電子機器
【課題】組立性を向上させることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】防水チューブ400に収納された配線を軸部材353に挿通し、防水チューブ400に形成されたフランジ部411を第1筐体100の開口部121の周囲の面に押圧部材500を介して押圧する。第1軸受部351と第2軸受部352に挿通された軸部材が、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、押圧部材500が開口部121の開口方向に移動しないように押圧部材500を押さえる。これにより、開口部121における防水を図る。
【解決手段】防水チューブ400に収納された配線を軸部材353に挿通し、防水チューブ400に形成されたフランジ部411を第1筐体100の開口部121の周囲の面に押圧部材500を介して押圧する。第1軸受部351と第2軸受部352に挿通された軸部材が、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、押圧部材500が開口部121の開口方向に移動しないように押圧部材500を押さえる。これにより、開口部121における防水を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に2つの筐体を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置において、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して折り畳み可能に結合されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような携帯端末装置では、第1の筐体内の基板と、第2の筐体内の基板とは、ヒンジ部内を通る配線により電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−100085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の携帯端末装置のような2つの筐体を備える電子機器において、第1の筐体内の基板と、第2の筐体内の基板とを接続する配線の防水を図るためには、防水用のチューブ内に配線を通す必要がある。しかし、チューブ内の配線を筐体に形成された開口を通して筐体内部へ案内する際に、開口から筐体内部へ水が浸入しないように開口にチューブを押し込む必要があり、組立性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、組立性を向上させることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電子機器は、
第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体のそれぞれの内部に収容された回路基板を相互に電気的に接続する配線と、前記配線を内部に収容する防水チューブと、を備える電子機器であって、
前記防水チューブの外周に形成され、径方向に外側に突出するフランジ部と、
前記第1筐体の外側表面に形成された開口部の周囲の面に前記フランジ部が当接するように前記フランジ部を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材が前記開口部の開口方向に移動することを防止する移動防止手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
前記防水チューブは、前記第1筐体内部の回路基板へ前記配線を案内する端部に、蛇腹状に形成された蛇腹部を有し、
前記蛇腹部は、前記フランジ部が前記開口部の周囲の面と当接している状態で、前記開口部から第1筐体の内側へ貫通する通路の内壁と当接してもよい。
【0008】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に筒状に形成された筒部と、前記筒部に挿通される固定部材と、を備え、
前記固定部材には、前記開口部の開口方向と略直交する方向に前記筒部の開口から突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記押圧部材の前記フランジ部を押圧している面と反対側の面と当接してもよい。
【0009】
前記第2筐体に設けられた筒状の軸受部をさらに備え、
前記固定部材は、前記筒部と前記軸受部に挿通されて、前記第1筐体と前記第2筐体とを前記開口部の開口方向と略直交する方向を中心として回動可能に連結し、
前記防水チューブは、前記固定部材に形成された、前記開口部の開口方向と略直交する方向に延びる通路内に挿通されてもよい。
【0010】
前記移動防止手段は、前記押圧部材を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材に一体に形成されたカバー爪部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記第1筐体に形成された孔に嵌合して、前記カバー部材を前記第1筐体に固定してもよい。
【0011】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に形成され、前記開口部の開口方向と略直交する方向に突出する突出部を備え、
前記突出部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材に形成された凹部に係合してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、組立性を向上させることが可能な電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明の実施形態1に係る携帯電話端末の閉じた状態の外観図、(b)は、開いた状態の外観図である。
【図2】一部のヒンジカバーを取り外した状態のヒンジ部の拡大図である。
【図3】第1回動部の拡大図である。
【図4】ヒンジカバーから第2回動部を分解した状態の斜視図である。
【図5】図2の切断線A−Aにおける要部拡大断面図である。
【図6】図2の切断線B−Bにおける要部拡大断面図である。
【図7】防水構造を説明するための分解斜視図である。
【図8】押圧部材の底面図である。
【図9】第1回動部による押圧部材の開口方向の移動の防止を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る携帯電話端末の外観図である。
【図11】図10の切断線C−Cにおける要部拡大断面図である。
【図12】実施形態2の変形例に係る携帯電話端末の要部拡大断面図である。
【図13】実施形態2の変形例に係る携帯電話端末の要部拡大断面図である。
【図14】実施形態2の変形例に係る携帯電話端末の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態1について図を用いて説明する。なお、本発明の実施形態1では、電子機器の一例として携帯電話端末1を挙げて説明する。図1(a)は、携帯電話端末1が閉じた状態を表す外観図であり、図1(b)は、図1(a)に示すX軸を中心として開いた状態を表す外観図である。携帯電話端末1は、第1筐体100と、第2筐体200と、から構成される。第1筐体100と第2筐体200とは、ヒンジ部300によりX軸及びX軸と直交するY軸を中心として回転可能に連結されている。
【0015】
第1筐体100は、各種操作キー110を有する筐体である。また、第2筐体200は、各種画像を表示するための表示部210を有する筐体である。第1筐体100及び第2筐体200には、図示しない回路基板が内部に収納されている。第1筐体100及び第2筐体200内部に収容された回路基板は、例えば、複数の細い導体から成る同軸細線といった、図示しない配線によって、相互に電気的に接続される。配線は、図2に示す防水チューブ400に覆われた状態で、ヒンジ部300内に収容される。また、配線の端部に設けられた回路基板との接続部は、第1筐体100と第2筐体200に形成された開口部を通って、第1筐体100と第2筐体200の内側に案内される。
【0016】
ヒンジ部300は、第1筐体100と第2筐体200とをX軸及びY軸を中心として回動可能に連結するものである。ヒンジ部300は、具体的には、図1(a)及び(b)に示すように、ヒンジカバー310〜340を備える。図2は、携帯電話端末1が折りたたまれた状態(図1(a)に示す状態)においてヒンジカバー310を取り外した場合のヒンジ部300の拡大図である。図2に示すように、ヒンジ部300は、第1回動部350と、第2回動部360と、を備える。また、ヒンジ部300は、防水チューブ400に覆われた同軸細線(図示せず)を内部に収容する。
【0017】
第1回動部350は、第1筐体100と第2筐体200とをX軸を中心として回動可能に連結するものである。図3にヒンジカバー310、320を取り外した状態における、ヒンジカバー320側の第1回動部350の拡大図を示す。第1回動部350は、図2及び図3に示すように、第1筐体100の表面に形成された筒状の第1軸受部351と、ヒンジカバー340に形成された筒状の第2軸受部352と、第1軸受部351と第2軸受部352の両方に挿通される軸部材353と、から構成される。この構成により、第1筐体100、及び第2回動部360を介してヒンジカバー340に連結された第2筐体200は、軸部材353、すなわちX軸を中心として回動可能である。また、図2に示すヒンジカバー330側の第1回動部350も、上述したヒンジカバー320側の第1回動部350と同様の構成により、第1筐体100及び第2筐体をX軸を中心として回動可能に連結する。
【0018】
また、軸部材353は、図7に示すように、筒状の本体部353aと、本体部353aの一端部に形成されたフランジ部353bと、本体部353aの他端部に形成された板バネ部353cと、板バネ部353cの先端部に形成された爪部353dと、から一体的に構成される。図5に示すように、本体部353aは、防水チューブ400が挿通されるための通路がX軸方向に沿って形成されている。また、フランジ部353bは、本体部353aから径方向外側に突出するように形成されており、その外周の径は、第2軸受部352の内径よりも大きい。従って、軸部材353を第2軸受部352に挿通すると、フランジ部353bにより、軸部材353は第2軸受部352に係止される。また、板バネ部353cは、本体部353aからX軸方向に延びる板状に形成されており、その先端部に径方向外側に突出する爪部353dが形成されている。従って、軸部材353が第2軸受部352及び第1軸受部351に挿通される際、爪部353dは、板バネ部の弾性力により、軸部材の径方向内側に移動する。そして、挿通後、爪部353dは、板バネ部353cの弾性力により径方向外側に移動し、元の位置に復帰する。ここで、フランジ部353bと爪部353dとの間の距離は、第1軸受部351と第2軸受部352の幅を合わせた長さにほぼ等しいため、軸部材351を第1軸受部351と第2軸受部352に挿通すると、フランジ部353bと爪部353dとにより第1軸受部351と第2軸受部352が挟み込まれた状態になる。従って、軸部材353は、第1回動部350のX軸方向への移動が規制され、第1軸受部351と第2軸受部352から抜けないように固定される。
【0019】
第2回動部360は、第1筐体100と第2筐体200とを、図1(b)に示すように第1筐体100をX軸を中心として90°以上開いた後、Y軸を中心として回動可能に連結するものである。図4にヒンジカバー340から第2回動部360を分解した図を示す。第2回動部360は、図4に示すように、第2筐体200(図示せず)に固定される第1連結部材361と、軸部材362と、ヒンジカバー340にネジ364、365により固定される第2連結部材363と、から構成される。第1連結部材361は、軸部材362に図示しない固定手段により固定されている。また、軸部材362は、第2連結部材363に対してY軸を中心として回動可能に取り付けられている。この構成により、第1連結部材361に固定された第2筐体200は、軸部材362及び第2固定部材363を介して、Y軸を中心に回動可能なように、ヒンジカバー340に連結される。
【0020】
さらに、第1連結部材361の略中央にはY軸方向に開口する開口部361aが形成されている。また、第2連結部材363も、同様にY軸方向に開口する開口部(図示せず)が形成されている。そして、軸部材362は、筒状に形成されており、その内部の通路はY軸方向に沿って形成されている。従って、図2及び図4に示すように、第2筐体200内から外側へ延びる配線は、防水チューブ400に覆われた状態で、第1固定部材361の開口部361、軸部材362内部の通路、及び第2固定部材363の開口部を通って、ヒンジカバー340内に案内される。
【0021】
次に、ヒンジカバー340内部から外側へ案内された配線が、第1筐体100に形成された開口部から第1筐体の内側に案内される際の、第1筐体100の開口部における防水構造について説明する。図5及び図6は、それぞれ図2の切断線A−A、及びB−Bにおける要部拡大断面図である。また、図7は、防水構造を説明するための分解斜視図である。図5〜7に示すように、第1筐体100には、第1筐体100の外側から内側へ貫通し、防水チューブ400に覆われた配線を第1筐体100内に案内するための案内通路120が形成されている。案内通路120は、第1筐体100の外側表面に形成され、X軸と略直交する方向に開口する開口部121を有する。この開口部121の周囲の面に、防水チューブ400のフランジ部411が押圧部材500によって押圧されるとともに、押圧部材500は、第1回動部350によって開口部121の開口方向に移動できないように固定される。このようにして、開口部121の周囲の面に防水チューブ400のフランジ部411が当接した状態が保たれるため、開口部121から第1筐体100内への水の浸入を防止することができる。以下、この防水構造について詳細に説明する。
【0022】
防水チューブ400は、内部に配線を収容し、配線の防水を図るものである。防水チューブ400は、例えばゴム等の柔軟な素材から成り、任意の方向に屈曲させることで内部の配線を任意の方向に案内することが可能である。具体的には、防水チューブ400は、図2及び図7に示すように、第1筐体100内の回路基板へ配線を案内する第1端部410と、第2筐体200内の回路基板へ配線を案内する第2端部420と、第1端部410と第2端部420をつなぐ本体部430と、から構成される。本体部430は、外径が略均一に延びる管状の部分である。
【0023】
図7に示すように、第1端部410は、外周に形成され、径方向外側に突出するフランジ部411と、フランジ部411から第1端部410の先端にわたって外周が蛇腹状に形成された蛇腹部412と、から構成される。フランジ部411は、図5及び図6において断面で示すように、その外径は、開口部121の径よりも大きい。また、蛇腹部412は、その外周において、突出する部分と窪む部分が交互に形成されており、伸縮自在に形成されている。蛇腹部412は、自然状態においてその突出する部分における外径は案内通路120の径よりも小さい。また、蛇腹部412は、長手方向に圧縮する力を受けると、その突出する部分における外径は案内通路120の径よりも大きくなる。ここで、案内通路120は、開口部121が形成された反対側の端部に、案内通路120よりも径が小さく、第1筐体100の内側に向かって開口する開口部122を有する。この開口部122の径は、蛇腹部412の外径よりも小さく、また、案内通路120の長さは、自然状態における蛇腹部412の長さよりも短い。従って、図5及び図6に示すように、蛇腹部412が案内通路120内に挿通され、フランジ部411が開口部121に向かって押圧されると、蛇腹部412は圧縮され、その突出する部分が案内通路120の内壁と当接する。これにより、蛇腹部412と案内通路120とにより、防水を図ることができる。
【0024】
次に、防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧する押圧部材500について説明する。押圧部材500は、具体的には、図8に開口部121側から見た押圧部材500の底面図に示すように、断面は略U字形状に形成されている。押圧部材500は、その略U字形状の開口が、図3に示すように、X軸方向に開口するように、詳細には第1回動部350の軸部材353と向き合うように配置される。また、押圧部材500の内部には、図5及び図6に示すように、開口部121の開口方向に延び、防水チューブ400の本体部430の外径よりも径が大きい案内通路510が形成されている。従って、図5に示すように、軸部材353に挿通された防水チューブ400は、X軸に沿って延びた状態から、押圧部材500の案内通路510に案内されて開口部121の開口方向に略直角に屈曲し、さらに開口部121へ案内される。
【0025】
また、押圧部材500の開口部121と対向する端部には防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧するための押圧部520が形成されている。図8に示すように、押圧部520は、案内通路510の径及び防水チューブ400のフランジ部411の外径よりも、その径が大きい。従って、図6において、押圧部材500が下向き、すなわち開口部121に向けて押圧されると、押圧部520が、フランジ部411を開口部121に向けて押圧する。従って、フランジ部411と開口部121の周囲の面とが当接するため、開口部121における防水を図ることができる。
【0026】
次に、押圧部材500が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧した状態において、押圧部材500の開口部121の開口方向への移動(すなわち、押圧部材500がフランジ部411を押圧する方向と反対方向への移動)を防止する移動防止手段について説明する。
【0027】
実施形態1において、第1回動部350が、上述の移動防止手段として機能する。具体的には、図3に示すように、第1軸受部351と第2軸受部352とに挿通されることにより、X軸と垂直な方向への移動を規制された軸部材353が押圧部材500を押さえる。これにより、押圧部材500は、開口部121の開口方向への移動を妨げられる。以下、この構成について詳細に説明する。
【0028】
図9に、携帯電話端末1のヒンジ部300側から見た軸部材353及び押圧部材500の側面図を示す。図9に示すように、軸部材353のフランジ部353aが形成された端部と反対側の端部に、本体部353aからX軸方向に突出する略矩形状の突出部353eが形成されている。突出部353eは、軸部材353が第1軸受部351と第2軸受部352に挿通されると、第1軸受部351の開口から突出する。また、押圧部材500は、側面視で略L字形状に形成され、軸部材353に向かって、X軸方向に延びる突出部530が形成されている。ここで、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧している状態において、軸部材353が第1軸受部351と第2軸受部352に挿通されると、開口部121の開口方向と垂直な面において、突出部530と当接する。すなわち、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500のフランジ部411を押圧する面と反対側の面と当接する。また、軸部材353は、第1軸受部351と第2軸受部352に挿通されると、X軸方向の移動を規制される。従って、押圧部材500も、X軸と略直交する方向、すなわち開口部121の開口方向への移動を規制される。このようにして、押圧部材500は、第1回動部350により、防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向かって押圧した状態を維持することができる。なお、図3に示すように、軸部材353の突出部353eと、押圧部材500の突出部530とは、図9に示す側面と反対側の側面にも形成されている。
【0029】
次に、押圧部材500を覆うヒンジカバー320について説明する。ヒンジカバー320には、図5において断面で示すように、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、第1筐体100に形成された孔130に嵌合する爪部321が一体に形成されている。また、ヒンジカバー320には、図6において断面で示すように、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、第1筐体100に形成された爪部140が嵌合する孔322が形成されている。爪部321と孔130、爪部140と孔322とがそれぞれ嵌合すると、ヒンジカバー320が第1筐体100に固定されるとともに、ヒンジカバー320内部の押圧部材500も、ヒンジカバー320により固定される。従って、ヒンジカバー320も、開口部121の開口方向の押圧部材500の移動を防止する移動防止手段として機能する。
【0030】
次に、上述した第1筐体100の開口部121における防水構造の組立方法について説明する。
【0031】
まず、第2筐体200の内側から外側へ案内された配線を防水チューブ400に収容した状態で、第2回動部360内を挿通し、ヒンジカバー340内に導く(図2参照)。そして、防水チューブ400の第1端部410を、第1回動部350の軸部材353、第2軸受部352、第1軸受部351の順に挿通する(図7参照)。
【0032】
次に、防水チューブ400の本体部430を押圧部材500の案内通路510内に導く。そして、押圧部材500をその略U字形状の開口が第1回動部350の軸部材353と向き合うように位置させた状態で、防水チューブの蛇腹部412を第1筐体100の案内通路120内に挿通し、押圧部材500を開口部121に向けて押し付ける(図5参照)。このようにして、押圧部材500の押圧部520と開口部121の周囲の面とで防水チューブ400のフランジ部411を押圧した状態で挟み込む。
【0033】
つぎに、押圧部材500を開口部121に向けて押圧した状態で、軸部材353を爪部353dが形成された端部から第2軸受部352、第1軸受部351の順に挿通する(図3参照)。これにより、軸部材353がそのフランジ部353bと爪部353dにより第1軸受部351と第2軸受部352に係止された状態で、押圧部材500の突出部530が軸部材353の突出部353eと第1筐体100の表面との間に挟み込まれて、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動が防止される。従って、押圧部材500によりフランジ部411が開口部121の周囲の面と当接している状態が保たれ、開口部121における防水が図られる。
【0034】
以上の構成により、実施形態1に係る携帯電話端末1においては、押圧部材500で防水チューブ400のフランジ部411を第1筐体100の開口部121に向けて押圧し、その状態で第1回動部350により押圧部材500が開口部121の開口方向に移動しないように固定することで、開口部121における防水を図っている。これにより、第1筐体100の開口部121から防水チューブ400を直接人の手で押し込んで防水を図る作業をする必要がないため、組立性を向上させることができる。
【0035】
また、実施形態1では、防水チューブ400の端部が、伸縮自在に形成された蛇腹部412である。そして、フランジ部411が押圧部材500により開口部121にむけて押圧されると、案内通路120内の蛇腹部412が圧縮され、その外周が案内通路120内壁と当接する。従って、フランジ部411と開口部121の縁部との間だけでなく、蛇腹部412と案内通路120の内壁との間でも防水を図ることができる。
【0036】
また、実施形態1では、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500の突出部530と当接する。従って、開口部121における防水が図れているか否か、すなわち、押圧部材500がフランジ部411を押圧しているか否かは、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500の突出部530と当接しているか否かを確認すれば把握できる。このように、容易に防水の確認を行うことができる。
【0037】
また、実施形態1では、第1回動部350が第1筐体100と第2筐体200とを回動可能に連結するものとして機能するだけでなく、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動を防止する手段として機能している。従って、押圧部材500の移動防止手段として別部品を組み入れる必要がなく、コストの低下を図ることができる。
【0038】
また、実施形態1では、ヒンジカバー320が押圧部材500を覆うとともに、開口部121の開口方向の押圧部材500の移動を防止する。また、ヒンジカバー320に一体形成された爪部321が第1筐体100に形成された孔130に嵌合して、ヒンジカバー320を第1筐体100に固定する。従ってヒンジカバーを容易に第1筐体100に取り付けることができるとともに、押圧部材500の移動防止を実現することができる。
【0039】
次に、本発明の実施形態2に係る携帯電話端末1について説明する。上述の実施形態1では、折り畳み式の携帯電話端末1における、ヒンジ部300から第1筐体100内へ案内される配線の防水構造について説明した。実施形態2では、いわゆるスライド式の携帯電話端末1における、第2筐体200から第1筐体100内へ案内される配線の防水構造について説明する。
【0040】
図10は、本発明の実施形態2に係る携帯電話端末1の外観図である。携帯電話端末1は、図10に示すように、第1筐体と第2筐体10は、第1筐体10の操作キー110の上に第2筐体200が重なるように、第1筐体100を第2筐体200の長手方向(図10のスライド方向)に沿ってスライドさせる連結部(図示せず)により連結されている。
【0041】
図11は、図10のスライド方向を切断線C−Cとして切断した要部拡大断面図である。図11に示すように、第1筐体100には、第1筐体100の外側から内側へ貫通し、防水チューブ400に覆われた配線を第1筐体100内に案内するための案内通路120が形成されている。案内通路120は、第1筐体100の外側表面に開口する開口部121を有する。この開口部121の周囲の面に、防水チューブ400のフランジ部411が押圧部材500によって押圧されるとともに、押圧部材500は、筒部150と固定部材600とによって開口部121の開口方向に移動できないように保持される。このようにして、開口部121の周囲の面に防水チューブ400のフランジ部411が当接した状態が保たれるため、開口部121から第1筐体100内への水の浸入を防止することができる。なお、実施形態2における携帯電話端末1では、実施形態1の携帯電話端末1と異なり、開口部121は、スライドされて操作キー110が露出している状態(図10に表す状態。以下、スライド状態)において第2筐体200と対向する表面に形成されている。以下、この防水構造について詳細に説明する。
【0042】
防水チューブ400及び押圧部材500は、図11に示すように、実施形態1と同様に構成される。すなわち、押圧部材500の押圧部510が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧することにより、開口部121における防水を図る。
また、実施形態2における押圧部材500は、第1筐体100に形成された筒部150に挿通された固定部材600により、フランジ部411を押圧した状態で、開口部121の開口方向に移動できないように固定される。筒部150は、第1筐体100の表面であって、スライド状態で第2筐体200と対向する面に形成される。固定部材600は、実施形態1における第1回動部350の軸部材353と同様に形成され、フランジ部610と、爪部620とにより、筒部150に係止される。そして、固定部材600には、固定部材600が筒部150に挿通された状態で筒部150の開口から開口部121の開口方向と略直交する方向に突出する突出部(図示せず)が形成されている。この突出部が、実施形態1における軸部材353の突出部353eと同様に、押圧部材500の突出部530と当接して、押圧部材が開口部121の開口方向に移動できないように固定する。
【0043】
次に、実施形態2において、上述した第1筐体100の開口部121における防水構造の組立方法について説明する。
【0044】
まず、第2筐体200の内側から外側へ案内された配線を防水チューブ400に収容した状態で、防水チューブ400の第1端部410を、固定部材600、第1筐体100の筒部150の順に挿通する。次に、防水チューブ400の本体部430を押圧部材500の案内通路510内に導く。そして、押圧部材500をその略U字形状の開口が第1回動部350の軸部材353と向き合うように位置させた状態で、防水チューブの蛇腹部412を第1筐体100の案内通路120内に挿通し、押圧部材500を開口部121に向けて押し付ける。このようにして、押圧部材500の押圧部520と開口部121の周囲の面とで防水チューブ400のフランジ部411を押圧した状態で挟み込む。
【0045】
次に、押圧部材500を開口部121に向けて押圧した状態で、固定部材600を爪部620が形成された端部から筒部150に挿通する。これにより、固定部材600がそのフランジ部610と爪部620により筒部150に係止された状態で、実施形態1と同様に、押圧部材500の突出部530が固定部材600の突出部(図示せず)と当接し、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動が防止される。
【0046】
以上の構成により、実施形態2に係る携帯電話端末1において、押圧部材500で防水チューブ400のフランジ部411を第1筐体100の開口部121に向けて押圧し、その状態で筒部150と固定部材600とにより押圧部材500が開口部121の開口方向に移動しないように固定することで、開口部121における防水を図っている。これにより、スライド式の携帯電話端末においても、第1筐体100の開口部121から防水チューブ400を直接人の手で押し込んで防水を図る作業をする必要がないため、組立性を向上させることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0048】
例えば、上記の実施形態1及び実施形態2においては、押圧部材500の移動防止手段として、第1回動部350、ヒンジカバー320、筒部150及び固定部材600について説明した。しかし、押圧部材500の移動防止手段は、これに限られない。具体的には、例えば、実施形態2の変形例として図10の切断線C−Cにおける断面図を図12に示す。図12に示すように、第1筐体100に開口部121の開口方向と略直交する方向に突出する突出部160を形成し、押圧部材500に突出部160が係合するための開口または溝である凹部540を形成する。これにより、押圧部材500から開口部121の開口方向に移動しないように、固定してもよい。このような構成により、実施形態1及び実施形態2と同様に、第1筐体100の開口部121から防水チューブ400を直接人の手で押し込んで防水を図る作業をする必要がないため、組立性を向上させることができる。
【0049】
また、第1筐体100に形成された開口部121の開口方向は、実施形態1及び実施形態2のように、第1筐体100の厚さ方向でなくてもよい。具体的には、例えば、実施形態2の変形例として図10の切断線C−Cにおける断面図を図13に示す。図13に示すように、開口部121は、第1筐体100厚さ方向と垂直な方向に開口していてもよい。この場合も、押圧部材500が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧している状態で、第1筐体100に形成された突出部160が凹部540に係合することにより、押圧部材500が開口方向に移動できないように固定される。また、実施形態2の変形例として図10の切断線C−Cにおける断面図を図14に示すように、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動を防止できるならば、第1筐体100に形成された突出部160は1つでもよい。
【0050】
また、実施形態1及び実施形態2では、操作キー110を有する第1筐体100の外側から内側へ配線を案内するための開口部121における防水構造について説明した。しかし、表示部210を有する第2筐体200の外側から内側へ配線を案内するための開口部における防水構造についても、上述した実施形態1、実施形態2、及びその変形例と同様の構成を適用してもよい。
【0051】
また、実施形態1では2軸(すなわち、図1(a)及び(b)のX軸及びY軸)で回転可能に連結された携帯電話端末について、実施形態2ではスライド式の携帯電話端末について、本発明を適用した場合について説明したが、複数の筐体を有するならば、その筐体同士の連結方法はこれに限られない。例えば、第1筐体100と第2筐体200は、図1(a)に示すX軸のみにおいて回動可能に連結されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、電子機器として携帯電話端末1を例に挙げて説明したが、本発明を適用できる電子機器はこれに限られない。例えば、ノートパソコン、ビデオカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)など、複数の筐体を有する電子機器に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…携帯電話端末、100…第1筐体、110…操作キー、120…案内通路、121…開口部、122…開口部、130…孔、140…爪部、150…筒部、160…突出部、200…第2筐体、210…表示部、300…ヒンジ部、310〜340…ヒンジカバー、321…爪部、322…孔、350…第1回動部、351…第1軸受部、352…第2軸受部、353…軸部材、353a…本体部、353b…フランジ部、353c…板バネ部、353d…爪部、353e…突出部、360…第2回動部、361…第1連結部材、362…軸部材、363…第2連結部材、364…ネジ、400…防水チューブ、410…第1端部、411…フランジ部、412…蛇腹部、420…第2端部、430…本体部、500…押圧部材、510…案内通路、520…押圧部、530…突出部、540…凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に2つの筐体を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置において、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ部を介して折り畳み可能に結合されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような携帯端末装置では、第1の筐体内の基板と、第2の筐体内の基板とは、ヒンジ部内を通る配線により電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−100085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の携帯端末装置のような2つの筐体を備える電子機器において、第1の筐体内の基板と、第2の筐体内の基板とを接続する配線の防水を図るためには、防水用のチューブ内に配線を通す必要がある。しかし、チューブ内の配線を筐体に形成された開口を通して筐体内部へ案内する際に、開口から筐体内部へ水が浸入しないように開口にチューブを押し込む必要があり、組立性が悪いという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、組立性を向上させることが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電子機器は、
第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体のそれぞれの内部に収容された回路基板を相互に電気的に接続する配線と、前記配線を内部に収容する防水チューブと、を備える電子機器であって、
前記防水チューブの外周に形成され、径方向に外側に突出するフランジ部と、
前記第1筐体の外側表面に形成された開口部の周囲の面に前記フランジ部が当接するように前記フランジ部を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材が前記開口部の開口方向に移動することを防止する移動防止手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
前記防水チューブは、前記第1筐体内部の回路基板へ前記配線を案内する端部に、蛇腹状に形成された蛇腹部を有し、
前記蛇腹部は、前記フランジ部が前記開口部の周囲の面と当接している状態で、前記開口部から第1筐体の内側へ貫通する通路の内壁と当接してもよい。
【0008】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に筒状に形成された筒部と、前記筒部に挿通される固定部材と、を備え、
前記固定部材には、前記開口部の開口方向と略直交する方向に前記筒部の開口から突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記押圧部材の前記フランジ部を押圧している面と反対側の面と当接してもよい。
【0009】
前記第2筐体に設けられた筒状の軸受部をさらに備え、
前記固定部材は、前記筒部と前記軸受部に挿通されて、前記第1筐体と前記第2筐体とを前記開口部の開口方向と略直交する方向を中心として回動可能に連結し、
前記防水チューブは、前記固定部材に形成された、前記開口部の開口方向と略直交する方向に延びる通路内に挿通されてもよい。
【0010】
前記移動防止手段は、前記押圧部材を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材に一体に形成されたカバー爪部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記第1筐体に形成された孔に嵌合して、前記カバー部材を前記第1筐体に固定してもよい。
【0011】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に形成され、前記開口部の開口方向と略直交する方向に突出する突出部を備え、
前記突出部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材に形成された凹部に係合してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、組立性を向上させることが可能な電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明の実施形態1に係る携帯電話端末の閉じた状態の外観図、(b)は、開いた状態の外観図である。
【図2】一部のヒンジカバーを取り外した状態のヒンジ部の拡大図である。
【図3】第1回動部の拡大図である。
【図4】ヒンジカバーから第2回動部を分解した状態の斜視図である。
【図5】図2の切断線A−Aにおける要部拡大断面図である。
【図6】図2の切断線B−Bにおける要部拡大断面図である。
【図7】防水構造を説明するための分解斜視図である。
【図8】押圧部材の底面図である。
【図9】第1回動部による押圧部材の開口方向の移動の防止を説明するための図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る携帯電話端末の外観図である。
【図11】図10の切断線C−Cにおける要部拡大断面図である。
【図12】実施形態2の変形例に係る携帯電話端末の要部拡大断面図である。
【図13】実施形態2の変形例に係る携帯電話端末の要部拡大断面図である。
【図14】実施形態2の変形例に係る携帯電話端末の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態1について図を用いて説明する。なお、本発明の実施形態1では、電子機器の一例として携帯電話端末1を挙げて説明する。図1(a)は、携帯電話端末1が閉じた状態を表す外観図であり、図1(b)は、図1(a)に示すX軸を中心として開いた状態を表す外観図である。携帯電話端末1は、第1筐体100と、第2筐体200と、から構成される。第1筐体100と第2筐体200とは、ヒンジ部300によりX軸及びX軸と直交するY軸を中心として回転可能に連結されている。
【0015】
第1筐体100は、各種操作キー110を有する筐体である。また、第2筐体200は、各種画像を表示するための表示部210を有する筐体である。第1筐体100及び第2筐体200には、図示しない回路基板が内部に収納されている。第1筐体100及び第2筐体200内部に収容された回路基板は、例えば、複数の細い導体から成る同軸細線といった、図示しない配線によって、相互に電気的に接続される。配線は、図2に示す防水チューブ400に覆われた状態で、ヒンジ部300内に収容される。また、配線の端部に設けられた回路基板との接続部は、第1筐体100と第2筐体200に形成された開口部を通って、第1筐体100と第2筐体200の内側に案内される。
【0016】
ヒンジ部300は、第1筐体100と第2筐体200とをX軸及びY軸を中心として回動可能に連結するものである。ヒンジ部300は、具体的には、図1(a)及び(b)に示すように、ヒンジカバー310〜340を備える。図2は、携帯電話端末1が折りたたまれた状態(図1(a)に示す状態)においてヒンジカバー310を取り外した場合のヒンジ部300の拡大図である。図2に示すように、ヒンジ部300は、第1回動部350と、第2回動部360と、を備える。また、ヒンジ部300は、防水チューブ400に覆われた同軸細線(図示せず)を内部に収容する。
【0017】
第1回動部350は、第1筐体100と第2筐体200とをX軸を中心として回動可能に連結するものである。図3にヒンジカバー310、320を取り外した状態における、ヒンジカバー320側の第1回動部350の拡大図を示す。第1回動部350は、図2及び図3に示すように、第1筐体100の表面に形成された筒状の第1軸受部351と、ヒンジカバー340に形成された筒状の第2軸受部352と、第1軸受部351と第2軸受部352の両方に挿通される軸部材353と、から構成される。この構成により、第1筐体100、及び第2回動部360を介してヒンジカバー340に連結された第2筐体200は、軸部材353、すなわちX軸を中心として回動可能である。また、図2に示すヒンジカバー330側の第1回動部350も、上述したヒンジカバー320側の第1回動部350と同様の構成により、第1筐体100及び第2筐体をX軸を中心として回動可能に連結する。
【0018】
また、軸部材353は、図7に示すように、筒状の本体部353aと、本体部353aの一端部に形成されたフランジ部353bと、本体部353aの他端部に形成された板バネ部353cと、板バネ部353cの先端部に形成された爪部353dと、から一体的に構成される。図5に示すように、本体部353aは、防水チューブ400が挿通されるための通路がX軸方向に沿って形成されている。また、フランジ部353bは、本体部353aから径方向外側に突出するように形成されており、その外周の径は、第2軸受部352の内径よりも大きい。従って、軸部材353を第2軸受部352に挿通すると、フランジ部353bにより、軸部材353は第2軸受部352に係止される。また、板バネ部353cは、本体部353aからX軸方向に延びる板状に形成されており、その先端部に径方向外側に突出する爪部353dが形成されている。従って、軸部材353が第2軸受部352及び第1軸受部351に挿通される際、爪部353dは、板バネ部の弾性力により、軸部材の径方向内側に移動する。そして、挿通後、爪部353dは、板バネ部353cの弾性力により径方向外側に移動し、元の位置に復帰する。ここで、フランジ部353bと爪部353dとの間の距離は、第1軸受部351と第2軸受部352の幅を合わせた長さにほぼ等しいため、軸部材351を第1軸受部351と第2軸受部352に挿通すると、フランジ部353bと爪部353dとにより第1軸受部351と第2軸受部352が挟み込まれた状態になる。従って、軸部材353は、第1回動部350のX軸方向への移動が規制され、第1軸受部351と第2軸受部352から抜けないように固定される。
【0019】
第2回動部360は、第1筐体100と第2筐体200とを、図1(b)に示すように第1筐体100をX軸を中心として90°以上開いた後、Y軸を中心として回動可能に連結するものである。図4にヒンジカバー340から第2回動部360を分解した図を示す。第2回動部360は、図4に示すように、第2筐体200(図示せず)に固定される第1連結部材361と、軸部材362と、ヒンジカバー340にネジ364、365により固定される第2連結部材363と、から構成される。第1連結部材361は、軸部材362に図示しない固定手段により固定されている。また、軸部材362は、第2連結部材363に対してY軸を中心として回動可能に取り付けられている。この構成により、第1連結部材361に固定された第2筐体200は、軸部材362及び第2固定部材363を介して、Y軸を中心に回動可能なように、ヒンジカバー340に連結される。
【0020】
さらに、第1連結部材361の略中央にはY軸方向に開口する開口部361aが形成されている。また、第2連結部材363も、同様にY軸方向に開口する開口部(図示せず)が形成されている。そして、軸部材362は、筒状に形成されており、その内部の通路はY軸方向に沿って形成されている。従って、図2及び図4に示すように、第2筐体200内から外側へ延びる配線は、防水チューブ400に覆われた状態で、第1固定部材361の開口部361、軸部材362内部の通路、及び第2固定部材363の開口部を通って、ヒンジカバー340内に案内される。
【0021】
次に、ヒンジカバー340内部から外側へ案内された配線が、第1筐体100に形成された開口部から第1筐体の内側に案内される際の、第1筐体100の開口部における防水構造について説明する。図5及び図6は、それぞれ図2の切断線A−A、及びB−Bにおける要部拡大断面図である。また、図7は、防水構造を説明するための分解斜視図である。図5〜7に示すように、第1筐体100には、第1筐体100の外側から内側へ貫通し、防水チューブ400に覆われた配線を第1筐体100内に案内するための案内通路120が形成されている。案内通路120は、第1筐体100の外側表面に形成され、X軸と略直交する方向に開口する開口部121を有する。この開口部121の周囲の面に、防水チューブ400のフランジ部411が押圧部材500によって押圧されるとともに、押圧部材500は、第1回動部350によって開口部121の開口方向に移動できないように固定される。このようにして、開口部121の周囲の面に防水チューブ400のフランジ部411が当接した状態が保たれるため、開口部121から第1筐体100内への水の浸入を防止することができる。以下、この防水構造について詳細に説明する。
【0022】
防水チューブ400は、内部に配線を収容し、配線の防水を図るものである。防水チューブ400は、例えばゴム等の柔軟な素材から成り、任意の方向に屈曲させることで内部の配線を任意の方向に案内することが可能である。具体的には、防水チューブ400は、図2及び図7に示すように、第1筐体100内の回路基板へ配線を案内する第1端部410と、第2筐体200内の回路基板へ配線を案内する第2端部420と、第1端部410と第2端部420をつなぐ本体部430と、から構成される。本体部430は、外径が略均一に延びる管状の部分である。
【0023】
図7に示すように、第1端部410は、外周に形成され、径方向外側に突出するフランジ部411と、フランジ部411から第1端部410の先端にわたって外周が蛇腹状に形成された蛇腹部412と、から構成される。フランジ部411は、図5及び図6において断面で示すように、その外径は、開口部121の径よりも大きい。また、蛇腹部412は、その外周において、突出する部分と窪む部分が交互に形成されており、伸縮自在に形成されている。蛇腹部412は、自然状態においてその突出する部分における外径は案内通路120の径よりも小さい。また、蛇腹部412は、長手方向に圧縮する力を受けると、その突出する部分における外径は案内通路120の径よりも大きくなる。ここで、案内通路120は、開口部121が形成された反対側の端部に、案内通路120よりも径が小さく、第1筐体100の内側に向かって開口する開口部122を有する。この開口部122の径は、蛇腹部412の外径よりも小さく、また、案内通路120の長さは、自然状態における蛇腹部412の長さよりも短い。従って、図5及び図6に示すように、蛇腹部412が案内通路120内に挿通され、フランジ部411が開口部121に向かって押圧されると、蛇腹部412は圧縮され、その突出する部分が案内通路120の内壁と当接する。これにより、蛇腹部412と案内通路120とにより、防水を図ることができる。
【0024】
次に、防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧する押圧部材500について説明する。押圧部材500は、具体的には、図8に開口部121側から見た押圧部材500の底面図に示すように、断面は略U字形状に形成されている。押圧部材500は、その略U字形状の開口が、図3に示すように、X軸方向に開口するように、詳細には第1回動部350の軸部材353と向き合うように配置される。また、押圧部材500の内部には、図5及び図6に示すように、開口部121の開口方向に延び、防水チューブ400の本体部430の外径よりも径が大きい案内通路510が形成されている。従って、図5に示すように、軸部材353に挿通された防水チューブ400は、X軸に沿って延びた状態から、押圧部材500の案内通路510に案内されて開口部121の開口方向に略直角に屈曲し、さらに開口部121へ案内される。
【0025】
また、押圧部材500の開口部121と対向する端部には防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧するための押圧部520が形成されている。図8に示すように、押圧部520は、案内通路510の径及び防水チューブ400のフランジ部411の外径よりも、その径が大きい。従って、図6において、押圧部材500が下向き、すなわち開口部121に向けて押圧されると、押圧部520が、フランジ部411を開口部121に向けて押圧する。従って、フランジ部411と開口部121の周囲の面とが当接するため、開口部121における防水を図ることができる。
【0026】
次に、押圧部材500が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧した状態において、押圧部材500の開口部121の開口方向への移動(すなわち、押圧部材500がフランジ部411を押圧する方向と反対方向への移動)を防止する移動防止手段について説明する。
【0027】
実施形態1において、第1回動部350が、上述の移動防止手段として機能する。具体的には、図3に示すように、第1軸受部351と第2軸受部352とに挿通されることにより、X軸と垂直な方向への移動を規制された軸部材353が押圧部材500を押さえる。これにより、押圧部材500は、開口部121の開口方向への移動を妨げられる。以下、この構成について詳細に説明する。
【0028】
図9に、携帯電話端末1のヒンジ部300側から見た軸部材353及び押圧部材500の側面図を示す。図9に示すように、軸部材353のフランジ部353aが形成された端部と反対側の端部に、本体部353aからX軸方向に突出する略矩形状の突出部353eが形成されている。突出部353eは、軸部材353が第1軸受部351と第2軸受部352に挿通されると、第1軸受部351の開口から突出する。また、押圧部材500は、側面視で略L字形状に形成され、軸部材353に向かって、X軸方向に延びる突出部530が形成されている。ここで、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧している状態において、軸部材353が第1軸受部351と第2軸受部352に挿通されると、開口部121の開口方向と垂直な面において、突出部530と当接する。すなわち、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500のフランジ部411を押圧する面と反対側の面と当接する。また、軸部材353は、第1軸受部351と第2軸受部352に挿通されると、X軸方向の移動を規制される。従って、押圧部材500も、X軸と略直交する方向、すなわち開口部121の開口方向への移動を規制される。このようにして、押圧部材500は、第1回動部350により、防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向かって押圧した状態を維持することができる。なお、図3に示すように、軸部材353の突出部353eと、押圧部材500の突出部530とは、図9に示す側面と反対側の側面にも形成されている。
【0029】
次に、押圧部材500を覆うヒンジカバー320について説明する。ヒンジカバー320には、図5において断面で示すように、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、第1筐体100に形成された孔130に嵌合する爪部321が一体に形成されている。また、ヒンジカバー320には、図6において断面で示すように、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、第1筐体100に形成された爪部140が嵌合する孔322が形成されている。爪部321と孔130、爪部140と孔322とがそれぞれ嵌合すると、ヒンジカバー320が第1筐体100に固定されるとともに、ヒンジカバー320内部の押圧部材500も、ヒンジカバー320により固定される。従って、ヒンジカバー320も、開口部121の開口方向の押圧部材500の移動を防止する移動防止手段として機能する。
【0030】
次に、上述した第1筐体100の開口部121における防水構造の組立方法について説明する。
【0031】
まず、第2筐体200の内側から外側へ案内された配線を防水チューブ400に収容した状態で、第2回動部360内を挿通し、ヒンジカバー340内に導く(図2参照)。そして、防水チューブ400の第1端部410を、第1回動部350の軸部材353、第2軸受部352、第1軸受部351の順に挿通する(図7参照)。
【0032】
次に、防水チューブ400の本体部430を押圧部材500の案内通路510内に導く。そして、押圧部材500をその略U字形状の開口が第1回動部350の軸部材353と向き合うように位置させた状態で、防水チューブの蛇腹部412を第1筐体100の案内通路120内に挿通し、押圧部材500を開口部121に向けて押し付ける(図5参照)。このようにして、押圧部材500の押圧部520と開口部121の周囲の面とで防水チューブ400のフランジ部411を押圧した状態で挟み込む。
【0033】
つぎに、押圧部材500を開口部121に向けて押圧した状態で、軸部材353を爪部353dが形成された端部から第2軸受部352、第1軸受部351の順に挿通する(図3参照)。これにより、軸部材353がそのフランジ部353bと爪部353dにより第1軸受部351と第2軸受部352に係止された状態で、押圧部材500の突出部530が軸部材353の突出部353eと第1筐体100の表面との間に挟み込まれて、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動が防止される。従って、押圧部材500によりフランジ部411が開口部121の周囲の面と当接している状態が保たれ、開口部121における防水が図られる。
【0034】
以上の構成により、実施形態1に係る携帯電話端末1においては、押圧部材500で防水チューブ400のフランジ部411を第1筐体100の開口部121に向けて押圧し、その状態で第1回動部350により押圧部材500が開口部121の開口方向に移動しないように固定することで、開口部121における防水を図っている。これにより、第1筐体100の開口部121から防水チューブ400を直接人の手で押し込んで防水を図る作業をする必要がないため、組立性を向上させることができる。
【0035】
また、実施形態1では、防水チューブ400の端部が、伸縮自在に形成された蛇腹部412である。そして、フランジ部411が押圧部材500により開口部121にむけて押圧されると、案内通路120内の蛇腹部412が圧縮され、その外周が案内通路120内壁と当接する。従って、フランジ部411と開口部121の縁部との間だけでなく、蛇腹部412と案内通路120の内壁との間でも防水を図ることができる。
【0036】
また、実施形態1では、押圧部材500がフランジ部411を押圧している状態において、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500の突出部530と当接する。従って、開口部121における防水が図れているか否か、すなわち、押圧部材500がフランジ部411を押圧しているか否かは、軸部材353の突出部353eは、押圧部材500の突出部530と当接しているか否かを確認すれば把握できる。このように、容易に防水の確認を行うことができる。
【0037】
また、実施形態1では、第1回動部350が第1筐体100と第2筐体200とを回動可能に連結するものとして機能するだけでなく、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動を防止する手段として機能している。従って、押圧部材500の移動防止手段として別部品を組み入れる必要がなく、コストの低下を図ることができる。
【0038】
また、実施形態1では、ヒンジカバー320が押圧部材500を覆うとともに、開口部121の開口方向の押圧部材500の移動を防止する。また、ヒンジカバー320に一体形成された爪部321が第1筐体100に形成された孔130に嵌合して、ヒンジカバー320を第1筐体100に固定する。従ってヒンジカバーを容易に第1筐体100に取り付けることができるとともに、押圧部材500の移動防止を実現することができる。
【0039】
次に、本発明の実施形態2に係る携帯電話端末1について説明する。上述の実施形態1では、折り畳み式の携帯電話端末1における、ヒンジ部300から第1筐体100内へ案内される配線の防水構造について説明した。実施形態2では、いわゆるスライド式の携帯電話端末1における、第2筐体200から第1筐体100内へ案内される配線の防水構造について説明する。
【0040】
図10は、本発明の実施形態2に係る携帯電話端末1の外観図である。携帯電話端末1は、図10に示すように、第1筐体と第2筐体10は、第1筐体10の操作キー110の上に第2筐体200が重なるように、第1筐体100を第2筐体200の長手方向(図10のスライド方向)に沿ってスライドさせる連結部(図示せず)により連結されている。
【0041】
図11は、図10のスライド方向を切断線C−Cとして切断した要部拡大断面図である。図11に示すように、第1筐体100には、第1筐体100の外側から内側へ貫通し、防水チューブ400に覆われた配線を第1筐体100内に案内するための案内通路120が形成されている。案内通路120は、第1筐体100の外側表面に開口する開口部121を有する。この開口部121の周囲の面に、防水チューブ400のフランジ部411が押圧部材500によって押圧されるとともに、押圧部材500は、筒部150と固定部材600とによって開口部121の開口方向に移動できないように保持される。このようにして、開口部121の周囲の面に防水チューブ400のフランジ部411が当接した状態が保たれるため、開口部121から第1筐体100内への水の浸入を防止することができる。なお、実施形態2における携帯電話端末1では、実施形態1の携帯電話端末1と異なり、開口部121は、スライドされて操作キー110が露出している状態(図10に表す状態。以下、スライド状態)において第2筐体200と対向する表面に形成されている。以下、この防水構造について詳細に説明する。
【0042】
防水チューブ400及び押圧部材500は、図11に示すように、実施形態1と同様に構成される。すなわち、押圧部材500の押圧部510が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧することにより、開口部121における防水を図る。
また、実施形態2における押圧部材500は、第1筐体100に形成された筒部150に挿通された固定部材600により、フランジ部411を押圧した状態で、開口部121の開口方向に移動できないように固定される。筒部150は、第1筐体100の表面であって、スライド状態で第2筐体200と対向する面に形成される。固定部材600は、実施形態1における第1回動部350の軸部材353と同様に形成され、フランジ部610と、爪部620とにより、筒部150に係止される。そして、固定部材600には、固定部材600が筒部150に挿通された状態で筒部150の開口から開口部121の開口方向と略直交する方向に突出する突出部(図示せず)が形成されている。この突出部が、実施形態1における軸部材353の突出部353eと同様に、押圧部材500の突出部530と当接して、押圧部材が開口部121の開口方向に移動できないように固定する。
【0043】
次に、実施形態2において、上述した第1筐体100の開口部121における防水構造の組立方法について説明する。
【0044】
まず、第2筐体200の内側から外側へ案内された配線を防水チューブ400に収容した状態で、防水チューブ400の第1端部410を、固定部材600、第1筐体100の筒部150の順に挿通する。次に、防水チューブ400の本体部430を押圧部材500の案内通路510内に導く。そして、押圧部材500をその略U字形状の開口が第1回動部350の軸部材353と向き合うように位置させた状態で、防水チューブの蛇腹部412を第1筐体100の案内通路120内に挿通し、押圧部材500を開口部121に向けて押し付ける。このようにして、押圧部材500の押圧部520と開口部121の周囲の面とで防水チューブ400のフランジ部411を押圧した状態で挟み込む。
【0045】
次に、押圧部材500を開口部121に向けて押圧した状態で、固定部材600を爪部620が形成された端部から筒部150に挿通する。これにより、固定部材600がそのフランジ部610と爪部620により筒部150に係止された状態で、実施形態1と同様に、押圧部材500の突出部530が固定部材600の突出部(図示せず)と当接し、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動が防止される。
【0046】
以上の構成により、実施形態2に係る携帯電話端末1において、押圧部材500で防水チューブ400のフランジ部411を第1筐体100の開口部121に向けて押圧し、その状態で筒部150と固定部材600とにより押圧部材500が開口部121の開口方向に移動しないように固定することで、開口部121における防水を図っている。これにより、スライド式の携帯電話端末においても、第1筐体100の開口部121から防水チューブ400を直接人の手で押し込んで防水を図る作業をする必要がないため、組立性を向上させることができる。
【0047】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0048】
例えば、上記の実施形態1及び実施形態2においては、押圧部材500の移動防止手段として、第1回動部350、ヒンジカバー320、筒部150及び固定部材600について説明した。しかし、押圧部材500の移動防止手段は、これに限られない。具体的には、例えば、実施形態2の変形例として図10の切断線C−Cにおける断面図を図12に示す。図12に示すように、第1筐体100に開口部121の開口方向と略直交する方向に突出する突出部160を形成し、押圧部材500に突出部160が係合するための開口または溝である凹部540を形成する。これにより、押圧部材500から開口部121の開口方向に移動しないように、固定してもよい。このような構成により、実施形態1及び実施形態2と同様に、第1筐体100の開口部121から防水チューブ400を直接人の手で押し込んで防水を図る作業をする必要がないため、組立性を向上させることができる。
【0049】
また、第1筐体100に形成された開口部121の開口方向は、実施形態1及び実施形態2のように、第1筐体100の厚さ方向でなくてもよい。具体的には、例えば、実施形態2の変形例として図10の切断線C−Cにおける断面図を図13に示す。図13に示すように、開口部121は、第1筐体100厚さ方向と垂直な方向に開口していてもよい。この場合も、押圧部材500が防水チューブ400のフランジ部411を開口部121に向けて押圧している状態で、第1筐体100に形成された突出部160が凹部540に係合することにより、押圧部材500が開口方向に移動できないように固定される。また、実施形態2の変形例として図10の切断線C−Cにおける断面図を図14に示すように、押圧部材500の開口部121の開口方向の移動を防止できるならば、第1筐体100に形成された突出部160は1つでもよい。
【0050】
また、実施形態1及び実施形態2では、操作キー110を有する第1筐体100の外側から内側へ配線を案内するための開口部121における防水構造について説明した。しかし、表示部210を有する第2筐体200の外側から内側へ配線を案内するための開口部における防水構造についても、上述した実施形態1、実施形態2、及びその変形例と同様の構成を適用してもよい。
【0051】
また、実施形態1では2軸(すなわち、図1(a)及び(b)のX軸及びY軸)で回転可能に連結された携帯電話端末について、実施形態2ではスライド式の携帯電話端末について、本発明を適用した場合について説明したが、複数の筐体を有するならば、その筐体同士の連結方法はこれに限られない。例えば、第1筐体100と第2筐体200は、図1(a)に示すX軸のみにおいて回動可能に連結されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、電子機器として携帯電話端末1を例に挙げて説明したが、本発明を適用できる電子機器はこれに限られない。例えば、ノートパソコン、ビデオカメラ、PDA(Personal Digital Assistance)など、複数の筐体を有する電子機器に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…携帯電話端末、100…第1筐体、110…操作キー、120…案内通路、121…開口部、122…開口部、130…孔、140…爪部、150…筒部、160…突出部、200…第2筐体、210…表示部、300…ヒンジ部、310〜340…ヒンジカバー、321…爪部、322…孔、350…第1回動部、351…第1軸受部、352…第2軸受部、353…軸部材、353a…本体部、353b…フランジ部、353c…板バネ部、353d…爪部、353e…突出部、360…第2回動部、361…第1連結部材、362…軸部材、363…第2連結部材、364…ネジ、400…防水チューブ、410…第1端部、411…フランジ部、412…蛇腹部、420…第2端部、430…本体部、500…押圧部材、510…案内通路、520…押圧部、530…突出部、540…凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体のそれぞれの内部に収容された回路基板を相互に電気的に接続する配線と、前記配線を内部に収容する防水チューブと、を備える電子機器であって、
前記防水チューブの外周に形成され、径方向に外側に突出するフランジ部と、
前記第1筐体の外側表面に形成された開口部の周囲の面に前記フランジ部が当接するように前記フランジ部を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材が前記開口部の開口方向に移動することを防止する移動防止手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記防水チューブは、前記第1筐体内部の回路基板へ前記配線を案内する端部に、蛇腹状に形成された蛇腹部を有し、
前記蛇腹部は、前記フランジ部が前記開口部の周囲の面と当接している状態で、前記開口部から第1筐体の内側へ貫通する通路の内壁と当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に筒状に形成された筒部と、前記筒部に挿通される固定部材と、を備え、
前記固定部材には、前記開口部の開口方向と略直交する方向に前記筒部の開口から突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記押圧部材の前記フランジ部を押圧している面と反対側の面と当接する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2筐体に設けられた筒状の軸受部をさらに備え、
前記固定部材は、前記筒部と前記軸受部に挿通されて、前記第1筐体と前記第2筐体とを前記開口部の開口方向と略直交する方向を中心として回動可能に連結し、
前記防水チューブは、前記固定部材に形成された、前記開口部の開口方向と略直交する方向に延びる通路内に挿通される、
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記移動防止手段は、前記押圧部材を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材に一体に形成されたカバー爪部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記第1筐体に形成された孔に嵌合して、前記カバー部材を前記第1筐体に固定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に形成され、前記開口部の開口方向と略直交する方向に突出する突出部を備え、
前記突出部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材に形成された凹部に係合する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項1】
第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体のそれぞれの内部に収容された回路基板を相互に電気的に接続する配線と、前記配線を内部に収容する防水チューブと、を備える電子機器であって、
前記防水チューブの外周に形成され、径方向に外側に突出するフランジ部と、
前記第1筐体の外側表面に形成された開口部の周囲の面に前記フランジ部が当接するように前記フランジ部を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材が前記開口部の開口方向に移動することを防止する移動防止手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記防水チューブは、前記第1筐体内部の回路基板へ前記配線を案内する端部に、蛇腹状に形成された蛇腹部を有し、
前記蛇腹部は、前記フランジ部が前記開口部の周囲の面と当接している状態で、前記開口部から第1筐体の内側へ貫通する通路の内壁と当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に筒状に形成された筒部と、前記筒部に挿通される固定部材と、を備え、
前記固定部材には、前記開口部の開口方向と略直交する方向に前記筒部の開口から突出する突出部が形成され、
前記突出部は、前記押圧部材の前記フランジ部を押圧している面と反対側の面と当接する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2筐体に設けられた筒状の軸受部をさらに備え、
前記固定部材は、前記筒部と前記軸受部に挿通されて、前記第1筐体と前記第2筐体とを前記開口部の開口方向と略直交する方向を中心として回動可能に連結し、
前記防水チューブは、前記固定部材に形成された、前記開口部の開口方向と略直交する方向に延びる通路内に挿通される、
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記移動防止手段は、前記押圧部材を覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材に一体に形成されたカバー爪部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記第1筐体に形成された孔に嵌合して、前記カバー部材を前記第1筐体に固定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記移動防止手段は、前記第1筐体に形成され、前記開口部の開口方向と略直交する方向に突出する突出部を備え、
前記突出部は、前記押圧部材が前記フランジ部を押圧している状態で、前記押圧部材に形成された凹部に係合する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−199422(P2011−199422A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61601(P2010−61601)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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