説明

電子的な制御装置

電子的な制御装置であって、閉鎖されたケーシング内に配置された、電気的なかつ/または電子的な構成素子を備えたプリント配線板と、ケーシングに配置された少なくとも1つのコネクタ部分とが設けられており、該コネクタ部分の、ケーシングに部分的に埋め込まれたコンタクトエレメントが、プリント配線板に電気的に接続されている形式のものにおいて、出力構成素子によって発生させられた熱の良好な放熱と、可能な限りコンパクトな構造と、簡単な組付けとを達成するために、ケーシングが、開いた上面と下面とを備えた、射出成形部分として製造されたケーシングフレームを有しており、該ケーシングフレームに、少なくとも1つの打抜き格子体として形成された金属製の導体ストリップが部分的に埋め込まれており、ケーシングフレームの下面が、ヒートシンクとして設けられた金属製の底部部分によって閉鎖されており、かつ上面が、カバー部分によって閉鎖されており、底部部分とプリント配線板との間に出力構成素子が配置されており、該出力構成素子の接続部が、プリント配線板および/または導体ストリップに接触接続されており、出力構成素子の、冷却プレートによって形成された、プリント配線板とは反対の側の下面が、金属製の底部部分に熱伝導的に結合されていることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
背景技術 本発明は、請求項1の上位概念部に記載した形式の電子的な制御装置に関する。
【0002】
このような形式の制御装置は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19851455号明細書に基づき公知であり、たとえば電動モータで運転される駆動ユニットを制御するために使用される。公知の制御装置は、2つのコネクタ部分を備えた、プラスチックから成る箱形の底部部分を有している。この底部部分内にはプリント配線板が挿入される。また、底部部分はカバーによって閉鎖可能である。箱形の底部部分はコネクタ部分と一緒に射出成形部分として製造される。
【0003】
公知の制御装置では不都合にも、ケーシング内へのパワートランジスタの挿入が問題となる。なぜならば、ヒートシンクが存在しておらず、熱が、閉鎖されたプラスチックケーシングから周囲に放出され得ないからである。さらに、ケーシング内へのヒートシンクの挿入はかなり複雑であり、ケーシングの不利な拡大を結果的に招いてしまう恐れがある。最適な放熱と同時に単純な機械的な構成は、公知の制御装置では不可能である。
【0004】
発明の利点 請求項1の特徴部に記載の特徴を備えた本発明による制御装置によって、公知先行技術において知られる欠点が回避される。制御装置は、少ない構成部分から廉価に製造することができ、極めてコンパクトに形成されている。出力構成素子によって発生させられた熱の効果的な放熱の実現と相俟って、小さな構造高さを備えた、空間を節約した平らな構造形式は特に有利である。このことは、ケーシングが、両面で開いたケーシングフレームによって形成され、このケーシングフレームの開いた下面が、ケーシングの底部部分を成す金属製のヒートシンクによってカバーされており、しかも、ケーシング内に配置された出力構成素子が、プリント配線板とは反対の側に配置された、冷却面として設けられた面でヒートシンクに接触接続されていることよって有利に達成される。コネクタ部分のコンタクトエレメントと、高電流を案内する導体ストリップとは打抜き格子体によって簡単に形成される。この打抜き格子体は、射出成形によってケーシングフレームに埋め込むことができる。出力構成素子の接続部は、有利には、プリント配線板の導体路および/または打抜き格子体の、プラスチックに埋め込まれていない区分に接触接続させることができる。
【0005】
本発明の改良形および有利な構成は、従属請求項に記載の特徴によって可能となる。
【0006】
有利には、ケーシングフレームに横方向ウェブが設けられており、この横方向ウェブに、出力構成素子のための保持手段および/または別の電気的な構成素子のための保持手段が形成されている。これによって、全ての構成素子をプリント配線板に被着させる必要がなくなり、多くの空間を必要とする大きな構成素子をプリント配線板とは無関係にケーシングフレームの保持手段に位置固定することができるということが達成される。この手段によって、装置の構造高さが著しく減少させられる。さらに、横方向ウェブによって、容易な組付けと相俟って極めて安定した構造が実現される。したがって、たとえば大きなコンデンサをケーシングフレームに前組付けすることができ、次いで、プリント配線板をケーシングフレームに位置固定することができる。
【0007】
有利には、少なくとも1つのコネクタ部分のコンタクトエレメントが、打抜き格子体の、金属製の導体ストリップによって形成される。
【0008】
さらに、有利には、プリント配線板を導体ストリップとカバー部分との間に配置することができる。これによって、プリント配線板の、金属製の底部部分に面した側に配置されている出力構成素子の接続部をプリント配線板および/または打抜き格子体の導体ストリップに電気的に接続することができるということが達成される。したがって、たとえばパワートランジスタの、高電流を案内する接続部を導体ストリップに直接接触接続しかつ信号を案内する接続部をプリント配線板に直接接続することが可能となる。
【0009】
導体ストリップの、ケーシングフレームの上面に向かって折り曲げられたコンタクト区分が、プリント配線板のコンタクト開口を通って貫通案内されていて、プリント配線板に電気的に接続されることによって、打抜き格子体とプリント配線板との間の電気的な接続部を、たとえば浸漬はんだ付けによって簡単に製造することができる。
【0010】
有利には、ケーシングフレームの上面および/または下面に、全周にわたって延びるシール部が設けられており、このシール部にカバー部分と底部部分とが載置される。湿分および環境影響に対する特に良好な防護は、ケーシングフレームと、金属製の底部部分と、カバー部分とから形成されたケーシングが、気密に閉鎖されたケーシングであることによって実現することができる。
【0011】
さらに、コンパクトな平らな構造は、金属製の底部部分に、出力構成素子および/または別の電気的な構成素子を接触させるための少なくとも1つの座ぐり部および/または少なくとも1つの台座が設けられていることによって改善することができる。
【0012】
実施例の説明 以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0013】
本発明による制御装置のケーシング1は、図1に示したように、開いた下面11と開いた上面10とを備えた、4つの側壁12,13,14,15から形成されたケーシングフレーム2を有している。このケーシングフレーム2は上面10と下面11とに、全周にわたって延びるシール部16を有している。ケーシングフレーム2は射出成形部分としてプラスチックから製造されていて、ケーシングフレーム2に部分的に埋め込まれた金属製の導体ストリップ33を備えている。この導体ストリップ33は、図2で最もよく見ることができるように、打抜き格子体3から形成されている。この打抜き格子体3の導体ストリップ33によって、第1のコネクタ部分7のためのコンタクトエレメント34と、第2のコネクタ部分8のためのコンタクトエレメント35と、高電流を案内する導体列とが形成される。幾つかの導体ストリップ33には、電気的な構成素子の接続ピンのための開口37が設けられている。導体ストリップ33の端部は部分的に直角に折り曲げられている。この場合、折り曲げられた端部は、以下でさらに詳しく説明するように、導体ストリップ33をプリント配線板6に接続するためのコンタクト区分36を形成している。打抜き格子体3は、打抜き加工と、この打抜き加工に続く、導体ストリップ33を互いに結合している結合ウェブの分離とによって慣用の形式で製造される。この結合ウェブは、射出成形によって導体ストリップ33をケーシングフレーム2に埋め込む前に個別化され得るかまたは射出成形後にケーシングフレーム2の、適宜に形成された切欠きによって分離され得る。図1で見ることができるように、導体ストリップ33の区分34は第1のコネクタ部分7を形成しており、区分35は第2のコネクタ部分8を形成している。図1でさらに見ることができるように、ケーシングフレーム2は横方向ウェブ21,22を有している。この横方向ウェブ21,22は側壁12,13,14,15の内面に位置固定されている。導体ストリップ33は部分的に横方向ウェブ22内に配置されてよい。横方向ウェブ21には、大きなコンデンサ構成素子60のための保持手段24が形成されている。横方向ウェブ22は、パワートランジスタ50のための、方形の切欠きの形の保持手段25を有している。
【0014】
図4には、完全に組み付けられた制御装置が、カバーを取り除いた状態で示してある。コンデンサ構成素子60と別の電気的な構成素子70とは、ケーシングフレーム2の開いた下面11から横方向ウェブ21の保持手段24内に挿入することができる。コンデンサ構成素子60の接続部61と、別の構成素子70の接続部71とは、導体ストリップ33の開口37内に差し込まれ、たとえば導体ストリップ33にはんだ付けされる。次いで、図3に示した金属製の底部プレート4がケーシングフレーム2の下面11に載置され、このケーシングフレーム2に接着されるか、螺合されるか、係止手段を介してまたはその他の適切な形式で結合される。金属製の底部プレートとして形成された底部部分4は座ぐり部41を有している。この座ぐり部41の輪郭はコンデンサ構成素子60に適合されている。底部部分4を載置すると、コンデンサ構成素子60が部分的に座ぐり部41内に配置されるので、特に平らな構造が可能となる。
【0015】
図4でさらに見ることができるように、電子的な回路部分を備えたプリント配線板6がケーシングフレーム2内に挿入されている。パワートランジスタ50は、プリント配線板6のコンタクト開口を通って貫通案内されているそれぞれ3つの接続部51でプリント配線板6に電気的に接続されている。このことは、プリント配線板6をケーシングフレーム2内に挿入する前に行うことができる。パワートランジスタ50の接続部51を少なくとも部分的に、打抜き格子体3の、高電流を案内するために設けられた導体ストリップ33に直接接続することも可能である。パワートランジスタ50はその下面に冷却プレート52、たとえば銅プレートを有している。パワートランジスタ50の接続部51は、パワートランジスタ50の、冷却プレート52とは反対の側の上面に向かって直角に折り曲げられていて、この方向でプリント配線板6のコンタクト開口内に差し込まれている。有利には、接続部51が導体ストリップ33のコンタクト区分36に対して平行に延びているので、接続部51とコンタクト区分36とを1回の方法ステップで一緒にプリント配線板6に、たとえば浸漬はんだ付けによってはんだ付けすることができる。パワートランジスタ50の、プリント配線板6とは反対の側の下面52は金属製の底部部分4の台座42に直接接触させられる。パワートランジスタ50を熱伝導性の接着剤またはこれに類するものを介して金属製の底部部分4に被着させることも可能である。ケーシングフレーム2の横方向ウェブ22は、有利には、プリント配線板6を位置固定するためにも役立つ。図4で見ることができるように、図示の構成によって、ヒートシンク4が存在しているにもかかわらず、極めてコンパクトなかつ平らな構造が可能となる。この場合、パワートランジスタ50は、発生させられた熱を底部部分4に直接放出する。プリント配線板6を挿入した後、図5に示したように、カバー部分5が、制御装置の上面10に設けられた全周にわたって延びるシール部16に載置される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ケーシングフレームの斜視図であり、このケーシングフレームに、打抜き格子体によって形成された導体ストリップが部分的に埋め込まれている。
【図2】
導体ストリップを備えた打抜き格子体を示す図である。
【図3】
金属製の底部部分を示す図である。
【図4】
カバーが取り除かれた、組み立てられた制御装置の斜視図である。
【図5】
図4に示した制御装置と、カバーとの側面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング、 2 ケーシングフレーム、 3 打抜き格子体、 4 底部部分、 5 カバー部分、 6 プリント配線板、 7 コネクタ部分、 8 コネクタ部分、 10 上面、 11 下面、 12,13,14,15 側壁、 16 シール部、 21 横方向ウェブ、 22 横方向ウェブ、 24 保持手段、 25 保持手段、 33 導体ストリップ、 34 コンタクトエレメント、 35 コンタクトエレメント、 36 コンタクト区分、 37 開口、 41 座ぐり部、 42 台座、 50 パワートランジスタ、 51 接続部、 52 冷却プレート、 60 コンデンサ構成素子、 61 接続部、 70 構成素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子的な制御装置であって、閉鎖されたケーシング(1)内に配置された、電気的なかつ/または電子的な構成素子(50)を備えたプリント配線板(6)と、ケーシング(1)に配置された少なくとも1つのコネクタ部分(7,8)とが設けられており、該コネクタ部分(7,8)の、ケーシング(1)に部分的に埋め込まれたコンタクトエレメント(34,35)が、プリント配線板(6)に電気的に接続されている形式のものにおいて、ケーシング(1)が、開いた上面(10)と開いた下面(11)とを備えた、射出成形部分として製造されたケーシングフレーム(2)を有しており、該ケーシングフレーム(2)に、少なくとも1つの打抜き格子体(3)として形成された金属製の導体ストリップ(33)が部分的に埋め込まれており、ケーシングフレーム(2)の下面(11)が、ヒートシンクとして設けられた金属製の底部部分(4)によって閉鎖されており、かつ上面(10)が、カバー部分(5)によって閉鎖されており、底部部分(4)とプリント配線板(6)との間に出力構成素子(50)が設けられており、該出力構成素子(50)の接続部(51)が、プリント配線板(6)および/または導体ストリップ(33)に接触接続されており、出力構成素子(50)の、冷却プレート(52)によって形成された、プリント配線板(6)とは反対の側の下面が、金属製の底部部分(4)に熱伝導的に結合されていることを特徴とする、電子的な制御装置。
【請求項2】 ケーシングフレーム(2)に横方向ウェブ(21,22)が設けられており、該横方向ウェブ(21,22)に、出力構成素子(50)のための保持手段(25)および/または別の電気的な構成素子(60,70)のための保持手段(24)が形成されている、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】 少なくとも1つのコネクタ部分(7,8)のコンタクトエレメント(34,35)が、金属製の導体ストリップ(33)によって形成されている、請求項1記載の制御装置。
【請求項4】 プリント配線板(6)が、導体ストリップ(33)とカバー部分(5)との間に配置されている、請求項1記載の制御装置。
【請求項5】 導体ストリップ(3)からケーシングフレーム(2)の上面(10)に向かって垂直に折り曲げられた、導体ストリップ(33)のコンタクト区分(36)が、プリント配線板(6)のコンタクト開口を通って貫通案内されていて、プリント配線板(6)に電気的に接続されている、請求項4記載の制御装置。
【請求項6】 ケーシングフレーム(2)の上面(10)および/または下面(11)に、全周にわたって延びるシール部(16)が設けられている、請求項1記載の制御装置。
【請求項7】 金属製の底部部分(4)に、出力構成素子(50)および/または別の電気的な構成素子(60,70)を接触させるための少なくとも1つの座ぐり部(41)および/または少なくとも1つの台座(42)が設けられている、請求項1記載の制御装置。
【請求項8】 ケーシングフレーム(2)と、金属製の底部部分(4)と、カバー部分(5)とから形成されたケーシング(1)が、気密に閉鎖されたケーシングである、請求項1から7までのいずれか1項記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2003−513457(P2003−513457A)
【公表日】平成15年4月8日(2003.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−534942(P2001−534942)
【出願日】平成12年11月1日(2000.11.1)
【国際出願番号】PCT/DE00/03833
【国際公開番号】WO01/033926
【国際公開日】平成13年5月10日(2001.5.10)
【出願人】
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】