説明

電子部品の冷却システム

【課題】
電子部品の冷却システムが提供される。
【解決手段】
冷却システムは電子部品の複数の異なる領域上に置かれた複数の熱電素子群を有する。冷却システムは、熱電素子群に接続され、該熱電素子群がそれぞれの領域から熱を排出するように該熱電素子群に電流を供給するための複数の導体を有する。冷却システムは、導体に接続され、異なる領域で発生された熱に基づいて、前記熱電素子群に供給される電流を相対的に制御するための制御装置を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してコンピュータ部分組立体に関し、より具体的にはコンピュータ部分組立体の電子部品の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセッサ等の半導体デバイスは、絶えず高くなるデータ速度及び周波数で動作するにつれ、一般にますます大きな電流を消費し、ますます大きな熱を発生する。
【0003】
ヒートスプレッダ、ヒートシンク、及びファンが従来からコンピュータのプロセッサに設けられてきた。これらのデバイスはプロセッサをその領域全体にわたって冷却する。プロセッサ等の半導体デバイスは熱を均一に発生しないため、高温点が特定の領域に生成される。所定温度を上回る温度の高温点が生じないように、プロセッサに供給される電力が制限されなければならない。もし、高温点の温度を下げることができれば、より大きな電力をプロセッサ全体に供給することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電子部品の冷却システム、特に、高温点の温度を下げることが可能な電子部品の冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に従って、電子部品の冷却システムが提供される。当該冷却システムは:
前記電子部品の複数の異なる領域上に置かれた複数の熱電素子群;
該熱電素子群に接続され、該熱電素子群がそれぞれの前記領域から熱を排出するように該熱電素子群に電流を供給する複数の導体;
前記導体に接続され、前記熱電素子群に供給される電流を相対的に制御する制御装置であり、中央電力制御モジュール、及び該中央電力制御モジュールの制御下で個々の前記熱電素子群への電流を供給する複数の区域電力制御モジュールを含む制御装置;
前記熱電素子群に供給される電力を制御するために、前記電子部品によって使用される電力を検出し、且つ検出された電力データを前記中央電力制御モジュールに提供する電力モニター回路;及び
複数のセンサーであり、前記制御装置が当該センサーから前記異なる領域で発生された熱を示す変数を受け取り、それぞれ1つの前記領域及びそれぞれ1つの前記熱電素子群に対してそれぞれ1つの前記センサーが存在し、前記それぞれの領域での前記それぞれの熱電素子群への電流が個々に制御される、複数のセンサー;
を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に従ったコンピュータ部分組立体であって、当該部分組立体に含まれるプロセッサの個々の領域を冷却することを可能にする冷却システムを有する部分組立体、を示す平面図である。
【図2】コンピュータ部分組立体に含まれる構成要素を示す側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に従ったコンピュータ部分組立体であって、区域電力制御モジュールを制御する中央電力制御モジュールの個々の領域の温度を検出する、モニター・帰還回路を備えた冷却システムを有する部分組立体、を示す平面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態に従ったコンピュータ部分組立体であって、モニター・帰還回路がプロセッサへの供給電力に関するデータを検出し、そのプロセッサ電力データがプロセッサを冷却する制御に用いられる部分組立体、に含まれる構成要素を示す側面図である。
【図5】コンピュータ部分組立体に含まれる追加的な構成要素を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明について添付の図面を参照して実施例によって説明する。
【0008】
図1は本発明の実施形態に従ったコンピュータ部分組立体10を例示しており、プロセッサ12及び冷却システム14の形態の電子部品を有している。冷却システム14はシステム電源16、複数のn型熱電素子18、複数のp型熱電素子20、複数の導体22、複数の温度センサー24、及び制御装置26を有する。
【0009】
プロセッサ12は、領域28の配列を備える行及び列に分割され得る。ここで、領域28は、それぞれの行及び列が交差するところで定められる。プロセッサ12は動作時に熱を発生する集積回路を有する。プロセッサ12によって発生される熱は、ある領域28による熱の方が他の領域による熱より大きくなる場合があり、時間と共に変わる場合もある。プロセッサ12の温度が1つの領域28内で他の領域28内より高くなるところに、高温点30が生成される。
【0010】
複数の熱電素子群18及び20が各々それぞれの領域28に置かれる。特定の領域28の熱電素子群18及び20が互いに直列に接続される。電流がそれぞれの熱電素子18及び20の直列接続を伝導するとき、電流は各々のn型熱電素子18を通って紙面から出て行く方向に伝導し、各々のp型熱電素子20を通って紙面に入って行く方向に伝導する。そして、当業者に共通して理解されるように、n型及びp型熱電素子群18及び20の双方が紙面から出て行く方向に熱をポンプのように排出する。
【0011】
特定の領域28の上側の一組の熱電素子群18及び20が2つの導体22でシステム電源16に接続される。一方の導体22は、特定の領域28の熱電素子群18及び20の最初の1つに電力を供給する。他方の導体22は、特定の領域28の熱電素子群18及び20の最後の1つを接地、又はシステム電源16によって与えられる参照電圧に接続する。
【0012】
温度センサー24は熱電素子群18及び20の間に置かれる。各々の温度センサー24はそれぞれの領域28内のほぼ中心に置かれ、該領域に置かれた熱電素子群18及び20に囲まれる。領域28及び温度センサー24は等しい数であり、各々の温度センサー24がそれぞれの領域28の中心に置かれる。
【0013】
制御装置26は複数の温度自動調節器(サーモスタット)32を含む。各々の温度自動調節器32は、それぞれの領域28の熱電素子群18及び20に電力を供給するそれぞれの導体22に置かれる。故に、等しい数の領域28及び温度自動調節器32が存在する。各々の温度センサー24はそれぞれの温度自動調節器32に接続される。それぞれの温度自動調節器32は、温度センサー24で感知された温度が所定温度より高いときは閉じており、該温度が所定温度より低いときはスイッチされて開く。
【0014】
使用時において、プロセッサ12は動作され、他の領域28におけるプロセッサ12の温度が所定温度より低い一方で、温度が所定温度より高いところの領域28に、高温点30を生成し得る。高温点30を有する領域28に置かれた温度センサー24が、温度が所定温度より高いことを検出し、当該温度センサー24が接続された温度自動調節器32をスイッチする。これにより、高温点30を有する領域28に置かれた熱電素子18及び20の直列接続に、電流が1組の導体22を通って伝導する。高温点30上に置かれた熱電素子群18及び20を通って電流が流れるので、熱電素子群18及び20は高温点30から熱を放散させることになる。所定温度未満の領域28上の熱電素子群18及び20には電流は流れない。高温点30を有する領域28のみが、このようにして冷却組立体14によって冷却される。この利点は、電力が節約されること、及び、プロセッサ12の温度が領域28の1つから隣へとより均一に維持されることにある。
【0015】
図2に示されるように、冷却システム14は絶縁セラミック板36及び38を有してもよい。熱電素子群18及び20はセラミック板36と38との間に実装される。こうして、最終的には全ての領域28上に置かれる熱電素子群18及び20が1つのパッケージ内に配置される。全ての熱電素子群18及び20を含むパッケージは、プロセッサ12の上面にユニットとして実装される前に処理され運ばれ得る。温度センサー24は全てセラミック板36に取り付けられ、それと共に運ばれる。また、セラミック板36は最終的にプロセッサ12に接触配置される。本方法はさらに、プロセッサ12から伝導を介して熱電素子群18及び20へ、また、セラミック板38の上表面から外へ、熱が排出されることを可能にする。
【0016】
図3は本発明の他の実施形態に従ったコンピュータ部分組立体110を例示している。この部分組立体は、モニター・帰還回路112、並びに、中央電力制御モジュール116及び別個の区域電力制御モジュール118を含む制御装置114を有している。図3の部分組立体110は図1の部分組立体10と似通っており、同様の参照符号は同様の構成要素を指し示している。
【0017】
モニター・帰還回路112は全ての温度センサー24に接続され、温度センサー24によって感知された温度を監視することができる。中央電力制御モジュール116はモニター・帰還回路112に接続される。また、中央電力制御モジュール116は区域電力制御モジュール118に接続され、区域電力制御モジュール118によって供給される電流を個々に制御することができる。中央電力制御モジュール116は、区域電力制御モジュール118によって供給される電力を制御しながら知識を追加していくことが可能な知能を有してもよい。この知能は中央電力制御モジュール116に格納されたソフトウェアの形態を有する。例えば、区域電力制御モジュール118によって供給される電力は、図1の温度自動調節器32のオン/オフ機能と対照的に徐々に増加又は減少され得る。
【0018】
図4は、プロセッサに供給される電力を検出するための電力モニター回路が備えられた、さらなる実施形態を示している。モニター・帰還回路112が電力モニター回路120に接続されている。モニター・帰還回路112で検出されたデータが中央電力制御モジュール116に供給される。中央電力制御モジュール116はプロセッサ12に供給される電力データを利用することができる。そして、データは個々の組の熱電素子群に供給される電力を制御し、それにより冷却組立体の冷却能力を増加又は減少させるために用いられ得る。
【0019】
図5はコンピュータ部分組立体10の追加的な構成要素を例示している。コンピュータ部分組立体10はさらに、プロセッサ12が接続されたバス1112、キャッシュメモリ1116、メインメモリ1118、フロッピー(登録商標)ドライブ1120、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CR−ROM)ドライブ1122、ハードディスクドライブ1123、ディスプレー領域を備えたスクリーンを有するモニター1124、キーボード1126、及びマウス1128を含む。プログラムの形態の命令一覧が、例えばコンパクトディスクに格納され、CD−ROMドライブ1122にロードされる。プログラムの多くの命令はコンパクトディスク及びハードディスクドライブのハードディスクにある一方で、プログラムの命令がキャッシュメモリ1116及びメインメモリ1118にロードされる。命令をコンピュータ部分組立体10にロードするために、フロッピー(登録商標)ドライブ1120又はハードディスクドライブ1123がCD−ROMドライブ1122の代わりに用いられてもよい。命令はプロセッサ12によって理路整然と読み取られ、それによりプログラムの適切な実行が確保される。ユーザがマウス1128又はキーボード1126を利用して相互に係わってもよく、それぞれの信号がマウス1128又はキーボード1126によって生成され得る。信号はバス1112を通って最終的にプロセッサ12に送られ、プロセッサ12は信号に応じてプログラムの実行を修正する。プロセッサ12によるプログラム実行の結果、メインメモリ1118、キャッシュメモリ1116、ハードディスクドライブ1123、又はCD−ROMドライブ1122に記憶された情報がモニター1124のディスプレー領域に如何にして表示されるかが制御される。
【0020】
一定の典型的な実施形態が記載され、添付の図面にて示されてきたものの、このような実施形態は本発明を単に例示するものであり、限定するものではない。また、当業者にとって変形が可能であり、この発明は示された具体的な構成及び配置に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の冷却システムであって:
前記電子部品の複数の異なる領域上に置かれた複数の熱電素子群;
該熱電素子群に接続され、該熱電素子群がそれぞれの前記領域から熱を排出するように該熱電素子群に電流を供給する複数の導体;
前記導体に接続され、前記熱電素子群に供給される電流を相対的に制御する制御装置であり、中央電力制御モジュール、及び該中央電力制御モジュールの制御下で個々の前記熱電素子群への電流を供給する複数の区域電力制御モジュールを含む制御装置;
前記熱電素子群に供給される電力を制御するために、前記電子部品によって使用される電力を検出し、且つ検出された電力データを前記中央電力制御モジュールに提供する電力モニター回路;及び
複数のセンサーであり、前記制御装置が当該センサーから前記異なる領域で発生された熱を示す変数を受け取り、それぞれ1つの前記領域及びそれぞれ1つの前記熱電素子群に対してそれぞれ1つの前記センサーが存在し、前記それぞれの領域での前記それぞれの熱電素子群への電流が個々に制御される、複数のセンサー;
を有する冷却システム。
【請求項2】
各々の前記領域上の前記熱電素子群が交互に直列接続されたp型熱電素子及びn型熱電素子を有する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
電子部品の冷却システムであって:
前記電子部品の複数の異なる領域上に置かれた複数の熱電素子群であり、前記領域がX及びY方向に互いに間隔をあけられた中心点を有する、複数の熱電素子群;
該熱電素子群に接続され、該熱電素子群がそれぞれの前記領域から熱を排出するように該熱電素子群に電流を供給する複数の導体;
前記導体に接続され、前記熱電素子群に供給される電流を相対的に制御する制御装置;
前記熱電素子群に供給される電力を制御するために、前記電子部品によって使用される電力を検出し、且つ検出された電力データを前記制御装置に提供する電力モニター回路;及び
複数のセンサーであり、前記制御装置が当該センサーから前記異なる領域で発生された熱を示す変数を受け取り、それぞれ1つの前記領域及びそれぞれ1つの前記熱電素子群に対してそれぞれ1つの前記センサーが存在し、前記それぞれの領域での前記それぞれの熱電素子群への電流が個々に制御される、複数のセンサー;
を有する冷却システム。
【請求項4】
動作中に熱を発生する電子部品;
前記電子部品の複数の異なる領域上に置かれた複数の熱電素子群;
該熱電素子群に接続された、該熱電素子群がそれぞれの前記領域から熱を排出するように該熱電素子群に電流を供給するための複数の導体;
前記導体に接続された、前記熱電素子群に供給される電流を相対的に制御するための制御装置であり、中央電力制御モジュール、及び該中央電力制御モジュールの制御下で個々の前記熱電素子群への電流を供給する複数の区域電力制御モジュールを含む制御装置;及び
前記熱電素子群に供給される電力を制御するために、前記電子部品によって使用される電力を検出し、且つ検出された電力データを前記中央電力制御モジュールに提供する電力モニター回路;
を有し、
それぞれの前記領域がセンサー及び熱電素子群を有し、前記それぞれの領域での前記熱電素子群への電流が個々に制御される、
コンピュータ部分組立体。
【請求項5】
各々の前記領域上の前記熱電素子群が交互に直列接続されたp型熱電素子及びn型熱電素子を有する、請求項4に記載のコンピュータ部分組立体。
【請求項6】
動作中に熱を発生する電子部品;
前記電子部品の複数の異なる領域上に置かれた複数の熱電素子群であり、前記領域がX及びY方向に互いに間隔をあけられた中心点を有する、複数の熱電素子群;
該熱電素子群に接続された、該熱電素子群がそれぞれの前記領域から熱を排出するように該熱電素子群に電流を供給するための複数の導体;
前記導体に接続された、前記熱電素子群に供給される電流を相対的に制御するための制御装置;及び
前記熱電素子群に供給される電力を制御するために、前記電子部品によって使用される電力を検出し、且つ検出された電力データを前記制御装置に提供する電力モニター回路;
を有し、
それぞれの前記領域がセンサー及び熱電素子群を有し、前記それぞれの領域での前記熱電素子群への電流が個々に制御される、
コンピュータ部分組立体。
【請求項7】
電子部品を冷却する方法であって:
前記電子部品の複数の異なる領域上に置かれた複数の熱電素子群に、該熱電素子群がそれぞれの前記領域から熱を排出するように電流を供給する工程;
前記電子部品によって使用される電力に基づいて、前記熱電素子群に供給される電流を相対的に制御するよう、中央電力制御モジュール、及び該中央電力制御モジュールの制御下で個々の前記熱電素子群への電流を供給する複数の区域電力制御モジュールを用いる工程;
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−258968(P2011−258968A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170756(P2011−170756)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【分割の表示】特願2009−253842(P2009−253842)の分割
【原出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【出願人】(593096712)インテル コーポレイション (931)
【Fターム(参考)】