説明

電子素子用台座

【課題】プリント基板との接合強度を向上させる電子素子用台座を提供する。
【解決手段】電気絶縁部材からなる台座本体21と、該台座本体21に設けられて該台座本体21に装着される電子素子10のリード線12に電気的に接続される導電性部材からなる金属端子23と、を備え、該台座本体21から露出した該金属端子23の一部をプリント基板30の回路パターンに半田付けすることにより該回路パターンとリード線12とを電気的に接続させて該プリント基板30に表面実装される電子素子用台座において、金属端子23は、前記回路パターンと併設するように台座本体21の側壁から突出し、該突出した突出箇所の底面と台座本体21の底面から露出した底面とが連続した平面になるように形成された平板部23bを有し、金属端子23の平板部23bの突出箇所を、前記回路パターンに半田付けするようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子用台座に関し、より詳細には、電気絶縁部材からなる台座本体と、該台座本体に装着される電子素子のリード線に電気的に接続されると共に前記台座本体から露出する金属端子と、を備え、前記金属端子をプリント基板の回路パターンに半田付けすることにより電気的に接続させて前記プリント基板に表面実装される電子素子用台座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、周波数、時間の基準として圧電振動子、特に安価で高性能な水晶振動子等の電子素子が用いられている。そして、この電子素子が水晶振動子の場合、例えば、ベース部材に一対のリード線を植設してリード線の先端部に所定の形状に成形した水晶片を保持するようにしている。そして、ベースに金属カバーを被せてベースの外周縁部で半田付け、抵抗溶接等を行って気密に封止している。
【0003】
このように水晶振動子は、容器が導電性を有するため、ベース部材から導出したリード線を、そのままプリント基板の表面の回路パターンに接続した場合、金属性の容器によって回路パターンを短絡させる等の事故が発生する可能性があったた。そのため、水晶振動子のベースを絶縁材料からなる台座に載置して、この台座の底面をプリント基板の回路パターンに半田付けすることにより表面実装されている。
【0004】
また、従来の表面実装用の電子部品としては、プリント基板等に対して確実に固着することを可能とする技術思想が開示されている。該電子部品は、電気絶縁材料からなる台座本体と、該台座本体に装着される電子素子と、電子素子の導出部に電気的に接続されると共に台座本体側に折り曲げられる金属端子と、を備え、台座本体は、折り曲げられる金属端子に対応し、かつ、金属端子の幅員よりも所定の寸法だけ大きな幅員を有する溝部を設けている。そのため、金属端子をプリント基板等の表面に半田付けする際に、半田が金属端子と溝部との間に形成される隙間に沿って毛管現象を介して上昇し、確実な接合状態を得るようにしてきた。
【特許文献1】特開平6−85146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電子部品にように導出部と金属端子との固着強度の向上が図られているが、しかしながら、上述した電子部品における金属端子は、台座本体側に折り曲げて台座本体に設けていることから、その折り曲げ箇所に微細なクラックが発生すると、その箇所に酸化皮膜が形成されてしまい、金属端子をプリント基板の回路パターンに半田付けする際に半田がはじかれて台座本体とプリント基板との接合強度を低下させてしまうという問題があった。そのため、金属端子の半田濡れ性の向上を図っても、台座本体とプリント基板との接合強度を向上させることは困難であった。
【0006】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、プリント基板との接合強度を向上させることができる電子素子用台座を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の電子素子用台座は、電気絶縁部材からなる台座本体と、該台座本体に設けられて該台座本体に装着される電子素子のリード線に電気的に接続される導電性部材からなる金属端子と、を備え、該台座本体から露出した該金属端子の一部をプリント基板の回路パターンに半田付けすることにより該回路パターンと該リード線とを電気的に接続させて該プリント基板に表面実装される電子素子用台座において、前記金属端子は、前記回路パターンと併設するように該台座本体の側壁から突出し、該突出した突出箇所の底面と該台座本体の底面から露出した底面とが連続した平面になるように形成された平板部を有し、前記金属端子の平板部の突出箇所を、前記回路パターンに半田付けするようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記請求項1に記載した本発明の電子素子用台座によれば、プリント基板の回路パターンと併設するように該台座本体の側壁から突出し、該突出した突出箇所の底面と該台座本体の底面から露出した底面とが連続した平面になるように形成された平板部が金属端子に形成される。そして、台座本体に電子素子が装着されると、電子素子のリード線が金属端子に電気的に接続される。そして、突出した金属端子の平板部をプリント基板の回路パターンに合わせて電子素子用台座がプリント基板上に配置され、平板部が回路パターンに半田付けされて電子素子用台座はプリント基板の表面に実装される。
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電子素子用台座において、前記金属端子の平板部が、前記台座本体の底面から突出するように設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記請求項2に記載した本発明の電子素子用台座によれば、金属端子の平板部は、台座本体の底面から突出し、かつ、台座本体の側面から突出するように台座本体に設けられる、そして、台座本体から突出する平板部が回路パターンに半田付けされて電子素子用台座はプリント基板の表面に実装される。
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子素子用台座において、前記台座本体の側面から突出した前記平板部の端面の少なくとも一部の表面が、めっき膜で覆われていることを特徴とする。
【0012】
上記請求項3に記載した本発明の電子素子用台座によれば、金属端子は平板部の端面の少なくとも一部の表面にめっき膜が形成され、該端面が台座本体の側面から突出するように金属端子が台座本体に設けられる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の電子素子用台座によれば、金属端子に形成した平らな平板部が、基台本体の底面から露出してその基台本体の側面から突出するように基台本体に金属端子を設け、その平板部の突出箇所をプリント基板の回路パターンに半田付けするようにしたことから、プリント基板に半田付けする金属端子には折り曲げ箇所が存在しなくなり、クラックの発生を防止することができるため、金属端子の平板部に半田を確実に濡れ上がらせることが可能となり、プリント基板との接合強度を向上させることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、金属端子の平板部が基台本体の底面から突出するように金属端子を基台本体に設けるようにしたことから、金属端子が回路パターンと半田によって接合される接合箇所を多くすることができるため、金属端子の接合強度をより一層向上させることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、金属端子は平板部の端面の少なくとも一部にめっき膜を形成するようにしたことから、金属端子の平板部の端面が切断面になっている場合でも、その端面から確実に半田を濡れ上がらせることができるため、半田濡れ性を向上させることができ、プリント基板との接合強度をより一層向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る電子素子用台座を用いた電子部品の一実施の形態を、図1〜図5の図面を参照して説明する。
【0017】
ここで、図1は本発明の電子素子用台座の概略構成を説明するための図であり、図2は図1の電子素子用台座の状面図であり、図3は図2の直線A−Aを通る矢印方向の断面を示す断面図であり、図4は金属端子の製造の一例を説明するための図であり、図5は図3の部分Bの端面を拡大した拡大図である。
【0018】
電子部品1は、図1〜3に示すように、電子素子である水晶振動子10と、該水晶振動子10が装着される本発明の電子素子用台座20と、を備える。そして、水晶振動子10は、周知であるように、ベース部材11に一対のリード線12を植設し、リード線12の先端部に所定の形状に成形した水晶片を保持している。そして、ベース部材11に金属カバー13を被せてベース部材11の外周縁部で半田付け、抵抗溶接等を行って気密に封止している。
【0019】
電子素子用台座20は、略長方形の平板状に電気絶縁部材によって形成している台座本体11と、該台座本体11に装着される水晶振動子10のリード線12の各々を挿入する一対の貫通孔22と、そのリード線12に電気的に接続されると共に台座本体11から一部が露出するように台座本体11に埋設している金属端子23と、を備える。
【0020】
金属端子23は、台座本体21に装着される水晶振動子10のリード線12に電気的に接続する接続部23aと、プリント基板30の回路パターンに半田付けされる平板部23bと、接続部23aと平板部23bとの間に介在する折り曲げ部23cと、を備える。そして、金属端子23の表面には、半田の濡れ性を高めるために、例えばSn等からなるめっき膜を形成している。
【0021】
接続部23aは、水晶振動子10のリード線12を挿入するための挿入孔23a1を、その中央部付近に形成している。この挿入孔23a1は、水晶振動子10のリード線12の挿入方向に対してテーパ状に形成している。そして、挿入孔23a1にリード線12が挿入されると、半田付けによって電気的に接続される。
【0022】
平板部23bは、前記回路パターンと併設するように該台座本体21の側壁25から突出し、該突出した突出箇所の底面と該台座本体21の底面24から露出した底面とが連続した平面になるように形成されて、インサート成形等により台座本体21に埋設している。そして、金属端子23の平板部23bの突出箇所を、前記回路パターンに半田付けするようにしたことで、プリント基板30に半田付けする金属端子23に折り曲げ箇所がなくなり、クラックの発生を防止するようにした。
【0023】
なお、本最良の形態では、平板部23bの長手方向の長さが11mmのときに、平板部23bの端部23b1が0.2mmだけ突出するように形成しているが、本発明はこれに限定するものではなく、その長さは製品の仕様等に応じて種々異なる形態とすることができる。
【0024】
また、金属端子23の平板部23bが、基台本体21の底面24から突出するように金属端子23を基台本体21に設けることで、金属端子23が前記回路パターンと半田によって接合される接合箇所を多くし、金属端子23とプリント基板30との接合強度を向上させている。
【0025】
ここで、金属端子23の製造方法の一例を説明する。本最良の形態では、図4に示すように、燐青銅等の金属部材からなるプレート部材40から余分な領域をプレス加工等によって打ち抜くことで、プレート部材40のフレーム部41から連設する複数の金属端子23を形成する。また、フレーム41と金属端子23との連設部42には、円形状の穴部43を形成している。
【0026】
そして、少なくとも金属端子23の表面に前記めっき膜を、予め定められた所定の厚さで形成している。その後、穴部43を約二等分するように連結部42で切断されることで、複数の金属端子23が形成される。このように形成した金属端子23における平板部23bの端部23b1の端面23b2は、図5に示すように、穴部43の内壁の一部であり、めっき膜が形成された断面が円弧状のめっき面23b21と、該めっき面23b21を挟み、めっき膜が形成されていない切断面23b22と、を有する構成となっている。
【0027】
なお、本最良の形態では、金属端子23の平板部23bをプレート部材40のフレーム部41から切断して成形する場合について説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、切断後の端面23b2にめっき膜を形成したり、また、切断しないで製造する場合は、その端面23b2の全てにめっき膜を形成するなど種々異なる形態とすることができる。
【0028】
次に、上述した構成の電子素子用台座20の組み付けについて説明する。まず、水晶振動子10のリード線12を、台座本体21の金属端子23の挿入孔23a1に挿入させながら水晶振動子10を台座本体21に装着し、半田付け等によって電気的に接続される。そして、電子素子用台座20は、突出した金属端子20の平板部23bがプリント基板30の回路パターンに合わせて電子素子用台座20がプリント基板30上に配置され、その状態で平板部23bが回路パターンに半田付けされることで、台座本体21の側面25から突出した金属端子23の平板部23bに半田が濡れ上がり、電子素子用台座20はプリント基板30の表面に実装される。その結果、金属端子23を介して水晶振動子10のリード線12とプリント基板30とが電気的に接続されることになる。
【0029】
以上説明したように本発明の電子素子用台座20によれば、金属端子23に形成した平らな平板部23bが、基台本体21の底面24から露出してその基台本体21の側面25から突出するように基台本体21に金属端子23を設け、その平板部23bの突出箇所をプリント基板30の回路パターンに半田付けするようにしたことから、プリント基板30に半田付けする金属端子23には折り曲げ箇所が存在しなくなり、クラックの発生を防止することができるため、金属端子23の平板部23bに半田を確実に濡れ上がらせることが可能となり、プリント基板30との接合強度を向上させることができる。
【0030】
また、金属端子23の平板部23bが基台本体21の底面24から突出するように金属端子23を基台本体21に設けるようにしたことから、金属端子23がプリント基板30の回路パターンと半田によって接合される接合箇所を多くすることができるため、金属端子23の接合強度をより一層向上させることができる。
【0031】
さらに、金属端子23は平板部23bの端面23b2の少なくとも一部にめっき膜を形成するようにしたことから、その端面23b2が切断面になっている場合でも、その端面23b2から確実に半田を濡れ上がらせることができるため、半田濡れ性を向上させることができ、プリント基板30との接合強度をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の電子素子用台座の概略構成を説明するための図である。
【図2】図1の電子素子用台座の状面図である。
【図3】図2の直線A−Aを通る矢印方向の断面を示す断面図である。
【図4】金属端子の製造の一例を説明するための図である。
【図5】図3の部分Bの端面を拡大した拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
1 電子部品
10 水晶振動子(電子素子)
12 リード線
20 電子素子用台座
21 台座本体
23 金属端子
23b 平板部
30 プリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁部材からなる台座本体と、該台座本体に設けられて該台座本体に装着される電子素子のリード線に電気的に接続される導電性部材からなる金属端子と、を備え、該台座本体から露出した該金属端子の一部をプリント基板の回路パターンに半田付けすることにより該回路パターンと該リード線とを電気的に接続させて該プリント基板に表面実装される電子素子用台座において、
前記金属端子は、前記回路パターンと併設するように該台座本体の側壁から突出し、該突出した突出箇所の底面と該台座本体の底面から露出した底面とが連続した平面になるように形成された平板部を有し、
前記金属端子の平板部の突出箇所を、前記回路パターンに半田付けするようにした
ことを特徴とする電子素子用台座。
【請求項2】
前記金属端子の平板部が、前記台座本体の底面から突出するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子素子用台座。
【請求項3】
前記台座本体の側面から突出した前記平板部の端面の少なくとも一部の表面が、めっき膜で覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子素子用台座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−108909(P2006−108909A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290471(P2004−290471)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(394027559)三谷産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】