説明

電子装置及び電極接続方法

【課題】実装基板上に配置された、互いに厚みが異なる第1及び第2の半導体装置と、第1及び第2の半導体装置の頂部表面にそれぞれ形成された第1の端子電極及び第2の端子電極を相互に接続する導体パターンを有する配線用基板と、を有する電子装置において、製造プロセスを煩雑化することなく、高周波特性のばらつきを抑制できる電子装置を提供する。
【解決手段】電子装置10では、導体パターン21上に形成されたバンプ電極25の段数と、導体パターン22上に形成されたバンプ電極25の段数とが異なる。導体パターン21上に形成されたバンプ電極25の頂部と導体パターン22上に形成されたバンプ電極25の頂部とが同じ高さにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及び電極接続方法に関し、更に詳しくは、実装基板上に配置された、互いに厚みが異なる第1及び第2の半導体装置と、第1及び第2の半導体装置の頂部表面にそれぞれ形成された第1の端子電極及び第2の端子電極を相互に接続する導体パターンを有する配線用基板と、を有する電子装置、及び、高さが相互に異なる第1の端子電極と第2の端子電極とを、平坦な導体を介して接続する電極接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波帯やミリ波帯といった高周波信号の送受信機として構成される電子装置が知られている。このような電子装置では、図3に示すように、実装基板11の表面に形成された接地パターン上に半導体装置12,13を接着し、それらの上面に形成された導体パターン21,22の間をワイヤボンディングで接続する方法が採用されている。ワイヤボンディングは、特に厚みが互いに異なる半導体装置間を接続する際に多用される。半導体装置12,13は、実装基板などの誘電体基板や、チップ座面に電極端子が形成されたベアチップなどである。
【0003】
ところで、図3の電子装置30では、使用する周波数が高くなるほど、隣接するワイヤ31間や、ワイヤ31と誘電体基板12上に形成された導体パターン21との間、ワイヤ31とベアチップ13との間の結合容量が大きくなる。ワイヤ31は、その形成に際して長さのばらつきが大きいため、結合容量の大きさもばらつき、従って、電子装置30の高周波特性がばらつく問題があった。
【0004】
特許文献1は、互いに高さの異なる一対の導体パターン間を、ピラー電極及び配線用基板を用いて接続した電子装置を記載している。この電子装置では、個々のピラー電極は、対応する導体パターンの高さに応じた厚みを有し、高さの揃った一対のピラー電極の頂部が配線用基板によって互いに接続されている。
【特許文献1】特開平10−64953号公報(図1,4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電子装置では、一対の導体パターン間を、高さの揃ったピラー電極及び配線用基板を用いて接続するので、ワイヤ31を用いてボンディングする従来の電子装置30に比して、配線長のばらつきを抑えることが出来る。しかし、同文献によれば、厚みの異なるピラー電極の形成に際して、基板上にフォトレジスト層を塗布する工程や、このフォトレジスト層に径を調節してスルーホールを形成する工程、めっき法によってスルーホール内にピラー電極を形成する工程など多くの工程を必要とし、製造プロセスが煩雑化する問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、互いに高さの異なる一対の電極端子の間を電気的に接続する際に、製造プロセスを煩雑化することなく、且つ、高周波特性のばらつきを抑制するように接続する電子装置及び電極形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の電子装置は、
実装基板上に配置された、互いに厚みが異なる第1及び第2の半導体装置と、該第1及び第2の半導体装置の頂部表面にそれぞれ形成された第1の端子電極及び第2の端子電極を相互に接続する導体パターンを有する配線用基板と、を備える電子装置であって、
前記第1の端子電極上に形成されたバンプ電極の段数と、前記第2の端子電極上に形成されたバンプ電極の段数とが異なり、第1の端子電極上に形成されたバンプ電極の頂部と第2の端子電極上に形成されたバンプ電極の頂部とが同じ高さにあることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の電極接続方法は、
高さが相互に異なる第1の端子電極と第2の端子電極とを、平坦な導体を介して接続する電極接続方法において、
前記第1の端子電極上に形成するバンプ電極の段数と、前記第2の端子電極上に形成するバンプ電極の段数とを調節して、双方の端子電極上のバンプ電極の頂部を同じ高さにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子装置及び電極接続方法によれば、電極端子間をワイヤを用いてボンディングした従来の電子装置に比して、一対の電極端子間の配線長のばらつきを抑制でき、電子装置における高周波特性のばらつきを抑制できる。バンプ電極を高さ方向に重ねて形成することは容易であるので、電子装置の製造プロセスの煩雑化を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照し、本発明の実施例を詳しく説明する。図1は、本発明の第1実施例に係る電子装置の断面図である。電子装置10は、例えばマイクロ波帯の信号の送受信機であって、実装基板11と、実装基板11上に配設された誘電体基板12及びベアチップ(ベアチップ型半導体装置)13と、これら誘電体基板12及びベアチップ13の上方に配設された配線用基板14とを有する。誘電体基板12及びベアチップ13が、本発明の半導体装置に対応する。
【0011】
誘電体基板12及びベアチップ13は、実装基板11の表面に形成された図示しない接地パターンに対してダイアタッチで接着され、上面には導体パターン21,22が形成されている。誘電体基板12は、ベアチップ13よりも大きな厚みを有している。配線用基板14は、誘電体基板23と、この誘電体基板23の表面に形成された導体パターン24とを有する。配線用基板14は、導体パターン24が形成された面が実装基板11に対向するように配設され、誘電体基板12上の導体パターン21と配線用基板14の導体パターン24との間、及び、ベアチップ13の導体パターン22と配線用基板14の導体パターン24との間は、バンプ電極25(25a〜25d)を介してそれぞれ接続されている。
【0012】
誘電体基板12上の導体パターン21と配線用基板14の導体パターン24との間には、1つのバンプ電極25aが介在している。ベアチップ13の導体パターン22と配線用基板14の導体パターン24との間には、縦積みされた3つのバンプ電極25b〜25dが介在している。バンプ電極25aの頂部の高さとバンプ電極25dの頂部の高さとは、互いに揃っている。バンプ電極25a〜25dは、例えばAuからなる。
【0013】
上記のように、誘電体基板12上の導体パターン21とベアチップ13の導体パターン22との間は、バンプ電極25a、導体パターン24、及び、バンプ電極25b〜25dを介して、接続されている。バンプ電極25は、スタッドバンプであり、金からなる金属線状体(金線)の先端部を放電等によってボール状に形成し、このボール状部分を超音波を用いて目的部分に固定すると共に、ボール状部分から金線を切断することによって形成される。3段に縦積みされたバンプ電極25b〜25dは、そのようなボール状のバンプ電極25を高さ方向に重ねて形成することによって形成される。
【0014】
配線用基板14の取付けに際しては、頂部の高さが揃ったバンプ電極25a,25d上に導体パターン24を接触させて、超音波振動を与えることによって、バンプ電極25a,25dと導体パターン24とを接続させる。ここで、配線用基板14の取付けの先立って、バンプ電極25aの頂部の高さとバンプ電極25dの頂部の高さとを厳密に揃える必要はない。これは、Auからなるバンプ電極25は比較的変形し易いので、配線用基板14の取付けに際して、それらの高さに若干の差があっても、バンプ電極25の変形によって、この差を容易に吸収できるためである。
【0015】
上記電子装置10では、ベアチップ13の導体パターン22と配線用基板14の導体パターン24との間を、縦積みされた複数のバンプ電極25b〜25dを介して接続するので、バンプ電極25aの頂部の高さとバンプ電極25dの頂部の高さとを揃えることが出来る。このため、バンプ電極25aとバンプ電極25dとの間を表面に平坦な導体パターン24が形成された配線用基板14を介して接続できる。これによって、一対の導体パターン間をワイヤを用いてボンディングした従来の電子装置に比して、一対の導体パターン21,22間の配線長のばらつきを抑制でき、電子装置の高周波特性のばらつきを抑制できる。
【0016】
縦積みされた複数のバンプ電極25b〜25dは、ボール状のバンプ電極25を高さ方向に重ねて形成することによって容易に形成できる。また、配線用基板14の取付けに先立って、バンプ電極25aの頂部の高さとバンプ電極25dの頂部の高さとを厳密に揃えなくても、配線用基板14の取付けに際して、Auからなるバンプ電極25の変形によって、それらの高さを容易に調節できる。このため、電子装置10の製造プロセスの煩雑化を防止できる。
【0017】
なお、バンプ電極25dの頂部との高さを揃えるために、誘電体基板12上の導体パターン21と配線用基板14の導体パターン24との間にも複数のバンプ電極25を介在させてもよい。また、バンプ電極25間、又は、バンプ電極25と誘電体基板12上の導体パターン21や、ベアチップ13の導体パターン22、配線用基板14の導体パターン24との間の接続には、超音波以外にも、熱圧着等の方法を用いてもよい。バンプ電極25の材料は、Auに限定されないが、変形し易い性質を有することが望ましい。
【0018】
図2は、本発明の第2実施例に係る電子装置の断面図である。電子装置15では、ベアチップ13の導体パターン22と配線用基板14の導体パターン24との間が、縦積みされた4つのバンプ電極25b〜25eを介して接続されている。4つのバンプ電極25b〜25eは、上段に向かうほど寸法が小さくなり、横方向の断面が小さくなっている。バンプ電極25の寸法は、例えば金線の先端部をボール状に形成する際の放電の強さを調節し、或いは、金線の太さを調節することによって制御できる。
【0019】
本実施例の電子装置15では、バンプ電極25b〜25eを重ねて形成する際や、配線用基板14を配設する際に、バンプ電極25b〜25eを高さ方向に安定させることが出来る。
【0020】
以上、本発明をその好適な実施例に基づいて説明したが、本発明の電子装置及び電極形成方法は、上記実施例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例に係る電子装置の断面図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る電子装置の断面図である。
【図3】従来の電子装置の断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10:電子装置
11:実装基板
12:誘電体基板(半導体装置)
13:ベアチップ(半導体装置)
14:配線用基板
15:電子装置
21:導体パターン
22:導体パターン
23:誘電体基板
24:導体パターン
25,25a〜25e:バンプ電極
30:電子装置
31:ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板上に配置された、互いに厚みが異なる第1及び第2の半導体装置と、該第1及び第2の半導体装置の頂部表面にそれぞれ形成された第1の端子電極及び第2の端子電極を相互に接続する導体パターンを有する配線用基板と、を備える電子装置であって、
前記第1の端子電極上に形成されたバンプ電極の段数と、前記第2の端子電極上に形成されたバンプ電極の段数とが異なり、第1の端子電極上に形成されたバンプ電極の頂部と第2の端子電極上に形成されたバンプ電極の頂部とが同じ高さにあることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の端子電極の少なくとも一方に縦積みされた複数のバンプ電極では、バンプ電極の横方向の断面が上段に向かうほど小さくなることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記バンプ電極がAuからなる、請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記第1の半導体装置が、表面に導体パターンが形成された誘電体基板を含み、前記第2の半導体装置がベアチップ型半導体装置からなることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一に記載の電子装置。
【請求項5】
マイクロ波帯又はミリ波帯の高周波信号の送受信機として構成される、請求項1〜4の何れか一に記載の電子装置。
【請求項6】
高さが相互に異なる第1の端子電極と第2の端子電極とを、平坦な導体を介して接続する電極接続方法において、
前記第1の端子電極上に形成するバンプ電極の段数と、前記第2の端子電極上に形成するバンプ電極の段数とを調節して、双方の端子電極上のバンプ電極の頂部を同じ高さにすることを特徴とする電極接続方法。
【請求項7】
前記バンプ電極のそれぞれを、金属線状体から形成することを特徴とする、請求項6に記載の電極接続方法。
【請求項8】
前記金属線状体がAuからなる、請求項7に記載の電極接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−76562(P2009−76562A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−242365(P2007−242365)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】