説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】基板に半導体チップを実装ヘッドに設けられた加圧体によって実装する際、基板を支持する実装ステージに対して加圧体を平行に傾動させることができるようにする。
【解決手段】上下方向に駆動される実装ヘッド11と、実装ヘッドの下面側に弾性支持手段13によって弾性的に変位可能に設けられ吸着部25bに半導体チップを吸着保持する加圧体14と、実装ヘッドを下降方向に駆動して加圧体の吸着部に吸着保持された半導体チップを基板に実装させ加圧用駆動源を具備し、
弾性支持手段は、平行に対向する2組の側面を有し、実装ヘッドと加圧体の間に配置される可動ブロック体16と、可動ブロック体の一方の組の一対の側面に一端が取付けられた一対の連結ばね体17の他端を実装ヘッドに連結した第1の連結体21と、可動ブロック体の他方の組の一対の側面に一端が取付けられた一対の連結ばね体の他端を加圧体に連結した第2の連結体22とによって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板が載置される実装ステージの上面面と電子部品を保持する加圧体の下端面とを平行にして基板に電子部品を実装する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、電子部品としての半導体チップを回路基板やキヤリアテープなどの基板に実装する実装装置は、上面が上記基板を載置する載置面となった実装ステージを備えている。この実装ステージの上方には上下方向に駆動される実装ヘッドが配置されている。この実装ヘッドの下端面は上記半導体チップを吸着保持する保持面となっている。
【0003】
そして、上記保持面に半導体チップを吸着保持した上記実装ヘッドは下降方向に駆動され、上記載置面に載置された基板に半導体チップを所定の圧力で加圧して実装するようになっている。
【0004】
このような実装装置において、上記実装ステージの載置面と、上記実装ヘッドの保持面とが平行度でないと、半導体チップが上記基板に均一な圧力で加圧されなくなるため、半導体チップに欠けや割れが生じるという実装不良の発生原因となる。
【0005】
そこで、従来は特許文献1に示されるように、表裏面を互いに平行な平面に仕上げた加圧ツールを煽りシャフトによって回動自在に支持する。そして、上記加圧ツールに傾きが生じたとき、この加圧ツールの裏面に対向した配置された複数の平面度検出センサによって検出する。
【0006】
各検出センサからの検出出力はコントローラによって処理され、このコントローラからの出力情報に基いて上記加圧ツールの傾きをマイクロメータによって調整するようにしている。上記マイクロメータは手動或いは自動で作動させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−340585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の構成によると、加圧ツールに傾きが生じたか否かを複数の平面度検出センサによって検出し、各検出センサからの検出出力をコントローラによって処理しなければならない。そのため、構成の複雑化やコストの大幅な上昇を招くということがある。
【0009】
しかも、平面度検出センサによって検出された検出出力によって加圧ツールの傾きをマイクロメータによって調整する場合、そのマイクロメータの調整を手動で行なうようにしたのでは熟練を要するばかりか、時間が掛かるということがあり、自動で行なうようにしたのでは構成の大幅な複雑化を招くということもある。
【0010】
さらに、加圧ツールの傾きを平面度検出センサによって検出してマイクロメータによって調整しても、電子部品を基板に実装する際、基板が支持される実装ステージの支持面に対して上記加圧ツールの表面(下端の加圧面)の平行度が精密に確保できないことがある。
【0011】
その場合、電子部品が薄くて脆い半導体チップであると、上記加圧ツールの加圧面に吸着保持された半導体チップを基板に加圧して実装するとき、半導体チップに割れや欠けが生じるなどして実装不良の発生原因なるということがある。
【0012】
この発明は、実装ヘッドに設けられる加圧体の加圧面の傾きを検出したり、その検出に基いて加圧面の傾きを調整するということなく、電子部品を基板に実装するときには上記加圧面が実装ステージの基板を支持する支持面に対して平行になるよう変位させて電子部品を基板に実装することができるようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、実装ステージの支持面に支持された基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上下方向に駆動される実装ヘッドと、
この実装ヘッドの下面側に弾性支持手段によって弾性的に変位可能に設けられ加圧面に上記電子部品を吸着保持する加圧体と、
上記実装ヘッドを下降方向に駆動して上記加圧体の加圧面に吸着保持された上記電子部品を上記基板に実装させる駆動手段を具備し、
上記弾性支持手段は、
平行に対向する2組の側面を有し、上記実装ヘッドと上記加圧体の間に配置される可動ブロック体と、
上記可動ブロック体の一方の組の一対の側面に一端が取付けられた連結ばね体の他端を上記実装ヘッドに連結した第1の連結体と、
上記可動ブロック体の他方の組の一対の側面に一端が取付けられた連結ばね体の他端を上記加圧体に連結した第2の連結体と
によって構成されていることを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0014】
上記可動ブロック体の各側面には、それぞれ2つの上記連結ばね体の一端が上下方向に平行に取付けられていて、それぞれ上下2つの連結ばね体の他端は上記一対の第1の連結体と一対の第2の連結体に取付けられることが好ましい。
【0015】
上記連結ばね体は、上下方向及び捩じれ方向に対して弾性変形可能な構造であることが好ましい。
【0016】
上記連結ばね体は、一端に上記可動ブロック体の側面に取付けられる第1の取付け部が形成され、他端に上記第1の連結体又は第2の連結体に取付けられる第2の取付け部が形成されていて、上記第1の取付け部と第2の取付け部との間の部分は水平方向に対して蛇行した蛇行部が形成されていることが好ましい。
【0017】
上記加圧体は、下面が平坦な吸着面に形成された基部と、この基部の吸着面に上面が吸着保持されるとともに、下面が上記電子部品を吸着保持する吸着部に形成された加圧ツールとを有することが好ましい。
【0018】
この発明は、上下方向に駆動される実装ヘッドと、この実装ヘッドの下面側に設けられ加圧面に上記電子部品を吸着保持する加圧体と、上記実装ヘッドを下降方向に駆動して上記加圧体の加圧面に吸着保持された上記電子部品を上記基板に実装させる駆動手段を具備した実装装置によって、実装ステージの支持面に支持された基板に電子部品を実装する実装方法であって、
上記電子部品を上記基板に実装する際、上記実装ステージの支持面と上記加圧体の加圧面が平行でないときには、上記加圧体の加圧面が上記実装ステージの支持面に平行になるよう上記加圧体を弾性的に変位させて上記基板に上記電子部品を実装することを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、電子部品を基板に実装する際、実装ステージの支持面と実装ヘッドに設けられた加圧体の加圧面が平行でないときには、上記加圧体の加圧面が上記実装ステージの支持面に平行になるよう上記加圧体を弾性的に変位させて上記基板に上記電子部品を実装することができる。
【0020】
そのため、加圧体の加圧面の傾斜を検出したり、その検出に基いて加圧体の傾きを調整するなどのことをせずにすむから、簡単な構成であるにも係らず、電子部品を損傷させることなく確実に基板に実装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の構成図。
【図2】上記実装装置の実装ヘッドの高さを調整する構造を示す拡大図。
【図3】上記実装装置の制御系統を示すブロック図。
【図4】実装ヘッドとこの下面側に設けられた加圧体との連結構造を示す側面図。
【図5】実装ヘッドと加圧体との連結構造を示す正面図。
【図6】可動ブロック体と第1、第2の連結体との連結構造を示す平面図。
【図7】実装ヘッドと加圧体を連結する弾性支持手段を示す拡大断面図。
【図8】実装ステージの支持面と加圧ツールの加圧面とが平行な状態で半導体チップを基板に実装するときの説明図。
【図9】実装ステージの支持面と加圧ツールの加圧面とが平行でない状態で半導体チップを基板に実装するときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示す実装装置は搬送手段としての平行に離間対向して配置された一対のガイドレール1を備えている。このガイドレール1に沿って搬送されるリードフレームなどの基板Wは実装位置Bに位置決めされる。実装位置Bに位置決めされた上記基板Wには電子部品としてのたとえば半導体チップ2が実装される。
【0024】
上記実装位置Bに位置決めされた上記基板Wの下方には図1と図3に示すZ駆動源3によって上下方向に駆動される実装ステージ4が設けられている。この実装ステージ4は、上記基板Wに上記半導体チップ2を実装するとき、上昇方向に駆動されてその上面の支持面4aによって上記基板Wの下面を支持するようになっている。
【0025】
上記実装位置Bの上記実装ステージ4と対向する上記ガイドレール1の上方には実装手段5が設けられている。この実装手段5の上方には駆動手段6が配設され、この駆動手段6は上記実装手段5を後述するように作動させるようになっている。
【0026】
上記実装手段5は第1の支持体8を有する。この第1の支持体8は図1と図3に示すX・Y駆動源7によって水平方向であるX・Y方向に駆動される。このX・Y駆動源7は後述する制御装置29(図3に示す)によって駆動が制御されるようになっている。
【0027】
上記第1の支持体8の一側面には一対のリニアガイド9(一方のみ図示)が上下方向に沿って設けられ、このリニアガイド9には実装ヘッド11に設けられた受け部10が移動可能に支持されている。この実装ヘッド11の下端側には弾性支持手段13によって加圧体14が弾性的に変位可能に設けられている。
【0028】
図4乃至図7に示すように、上記弾性支持手段13は立方体状の可動ブロック体16を有する。この可動ブロック体16の4つの側面16a〜16dには、1つの側面に対してそれぞれ上下方向に平行に位置する2つの連結ばね体17の一端が連結されている。
【0029】
上記連結ばね体17は図7に示すように帯板状のばね材によって一端と他端にそれぞれ第1の取付け部17aと第2の取付け部17bが垂直に形成されていて、これら第1、第2の取付け部17a,17bの間の部分は水平方向に対して蛇行した蛇行部17cに形成されている。そして、上記可動ブロック体16の4つの側面16a〜16dには、上記連結ばね体17の第1の取付け部17aが取り付け固定されている。
【0030】
上記実装ヘッド11の下面には平板状の水平調整ブロック体19が水平方向の角度調整可能に取付けられている。図4に示すように、上記水平調整ブロック体19の下面の所定方向の両端部には、それぞれ第1の連結体21が取付けられている。そして、一対の第1の連結体21の互いに対向する側面には、上記可動ブロック体16の平行に対向する2つの側面16a、16cに第1の取付け部17aを連結した各一対の連結ばね体17の第2の取付け部17bが取り付け固定されている。
【0031】
それによって、上記可動ブロック体16は上記実装ヘッド11に合計で4つの上記連結ばね体17によって弾性的に変位可能に取付けられている。
【0032】
図5に示すように、上記可動ブロック体16の他の2つの側面16b,16dに一端を連結した各一対の連結ばね体17の他端はそれぞれ第2の連結体22の側面に取付け固定されている。一対の第2の連結体22は、上記加圧体14の上面の所定方向の両端部に連結固定される。
【0033】
つまり、上記加圧体14は、上記第2の連結体22及び上記可動ブロック体16の一対の側面16b,16dに一端を連結したそれぞれ2つの連結ばね体17を介して上記可動ブロック体16に弾性的に変位可能に連結されている。
【0034】
上記連結ばね体17は一端が上記可動ブロック体16の側面16a〜16dに連結される第1取付け部17aに形成され、他端が第1の連結体21又は第2の連結体22に取り付けられる第2の取付け部17bに形成され、中途部が水平方向に蛇行した蛇行部17cに形成されている。
【0035】
すなわち、連結ばね体17は蛇行部17cを有するから、単体では上下方向及び長手方向に弾性変形可能であり、長手方向と交差する方向には変形できない。
【0036】
しかしながら、図6に示すように、可動ロック体16の4つの側面16a〜16dに水平方向に対して90度の間隔で、しかも上下方向に2つの連結ばね体17の一端を連結し、これら連結ばね体17の他端にそれぞれ2つの第1の連結体21及び第2の連結体22を連結するようにしている。
【0037】
そのため、上記連結ばね体17の長手方向の弾性変形は上記可動ブロック体16を上記連結ばね体17の長手方向と交差する方向、すなわち垂直方向に変換されることになるので、結果的に上記可動ブロック体16を上下方向に対して弾性的に変位させることになる。
【0038】
また、連結ばね体17は帯板上の部材によって形成されているため、長手方向に対して交差する方向、つまりねじれ方向に対しても弾性的に変形可能である。
【0039】
そのため、一端の第1取付け部17aと他端の第2の取付け部17bがそれぞれ所定の箇所に連結された上記連結ばね体17は、中途部の上記蛇行部17cが垂直方向及び捩じれ方向に対して弾性的に変位可能となっている。
【0040】
それによって、上記加圧体14は、上記実装ヘッド11に対して上記連結ばね体17を介して下面が水平方向に対して弾性的に傾動可能となっている。
【0041】
図7に示すように、上記加圧体14の下面は平坦面に形成されていて、この下面の周辺部には複数の第1の吸引孔24が開口形成されている。上記加圧体14の下面には四角形状の平板からなる加圧ツール25の基部25aの下面が上記第1の吸引孔24に生じる吸引力によって吸着保持されている。
【0042】
上記加圧ツール25の基部25aの下面には同じく四角形状の平板からなる加圧面としての吸着部25bが設けられている。この吸着部25bの中心部には第2の吸引孔27が開口形成され、この吸引孔27に生じる吸引力によって電子部品である上記半導体チップ2が吸着保持されるようになっている。
【0043】
上記第1の吸引孔24と第2の吸引孔27は上記加圧体14に形成された第1、第2の吸引路28a,28bを介してそれぞれ吸引ポンプ(図示せず)に連通している。それによって、上記第1、第2の吸引孔24,27に上述した吸引力を発生させることができるようになっている。
【0044】
上記加圧ツール25は第1の吸引孔24に生じる吸引力によって上記加圧体14の下面に着脱可能に取付けられている。そのため、半導体チップ2に品種変更などによって吸着部25bを異なる大きさのものに交換しなければならないような場合、上記加圧ツール25を容易に交換することができる。
【0045】
なお、上記加圧ツール25は上記加圧体14の下面にフック28によって係脱可能に保持されるようになっていて、上記第1の吸引孔24に吸引力が生じていないときに上記加圧体14の下面から取り外すことができるようになっている。
【0046】
図1に示すように、上記第1の支持体8の上端には逆L字状のフック部材32が設けられている。このフック部材32と上記実装ヘッド11の上下方向の中途部の間には、この実装ヘッド11を弾性的に保持するばね33が張設されている。
【0047】
図2に示すように、上記第1の支持体8の上端部には第1の取付け部材34が設けられている。この第1の取り付け部材34にはパルスモータなどの高さ調整駆動源38が設けられている。この高さ調整駆動源38の回転軸38aには駆動ねじ35が連結されている。この駆動ねじ35は下端面が凸曲面37aに形成された押圧体37に螺合されている。
【0048】
この押圧体37は、上記第1の支持体8の板面に水平に突設された第2の取付け部材39に、たとえば図示しないキーとキー溝などの手段によって回転不能な状態で上下方向に移動可能に保持されている。
【0049】
図3に示す上記高さ調整駆動源38は上記制御装置29によって駆動が制御される。高さ調整駆動源38が作動して上記駆動ねじ35が回転駆動されれば、その回転によって上記押圧体37が上下方向に変位する。
【0050】
上記押圧体37が下降方向に駆動されれば、上記実装ヘッド11がばね33の復元力に抗して下降し、上昇方向に駆動されれば、上記実装ヘッド11はばね33の復元力によって上昇するようになっている。
【0051】
つまり、高さ調整駆動源38によって駆動ねじ35を回転させると、その回転方向に応じて上記ばね33は復元力に抗して引き伸ばされたり、復元力によって縮小するから、上記実装ヘッド11を第1の支持体8に設けられたリニアガイド9に沿って上昇方向或いは下降方向に弾性的に変位させ、所定の高さ位置で位置決めできるようになっている。
【0052】
図1に示すように、上記実装ヘッド11の上端部には軸部11bが設けられ、この軸部11bには軸線を水平にした支軸43によってラジアル軸受44が径方向の一部を上記軸部11bの上端面から上方に突出させて取付けられている。
【0053】
上記駆動手段6は、上記実装位置Bの上方に固定的に配置された第2の支持体46を有する。この第2の支持体46は、板面を上記第1の支持体8に対して垂直軸線を中心にする回転方向に90度位置をずらして設けられていて、その板面には所定間隔で離間した一対のリニアガイド47が上下方向に沿って設けられている。
【0054】
上記リニアガイド47には可動体48が移動可能に設けられている。この可動体48にはL字状の押圧部材49が下端部を上記可動体48の下端よりも下方に突出させて取付けられている。
【0055】
上記押圧部材49の下端面は上記実装ヘッド11の上端面である、上記軸部11bの上端に設けられたラジアル軸受44の外周面の上端を後述するように押圧する押圧面49aとなっている。この押圧面49aは上記ラジアル軸受44よりもX、Y方向に対して大きな面積に形成されている。
【0056】
上記第2の支持体46の上部には保持部材51が設けられ、この保持部材51には上記制御装置29によって駆動が制御される、たとえばサーボモータからなる駆動手段としての加圧用駆動源52が軸線を垂直にして設けられている。この加圧用駆動源52の駆動軸52aは上記可動体48に継ぎ手53を介して連結されている。
【0057】
したがって、上記加圧用駆動源52が作動してその駆動軸52aが下降方向に駆動されれば、この駆動軸52aに連動して上記可動体48が下降するから、この可動体48に設けられた押圧部材49の押圧面49aによって上記実装ヘッド11の軸部11bの上端に設けられたラジアル軸受44の外周面の上端が押圧され、上記押圧部材49が下降方向に駆動されることになる。
【0058】
上記加圧用駆動源52によって上記押圧部材49は基準位置に位置決めされている。上記実装ヘッド11が高さ調整駆動源38によって同じく基準位置に位置決めされたとき、上記押圧部材49の押圧面49aと実装ヘッド11の軸部11bの上端に設けられたラジアル軸受44との間には図1に示すように所定の隙間が形成されるようになっている。
【0059】
なお、押圧部材49と実装ヘッド11の基準位置は図3に示す加圧用駆動源52と高さ調整駆動源38に制御装置29から駆動信号が出力されていない状態であって、これらの基準位置はたとえば加圧用駆動源52の駆動軸52aや押圧体37を手動で軸方向に位置決めすることで、設定可能となっている。
【0060】
基板Wに半導体チップ2を実装する前に、半導体チップ2は基板Wに対して以下のようにX、Y方向に対して位置決めされる。すなわち、図1と図3に示すように、実装位置Bに位置決めされた上記加圧ツール25の吸着部25bに吸着保持された半導体チップ2と、ガイドレール1に沿って搬送されて上記実装位置Bに位置決めされた基板Wとの間には上下両面を同時に撮像することができる撮像手段としての撮像カメラ55が挿入される。
【0061】
上記撮像カメラ55には上方向を撮像する上側撮像光学系と、下方向を撮像する下側撮像光学系(ともに図示せず)が収容された扁平箱型状の筐体56を有する。この筐体56の上面と下面にはそれぞれ撮像窓57a,57bが形成されている。この筐体56は図1と図3に示すX・Y・Z駆動源58によってX、Y及びZ方向に駆動されるようになっている。このX・Y・Z駆動源58は上記制御装置29によって駆動が制御されるようになっている。
【0062】
上記撮像カメラ55の上側撮像光学系と下側撮像光学系によって撮像された画像は上記制御装置29に接続されたモニタ59(図3に示す)に表示されるようになっている。上記撮像カメラ55は上記X・Y・Z駆動源58によって下側撮像光学系の焦点位置が上記ガイドレール1を搬送される基板Wの上面に一致するZ方向に位置決めされている。
【0063】
実装ヘッド11と押圧部材49が基準位置にある状態で、上記撮像カメラ55はX、Y方向に駆動されて上記基板Wと、加圧ツール25の吸着部26に吸着保持された上記半導体チップ2との間に入り込み、上記基板Wの上面と半導体チップ2の下面とに設けられた図示しない位置合わせマークを同時に撮像する。
【0064】
それによって、上記制御装置29は基板Wと半導体チップ2のX、Y方向の相対的な位置ずれ量を算出し、算出されたそれぞれのX、Y座標に基いて上記実装ヘッド11がX・Y駆動源7によってX、Y方向に駆動され、半導体チップ2が基板Wの実装位置に位置決めされる。
【0065】
つぎに、上記構成の実装装置によって基板Wに半導体チップ2を実装するときの動作を説明する。
【0066】
撮像カメラ55の撮像に基いて実装位置Bに位置決めされた基板Wに設けられた位置合わせマークと、半導体チップ2に設けられた位置合わせマークを撮像し、その撮像に基いて上記加圧ツール25をX、Y方向に駆動して基板Wの実装位置に半導体チップ2を位置決めしたならば、加圧用駆動源52を作動させて押圧部材49を下降させ、その押圧面49aによって実装ヘッド11の軸11bに設けられたラジアル軸受44を押圧する。
【0067】
それによって、上記実装ヘッド11がばね33の復元力に抗して下降方向に駆動されるから、上記実装ヘッド11の下面側に弾性支持手段13を介して弾性的に変位可能に設けられた加圧体14の加圧ツール25の吸着部25bに吸着保持された半導体チップ2が実装位置Bに位置決めされた基板Wの上面に加圧されて実装される。
【0068】
このとき、上記基板Wの下面はZ駆動源3によって上昇方向に駆動された実装ステージ4の支持面4aによって支持される。したがって、上記基板Wは下方へ撓むことなく、その上面に半導体チップ2が実装されることになる。
【0069】
基板Wの上面に半導体チップ2を実装する際、上記加圧体14の半導体チップ2を吸着保持した加圧ツール25の吸着部25bと、基板Wの下面を支持する実装ステージ4の支持面4aとが平行である場合、図8に示すように半導体チップ2が基板Wに押圧されると、その押圧力によって可動ブロック体16はその4つの側面16a〜16dに一端が連結されたそれぞれ2つの連結ばね体17を同等に弾性変形させながら水平な状態、つまり実装ステージ4の支持面4aに対して平行な状態を維持しつつ上昇し、上記連結ばね体17の復元力によって半導体チップ2を基板Wに実装することになる。
【0070】
したがって、そのような場合、半導体チップ2は上記加圧ツール25の吸着部25bによって基板Wに均等に押圧されるから、欠けや割れが生じることなく、実装されることになる。
【0071】
上記加圧体14の半導体チップ2を吸着保持した加圧ツール25の吸着部25bと、基板Wの下面を支持する実装ステージ4の支持面4aとが平行でないことがある。そのような場合には、上記吸着部25bに吸着保持された半導体チップ2が上記基板Wに対して均一に加圧されないため、半導体チップ2に欠けが生じたり、割れが生じるということがある。
【0072】
しかしながら、図9に示すように、実装ステージ4の支持面4aが水平面に対してθで示す角度で傾いていて、上記加圧ツール25の吸着部25bと、上記実装ステージ4の支持面4aとが平行でない場合、半導体チップ2が基板Wに傾いて押圧されると、上記加圧ツール25が設けられた加圧体14は、上記実装ステージ4の支持面4aとの傾き状態に応じて上記弾性支持手段13を弾性変形させながら傾動する。
【0073】
そのため、上記吸着部25bに吸着保持された半導体チップ2は、基板Wに部分的に強く押圧されることなく、ほぼ均等に押圧されるから、割れや欠けが生じることなく、基板Wに実装されることになる。
【0074】
すなわち、上記可動ブロック体16の4つの側面には、それぞれ上下方向に対して平行に離間した2つの連結ばね体17を設け、これら連結ばね体17を介して上記加圧体14を上記実装ヘッド11に弾性的に連結するようにした。
【0075】
上記連結ばね体17は水平方向に蛇行した蛇行部17cを有するから、蛇行方向と交差する上下方向に対して弾性的に変形可能である。なお、上記連結ばね体17は蛇行部17cを有することによって、単体では水平方向に対しても弾性的に変形可能であるが、可動ブロック体16の4つの側面16a〜16dに連結されているから、上下方向及び捩じれ方向に対して弾性的に変位可能となり、水平方向に対しては弾性的に変形することがほとんどない。
【0076】
したがって、加圧ツール25の吸着部25bと実装ステージ4の支持面4aとが平行でないため、上記吸着部25b吸着保持された半導体チップ2が基板Wに傾いて押圧されると、その傾きに応じて上記可動ブロック体16の各一対の側面16a,16cと16b,16dに連結されたそれぞれの連結ばね体17が異なる撓み量で上下方向に弾性変形する。その結果、上記加圧ツール25の吸着部25bが上記実装ステージ4の支持面4aと平行になるよう弾性的に傾斜するから、半導体チップ2を欠けや割れが生じることなく、基板Wに実装することができる。
【0077】
上記可動ブロック体16の対向する一対の側面16a,16cと第1の連結体21及び一対の側面16b,16dと第2の連結体22との連結は、上記可動ブロック体16の各側面に上下方向に設けられたそれぞれ2つの連結ばね体17によって連結されているため、その連結状態は平行リンクによって連結されている状態とほぼ同じである。
【0078】
そのため、上記可動ブロック体16に連結ばね体17からなる弾性支持手段13を介して連結された加圧体14は水平方向に対してずれ動き難いため、半導体チップ2を基板Wに実装する際、半導体チップ2が水平方向にずれ動いて基板Wに擦られて損傷したり、実装精度が低下するなどのことを防止することができる。
【0079】
すなわち、上記構成の実装装置によれば、加圧体14を弾性支持手段13によって実装ヘッド11に対して弾性的に傾動可能に取り付けるようにした。そのため、加圧体14の傾斜状態を検出したり、その検出に基いて傾斜状態を修正するなど、複雑な構成や調整作業を要することなく、加圧体14を実装ステージ4の支持面4aに対して平行になるよう傾動させて半導体チップ2を基板Wに実装することができる。
【0080】
また、半導体チップ2を吸着保持する吸着部25bを有する加圧ツール25を、加圧体14の下面に着脱可能に吸着保持するようにした。
【0081】
そのため、半導体チップ2の品種変更に伴って吸着部25bを異なる大きさのもなどに変更しなければならないとき、上記加圧ツール25の交換を容易に、しかも迅速に行なうことができる。
【0082】
上記連結ばね体17の蛇行部17cは弾性的に変位可能である。そのため、加圧ツール25の吸着部25bが吸着保持した半導体チップ2を基板Wに実装する際、上記連結ばね体17の弾性力によって実装時に必要となる実装荷重を確実に付加することができる。
【0083】
上記連結ばね体17は帯板状の部材によって形成され、その蛇行部17cは水平方向に蛇行した形状となっている。そのため、水平方向の変位に対しては剛性体であり、垂直方向とねじれ方向に対しては弾性的に変位する。
【0084】
したがって、実装ステージ4が傾斜している場合、加圧ツール25の吸着部25bが吸着保持した半導体チップ2を、上記実装ステージ4の傾斜に応じて垂直方向と傾斜方向に弾性的に変位させて上記実装ステージ4の傾斜に倣わすことができる。その結果、半導体チップ2に欠けや割れが生じるのを防止することができる。
【0085】
上記一実施の形態では一端に第1の取付け部、他端に第2の取付け部を有し、中途部に蛇行部が形成された形状の連結ばね体を可動ブロックの4つの側面に連結したが、連結ばね体の形状はそれだけに限定されるものではなく、要は加圧体が非平行な状態で変位するときに、その変位に応じて弾性的に変形する形状であればよい。
【0086】
また、加圧体の下面に吸着部を有する加圧ツールを着脱可能に吸着するようにしたが、加圧体の下面に上記吸着部を直接形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
2…半導体チップ、4…実装ステージ、4a…支持面、5…実装ステージ、11…実装ヘッド、13…弾性支持手段、14…加圧体、16…可動ブロック体、17…連結ばね体、21…第1の連結体、22…第2の連結体、25…加圧ツール、26…吸着部(加圧面)、52…加圧用駆動源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装ステージの支持面に支持された基板に電子部品を実装する実装装置であって、
上下方向に駆動される実装ヘッドと、
この実装ヘッドの下面側に弾性支持手段によって弾性的に変位可能に設けられ加圧面に上記電子部品を吸着保持する加圧体と、
上記実装ヘッドを下降方向に駆動して上記加圧体の加圧面に吸着保持された上記電子部品を上記基板に実装させる駆動手段を具備し、
上記弾性支持手段は、
平行に対向する2組の側面を有し、上記実装ヘッドと上記加圧体の間に配置される可動ブロック体と、
上記可動ブロック体の一方の組の一対の側面に一端が取付けられた連結ばね体の他端を上記実装ヘッドに連結した第1の連結体と、
上記可動ブロック体の他方の組の一対の側面に一端が取付けられた連結ばね体の他端を上記加圧体に連結した第2の連結体と
によって構成されていることを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記可動ブロック体の各側面には、それぞれ2つの上記連結ばね体の一端が上下方向に平行に取付けられていて、それぞれ上下2つの連結ばね体の他端は上記一対の第1の連結体と一対の第2の連結体に取付けられることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記連結ばね体は、上下方向及び捩じれ方向に対して弾性変形可能な構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
上記連結ばね体は、一端に上記可動ブロック体の側面に取付けられる第1の取付け部が形成され、他端に上記第1の連結体又は第2の連結体に取付けられる第2の取付け部が形成されていて、上記第1の取付け部と第2の取付け部との間の部分は水平方向に対して蛇行した蛇行部が形成されていることを特徴とする請求項3記載の電子部品の実装装置。
【請求項5】
上記加圧体は、下面が平坦な吸着面に形成された基部と、この基部の吸着面に上面が吸着保持されるとともに、下面が上記電子部品を吸着保持する吸着部に形成された加圧ツールとを有することを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項6】
上下方向に駆動される実装ヘッドと、この実装ヘッドの下面側に設けられ加圧面に上記電子部品を吸着保持する加圧体と、上記実装ヘッドを下降方向に駆動して上記加圧体の加圧面に吸着保持された上記電子部品を上記基板に実装させる駆動手段を具備した実装装置によって、実装ステージの支持面に支持された基板に電子部品を実装する実装方法であって、
上記電子部品を上記基板に実装する際、上記実装ステージの支持面と上記加圧体の加圧面が平行でないときには、上記加圧体の加圧面が上記実装ステージの支持面に平行になるよう上記加圧体を弾性的に変位させて上記基板に上記電子部品を実装することを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−26370(P2013−26370A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158744(P2011−158744)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】