説明

電子部品パッケージおよびその製造方法

【課題】位置ずれにも拘わらず導電パッドに導電バンプを確実に接続することができる電子部品パッケージおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】LSIチップパッケージ15では、パッケージ基板16上で導電パッド23、23同士の間にソルダーレジスト29が配置される。導電パッド23のパッド面25とソルダーレジスト29の頂上面31とは共通の仮想平面26内に配置される。したがって、パッケージ基板16に対するLSIチップ22の位置が例えばパッケージ基板16の表面に平行に規定の位置からずれたとしても、導電バンプ27の先端は例えば導電パッド23のパッド面25とソルダーレジスト29の頂上面31との両方に受け止められる。導電パッド23、23同士の間への導電バンプ27の落下は確実に防止される。その結果、導電バンプ27の位置のずれにも拘わらず導電バンプ27は導電パッド23に確実に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばLSI(大規模集積回路)チップパッケージといった電子部品パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
LSIチップの裏面には複数の導電パッドが配列される。LSIチップはパッケージ基板上に実装される。実装にあたって、LSIチップの導電パッド上には例えば金バンプが予め取り付けられる。金バンプは、パッケージ基板の表面に配列される導電パッド上に位置決めされる。LSIチップの裏面およびパッケージ基板の表面の間には熱硬化樹脂材のアンダーフィル材が充填される。LSIチップがパッケージ基板に押し付けられつつアンダーフィル材は規定の温度まで加熱される。アンダーフィル材の硬化に基づきLSIチップはパッケージ基板に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−243447号公報
【特許文献2】特開2004−320043号公報
【特許文献3】特開2005−20004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッケージ基板上ではパッケージ基板の表面と導電パッドの上端との間には段差が形成される。したがって、実装にあたってパッケージ基板上でLSIチップの位置が規定の位置から少しでもずれると、金バンプは導電バンプ上からパッケージ基板の表面に向かって滑り落ちてしまう。その結果、接続対象の導電パッドとの電気的接続が確立されなかったり、接続対象の導電パッドに隣接する導電パッドとの間で誤って電気的接続が確立されてしまったりする。このままアンダーフィル材でLSIチップがパッケージ基板に固定されると、不良品が製造されてしまう。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、位置ずれにも拘わらず導電パッドに導電バンプを確実に接続することができる電子部品パッケージおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、電子部品パッケージの一具体例は、基板と、前記基板の表面に配列されて、上端にパッド面を規定する複数の導電パッドと、前記導電パッド同士の間に配置されて、上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材と、前記基板の表面に配置されて、裏面に配置される導電バンプで前記パッド面に受け止められる電子部品とを備える。
【0007】
開示の電子部品パッケージの製造方法の一具体例は、上端にパッド面を規定する複数の導電パッド、および、前記導電パッド同士の間で上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材を表面に配列する基板の表面に、裏面に導電バンプを配列する電子部品を配置して、前記導電パッド上に前記導電バンプを位置合わせしつつ前記基板に前記電子部品を固定する工程を備える。
【発明の効果】
【0008】
以上のように開示の電子部品パッケージおよびその製造方法によれば、位置ずれにも拘わらず導電パッドに導電バンプを確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電子部品の一具体例すなわちサーバコンピュータ装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電子部品パッケージの構造を概略的に示すプリント基板ユニットの断面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】電子部品パッケージの構造を概略的に示す部分分解斜視図である。
【図5】大判のパッケージ基板を概略的に示す斜視図である。
【図6】パッケージ基板上に導電パッドおよび導電パターンを形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図7】パッケージ基板上にソルダーレジストを塗布する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図8】パッケージ基板上に所定のパターンのソルダーレジストを形成する工程を概略的に示す斜視図である。
【図9】パッケージ基板上に形成されるソルダーレジストにウェットブラスト処理を実施する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図10】パッケージ基板上に所定のパターンのソルダーレジストを形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図11】図10の11−11線に沿った部分拡大断面図である。
【図12】パッケージ基板の表面に窪みを形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図13】パッケージ基板上に電子部品を配置する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図14】パッケージ基板上に電子部品を実装する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図15】パッケージ基板上に電子部品を実装する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図16】パッケージ基板上に電子部品を実装する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図17】パッケージ基板上に電子部品を実装する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図18】温度上昇に基づきパッケージ基板に反りが発生する様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図19】温度上昇に基づきパッケージ基板に反りが発生する様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る電子部品パッケージの構造を概略的に示すプリント基板ユニットの断面図である。
【図21】図20の21−21線に沿った部分拡大断面図である。
【図22】パッケージ基板上に導電パッドおよび導電パターンを形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図23】パッケージ基板上に導電パッドおよび導電パターンを形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図24】導電パッド上にかさ上げ部を形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図25】導電パッド上にかさ上げ部を形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図26】導電パッド上にかさ上げ部を形成する工程を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図27】本発明の第3実施形態に係る電子部品パッケージの構造を概略的に示すプリント基板ユニットの断面図である。
【図28】本発明の第4実施形態に係る電子部品パッケージの構造を概略的に示すプリント基板ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0011】
図1は電子機器の一具体例すなわちサーバコンピュータ装置11の外観を概略的に示す。サーバコンピュータ装置11は筐体12を備える。筐体12内には収容空間が区画される。収容空間にはマザーボードが配置される。マザーボードは例えば電子部品パッケージやメインメモリを備える。電子部品パッケージは、例えば一時的にメインメモリに保持されるソフトウェアプログラムやデータに基づき様々な演算処理を実行する。こういったサーバコンピュータ装置11は例えばラックに搭載される。
【0012】
図2は、一具体例に係るプリント基板ユニットすなわちマザーボード13の構造を概略的に示す。マザーボード13は大型のプリント配線板14を備える。プリント配線板14の表面には本発明の第1実施形態に係る電子部品パッケージすなわちLSI(大規模集積回路)チップパッケージ15が実装される。LSIチップパッケージ15は基板すなわちパッケージ基板16を備える。パッケージ基板16はガラスエポキシ樹脂といった樹脂製基板で形成される。パッケージ基板16の形成にあたってガラス繊維はエポキシ樹脂に含浸される。パッケージ基板16は例えば矩形といった多角形の輪郭を備える。
【0013】
LSIチップパッケージ15は、パッケージ基板16の輪郭の内側でプリント配線板14の表面に配置される複数個の導電バンプすなわち導電バンプ17を備える。導電バンプ17はBGA(ボールグリッドアレイ)ボールから形成される。導電バンプ17ははんだ材から形成される。例えばはんだ材にはいわゆる無鉛はんだが用いられる。無鉛はんだは例えば錫、銀および銅の合金で構成される。導電バンプ17は、プリント配線板14の表面に配列される導電パッド18と、パッケージ基板16の裏面に配列される導電パッド19とを接続する。導電パッド18は導電パッド19に1対1で対応する。
【0014】
導電バンプ17はプリント配線板14上で封止される。すなわち、プリント配線板14の表面とパッケージ基板16の裏面との間で導電バンプ17を含む空間は固体の封止材すなわちアンダーフィル材21で充填される。アンダーフィル材21は絶縁性樹脂材料から形成される。同時に、アンダーフィル材21は熱硬化性樹脂材料から形成される。ここでは、アンダーフィル材21には例えばエポキシ樹脂が用いられる。こうしたアンダーフィル材21の働きで、LSIチップパッケージ15はプリント配線板14の表面に固定される。LSIチップパッケージ15およびプリント配線板14の間で電気的接続が確立される。
【0015】
パッケージ基板16の表面には電子部品すなわちLSIチップ22が実装される。LSIチップ22は例えば矩形といった多角形の輪郭を備える。LSIチップ22は例えばシリコンから形成される。パッケージ基板16の表面には複数の導電パッド23が配列される。LSIチップ22の輪郭の各辺に沿って配列される複数の導電パッド23でパッド群24が確立される。パッド群24はLSIチップ22の輪郭の各辺およびパッケージ基板16の輪郭の各辺に沿って延びる。各パッド群24では導電パッド23は等間隔で配列される。
【0016】
パッケージ基板16の表面に直交する垂直方向に規定される導電パッド23の断面は台形形状に規定される。その結果、導電パッド23の両側面は、パッケージ基板16の表面から高さを増大させるにつれて相互に近づく。導電パッド23は上端に平坦なパッド面25を規定する。パッド面25、25…は共通の仮想平面26内に配置される。仮想平面26は例えばパッケージ基板16の表面に平行に規定される。導電パッド23は例えば銅といった導電材料から形成される。銅の表面にはニッケルめっき膜や金めっき膜が形成される。
【0017】
導電パッド23のパッド面25上には導電バンプ27が配置される。導電バンプ27上にLSIチップ22の裏面に配列される導電パッド28が受け止められる。導電パッド28は導電パッド23に1対1で対応する。導電バンプ27は例えば金といった導電材料から形成される。導電バンプ27は例えば超音波接合に基づき導電パッド25に接合される。その一方で、導電バンプ24は導電パッド23のパッド面25上に受け止められる。導電パッド25は例えばアルミニウムといった導電材料から形成される。
【0018】
パッケージ基板16の表面には所定の膜厚で絶縁材すなわちソルダーレジスト29が形成される。ソルダーレジスト29は、パッケージ基板16の表面の輪郭に沿って延びる厚膜部29aと、厚膜部29aの内側に広がる薄膜部29bとを区画する。厚膜部29aの膜厚は薄膜部29bの膜厚より大きく設定される。薄膜部29bの膜厚は、パッケージ基板16の表面から導電パッド23の高さに等しく設定される。こうして薄膜部29b上にはパッド面25に連続する頂上面31が規定される。頂上面31は前述の仮想平面26内に配置される。ソルダーレジスト29は絶縁性の樹脂材料から形成される。樹脂材料には例えば感光性を有するエポキシ樹脂が含まれる。
【0019】
導電バンプ27はパッケージ基板16上で封止される。LSIチップ22とパッケージ基板16との間で導電バンプ27を含む空間は固体の封止材すなわちアンダーフィル材32で満たされる。アンダーフィル材32は例えば熱硬化性の樹脂材料から形成される。樹脂材料は例えばエポキシ樹脂を含む。樹脂材料には例えばシリカといった無機フィラーが含まれる。無機フィラーは例えば5μm程度の粒径を有する。アンダーフィル材32の働きでLSIチップ22はパッケージ基板16の表面に固定される。LSIチップ22およびパッケージ基板16の間で電気的接続が確立される。
【0020】
図3に示されるように、LSIチップ22およびパッケージ基板16の間にはLSIチップ22の輪郭に沿って4列のパッド群24が確立される。2対のパッド群24はそれぞれ相互に平行に延びる。パッド群24、24同士の間でソルダーレジスト29の薄肉部29bには例えば矩形の開口33が形成される。開口33内にはパッケージ基板16の表面が露出する。図4を併せて参照し、開口33内でパッケージ基板16にはパッケージ基板16の表面から所定の深さで窪む窪み34が形成される。窪み34は例えば矩形の輪郭を規定する。窪み34の底面は仮想平面26に平行に広がる。窪み34はLSIチップ22の裏面に向かって開放される。
【0021】
パッケージ基板16の表面には導電パッド23に個別に接続される導電パターン35が形成される。ここでは、導電パターン35は例えば導電パッド23の外端からパッケージ基板16の輪郭に向かって外側に延びる。導電パッド23や導電パターン35は薄膜部229bに埋め込まれる。パッケージ基板16の表面から導電パターン35の高さは同様に導電パッド23の高さに一致する。パッケージ基板16の表面から導電パターン35の高さは薄膜部29bの膜厚に等しく設定される。導電パターン35はソルダーレジスト29の厚膜部29a内に向かって延びる。導電パターン35は例えばスルーホールに基づき導電パッド19に接続される。導電パターン35は例えば銅といった導電材料から形成される。
【0022】
次に、LSIチップパッケージ15の製造方法を説明する。まず、図5に示されるように、大判のパッケージ基板36が用意される。パッケージ基板36上には複数のLSIチップ22の実装領域36aが形成される。図6に示されるように、各実装領域36aでパッケージ基板36の表面には例えば導電パッド23および導電パターン35が形成される。形成にあたって例えば無電解めっき処理および電解めっき処理が実施される。その後、図7に示されるように、パッケージ基板36の表面には全面に液体のソルダーレジスト29が塗布される。導電パッド23や導電パターン35はソルダーレジスト29で覆われる。パッケージ基板36の表面でソルダーレジスト29には露光現像処理が実施される。未露光のソルダーレジスト29は除去される。
【0023】
その一方で、図8に示されるように、露光に基づき硬化したソルダーレジスト29には前述の開口33を象る空隙37が形成される。空隙37内にはパッケージ基板36の表面が露出する。図9に示されるように、空隙37の輪郭に沿って所定の領域でソルダーレジスト29には例えばウェットブラスト処理が実施される。その結果、図10に示されるように、ソルダーレジスト29は所定の領域で削り取られる。こうして薄膜部29bが形成される。開口33が形成される。図11に示されるように、薄膜部29bの上端には平坦な頂上面31が規定される。導電パッド23、23同士の間にはソルダーレジスト29が配置される。導電パッド23の上端にはパッド面25が規定される。薄膜部29bの頂上面31および導電パッド23のパッド面25は共通の仮想平面26内に配置される。
【0024】
図12に示されるように、各実装領域36aでは空隙37内に露出するパッケージ基板36の表面で所定の領域にウェットブラスト処理が実施される。ウェットブラスト処理に基づき所定の領域でパッケージ基板36は削り取られる。こうしてパッケージ基板36の表面には前述の窪み34が形成される。なお、窪み34の形成にあたって、前述のウェットブラスト処理に代えて、例えばエンドミルに基づき切削加工処理が実施されてもよい。その後、各実装領域36aでは厚膜部29aの内側でパッケージ基板36の表面に液体のアンダーフィル材32が予め塗布される。アンダーフィル材32には例えばシリカといった無機フィラーが含まれる。
【0025】
図13に示されるように、パッケージ基板36の各実装領域36a上にはLSIチップ22が個別に配置される。LSIチップ22の裏面には導電パッド28が形成される。導電パッド28には予め導電バンプ27が接合される。接合にあたって例えば超音波接合が実施される。周知の通り、導電パッド28への導電バンプ27の接合時、導電バンプ27には先端に尖りが形成される。LSIチップ22はパッケージ基板36の各実装領域36aに位置決めされる。その後、LSIチップ22の下降に基づき導電バンプ27はパッケージ基板36の導電パッド23上に受け止められる。こうしてパッケージ基板36の表面およびLSIチップ22の裏面の間にはアンダーフィル材32が挟み込まれる。
【0026】
図14に示されるように、LSIチップ22はパッケージ基板36の表面に向かって所定の押し付け力で押し付けられる。導電バンプ27の先端の尖りは導電パッド23との間で押し潰される。このとき、LSIチップ22やパッケージ基板36には熱処理が実施される。アンダーフィル材32の硬化温度以上の規定の温度までアンダーフィル材32は加熱される。その結果、アンダーフィル材32は硬化する。硬化に基づきアンダーフィル材32はパッケージ基板36の表面にLSIチップ22を固定する。その後、パッケージ基板36からLSIチップ22ごとにパッケージ基板16すなわちLSIチップパッケージ15が切り出される。こうしてLSIチップパッケージ15が製造される。
【0027】
以上のようなLSIチップパッケージ15では、パッケージ基板16上で導電パッド23、23同士の間にソルダーレジスト29が配置される。導電パッド23のパッド面25とソルダーレジスト29の頂上面31とは共通の仮想平面26内に配置される。したがって、図15に示されるように、パッケージ基板16に対するLSIチップ22の位置が例えばパッケージ基板16の表面に平行に規定の位置からずれたとしても、導電バンプ27の先端は例えば導電パッド23のパッド面25とソルダーレジスト29の頂上面31との両方に受け止められる。導電パッド23、23同士の間への導電バンプ27の落下は確実に防止される。その結果、導電バンプ27の位置のずれにも拘わらず導電バンプ27は導電パッド23に確実に接合される。
【0028】
その一方で、パッケージ基板16の表面でソルダーレジスト29すなわち薄膜部29bが形成されない場合を想定する。図16に示されるように、パッケージ基板16に対するLSIチップ22の位置が例えばパッケージ基板16の表面に平行に規定の位置からずれると、導電バンプ27の先端は接合対象の導電パッド23の側面に沿って滑り落ちる。導電バンプ27は導電パッド23、23同士の間に落下してしまう。その結果、図17に示されるように、導電バンプ27の先端は例えば導電パッド23、23同士の間でパッケージ基板16の表面に受け止められる。導電バンプ27と接合対象の導電パッド23との間で接続不良が生じる。しかも、位置ずれが大きいと、導電バンプ27は、接合対象ではない導電パッド23に誤って接続されてしまう。
【0029】
以上のようなマザーボード13ではLSIチップ22は動作中に発熱する。発熱に基づきパッケージ基板16およびLSIチップ22では熱膨張が引き起こされる。樹脂製のパッケージ基板16の熱膨張率はシリコン製のLSIチップ22の熱膨張率の約4倍程度であることから、図18に示されるように、パッケージ基板16では反りが発生する。パッド群24、24同士の間でLSIチップ22の裏面およびパッケージ基板16の表面の距離は縮まる。パッケージ基板16にはLSIチップ22の裏面に向き合う窪み34が形成されることから、パッケージ基板16およびLSIチップ22の間でアンダーフィル材32中の無機フィラーのLSIチップ22への接触はできる限り回避される。LSIチップ22の裏面の損傷は回避される。
【0030】
その一方で、パッケージ基板16の表面に窪み34が形成されない場合、窪み34が形成される場合に比べてパッケージ基板16およびLSIチップ22の距離は窪み34の深さ分だけ縮まる。図19に示されるように、パッケージ基板16の反りに基づきパッケージ基板16の表面はLSIチップ22の裏面に接触することが想定される。その結果、パッケージ基板16およびLSIチップ22の間にアンダーフィル材32中の無機フィラーが挟み込まれる。無機フィラーはLSIチップ22の裏面に衝突する。衝突に基づきLSIチップ22の裏面は損傷する。LSIチップ22は破壊されてしまう。LSIチップパッケージ15の薄型化に伴ってLSIチップ22およびパッケージ基板16の距離が縮小される傾向にあることから、本発明の作用効果は一層際立つ。
【0031】
図20は本発明の第2実施形態に係るLSIチップパッケージ15aの構造を概略的に示す断面図である。このLSIチップパッケージ15aでは、各導電パッド23は、パッケージ基板16の表面に配置されるパッド本体41と、パッド本体41上に配置されるかさ上げ部42とを区画する。パッド本体41が第1実施形態の導電パッド23に対応する。かさ上げ部42の上端には前述のパッド面25が規定される。かさ上げ部42は例えば銅といった導電材料から形成される。かさ上げ部42同士の間には前述のソルダーレジスト29が配置される。ソルダーレジスト29の頂上面31は仮想平面26内に配置される。図21を併せて参照し、パッケージ基板16の表面からかさ上げ部42のパッド面25までの高さはパッド本体41や導電パターン35の高さより大きく設定される。パッケージ基板16の表面では窪み34は省略される。
【0032】
こうしたLSIチップパッケージ15aでは、かさ上げ部42の働きでLSIチップ22の裏面およびパッケージ基板16の表面の間の距離は増大する。その結果、LSIチップ22の熱膨張率とパッケージ基板16の熱膨張率との差に基づきパッケージ基板16に反りが発生しても、パッケージ基板16およびLSIチップ22の間でアンダーフィル材32中の無機フィラーのLSIチップ22への接触はできる限り回避される。LSIチップ22の裏面の損傷は回避される。その他、LSIチップパッケージ15aでは前述と同様の作用効果が実現される。なお、前述のLSIチップパッケージ15と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
【0033】
次に、LSIチップパッケージ15aの製造方法を説明する。前述と同様に、パッケージ基板36上に導電パッド23および導電パターン35が形成される。形成にあたって、図22に示されるように、パッケージ基板36の表面には無電解めっき処理に基づき銅の薄膜45が形成される。薄膜45はパッケージ基板36の表面にべた膜で広がる。薄膜45の表面には所定のパターニングでドライフィルムレジスト46が形成される。ドライフィルムレジスト46には、パッド本体41および導電パターン35の輪郭を象る空隙47が形成される。図23に示されるように、パッケージ基板36の表面では銅の電解めっき処理に基づき空隙47内にパッド本体41および導電パターン35が形成される。その後、ドライフィルムレジスト46は除去される。
【0034】
図24に示されるように、パッケージ基板36の表面には所定のパターニングでドライフィルムレジスト48が形成される。ドライフィルムレジスト48にはかさ上げ部42の輪郭を象る空隙49が形成される。図25に示されるように、パッケージ基板36の表面では銅の電解めっき処理に基づき空隙49内にかさ上げ部42が形成される。その後、ドライフィルムレジスト48は除去される。除去後、図26に示されるように、エッチング処理に基づき導電パッド23および導電パターン35の輪郭の外側でパッケージ基板36の表面から薄膜45が除去される。こうして導電パッド23および導電パターン35が形成される。エッチング処理にあたって導電パッド23上や導電パターン35上にはレジスト(図示されず)が形成されればよい。その後、前述と同様に、ソルダーレジスト28の形成からパッケージ基板16の切り出しまでの処理が実施される。
【0035】
図27は本発明の第3実施形態に係るLSIチップパッケージ15bの構造を概略的に示す断面図である。このLSIチップパッケージ15bでは、前述のLSIチップパッケージ15aのパッケージ基板16の表面に窪み34が形成される。窪み34の働きで、前述のLSIチップパッケージ15bに比べてLSIチップ22およびパッケージ基板16の間の距離は一層増大する。その結果、パッケージ基板16に反りが発生しても、パッケージ基板16およびLSIチップ22の間でアンダーフィル材32中の無機フィラーのLSIチップ22への接触はできる限り回避される。LSIチップ22の裏面の損傷は回避される。その他、LSIチップパッケージ15aでは前述と同様の作用効果が実現される。なお、前述のLSIチップパッケージ15、15aと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
【0036】
図28は本発明の第4実施形態に係るLSIチップパッケージ15cの構造を概略的に示す断面図である。このLSIチップパッケージ15cでは、前述のLSIチップパッケージ15bの窪み34の底面で電子部品51が実装される。窪み34の底面から電子部品51の高さは窪み34の深さより小さく設定されることが好ましい。こうした電子部品51には例えばチップキャパシタやチップ抵抗が含まれる。電子部品51の実装にあたって、電子部品51は、窪み34の底面でパッケージ基板16に形成される導電パッド(図示されず)上に例えばはんだ材に基づき接合されればよい。その他、前述のLSIチップパッケージ15〜15bと均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
【0037】
こうしたLSIチップパッケージ15cによれば、これまでLSIチップ22の輪郭の周囲でパッケージ基板16の表面に実装される電子部品51がLSIチップ22の輪郭の内側でパッケージ基板16の表面に実装される。その結果、LSIチップ22の輪郭の周囲でパッケージ基板16の表面の面積は縮小されることができる。こうしたパッケージ基板16はLSIチップパッケージ15cの小型化に貢献する。しかも、電子部品51の高さが窪み34の深さより小さく設定されれば、パッケージ基板16の反りにも拘わらずLSIチップ22への電子部品51の接触はできる限り回避される。LSIチップ22の裏面の損傷は回避される。その他、前述と同様の作用効果が実現される。
【0038】
以上の実施形態に関し出願人はさらに以下の付記を開示する。
【0039】
(付記1) 基板と、
前記基板の表面に配置されて、上端にパッド面を規定する複数の導電パッドと、
前記導電パッド同士の間に配置されて、上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材と、
前記基板の表面に配置されて、裏面に配置される導電バンプで前記パッド面に受け止められる電子部品とを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0040】
(付記2) 付記1に記載の電子部品パッケージにおいて、前記パッド面および前記頂上面は共通の平面内に配置されることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0041】
(付記3) 付記1または2に記載の電子部品パッケージにおいて、前記基板の表面で前記基板の表面から窪みつつ周囲に前記導電パッドを配置し、前記電子部品の裏面に向き合う窪みとを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0042】
(付記4) 上端にパッド面を規定する複数の導電パッド、および、前記導電パッド同士の間で上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材を表面に配置する基板の表面に、裏面に導電バンプを配置する電子部品を配置して、前記導電パッド上に前記導電バンプを位置合わせしつつ前記基板に前記電子部品を固定する工程を備えることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0043】
(付記5) 付記4に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記パッド面および前記頂上面は共通の平面内に配置されることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0044】
(付記6) 付記4または5に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記基板の表面には、前記基板の表面から窪みつつ周囲に前記導電パッドを配置し、前記電子部品の裏面に向き合う窪みが形成されることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0045】
(付記7) 基板と、
前記基板の表面に配置されて、上端にパッド面を規定する複数の導電パッドと、
前記導電パッド同士の間に充填されて、上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材とを備えることを特徴とするプリント基板。
【0046】
(付記8) 基板と、
前記基板の表面に形成されて前記基板の表面から窪む窪みと、
前記窪みの周囲で前記基板の表面に配置される複数の導電パッドと、
前記基板の表面に配置されて、裏面に配置される導電バンプで前記導電パッド上に受け止められる電子部品とを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0047】
(付記9) 付記8に記載の電子部品パッケージにおいて、前記導電パッドは、前記基板の表面に配置されるパッド本体と、前記パッド本体上に配置されて上端でパッド面を規定するかさ上げ部とを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0048】
(付記10) 付記8または9に記載の電子部品パッケージにおいて、熱硬化性樹脂材から形成されて前記電子部品および前記基板の間に充填される封止材を備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0049】
(付記11) 表面から窪む窪みの周囲に配置される複数の導電パッドを有する基板の表面に、裏面に導電バンプを配置する電子部品を配置して、前記導電パッド上に前記導電バンプを位置合わせしつつ前記基板に前記電子部品を固定する工程を備えることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0050】
(付記12) 付記11に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記導電パッドには、前記基板の表面に配置されるパッド本体と、前記パッド本体上に配置されて上端でパッド面を規定するかさ上げ部とが区画されることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0051】
(付記13) 付記11または12に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記電子部品の固定にあたって、前記電子部品および前記基板の間に熱硬化性樹脂材の封止材を充填しつつ規定の温度まで前記封止材を加熱することを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0052】
(付記14) 基板と、
前記基板の表面に形成されて前記基板の表面から窪む窪みと、
前記窪みの周囲で前記基板の表面に配置される複数の導電パッドとを備えることを特徴とするプリント基板。
【0053】
(付記15) 基板と、
前記基板の表面に配置される複数の導電パッドと、
前記導電パッドに区画されて前記基板の表面に配置されるパッド本体と、
前記導電パッドに区画されて前記パッド本体上に配置されるかさ上げ部と、
前記基板の表面に配置されて、裏面に配置される導電バンプで前記かさ上げ部上に受け止められる電子部品とを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0054】
(付記16) 付記15に記載の電子部品パッケージにおいて、前記基板の表面に形成されて前記導電パッドに接続され、前記基板の表面から前記パッド本体と同一の高さを有する導電パターンを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0055】
(付記17) 付記15または16に記載の電子部品パッケージにおいて、
前記かさ上げ部の上端に規定されて前記導電バンプを受け止めるパッド面と、
前記かさ上げ部同士の間に配置されて、上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材とを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0056】
(付記18) 付記17に記載の電子部品パッケージにおいて、前記パッド面および前記頂上面は共通の平面内に配置されることを特徴とする電子部品パッケージ。
【0057】
(付記19) パッド本体、および、前記パッド本体上に配置されるかさ上げ部を区画する導電パッドを表面に配置する基板の表面に、裏面に導電バンプを配置する電子部品を配置して、前記かさ上げ部上に前記導電バンプを位置合わせしつつ前記基板に前記電子部品を固定する工程を備えることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0058】
(付記20) 付記19に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記かさ上げ部の上端には前記導電バンプを受け止めるパッド面が規定され、前記かさ上げ部同士の間には上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材が配置されることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0059】
(付記21) 付記20に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記パッド面および前記頂上面は共通の平面内に配置されることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【0060】
(付記22) 基板と、
前記基板の表面に配置される複数の導電パッドと、
前記導電パッドに区画されて前記基板の表面に配置されるパッド本体と、
前記導電パッドに区画されて前記パッド本体上に形成されるかさ上げ部とを備えることを特徴とするプリント基板。
【符号の説明】
【0061】
15 電子部品パッケージ(LSIチップパッケージ)、16 基板・プリント基板(パッケージ基板)、22 電子部品(LSIチップ)、23 導電パッド、25 パッド面、26 平面(仮想平面)、27 導電バンプ、29 絶縁材(ソルダーレジスト)、31 頂上面、32 封止材(アンダーフィル材)、34 窪み、35 導電パターン、41 パッド本体、42 かさ上げ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に配置されて、上端にパッド面を規定する複数の導電パッドと、
前記導電パッド同士の間に配置されて、上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材と、
前記基板の表面に配置されて、裏面に配置される導電バンプで前記パッド面に受け止められる電子部品とを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品パッケージにおいて、前記パッド面および前記頂上面は共通の平面内に配置されることを特徴とする電子部品パッケージ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子部品パッケージにおいて、前記基板の表面で前記基板の表面から窪みつつ周囲に前記導電パッドを配置し、前記電子部品の裏面に向き合う窪みとを備えることを特徴とする電子部品パッケージ。
【請求項4】
上端にパッド面を規定する複数の導電パッド、および、前記導電パッド同士の間で上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材を表面に配置する基板の表面に、裏面に導電バンプを配置する電子部品を配置して、前記導電パッド上に前記導電バンプを位置合わせしつつ前記基板に前記電子部品を固定する工程を備えることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記パッド面および前記頂上面は共通の平面内に配置されることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電子部品パッケージの製造方法において、前記基板の表面には、前記基板の表面から窪みつつ周囲に前記導電パッドを配置し、前記電子部品の裏面に向き合う窪みが形成されることを特徴とする電子部品パッケージの製造方法。
【請求項7】
基板と、
前記基板の表面に配置されて、上端にパッド面を規定する複数の導電パッドと、
前記導電パッド同士の間に充填されて、上端に前記パッド面に連続する頂上面を規定する絶縁材とを備えることを特徴とするプリント基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2011−9570(P2011−9570A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152817(P2009−152817)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】