説明

電子機器

【課題】第三者によって暗証コードが知られることを確実に防止することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器としての携帯電話1は、ユーザによって操作が行われる複数種の操作対象(文字入力キー21a、カーソルキー21b、メニュー選択キー21c、サイドキー21d、上部筐体3、携帯電話1自体)を備えている。携帯電話1には、ユーザによって選択された操作対象に対する操作がセキュリティロックのための暗証情報として登録される。そして、携帯電話1は、ユーザの操作対象に対する操作により暗証情報の入力を受け付け、当該入力された暗証情報と、前記登録された暗証情報とが一致した場合にセキュリティロックを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第三者によってセキュリティロックの暗証コードが推測されることを確実に防止することができる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話では、他人の使用を防ぐためにセキュリティロックを行うことが可能となっており、このセキュリティロックにより、第三者による携帯電話の内部情報へのアクセスや、有料サービスの無断使用を防ぐことができる。
【0003】
しかしながら、セキュリティロックの解除が、英文字や数字などの文字キーを用いた暗証コードの入力により行われる場合には、第三者により、暗証コードが推測されて、セキュリティロックが解除される虞れがある。
【0004】
例えば、暗証コードの設定が行われる対象としては、携帯電話以外に、銀行のカード、プリペイドカード、インターネットの認証などがあるが、これらの対象毎に異なる暗証コードを設定して記憶することは億劫である。このため、ユーザは、自身が憶えやすい番号を暗証コードとして設定する傾向にあるが、この憶えやすい番号は、ユーザと親しい知人には推測される虞れがある。
【0005】
また、一般の携帯電話に設けられる文字キーは共通の配列を有しているため、暗証コードの入力に何れのボタンが使用されたかが第三者に観察されて、暗証コードが推測される虞れがある。
【0006】
また、セキュリティロックの解除に文字キーが用いられる場合には、携帯電話が、上着やズボンのポケット、或いは手提げ鞄などに入っている際など、携帯電話の操作画面を目視できない状況下で、セキュリティロックの解除が容易に行えないという欠点がある。
【0007】
このため近年では、暗証コードの入力に文字キー以外の操作対象を用いる携帯電話が提案されている。例えば、特許文献1に開示されている折畳式携帯電話では、携帯電話の開閉操作等により、暗証コードの入力が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−283510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、暗証コードの入力に使用される操作対象は、固定的であるため、暗証コードの入力に用いる操作対象が第3者に知られてしまう虞れがある。例えば、ユーザが暗証コードの入力のために通話開始前に常に携帯電話の開閉操作を行っていると、その開閉操作が暗証コードの入力に使用されていることが第三者に知られる虞れがあり、その結果、その開閉動作が観察されて、暗証コードが推測され得る。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、第三者によって暗証コードが知られることを確実に防止することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、ユーザによって操作が行われる複数種の操作対象が設けられる電子機器であって、ユーザによって選択された操作対象に対する操作がセキュリティロックのための暗証情報として登録され、ユーザの前記操作対象に対する操作により暗証情報の入力を受け付け、当該入力された暗証情報と、前記登録された暗証情報とが一致した場合にセキュリティロックを解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子機器に設けられる複数種の操作対象のうち、ユーザによって選択された操作対象に対する操作がセキュリティロックのための暗証情報として登録されるために、第三者は、暗証コードの入力に使用される操作対象を把握することが困難である。このため、暗証コードが第三者に知られることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における電子機器としての携帯電話を示す図である。
【図2】携帯電話の状態変化を示す図である。
【図3】携帯電話の物理的な構成を示すブロック図である。
【図4】暗証コードの設定処理を示すフローチャートである。
【図5】暗証コード設定処理で表示される入力設定待ち画面を示す図である。
【図6】暗証コード記録テーブルを示す図である。
【図7】暗証コード設定処理で表示される操作内容選択画面を示している。
【図8】暗証コード設定処理で表示される開始通知画面を示す図である。
【図9】暗証コード設定処理で表示される設定通知画面を示す図である。
【図10】上部筐体のスライドを示す図である。
【図11】上部筐体の回転操作を示す図である。
【図12】携帯電話の開閉操作を示す図である。
【図13】携帯電話の向きを変化させる操作を示す図である。
【図14】カーソルキーで押下される位置を示す図である。
【図15】暗証コード一時記憶メモリに記憶されるデータの構造を示す図である。
【図16】暗証キー記憶メモリに登録されたデータの構造を示す図である。
【図17】暗証コードの入力処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。図1は、本発明の実施の形態における電子機器としての携帯電話1を示す図であり、図2は、携帯電話1の状態変化を示す図である。
【0015】
携帯電話1は、上部筐体3と下部筐体5とを備え、図2(a)に示すように、開閉操作を行ったり、図2(b),(c)に示すように、上部筐体3をスライドさせたり回転させることが出来るようになっている。
【0016】
図3は、携帯電話1の物理的な構成を示すブロック図である。携帯電話1は、制御装置11と、表示装置13と、音声出力装置としてのスピーカ15と、音声入力装置としてのマイク17と、年月日や時刻の出力装置としてのタイマ19と、キー装置21と、回線接続部23と、筐体振動部25と、位置情報取得装置27と、筐体状態検出装置29と、メモリ31とを備えている。
【0017】
制御装置11は、プロセッサから構成され、携帯電話1の制御を行う。
【0018】
表示装置13は、上部筐体3(図1参照)に構成されるものであって、LCD等の表示画面13aを含み、制御装置11による制御によって、表示画面13aを発光したり、表示画面13aに各種画像を表示することが可能である。
【0019】
キー装置21は、文字入力キー21aと、カーソルキー21bと、メニュー選択キー21cと、サイドキー21dとを備えている。
【0020】
図1に示すように、文字入力キー21aと、カーソルキー21bと、メニュー選択キー21cとは、携帯電話1を開状態にしたときに露出する下部筐体5の表面5aに設けられており、文字入力やメニュー選択などに使用される。文字入力キー21aは、広く普及する配列を有している。
【0021】
サイドキー21dは、下部筐体5の側面5bに設けられており、スピーカ15の音量調整などに使用される。
【0022】
回線接続部23は、公衆通信無線網に接続して、他の機器と通信を行うことができる。
【0023】
筐体振動部25は、カムモータ等から構成されて携帯電話1の全体に振動を与えることができる。
【0024】
位置情報取得装置27は、GPSによって携帯電話1の位置情報を取得することができる。
【0025】
筐体状態検出装置29は、携帯電話1の開閉操作や、上部筐体3のスライドや回転操作を行った際の携帯電話1の状態を検出することができる。
【0026】
メモリ31には、暗証コード一時記憶メモリ31aと、非文字暗証コード記憶メモリ31bと、暗証キー記憶メモリ31cとが構成される。
【0027】
暗証コード一時記憶メモリ31aは、暗証コードの設定や、暗証コードの照会時に使用されるデータが様々なフォーマットで記憶される記憶領域である。
【0028】
非文字暗証コード記憶メモリ31bは、カーソルキー21b、メニュー選択キー21c、サイドキー21d、上部筐体3など、文字入力キー21a以外の操作対象(以下、非文字操作対象と総称する)によって入力された暗証コードが固定されたフォーマットで記憶される記憶領域である。
【0029】
暗証キー記憶メモリ31cは、複数の暗証コードからなるコード群が記憶される記憶領域である。
【0030】
以上の構成を有する携帯電話1は、ユーザによって操作が行われる操作対象を複数種(文字入力キー21a、カーソルキー21b、メニュー選択キー21c、サイドキー21d、上部筐体3、携帯電話1自体)備えたものであって、ユーザによって選択された操作対象(非文字操作対象を含む)に対する操作により、セキュリティロックのための暗証コードの設定・入力を行うことができる。以下、これを実現するための処理について具体的に説明する。
【0031】
図4は、暗証コードの設定処理を示すフローチャートである。図4のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、メモリ31にプログラムとして記憶されており、制御装置11によって実行される。
【0032】
まず、非文字操作対象からの入力を暗証コード化するためのモードが起動する(ステップS101)。
【0033】
次に、暗証コードの入力に使用する操作対象の選択が受け付けられる(ステップS102)。
【0034】
図5は、このステップS102の処理において、表示装置13に表示される入力設定待ち画面を示している。この入力設定待ち画面では、暗証コードの入力ボックス50が表示されている。この入力設定待ち画面の表示中において、ユーザは、文字入力キー21aと、非文字操作対象とのいずれかの操作を行って、暗証コードの入力に用いる操作対象を選択する。
【0035】
具体的には、ユーザは、暗証コードの入力を文字入力キー21aにより行いたいと欲する場合には、文字入力キー21aに対する操作を行う。また、暗証コードの入力を、非文字操作対象による操作で行いたいと欲する場合には、非文字操作対象に対する操作、すなわち、「携帯電話1の開閉操作」、「上部筐体3のスライド操作」、「上部筐体3の回転操作」、「カーソルキー21bに対する操作」などを行う。
【0036】
図6は、非文字操作対象に対する操作が行われた場合に、非文字暗証コード記憶メモリ31bに確保される暗証コード記録テーブルを示している。
【0037】
この暗証コード記録テーブルには、「No.」と、「KeyNo.」と、「Function」と、「Move」と、「Sound」と、「light」と、「vibration」といった項目が付されており、ステップS102では、「No.」と、「KeyNo.」と、「Function」とにデータが記録される。
【0038】
「No.」は、ユーザが携帯電話1に対して行った操作の順序を示す識別子が記録される項目である。「No.」に記録される識別子は、下記の式1によって算出されるものであって、ステップS102の初回実行時には、0が記録される。
〔式1〕
ADD=ADD(n)+1
【0039】
「KeyNo.」は、ユーザがステップS102で操作を行った非文字操作対象の種別を示す識別子が記録される項目であって、「上部筐体3」や「携帯電話1」や「カーソルキー21b」などに対応する識別子が記録される。
【0040】
「Function」は、ユーザが行った操作内容を示す識別子が記録される項目であって、例えば、ユーザが「上部筐体3のスライド」を行っていた場合には、「上部筐体3のスライド」を示す識別子が記録される。
【0041】
「Move」、「Sound」、「light」、「vibration」は、ステップS102よりも後の処理でデータが記録される項目である。詳しくは後述する。
【0042】
そして、図4のステップS102が行われた後では、ユーザによって操作が行われた操作対象が、非文字操作対象であるか否かが判断される(ステップS103)。
【0043】
非文字操作対象に対して操作が行われていない、すなわち文字入力キー21aに対して操作が行われたと判断された場合には(ステップS103でNO)、文字入力キー21aによって入力された暗証コードの情報が取得され(ステップS104)、その後、ステップS112の処理に移行する。ステップS112以降の処理については後述する。
【0044】
一方、非文字操作対象に対して操作が行われたと判断された場合には(ステップS103でYES)、表示装置13における画面発光、スピーカ15の音声出力、或いは筐体振動部25による携帯電話1の振動によって、暗証コードの記録処理が開始されたことをユーザに通知する(ステップS105)。
【0045】
次に、暗証コードの入力に用いられる非文字操作対象の操作内容の選択が受け付けられる(ステップS106)。図7は、ステップS106で表示装置13に表示される操作内容選択画面を示している。この操作内容選択画面では、暗証コードの入力に使用され得る非文字操作対象の操作内容として、「上部筐体3のスライド」、「上部筐体3の回転」、「携帯電話1の開閉」、「カーソルキー21bの操作」、「携帯電話1の向き変化」が表示されている。ユーザは、これらの操作内容の中から、所望の操作内容を選択して、OKボタンを押す。
【0046】
次に、ステップS106で選択された操作内容に連動させる対象や、操作内容の計測方法の選択が行われる(ステップS107)。
【0047】
図8は、ステップS107で表示装置13に表示される開始通知画面を示している。この開始通知画面では、ステップS106で選択された操作内容と、この操作の動きを計測する方法の候補と、ステップS106で選択された操作内容に連動させる対象の候補とが表示されている。ユーザは、この候補の中から、所望の計測方法・連動対象を選択する。
【0048】
図8の例では、ステップS106で選択された操作内容として「上部筐体3のスライド」が表示され、このスライドの動きを計測する方法として、「スライドの経過時間」と、「上部筐体3の移動量検出」とが表示され、「上部筐体3のスライド」に連動させる対象の候補として、「スピーカ15の音声出力」、「表示装置13の画面発光」、「携帯電話1の振動」が表示されており、ユーザによって「上部筐体3の移動量検出」と「携帯電話1の振動」とが選択されている。
【0049】
次に、開始通知画面の開始ボタン(図8参照)が押されたか否かが判断される(ステップS108)。
【0050】
開始ボタンが押されていないと判断される場合には(ステップS108でNO)、ユーザによる計測方法・連動対象の選択が完了していないものとして、開始ボタンが押されるまで待機する。
【0051】
一方、開始ボタンが押されたと判断される場合には(ステップS108でYES)、暗証コードの設定処理が実行される(ステップS109)。図9は、ステップS109で表示装置13に表示される設定通知画面を示している。この設定通知画面は、暗証コードが設定中であることをユーザに通知するために表示されるものであって、ユーザは、設定通知画面の表示中に、当該設定通知画面に示される操作内容(図9の例では「上部筐体3のスライド」)を実行する。そして、ユーザは、自身が行った操作を記録することを望んだ時点で、設定通知画面の終了ボタンを押す。
【0052】
この結果、ステップS107で選択された計測方法(図8の例では「上部筐体3の移動量検出」)により、終了ボタンが押されるまでにユーザが行った操作の動きを示すデータが取得されて、暗証コード記録テーブルの「Move」に記録される。
【0053】
例えば、図10のStartからPoint1又は2まで上部筐体3のスライドが行われていた場合には、StartからPoint1又は2までの上部筐体3の移動量のデータが、筐体状態検出装置29の計測値に基づき記録される。
【0054】
また、図11のStartからPoint1又は2まで上部筐体3の回転操作が行われていた場合には、StartからPoint1又は2までの上部筐体3の移動量のデータが、筐体状態検出装置29の計測値に基づき記録される。
【0055】
また、図12のStartからPoint1又は2まで上部筐体3が移動するように携帯電話1の開閉操作が行われていた場合には、StartからPoint1又は2までの上部筐体3の移動量のデータが、筐体状態検出装置29の計測値に基づき記録される。
【0056】
また、図13のStartからPoint1又は2までユーザが携帯電話1の向きを変化させていた場合には、携帯電話1の傾きの変化量のデータが、筐体状態検出装置29の計測値に基づき記録される。
【0057】
また、ユーザがカーソルキー21bの操作を行っていた場合には、カーソルキー21bにおいて押下された位置(図14のPoint1、2、3、4などの位置)のデータが記録される。
【0058】
なお、暗証コード記録テーブル(図6参照)の「Move」には、設定通知画面(図9参照)の終了ボタンが押されるまでの間、ユーザが操作を行うたびに、その操作の動きを示すデータが上書き記録される。また、ユーザが操作を行わない場合や、ステップS106で選択されていない操作内容が行われていた場合には、終了ボタンが押されたとしても、「Move」には、データが記録されない。
【0059】
またステップS109では、ステップS107で選択された連動対象を示す情報が暗証コード記録テーブルの「Sound」、「light」、或いは「vibration」に記録される。すなわち、「Sound」は「スピーカ15の音声出力」に対応する項目であり、「light」は「表示装置13の画面発光」に対応する項目であり、「vibration」は「携帯電話1の振動」に対応する項目であり、選択された連動対象については、その連動対象に対応する項目に、選択されたことを示す識別子が記録される。
【0060】
そしてステップS109に続くステップS110では、設定通知画面の終了ボタン(図9参照)が押されたか否かが判断される。
【0061】
終了ボタンが押されていないと判断される場合には(ステップS110でNO)、終了ボタンが押されるまで、「Move」にユーザの操作の動きを示すデータが上書き記録される。
【0062】
そして終了ボタンが押されたと判断される場合には(ステップS110でYES)、終了ボタンが押された時点のデータが「Move」に記録するデータとして確定され、暗証コード記録テーブルへのデータの記録が完了する(ステップS111)。
【0063】
次に、暗証コード記録テーブルに示されるデータが、ステップS104で取得されたデータとともに、暗証コード一時記憶メモリ31aに記録される(ステップS112)。この処理の詳細については後述する。
【0064】
次に、暗証コード一時記憶メモリ31aがフルとなったか否かが判断される(ステップS113)。
【0065】
暗証コード一時記憶メモリ31aがフルになっていないと判断される場合には(ステップS113でNO)、ステップS102に復帰して、再びステップS102〜S112の処理が繰り返される。
【0066】
この繰り返しの処理は、ステップS113で暗証コード一時記憶メモリ31aがフルになったと判断されるまで行われ、この繰り返しの回のうち、ユーザが非文字操作対象に操作を行った回では、ユーザが行った操作の動きを示すデータや、その操作に連動させる連動対象を示すデータが、暗証コード記録テーブルに追加される。
【0067】
例えば、この繰り返しの処理で、非文字操作対象に操作を行った回が2回存在する場合には、暗証コード記録テーブルの「No.」には、1回目の処理に対応する識別子として0が記録され、2回目の処理に対応する識別子として1が記録される(〔式1〕参照)。
【0068】
そして1回目の処理で、例えば「図10のStartからPoint1までの上部筐体3のスライド」・「スピーカ15の音発生の選択」が行われていた場合には、「No.」が0となる行において、「KeyNo.」の項目に「上部筐体3の識別子」が記録され、「Function」の項目に「上部筐体3のスライドを示す識別子」が記録され、「Move」の項目に「StartからPoint1までの上部筐体3の移動量を示すデータ」が記録される。また、「Sound」の項目には、「スピーカ15の音声出力」が連動対象として選択されたことを示す識別子が記録される。
【0069】
そして2回目の処理で、例えば「図11のStartからPoint1までの上部筐体3の回転動作」・「携帯電話1の振動の選択」が行われていた場合には、「No.」が1となる行において、「KeyNo.」の項目に「上部筐体3」の識別子が記録され、「Function」の項目に「上部筐体3の回転」を示す識別子が記録され、「Move」の項目に「StartからPoint1までの上部筐体3の移動量を示すデータ」が記録される。また、「vibration」の項目には、「携帯電話1の振動」が連動対象として選択されたことを示す識別子が記録される。
【0070】
この結果、暗証コード記録テーブルに記録されるデータは、「図10のStartからPoint1までの上部筐体3のスライド」→「図11のStartからPoint1までの上部筐体3の回転動作」の一連の動作を示すとともに、また、上述の「上部筐体3のスライド」に連動させる対象として「スピーカ15の音声出力」が選択され、上述の「上部筐体3の回転動作」に連動させる対象として「携帯電話1の振動」が選択されたことを示すものとなる。
【0071】
そしてステップS112では、ステップS104で取得されたデータと、暗証コード記録テーブルに示されるデータとが、暗証コード一時記憶メモリ31aに記録される。この際、暗証コード記録テーブルのデータについては、下位のデータから順に暗証コード一時記憶メモリ31aに記録される。
【0072】
図15は、暗証コード一時記憶メモリ31aに記憶されるデータの構造を示している。このデータは、ステップS104で記録されたデータと、暗証コード記録テーブルに示されるデータとが混在した構造を有している。図15に示すデータでは、ステップS104で取得されたデータ(CODE0,CODE1)が2つ続いた後に、暗証コード記録テーブルのデータ(CODE2,CODE3)が2つ続いている。これは、ステップS102、103、104、112の処理が続けて2回行われた後に、ステップS102、103、105〜112の処理が続けて2回行われた結果である。
【0073】
そして、ステップS113で暗証コード一時記憶メモリ31aがフルになったと判断された場合には(ステップS113でYES)、暗証コード一時記憶メモリ31aに記憶されているデータが、暗証キー記憶メモリ31cに登録される(ステップS114)。
【0074】
図16は、暗証キー記憶メモリ31cに登録されたデータの構造を示している。このデータは、ステップS104で取得されたデータ(図15のCODE0,CODE1)に対応するキーコード(C_code1,C_code2)と、暗証コード記録テーブルに示されるデータ(図15のCODE2,CODE3)に対応するキーコード(NC_code1,NC_code2)とが混在した構造を有している。以上により、暗証コードの設定処理は終了する。
【0075】
次に、セキュリティロックを解除するための暗証コードの入力処理について説明する。
【0076】
図17は、暗証コードの入力処理を示すフローチャートである。図17のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、メモリ31にプログラムとして記憶されており、制御装置11によって実行される。
【0077】
まず、非文字操作対象からの入力を暗証コード化するためのモードが起動する(ステップS201)。
【0078】
次に、暗証キー記憶メモリ31cに登録されたデータ(図16参照)が、暗証コード一時記憶メモリ31aに呼び出される(ステップS202)。
【0079】
次に、暗証コードの入力が受け付けられる(ステップS203)。この処理では、図5と同様の入力待ち画面が表示装置13に表示される。この入力待ち画面の表示により、ユーザは、暗証コードの入力が必要であることを知って、文字入力キー21aと、非文字操作対象とのいずれかにより暗証コードの入力操作を行う。
【0080】
なお、上述の入力待ち画面の表示に代えて、スピーカ15による音声出力、或いは筐体振動部25による携帯電話1の振動が行われてもよい。この場合には、ユーザが表示装置13の画面を視認できない状況下であっても、ユーザに対して、暗証コードの入力が必要であることを通知することが可能となる。
【0081】
そして、非文字操作対象による入力操作があった場合には、図6と同様の暗証コード記録テーブルが暗証コード一時記憶メモリ31aに確保されて、ユーザが行った入力操作に関するデータが記録される。
【0082】
具体的には、「No.」にユーザが携帯電話1に対して行った操作の順序を示す識別子が記録され、「KeyNo.」にユーザが操作を行った非文字操作対象を示す識別子が記録され、「Function」にユーザが行った操作内容を示す識別子が記録され、「Move」にはユーザが行った操作の動きを示すデータが記録される。
【0083】
そして、ステップS203が行われた後では、ユーザによって操作が行われた操作対象が、非文字操作対象であるか否かが判断される(ステップS204)。
【0084】
非文字操作対象に対して操作が行われていない、すなわち文字入力キー21aに対して操作が行われたと判断された場合には(ステップS204でNO)、文字入力キー21aによって入力された暗証コードの情報が取得されて(ステップS205)、ステップS208の処理に移行する。
【0085】
一方、非文字操作対象に対して操作が行われたと判断された場合には(ステップS204でYES)、図4の暗証コード設定処理で作成された暗証コード記録テーブル(図6参照)において、ユーザが行った操作内容に対応付けられている連動対象(「スピーカ15の音声出力」、「表示装置13の発光」、「携帯電話1の振動」のいずれか)が作動する(ステップS206)。
【0086】
この処理で用いられる暗証コード記録テーブルは、ステップS202で暗証コード一時記憶メモリ31aに呼び出されたデータが基礎としているものであって、この暗証コード記録テーブルにおいて、例えば「図10のStartからPoint1までの上部筐体3のスライド」に連動させる対象として「スピーカ15の音声出力」を示す識別子が記録されている場合には、ユーザが上述の「上部筐体3のスライド」を行うことで、スピーカ15から音声が出力される。
【0087】
次に、ステップS202で暗証コード一時記憶メモリ31aに呼び出されたデータと、ステップS203で暗証コード記録テーブルに記録されたデータとが一致するか否かが判断される(ステップS207)。この2つのデータの比較は、「No.」が同一のものについて行われる。すなわち、ステップS207が初回実行時であれば、「No.」が1であるデータ同士の比較が行われて、「KeyNo.」、「Function」、「Move」のデータが一致するか否かが判断される。
【0088】
一致すると判断された場合には(ステップS207でYES)、ステップS208に移行する。
【0089】
一致していないと判断された場合には(ステップS207でNO)、ステップS203に復帰して、図5の入力設定待ち画面が再び表示されて、ユーザに対して再度の暗証コードの入力が促される。なお、この再度の入力は一度までであり、ユーザによる誤入力が2度行われて、ステップS207が2回行われた場合には、ステップS208に移行する。
【0090】
そしてステップS208では、ステップS203で暗証コード記録テーブルに記録されたデータが、ステップS205で取得されたデータとともに、暗証コード一時記憶メモリ31aに記録される。
【0091】
次に、暗証コード一時記憶メモリ31aがフルとなったか否かが判断される(ステップS209)。
【0092】
暗証コード一時記憶メモリ31aがフルになっていないと判断される場合には(ステップS209でNO)、ステップS203に復帰して、ステップS203〜208の処理が再び繰り返される。この繰り返しの処理は、ステップS208で暗証コード一時記憶メモリ31aがフルになったと判断されるまで行われ、各回の処理において、ユーザが行った操作内容の動きを示すデータが暗証コード記録テーブルに追加され、ステップS208では、暗証コード記録テーブルに示されるデータが、下位のデータから順に暗証コード一時記憶メモリ31aに記録される。この結果、図15と同様の構造を有するデータが、暗証コード一時記憶メモリ31aに記録される。
【0093】
そして、ステップS209で暗証コード一時記憶メモリ31aがフルになったと判断された場合には(ステップS209でYES)、暗証コード一時記憶メモリ31aに記憶されたデータと、図4の暗証コード設定処理により暗証キー記憶メモリ31cに登録されたデータとが一致するか否かが判断される(ステップS210)。
【0094】
一致すると判断された場合には(ステップS210でYES)、セキュリティロックが解除される(ステップS211)。
【0095】
一致しないと判断された場合には(ステップS210でNO)、入力された暗証コードが誤っていたことがユーザに通知される(ステップS212)。具体的には、表示装置13に表示されたり、スピーカ15によって音声が出力されたり、表示装置13において画面発光が行われたり、携帯電話1の振動が行われる。
【0096】
本実施の形態によれば、携帯電話1に設けられる複数種の操作対象のうち、ユーザによって選択された操作対象に対する操作がセキュリティロックのための暗証情報として登録されるために、第三者は、暗証コードの入力に使用される操作対象を把握することが困難である。このため、暗証コードが第三者に知られることを確実に防止することができる。
【0097】
またさらに、上部筐体3のスライド・回転や、携帯電話1の向きの変化など、非文字操作対象に対する操作が、暗証コードとして設定される、これにより、暗証コードの入力操作を第三者に分かりづらくすることができるとともに、ユーザは、操作画面を視認できない状況下でも、暗証コードの入力を行って、セキュリティロックを解除することができる。
【0098】
またさらに、暗証コードに、文字入力キー21aによって入力された情報を組み合わせることで、暗証コードの組み合わせパターンを増やすことができる。これにより、第三者が暗証コードを推測することは一層困難となる。
【0099】
また、上部筐体3のスライド・回転操作や、携帯電話1の向きを変化させる操作など、非文字操作対象に対する操作が暗証コードとして設定される場合には、これらの操作が、表示装置13における画面発光や、携帯電話1の振動や、スピーカ15の音発生に置き換えられて、ユーザに通知される。これにより、ユーザは、自身が行った入力操作を確認することができる。
【0100】
本発明は、上記した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0101】
例えば、暗証コードとして設定される操作として、他機種との赤外線を通じた接続操作、公衆無線通信網を通じた他機種との接続操作、携帯電話1の位置変更操作、USBケーブル・電源コネクタ・ヘッドフォン・外部メモリカードとの接続操作なども設定され得る。なお、暗証コードとして上述の携帯電話1の位置変更操作が設定される場合には、暗証コード記録テーブルには、位置情報取得装置によって取得された携帯電話1の位置情報が記録され、ユーザが、この暗証コード記録テーブルに記録された内容と同一の操作を行った場合に、セキュリティロックが解除される。
【0102】
また本発明は、上述の携帯電話の他、例えば、文字入力以外のスイッチや押しボタンを備えるゲーム機や、ネットワーク接続機能を備えたIT家電機器や、電子制御された動力源を備えた移動手段など、ユーザによって操作が行われる複数種の操作対象が設けられる電子機器に適用され得る。
【0103】
本発明に係る電子機器について、好ましくは、前記電子機器は、携帯電話であって、前記複数種の操作対象には、文字入力キーと、当該文字入力キー以外の操作対象とが含まれることを特徴とする。
【0104】
また、前記文字入力キー以外の操作対象に対する操作として、前記携帯電話の開閉操作、前記携帯電話を構成する筐体のスライド、前記筐体の回転操作、又は前記文字入力キー以外のキーに対する操作が含まれることを特徴とする。
【0105】
また、前記暗証情報の入力操作がユーザによって行われることに応じて、前記携帯電話の振動、音声出力、或いは画面発光を行うことを特徴とする。
【0106】
また、前記暗証情報には、前記携帯電話の位置変更操作が含まれることを特徴とする。
【符号の説明】
【0107】
1 携帯電話
3 上部筐体
5 下部筐体
5a 表面
5b 側面
11 制御装置
13 表示装置
13a 表示画面
15 スピーカ
17 マイク
19 タイマ
21 キー装置
21a 文字入力キー
21b カーソルキー
21c メニュー選択キー
21d サイドキー
23 回線接続部
25 筐体振動部
27 位置情報取得装置
29 筐体状態検出装置
31 メモリ
31a 暗証コード一時記憶メモリ
31b 非文字暗証コード記憶メモリ
31c 暗証キー記憶メモリ
50 入力ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作が行われる複数種の操作対象が設けられる電子機器であって、
ユーザによって選択された操作対象に対する操作がセキュリティロックのための暗証情報として登録され、
ユーザの前記操作対象に対する操作により暗証情報の入力を受け付け、当該入力された暗証情報と、前記登録された暗証情報とが一致した場合にセキュリティロックを解除することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電子機器は、携帯電話であって、
前記複数種の操作対象には、文字入力キーと、当該文字入力キー以外の操作対象とが含まれることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記文字入力キー以外の操作対象に対する操作として、前記携帯電話の開閉操作、前記携帯電話を構成する筐体のスライド、前記筐体の回転操作、又は前記文字入力キー以外のキーに対する操作が含まれることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記暗証情報の入力操作がユーザによって行われることに応じて、前記携帯電話の振動、音声出力、或いは画面発光を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記暗証情報には、前記携帯電話の位置変更操作が含まれることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−232972(P2010−232972A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78347(P2009−78347)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】