説明

電子機器

【課題】設定変更時に、外部装置への不要なアクセスが生じるのを抑制する。
【解決手段】複合機10は、自装置に設定された複数の動作パラメータに従い、タイムサーバから時刻データを取得する。各動作パラメータの設定値は、PC40から遠隔操作で変更可能であるが、PCからは、動作パラメータ毎に、設定値の変更要求を表す設定変更要求データが送信される。このため、複合機は、第1の設定変更要求データを受信すると、タイマをスタートさせ、単位保留時間、設定値の変更動作の実行を保留し、次データの受信を待機する。そして、単位保留時間の経過前に、次データを受信すると、タイマをリセットし再スタートさせることにより保留期間を延長する。そして、保留期間が終了するか、PCから終了通知データを受信した時点で、上記保留した変更動作を実行し、設定値を変更すると共に、変更した設定値で、タイムサーバから時刻データを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器としては、ネットワークを通じて外部装置と通信可能なパーソナルコンピュータやディジタル複合機等の電子機器が知られている。
また、通信に関する従来技術としては、ネットワークの負荷に応じ、データを受信待ちする時間としての受信待機時間を変更する技術が知られている(特許文献1参照)。受信待機時間を制御する技術としては、受信待機時間中に、新たなデータを受信する度、受信待機した時間をリセットして、ゼロから受信待機した時間をカウントすることにより、受信待機時間を延長する技術が知られている(特許文献2参照)。
【0003】
この他、従来技術としては、管理装置から、ネットワークを通じ、電子機器に対して設定変更操作を行う技術が知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平09−081339号公報
【特許文献2】特開平09−083743号公報
【特許文献3】特開平05−347619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外部装置に対する処理を実行する電子機器に対して、管理装置が、ネットワークを通じ、上記処理に関する複数の動作パラメータの設定変更を行う場合には、電子機器が、管理装置から複数の動作パラメータの夫々に対する設定変更要求を受信する毎に、外部装置に対する処理を実行してしまう恐れがある。そして、この場合には、不必要な外部装置へのアクセスが生じ得る。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、電子機器が、管理装置から複数の動作パラメータの夫々について送信されてくる設定変更要求に従って、複数の動作パラメータの設定値を変更する際に、電子機器が外部装置に対して不必要にアクセスするのを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するためになされた本発明の電子機器は、ネットワーク接続可能な構成にされた通信機能を備える電子機器であって、複数の動作パラメータに対応する複数の設定値に従って、ネットワークに接続された外部装置に対する所定の処理を実行する処理実行手段と、実行制御手段とを備えるものである。
【0007】
実行制御手段は、ネットワークに接続された管理装置から、複数の動作パラメータの内、第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合、処理実行手段が、当該変更要求に基づく変更後の第1の動作パラメータの設定値に従い、上記所定の処理を実行するのを所定期間禁止する。
【0008】
一方、実行制御手段は、上記所定期間の経過前に、管理装置から、複数の動作パラメータの内、第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合、処理実行手段に、当該変更要求に基づく変更後の第2の動作パラメータの設定値、及び、先立って受信した変更要求に基づく変更後の第1の動作パラメータの設定値に従う上記所定の処理を実
行させる。
【0009】
このように構成された電子機器によれば、第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信しても、変更後の設定値に基づく処理を、とりあえずは、処理実行手段に実行させない。
【0010】
このため、管理装置にて、第1の動作パラメータ及び第2の動作パラメータについての設定変更操作が行われ、それに伴って、第1及び第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求が夫々、送信されてくる場合にも、第1の動作パラメータのみの設定値を変更した状態で、処理実行手段が作動するのを回避することができる。従って、本発明によれば、設定変更途中で、処理実行手段が作動することが原因で、不要な外部装置に対するアクセスが生じるのを回避することができる。
【0011】
即ち、本発明によれば、設定変更されるべき複数の設定値の内、一部の設定値が反映されないまま、外部装置へのアクセスが行われるのを防止することができて、不要な外部装置へのアクセスが原因で、無駄に外部装置に負荷がかかってしまうのを極力抑えることができる。
【0012】
尚、「第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求」は、「実行制御手段によって処理の実行動作が禁止されていない状態で、最初に管理装置から受信する複数の動作パラメータのいずれかに対する設定値の変更要求」に定めることが好ましい。
【0013】
例えば、上記所定の処理を規定する複数の動作パラメータの内、同時期に設定変更の操作がなされる動作パラメータの組合せが、一部の動作パラメータの組合せに限られている場合には、その組合せの内、最初に変更要求が送信されてくる動作パラメータを、「第1の動作パラメータ」と取扱って、二番目以降に変更要求が送信されてくる動作パラメータを、「第2の動作パラメータ」と取扱うことも可能である。但し、このようにすると、同時期に設定変更の操作がなされる動作パラメータの組合せが、一部の動作パラメータの組合せに限られていない電子機器において、処理の実行禁止動作を適切に行うことができない。
【0014】
一方、「第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求」を、「実行制御手段によって処理の実行動作が禁止されていない状態で、最初に管理装置から受信する複数の動作パラメータのいずれかに対する設定値の変更要求」とすれば、管理装置から送信されてくる一連の変更要求に対応する動作パラメータの組合せが、一部の動作パラメータの組合せに限られていない電子機器においても、処理の実行禁止動作を、適切に行うことができる。
【0015】
従って、この発明によれば、管理装置で設定変更操作がなされた動作パラメータの内、一部の動作パラメータの設定値が反映されないまま、処理実行手段が動作してしまうのを極力抑えることができる。
【0016】
尚、上述の電子機器において、「第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求」は、「第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した後に、実行制御手段によって処理の実行動作が禁止されている状態で、管理装置から受信する設定値の変更要求」に定めることができる。
【0017】
また、実行制御手段は、変更後の設定値に基づく上記処理の実行動作を禁止した後、上記所定期間が経過するまでの実行禁止期間中に、管理装置から、第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合、実行禁止期間の終了時刻を延長する構成にされるとよい。
【0018】
実行制御手段は、実行禁止期間の終了時刻を延長しない構成にされてもよいが、このように実行制御手段を構成した場合には、実行禁止期間を冗長に設定する必要がある。
例えば、管理装置において設定変更操作される動作パラメータが三以上ある環境では、設定値の変更要求が動作パラメータ一つ分しか送信されてこない可能性があるにも拘わらず、全ての動作パラメータに対して設定値の変更要求が管理装置から送信される可能性を考慮して、実行禁止期間を長く設定する必要がある。
【0019】
一方、実行禁止期間中に、管理装置から、第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合、実行禁止期間の終了時刻を延長するように、電子機器を構成すれば、最初から実行禁止期間を冗長に長く設定しなくても済む。
【0020】
また、実行制御手段は、管理装置から変更要求の終了通知を受信すると、当該終了通知受信以前に管理装置から受信した変更要求に基づく変更後の設定値に従う上記所定の処理を、処理実行手段に実行させて、処理の実行禁止状態を解除する構成にされると好ましい。
【0021】
このように実行制御手段を構成すれば、実行禁止期間を冗長に設定しても、変更後の設定値に基づく処理が処理実行手段によって実行されるまでのタイムラグが長くなるのを回避することができる。
【0022】
尚、上述した発明は、現在時刻を提供するタイムサーバから、現在時刻を取得するための処理を実行する電子機器に適用することができる。また、この場合の動作パラメータとしては、タイムサーバのアドレス、及び、タイムサーバから現在時刻を取得する周期、を挙げることができる。
【0023】
タイムサーバは、ネットワークに接続された多くの電子機器に利用されるので、タイムサーバに対する不要なアクセスは、可能な限り避けるのが好ましいが、本発明によれば、それを実現することができる。
【0024】
尚、本発明は、電子機器、通信装置(電子機器)と外部装置及び/又は管理装置とを含むシステム、電子機器の制御方法、電子機器を制御するコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、本発明の実施例を説明するのに先立って、比較例を説明する。
ここでは、比較例として、外部装置に対する処理を実行する電子機器に対して、管理装置が、ネットワークを通じ、上記処理に関する複数の動作パラメータの設定変更を行う場合に、電子機器が、管理装置から複数の動作パラメータの夫々に対する設定変更要求を受信する毎に、外部装置に対する処理を実行してしまう例を説明する。
【0026】
尚、比較例では、管理装置に、電子機器の動作パラメータの設定値を変更可能な設定画面を表示させて、ユーザに設定画面を操作させることにより、ネットワークを通じた設定変更操作が、実現されるものとする。
【0027】
設定画面を通じて、動作パラメータの設定値が変更され、設定変更を「適用」する旨の操作がなされると、管理装置が、電子機器に対し、設定変更対象の動作パラメータ及び変更後の設定値を示した設定変更要求データを送信し、電子機器が、受信した設定変更要求
データに従って、自装置が保持する動作パラメータの設定値を変更するといった具合である。
【0028】
設定画面を通じて、複数の動作パラメータの設定値が変更された場合、管理装置は、変更された複数の動作パラメータについての変更後の設定値が一括して記述された設定変更要求データを電子機器に送信するか、動作パラメータ毎に、設定変更要求データを電子機器に送信することによって、電子機器に、変更内容を反映させることになる。
【0029】
しかしながら、管理装置が動作パラメータ毎に設定変更要求データを送信し、電子機器が設定変更要求データを受信する度に動作パラメータを変更するようなシステムにおいては、電子機器に対し、複数の動作パラメータで規定される機能を付加すると、この機能が、一部の動作パラメータのみの設定変更しかなされていない設定変更途中で、動作してしまうといった問題がある。
【0030】
例えば、電子機器に対して、外部サーバから特定種のデータを取得する機能を付与する場合を考える。この場合には、データ取得先である外部サーバのサーバアドレス、及び、データ取得周期といった複数の動作パラメータによって、機能の動作が規定されることになる。
【0031】
一方、電子機器においては、複数の動作パラメータによって規定される機能であっても、機能を規定する全ての動作パラメータについての設定変更要求データが送信されてくるとは限らないため、設定変更要求データを受信する度、その設定変更要求データに基づく設定変更を行って、機能を働かせることになる。
【0032】
従って、管理装置において、サーバアドレス及びデータ取得周期の両者が設定変更された場合には、電子機器において、サーバアドレスの設定変更要求データが受信されたことを契機に変更後のサーバアドレスによる外部サーバへのアクセスが行われると共に、取得周期の設定変更要求データが受信されたことを契機に、外部サーバへのアクセスが行われることになる。
【0033】
即ち、設定画面を通じてユーザが変更した複数の設定値の内、一部の設定値が反映されないまま、外部サーバへのアクセスが行われることになり、不要な外部サーバに対するアクセスが発生し、無駄に外部サーバに対して負荷をかけてしまうといった問題が生じる。
【0034】
要するに、管理装置から動作パラメータ毎に設定変更要求データを送信し、電子機器では、設定変更要求データを受信する度に、動作パラメータを変更するシステムにおいては、設定変更途中での本来実行すべきでない外部サーバへのアクセスによって、外部サーバの負荷が高くなるといった問題があった。
【0035】
ちなみに、外部サーバからデータを取得する機能が、タイムサーバから時刻データを取得する機能である場合には、当該機能を規定する動作パラメータとして、サーバアドレス及びデータ取得周期の他、アクセス先タイムサーバの固定/非固定を表す動作パラメータ(以下、「アクセスパラメータ」という。)が追加されることになる。DHCPサーバには、タイムサーバのアドレスを登録することができ、電子機器は、DHCPサーバに登録されたアドレスに基づいて、タイムサーバにアクセスすることも可能であるためである。
【0036】
即ち、サーバアドレスが「固定」に設定されている場合、電子機器は、自装置に設定されたサーバアドレス先から時刻データを取得し、サーバアドレスが「非固定」に設定されている場合、DHCPサーバに登録されたサーバアドレス先から時刻データを取得することになるのであるが、このように、機能を規定する動作パラメータの数が増えれば増える
程、不要な外部サーバへのアクセスが増えて、外部サーバの負荷が高くなる。
【0037】
図9は、タイムサーバから時刻データを取得する機能に対する設定変更操作を、管理装置から電子機器に対して行う場合の電子機器の動作態様を示したラダーチャートである。
図9に示すように、アクセスパラメータを「非固定」から「固定」に、サーバアドレスを「○○○.com」から「△△△.com」に、データ取得周期を「24時間」から「8時間」に、ネットワークを通じて設定変更する場合には、電子機器にて、設定変更が不完全な状態で、二度、不要なタイムサーバへのアクセスが行われることになる。
【0038】
勿論、このような問題は、複数の動作パラメータについての設定値を一括して設定変更要求データに記述して送信するように、管理装置を構成すればよいのであるが、そのような手法の採用は、通信データのフォーマットを変更することになり、ソフトウェアの変更が大規模に及んで、開発コストがかかるといった問題がある。
【0039】
また、複数の動作パラメータの設定値を一つの設定変更要求データにまとめて記述するようにしても、ユーザによっては、上記設定画面にて、一つの動作パラメータを変更する度に、設定変更を「適用」する旨の操作を行う場合がある。そして、この場合には、設定変更要求データが、「適用」する旨の操作の度に送信されることになり、設定変更途中での外部サーバへのアクセスを回避することはできない。
【0040】
以下に説明する本発明の実施例は、このような問題を解決するものである。
図1は、本実施例の通信システム1の構成を表すブロック図である。図1に示すように、本実施例の通信システム1は、ディジタル複合機10と、タイムサーバ20,21と、DHCPサーバ30と、パーソナルコンピュータ(PC)40,41と、がネットワークNTに接続された構成にされている。
【0041】
この通信システム1を構成するディジタル複合機10は、制御部11と、ネットワークインタフェース13と、記録部15と、読取部17と、表示操作部19とを備える。
制御部11は、各種プログラムを実行するCPU11a、CPU11aが実行するプログラムを記憶するROM11b、CPU11aによるプログラム実行時に作業領域として使用されるRAM11c、及び、各種設定情報記憶用のEEPROM11dを備えており、CPU11aにてROM11bが記憶するプログラムを実行することにより、装置全体を統括制御し、各種機能を実現する。
【0042】
一方、ネットワークインタフェース13は、ネットワークNTに接続されており、ネットワークNTを通じて外部装置(タイムサーバ20,21、DHCPサーバ30、PC40,41等)と通信可能な構成にされている。
【0043】
また、記録部15は、用紙に、制御部11から入力されたイメージデータに基づく画像を形成するものであり、読取部17は、ADF装置から供給される原稿や、原稿載置台に載置された読取対象の原稿を光学的に読み取り、その読取画像を表すイメージデータを生成するものである。読取部17により生成されたイメージデータは、制御部11に入力される。
【0044】
この他、表示操作部19は、情報表示用の液晶モニタ及び各種操作キーを備え、ユーザインタフェースとして機能する。
制御部11は、これら記録部15、読取部17、及び、表示操作部19を用いて、ネットワークプリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能を実現する。
【0045】
例えば、制御部11は、ネットワークインタフェース13を通じてPC40,41から受信した印刷対象のイメージデータを、記録部15に入力することにより、ネットワークプリンタ機能を実現する。
【0046】
また、制御部11は、表示操作部19を通じて読取指令が入力されると、読取部17に原稿を読み取らせることで、原稿の読取画像を表すイメージデータを取得し、このイメージデータを、EEPROM11dが記憶する設定情報に従って、予め定められた送信先の外部装置に、ネットワークインタフェース13を通じて送信することにより、スキャナ機能を実現する。
【0047】
その他、制御部11は、表示操作部19を通じてコピー指令が入力されると、読取部17に原稿を読み取らせることで、原稿の読取画像を表すイメージデータを取得し、このイメージデータを、記録部15に入力することにより、記録部15に、原稿のコピー画像を、用紙に形成させる。この動作により、制御部11は、コピー機能を実現する。
【0048】
ところで、複合機10は、上記機能の他に、ネットワークインタフェース13を通じてタイムサーバ20,21から現在時刻を表す時刻データを取得し、その時刻データが示す現在時刻に、内部時計が計時する時刻を補正する機能(内部時計補正機能)、及び、ネットワークインタフェース13を通じて外部装置から受信した設定変更要求データに従って、EEPROM11dが記憶する設定情報を変更する機能(遠隔設定操作受付機能)を有する。
【0049】
具体的に、内部時計補正機能及び遠隔設定操作受付機能は、制御部11が、ROM11bに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
図2は、制御部11が実行する内部時計補正処理を表すフローチャートである。制御部11は、複合機10の電源投入直後から、内部時計補正処理を開始する。
【0050】
内部時計補正処理を開始すると、制御部11は、EEPROM11dに記憶されているタイムサーバ設定情報を参照して、タイムサーバ設定情報を構成するアクセスパラメータ、及び、サーバアドレス、及び、データ取得周期の設定値を読み出す(S110)。
【0051】
図1に示すように、EEPROM11dが記憶するタイムサーバ設定情報は、アクセスパラメータ、サーバアドレス、及び、データ取得周期の各動作パラメータの設定値からなる。
【0052】
これら動作パラメータの設定値は、内部時計補正処理の動作を規定するものである。具体的に、サーバアドレスは、アクセス先のタイムサーバ20,21のIPアドレスを値とする動作パラメータである。
【0053】
また、データ取得周期は、タイムサーバ20,21から時刻データを取得する周期を、値とする動作パラメータである。この他、アクセスパラメータは、上述したように、アクセス先タイムサーバの固定/非固定を表す動作パラメータである。このアクセスパラメータは、「固定」又は「非固定」のいずれかの値を採る。
【0054】
S110での処理を終えると、制御部11は、S120に移行し、直前のS110で読み出した設定値に従って、後続の処理を実行する。
S120に移行すると、制御部11は、まず、ネットワークインタフェース13を通じて、タイムサーバ20,21に時刻データを要求して、タイムサーバ20,21が提供する時刻データを、ネットワーク経由で取得する。
【0055】
即ち、S110で読み出したアクセスパラメータが「固定」である場合には、S110で読み出したサーバアドレス先に時刻データを要求して、このアドレス先にあるタイムサーバ20から現在時刻を表す時刻データを取得する。
【0056】
一方、アクセスパラメータの設定値が「非固定」である場合には、DHCPサーバ30に登録されているタイムサーバ21のアドレス先に時刻データを要求することで、DHCPサーバ30に登録されているタイムサーバ21から時刻データを取得する。
【0057】
このようにして時刻データを取得すると、制御部11は、S130に移行し、タイムサーバ20,21から取得した時刻データに基づき、内部時計を補正する。即ち、タイムサーバ20,21から取得した時刻データが示す現在時刻に、内部時計が示す現在時刻を補正する。
【0058】
また、S130での処理を終えると、制御部11は、S140に移行し、直前のS130で内部時計を補正した時点から、S110で読み出したデータ取得周期の設定値に対応する時間(以下、「設定時間」という。)が経過したか否かを判断する。
【0059】
尚、直前のS130で内部時計を補正した時点からの経過時間は、内部時計を補正した時点での時刻を、前回補正時刻としてRAM11cに記憶保持しておき、内部時計が示す現在時刻と、RAM11cに記憶保持した前回補正時刻との差を算出することにより、求めることができる。
【0060】
S140で、設定時間が経過していないと判断すると(S140でNo)、制御部11は、S150に移行し、時刻取得命令が入力されるか、設定時間が経過するまで待機する(S140,S150)。そして、時刻取得命令が入力されるか、設定時間が経過すると(S140,S150でYes)、S110に移行し、再び、EEPROM11dに記憶されている設定値を読み出し、S120で、タイムサーバ20,21から時刻データを取得し、S130で、内部時計を補正する。
【0061】
このように、内部時計補正処理では、EEPROM11dに記憶された設定値に従い、一定周期で繰返し、タイムサーバ20,21から時刻データを取得し、内部時計を補正する。
【0062】
続いて、遠隔設定操作受付機能について説明する。図3は、制御部11が実行するタイムサーバ設定受付処理を表すフローチャートである。遠隔設定操作受付機能の内、EEPROM11dが記憶するタイムサーバ設定情報を変更する機能は、当該タイムサーバ設定受付処理にて実現される。尚、制御部11は、複合機10の電源投入時からシャットダウン時まで繰返し、当該タイムサーバ設定受付処理を実行する。
【0063】
タイムサーバ設定受付処理を開始すると、制御部11は、外部装置からネットワークインタフェース13を通じてタイムサーバ設定情報を構成する三つの動作パラメータのいずれかに対する設定値の変更要求を表す設定変更要求データを受信するまで待機する(S210)。
【0064】
具体的に、設定変更要求データは、当該データが設定変更要求データであることを示す
命令コードと、設定値変更対象の動作パラメータの識別コードと、当該動作パラメータに設定すべき値(変更後の設定値)と、からなる。
【0065】
本実施例においては、PC40に、タイムサーバ設定情報を遠隔操作で変更するためのプログラムが記憶されており、設定変更要求データは、このプログラムをPC40が実行することにより、PC40からネットワークを通じて送信されてくる。
【0066】
ここで、図3に示すタイムサーバ設定受付処理の説明を進める前に、設定変更要求データを送信するPC40の動作について説明する。図4は、PC40が、内蔵するCPU(図示せず)により、実行するタイムサーバ設定管理処理を表すフローチャートである。
【0067】
PC40は、自己が備えるユーザインタフェースを通じてタイムサーバ設定画面の表示指令が入力されると、図4に示すタイムサーバ設定管理処理を実行し、タイムサーバ設定画面として、PC40が備えるモニタ(図示せず)上に、アクセスパラメータ、サーバアドレス、及び、データ取得周期の設定値を変更操作可能なグラフィカルユーザインタフェース構成のタイムサーバ設定画面を表示する(S310)。そして、タイムサーバ設定画面に対する操作がなされるまで待機する(S320)。
【0068】
そして、タイムサーバ設定画面に対する操作がなされると(S320でYes)、PC40は、S330に移行し、なされた操作が、タイムサーバ設定画面を通じてした設定変更の内容を、複合機10に「適用」する旨の操作であるか否かを判断する。
【0069】
そして、「適用」する旨の操作であると判断すると(S330でYes)、タイムサーバ設定画面上で設定値が変更された各動作パラメータについて、動作パラメータ毎に、上述した設定変更要求データを生成し、これを順に、PC40内蔵のネットワークインタフェース(図示せず)を通じて、複合機10に送信する(S335)。その後、S320に移行し、次の操作がなされるまで待機する。
【0070】
一方、上記なされた操作が「適用」する旨の操作ではないと判断すると(S330でNo)、PC40は、S340に移行し、上記なされた操作が、タイムサーバ設定画面を通じてした設定変更の内容を、複合機10に「適用」して終了する旨の設定終了操作であるか否かを判断する。
【0071】
そして、設定終了操作であると判断すると(S340でYes)、S345に移行し、S335と同様、タイムサーバ設定画面上で設定値が変更された各動作パラメータについて、動作パラメータ毎に、上述した設定変更要求データを生成し、これを順に、PC40内蔵のネットワークインタフェース(図示せず)を通じて、複合機10に送信する。
【0072】
更に、タイムサーバ設定画面上で設定値が変更された各動作パラメータについての上記設定変更要求データの送信が全て完了した時点で、複合機10に対し、設定変更要求データの送信を終了する旨の終了通知データを送信する(S350)。その後、タイムサーバ設定画面を閉じて(S380)、タイムサーバ設定管理処理を終了する。
【0073】
この他、上記なされた操作が設定終了操作でもないと判断すると(S340でNo)、PC40は、当該なされた操作が、タイムサーバ設定画面を通じてした設定変更を破棄して終了する旨のキャンセル操作であるか否かを判断する(S360)。
【0074】
そして、上記なされた操作がキャンセル操作でもないと判断すると(S360でNo)、PC40は、上記なされた操作に対応した処理を実行した後(S370)、S320に移行し、次の操作がなされるまで待機する。
【0075】
具体的に、S370では、タイムサーバ設定画面を通じてなされた操作に従って、動作パラメータの設定値を、設定画面上で変更する動作を行う。S335及びS345では、このようにして設定値の変更された動作パラメータについての設定変更要求データを、複合機10に対して送信することになる。
【0076】
一方、S360で、なされた操作がキャンセル操作であると判断すると(S360でYes)、PC40は、タイムサーバ設定画面を閉じ(S380)、当該タイムサーバ設定管理処理を終了する。
【0077】
話を、図3に示す複合機10の制御部11が実行するタイムサーバ設定受付処理に戻す。
制御部11は、ネットワークインタフェース13を通じて、このようにPC40から送信されてくるタイムサーバ設定情報を構成する三つの動作パラメータのいずれかについての設定変更要求データを受信すると(S210でYes)、この設定変更要求データが示す要求内容を、実行保留コマンドとして、RAM11cに一時記憶する(S220)。具体的には、RAM11cに、実行保留コマンドとして、設定値変更対象の動作パラメータの識別コードと設定値とを書き込む。
【0078】
更に、スタート時点からの経過時間を計測するタイマを、スタートさせることにより、今回、設定変更要求データを受信してからの経過時間の計測を開始する(S230)。尚、タイマは、ソフトウェアにより実現される。
【0079】
タイマスタート後には、タイマが示す計測時間に基づき、タイマのスタート時点から所定時間が経過したか否かを判断する(S240)。そして、所定時間が経過していない場合には(S240でNo)、S250,S260,S240の処理を繰返し実行することにより、上記所定時間が経過するまでの期間、タイムサーバ設定情報を構成する三つの動作パラメータのいずれかについての設定変更要求データを、ネットワークインタフェース13を通じて新たに受信するか、ネットワークインタフェース13を通じて、上記終了通知データを受信するまで待機する。
【0080】
そして、この期間に、タイムサーバ設定情報を構成する三つの動作パラメータのいずれかについての設定変更要求データを、ネットワークインタフェース13を通じて新たに受信すると(S250でYes)、この設定変更要求データが示す要求内容を、実行保留コマンドとして、RAM11cに書き込むことで、実行保留コマンドを追加する(S270)。
【0081】
更に、S230でスタートさせたタイマをリセットし、当該タイマを再スタートさせることにより、上記設定変更要求データを、ネットワークインタフェース13を通じて新たに受信した時点からの経過時間を、上記タイマに計測させる(S280)。また、この処理を終えると、S240に移行する。
【0082】
即ち、S280でタイマを再スタートさせた後には、S240で、その再スタート時点から所定時間が経過したか否かを判断し、所定時間が経過していない場合には(S240でNo)、S250に移行することにより、当該タイマの再スタート時点から所定時間が経過するまでの期間、タイムサーバ設定情報を構成する三つの動作パラメータのいずれかについての上記設定変更要求データを、ネットワークインタフェース13を通じて新たに受信するか、ネットワークインタフェース13を通じて、上記終了通知データを受信するまで待機する。
【0083】
尚、待機中に、上記設定変更要求データを、ネットワークインタフェース13を通じて新たに受信すると(S250でYes)、制御部11は、この設定変更要求データが示す要求内容を、実行保留コマンドとしてRAM11cに追加すると共に、タイマを再々スタートさせる(S280)。制御部11は、設定変更要求データを受信する度、このような動作を繰返す。
【0084】
そして、タイマスタート時点から所定時間が経過するまでの期間に、終了通知データをネットワークインタフェース13を通じて受信すると(S260でYes)、その時点で、S290に移行する。一方、終了通知データを受信することなく、タイマスタート時点から所定時間が経過した場合には(S240でYes)、当該所定時間が経過した時点で、S290に移行する。
【0085】
S290に移行すると、制御部11は、RAM11cに蓄積された各実行保留コマンドの内容に従って、EEPROM11dが記憶保持するタイムサーバ設定情報を構成する各動作パラメータの設定値を更新することにより、S210で、タイムサーバ設定情報を構成する三つの動作パラメータのいずれかについての設定変更要求データを最初に受信した時点、以降に受信した各設定変更要求データに従う設定値の変更動作を行う。換言すると、設定変更要求データに従う設定値の変更動作の実行を保留し始めた時点、以降に受信した各設定変更要求データに従う設定値の変更動作を行う。
【0086】
この動作により、EEPROM11dが記憶保持する動作パラメータの設定値は、PC40から送信された各設定変更要求データに記述された動作パラメータの設定値に、変更される。尚、設定値の変更が完了した実行保留コマンドは、その時点でRAM11cから削除される。
【0087】
このようにして、RAM11cに登録された全実行保留コマンドに対応する設定値の変更動作を行うと、制御部11は、内部時計補正処理を実行するタスク(以下、「内部時計補正処理タスク」という。)に時刻取得命令を入力して、内部時計補正処理をS110から再スタートさせる(S300)。
【0088】
続いて、上述したタイムサーバ設定受付処理により実現される動作の具体例について、図5に示すラダーチャートを用いて説明する。図5は、設定変更時における複合機10及びPC40の動作態様を示したラダーチャートである。
【0089】
ここでは、比較例(図9参照)と同様に、アクセスパラメータを「非固定」から「固定」に、サーバアドレスを「○○○.com」から「△△△.com」に、データ取得周期を「24時間」から「8時間」に、設定変更する操作が、PC40でなされた場合を考える。
【0090】
このような設定変更操作がタイムサーバ設定画面を通じてなされた状態で、PC40に対して設定終了操作がなされると、PC40からは、上述したように、アクセスパラメータについての設定変更要求データ、サーバアドレスについての設定変更要求データ、及び、データ取得周期についての設定変更要求データが順に、送信され、更に、終了通知データが送信されることになる。
【0091】
複合機10は、このような環境で、まず、アクセスパラメータについての設定変更要求データを受信すると、タイマをスタートさせて(S230)、所定時間、設定値の変更動作の実行を保留する(S240)。
【0092】
S240で判断する上記所定時間(以下、「単位保留時間」ともいう。)は、タイムサーバ設定画面での複数の動作パラメータの設定変更により連続的に送信されてくる設定変更要求データの受信間隔よりも、十分長い時間に設定されている。
【0093】
このため、S345の処理により、計3つの設定変更要求データが順に、PC40から複合機10に送信された場合には、S240でYesと判断される前に、新たな設定変更要求データ(サーバアドレスについての設定変更要求データ)が複合機10で受信され、S270,S280の処理が行われることになる。
【0094】
このため、実行を保留する期間は、サーバアドレスについての設定変更要求データの受信時点で、図5に示すように延長され、データ取得周期についての設定変更要求データは、この延長された期間に、複合機10で受信されることになる。
【0095】
従って、複合機10においては、PC40のタイムサーバ設定画面にて設定変更された各動作パラメータについての設定変更要求データが受信されるまで、当該設定変更要求データに基づくEEPROM11dへの設定値の変更動作は、なされず、この設定変更要求データに基づく変更後の設定値に従う内部時計補正処理も実行されないことになる。
【0096】
また、比較例のように、設定変更要求データの受信の度に、複合機10がタイムサーバ20,21にアクセスすることもない。
よって、本実施例の複合機10によれば、タイムサーバ設定画面で変更された設定値の全てが複合機10に反映されていないのにも拘わらず、一部の設定値のみが反映された状態で、時刻データの取得動作が実行されてしまうのを回避することができ、結果として、タイムサーバ20,21への不要なアクセスが生じるのを抑制することができる。
【0097】
また、複合機10は、PC40から終了通知データを受信した場合には、S260でYesと判断し、S290に移行することにより、図5に示すように、単位保留時間の終了時刻が到来する前に、保留状態を解除し、それまでに受信した設定変更要求データに従うEEPROM11dへの設定値の変更動作を実行する。
【0098】
従って、本実施例によれば、迅速に、PC40の設定変更操作の結果を、内部時計補正処理に反映させることができる。
ところで、上記実施例においては、タイムサーバ設定画面において、ユーザが一つの動作パラメータの設定値を変更する度に、上記「適用」する旨の操作を行う場合を想定して、単位保留時間を、長めに設定されるとよい。
【0099】
PC40のユーザは、タイムサーバ設定画面に対する操作が、複合機10にどのような手順で反映されるのか知らないので、計三つの動作パラメータの設定値を変更するつもりでも、一つの動作パラメータの設定値を変更する度に、「適用」する旨の操作を行う可能性がある。
【0100】
このような「適用」する旨の操作が行われる場合には、ユーザが、目的とする全ての動作パラメータについての設定変更操作を行う前に、S335の処理が実行されるが、単位保留時間を長めに設定しておけば、ユーザが次の「適用」する旨の操作を行って、新たな設定要求データが送信されてくるまで、複合機10側で、先立って受信した設定要求データに基づく設定値の変更動作の実行を保留することができて、ユーザが目的とする設定変更操作の全てが完了する前に、一部の設定変更要求を受け付けた状態で、タイムサーバ設定情報が更新され、時刻データの取得動作が実行されてしまうのを回避することができる

【0101】
この他、上述した通信システム1は、次のように構成されてもよい。
即ち、PC40は、S350の処理を実行しない構成、即ち、終了通知データを送信しない構成にされてもよい。この場合には、複合機10を、S260の処理を実行しない構成にする。即ち、タイムサーバ設定受付処理を、S250でNoと判断した場合にはS240に移行する構成にする。
【0102】
このように通信システム1を構成した場合(以下、第一変形例という。)には、複合機10が図6に示すように動作することになる。図6は、第一変形例の複合機10の動作態様を示したラダーチャートである。
【0103】
第一変形例では、最終の設定変更要求データの受信後にも、終了通知データがPC40から送信されてこないので、複合機10は、最終の設定変更要求データの受信後、S280の処理で延長された期間(単位保留時間が経過するまでの期間)、設定値の変更動作の実行を保留した状態に維持する。そして、当該期間の終了時点で、それまでに受信した設定変更要求データに基づくEEPROM11dへの設定値の変更動作を実行して、タイムサーバ設定画面にて設定変更操作がなされた設定値をEEPROM11dに反映させ、内部時計補正処理タスクに、変更後の設定値に従う時刻データの取得動作を実行させる。
【0104】
この第一変形例によれば、終了通知データを送信する機能をPC40に設けなくて済み、終了通知データを受信したときの複合機10側での処理も不要になるので、対応するプログラムを簡素な構成とすることができる。
【0105】
また、第一変形例の複合機10は、更に、S280の処理を実行しない構成にされてもよい。即ち、タイムサーバ設定受付処理を、S270の処理実行後、S280の処理を実行することなく、S240に移行する構成にされてもよい。
【0106】
このように通信システム1を構成した場合(以下、第二変形例という。)には、複合機10が図7に示すように動作することになる。図7は、第二変形例の複合機10の動作態様を示したラダーチャートである。
【0107】
第二変形例では、S280の処理が実行されないので、第1の設定変更要求データの受信を契機としてタイマをスタートさせた後には(S230)、タイマがリセットされたり再スタートされることはない。
【0108】
従って、設定値の変更動作の実行を保留する期間は、第一変形例のように延長されることなく、第1の設定変更要求データとして、アクセスパラメータについての設定変更要求データを受信した時点から単位保留時間が経過した時点で、終了することになる。
【0109】
即ち、複合機10は、この単位保留時間が経過するまでの期間に受信した各設定変更要求データに基づくEEPROM11dへの設定値の変更動作を、当該期間が終了するまで保留し、当該期間の終了時点で、これらの設定変更要求データに基づくEEPROM11dへの設定値の変更動作を実行して、タイムサーバ設定画面にて設定変更操作がなされた設定値をEEPROM11dに反映させ、内部時計補正処理タスクに、変更後の設定値に従う時刻データの取得動作を実行させることになる。
【0110】
このように構成された第二変形例の複合機10によれば、S280の処理を実行しなくて済むので、タイムサーバ設定受付処理を実現するプログラムの構成を簡素にすることが
できる。また、制御部11での処理負荷を低減することができる。
【0111】
但し、第二変形例では、設定値の変更動作の実行を保留する期間を延長しないため、上記単位保留時間は、三つの設定変更要求データが連続してPC40から送信されてくる場合でも、それらの設定変更要求データの受信が終わるまで、単位保留時間が経過しないように、十分に長い時間に、予め定められる必要がある。
【0112】
また、図4に示すタイムサーバ設定管理処理は、図8に示すように変更されてもよい。図8は、第三変形例の通信システム1におけるPC40が実行するタイムサーバ設定管理処理を表すフローチャートである。尚、図8においては、図4に示すタイムサーバ設定管理処理と同一処理を実行するステップに対して、同一ステップ番号を付す。
【0113】
第三変形例のタイムサーバ設定処理を実行すると、PC40は、タイムサーバ設定画面を表示し(S310)、タイムサーバ設定画面に対する操作がなされるまで待機する(S320)。
【0114】
そして、タイムサーバ設定画面に対する操作がなされると(S320でYes)、PC40は、S340に移行し、なされた操作が、タイムサーバ設定画面を通じてした設定変更の内容を、複合機10に「適用」して終了する旨の設定終了操作であるか否かを判断する。
【0115】
ここで、設定終了操作であると判断すると(S340でYes)、PC40は、S347に移行し、設定値の変更の有無に関わらず、タイムサーバ設定画面上で設定操作可能な全ての動作パラメータ(アクセスパラメータ,サーバアドレス,データ取得周期)について、動作パラメータ毎に、タイムサーバ設定画面での設定値を記述した上記設定変更要求データを生成する。
【0116】
そして、これを順に、PC40内蔵のネットワークインタフェース(図示せず)を通じて、複合機10に送信する。更に、全ての動作パラメータについての上記設定変更要求データの送信が完了した時点で、複合機10に対し、設定変更要求データの送信を終了する旨の終了通知データを送信する(S350)。その後、タイムサーバ設定画面を閉じて(S380)、タイムサーバ設定管理処理を終了する。
【0117】
一方、上記なされた操作が設定終了操作ではないと判断すると(S340でNo)、PC40は、S360に移行し、後続の処理を、図4に示すタイムサーバ設定管理処理と同様に実行する。
【0118】
第三変形例によれば、ユーザが設定終了操作(S340)を行うことによって、S347で、全ての動作パラメータ(アクセスパラメータ,サーバアドレス,データ取得周期)の設定変更要求データが送信されることになるが、この場合でも、複合機10では、図5に示すようにして、処理がなされる。従って、第三変形例においても、タイムサーバ20,21への不要なアクセスを抑えることができる。
【0119】
尚、第三変形例のように、タイムサーバ設定管理処理が構成される場合、S240での所定時間(単位保留時間)は、比較的短い時間(例えば5秒)に設定される。
また、図8に示すタイムサーバ設定管理処理において、終了通知データの送信手順(S350)は、省略可能である。この場合には、複合機10が、第一変形例(図6)と同様に動作することになる。また、複合機10を、第二変形例と同様に構成すれば、複合機10が、図7に示すように動作することになる。
【0120】
以上、変形例を含む本発明の実施例について説明したが、「特許請求の範囲」記載の電子機器は、複合機10に相当し、管理装置は、PC40に相当し、外部装置は、タイムサーバ20,21に相当する。また、処理実行手段は、制御部11が実行する内部時計補正処理にて実現され、実行制御手段は、制御部11が実行するタイムサーバ設定受付処理にて実現されている。
【0121】
また、「第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求」は、内部時計補正処理開始後、設定値の変更動作の実行を保留していない状態で(S210で待機している状態で)、最初に受信した設定変更要求データに対応し、「第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求」は、最初に受信した設定変更要求データよりも後に受信した各設定変更要求データに対応する。
【0122】
この他、実行制御手段が、処理実行手段による変更後の設定値に基づく処理の実行を禁止する動作は、タイマの計測時間が単位保留時間を経過するまでは、S240でNoと判断し、S290及びS300の処理を実行しないことで、内部時計補正処理タスクが、設定変更要求データに基づく変更後の設定値に従って動作するのを禁止する動作にて実現されている。
【0123】
また、実行制御手段が「所定期間の経過前に、管理装置から、複数の動作パラメータの内、第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合には、処理実行手段に、当該変更要求に基づく変更後の第2の動作パラメータの設定値、及び、先立って受信した変更要求に基づく変更後の第1の動作パラメータの設定値に従う所定の処理を実行させる」動作は、S290及びS300の処理により実現されている。
【0124】
更に、実行禁止期間の終了時刻を延長する動作は、制御部11が実行するS280の処理により実現され、終了通知の受信を契機して禁止状態を解除する動作は、終了通知データの受信を契機として、S260でYesと判断し、S290,S300の処理を実行する動作により実現されている。
【0125】
また、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、本発明は、ディジタル複合機に限らず、各種の電子機器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】通信システム1及び複合機10の構成を表すブロック図である。
【図2】制御部11が実行する内部時計補正処理を表すフローチャートである。
【図3】制御部11が実行するタイムサーバ設定受付処理を表すフローチャートである。
【図4】PC40が実行するタイムサーバ設定管理処理を表すフローチャートである。
【図5】設定変更時における複合機10の動作態様を示したラダーチャートである。
【図6】第一変形例の複合機10の動作態様を示したラダーチャートである。
【図7】第二変形例の複合機10の動作態様を示したラダーチャートである。
【図8】第三変形例のタイムサーバ設定管理処理を表すフローチャートである。
【図9】比較例の電子機器の動作態様を示したラダーチャートである。
【符号の説明】
【0127】
1…通信システム、10…複合機、11…制御部、11a…CPU、11b…ROM、11c…RAM、11d…EEPROM、13…ネットワークインタフェース、15…記録
部、17…読取部、19…表示操作部、20,21…タイムサーバ、30…DHCPサーバ、40,41…PC、NT…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続可能な構成にされた通信機能を備える電子機器であって、
複数の動作パラメータに対応する複数の設定値に従って、ネットワークに接続された外部装置に対する所定の処理を実行する処理実行手段と、
前記ネットワークに接続された管理装置から、前記複数の動作パラメータの内、第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合には、前記処理実行手段が、当該変更要求に基づく変更後の前記第1の動作パラメータの設定値に従い、前記所定の処理を実行するのを所定期間禁止し、前記所定期間の経過前に、前記管理装置から、前記複数の動作パラメータの内、第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合には、前記処理実行手段に、当該変更要求に基づく変更後の前記第2の動作パラメータの設定値、及び、先立って受信した変更要求に基づく前記変更後の第1の動作パラメータの設定値に従う前記所定の処理を実行させる実行制御手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の動作パラメータに対する設定値の変更要求は、前記実行制御手段によって前記処理の実行動作が禁止されていない状態で、最初に前記管理装置から受信する前記複数の動作パラメータのいずれかに対する設定値の変更要求であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記実行制御手段は、前記処理の実行動作の禁止後、前記所定期間が経過するまでの期間としての実行禁止期間中に、前記管理装置から、前記第2の動作パラメータに対する設定値の変更要求を受信した場合には、前記実行禁止期間の終了時刻を延長することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記実行制御手段は、前記管理装置から変更要求の終了通知を受信すると、当該終了通知受信以前に前記管理装置から受信した変更要求に基づく変更後の設定値に従う前記所定の処理を、前記処理実行手段に実行させて、前記処理の実行禁止状態を解除することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記外部装置は、現在時刻を提供するタイムサーバであり、
前記処理実行手段は、前記所定の処理として、前記タイムサーバから現在時刻を取得するための処理を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記複数の動作パラメータは、前記タイムサーバのアドレス、及び、前記タイムサーバから現在時刻を取得する周期、を含むことを特徴とする請求項5記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−86250(P2010−86250A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254029(P2008−254029)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】