説明

電子機器

【課題】筐体の厚み寸法を小さくできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、第2筐体12の操作部収容部23に設けられる第2操作部27と、第2筐体12の電池収容部24に収容される電池パック28と、第2操作部27および電池パック28を支持する板金部材25と、板金部材25を固定する突部22とを備えている。板金部材は、支持部31の縁部31Aに設けられたリブ32と、リブ32の縁部32Aから支持部31まで連続された第1開口35と、第1開口35から支持部31の縁部に沿って連続された第2開口36と、第1開口35に掛け渡され、かつ、突部22に干渉しないように突出する架設部38とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の収容部に突部を設け、突部に板金部材を係止することにより板金部材を収容部に固定し、固定した板金部材で操作部および電池パックを支持可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図9に示すように、未使用の機器を設置する固定具100として、平板部分(支持部)101から引掛部102が折り曲げられ、引掛部102に収納溝103が形成された板金部材が知られている。
この板金部材100によれば、引掛部102の収納溝103に機器105の突出部106をスライド係着させることにより、固定具100に機器105を係止できる(特許文献1)。
【0003】
ところで、板金部材のなかには、図10に示すように、電子機器の筐体112内に収納されて操作部や電池パックを支持するものがある。
板金部材111は、支持部113の縁部にリブ114が設けられ、リブ114に係合部115が形成されている。係合部115は、第1開口116および第2開口117で略L字状に形成されている。
【0004】
この板金部材111によれば、筐体の突部118に第1開口116を開口部116Aから嵌め込む。第1開口116の底部が突部118に到達した後、第2開口117を突部118に嵌め込むことにより筐体に板金部材111を係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−141329号公報(段落0013、段落0016、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図10に示すように、板金部材111は、係合部115が第1開口116および第2開口117により略L字状に形成されている。このため、リブ114の縁部114Aが第1開口116により強度が低くなる。
従って、リブ114の高さ寸法を大きく確保する必要があり、板金部材111を小型にできない。このため、板金部材111を筐体に収容した場合、筐体の小型化に障害が生じる。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、筐体の厚み寸法を小さくできる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子機器は、筐体と、前記筐体における一方側から操作部収容部に設けられるシート状の操作部と、前記筐体における他方側から電池収容部に収容される電池パックと、前記筐体に収容され、前記操作部および前記電池パックを支持する板金部材と、前記板金部材を固定するために、前記筐体における前記板金部材の挿入方向に沿った内面に設けられた突部と、を備え、前記板金部材が、平面略矩形板状の支持部と、前記支持部の縁部に設けられ、前記支持部の厚み方向に沿って設けられたリブと、前記リブにおける縁部から前記支持部まで連続し、前記突部を案内する第1開口と、前記第1開口に連続し、前記支持部の縁部に沿って連続する第2開口と、前記第1開口の連続方向に対して交差する方向に沿って掛け渡され、かつ、前記突部に干渉しないように前記リブの厚み方向に沿って突出する架設部とを有する。
【0009】
板金部材のリブにおける縁部から第1開口が支持部まで連続し、第1開口に第2開口を連続させ、さらに支持部の縁部に沿って連続させた。
さらに、第1開口の連続方向に対して交差する方向に架設部を掛け渡し、この架設部を突部に干渉しないようにリブの厚み方向に沿って突出させた。
【0010】
よって、筐体の突部に第1開口を第1開口の開口部から架設部を経て嵌め込むことができる。第1開口の底部に突部が到達した後、突部に第2開口を嵌め込む。
これにより、突部に第2開口を係止でき、筐体の内部に板金部材を固定できる。
【0011】
さらに、第1開口の連続方向に対して交差する方向に架設部を掛け渡した。
よって、リブの縁部のうち、第1開口の開口部が形成され部位や、第2開口に沿った部位を架設部で補強できる。
これにより、リブの縁部のうち、第2開口に沿った部位の高さ寸法を小さく抑えて、板金部材の高さ寸法を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子機器によれば、第1開口の連続方向に対して交差する方向に架設部を掛け渡すことにより、板金部材の高さ寸法を小さく抑えて、板金部材を収容する筐体の厚み寸法を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る電子機器を伸長状態に保持した状態を示す斜視図
【図2】第2筐体を表面側から見た状態を示す分解斜視図
【図3】第2筐体を裏面側から見た状態を示す分解斜視図
【図4】本発明に係る係止部および突部を示す分解斜視図
【図5】本発明に係る突部に第1開口を嵌め込む例を示す斜視図
【図6】本発明に係る突部に第2開口を嵌め込む例を示す斜視図
【図7】(A)は変形例1の板金部材を内側から見た状態を示す斜視図、(B)は変形例1の板金部材を外側から見た状態を示す斜視図
【図8】変形例2の板金部材を示す斜視図
【図9】従来の板金部材を示す断面図
【図10】従来のもう一つの板金部材を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態である電子機器10は、第1筐体11および第2筐体(筐体)12を備えた携帯端末である。
この電子機器10は、第1筐体11および第2筐体12が案内部材(図示せず)に案内されて相対的に移動することにより、第1筐体11および第2筐体12が伸長状態に保持される。
一方、第1筐体11および第2筐体12が互いに重なり合わされることにより携帯状態に保持される。
【0016】
第1筐体11は、略矩形体状に形成され、表面11Aに設けられた表示部15と、表示部15の上近傍に設けられた通話用受信部16と、表示部15の下近傍に設けられた第1操作部17とを備えている。
【0017】
図2、図3に示すように、第2筐体12は、略矩形体状に形成され、内部に形成された収容部21と、収容部21に収容された板金部材25と、板金部材25に支持された第2操作部(操作部)27および電池パック28とを備えている。
さらに、第2筐体12は、電池パック28を覆う電池カバー(図示せず)と、第2操作部27の下近傍に設けられた通話用送信部29を備えている。
【0018】
図4に示すように、収容部21は、第2筐体12における板金部材25の挿入方向(矢印A方向)に沿った内面21Aと、内面21Aに設けられた突部22とを備えている。
突部22は、側面視において略矩形状に形成され、板金部材25を固定する部位である。
突部22に板金部材25の係合部34を係止させることにより、板金部材25が収容部21内において突部22に固定されている。
【0019】
図2に示すように、第2操作部27は、第2筐体12の表面12A側(一方側)から操作部収容部23に設けられ、板金部材25に支持されたシート状の部材である。
この第2操作部27は、複数の操作キー27Aを備えている。
操作部収容部23は、収容部21のうち板金部材25で仕切られた第2筐体12の表面12A側の空間である。
【0020】
図3に示すように、電池パック28は、第2筐体12の裏面12B側(他方側)から電池収容部24に収容され、板金部材25に支持され部材である。
この電池パック28は、略矩形体状に形成され、端子面にプラス接触パッド、マイナス接触パッドおよび過充電検知用接触の接触パッドが設けられている。
電池収容部24は、収容部21のうち板金部材25で仕切られた第2筐体12の裏面12B側の空間である。
【0021】
板金部材25は、第2筐体12の収容部21に収容され、第2操作部27(図2参照)および電池パック28を支持する部材である。
板金部材25は、図4に示すように、平面略矩形板状の支持部31と、支持部31の縁部31Aに設けられたリブ32と、リブ32に設けられた係合部34と、係合部34の第1開口35に掛け渡された架設部38とを有する。
【0022】
リブ32は、支持部31の縁部31Aに設けられ、支持部31の厚み方向(矢印A方向)に沿って設けられている。
支持部31の縁部31Aにリブ32を設けることにより支持部31がリブ32で補強され、支持部31の剛性が確保されている。
【0023】
係合部34は、リブ32における縁部32Aから支持部31の縁部31Aまで連続された第1開口35と、第1開口35に連続された第2開口36とを有する。
この係合部34は、第1開口35および第2開口36で略L字状に形成されている。
【0024】
第1開口35は、リブ32の縁部32Aから支持部31(縁部31A)まで連続されることにより、縁部32Aに開口部35Aが形成され、縁部31Aの近傍に底部35Bが形成されている。
この第1開口35は、開口部35Aを経て突部22に嵌合可能で、かつ、突部22に嵌合された状態において突部22を第2開口36まで案内可能に形成されている。
【0025】
第2開口36は、第1開口35の底部35Bに連続され、かつ、支持部31の縁部31Aに沿って連続された開口である。
この第1開口35は、突部22に嵌合可能に形成されている。
【0026】
架設部38は、リブ32から傾斜状に突出された一対の端部38Aと、一対の端部38Aに架け渡された連結バー38Bとを有する。
一対の端部38Aは、リブ32のうち第1開口35の開口部35Aが形成された部位32Bにおいて突部22から離れる方向に傾斜状に突出されている。
【0027】
連結バー38Bは、第1開口35の連続方向(矢印A方向)に対して交差する方向(矢印B方向)に沿って掛け渡されている。
すなわち、架設部38は、第1開口35の連続方向に対して交差する方向に沿って掛け渡されている。
【0028】
第1開口35に架設部38が架け渡されることにより、リブ32のうち第1開口35の開口部35Aが形成された部位32Bや、リブ32のうち第2開口36に沿った部位32Cが架設部38で補強されている。
これにより、リブ32のうち第2開口36に沿った部位32Cの高さ寸法H1を小さく抑えて、板金部材25の高さ寸法H2を小さく抑えることができる。
【0029】
加えて、架設部38の一対の端部38Aを傾斜状に突出させることにより、架設部38が突部22に干渉しないようにリブの厚み方向(矢印C方向)に沿って突出されている。
よって、収容部21の突部22に第1開口35の開口部35Aを嵌め込む際に、架設部38が突部22に干渉することを防止できる。
これにより、収容部21の突部22に第1開口35を嵌め込むことができる。
【0030】
次に、第2筐体12の収容部21に板金部材25を固定する手順を図5、図6に基づいて説明する。
図5に示すように、収容部21に板金部材25を差し込み、収容部21の突部22に第1開口35の開口部35Aを嵌め込む。
【0031】
突部22に開口部35Aを嵌め込んだ後、板金部材25を矢印D方向に移動する。板金部材25を移動することにより、突部22に沿って第1開口35が上昇し、架設部38が突部22を経て突部22の上方に移動する。
突部22に沿って第1開口35が上昇することにより、第1開口35の底部35Bが突部22に到達する。
【0032】
図6に示すように、第1開口35の底部35Bに突部22が到達した後、板金部材25を矢印E方向に移動する。
板金部材25を移動することにより、突部22に沿って第2開口36が移動して第2開口36の端部36Aが突部22に当接する。
これにより、突部22に第2開口36を係止でき、第2筐体12の収容部21に板金部材25を固定できる。
【0033】
次に、実施形態の板金部材25の変形例1および変形例2を図7、図8に基づいて説明する。
なお、変形例1の板金部材40および変形例2の板金部材50において実施形態の板金部材25と同一・類似の構成部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0034】
(変形例1)
図7(A)、図7(B)に示すように、変形例1の板金部材40は、実施形態の架設部38を架設部42に代えたもので、その他の構成は実施形態の板金部材25と同様である。
【0035】
架設部42は、実施形態の架設部38と、第1開口35および第2開口36に架け渡された下架設部43と、下架設部43の上部を覆う架設カバー44とを有する。
【0036】
下架設部43は、第1開口35の下部35Cから第2開口36の端部36Aに亘ってリブ32の縁部32Aに沿うように架け渡され、架設部38の下端38Cに一体に形成されている。
この下架設部43は、架設部38と同様に、収容部21の突部22に干渉しないように、突部22から離れる方向に膨出されている。
【0037】
架設カバー44は、第2開口36の上辺36Bから下架設部43の上辺43Aまで張り出されることにより、下架設部43の上方を覆う突出片である。
【0038】
架設部42は、架設部38、下架設部43および架設カバー44で、第1開口35および第2開口36を覆うように略L字状に形成されている。
架設部42で第1開口35および第2開口36を覆うことにより、リブ32のうち第1開口35および第2開口36の近傍を架設部42で補強できる。
【0039】
これにより、リブ32、すなわち板金部材40の剛性を高めることができ、板金部材40で第2操作部27(図2参照)および電池パック28(図3参照)を一層好適に支持できる。
加えて、変形例1の板金部材40によれば、実施形態の板金部材25と同様の効果が得られる。
【0040】
(変形例2)
図8に示すように、変形例2の板金部材50は、実施形態のリブ32をリブ52に代え、実施形態の第1開口35を第1開口54に代えたもので、その他の構成は実施形態の板金部材25と同様である。
【0041】
第1開口54は、リブ52の縁部52A近傍から支持部31(縁部31A)まで連続されている。
よって、リブ52は、第1開口54の上端部54A近傍に補強部位52Bが形成されている。
補強部位52Bは、突部22(図7(A)参照)から離れる方向に山形に突出されている。
【0042】
補強部位52Bが突部22から離れる方向に突出されることにより、補強部位52Bが突部22に干渉することを防止できる。
よって、板金部材50を取り付ける際に、補強部位52Bを突部22(図7(A)参照)に干渉させることなく第1開口54の上端部54Aを突部22に嵌め込むことができる。
これにより、実施形態の板金部材25と同様に板金部材50を突部22に係止できる。
【0043】
また、第1開口54の上端部54A近傍に補強部位52Bを形成することにより、第1開口54の上端部54A近傍の剛性を確保できる。
これにより、実施形態の板金部材25と同様に、リブ52のうち第2開口36に沿った部位52Cの高さ寸法H3を小さく抑えて、板金部材50の高さ寸法H4を小さく抑えることができる。
すなわち、変形例2の板金部材50によれば、実施形態の板金部材25と同様の効果が得られる。
【0044】
なお、本発明に係る電子機器は、前述した実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、実施形態では、電子機器10を携帯端末として例示したが、これに限らないで、電子機器10を他の機器として用いることも可能である。
【0045】
また、実施形態で使用した電子機器、第2筐体、突部、操作部収容部、電池収容部、板金部材、第2操作部、電池パック、支持部、リブ、第1開口、第2開口および架設部等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、筐体の収容部に突部を設け、突部に板金部材を係止し、係止した板金部材で操作部および電池パックを支持可能な電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0047】
10 電子機器
12 第2筐体(筐体)
12A 表面側(一方側)
12B 裏面側(他方側)
22 突部
23 操作部収容部
24 電池収容部
25,40,50 板金部材
27 第2操作部(操作部)
28 電池パック
31 支持部
31A 支持部の縁部
32,52 リブ
32A リブの縁部
35,54 第1開口
36 第2開口
38,42,52 架設部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体における一方側から操作部収容部に設けられるシート状の操作部と、
前記筐体における他方側から電池収容部に収容される電池パックと、
前記筐体に収容され、前記操作部および前記電池パックを支持する板金部材と、
前記板金部材を固定するために、前記筐体における前記板金部材の挿入方向に沿った内面に設けられた突部と、を備え、
前記板金部材が、
平面略矩形板状の支持部と、
前記支持部の縁部に設けられ、前記支持部の厚み方向に沿って設けられたリブと、
前記リブにおける縁部から前記支持部まで連続し、前記突部を案内する第1開口と、
前記第1開口に連続し、前記支持部の縁部に沿って連続する第2開口と、
前記第1開口の連続方向に対して交差する方向に沿って掛け渡され、かつ、前記突部に干渉しないように前記リブの厚み方向に沿って突出する架設部とを有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−4507(P2013−4507A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138241(P2011−138241)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】