説明

電子機器

【課題】防水機能を備えた電子機器であって、防水機能の信頼性を損なわずに製造コストを削減することができる電子機器を提供する。
【解決手段】外部機器との充電に用いられる充電端子ユニット17は、平板状に形成され、一対の金属部材20、21がそれぞれ平板の両面から露出するように離間されて嵌め込まれた樹脂部材と、樹脂部材の外側面に嵌合されたリング状のゴム部材23と、を備え、筐体11の内外を貫通するように設けられた一対の窓部18と、筐体11内面に、一対の窓部18を含むように、充電端子ユニット17の樹脂部材22を収容する形状に形成された第1の溝部とを備え、一対の金属部材20、21がそれぞれ一対の窓部18を介して筐体11外部に露出するとともに、筐体11内部に露出し、またゴム部材23が第1の溝部の外周に密着するように、充電端子ユニット17が筐体11に組み込まれたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水機能を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等の電子機器が防水機能を備えるようになってきたことに伴い、お風呂等の浸水する恐れのある場所で携帯電話機が使用される機会が増えている。防水機能を備えた携帯電話機において、充電端子は外部に露出させざるを得ない金属部品であるため、耐腐食性について考慮した設計をする必要がある。
【0003】
すなわち、携帯電話機が防水機能を備えていたとしても、充電端子等の金属部品が筐体の外部に露出していると、その露出した金属部品が腐食する恐れがあるため、外部に露出した金属部分に金メッキ処理、封孔処理等の防水処理を施すことによって、携帯電話機の充電端子等の金属部品を耐腐食性を有する状態に加工する必要がある。しかしながら、筐体から露出した金属部分に金メッキを施す際、金メッキ処理を行う領域が大きくなればなるほど、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、コストアップを招来することなく、内部に収容される充電池や保護回路等の電気部品を良好に保護することができる電子機器の保護ケースが提案されている(特許文献1参照)。この電子機器の保護ケースは、複数の電子部品が実装された保護回路とこの保護回路と導通する充電池とが樹脂製の容器に収容された充電池パックにおいて、保護回路または充電池とを導通するとともに、外部の所定の対象物と電気的な導通が可能とされた端子片を、容器に一体的にインサート成形したものである。
【特許文献1】特開平11−185719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように端子片を外装筐体に一体的にインサート成形した場合、外装筐体の寸法にバラツキが生じやすいという問題があった。外装筐体の寸法にバラツキがあると、防水機能の信頼性が低下してしまう恐れがある。また、特許文献1の端子片(図4に示す第1端子片4)は、その構造上、スライド機構を有さない単純な金型構造においては金型から抜くことができないため、製造困難なものと思われる。さらに、特許文献1には基板(保護回路)の表面に形成された端子が端子片に接触することにより充電池と導通する構成が記載されているが、基板の寸法にはバラツキがあるため基板の端子が端子片に安定して接触する保証はなく、基板を支持部材として用いることは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みなされてものであり、防水機能を備えた電子機器であって、防水機能の信頼性を損なわずに製造コストを削減することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子機器は、外部機器との充電に用いられる充電端子ユニットと、この充電端子ユニットが組み込まれた筐体とを具備する電子機器において、前記充電端子ユニットは、一対の金属部材と、平板状に形成され、前記一対の金属部材がそれぞれ平板の両面から露出するように離間されて嵌め込まれた樹脂部材と、前記樹脂部材の外側面に嵌合されたリング状のゴム部材と、を備え、前記筐体は、前記筐体の内外を貫通するように設けられた一対の窓部と、前記筐体内面に、前記一対の窓部を含むように、前記充電端子ユニットの樹脂部材を収容する形状に形成された第1の溝部と、を備え、前記一対の金属部材がそれぞれ前記一対の窓部を介して筐体外部に露出するとともに、前記筐体内部に露出し、また、前記ゴム部材が前記第1の溝部の外周に密着するように、前記充電端子ユニットが前記第1の溝部に嵌め込まれることにより前記筐体に組み込まれたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電子機器によると、充電端子ユニットを筐体とは別ピースとして形成し、露出する金属部分を少なくして金メッキの領域をできる限り小さくするとともに、防水用パッキンの嵌合部分を全て樹脂部材で形成することにより、防水機能の信頼性を損なわずに製造コストを削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る電子機器の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る電子機器として、複数の筐体が開閉自在に結合されてなるクラムシェル型の携帯電話機1を例にあげて説明する。図1は、携帯電話機1の開いた状態を示す斜視図である。
【0010】
携帯電話機1は、図1に示すように、主に、矩形の板状の上筐体10と、この上筐体10とほぼ同形状をした下筐体11とにより構成されていて、これらの上筐体10及び下筐体11は、閉じた状態において相互に一面を覆うように積層されている。上筐体10及び下筐体11は、ヒンジ部12を挟むようにヒンジ結合されていて、上筐体10は下筐体11に対して、ヒンジ部12を軸にして、図1のX方向に所定角度だけ回転自在なように形成されている。携帯電話機1は、上筐体10を下筐体11に対して回転させることにより、閉じた状態から開いた状態に、あるいは開いた状態から閉じた状態に変形する。
【0011】
上筐体10の内面(下筐体11に対面する側の面)には、文字や画像等の情報を含んだ表示画面60を表示するための液晶ディスプレイ13、音声を出力するためのスピーカ14が設けられている。これらの液晶ディスプレイ13やスピーカ14は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、下筐体11により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
【0012】
下筐体11の内面(上筐体10に対面する側の面)には、例えば、カーソルや表示画面を上下左右に移動させるための十字キーや、項目を選択するための選択キーや、数字を入力するための数字キー、発信処理を行うための発信キー等の操作キー15が設けられている。また下筐体11には、音声を集音するためのマイクロフォン16が設けられている。これらの操作キー15やマイクロフォン16は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、上筐体10により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
【0013】
下筐体11の側面には、外部バッテリの接続端子や充電器の接続端子を接続することにより、携帯電話機1に外部から電力を供給したり内蔵バッテリ64の充電を行ったりするための充電端子ユニット17が備えられている。充電端子ユニット17は、携帯電話機1が閉じた状態のときでも開いた状態のときでも外部に露出されているため、いつでも外部バッテリの接続端子や充電器の接続端子を接続することができる。
【0014】
充電端子ユニット17は、金属材料で形成されるとともに常に携帯電話機1の外部に露出している部品であるため、携帯電話機1が防水機能を備えるためには、この充電端子ユニット17に対して耐腐食性を考慮した設計をするとともに、下筐体11の内部への浸水を防止する必要がある。そこで、本発明の携帯電話機1において、充電端子ユニット17を下筐体11とは別ピースとして形成するとともに、充電端子ユニット17の金属部分の一部のみを下筐体11から露出させ、また、ゴムパッキン(後述するゴム部材23)を使用して下筐体11の内部の浸水を防止することで、信頼性の高い防水機能と実現させている。
【0015】
図2は、下筐体11の内部に充電端子ユニット17を組み込んだ状態を示す拡大斜視図である。図2に示すように、充電端子ユニット17は、第1の金属部材20、第2の金属部材21、樹脂部材22、及びゴム部材23から構成されている。一方、下筐体11は内外に貫通する一対の窓部18を備えている。そして、下筐体11に収納された充電端子ユニット17の金属部分(第1の金属部材20、第2の金属部材21)がこの窓部18を介して外部に露出するように、充電端子ユニット17が下筐体11に組み込まれる。
【0016】
図3に、充電端子ユニット17の分解図を示す。第1の金属部材20及び第2の金属部材21は、下筐体11の内外を電気的に導通するための部材であり、樹脂部材22は、これらの第1の金属部材20及び第2の金属部材21を覆ってこれらが腐食しないように保護するための部材であり、ゴム部材23は、下筐体11の内部に充電端子ユニット17(窓部18)を介して水が浸入するのを防止するためのリング状の部材である。そして、充電端子ユニット17は、樹脂部材22に、第1の金属部材20、第2の金属部材21、ゴム部材23をそれぞれ嵌め込むことにより形成されている。
【0017】
図4(A)に第1の金属部材20の正面図、図4(B)に第1の金属部材20の背面図、図4(C)に第1の金属部材20の左側面図、図4(D)に第1の金属部材20の右側面図、図4(E)に第1の金属部材20の平面図、図4(F)に第1の金属部材20の底面図を示す。
【0018】
第1の金属部材20は、それぞれほぼ矩形の形状のなす第1の平板部30、連結部31、第2の平板部32により一体的に形成されているとともに、第1の平板部30及び連結部31、連結部31及び第2の平板部32が、それぞれ直角の角度をなすように折り曲げられることにより、第1の金属部材20は平面方向における断面視ほぼ「コ」の字状に形成されている。すなわち、第1の平板部30及び第2の平板部32がほぼ平行になるように形成されているとともに、これらの第1の平板部30及び第2の平板部32とを連結するように連結部31が設けられている。
【0019】
また、第2の平板部32の上辺には、ほぼ矩形の形状をなす第3の平板部33が第2の平板部32に対してほぼ直角の角度をなすように、第1の平板部30に対して反対の方向に向けて一体型に設けられている。
【0020】
第1の平板部30において、連結部31に連結した辺に対抗する辺には、第2の平板部32の方向に向けて係止片34が設けられている。この係止片34は、例えば第1の平板部30を含めて断面視「コ」の字状に折り曲げられて形成されている。また、第2の平板部32において、連結部31に連結した辺に対抗する辺には一対の舌状の係止片36が設けられている。これらの係止片34、36は、第1の金属部材20を樹脂部材22に組み込むときに使用される。
【0021】
図5(A)に第2の金属部材21の正面図、図5(B)に第2の金属部材21の背面図、図5(C)に第2の金属部材21の左側面図、図5(D)に第2の金属部材21の右側面図、図5(E)に第2の金属部材21の平面図、図5(F)に第2の金属部材21の底面図を示す。
【0022】
第2の金属部材21は、第1の金属部材20に対して鏡像対象に形成したものである。すなわち、第2の金属部材21は、それぞれほぼ矩形の形状をなす第1の平板部30、連結部31、第2の平板部32により一体的に形成されているとともに、平面方向における断面視ほぼ「コ」の字状に形成されている。第2の平板部32の上辺には、ほぼ矩形の形状をなす第3の平板部33が、第2の平板部32に対してほぼ直角の角度をなすように、第1の平板部30に対して反対の方向に向けて一体型に設けられている。
【0023】
第2の金属部材21は、第1の金属部材20と同様に、第1の平板部30において、連結部31に連結した辺に対抗する辺には、第2の平板部32の方向に向けて係止片34が設けられている。また、第2の平板部32において、連結部31に連結した辺に対抗する辺には一対の舌状の係止片36が設けられている。また、第2の金属部材21は、第3の平板部33において、第2の平板部32に連結した辺に対して垂直となる辺にはそれぞれ舌状の係止片37が設けられている。これらの係止片34、36、37は、第2の金属部材21を樹脂部材22に組み込むときに使用される。
【0024】
図6(A)に樹脂部材22の正面図、図6(B)に樹脂部材22の背面図、図6(C)に樹脂部材22の左側面図、図6(D)に樹脂部材22の右側面図、図6(E)に樹脂部材22の平面図、図6(F)に樹脂部材22の底面図を示す。なお、図6(A)乃至図6(F)において、樹脂部材22にゴム部材23が嵌め込まれた状態が示されている。
【0025】
樹脂部材22はほぼ矩形の平板部40を備えていて、この平板部40の長辺のうちの一辺から一対の舌片41が平板部40に対して直角の角度をなすように設けられていて、正面から見ると全体として「「」状に形成されている。この平板部40は、主に、金属部材20、21の第1の平板部30及び第2の平板部32を保護するために形成され、舌片41は、主に、金属部材20、21の第3の平板部33を保護するために形成されたものである。
【0026】
平板部40において、「「」の字の外側に位置する面を外面40a、「「」の字の内側に位置する面を内面40bと呼ぶ。平板部40の外面40a及び内面40bの中央にはそれぞれ凹部42、42aが設けられている。凹部42は、図6(C)に示すように、平板部40の外面42において逆「C」状に形成されていて、凹部42aは、図6(D)に示すように、平板部40の内面42bにおいて矩形状に設けられている。
【0027】
平板部40の外面40aにおける凹部42の脇には、この凹部42を長手方向に挟むように2つの溝部44が設けられている。これらの溝部44は、第1の金属部材20の第1の平板部及び第2の金属部材21の第1の平板部30と同形状に形成されており、第1の金属部材20及び第2の金属部材21が樹脂部材22に嵌め込まれる際、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第1の平板部30がそれぞれ溝部44に嵌め込まれる。
【0028】
また、溝部44の外縁における平板部40における短辺方向の2辺には、平板部40における内側に位置する内側切込部45、平板部40における外側に位置する外側切込部45aがそれぞれ設けられている。そして、内側切込部45は、平板部40の外面40aから内面40bまでを貫通するように設けられている。これらの切込部45、45aは、第1の金属部材20及び第2の金属部材21が樹脂部材22に嵌め込まれる際に、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の連結部31が内側切込部45に、第1の平板部30の係止片34が樹脂部材22の外側切込部45aにそれぞれ貫通した状態で嵌め込まれる。
【0029】
平板部30は、側面に全周囲に渡った凹状の台部46を備えている。リング状のゴム部材23は、樹脂部材22に嵌め込まれる際に、この台部46の位置に固定される。なお、台部46の凹形状は、ゴム部材23とほぼ同形状に設けられ、台部46の深さは、ゴム部材23が嵌め込まれた際に、ゴム部材23が台部46から全周囲に渡って突出するような深さに設定されている。
【0030】
平板部40の内面40bにおける凹部42aの脇には、この凹部42aを長手方向に挟むように2つの溝部47が設けられている。これらの溝部47は、第1の金属部材20の第2の平板部32及び第2の金属部材21の第2の平板部32と同形状に形成されており、第1の金属部材20及び第2の金属部材21が樹脂部材22に嵌め込まれる際、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第2の平板部32がそれぞれ溝部47に嵌め込まれる。
【0031】
また、溝部47の外縁における平板部40の短辺方向の2辺には、平板部40における内側に位置する内側切込部48、平板部40における外側に位置する外側切込部48aがそれぞれ設けられている。内側切込部48は、平板部40の外面40aの内側切込部45まで貫通したものである。これらの切込部48、48aは、第1の金属部材20及び第2の金属部材21が樹脂部材22に嵌め込まれる際に、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の連結部31が樹脂部材22の内側切込部48に、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第2の平板部32の係止片36が樹脂部材22の外側切込部48aにそれぞれ貫通した状態で嵌め込まれる。
【0032】
一対の舌片41において、平板部40に対抗する側の面には、矩形状の溝部49がそれぞれ設けられているとともに、これらの溝部49の中央部にはそれぞれ円形の貫通孔50が設けられている。溝部49は、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第3の平板部33と同形状に形成されており、第1の金属部材20及び第2の金属部材21が樹脂部材22に嵌め込まれる際、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第3の平板部33がそれぞれ舌片41の溝部49に嵌め込まれる。この際、樹脂部材22において、円形の貫通孔50を介して、嵌め込まれた金属部材20、21の第3の平板部がそれぞれ露出する。
【0033】
また、一対の舌片41のうちの一方(第2の金属部材21に当接する方)の溝部49の外縁において、樹脂部材22の平板部40の短辺方向の2辺には切込部51が設けられていて、樹脂部材22に第2の金属部材21を嵌め込む際、第2の金属部材21の第3の平板部33の一対の係止片37が、これらの切込部51をそれぞれ貫通する。
【0034】
これらの第1の金属部材20、第2の金属部材21、樹脂部材22、ゴム部材23を用いて充電端子ユニット17を作成する際、図7(A)に示すように、樹脂部材22の平板部40の外面40aの内側切込部45に第1の金属部材20及び第2の金属部材21の連結部31が位置するように、樹脂部材22に第1の金属部材20及び第2の金属部材21が組み込まれ、この外面40aの溝部44に第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第1の平板部30がそれぞれ嵌め込まれる。
【0035】
また、図7(B)に示すように、樹脂部材22の平板部40の内面40bの溝部47に第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第2の平板部32が嵌め込まれる。この際、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第3の平板部33は、樹脂部材22の舌片41の溝部49に嵌め込まれる。また、リング状のゴム部材23が樹脂部材22の平板部40の外側面を全周囲に渡って覆うように、台部46に嵌められる。
【0036】
これにより、図7(A)及び図7(C)に示すように、樹脂部材22の外面40aから第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第1の平板部30がそれぞれ露出する。また、図7(B)及び図7(C)に示すように、樹脂部材22の内面40bから第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第2の平板32及び第3の平板33がそれぞれ露出する。また、露出した第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第1の平板部30、及び露出した第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第2の平板部32の間の位置に、ゴム部材23が固定される。よって、充電端子ユニット17において、外部に露出する金属部分は、金属部材20、21の第1の平面部30、第2の平面部32、第3の平面部33のみとなる。
【0037】
このように形成された充電端子ユニット17は、図8に示すように、下筐体11の内部に組み込まれる。下筐体11は、内側側面の所定位置に、充電端子ユニット17の樹脂部材22の平板部40と同形状(樹脂部材22を収容する形状)に、一対の窓部18を内部に含むように形成された溝部19を備えている。また下筐体11は、内側底面の所定位置に所定サイズで設けられた溝部19aを備えている。充電端子ユニット17は、下筐体11の内側側面の溝部19に、第1の金属部材20、第2の金属部材21の第1の平板部30がそれぞれ窓部18に当接するような状態で嵌め込まれる。これにより、下筐体11に充電端子ユニット17が嵌め込まれた状態において、金属部材20、21の第1の平板部30が下筐体11の窓部18からそれぞれ露出する。外部バッテリや充電器の接続端子を、下筐体11の窓部18から露出した第1の平板部30に接触させることにより、携帯電話機1に対する電力の供給が行われる。
【0038】
またこの際、樹脂部材22の外周(外側面)部分に嵌め込まれたゴム部材23が下筐体11の溝部19に隙間なく密着するように当接することにより、ゴム部材23は防水用パッキンの役割を果たし、窓部18を介して下筐体11の内部に水が浸入することが防止される。
【0039】
充電端子ユニット17が下筐体11に嵌め込まれた後、充電端子ユニット17は固定部材60で更に固定される。すなわち、この固定部材60は突出部61を備えていて、この突出部61が充電端子ユニット17を外部方向に押し付けるように当接し、突出部61aが下筐体11の内側底面に設けられた溝部19aに嵌め込まれることにより、充電端子ユニット17を下筐体11に固定する。これにより、充電端子ユニット17は下筐体11と固定部材60とで押さえつけられ、下筐体11に強い水圧が加わった場合や下筐体11が強く揺さぶられた場合であっても、位置がずれることがない。
【0040】
さらに、充電端子ユニット17が固定部材60により固定された後、図9に示すように、基板部材62が下筐体11の内部に組み込まれる。この際、基板部材62に設けられた突起部63が、下筐体11の内部に組み込まれている充電端子ユニット17を外部方向に押し付けるように当接することにより、充電端子ユニット17は、固定部材60に加えて基板部材62により二重に固定される。
【0041】
一般的に、基板の寸法はバラツキが生じやすい。充電端子ユニット17がゴム部材23を有さずに剛体だけで形成されている場合は、剛体である基板と剛体同士で接触することになるため、基板を支持部材として使用するためにはシビアな寸法管理や調整が必要となってしまう。しかしながら、本発明の携帯電話機1では、下筐体11の溝部19の外周に充電端子ユニット17のゴム部材23を密着させて固定するため、基板部材62の寸法に多少のバラツキが生じた場合であっても、ゴム部材23の弾性を利用してそのバラツキを吸収して基板部材62で充電端子ユニット17を固定することが可能となる。
【0042】
そして、図10(A)乃至図10(C)に示すように、さらに下筐体11の内部において、基板部材62の上部に内蔵バッテリ64が収納される。この内蔵バッテリ64の接続端子が充電端子ユニット17の第3の平板部33に接触することで、第1の平板部材31に接続された外部バッテリや充電器等から内蔵バッテリ64に電力が供給される。
【0043】
このように、充電端子ユニット17が下筐体11に組み込まれた状態で、下筐体11が浸水した場合、下筐体11の溝部19の外周に密着したゴム部材23によって下筐体11の内部に水が浸入するのが食い止められるため、図11に示すように、充電端子ユニット17のゴム部材23を境に、下筐体11の外側(第1の平板部30の側)は水没するが、下筐体11の内側(第2の平板部32及び第3の平板部33の側)は水没することが防止されている。
【0044】
充電端子ユニット17において、樹脂部材22から露出している金属部分は、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の第1の平板部30、第2の平板部32、第3の平板部33であり、また、充電端子ユニット17が下筐体11に嵌め込まれた際に、これらの金属部分のうちのゴム部材23よりも外側(水没する側)において露出している部分は、第1の平板部30に限定されるため、この第1の平板部30にのみ、腐食を防ぐために、例えば金メッキ等のメッキ処理を行えば良い。
【0045】
なお、第1の金属部材20及び第2の金属部材21の形状はこれに限定されず、第1の平板部30が下筐体11の外部に露出し、第2の平板部32または第3の平板部33が下筐体11の内部に露出するような形状なら、任意の形状に形成されて良い。
【0046】
また、防水用パッキンとしての役割を担うゴム部材23が携帯電話機1において嵌合する部位が、全て樹脂材料(樹脂部材22の台部46)で形成されることにより、このゴム部材23を充電端子ユニット17に嵌め込む際、または、充電端子ユニット17を下筐体11に組み込む際に、ゴム部材23に傷を付けてしまう可能性が小さくなり、防水機能の信頼性を向上させることが可能となる。
【0047】
本発明に係る電子機器(携帯電話機1)によると、充電端子ユニット17を下筐体11とは別ピースとして形成するとともに、ゴムパッキン(ゴム部材23)を用いて筐体11の内部への浸水を防止し、充電端子ユニット17において水没する恐れのある金属部分を少なくすることにより、金メッキを行う領域をできる限り少なくすることができる。これにより、防水機能を備えた携帯電話機1の製造コストを大幅に削減することが可能となる。また、防水用パッキンとなるゴム部材23の嵌合部分を全て樹脂部材22で形成することにより、防水機能の信頼性を高めることができる。
【0048】
また、本発明に係る電子機器(携帯電話機1)によると、固定部材60を用いて充電端子ユニット17を下筐体11に固定することにより、電子機器に強い水圧が加わった場合や電子機器が強く揺さぶられた場合であっても、充電端子ユニット17の位置がずれることが防止される。さらに、基板部材62において充電端子ユニット17に当接する突起部63を設けて、この基板部材62を充電端子ユニット17に当接させることにより充電端子ユニット17を下筐体11に固定することで、充電端子ユニット17を下筐体11の内部に強固に固定することが可能となる。
【0049】
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯ゲーム機、携帯テレビ等、防水加工を施す可能性がある電子機器であれば、任意の電子機器であって良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る電子機器(携帯電話機)を示す斜視図。
【図2】本発明に係る電子機器(携帯電話機)の充電端子ユニットの収納状態を示す図。
【図3】本発明に係る電子機器(携帯電話機)の充電端子ユニットの分解斜視図。
【図4】(A)は、充電端子ユニットの第1の金属部材の正面図、(B)は、充電端子ユニットの第1の金属部材の背面図、(C)は、充電端子ユニットの第1の金属部材の左側面図、(D)は、充電端子ユニットの第1の金属部材の右側面図、(E)は、充電端子ユニットの第1の金属部材の平面図、(F)は、充電端子ユニットの第1の金属部材の底面図。
【図5】(A)は、充電端子ユニットの第2の金属部材21の正面図、(B)は、充電端子ユニットの第2の金属部材の背面図、(C)は、充電端子ユニットの第2の金属部材の左側面図、(D)は、充電端子ユニットの第2の金属部材の右側面図、(E)は、充電端子ユニットの第2の金属部材の平面図、(F)は、充電端子ユニットの第2の金属部材の底面図。
【図6】(A)は、充電端子ユニットの樹脂部材の正面図、(B)は、充電端子ユニットの樹脂部材の背面図、(C)は、充電端子ユニットの樹脂部材の左側面図、(D)は、充電端子ユニットの樹脂部材の右側面図、(E)は、充電端子ユニットの樹脂部材の平面図、(F)は、充電端子ユニットの樹脂部材の底面図。
【図7】(A)は、本発明に係る電子機器(携帯電話機)の充電端子ユニットを所定方向から見た完成斜視図、(B)は、本発明に係る電子機器(携帯電話機)の充電端子ユニットを所定方向から見た完成斜視図、(C)は、(A)のA方向における断面図。
【図8】本発明に係る電子機器(携帯電話機)において、下筐体に充電端子ユニットを嵌め込む状態を示す図。
【図9】本発明に係る電子機器(携帯電話機)において、充電端子ユニットが嵌め込まれた下筐体に基板部材を嵌め込む状態を示す図。
【図10】(A)は、本発明に係る電子機器(携帯電話機)の下面図、(B)は、(A)のB方向における断面図、(C)は、(A)のC方向における断面図。
【図11】本発明に係る電子機器(携帯電話機)の作用について説明するための図。
【符号の説明】
【0051】
1…携帯電話機,10…上筐体,11…下筐体,12…ヒンジ部,13…液晶ディスプレイ,14…スピーカ,15…操作キー,16…マイクロフォン,17…充電端子ユニット,18…窓部,19、19a…溝部,20…第1の金属部材,21…第2の金属部材,22…樹脂部材,23…ゴム部材,30…第1の平板部,31…連結部,32…第2の平板部,33…第3の平板部,34、36、37…係止片,40…平板部,41…舌片,42、42a…凹部,44、47、49…溝部,45、45a、48、48a、51…切込部,46…台部,50…貫通孔,60…固定部材,61、61a…突出部,62…基板部材,63…突起部,64…内蔵バッテリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器との充電に用いられる充電端子ユニットと、この充電端子ユニットが組み込まれた筐体とを具備する電子機器において、
前記充電端子ユニットは、
一対の金属部材と、
平板状に形成され、前記一対の金属部材がそれぞれ平板の両面から露出するように離間されて嵌め込まれた樹脂部材と、
前記樹脂部材の外側面に嵌合されたリング状のゴム部材と、を備え、
前記筐体は、
前記筐体の内外を貫通するように設けられた一対の窓部と、
前記筐体内面に、前記一対の窓部を含むように、前記充電端子ユニットの樹脂部材を収容する形状に形成された第1の溝部と、を備え、
前記一対の金属部材がそれぞれ前記一対の窓部を介して筐体外部に露出するとともに、前記筐体内部に露出し、また、前記ゴム部材が前記第1の溝部の外周に密着するように、前記充電端子ユニットが前記第1の溝部に嵌め込まれることにより前記筐体に組み込まれたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
外部機器との充電に用いられる充電端子ユニットと、この充電端子ユニットが組み込まれた筐体とを具備する電子機器において、
前記充電端子ユニットは、
第1の平板部、連結部、第2の平板部を備えた一対の金属部材と、
平板状に形成され、前記一対の金属部材の第1の平板部がそれぞれ平板の一方の面から露出するとともに、前記一対の金属部材の第2の平板部がそれぞれ平板の他方の面から露出するように、前記一対の金属部材がそれぞれ離間するように嵌め込まれた樹脂部材と、
前記樹脂部材の外側面に嵌合されたリング状のゴム部材と、を備え、
前記筐体は、
前記筐体の内外を貫通するように設けられた一対の窓部と、
前記筐体内面に、前記一対の窓部を含むように、前記充電端子ユニットの樹脂部材を収容する形状に形成された第1の溝部と、を備え、
前記充電端子ユニットが、前記一対の金属部材の第1の平板部がそれぞれ前記一対の窓部を介して筐体外部に露出するとともに、前記一対の金属部材の第2の平板部が筐体内部に露出し、また、前記ゴム部材が前記第1の溝部の外周に密着するように、前記充電端子ユニットが前記第1の溝部に嵌め込まれることにより前記筐体に組み込まれたことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記樹脂部材は、一方の面に、前記一対の金属部材の第1の平板部と同形状に形成された一対の第2の溝部を備えるとともに、他方の面に、前記一対の金属部材の第2の平板部と同形状に形成された一対の第3の溝部を備え、
前記一対の金属部材の第1の平板部がそれぞれ前記第2の溝部に嵌め込まれ、前記一対の金属部材の第2の平板部がそれぞれ前記第3の溝部に嵌め込まれたことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記筐体の内面に着脱自在に設けられた固定部材を備え、
前記充電端子ユニットは、前記筐体に組み込まれた際に、この固定部材により固定されることを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。
【請求項5】
前記充電端子ユニットは、前記筐体に組み込まれた際に、基板部材に当接されることより固定されることを特徴とする請求項1または2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−140834(P2009−140834A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317786(P2007−317786)
【出願日】平成19年12月8日(2007.12.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】