説明

電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置、および電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化方法

【課題】半導体装置8の封止用樹脂部9を加熱硬化する際に排出されるガスによる封止用樹脂部9の封止性能の劣化を防止する。
【解決手段】半導体装置8が実装されたフレキシブル絶縁テープ7を所定方向Nに搬送し、半導体装置8の封止用樹脂部9を加熱し、前記加熱時に封止用樹脂部9から排出されるガスを外部に排気する第1排気管30を、封止用樹脂部9からのガス排出量が最大となるa位置より搬送方向Nの前方側に設置する。上記ガスが確実に排出され、封止用樹脂部9の封止性能の劣化を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置、および電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子などの電子部品をフレキシブル絶縁テープなどの基板に実装(取付け)し、この電子部品を合成樹脂などの封止用樹脂を塗布し加熱硬化して樹脂封止することは広く行われている。
上記封止用樹脂の塗布工程、その封止用樹脂を加熱硬化する工程は、特許文献1に開示されているように、封止用樹脂塗布装置、加熱硬化装置を用いて行われる。
【0003】
特許文献1には、半導体素子が実装されたテープ5を供給するテープ供給装置3、封止用樹脂を塗布する樹脂塗布装置1、樹脂硬化装置2、テープ巻取装置4が記載されている。
上記樹脂硬化装置2は、樹脂塗布装置1で半導体素子に塗布された封止用樹脂を加熱硬化するもので、図2のようにヒータ22を備えている。このヒータ22が封止用樹脂を加熱硬化するものである。
この際に、封止用樹脂からガスが排出されるが、このガスを外部に排気するために樹脂硬化装置2の上部に、排気口15、16が構成されている。
特許文献1の樹脂硬化装置2に構成された排気口15、16は、図1、図2、図3に図示されているように、樹脂硬化装置2の上部に配置されており、しかも搬送方向テープ入口30側(左側)に配置されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−12742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の樹脂硬化装置2の排気口15、16は、ヒータ22により加熱される際に封止用樹脂から排出されたガスを外部に排気するが、このガスは、下側のテープ5の上記封止用樹脂から排出され上部の排気口15、16まで上昇し排出されることになる。
【0006】
しかも、上記排気口15、16は、搬送方向テープ入口30側(左側)に配置されているため、テープ5が搬送されている間もヒータ22により加熱されガスが排出していることから、このガスはテープ出口31側(右側)からも排出され、そのガスが前記テープ入口30側の上部まで上昇し上記排気口15、16から排出されることになる。このため、ガスは、樹脂硬化装置2の中で広い場所を移動することになり、樹脂硬化装置2の広い部分を汚してしまい、テープ5の搬送に支障をもたらせてしまう。しかも、上記封止用樹脂の周辺にもガスが滞留しやすくなって上記封止用樹脂からのガスの排出を妨げてしまい、封止用樹脂の硬化を妨げてしまう。しかも上記ガスにより樹脂硬化装置2の内壁に酸無水物の層を堆積させ、この層が剥離して上記封止用樹脂に落下すると上記封止用樹脂の封止が妨げられてしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解消するものであって、封止用樹脂部から排出されたガスが上記封止用樹脂部の周辺に滞留しにくくして封止用樹脂部の封止性を良好にし、樹脂硬化装置の内部を実質的に汚染しない電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置、および電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化方法をもたらすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明実施態様1の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置は、電子部品が実装された基板を所定方向に搬送し、前記電子部品の周辺に塗布された封止用樹脂部を加熱し、前記加熱時に前記封止用樹脂部から排出されるガスを外部に排気する排気口を備えた加熱硬化装置であって、前記排気口は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる位置より前記所定方向の前方側に設置されていることを特徴とする。
【0009】
上記本発明実施態様1の構成によれば、次の様な作用効果を有する。
本発明の加熱硬化装置においては、加熱時に前記封止用樹脂部から排出されるガスを外部に排気する排気口を、上記ガス発生量が最大になる位置(図6のa点)より後(搬送方向Nの前方側)に配置するので、発生するガスを加熱硬化装置内に滞留させる時間を短く且つ効果的にガスを排気することができる。従って、ガスの滞留による封止用樹脂部の加熱硬化を妨げたり、封止用樹脂部の封止性能を損ねたりすることがなく、また加熱硬化装置内の内壁をガスにより汚染することによる汚染層の剥離がなく、従ってその剥離物が封止用樹脂部に落下および混入し封止用樹脂部の封止性能を著しく損ねることを防止することができる。従って、封止用樹脂部の封止性能を向上することができる。
【0010】
仮にガスの排気位置を、ガス最大発生箇所(図6のa点)より搬送方向Nの手前側に配置する場合には、ガス発生量が最大になる前で排気することになるので、ガスの排気位置の搬送方向前方においてガスが最大に発生することとなり、封止用樹脂部の周囲にガスが滞留しやすくなるものである。従って、封止用樹脂部の加熱硬化を妨げたり、封止用樹脂部の封止性能を損ねたりする。さらに、加熱硬化装置の内壁をガスにより汚染し、汚染層が剥離すると加熱硬化中の封止用樹脂部に落下および混入し封止用樹脂部の封止性能を著しく損ねかねない。
本発明は、上記のように、加熱時に前記封止用樹脂部から排出されるガスを外部に排気する排気口を、上記ガス発生量が最大になる位置(図6のa点)より後(搬送方向Nの前方側)に配置することにより、ガスの滞留を防止でき、より確実に排気することができるものである。
【0011】
本発明実施態様2の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置は、実施態様1に記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、前記排気口は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる前記位置と前記所定方向の前方側であって前記ガスがほぼ排出されなくなる位置との間の位置に設置されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、上述の実施態様1の作用効果をより効果的になすことができる。
すなわち、前記排気口を、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる前記位置と前記所定方向の前方側であって前記ガスがほぼ排出されなくなる位置との間間の位置に設置しているので、排気位置は、ガス発生時点(図6のf点)からガス最大発生点(図6のa点)を含めて上記ガスがほぼ排出されなくなる位置(図のc点)の間の位置までに発生するガスをより確実に排気することができる。この場合、電子部品が実装された基板が搬送されていると(間欠搬送でも、連続搬送でも)、実装された基板の搬送に沿って発生ガスも搬送方向側に移動しやすくなり、上記f点から上記間の位置までに発生するガスは排気位置に近づくこととなり、より排気されやすくなるものである。
なお、上記間の位置からc点まででもガスは発生するが、その発生ガス量は少なく且つ排気位置では外部の吸引手段により吸引されているので、その間のガスも吸引されることになる。
【0013】
本発明実施態様3の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置は、実施態様2に記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、前記排気口は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる前記位置から前記所定方向の前方側であって前記ガスがほぼ排出されなくなる位置までの中間位置と前記ほぼ排出されなくなるまでの位置との間の位置に配置されていることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、上述の実施態様2の作用効果をより効果的になすものである。
【0015】
本発明実施態様4の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置は、実施態様1に記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、前記排気口は、前記ガスがほぼ排出されなくなる位置より前記所定方向の前方側に配置されていることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、発生するガスのほぼ全てを排気することができる。
【0017】
本発明実施態様5の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置は、実施態様1から実施態様4のうちいずれかに記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、前記加熱硬化装置は、前記基板を加熱する加熱部が、前記基板と電子部品と封止用樹脂部とをほぼ囲いかつ前記基板が前記搬送方向に移動可能に構成されたトンネル状部に設置されており、前記トンネル状部は、底部、左右側壁部、上壁、底部側に設置されたヒータ部を備えており、前記排気口は、前記トンネル状部内に設置されていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、発生するガスがトンネル状部から逃げにくくなるので、そのガスを排気しやすくなるものであり、上述の作用効果をより効果的に行うことができる。
【0019】
本発明実施態様6の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置は、実施態様1から実施態様5のうちいずれかに記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、前記前記トンネル状部には、前記排気口の近傍に前記トンネル状部から取り外し可能な分離蓋を有していることを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、分離蓋を取り外すことにより、電子部品の封止用樹脂部から排出するガスが排気部に至る流路にガスによる形成膜が生じてもその形成膜を除去することができ、またガスを透過させる金網などによって触媒作用をもたらせガスの無害化を実現することも可能となる。
【0021】
本発明実施態様7の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置は、実施態様1から実施態様6のうちいずれかに記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、前記基板は、配線部が配置されたフレキシブル絶縁テープであることを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、フレキシブル絶縁テープを用いて搬送するので、電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化を連続的に行うことが出来、作業性の向上、封止用樹脂部の加熱硬化品質の安定化をもたらすことができる。
【0023】
本発明実施態様8の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化方法は、電子部品が実装された基板を所定方向に搬送し、前記電子部品の周辺に塗布された封止用樹脂部を加熱し、前記加熱時に前記封止用樹脂部から排出されるガスを外部に排気する電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化方法であって、
前記排気は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる位置より前記所定方向の前方側で行われることを特徴とする。
【0024】
上記構成によれば、実施態様1と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における電子部品の封止用樹脂部形成装置の主要部の側方配置図。
【図2】図1のA−A位置から見た上記封止用樹脂部形成装置の主要部の側面図。
【図3】図1のB−B位置での主要部断面図。
【図4】図1のC−C位置での主要部断面図。
【図5】実装テープ6の長手方向における断面図。
【図6】塗布された封止用樹脂の加熱時間と排出されるガス発生量との関係を示す図。
【図7】本発明の各実施態様における第1排気管と図6の各点との関係配置図であり、(1)は第1実施形態での関係配置図、(2)は第2実施形態での関係配置図、(3)は第3実施形態での関係配置図、(4)は第4実施形態での関係配置図。
【図8】本発明の第1実施態様における各加熱部における封止用樹脂部の温度変化図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づいて説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態における電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置を含む電子部品の封止用樹脂部形成装置1の主要部の側方配置図であり、2図は、図1のA−A位置から見た上記封止用樹脂部形成装置1の主要部の側面図である。
図1において、左方には電子部品である半導体装置8(IC、LSIなど)が実装された基板としての実装テープ6を供給するテープ供給装置2が配置されており、その右隣には上記半導体装置8に封止用樹脂を塗布する樹脂塗布装置3が配置されており、その右隣には塗布された封止用樹脂部9を加熱硬化する加熱硬化装置4が配置されており、その右隣には封止用樹脂部9が硬化された実装テープ6を巻き取るテープ巻取装置5が配置されている。上記テープ供給装置2、樹脂塗布装置3、加熱硬化装置4、テープ巻取装置5は、各々床に設置されている。
以下、各装置、各部を詳細に説明する。
【0028】
まず実装テープ6は、図5にその長手方向における断面図が図示されているように、ポリイミド樹脂などの合成樹脂からなる幅35mmまたは48mmのフレキシブル絶縁テープ7と、フレキシブル絶縁テープ7上面の所定位置に接合された半導体装置8(IC、LSIなど)とを備えている。
フレキシブル絶縁テープ7の上表面には、銅やアルミニュームなどからなる配線部である導電パターン(図示せず)が形成されており、半導体装置8の各電極が各導電パターンの内端部に導通接合されており、こうして半導体装置8がフレキシブル絶縁テープ7に実装されている。
この半導体装置8の周辺である外周や上面には、後述する封止用樹脂が塗布され硬化されて封止用樹脂部9が構成される。
【0029】
なお、実装テープ6は、図5の半導体装置8の実装構造に限定されるものではなく、他の実装構造であってもよい。
例えば、フレキシブル絶縁テープ7に開口を設け、開口内に導電パターンの内端を突出させておき、突出した導電パターンの内端と、フレキシブル絶縁テープ7の下側または上側に配置した半導体装置8の電極とを導通接合する構造でもよく、半導体装置8の電極と導電パターンの内端とをワイヤーボンディングで導通させる構造でもよい。
いずれの実装構造であっても、封止用樹脂部9は、半導体装置8の周辺において半導体装置8の電極と導電パターンとの導通接合部、ボンディングされたワイヤ、半導体装置8の外周部や上面または下面等を外気から遮蔽するように封止するものである。
半導体装置8は、フレキシブル絶縁テープ7の長手方向に所定ピッチで順次配置されているが、場合によっては幅方向に所定間隔で配置されるようにしてもよい。
【0030】
テープ供給装置2は、次の様に構成されている。
テープ供給装置2は、実装テープ6がスペーサテープ10に覆われた状態で巻きつけられている送出しリール11と、送出しリール11から搬出された後に実装テープ6から分離されたスペーサテープ10を巻き取るスペーサテープ巻取りリール12と、送出しリール11から搬出された後でスペーサテープ10から分離された実装テープ6を搬送方向Nである樹脂塗布装置3側に向けて搬送案内する一対の送りローラ13とを備えている。
上記スペーサテープ10は、送出しリール11に巻きつけられた状態において実装テープ6表面に実装されている各半導体装置8の上面に被さっており、各半導体装置8の上面に重ねられる実装テープ6下面が接触して各半導体装置8の上面を損傷させまた各半導体装置8に不要な外力が掛かることがないように緩衝するためのものであり、紙テープ、樹脂フィルムテープなどである。
なお、送りローラ13は、搬送案内する際に、実装テープ6の静電気を外部に逃がすように静電気除去の構造が施されており、例えば、送りローラ13の表面の一部に導電膜が形成され、この導電膜がテープ供給装置2の金属基枠に導通するように構成されている。
【0031】
樹脂塗布装置3は、次の様に構成されている。
樹脂塗布装置3の反双方向Nの前方と後方には、実装テープ6を搬送方向Nに搬送案内する各一対の送りローラ14、15とを備えている。
上記送りローラ14、15の間には、封止用樹脂注入ヘッド16が配置されている。
この封止用樹脂注入ヘッド16は、実装テープ6に実装された各半導体装置8の周辺において半導体装置8の電極と導電パターンとの導通接合部、ボンディングされたワイヤ、半導体装置8の外周部や上面または下面等に、エポキシ樹脂などの封止用樹脂を適量注入するものであり、複数個の同ヘッド16を備えている。封止用樹脂注入ヘッド16は、搬送されて来た実装テープ6の各半導体装置8に対して、所定タイミングで上記のように封止用樹脂を適量注入するものである。複数個の封止用樹脂注入ヘッド16が、封止用樹脂を注入している時間(10秒程度)は、実装テープ6の搬送が停止しているものである。封止用樹脂は、エポキシ樹脂以外の合成樹脂でもよい。
【0032】
加熱硬化装置4は、次の様に構成されている。
加熱硬化装置4は、樹脂塗布装置3によって注入された封止用樹脂を加熱硬化し、封止用樹脂部9を構成するものである。
図1の加熱硬化装置4には、その主要部の側方配置関係が図示されており、図2は図1のA−A位置での加熱硬化装置4の主要部断面図、図3は図1のB−B位置での加熱硬化装置4の主要部断面図、図4は図1のC−C位置での加熱硬化装置4の主要部断面図である。
【0033】
加熱硬化装置4は、樹脂塗布装置3により封止用樹脂が各半導体装置8周辺に注入された実装テープ6が搬入された際に、封止用樹脂部9を加熱硬化するための断面方向(上下方向)に3段に構成された加熱部を有する加熱ブロック17と、加熱ブロック17から搬出された実装テープ6を搬送する一対の送りローラ42と、加熱ブロック17内で加熱した際に封止用樹脂部9から排出されるガスを外部に排気する排気部としての排気管21とを備えている。
加熱硬化装置4の中を搬送される実装テープ6の搬送速度、即ち加熱硬化時の搬送速度は、毎秒5.8mm程度である。ただし、封止用樹脂注入ヘッド16が、封止用樹脂を注入している時間(10秒程度)は、実装テープ6の搬送が停止しているものであり、上記加熱硬化時においても封止用樹脂を注入している時間は搬送が停止しているものである。
【0034】
加熱ブロック17は、最下段に配置された第1加熱部18、第1加熱部18の上段に配置された第2加熱部19、最上段に配置された第3加熱部20を備えており、さらに第1加熱部18から搬出された実装テープ6の搬送方向を180度変更して第2加熱部19に搬送する反転ローラ22、第2加熱部19から搬出された実装テープ6の搬送方向を90度づつ変更して第3加熱部20に搬送する2箇所の第2反転ローラ23、23を備えている。
【0035】
ここで、第1加熱部18、第2加熱部19、第3加熱部20は、各々実装テープ6の搬入口と搬出口は開口しているが、それら以外は実装テープ6の周囲をほぼ取り囲むようにトンネル状(枠状)に構成されている。すなわち、第1加熱部18、第2加熱部19、第3加熱部20は、上記搬入口と搬出口が開口し、搬送方向に直交する方向での断面形状が略四角形となるトンネル状に形成されトンネル状部(枠状部)を構成されており、いわば断面四角形状の長筒状部を有している。特に各加熱部18,19,20は、図2、図3、図4に図示されているように、各々、上壁24、左側壁25、右側壁26は互いに密着しており、底部27はその左右において左側壁25および右側壁26と多少の隙間を有して配置されている。
【0036】
第1加熱部18、第2加熱部19、第3加熱部20において、各々の上壁24、左側壁25、右側壁26、底部27は、ステンレススチールなどの耐熱性のよい金属から構成されている。上記各々上壁24、左側壁25、右側壁26、底部27に囲まれるトンネル状の内部空間内に実装テープ6が搬送されながら加熱されるものである。
さらに、第1加熱部18、第2加熱部19、第3加熱部20の各々には、加熱手段としてのヒータ28、実装テープ案内装置29が配置されているものである。ヒータ28は、電気ヒータならばどのようなものでも良く、例えば遠赤外線ヒータを用いる。
ヒータ28、実装テープ案内装置29については、詳細を後述する。
【0037】
前述した排気管21は、図2のように第1加熱部18に連通する排気口としての第1排気管30(図4も参照)に連通しており、第1加熱部18内で加熱される際に封止用樹脂部から排出されるガスを第1排気管30を介して外部に排出するためのものである。すなわち、第1排気管30の排出先であって加熱硬化装置4の上端には、ファン32Aが設置されており、第1加熱部18内に上記ガスが漏れ出た場合に、直ちにそのガスを第1排気管30を介し排気管21に排出するように構成されている。排気管21は、加熱硬化装置4の上端から外部に突出構成されている。
また加熱ブロック17に連通する第2排気管31も図2のように設けられており、加熱ブロック17内に上記ガスが漏れ出たとしてもそのガスを外部に排出するようになっている。すなわち、第2排気管31の排出先であって加熱硬化装置4の上端には、ファン32Bが設置されており、加熱ブロック17内に上記ガスが漏れ出た場合に、そのガスを第2排気管31を介し、またファン32Bに接続する第3排気管33により排気管21に排出するように構成されている。上記ファン32A、32Bはインバータファンである。
なお、上記ファン32A、32Bを用いることをせず、上記排気管21の上方先端が外部吸引装置に接続し、この外部吸引装置による吸気により上記各ガスを外部に吸引排気するようにしてもよい。
【0038】
第1加熱部18、第2加熱部19、第3加熱部20の構造について、詳細を説明する。
図3は、図1の第1加熱部18におけるB−B位置から見た主要部の側面図である。なお、第3加熱部20も、図3の第1加熱部18と同様の構造を有している。
図3において、上壁24と右側壁26は一体部品であり、断面L字形に構成され、右側壁26の下端は、加熱硬化装置4に固定された枠34の所定位置に小ネジ38により固定されている。左側壁25は、加熱硬化装置4に固定された枠でありその上端内側は上壁24の左端と密着している。底部27は、上記加熱硬化装置4の枠に固定されており、底部27の左右両端は、左側壁25の内面及び枠34の内面とほんの僅かの隙間を持たせた状態で配置されている。場合によっては上記隙間は、設けずに密着させるようにしても良い。
上壁24と右側壁26は、3層構造に構成されており、内層と外層はステンレススチールの薄板であり中間層は断熱材であり、ヒータ28により加熱された熱が外部に逃げないように配慮されている。
【0039】
底部27の上面には、ヒータ28が配置されている。ヒータ28は、図1のように搬送方向Nに沿って複数個が配列されている。
ヒータ28の上方には、実装テープ案内装置29が配置されており、実装テープ6が搬送可能に左右及び上下位置が案内位置決めされている。
実装テープ案内装置29は、実装テープ6の幅方向の両端側にそれぞれ配置された幅方向案内基板35、35と、幅方向案内基板35、35の上面と下面に固定され且つ幅方向案内基板35、35の内端より各々内側まで突出形成された厚さ方向案内板36,36とを有している。実装テープ6は、幅方向案内基板35、35の各々の内端によって幅方向の案内がされ、厚さ方向案内板36,36の上記突出部により厚さ方向、つまり断面方向の案内がされて搬送されるものである。
37は、取っ手であり、上壁24と右側壁26を各加熱部18、19、20の組立時や分解掃除の際に操作しやすくするものであり、さらに加熱工程の前段階の準備作業として各加熱部18、19、20の実装テープ案内装置29内に実装テープ6を挿入セットする際に上壁24と右側壁26を取り外しやすくするためのものである。
なお、第2加熱部19においては、実装テープ案内装置29が下側に配置され、実装テープ案内装置29の上側にヒータ28および底部27が順に配置されている。この場合、実装テープ6において半導体装置8が実装テープ6の下面に実装されており、実装テープ6の上方にヒータ28が対向配置されている。上記以外は、図3と同様に構成を有している。しかし第2加熱部19の断面配置は、図3と同様、第1加熱部18および第3加熱部20と全く同じであってもよい。
【0040】
第1加熱部18においては、搬送方向Nの前方の末端近傍、すなわち反転ローラ22の近傍には、加熱により封止用樹脂部9から排出されたガスを排出するガス排出装置39が構成されている。
図4は、前述したように図1のC−C位置での主要部断面図であり、上記ガス排出装置39が図示されている。
ガス排出装置39は、図4において、図3と同様に上壁24と、左側壁25と、右側壁26と底部27と、底部27の上部に配置されたヒータ28、実装テープ案内装置29を有している。
【0041】
図4のガス排出装置39において、図3の構造と異なる点は、次の通りである。
まず、上壁24と右側壁26は、搬送方向Nにおいては図1の鎖線で表示されたように反転ローラ22の近傍で所定幅を有した分離蓋40を構成し、図3図示の様な他の上壁24と右側壁26から分離可能に配置されている。分離蓋40は、小ネジ38,38により左側壁25、枠34にネジ固定されている。
さらにガス排出装置39には、ガスが透過できるように金属線で編まれた金網41が配置されている。この金網41の左上に第1排気管30が配置されている。
【0042】
上記金網41が配置されるためには、左側壁25の上方には金網41を受けている受段が設けられ、同様に右方の枠35の上方にも金網41を受ける受段が設けられている。
ヒータ28により封止用樹脂部9が加熱された際に排出されるガスは、金網41の金属線間を透過し、第1排気管30から外部に排気されるようになる。
前述の第1排気管30、金網41によりガス排出装置39が構成され、分離蓋40は加熱硬化時にはガス排出装置39を覆っている。分離蓋40は、トンネル状部から取り外した場合に、金網41を取替えたり、第1排気管30の口元およびその周辺のトンネル状部の内壁に溜まったガスによる酸無水物層を除去するためのものである。
【0043】
ここで、ガス排出装置39に配設されている第1排気管30は、第1加熱部18に配置されているが、その搬送方向Nにおいては図1に図示されているように反転ローラ22の近傍に位置している。
ここで、第1排気管30の配置位置は、搬送方向Nにおいて塗布された封止用樹脂部9がヒータ28により加熱される際に排出されるガス、すなわち封止用樹脂部9から排出されるガスの排出量が最大となる位置より前記搬送方向側に所定量進んだ位置、つまり前記反転ローラ22側に所定量近づいた位置である。また上記第1排気管30の配置位置は、第1加熱部18を構成している前記トンネル状部(枠状部)において搬入口よりも搬出口に近づいた位置である。
第1排気管30の配置位置が、上記のように封止用樹脂部9から排出されるガスの排出量が最大となる位置より前記搬送方向N側に所定量進んだ位置に設定されていることは次の理由に基づくものである。
【0044】
図6は、塗布された封止用樹脂(封止用樹脂部9)がヒータにより加熱開始されてから加熱時間に対応して排出されるガス発生量との関係を示す図である。縦軸がガス発生量、横軸が加熱時間を示している。この場合のヒータに印加する電力量は一定である。
図6において、ガス発生量は、加熱時間が経過するに従って上昇するが、所定時間a点でピークとなり、a点を経過すると減少してゆき、c点ではほぼガスが発生しないものであり、e点では全く発生しないものである。
封止用樹脂として液状エポキシ樹脂を用いて加熱してゆく場合、ガス発生量のピークa点では、150℃であった。さらにc点におけるa点からの加熱経過時間を測定しておく。b点は、a点とc点の時間間隔のほぼ中間時間点、d点はb点とc点の時間間隔のほぼ中間時間点である。
【0045】
ここで、本発明の第1実施態様のほぼ密閉された第1加熱部18においては、ガス排気口である第1排気管30を図6のガス発生量が最大になるa点位置に対して搬送方向Nの前方側(図6のa点以降でa点の右側相当位置)に配置するのであれば、発生するガスを第1加熱部18内に滞留させる時間を短く且つガスを効果的に排気することができる。
仮に第1排気管30を図6のa点より搬送方向Nの手前側(図6の左側相当位置)に配置する場合には、ガス発生量が最大になる前で排気することになるが、第1排気管30の搬送方向Nの前方であるa点でガスが最大に発生することにより第1排気管30が排気しきれなくなり、ほぼ密閉された第1加熱部18にガスが充満してしまう。従って、封止用樹脂部9の加熱硬化を妨げたり、封止用樹脂部9の封止性能を損ねたりしやすくなる。さらに、第1加熱部18や加熱ブロック17の内壁をガスにより汚染し、汚染層が剥離すると加熱硬化中の封止用樹脂部9に落下および混入し封止用樹脂部9の封止性能を著しく損ねかねない。
【0046】
そこで、本発明の第1実施態様では、図7の(1)のように第1排気管30を図6の上記d点にほぼ対応する位置に配置している。すなわち、第1排気管30の中心位置を上記d点にほぼ対応する位置に配置しているものである。
このため、第1排気管30は、ガス発生時点f点(図6)からガス最大発生点aを含めて上記d点までに発生するガスをより確実に排気することができる。この場合、実装テープ6が間欠的であってもマクロ的には連続的に搬送しているので、実装テープ6の搬送に沿って発生ガスも搬送方向Nに移動することになり、上記f点からd点までに発生するガスが第1排気管30側に近づくことになり、第1排気管30より排気されやすくなるものである。
なお、d点以降においてもガスは発生するが、その発生ガス量は少なく且つ第1排気管30では前述のように外部の吸引機により吸引しているので、d点以降のガスも第1排気管30によって吸引されることになる。
【0047】
第1加熱部18の中で、図6のa点、b点、c点、d点を知るには、種々の方法がある。
例えば、図6の上記a点(ガス発生量が最大になる点)に対応した封止用樹脂部9の温度を予め温度センサ等で測定しておき、この実験用の第1加熱部18内に複数の温度センサを搬送方向N方向に沿って所定間隔毎に配置し、実験用の第1加熱部18内に実装テープ6を搬送しながらヒータ28に通電して加熱し、上記a点に対応した封止用樹脂部9の温度が上記a点に相当する温度を検出した温度センサの位置を第1加熱部18の中のa点位置と定め、上記c点に相当する温度を検出した温度センサの位置を第1加熱部18の中のc点位置と定める。続いてb点はa点とc点の時間のほぼ中間点、d点はb点とc点の時間のほぼ中間点として算出して求める。なおb点、d点およびc点の位置は、a点位置の搬送方向N側(図1の右方)とする。
【0048】
例えば、封止用樹脂部9の樹脂をエポキシ樹脂とした場合は、上記a点の温度は150℃、上記c点の温度は○○○℃である。
あるいは、実験用の第1加熱部18を用意し、この実験用の第1加熱部18内に複数のガスセンサを搬送方向N方向に沿って所定間隔毎に配置し、実験用の第1加熱部18内に実装テープ6を搬送しながらヒータ28に通電して加熱し、樹脂部の表面から発生するガス量を検出することができれば、ガスの最大発生量を検出したセンサ位置を上記a点と設定し、ガスの発生がほぼ終了したガスセンサ位置を上記c位置とし、上記a点とc点との中間位置を上記b点と設定し、上記b点とc点との中間位置を上記d点と設定する。上記実験用第1加熱部18で定めた上記a点、c点を、第1加熱部18の中に上記a点、c点と定める。なおb点、c点、d点の位置は、a点位置の搬送方向N(図1の右方)とする。
【0049】
本第1実施形態においては、第1排気管30を、第1加熱部18において上記d点位置に設定している。
すなわち、図7の(1)のように、第1排気管30の中心位置が上記d点位置にほぼ対応するように配置されているものである。
図7の各図は、図1の分離蓋40および第1排気管30の位置関係を図示したものである。
【0050】
ガス排出装置39は、図4のように構成されているが、ヒータ28、実装テープ6、第1排気管30の互いの断面方向(高さ方向)の関係は次の通りである。
上記断面方向において、ヒータ28は最下に配置され、その上部に実装テープ6が配置され、最上部に第1排気管30が配置されているものである。
上記の断面方向関係に配置することにより、次のような効果をもたらす。
すなわち、ヒータ28により加熱された周囲の空気は上昇するので、この加熱された空気が無駄なく実装テープ6の封止用樹脂部9を加熱することができる。ヒータ28は、直接実装テープ6を加熱することとあいまって、効率よく封止用樹脂部9を加熱するものである。
その効果的加熱により封止用樹脂部9からはガスが排出されるが、この高温のガスは上昇するため、上方に配置された第1排気管30が吸引しやすくなり、排気効率が向上するものである。
【0051】
第1加熱部18で加熱され第1排気管30にてガスが排気された後の実装テープ6は、次の様に搬送される。
上記第1加熱部18を通過した実装テープ6は、反転ローラ22により反転し、第1加熱部18の上段に配置されている第2加熱部19に搬送される。第2加熱部19でもヒータ28により加熱されるが、封止用樹脂部9からはほとんどガスの発生はない。
さらに、実装テープ6は、第2加熱部19で加熱された後、2つの第2反転ローラ23,23により搬送方向が反転し、第3加熱部20に搬送される。第3加熱部20でもヒータ28により加熱されるが、封止用樹脂部9からはガスの発生はほとんどない。
【0052】
第2加熱部19と第3加熱部20のヒータ28による加熱は、主として封止用樹脂部9を硬化するためである。
第2加熱部19と第3加熱部20の加熱時には、殆どガスの発生はないが、多少の発生が考えられるため、その排気のために図2のように加熱ブロック17全体の排気のために第2排気管31が設けられている。この第2排気管31の先端は、前述のようにインバータ制御のファン32Bに接続され、さらに排気管21に接続して前述のように外部に排気されるものである。
第3加熱部20を通過した実装テープ6は、加熱ブロック17から搬出され、図1のように一対の送りローラ42によりテープ巻取装置5側に搬送されるものである。
【0053】
ここで、各加熱部18,19,20における封止用樹脂部9の温度変化は、図8に図示されている。この場合、各加熱部18、19、20の各ヒータ28、28、28に通電される電力量は、一定である。
図8において、実装テープ6の封止用樹脂部9の温度変化は、第1加熱部18では入口では常温であるが徐々に高温になってa点では150℃が検出される。第2加熱部19では、封止用樹脂部9の温度は、140℃から160℃内に保持され、第3加熱部20でも、封止用樹脂部9の温度は、140℃から160℃内に保持されている。
実装テープ6が第3加熱部20から搬出されると、封止用樹脂部9の温度は急激に低下して行く。
【0054】
なお、第1加熱部18と第2加熱部19の間は、実装テープ6が両加熱部の外部にあって反転ローラ22により搬送方向Nが反転されており、同様に第2加熱部19と第3加熱部20の間は、実装テープ6が両加熱部の外部にあって第2反転ローラ23,23により搬送方向Nが反転されているので、その間、封止用樹脂部9の温度は若干低下する。その温度が低下しても140℃内に留まることが好ましい。
【0055】
第1加熱部18では、封止用樹脂部9を加熱し始めて、ガス排出量の最大点a点を通過した後のd点位置にて第1排気管30によりガスを排気し、第2加熱部19と第3加熱部20にて加熱を継続することにより、封止用樹脂部9を硬化させるものである。
第2加熱部19と第3加熱部20での加熱により封止用樹脂部9からガスが多少排出された場合でも、ガスは第2排気管31により外部に排気されるものである。
【0056】
第3加熱部20を通過した実装テープ6は、加熱ブロック17から搬出され一対の送りローラ42により加熱硬化装置4からも搬出されることになる。
加熱硬化装置4から搬出された実装テープ6は、図1のようにテープ巻取装置5に搬送される。
テープ巻取装置5では、下側に配置されたスペーサテープ送出しリール44に巻き付けられているスペーサテープ45を実装テープ6に積層させた状態で、上方に配置された巻取りリール46に巻き取るようになる。上記両テープ6、45が巻き取られた巻取りリール46は、次工程の電気機器の回路基板等への組立工程に用いられる。
【0057】
〔第2実施形態〕
第1実施形態では、第1排気管30の配置位置が、図6におけるd点位置であったが、第2実施形態は、第1排気管30の配置位置を図6におけるb点位置としたものである。
上記b点は、第1加熱部18において、封止用樹脂部9からのガスがd点位置よりもより多く排出される点である。
図7の(2)には、第1排気管30の中心位置がb点位置にほぼ一致するように配置されていることが図示されている。40は、ガス排出装置39の分離蓋である。
従って、第1実施形態よりも第1加熱ブロック18内に排出されたガスを早期に第1排気管30により外部に排気することができる。
このため、発生したガスにより封止用樹脂部9に影響をもたらすことが少なくなるが、b点以降によって発生するガスを排気しにくくなるため、第1排気管30による排気能力を高めておくことが必要である。第1排気管30による排気能力を高めるためには、たとえば排気吸引力を高め、第1排気管30の断面積を大きくしておく等により実現できる。
【0058】
〔第3実施形態〕
第1実施形態では、第1排気管30の配置位置が、図6におけるd点位置であり、第2実施形態は、第1排気管30の配置位置を図6におけるb点位置としたものである。
第3実施形態は、第1排気管30の配置位置を図6におけるc点位置としたものである
上記c点は、第1加熱部18において、封止用樹脂部9からのガスが殆ど排出されない点である。
図7の(3)には、第1排気管30の中心位置がc点にほぼ一致するように配置されていることが図示されている。40は、ガス排出装置39の分離蓋である。
従って、封止用樹脂部9から排出されるガスが殆ど排出しきる位置に第1排気管30が配置されていることにより、排出されるガスを殆ど漏れなく排出することができる。但し、搬送速度が遅い、或いは間欠搬送の停止間隔が長い場合には、第1加熱部18の中にガスが滞留することになるので、第1排気管30の長さ、内部断面積、搬送速度、間欠間隔などを考慮してガスの滞留が生じにくい場合に、第3実施形態を採用することが好ましい。
第1加熱部18の中にガスが滞留すると、加熱中でガスが排出中の封止用樹脂部9にガスが再侵入し、封止用樹脂部の封止性能が低下し、封止用樹脂部9からのガスの排出性が低下するなどの不具合が生じかねないので、上記の考慮は肝要である。
【0059】
〔第4実施形態〕
第3実施形態は、第1排気管30の配置位置を図6におけるc点位置としたものであるが、第4実施形態は、第1排気管30の配置位置を図6におけるe点位置としたものである。
上記e点は、封止用樹脂部9からのガスが殆ど排出されない点であるc点から所定時間経過した点である。この所定時間は、b点からc点までの時間以内とすることが好ましい。
図7の(4)には、第1排気管30の中心位置がe点にほぼ一致するように構成されていることが図示されている。40は、ガス排出装置39の分離蓋である。
第4実施形態は、第1加熱部18の搬送方向Nの長さ、その内部断面積、搬送速度などを考慮してガスの滞留が生じにくく、ガスを確実に排気したい場合に採用することが好ましい。
【0060】
〔第5実施形態〕
上記実施形態では、第1排気管30を第1加熱部18に設けたが、第5実施形態では、第2加熱部19に設けるものである。
その場合は、図1の2段目の第2加熱部19の途中に第1排気管30を設け、ガスを外部に排気するものである。
第5実施形態によれば、第1加熱部18では、加熱だけ行うので加熱を徐々におこなうことができ、急激な加熱を避けたい封止用樹脂部9の材料にとっては好ましい。
なお、第1排気管30を第3加熱部20の途中に設けるようにしてもよく、その場合は、第1加熱部18と第2加熱部19の加熱は更に徐々に行うことができる。
【0061】
〔第6実施形態〕
上記各実施形態においては、第1排気管30を1箇所設けたものであったが、第6実施形態では、第1排気管30を2箇所以上の箇所に設けたものである。
例えば、第1実施形態において、図6のd点に相当する位置に第1排気管30を設けていたが、第6実施形態では、第1排気管30をd点に相当する位置に設けると共に、さらにc点に相当する位置にも第1排気管30のような別の排気管(第4排気管)を設け、共に外部に排気するようにしたものである。
上記別の排気管は、第1排気管30以外に複数個所設けてもよい。例えば、第1排気管30を図6のd点に相当する位置に設ける場合、上記別の排気管としてb点とc点にも設ける、あるいは第1排気管30を図6のa点に相当する位置に設けている場合、上記別の排気管としてb点とd点とc点とに設けてもよい。
さらに、上記別の排気管は、第1排気管30が配置されている加熱部とは別の加熱部に設けてもよい。例えば、第1排気管30を第1加熱部18に設け、上記別の排気管を第2加熱部19、または第3加熱部20に設けるようにしてもよい。
【0062】
〔第7実施形態〕
上記各実施形態においては、加熱部は3段構成であって、第1加熱部18、第2加熱部19、第3加熱部20を備えているものであった。
第6実施形態は、加熱部を1段のみとするものである。
例えば、図1においては、加熱部は第1加熱部18のみで構成し、この第1加熱部18の中に上記第1排気管30を設け、第1加熱部18から排出された実装テープ6は、テープ巻取装置5に搬送されるものである。
【0063】
〔変形例1〕
上記各実施形態の第1の変形例として、次の形態がありうる。
電子部品が実装された基板としては、テープである他に、短冊状あるいは長尺状の基板であってもよい。
短冊状あるいは長尺状の基板は、フレキシブル基板でもよく、ガラス繊維入りエポキシ樹脂基板などのリジット基板であってもよい。
【0064】
〔変形例2〕
上記各実施形態の第2の変形例として、次の形態がありうる。
上記加熱部、例えば第1加熱部18内の前記第1排気管30近傍に温度センサを配置しておき、第1加熱部18内に実装テープ6を搬送しながら順次加熱を行い、温度センサが管理目標として設定した図6の点、例えばd点に相当する封止用樹脂部9の温度を検出するように、実装テープ6の搬送速度を制御するか、ヒータ28の加熱温度を制御するようにする。
この場合は、設定点(例えば上記d点)において、効率よく確実に排気させることができる。
【0065】
〔変形例3〕
上記各実施形態の第3の変形例として、次の形態がありうる。
上記各実施形態では、各加熱部内では実装テープ6の搬送は封止用樹脂が注入されている時間は停止するものであったが、変形例3では、各加熱部内での実装テープ6は、常時一定の搬送速度で連続的に搬送しているものである。
その場合は、上記封止用樹脂が注入されている際も常時一定の速度で搬送されていることになる。
【0066】
〔変形例4〕
上記変形例3は、加熱部内での実装テープ6は常時一定の搬送速度で連続的に搬送しているものであるが、所定時間は一定の速度で搬送されるが、その後の所定時間は搬送が停止し、所定時間が経過すると再び前記一定の速度で搬送されるようにしてもよい。例えば、図6において、a点に達するまでは搬送が停止され、a点を経過すると一定の搬送速度で搬送されるようにしても良い。
あるいは、実装テープ6が加熱部の所定位置まで搬送されると、加熱硬化が終了するまでは、搬送されずに停止していてもよい。この場合、第1排気管30は、図6の設定された点(たとえばd点)に相当する位置に設けられているものである。
上記封止用樹脂が注入されるタイミングは、上記搬送と停止のタイミングに合わせる必要がある。
【0067】
〔変形例5〕
上記各実施形態においては、実装テープ6を搬送するために送りローラ13、14、15、42、43を用いていたが、その他の搬送方法や搬送構造であってもよく、例えばグリップ式(搬送用爪を回転させて、この爪を実装テープ6の両端に等間隔に開口された開口に噛み合わせて搬送する方式)であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置および電子部品の封止用樹脂部の加熱方法は、基板に実装された電子部品の実装体において、電子部品の周囲および基板との電気的接合部を樹脂封止する封止用樹脂部の加熱硬化する場合に適用されるものであり、上記電子部品の実装体は、例えば携帯電話、電子時計、小型電子計算機、パソコンなどに使用されるものである。
【符号の説明】
【0069】
1:封止用樹脂部形成装置、2:テープ供給装置、3:樹脂塗布装置、4:加熱硬化装置、5:テープ巻取装置、6:実装テープ、7:フレキシブル絶縁テープ、8:半導体装置、9:封止用樹脂部、10、45:スペーサテープ、11:送出しリール、12:スペーサテープ巻取りリール、13、14、15、42、43:送りローラ、16:封止用樹脂注入ヘッド、17:加熱ブロック、18:第1加熱部、19:第2加熱部、20:第3加熱部、21:排気管、22:反転ローラ、23:第2反転ローラ、24:上壁、25:左側壁、26:右側壁、27:底部、28:ヒータ、29:実装テープ案内装置、30:第1排気管、31:第2排気管、32A、32B:ファン、33:第3排気管、34:枠、35:幅方向案内基板、36:厚さ方向案内板、37:取っ手、38:小ネジ、39:ガス排出装置、40:分離蓋、41:金網、44:スペーサテープ送出しリール、46:巻取りリール、N:搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された基板を所定方向に搬送し、前記電子部品の周辺に塗布された封止用樹脂部を加熱し、前記加熱時に前記封止用樹脂部から排出されるガスを外部に排気する排気口を備えた加熱硬化装置であって、
前記排気口は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる位置より前記所定方向の前方側に設置されていることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、
前記排気口は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる前記位置と前記所定方向の前方側であって前記ガスがほぼ排出されなくなる位置との間の位置に設置されていることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置。
【請求項3】
請求項2に記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、
前記排気口は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる前記位置から前記所定方向の前方側であって前記ガスがほぼ排出されなくなる位置までの中間位置と前記ほぼ排出されなくなるまでの位置との間の位置に配置されていることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置。
【請求項4】
請求項1に記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、
前記排気口は、前記ガスがほぼ排出されなくなる位置より前記所定方向の前方側に配置されていることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれかに記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、
前記加熱硬化装置は、前記基板を加熱する加熱部が、前記基板と電子部品と封止用樹脂部とをほぼ囲いかつ前記基板が前記搬送方向に移動可能に構成されたトンネル状部に設置されており、前記トンネル状部は、底部、左右側壁部、上壁、底部側に設置されたヒータ部を備えており、前記排気口は、前記トンネル状部内に設置されていることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれかに記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、
前記前記トンネル状部には、前記排気口の近傍に前記トンネル状部から取り外し可能な分離蓋を有していることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちいずれかに記載された電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置であって、
前記基板は、配線部が配置されたフレキシブル絶縁テープであることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化装置。
【請求項8】
電子部品が実装された基板を所定方向に搬送し、前記電子部品の周辺に塗布された封止用樹脂部を加熱し、前記加熱時に前記封止用樹脂部から排出されるガスを外部に排気する電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化方法であって、
前記排気は、前記封止用樹脂部から排出されるガス排出量が最大となる位置より前記所定方向の前方側で行われることを特徴とする電子部品の封止用樹脂部の加熱硬化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−186838(P2010−186838A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29182(P2009−29182)
【出願日】平成21年2月11日(2009.2.11)
【出願人】(591093494)株式会社ミスズ工業 (58)
【Fターム(参考)】