説明

電子眼鏡

【課題】装着者の周囲の明るさが変化した場合でも、像のぼやけが無く快適に屈折力の矯正が出来る電子眼鏡を提供する。
【解決手段】照度センサと、左右の眼に対応して設けられた外部からの信号により焦点距離が変化する可変焦点レンズと、前記照度センサからの出力に応じて前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する焦点制御回路と持ち、前記焦点制御回路は、前記照度センサからの出力に応じて照度を算出する照度算出ブロックと、前記照度算出ブロックにより算出された照度と予め定めた暗所視照度または明所視照度との比較値を演算する演算比較ブロックと、前記演算比較ブロックによる演算比較結果に応じて前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する駆動制御ブロックとを備えた電子眼鏡。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に屈折力の調整制御を行う電子眼鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
焦点距離を可変できる電子眼鏡として、光学弾性体レンズに加わる圧力を電気制御することにより、光学弾性体レンズの形状を変化させて、屈折力を可変制御する方式が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また電気的に屈折力を可変制御する電子眼鏡として、レンズの中に液晶などの誘電体材料を封入し、これに電圧をかけて誘電率を変化させることで屈折力を制御する可変焦点レンズを用いた方式がある。レンズや可変焦点レンズの屈折率は、波長に依存する。そのため、レンズや可変焦点レンズにおいて、可視波長である380nmから780nmの波長域での屈折力を同一にすることは出来ない。そのため、可変焦点レンズの屈折力調整が必要であり、たとえば明所視の比視感度がほぼ最大となる波長の550nmで、所定の屈折力を実現するように可変焦点レンズの誘電率を変化させて制御を行う方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開昭63−24217号公報
【特許文献2】特開平11−352445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術では、周囲の明るさが変化しても可変焦点レンズの屈折力は変化しない。例えば550nmの波長を基準にして可変焦点レンズの屈折力を制御した場合には、周囲の明るさが変化しても、常に550nmの波長が、所定の屈折力となるように制御されている。
【0005】
周囲が略10ルクス以上の明るさの状態の明所視においては、網膜上の錐体細胞により光を感知するために比視感度最大の波長は略555nmとなるが、略0.01ルクス以下の月明かり程度の明るさの状態の暗所視においては、網膜上の杆体細胞により光を感知するために比視感度最大の波長は略507nmとなる。また暗所視と明所視の中間の明るさの朝焼けや夕暮れ時程度の薄明視においては、明るさに応じて杆体細胞と錐体細胞の両細胞により光を感知するために、比視感度最大の波長は、明るさに応じて変化する。従って、周囲の明るさが変化すると、比視感度最大の波長の屈折力が、装着者が必要とする所定の屈折力からずれてしまい、焦点がずれて像がぼやけて見えるなどの課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、装着者の周囲の明るさが変化した場合でも、像のぼやけが無く快適に屈折力の矯正が出来る電子眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電子眼鏡は、照度センサと、左右の眼に対応して設けられた外部からの信号により焦点距離が変化する可変焦点レンズと、前記照度センサからの出力に応じて前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する焦点制御回路とを備えたことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、本発明の照度センサと焦点制御回路と可変焦点レンズを備えた電子眼鏡によれば、周囲の明るさに応じて装着者に最適な屈折力に可変焦点レンズを駆動制御することにより、どのような明るさの状況下においても視界の明るい焦点ぼけの無い最適な視力の矯正を実現する電子眼鏡を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の電子眼鏡の屈折力制御装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1について、図1から図6を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における電子眼鏡の概略図である。可変焦点レンズ1はリム3により保持されている。1組の可変焦点レンズ1とリム3は、ブリッジ5により連結保持されている。電子眼鏡装着時に鼻に密着して電子眼鏡を保持する部分には、1組の鼻パッド6がブリッジ5に設けられている。リム3の両端には智7が設けられており、丁番8を介してテンプル4に連結されている。テンプル4には、焦点制御回路9と電源10が設けられている。テンプル4は、電子眼鏡装着時に顔側面および耳部に、電子眼鏡が安定して保持されるように構成されている。智7には、照度センサ11が設けられている。本実施例では、焦点制御回路9と電源10はテンプル4に設け、照度センサ11は智7に設けたが、特にこれに限定されるものではなく、フレーム2の他の構成要素に配置しても良い。
【0011】
図2は、本発明の実施の形態1における電子眼鏡のブロック図を示す。照度センサ11は、電子眼鏡を装着している状態の周囲の照度を検出し、照度に応じた出力を焦点制御回路9に送る。焦点制御回路9は、照度算出ブロック20と演算比較ブロック21と駆動制御ブロック22から構成されている。照度算出ブロック20は、照度センサ11からの出力に応じて照度を算出する。演算比較ブロック21は、照度算出ブロック20による算出値と所定の照度との演算比較処理を行なう。駆動制御ブロック22は、演算比較ブロック21による演算比較結果に応じて、可変焦点レンズ1の屈折力の調整制御を行う。可変焦点レンズ1、電源10、照度センサ11はそれぞれ焦点制御回路9と電気的に接続されている。
【0012】
図3は、明所視と暗所視における人間の眼の比視感度特性を示すグラフである。人間の眼は、明所視の状態(日中の明るい環境で見ている状態)では、網膜上の錐体細胞により光を感知する。錐体細胞は略555nmの波長の黄緑色光に対して最も感度が高いため、明所視の状態における比視感度特性は図3の12の特性となる。明所視の照度は略10ルクス以上の明るい状態の場合である。暗所視の状態(月明かり程度の環境で見ている状態)では、網膜上の杆体細胞により光を感知する。杆体細胞は、略507nmの波長の青緑色光に対して最も感度が高いため、暗所視の状態における比視感度特性は図3の13の特性となる。暗所視の照度は略0.01ルクス以下の暗い環境の状態の場合である。
【0013】
図4は、本発明の実施の形態1における電子眼鏡の屈折力制御の説明図である。図4を用いて、屈折力制御の調整方法について説明を行う。明るさが略10ルクスの第3の照度16より明るい状態の明所視においては、図3の明所視の比視感度特性12に示すように、比視感度最大の波長は略555nmとなり、短波長側の青色光や長波長側の赤色光に対する比視感度は著しく低下する。照度センサ11により周囲の照度が略10ルクスの第3の照度以上と検知した場合には、装着者に最適な所定の屈折力を実現する波長が略555nmとなるように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行う。
【0014】
明るさが略0.01ルクスの第2の照度15より暗い状態の暗所視においては、図3の暗所視の比視感度特性13に示すように、比視感度最大の波長は略507nmとなり、明所視の状態における比視感度最大の略555nmの波長の感度は50%以下に大きく低下する。照度センサ11により周囲の照度が略0.01ルクスの第2の照度以下と検知した場合には、装着者に最適な屈折力を実現する波長が略507nmとなるように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行う。
【0015】
明るさが略0.01ルクスの第2の照度から略10ルクスの第3の照度の間の朝焼けや夕暮れ時の明るさの薄明視の状態においては、明るさに応じて杆体細胞と錐体細胞の両細胞により光を感知する。薄明視において暗所視に近い照度の場合には、錐体細胞よりも杆体細胞により光を感知する割合が大きいために、比視感度も暗所視の比視感度特性13に近い特性となる。また薄明視において明所視に近い照度においては、杆体細胞よりも錐体細胞により光を感知する割合が大きいために、比視感度も明所視の比視感度特性12に近い特性となる。本発明の実施例1においては、薄明視の状態では、明所視の照度である略10ルクスの第3の照度16と暗所視の照度である略0.01ルクスの第2の照度15の間の第1の照度14で制御の切り替えを行う。
【0016】
図4の実施の形態1においては、第1の照度として1ルクスの場合を示している。照度センサ11の出力に対応する照度が1ルクスよりも大きい場合には、明所視の比視感度最大の略555nmが、装着者に最適な所定の屈折力を実現するように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行う。照度センサ11の出力に対応する照度が1ルクスよりも小さい場合には、暗所視の比視感度最大の略507nmが、装着者に最適な所定の屈折力を実現するように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行う。図4においては、第1の照度を1ルクスとしたが、とくにこの値に限るものではなく、薄明視の状態の略0.01ルクスから略10ルクスの間の値であればよい。
【0017】
本発明の実施の形態1における第1の設計例の説明図を図5に示す。光学材料は、光の波長によって屈折率が変化する分散特性を有する。分散特性を表す特性値としてアッベ数がある。アッベ数は、C線(656.3nmの波長)の屈折率をnC、d線(587.6nmの波長)の屈折率をnd、F線(486.1nmの波長)の屈折率をnFとすると、数1で表すことができる。
【0018】
【数1】

【0019】
ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂などの一般的な光学樹脂材料のアッベ数は25から80程度であるが、可変焦点レンズ1の材料としてネマティック液晶材料を使用する場合には、アッベ数が20から40程度の値となる。
【0020】
第1の設計例として
装着者の必要な所定の屈折力:D=4ディオプタ(焦点距離f=250mm)
可変焦点レンズ1の液晶材料のアッベ数:V=20
とした可変焦点レンズの場合を、図5を用いて説明する。
【0021】
図5(a)は、照度センサ11の出力に対応する照度が第1の照度14よりも大きな値の場合の屈折力調整状態を示す。明所視の比視感度最大の略555nmの波長が、装着者に最適な屈折力D=4ディオプタ(焦点距離f=250mm)を実現するように可変焦点レンズ1を焦点制御回路9により調整されている。
【0022】
図5(a)の可変焦点レンズ1の屈折力の状態は、略555nmの波長が、装着者に最適な屈折力D=4ディオプタに調整されており、暗所視の比視感度最大の略507nmの波長は、D=4.1(焦点距離f=245mm)となっている。従って、暗所視の暗さで(a)の屈折力状態の電子眼鏡を装着した場合には、暗所視の比視感度最大の略507nmの波長が装着者にとって最適な屈折力D=4ディオプタからずれた状態に調整されているために、適正な屈折力矯正状態になっておらず、焦点がぼけた状態となっている。
【0023】
図5(b)は、照度センサ11の出力に対応する照度が第1の照度14よりも小さな値の場合の屈折力調整状態を示す。暗所視の状態の比視感度最大の略507nmの波長が、装着者に最適な屈折力D=4ディオプタ(焦点距離f=250mm)を実現するように可変焦点レンズ1を焦点制御回路9により調整されている。明所視の比視感度最大の略555nmの波長は、暗所視においては比視感度が50%以下と大幅に低下しており、また屈折力は3.9ディオプタ(焦点距離f=255mm)となり装着者が必要とする最適な屈折力からはずれた状態になっている。
【0024】
本発明の実施の形態1における第2の設計例の説明図を図6に示す。図6の第2の設計例における可変焦点レンズ1として、回折レンズ17とネマティック液晶材料18で構成された回折型可変焦点レンズ19を用いた場合を示す。回折レンズ17の材料としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂などを用いることができるが、特にこれに限るものではい。回折現象により屈折力を生じる回折型可変焦点レンズ19の分散特性は波長に依存し、アッベ数は、C線(656.3nmの波長)の波長をλC、d線(587.6nmの波長)の波長をλd、F線(486.1nmの波長)の波長をλFとすると、数2で表すことができる。
【0025】
【数2】

【0026】
数2に示すように、回折型可変焦点レンズ19のアッベ数は、−3.4となり、通常のポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂などの光学樹脂材料のアッベ数が25から80程度に対して、相当小さな値となる。従って回折型可変焦点レンズ19の光の波長に対する分散特性は悪く、屈折力(焦点距離)の波長に対する依存性が非常に大きくなる。
【0027】
第2の設計例として
装着者の必要な屈折力:D=4ディオプタ(焦点距離f=250mm)
回折型可変焦点レンズのアッベ数:V=−3.4
とした回折レンズ17とネマティック液晶材料18で構成した回折型可変焦点レンズ19を用いた場合を、図6を用いて説明する。
【0028】
図6(a)は、照度センサ11の出力に対応する照度が第1の照度14よりも大きな値の場合の屈折力調整状態を示す。明所視の比視感度最大の略555nmの波長が、装着者に最適な屈折力D=4ディオプタ(焦点距離f=250mm)を実現するように回折型可変焦点レンズ19を焦点制御回路9により調整されている。
【0029】
図6(a)の回折型可変焦点レンズ19の屈折力の状態は、略555nmの波長が、装着者に最適な屈折力D=4ディオプタに調整されており、暗所視の比視感度最大の略507nmの波長は、D=3.7(焦点距離f=270mm)となっている。従って、暗所視の暗さで(a)の屈折力状態の電子眼鏡を装着した場合には、暗所視の比視感度最大の略507nmの波長が装着者にとって最適な屈折力D=4ディオプタから大きくずれた状態に調整されているために、適正な屈折力矯正状態になっておらず、焦点がぼけた状態となっている。
【0030】
図6(b)は、照度センサ11の出力に対応する照度が第1の照度14よりも小さな値の場合の屈折力調整状態を示す。暗所視の状態の比視感度最大の略507nmの波長が、装着者に最適な屈折力D=4ディオプタ(焦点距離f=250mm)を実現するように回折型可変焦点レンズ19を焦点制御回路9により調整されている。明所視の比視感度最大の略555nmの波長は、暗所視においては比視感度が50%以下と大幅に低下しており、また屈折力は4.3ディオプタ(焦点距離f=230mm)となり装着者が必要とする最適な屈折力からはずれた状態になっている。
【0031】
実施の形態1においては、可変焦点レンズ1として液晶方式のレンズを例として説明しているが、液圧レンズ方式、フォトニック結晶レンズ方式など電気制御で屈折力の調整が可能な可変焦点レンズであればよい。
【0032】
以上のように、実施の形態1においては、照度センサ11により周囲の照度を検知し、その出力に応じて比視感度最大の波長が装着者の必要とする所定の屈折力となるように、焦点制御回路9により可変焦点レンズ1を2段階に調整する。この調整制御により、周囲の照度に応じて装着者に対して適した屈折力矯正することにより、周囲の照度変化があっても焦点のずれのない電子眼鏡を実現することができる。
【0033】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態2における電子眼鏡の屈折力制御の説明図である。以下図7を用いて、屈折力制御の調整方法について説明を行なう。照度センサ11からの出力に応じた照度が略10ルクスの第3の照度16より明るい状態の明所視においては、網膜上の錐体細胞により光を感知する。図3の明所視の比視感度特性12に示すように、比視感度最大の波長は略555nmとなり、短波長側の青色光や長波長側の赤色光に対する比視感度は著しく低下する。従って照度センサ11により周囲の照度が略10ルクスの第3の照度16以上と検知した場合には、装着者に最適な所定の屈折力を実現する波長が略555nmとなるように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行う。
【0034】
照度センサ11からの出力に応じた照度が略0.01ルクスの第2の照度15より暗い状態の暗所視においては、網膜上の杆体細胞により光を感知する。図3の暗所視の比視感度特性13に示すように、比視感度最大の波長は略507nmとなり、明所視の状態における比視感度最大の略555nmの波長の感度は50%以下に大きく低下する。照度センサ11により周囲の照度が略0.01ルクスの第2の照度以下と検知した場合には、装着者に最適な屈折力を実現する波長が略507nmとなるように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行う。
【0035】
照度センサ11からの出力に応じた照度が略0.01ルクスの第2の照度から略10ルクスの第3の照度の間の朝焼けや夕暮れ時の明るさの薄明視の状態においては、明るさに応じて杆体細胞と錐体細胞の両細胞により光を感知する。薄明視において暗所視に近い照度の場合には、錐体細胞よりも杆体細胞により光を感知する割合が大きいために、比視感度も暗所視の比視感度特性13に近い特性となる。また薄明視において明所視に近い照度においては、杆体細胞よりも錐体細胞により光を感知する割合が大きいために、比視感度も明所視の比視感度特性12に近い特性となる。従って略0.01ルクスから略10ルクスの間においては、比視感度最大の波長は暗所視における比視感度最大の波長略507nmから明所視における比視感度最大の波長略555nmの間で変化する。
【0036】
本発明の実施例2においては図7に示すように、薄明視の状態においては、照度センサ11の出力に応じて装着者に対して最適な所定の屈折力を実現する波長が、略507nmから略555nmに連続的に変化するように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行う。このような調整を行うことにより杆体細胞と錐体細胞の両細胞により光を感知する薄明視の状態においても、その明るさに応じて比視感度の大きな波長で装着者の最適な屈折力矯正を実現することができる。
【0037】
実施の形態2においては、暗所視の比視感度最大の略507nmから明所視の比視感度最大の略555nmにわたって、装着者に適正な屈折力を実現する波長が、連続的に変化するように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行った。しかし調整制御方法については、特にこれに限定されるものではなく、図8に示すように、暗所視の比視感度最大の略507nmから明所視の比視感度最大の略555nmの波長にわたって断続的に変化するように焦点制御回路9により可変焦点レンズ1の調整を行っても良い。
【0038】
以上のように、実施の形態2においては、照度センサ11により周囲の照度を検知し、その出力に応じて比視感度最大の波長が装着者の必要とする所定の屈折力となるように、焦点制御回路9により可変焦点レンズ1を調整する。この調整制御により、周囲の照度に応じて装着者に対して最適な屈折力矯正することが可能となり、周囲の照度変化があっても焦点のずれない電子眼鏡を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかるは電子眼鏡は、照度センサにより周囲の明るさを検知しその出力に応じて焦点制御回路により可変焦点レンズの屈折力の調整制御を行なう。このことにより、周囲の明るさの環境が変化しても焦点の合った最適な屈折力矯正が可能なため、近視、遠視や老眼等の人間の眼の屈折力異常を矯正するための電子眼鏡等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1における電子眼鏡の概略図
【図2】本発明の実施の形態1における電子眼鏡のブロック図
【図3】明所視と暗所視における人間の眼の比視感度特性を示すグラフ
【図4】本発明の実施の形態1における電子眼鏡の屈折力制御の説明図
【図5】本発明の実施の形態1における第1の設計例の説明図
【図6】本発明の実施の形態1における第2の設計例の説明図
【図7】本発明の実施の形態2における電子眼鏡の屈折力制御の説明図
【図8】本発明の実施の形態2における電子眼鏡の屈折力制御の説明図
【符号の説明】
【0041】
1 可変焦点レンズ
2 フレーム
3 リム
4 テンプル
5 ブリッジ
6 鼻パッド
7 智
8 丁番
9 焦点制御回路
10 電源
11 照度センサ
12 明所視の比視感度特性
13 暗所視の比視感度特性
14 第1の照度
15 第2の照度
16 第3の照度
17 回折レンズ
18 ネマティック液晶
19 回折型可変焦点レンズ
20 照度算出ブロック
21 演算比較ブロック
22 駆動制御ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照度センサと、
左右の眼に対応して設けられた外部からの信号により焦点距離が変化する可変焦点レンズと、
前記照度センサからの出力に応じて前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する焦点制御回路とを備えた電子眼鏡。
【請求項2】
前記焦点制御回路は、
前記照度センサからの出力に応じて前記左右の可変焦点レンズの焦点距離を同時に決定する請求項1に記載の電子眼鏡。
【請求項3】
前記焦点制御回路は、
前記照度センサからの出力に応じて照度を算出する照度算出ブロックと、
前記照度算出ブロックにより算出された照度と予め定めた暗所視照度または明所視照度との比較値を演算する演算比較ブロックと、
前記演算比較ブロックによる演算比較結果に応じて前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する駆動制御ブロックとを備えた請求項1に記載の電子眼鏡。
【請求項4】
前記駆動制御ブロックは、
前記比較値が前記暗所視照度よりも小なる時は暗所視での比視感度最大波長の焦点距離となるように前記可変焦点レンズの焦点距離を決定し、
前記比較値が前記明所視照度よりも大なる時は明所視での比視感度最大波長の焦点距離となるように前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する請求項3に記載の電子眼鏡。
【請求項5】
前記駆動制御ブロックは、
前記比較値が前記暗所視照度よりも大で前記明所視照度よりも小なる時は、前記照度に応じて暗所視での比視感度最大波長の焦点距離から明所視での比視感度最大波長の焦点距離の範囲で前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する請求項3に記載の電子眼鏡。
【請求項6】
前記駆動制御ブロックは、
前記比較値が前記暗所視照度よりも大で前記明所視照度よりも小なる時は、前記照度に応じて暗所視での比視感度最大波長の焦点距離から明所視での比視感度最大波長の焦点距離の範囲で前記可変焦点レンズの焦点距離を決定する請求項4に記載の電子眼鏡。
【請求項7】
前記暗所視照度が略0.01ルクスであり、前記明所視照度が略10ルクスである請求項3に記載の電子眼鏡。
【請求項8】
前記暗所視での比視感度最大波長は略507nmであり、前記明所視での比視感度最大波長は略555nmである請求項4あるいは請求項5に記載の電子眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−237226(P2009−237226A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82810(P2008−82810)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】