説明

電子装置の製造方法及び電子装置

【課題】モールド樹脂の硬化時に、樹脂基板とベアチップとの相対位置が変動することにより、ベアチップの電極パッドと貫通電極とを再配線で接続する際の歩留まりが低下してしまうことのない電子装置の製造方法及び電子装置を提供する。
【解決手段】機能素子が形成されたチップ15を支持体に仮固定するとともに、絶縁部材17を前記支持体に仮固定する。支持体に仮固定したチップ15及び絶縁部材17を、樹脂層16で被覆する。チップ15、絶縁部材17、及び樹脂層16を、支持体から引き離す。絶縁部材17が露出するまで樹脂層16を研磨することにより、チップ15、絶縁部材17、及び樹脂層16からなる再構築ウエハ10を得る。再構築ウエハ10の絶縁部材17に貫通孔を形成し、貫通孔内に貫通電極18を形成するとともに、再構築ウエハ10の上に、チップ15と貫通電極18とを接続する配線21を含む再配線層20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能素子が形成されたチップをウエハ状態に再構築し、再構築されたウエハの上に配線層を形成する電子装置の製造方法、及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のベアチップに代表される機能素子を高密度に、かつ低コストで実装するパッケージ技術が求められている。この要請を実現するパッケージ技術として、例えばチップサイズパッケージ(CSP)が有望である。近年、CSP自体の微細ピッチ化が加速され、パッケージ形態が、樹脂インターポーザを用いたものからウエハレベルパッケージ(WLP)へ変化している。WLPは、ウエハレベルチップサイズパッケージ(WL−CSP、W−CSP)とも呼ばれる。
【0003】
従来のWLPにおいては、半導体ベアチップの縁の近傍に配置された端子をチップ全面に再配置することが目的であった。端子をチップ全面に再配置する形態のWLPは、「ファンイン型」と呼ばれる。ウエハ状態でパッケージまで行うことが可能であり、良否判定の最終試験後にダイシングが行われる。このため、低コスト化に適しており、実装面積を小さくすることが可能である。
【0004】
半導体ベアチップの多端子化に伴い、チップ領域のみでは端子の再配置が困難になってきている。このため、チップ領域の外側に端子を再配置する形態のWLPが開発されている。端子をチップ領域の外側に再配置する形態は、「ファンアウト型」と呼ばれる。ファンアウト型のWLPでは、半導体ベアチップの回路形成面が露出し、側面及び裏面が樹脂で被覆されるように、半導体ベアチップを樹脂層に固定する。半導体ベアチップ及びそれを固定する樹脂層によって、擬似的なウエハが再構築される。この擬似的なウエハは、「再構築ウエハ」と呼ばれる。再構築ウエハの上に、再配線層が形成される。
【0005】
ファンアウト型WLPでは、一例として、ベアチップ(ダイ)を収容するためのスルーホールが形成された樹脂基板が用いられる。このスルーホール内にベアチップを収容し、樹脂によって、ベアチップが樹脂基板に固定される。端子は、ベアチップ及び樹脂基板の面上に再配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−258621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の再構築ウエハを積層する場合、またはベアチップの回路形成面とは反対側の面に外部接続用の端子を再配置する場合には、再構築ウエハに、厚さ方向に貫通する貫通電極を形成する必要がある。再構築ウエハに形成される再配線によって、貫通電極と、ベアチップの電極パッドとが接続される。
【0008】
樹脂を用いてベアチップを樹脂基板に固定する場合、樹脂が硬化する際に、樹脂の収縮等によって、樹脂基板とベアチップとの相対位置が変動する。相対位置が変動すると、ベアチップの電極パッドと貫通電極とを再配線で接続する際の歩留まりが低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によると、
機能素子が形成されたチップを支持体に仮固定するとともに、絶縁部材を前記支持体に仮固定する工程と、
前記支持体に仮固定した前記チップ及び前記絶縁部材を、樹脂層で被覆する工程と、
前記チップ、前記絶縁部材、及び前記樹脂層を、前記支持体から引き離す工程と、
前記絶縁部材が露出するまで前記樹脂層を研磨することにより、前記チップ、前記絶縁部材、及び前記樹脂層からなる再構築ウエハを得る工程と、
前記再構築ウエハの前記絶縁部材に貫通孔を形成し、該貫通孔内に貫通電極を形成するとともに、前記再構築ウエハの上に、前記チップと前記貫通電極とを接続する配線を含む再配線層を形成する工程と
を有する電子装置の製造方法が提供される。
【0010】
本発明の他の観点によると、
機能素子が形成されたチップ、絶縁部材、及び樹脂層が同一面内に配置され、前記チップ及び前記絶縁部材が前記樹脂層によって相互に固定されており、該樹脂層が無機材料のフィラーを含有している再構築ウエハと、
前記絶縁部材を、前記再構築ウエハの厚さ方向に貫通する貫通電極と、
前記再構築ウエハの上に形成され、前記チップと前記貫通電極とを接続する配線を含む再配線層と
を有する電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
再構築ウエハを形成した後に、貫通孔を形成するため、樹脂層の収縮に起因するチップと貫通孔との相対位置の変動を防止することができる。これにより、チップと貫通電極とを再配線層で接続する際の歩留まり低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1による電子装置の断面図である。
【図2−1】(2A)は、実施例1による電子装置のベアチップ及び絶縁部材のレイアウトを示す平面図であり、(2B)〜(2C)は、実施例1による電子装置の製造途中段階の断面図である。
【図2−2】(2D)〜(2H)は、実施例1による電子装置の製造途中段階の断面図である。
【図2−3】(2I)〜(2M)は、実施例1による電子装置の製造途中段階の断面図である。
【図2−4】(2N)〜(2R)は、実施例1による電子装置の製造途中段階の断面図である。
【図2−5】(2S)〜(2V)は、実施例1による電子装置の製造途中段階の断面図である。
【図3】実施例1の変形例による電子装置のベアチップ及び絶縁部材のレイアウトを示す平面図である。
【図4】実施例2による電子装置の断面図である。
【図5】(5A)〜(5C)は、実施例2による電子装置の製造途中段階の断面図である。
【図6】実施例3による電子装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施例1]
図1に、実施例1による電子装置の断面図を示す。半導体のベアチップ(ダイ)15、樹脂層16、及び絶縁部材17により、再構築ウエハ10が構成されている。これらは、同一面内に配置される。具体的には、樹脂層16の一方の表面と、ベアチップ15の回路形成面とが、再構築ウエハ10の一方の平坦な表面を画定し、樹脂層16の他方の表面と、ベアチップ15の裏面とが、再構築ウエハ10の他方の平坦な表面を画定する。絶縁部材17は、樹脂層16内に埋め込まれており、樹脂層16の一方の表面から他方の表面まで達している。
【0014】
ベアチップ15には、トランジスタや配線が形成されたシリコン基板、化合物半導体基板等が用いられる。ベアチップ15には、その他の機能素子が形成されたチップを用いてもよい。例えば、MEMS素子、センサー素子、受動素子等の機能素子が形成された無機材料からなる基板を、ベアチップ15としてもよい。
【0015】
樹脂層16は、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等の無機材料からなるフィラー16Aを含有している。フィラー16Aの含有量は、例えば80〜90wt%である。絶縁部材17には、絶縁性の樹脂、例えばポリイミド、エポキシ等を用いることができる。一例として、ガラス繊維布を含有したプリプレグ、プリント配線用基板等が用いられる。
【0016】
ベアチップ15の回路形成面に複数の電極パッド15Aが配置されている。絶縁部材17に、貫通電極18が形成されている。貫通電極18は、再構築ウエハ10を、その厚さ方向に貫通している。
【0017】
再構築ウエハ10の両面のうち、ベアチップ15の回路形成面を含む表面を再構築ウエハ10の「上面」といい、その反対側の表面を「裏面」ということとする。再構築ウエハ10の上面に、上面側再配線層20が形成されている。上面側再配線層20は、絶縁膜22、配線21、及び外部接続端子25を含む。一部の配線21は、ベアチップ15上の電極パッド15Aと貫通電極18とを接続し、他の一部の配線21は、電極パッド15Aと外部接続端子25とを接続する。外部接続端子25は、面内に関して、電極パッド15Aとは異なる位置に再配置される。なお、図1では、上面側再配線層20が2層の配線で構成された例を示しているが、3層以上の配線で構成してもよい。
【0018】
保護膜26が、上側再配線層20を覆う。保護膜26には、外部接続端子25を露出させる開口が形成されている。
【0019】
再構築ウエハ10の裏面に、裏面側再配線層30が形成されている。裏面側再配線層30は、絶縁膜32及び配線31を含む。裏面側再配線層30の表面に保護膜36が形成されている。保護膜36には、外部接続端子を露出させる開口が形成されている。露出した外部接続端子の上に、バンプ35が形成されている。配線31は、貫通電極18とバンプ35とを接続する。バンプ35は、面内に関して、貫通電極18とは異なる位置に再配置される。なお、図1では、裏面側再配線層30が2層の配線で構成された例を示しているが、3層以上の配線で構成してもよい。
【0020】
次に、図2A〜図2Vを参照して、実施例1による半導体装置の製造方法について説明する。
【0021】
図2Aに、再構築ウエハを個片化する前のベアチップ15及び絶縁部材17の平面図を示す。支持体の上に、複数のベアチップ15が行列状に配置されている。各ベアチップ15の周囲に、複数の絶縁部材17が配置されている。一例として、ベアチップ15の平面形状は正方形または長方形であり、絶縁部材17は、ベアチップ15の各辺のやや外側に配置されている。支持体の形状は、円形でもよいし、四角形でもよい。円形の支持体を用いる場合には、再構築ウエハの製造に、半導体製造設備を利用することができる。四角形の支持体を用いる場合には、再構築ウエハの製造に、プリント配線基板の製造設備を利用することができる。図2B〜図2Vは、図2Aの一点鎖線2B−2Bにおける断面図に相当する。
【0022】
図2Bに示すように、支持体50の上に、両面粘着テープ51を介して、複数のベアチップ15及び複数の絶縁部材17を仮固定する。ベアチップ15は、回路形成面15Tが支持体50に対向する向きで仮固定される。仮固定する際には、例えばフリップチップボンダが用いられる。支持体50には、例えばシリコン基板、ガラス基板、ステンレス基板等を用いることができる。両面粘着テープ51には、例えば耐熱性や剥離容易性の観点から、加熱発泡型の粘着テープ、紫外線照射によって密着強度を低下させる粘着テープ等を用いることが好ましい。
【0023】
絶縁部材17の厚さは、ベアチップ15の厚さとほぼ等しい。なお、絶縁部材17を、ベアチップ15よりもやや厚くしてもよい。一例として、ベアチップ15及び絶縁部材17の厚さは、0.4mmである。ベアチップ15の平面形状は、例えば一辺の長さが5mmの正方形である。
【0024】
図2Cに示すように、ベアチップ15及び絶縁部材17が仮固定された支持体50の上に、モールド樹脂16を供給(ディスペンス)する。モールド樹脂16は、無機材料からなるフィラー16Aを含有している。フィラー16Aの含有量は、例えば80〜90wt%である。
【0025】
図2Dに示すように、モールド樹脂16をプレスする。これにより、モールド樹脂16の表面はほぼ平坦になる。粘着テープ51の表面から、モールド樹脂16の平坦な表面までの高さは、例えば0.6mmとする。ベアチップ15及び絶縁部材17は、モールド樹脂16によって埋め込まれる。その後、支持体50及び粘着テープ51から、ベアチップ15、絶縁部材17、及びモールド樹脂16を剥離する。粘着テープ51が加熱発泡型のものである場合には、加熱することにより容易に剥離することができる。粘着テープ51が、紫外線照射によって密着強度を弱めるものである場合には、紫外線を照射することによって、容易に剥離することができる。
【0026】
図2Eに示すように、ベアチップ15の回路形成面15T、及び絶縁部材17の表面が露出する。剥離後、モールド樹脂16のキュアを行う。
【0027】
図2Fに示すように、モールド樹脂16を、ベアチップ15の裏面及び絶縁部材17が露出するまで研磨する。絶縁部材17が、ガラス繊維布を含むプリプレグやプリント基板である場合には、通常の樹脂の研磨条件では絶縁部材17を研磨することが困難である。また、絶縁部材17がポリイミドやエポキシのフィルムである場合には、目詰まりのため、絶縁部材17を研磨することが困難である。このため、絶縁部材17が露出した時点で、再現性よく研磨を停止させることができる。
【0028】
絶縁部材17がベアチップ15よりもやや厚い場合には、ベアチップ15の裏面に、モールド樹脂16が薄く残る。研磨後のモールド樹脂16を、樹脂層16ということとする。ベアチップ15及び絶縁部材17は、樹脂層16により相互に固定される。ベアチップ15、絶縁部材17、及び樹脂層16からなる再構築ウエハ10が得られる。絶縁部材17の厚さを調節することにより、再構築ウエハ10の厚さを、容易に制御することができる。
【0029】
なお、ベアチップ15、絶縁部材17、及びモールド樹脂16が支持体50(図2D)に仮固定された状態で研磨を行い、研磨後に、支持体50及び粘着テープ51を剥離してもよい。
【0030】
図2Gに示すように、絶縁部材17に貫通孔17Aを形成する。貫通孔17Aの形成には、機械式ドリルやレーザドリルを用いることができる。貫通孔17Aの直径は、例えば0.3mmである。貫通孔17Aを形成した後、プラズマ処理を行う。
【0031】
図2Hに示すように、貫通孔17Aの側面、及び再構築ウエハ10の上面及び裏面に、銅のシード層40を形成する。シード層40の形成には、例えば無電解めっきが適用される。
【0032】
図2Iに示すように、再構築ウエハ10の両側のシード層40に、ドライフィルムレジスト53を貼り付ける。
【0033】
図2Jに示すように、ドライフィルムレジスト53に、開口53Aを形成する。開口53Aは、絶縁部材17に形成された貫通孔17Aと重なる位置に形成される。開口53Aは、ドライフィルムレジスト53を露光し、現像することにより形成することができる。
【0034】
図2Kに示すように、貫通孔17A内を銅の貫通電極18で埋め込む。貫通電極18の形成には、シード層40を電極として用いた電解めっきが適用される。
【0035】
図2Lに示すように、ドライフィルムレジスト53(図2K)を、アミン系剥離液を用いて剥離する。これにより、シード層40が露出する。
【0036】
図2Mに示すように、再構築ウエハ10の上面及び裏面に付着していたシード層40(図2L)をエッチングして除去する。これにより、ベアチップ15の回路形成面15Tと、その反対側の裏面、絶縁部材17の表面、及び樹脂層16の表面が露出する。貫通孔17A内には、貫通電極18が残る。なお、図2Mでは、貫通孔17Aの側面を覆うシード層40の表示を省略している。
【0037】
図2Nに示すように、再構築ウエハ10の上面に、感光性樹脂膜41を形成する。図2B〜図2Mでは、再構築ウエハ10を、回路形成面15Tが図の下方を向く姿勢で表していたが、図2N〜図2Vでは、上下を反転させ、回路形成面15Tが図の上方を向く姿勢で表している。感光性樹脂膜41には、例えば、感光性エポキシ、感光性ポリベンゾオキサゾール、感光性ポリイミド等を用いることができる。感光性樹脂膜41の形成には、例えばスピンコートが適用される。感光性樹脂膜41の厚さは、例えば10μmである。感光性樹脂膜41は、上側再配線層20(図1)の絶縁膜22の一部を構成する。
【0038】
図2Oに示すように、感光性樹脂膜41を露光し、現像することにより、開口41Aを形成する。その後、キュア及び酸素プラズマ処理を行う。この開口41Aは、ベアチップ15の電極パッド15A(図1)及び貫通電極18と重なる位置に配置される。開口41Aの底面に、電極パッド15A(図1)及び貫通電極18が露出する。開口41Aの各々の直径は、例えば30μmである。
【0039】
図2Pに示すように、感光性樹脂膜41の上面、及び開口41Aの内面に、シード層43を形成する。シード層43は、例えば、厚さ0.1μmの密着層と、厚さ0.3μmの銅層との2層を含む。密着層には、例えばチタン、クロム等が用いられる。シード層43の形成には、例えばスパッタリングが適用される。
【0040】
図2Qに示すように、シード層43の上に、フォトレジストパターン44を形成する。フォトレジストパターン44には、形成すべき配線及びビアに整合する開口44Aが形成されている。
【0041】
図2Rに示すように、シード層43を電極として、銅を電解めっきすることにより、開口44A内にビア及び配線45を形成する。
【0042】
図2Sに示すように、フォトレジストパターン44(図2R)を除去する。フォトレジストパターン44が形成されていた領域に、シード層43が露出する。
【0043】
図2Tに示すように、露出しているシード層43(図2S)を除去する。シード層43の除去には、例えばウェットエッチングまたはドライエッチングが適用される。図2Tにおいては、配線44の下のシード層43の表示を省略している。図2Nから図2Tまでの工程で、上面側再配線層20(図1)の1層目の配線45が形成される。
【0044】
図2Uに示すように、再構築ウエハ10の裏面に、感光性樹脂膜61及び配線65を形成する。感光性樹脂膜61及び配線65の形成方法は、上面に形成された感光性樹脂膜41及び配線45の形成方法と同一である。一部の配線65は、貫通電極18に接続される。図2Uの断面内において、貫通電極18に接続されていないように見える配線65も、図2Uの断面に現れていない他の貫通電極18に接続されている。裏面に感光性樹脂膜61及び配線65を形成する際には、上面に形成されている感光性樹脂膜41及び配線45を保護フィルムで被覆しておくことが好ましい。図2Uの工程で、裏面側再配線層30(図1)の1層目の配線65が形成される。
【0045】
図2Vに示すように、必要に応じて、上面側再配線層20の1層分の配線の形成と、裏面側再配線層30の1層分の配線の形成とを、交互に繰り返す。これにより、上面側再配線層20及び裏面側再配線層30が形成される。上面側の配線の形成と、裏面側の配線の形成とを交互に繰り返すことにより、再構築ウエハ10の反りを抑制することができる。
【0046】
なお、必ずしも、上面側再配線層20の配線の形成と、裏面側配線層30の配線の形成とを、1層ずつ交互に繰り返す必要はない。例えば、上面側再配線層20の複数層の配線の形成と、裏面側再配線層30の複数層の配線の形成とを、交互に繰り返してもよい。一般的には、一方の再配線層の1層目の配線を形成する工程と、最上の配線を形成する工程との間に、他方の面の再配線層の少なくとも一部の層を形成するようにすればよい。
【0047】
図1に示すように、上面側再配線層20の上に保護膜26を形成する。保護膜26の、外部接続端子25に対応する部分に、開口を形成し、外部接続端子25を露出させる。なお、複数の再構築ウエハ10を積層しない場合には、この開口を形成する必要はない。裏面側再配線層30の表面を保護膜36で覆い、外部接続端子を露出させるための開口を形成する。その後、外部接続端子の上にバンプ35を形成する。
【0048】
バンプ35を形成した後、良否判定の試験を行う。その後、再構築ウエハ10をダイシングすることにより個片化する。
【0049】
上記実施例1では、図2Eの工程でモールド樹脂16のキュアを行った後に、図2Gの工程で貫通孔17Aが形成される。モールド樹脂16のキュアによって、ベアチップ15と絶縁部材17との相対位置が固定される。貫通孔17Aを形成した後は、モールド樹脂(樹脂層)16の収縮はほとんどない。このため、ベアチップ15に対する貫通孔17Aの位置精度を高めることができる。これにより、ベアチップ15上の電極パッド15A(図1)と貫通電極18(図1)とを、上面側再配線層20で接続する際の歩留まり低下を抑制することができる。
【0050】
上記実施例1では、貫通電極18が、フィラーを含む樹脂層16内には形成されず、絶縁部材17内に形成される。フィラーを含む樹脂層に貫通孔を形成する場合には、フィラーの脱離等が生じるため、微細な貫通孔の形成が困難である。絶縁部材17内に貫通電極18を配置するため、微細な貫通電極18を形成することが容易である。
【0051】
図3に、実施例1の変形例による半導体装置の製造方法で用いられる再構築ウエハを個片化する前のベアチップ15及び絶縁部材17の平面図を示す。以下、図2Aに示した実施例1の平面図との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0052】
実施例1では、1つのベアチップ15の周囲に、4つの絶縁部材17が相互に離間して配置されていた。図3に示した変形例では、1つの環状の絶縁部材17が、1つのベアチップ15の周囲を取り囲んでいる。一例として、ベアチップ15の外形は、一辺の長さが5mmの正方形である。絶縁部材17の外周は、一辺の長さが10mmの正方形であり、内周は、一辺の長さが6mmの正方形である。ベアチップ15の外周と、絶縁部材17の内周との間に、幅1mmの間隙が確保される。
【0053】
図2B〜図2Vに示した実施例1による製造方法は、図3に示した変形例による半導体装置の製造方法と同一である。
【0054】
この変形例においても、実施例1と同様の効果が得られる。また、この変形例においては、絶縁部材17の部品点数を削減することができる。これにより、支持体50(図2B)の上に絶縁部材17を搭載する時間の短縮化を図ることができる。
【0055】
[実施例2]
図4に、実施例2による電子装置の断面図を示す。以下の説明では、図1に示した実施例1との相違点に着目し、同一の構成については説明を省略する。
【0056】
実施例1では、図1に示したように、貫通電極18が絶縁部材17の上面から裏面まで達しており、上面側再配線層20及び裏面側再配線層30内には進入していなかった。実施例2では、貫通電極18が、上面側再配線層20及び裏面側再配線層30内まで進入している。
【0057】
貫通電極18は、上面側再配線層20の最上の配線21aを介して、ベアチップ15の電極パッド15Aに接続されている。裏面側においても、貫通電極18は、裏面側再配線層30の最上の配線31aを介して、バンプ35に接続されている。
【0058】
図5A〜図5Cを参照して、実施例2による半導体装置の製造方法について説明する。以下の説明では、図2A〜図2Vに示した実施例1との相違点に着目し、同一の工程については説明を省略する。
【0059】
図5Aに示すように、再構築ウエハ10を形成する。ただし、実施例2においては、絶縁部材17内に貫通電極18(図2M)が形成されておらず、貫通孔も形成されていない。再構築ウエハ10の上面に上面側再配線層20を形成し、裏面に裏面側再配線層30を形成する。上面側再配線層20及び裏面側再配線層30の形成方法は、図2N〜図2Vに示した実施例1の方法と同一である。
【0060】
図5Bに示すように、上面側再配線層20、絶縁部材17、及び裏面側再配線層30を貫通する貫通孔を形成し、貫通孔内に貫通電極18を充填する。貫通孔の形成には、機械式ドリル、レーザドリル等を用いることができる。貫通電極18の形成は、図2H〜図2Mに示した実施例1の貫通電極18の形成方法と同一である。
【0061】
図5Cに示すように、上面側再配線層20の最上の配線21aを形成する。その後、裏面側再配線層30の最上の配線31aを形成する。最上の配線21a、31aは、図2N〜図2Tに示した実施例1の方法と同一の方法で形成される。図4に示すように、保護膜26、36、及びバンプ35を形成する。
【0062】
実施例2においても、樹脂層16にキュアを施した後に、貫通電極18を充填するための貫通孔が形成される。また、上面側再配線層20の1層分の配線と、裏面側再配線層30の1層分の配線とが交互に形成される。さらに、貫通電極18は、樹脂層16内に配置されず、絶縁部材17内に配置される。このため、実施例1と同様の効果が得られる。
【0063】
[実施例3]
図6に、実施例3による電子装置の断面図を示す。以下の説明では、図1に示した実施例1との相違点に着目し、同一の構成については説明を省略する。
【0064】
実施例1では、個片化した1つの電子装置が、ベアチップ15を1枚のみ含んでいた。実施例3では、個片化した後の電子装置は、ベアチップ15を複数枚含んでいる。上面側再配線層20内の一部の配線21bは、1つのベアチップ15と他のベアチップ15とを接続している。
【0065】
実施例3においても、貫通電極18を充填するための貫通孔は、樹脂層16のキュアを行った後に形成される。また、上面側再配線層20の1層分の配線と、裏面側再配線層30の1層分の配線とが交互に形成される。さらに、貫通電極18は、樹脂層16内に配置されず、絶縁部材17内に配置される。このため、実施例1と同様の効果が得られる。
【0066】
なお、実施例3においても、実施例2と同様に貫通電極18が上面側再配線層20及び裏面側再配線層30内に進入する構成としてもよい。
【0067】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0068】
10 再構築ウエハ
15 ベアチップ
15A 電極パッド
16 樹脂層(モールド樹脂)
16A フィラー
17 絶縁部材
17A 貫通孔
18 貫通電極
20 上面側再配線層
21 配線
22 絶縁膜
25 外部接続端子
26 保護膜
30 裏面側再配線層
31 配線
32 絶縁膜
35 バンプ
40 シード層
41 感光性樹脂膜
41A 開口
43 シード層
44 フォトレジストパターン
44A 開口
45 配線
50 支持体
51 粘着テープ
61 感光性樹脂膜
65 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能素子が形成されたチップを支持体に仮固定するとともに、絶縁部材を前記支持体に仮固定する工程と、
前記支持体に仮固定した前記チップ及び前記絶縁部材を、樹脂層で被覆する工程と、
前記チップ、前記絶縁部材、及び前記樹脂層を、前記支持体から引き離す工程と、
前記絶縁部材が露出するまで前記樹脂層を研磨することにより、前記チップ、前記絶縁部材、及び前記樹脂層からなる再構築ウエハを得る工程と、
前記再構築ウエハの前記絶縁部材に貫通孔を形成し、該貫通孔内に貫通電極を形成するとともに、前記再構築ウエハの上に、前記チップと前記貫通電極とを接続する配線を含む再配線層を形成する工程と
を有する電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記再配線層を形成する工程は、
前記再構築ウエハの一方の面に形成する再配線層の1層目の配線を形成する工程と、最上の配線を形成する工程との間に、他方の面の再配線層の少なくとも一部の層を形成する請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記貫通電極及び前記再配線層を形成する工程において、前記貫通電極を形成した後、前記再構築ウエハ及び前記貫通電極の上に、前記再配線層を形成する請求項1または2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記貫通電極及び前記再配線層を形成する工程は、
前記再構築ウエハの上に、前記再配線層を形成する工程と、
前記絶縁部材及び前記再配線層を貫通する前記貫通孔を形成し、該貫通孔内に前記貫通電極を形成する工程と、
前記再配線層及び前記貫通電極の上に、該再配線層の最上の配線を形成する工程と
を有する請求項1または2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂層は、無機材料のフィラーを含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子装置の製造方法。
【請求項6】
機能素子が形成されたチップ、絶縁部材、及び樹脂層が同一面内に配置され、前記チップ及び前記絶縁部材が前記樹脂層によって相互に固定されており、該樹脂層が無機材料のフィラーを含有している再構築ウエハと、
前記絶縁部材を、前記再構築ウエハの厚さ方向に貫通する貫通電極と、
前記再構築ウエハの上に形成され、前記チップと前記貫通電極とを接続する配線を含む再配線層と
を有する電子装置。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−216601(P2012−216601A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79600(P2011−79600)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】