、裁縫用の針が挿入する程度の小さい孔であり、実施形態1と同様、上ケース8の内面に設けられた嵌着突起23が挿入して嵌着することにより、キーシート14を上ケース8の内面に取り付けるように構成されている。
【0063】
また、このキーシート14は、図18〜図20に示すように、その周縁部60を上ケース8と下ケース9とが接合する周囲の継ぎ目まで延出した構成になっている。この場合、上ケース8の周囲における内面(図19では下面)には、図19および図20に示すように、下ケース9の内側における側面に沿って下側に突出する押え突起61がほぼ全周に亘って設けられている。また、下ケース9の周囲における内面(図19では側面および上面)には、押えリブ62が所定間隔で上ケース8の押え突起61の下側に対応して設けられている。
【0064】
これにより、キーシート14の周縁部60は、図18〜図20に示すように、上ケース8の内面に密着すると共に、上ケース8の周囲における押え突起61に対応する段差形状に形成された上、下ケース9の内側の側面に当接する位置まで延び、この延びた部分が上ケース8の押え突起61と下ケース9の押えリブ62との間に挟み付けられるように構成されている。この場合、キーシート14には、図18に示すように、ほぼ四角形状の開口部63がスピーカ部5に対応して設けられており、この開口部63内には、スピーカパッキン部17が実施形態1とほぼ同様に設けられている。
【0065】
スピーカ部5は、実施形態1と同様、下ケース9に設けられたスピーカ収納部24と、このスピーカ収納部24に収納されるスピーカ25と、上ケース8にスピーカ25と対応して設けられた放音部11と、この放音部11の内面つまり上ケース8の内面に設けてスピーカ25の上面における周縁部を押えるスピーカ押え部26と、スピーカ25の上面における周縁部とスピーカ押え部26の下端部との間に配置されるスピーカパッキン部17とを備えた構成になっている。
【0066】
この場合、スピーカ収納部24は、図21に示すように、ほぼ円筒形成されているが、このスピーカ収納部24の所定箇所、例えばスピーカ25が配置される部分の下部における周囲の複数箇所には、開口部64がそれぞれ設けられている。これにより、スピーカ25の下側に位置する音響空間は、スピーカ収納部24内の領域に位置する内部空間と、スピーカ収納部24の外周における下ケース9とキーシート14との間に位置する外部空間とが、複数の開口部64によって連続することにより、広い空間に形成されている。
【0067】
また、スピーカパッキン部17は、図20に示すように、上ケース8に設けられたスピーカ押え部26内に挿入するリング形状に形成され、図18に示すように、キーシート14の手前側における両側に位置した状態で、キーシート14の開口部63の縁部に一体に形成されている。このスピーカパッキン部17の外周部における所定箇所には、図18および図20に示すように、スピーカ押え部26の下端縁に挟み付く挟持部28が、キーシート14の周縁部60に連結された状態で、一体に設けられている。
【0068】
これにより、スピーカパッキン部17は、図20に示すように、上ケース8のスピーカ押え部26内に挿入してスピーカパッキン部17の下端面がスピーカ25の上面における周縁部に対応すると共に、スピーカパッキン部17の外周部に設けられた挟持部28がスピーカ押え部26の下端縁に挟み付き、この状態でスピーカパッキン部17の下端面が上ケース8のスピーカ押え部26によって下ケース9のスピーカ収納部24に配置されたスピーカ25の上面における周縁部を押え付けるように構成されている。従って、スピーカ25の上側に位置する音響空間は、スピーカパッキン部17と上ケース8の放音部11とで囲われた上部空間によって構成されている。
【0069】
なお、キーシート14の下面には、図19に示すように、スイッチ基板15が実施形態1と同様に設けられており、このスイッチ基板15の下側には、回路基板31が配置されている。また、スピーカ部5に対応する箇所の下ケース9の下面には、図20に示すように、ゴム足33が実施形態1と同様に設けられている。
【0070】
このような電子辞書によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、特にキーシート14の周縁部60を第1ケース1における上ケース8と下ケース9とが接合する周囲の継ぎ目まで延出したことにより、上ケース8と下ケース9との防水性を確保することができるほか、スピーカ部5における下側の空間、つまりスピーカ部5における下ケース9側の空間の気密性をも確保することができ、これにより第1ケース1におけるスピーカ部5の音漏れを防止することができるので、音量を確保することができる。
【0071】
すなわち、キーシート14の周縁部60は、第1ケース1における上ケース8と下ケース9とが接合する周囲の継ぎ目まで延出されており、この延出された周縁部60は、上ケース8の周囲における押え突起61に対応する段差形状に形成されて下ケース9の内側の側面に当接する位置まで延び、この延びた部分が上ケース8の押え突起61と下ケース9の押えリブ62とに挟み付けられるので、スピーカ25の音が上ケース8と下ケース9との間から外部に漏れるのを確実に防ぐことができ、これにより第1ケース1の防水性および気密性を十分に確保することができる。
【0072】
この場合、スピーカ部5の全体の音響空間は、スピーカ25の上側に位置する音響空間と、スピーカ25の下側に位置する音響空間とからなり、このうち、下側に位置する音響空間は、スピーカ収納部24内の領域に位置する内部空間と、スピーカ収納部24の外周における下ケース9とキーシート14との間に位置する外部空間とが、複数の開口部64によって連続する空間であることにより、スピーカ部5の全体の音響空間を実施形態1よりも十分に広くすることができ、より一層、音量を確保することができる。
【0073】
このように、スピーカ部5の全体の音響空間を広くしても、キーシート14の周縁部60が第1ケース1における上ケース8と下ケース9とが接合する周囲の継ぎ目まで延出され、この延びた部分が上ケース8の押え突起61と下ケース9の押えリブ62との間に挟み付けられて、スピーカ25の音が第1ケース1の外部に漏れるのを防いでいることにより、スピーカ部5の音量を十分に高めることができる。
【0074】
なお、上記実施形態5では、第1ケース1の手前側における両側部にスピーカ部5を設けた場合について述べたが、これに限らず、第1ケース1の手前側における片側のみにスピーカ部5を設けた構成でも良い。このような構成では、スピーカ部5が1つであるため、スピーカ部5における下ケース9側の音響空間の気密性が不充分で音漏れが発生すると、音量を十分に確保することができないが、実施形態5のように、キーシート14の周縁部60を第1ケース1における上ケース8と下ケース9とが接合する周囲の継ぎ目まで延出し、この延びた部分を上ケース8の押え突起61と下ケース9の押えリブ62とに挟み付けて音漏れを防ぐことにより、スピーカ部5が1つであっても、十分な音量を確保することができる。
【0075】
また、上記実施形態1〜5では、第1、第2ケース1、2をヒンジ部3で回動可能に連結した折り畳み式の電子辞書に適用した場合について述べたが、必ずしも折り畳み式のものである必要はなく、例えば機器ケースを上ケースと下ケースとで構成し、この機器ケースの上ケースにキー入力部4、スピーカ部5、タッチ入力部6、および表示部7の全てを平面的に配置した構成のものでも良い。
【0076】
さらに、上記実施形態1〜5では、電子辞書に適用した場合について述べたが、必ずしも電子辞書である必要はなく、電子手帳や電卓、携帯電話機、携帯情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)などのキー入力部を有する各種の電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】この発明を適用した電子辞書の実施形態1において第1、第2ケースを開いて使用する状態を示した正面図である。
【図2】図1のA−A矢視における要部を示した拡大断面図である。
【図3】図1の第1ケースにおける上ケースの内面を示した拡大図である。
【図4】図2のキーシートを下面側から見た拡大図である。
【図5】図4のキーシートを上ケースの内面に取り付けた状態を示した拡大図である。
【図6】この発明を適用した電子辞書の実施形態2における要部を示した拡大断面図である。
【図7】図6のキーシートを下面側から見た拡大図である。
【図8】図7のキーシートを上ケースの内面に取り付けた状態を示した拡大図である。
【図9】この発明を適用した電子辞書の実施形態3において第1ケースを示した拡大斜視図である。
【図10】図9の第1ケースにおける放音部のA部を示した拡大斜視図である。
【図11】図10のB−B矢視における要部を示した拡大断面図である。
【図12】図11のキーシートを上面側から見た拡大斜視図である。
【図13】図12のキーシートにおけるストッパ部のB部を示した拡大斜視図である。
【図14】この発明を適用した電子辞書の実施形態4において第1ケースの下面を示した拡大底面図である。
【図15】図14のC−C矢視における要部を示した拡大断面図である。
【図16】図15のゴム足が一体に形成されたキーシートを下面側から見た拡大斜視図である。
【図17】この発明を適用した電子辞書の実施形態5において第1ケースの要部を示した拡大平面図である。
【図18】図17のキーシートを上面側から見た要部の拡大平面図である。
【図19】図17のD−D矢視における要部を示した拡大断面図である。
【図20】図17のE−E矢視における要部を示した拡大断面図である。
【図21】図20のスピーカ収納部を示した拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1、2 第1、第2ケース
3 ヒンジ部
4 キー入力部
5 スピーカ部
6 タッチ入力部
7 表示部
8 上ケース
9 下ケース
10 キー挿入孔
11 放音部
12 パネル開口部
13 スイッチ釦
14 キーシート
15 スイッチ基板
16 キー釦部
17 スピーカパッキン部
18 パネル挿入部
22 ピンホール
23 嵌着突起
24 スピーカ収納部
25 スピーカ
26 スピーカ押え部
28 挟持部
40 スイッチカバー部
41 スイッチ部材
50 ストッパ部
51 ストッパ孔
55 ゴム足
56 脚挿入孔
60 キーシートの周縁部
61 上ケースの押え突起
62 下ケースの押えリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上ケースと下ケースとからなる機器ケースと、この機器ケースに設けられたキー入力部とを備えた電子機器において、
前記キー入力部は、前記上ケースの内面に配置されて前記上ケースの上面に露出する複数のキー釦部を有するキーシートを備え、
前記キーシートには、前記複数のキー釦部の箇所を除いて、多数のピンホールが設けられており、
前記上ケースの内面には、前記キーシートの前記多数のピンホールにそれぞれ挿入して嵌着する多数の嵌着突起が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記機器ケースにはスピーカ部が設けられており、このスピーカ部は、前記下ケースに設けられたスピーカ収納部と、このスピーカ収納部に収納されたスピーカと、前記上ケースに設けられて前記スピーカの上面における周縁部を押えるスピーカ押え部とを備え、
前記キーシートには、前記スピーカの上面における周縁部と前記スピーカ押え部との間に配置されるスピーカパッキン部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記スピーカパッキン部には、前記上ケースに設けられた前記スピーカ押え部に挟み付く挟持部が一体に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記キーシートの周縁部は、前記上ケースと前記下ケースとが接合する周囲の継ぎ目まで延出されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記機器ケースの前記下ケースにはスイッチ部材が設けられており、前記キーシートには、前記スイッチ部材を覆うスイッチカバー部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記機器ケースの前記上ケースには、その上面部にストッパ孔が貫通して設けられており、前記キーシートには、前記ストッパ孔に挿入して前記上ケースの上面から前記キー釦部よりも高く突出するストッパ部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記機器ケースの前記下ケースには、その底面に脚挿入孔が貫通して設けられており、前記キーシートには、前記脚挿入孔に挿入して前記下ケースの底面から下側に突出する脚部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記機器ケースの前記下ケースにはタッチ入力部が設けられており、前記キーシートには、前記タッチ入力部が配置される入力挿入部が設けられており、前記上ケースには、入力開口部が前記キーシートの前記入力挿入部に対応して設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−159026(P2008−159026A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217740(P2007−217740)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】