電子部品取外装置
【課題】半導体集積回路チップを容易に取り外せる電子部品の取外装置を提供する。
【解決手段】電子部品取外装置は、回路基板3を搭載するステージと、粘着部材13を有するボンディングツール10と、ボンディングツール10、もしくは該ステージを制御し、ボンディングツール10を回路基板3に実装された半導体集積回路チップ1に位置合わせし、ツール10の有する粘着部材13を半導体集積回路チップ1に接触させて押圧し、該ツール10を移動させる制御装置とを有する。
【解決手段】電子部品取外装置は、回路基板3を搭載するステージと、粘着部材13を有するボンディングツール10と、ボンディングツール10、もしくは該ステージを制御し、ボンディングツール10を回路基板3に実装された半導体集積回路チップ1に位置合わせし、ツール10の有する粘着部材13を半導体集積回路チップ1に接触させて押圧し、該ツール10を移動させる制御装置とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基板に接続する実装構造体、電子部品の実装方法、および電子部品取外装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の組立には、はんだ付けが多用されているが、電子機器の高密度化と小形化、薄形化の要求によって、パッケージの接続端子数の増加と小形化により、端子ピッチの減少が急速に進んでいる。従来のはんだ付け技術では、微細な電極に精度よくはんだ供給することが困難になっており、はんだ付けによる組立が困難になっている。
【0003】
そこで、半導体集積回路チップを回路基板に搭載する接続技術が開発されてきており、なかでも半導体集積回路チップの能動素子面を回路基板に対して下向きに搭載するフリップチップ接続は、電気特性と実装密度の向上を実現する手段として有力な工法である。
【0004】
しかし、フリップチップ接続は半導体集積回路チップと回路基板の間を樹脂で接着するため、一度、半導体集積回路チップを回路基板上に搭載すると、回路基板から半導体集積回路チップを取り外すことが困難である。したがって、通常、半導体集積回路チップの不良、または接続不良が発生した場合は、回路基板ごと電子機器、及び電子部品は廃棄してしまっているため、歩留まりが悪くなっている。
【0005】
そこで、歩留まりを上げる方法としては、半導体集積回路チップを容易に取り外し、取り替える技術が必要である。
【0006】
従来の半導体集積回路チップの取り外し方法としては、特開平8-186149号公報に記載されている方法がある。これは、半導体集積回路チップの突起電極と回路基板の電極のみで接続し、半導体集積回路チップの動作確認後、不合格であれば半導体集積回路チップの横から、突起電極に向けてレーザーを照射し、突起電極を切断させ、半導体集積回路チップを取り外す方法である。
【0007】
【特許文献1】特開平8-186149
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、半導体集積回路チップの突起電極にレーザーを照射して、突起電極を切断させる方法では、レーザーの照射は回路基板と水平方向から当てるために、半導体集積回路チップの周辺に部品が搭載されている状態では、半導体集積回路チップの突起電極に向けてレーザーを照射することは困難であった。通常は、半導体集積回路チップの動作確認、又は電子機器の動作確認の時は、半導体集積回路チップを単体で評価することはなく、半導体集積回路チップ以外に、バイパスコンデンサ、抵抗などを搭載して評価するため、半導体集積回路チップの周辺に電子部品が搭載されている。
【0009】
また、半導体集積回路チップの突起電極の高さは、数十ミクロンから数百ミクロンと低いため、レーザーを照射する位置に高精度を要し、作業も困難であるため、半導体集積回路チップを取り外す作業コストが高くなってしまうと言った問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべく、半導体集積回路チップの取り外しが容易であるとともにフリップチップ接続の信頼性を確保した構造を提供するものである。また、その実装方法を提供するものである。また、その電子部品の取外方法及び取外装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の目的を達成するために、半導体集積回路チップと回路基板の接着に用いる樹脂に可溶性と不可溶性の2種類の樹脂を用いるフリップチップ接続構造としたものである。また、溶剤を用いて可溶性樹脂を溶解させて半導体集積回路チップを取外すものである。ここで、「可溶性」の樹脂とは分子構造が2次元構造のものであり、「不可溶性」の樹脂は、3次元構造のものである。2次元構造のものは外部からエネルギー、例えば熱エネルギー、光エネルギーなどが加わったり、樹脂が溶剤の物質と混ざり合い、分子状に分散(溶ける)するので樹脂の持つ接着力は弱まる。3次元構造のものは互いの分子間力が強いために分散しにくい(溶けない)。
【0012】
一例としては、以下のような実装もしくはリペアを行う。
【0013】
まず、回路基板上の半導体集積回路チップが搭載される位置の中央部に予め可溶性の樹脂を塗布し、半導体集積回路チップの突起電極と基板電極を位置合わせした後、半導体集積回路チップを回路基板上に搭載し、半導体集積回路チップを吸着したボンディングツールと回路基板を載せた基板ステージより半導体集積回路チップと回路基板を加熱させ、可溶性樹脂を硬化させる。
【0014】
次に、半導体集積回路チップ以外の他のはんだ付け部品を搭載する。
【0015】
次に、半導体集積回路チップ、または回路基板上の搭載部品の動作確認を行う
。
【0016】
半導体集積回路チップ、または回路基板上の搭載部品の検査結果が不合格の場合は、半導体集積回路チップを布で覆い、布の上から溶剤を塗布し、半導体集積回路チップと回路基板の間に介在している可溶性樹脂に浸透させ、溶解させる。
【0017】
ここで、「溶解」とは、本来固体状態の物質が液体状態の物質と混ざり合い、分子状に分散すること、もしくは液体状態にある物質どうしが混ざり合う(mix)現象を意味するが、溶剤を用いて接着力が弱まる程度の現象であれば良い。
【0018】
次に、粘着材が接着されているボンディングツールで半導体集積回路チップを押し当て、粘着材と半導体集積回路チップを接着させ、ボンディングツールを引き上げる時に回路基板から半導体集積回路チップを取り外す。
【0019】
次に、可溶性樹脂を用いて、新しい半導体集積回路チップを再び回路基板上に搭載して動作確認を行う。
【0020】
一方、半導体集積回路チップ、または回路基板上の搭載部品の検査結果が合格の場合は、半導体集積回路チップの周辺に不可溶性樹脂を塗布し、不可溶性樹脂を硬化させ、半導体集積回路チップ周辺にフィレットを形成させる。不可溶性樹脂を半導体集積回路周辺に塗布することで、溶液に対する信頼性を向上させることが可能となる。
【0021】
従って、以上の構成によれば、可溶性の樹脂と不可溶性の樹脂を使用することで、リペアに好適であって信頼性を確保した実装構造体を提供することができる。
【0022】
より具体的には、電気回路パターンを形成してなる回路基板と、前記回路基板上の電極と電気的に接続する電子部品とを備え、該回路基板と該電子部品との間を可溶性の樹脂を用いて接続するものである。
【0023】
また、前記電子部品の周囲に塗布された不可溶性の樹脂を備えるものである。
【0024】
また、前記電子部品の周囲に塗布された可溶性の樹脂を備えるものである。
【0025】
また、前記可溶性の樹脂の代わりに溶剤により、接着界面の接着力が電子部品の周囲に塗布された樹脂より回路基板と電子部品との間を接着した樹脂の方が大きい関係にある不可溶性の樹脂を用いるものである。
【0026】
また、電子部品と回路基板とを可溶性の樹脂を用いて接続し、電子部品の動作確認を行い、電子部品の動作確認の結果が不合格と判定した場合、溶剤を用いて該電子部品を取り外し、電子部品の動作確認の結果が合格と判定した場合、電子部品の外周を不可溶性の部材を用いて接続するものである。
【0027】
また、粘着部材を用いて電子部品を取り外すものである。
【0028】
また、回路基板を搭載するステージと、粘着部材を有するツールと、該ツールもしくは該ステージを制御し、該ツールを該回路基板に実装された電子部品に位置させ、該ツールの有する粘着部材を該電子部品に接触させて押圧し、該ツールを移動させる制御装置とを有するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、半導体集積回路チップの取り外しが容易であるとともにフリップチップ接続の信頼性を確保することが可能となる。また、電子部品の取外しを可能とする電子部品の実装方法や取外装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を用いて本発明を詳述する。
【0031】
回路基板3への搭載が完了した本発明のフリップチップ接続構造体の断面図を図1に、全体図を図2に示す。図1において、1は半導体集積回路チップ、2は半導体集積回路チップの突起電極、3は回路基板、4は基板電極、5は可溶性樹脂、6は不可溶性樹脂である。なお、突起電極2の材料は金、はんだが好ましい。可溶性樹脂5はアクリル樹脂、シアノアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、などの材料が好ましい。不可溶性樹脂6は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂が好ましい。
【0032】
まず図3及び図4を用いて、突起電極2を設けた半導体集積回路チップ1を回路基板3上に搭載する方法を説明する。
【0033】
半導体集積回路チップ1を回路基板3上に搭載する前工程として、半導体集積回路チップ1に突起電極2を形成する。突起電極2の形成方法は、突起電極2の部材に金を用いる場合はワイヤバンピング法やメッキ法が好ましい。突起電極2にはんだを用いる場合はメッキ法、蒸着法、印刷法、はんだボールの接続法が好ましい。(ステップA1)
次に、半導体集積回路チップ1を回路基板3に搭載する位置に、予め可溶性樹脂5を塗布する。可溶性樹脂5を塗布する量は半導体集積回路チップ1と回路基板3の間を充分に介在させる量が好ましい。信頼性を確保するには少なくとも最外周の電極が覆われる程度の量が好ましい。(ステップA2)
次に、半導体集積回路チップ1をボンディングツール10で吸着し、半導体集積回路チップ1の能動素子面を回路基板3に対して下向きにして、回路基板3の基板電極4と半導体集積回路チップ1の突起電極2が直接接続できるように位置決めする。(ステップA3)
次に、回路基板3上に半導体集積回路チップ1を搭載し、半導体集積回路チップ1を吸着したボンディングツール10で半導体集積回路チップ1を加熱し、可溶性樹脂5を硬化させる。可溶性樹脂5が熱硬化型の場合は熱を加え、光硬化性型の場合は光を当てる。また、可溶性樹脂5の加熱のタイミングは、半導体集積回路チップ1の搭載と同時か、または半導体集積回路チップ1を搭載した後の、どちらでもよい。(ステップA4)
次に、半導体集積回路チップ1の動作確認に必要なはんだ付け部品7を実装する。はんだ付け部品7の実装方法として、一般的な方法であるはんだ8の印刷、部品の搭載、リフローを行う。なお、はんだ付けの部品7の搭載は、半導体集積回路チップ1を搭載する前(ステップ2の前)に、行ってもよい。(ステップA5)
次に、半導体集積回路チップ1とはんだ付け部品7の搭載が終了した後、半導体集積回路チップ1の検査、または回路基板3上の搭載部品の検査を行う。検査方法は、例えばプローブ11を回路基板3上の検査用電極9に接触させ、半導体集積回路チップ1の出力特性を調べる。(ステップA6)
検査結果が半導体集積回路チップ1の不良と判定した場合、半導体集積回路チップ1を回路基板3上から取り外すことができなければ、回路基板3上に搭載した他のはんだ付け部品7も廃棄しなければならず歩留まりが悪くなってしまう。更に、半導体集積回路チップ1は、単独で検査することが困難であるため不良品も混在している可能性が多く、回路基板3上に複数の半導体集積回路チップ1を搭載する場合は不良品を大量に作ってしまう可能性が高い。この問題を解決するために、半導体集積回路チップ1を回路基板3上から取り外す方法が必要となる。
【0034】
次に、この半導体集積回路チップ1を回路基板3上から取り外す方法の一例を図5〜図8に示す。
【0035】
図5に示すように、半導体集積回路チップ1の上から布17で覆い、該布17の上からディスペンサ15で溶剤16を塗布する。半導体集積回路チップ1を布17で覆うことで、溶剤16が半導体集積回路チップ1の周辺部品への広がりを防ぐ。また、半導体集積回路チップ1の周辺に部品がない場合は、半導体集積回路チップ1の上に布17をかぶせないで直接溶剤16を塗布してもよい。溶剤16はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、酢酸ブチル、ラフィニット、イソプロピルアルコールなどが好ましい。(ステップA7)
次に、可溶性樹脂5を溶解させるために、回路基板3をヒーター22の置いて加熱させる。加熱温度の設定は、溶剤の沸点に近い温度が好ましい。例えば、溶剤16がN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の場合150℃、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)の場合180℃、ジメチルスルホキシド(DMSO)の場合200℃とし、加熱時間は5分が好ましい。加熱することで可溶性樹脂5は溶解される。(ステップA8)
また、可溶性樹脂5の溶解方法については、溶剤16に限定する必要はなく放射線、電磁波、紫外線などでもよい。
【0036】
次に、可溶性樹脂5を溶解されたところで、半導体集積回路チップ1の取り外しを行う。
【0037】
図6に半導体集積回路チップ取り外し装置18、図7に半導体集積回路チップ1を取り外す方法を示す。
【0038】
半導体集積回路チップ取り外し装置18は、図6に示すような通常のボンディング装置と同等な構造であり、ボンディングツール10の下側に粘着材13を設けた構造である。粘着材13は、両面テープ、熱硬化性のフィルムが好ましい。
【0039】
まず、粘着材13が張られたボンディングツール10を半導体集積回路チップ1に押し当て、粘着材13と半導体集積回路チップ1を接触させる。次に、粘着材13に熱を加えると接着力が強くなる部材、例えば熱硬化性のフィルムを用いて、粘着材13をボンディングツール10で加熱させる。(ステップA9)
ボンディングツール10を加熱させることで粘着材13は半導体集積回路チップ1との接触力が強くなるため、ボンディングツール10を引き上げると半導体集積回路チップ1は回路基板3から引き剥がされる。(ステップA10)
次に半導体集積回路チップ1を取り外した後、回路基板3上に可溶性樹脂5が残留していれば取り除く必要がある。図8に可溶性樹脂5の残留を取り除く方法を示す。
【0040】
回路基板3上の可溶性樹脂5が残留している位置に溶剤16を塗布し、可溶性樹脂5を溶解させる。(ステップA11)
次に、粘着材13の付いたボンディングツール10で、回路基板3上の可溶性樹脂5が残留している位置を押し当てる。(ステップA12)
粘着材13の付いたボンディングツール10で、回路基板3上の可溶性樹脂5を押し当てることで可溶性樹脂5を粘着材13に転写し、回路基板3から可溶性樹脂5を取り除く。(ステップA13)
また、ブラシのような毛先のもので、可溶性樹脂5の残留を擦って取り除いてもよい。
【0041】
図5、図7、図8に示す方法で半導体集積回路チップ1を取り外した後、再び半導体集積回路チップ1を図3に示すステップ2の方法で搭載する。
【0042】
半導体集積回路チップ1、または回路基板3上の搭載部品の検査結果が合格と判定した場合は、信頼性を向上させるために、図9に示す半導体集積回路チップ1の外周を不可溶性樹脂6で硬化させる工程を行う。
【0043】
まず、半導体集積回路チップ1の周辺に不可溶性樹脂6を塗布する。(ステップB1)
次に、加熱させて不可溶性樹脂6を硬化させ、半導体集積回路チップ1の周辺に樹脂フィレットを形成させる。(ステップB2)
また、図14に示すように、半導体集積回路チップ1の真上から不可溶性樹脂6を塗布し、硬化させ、半導体集積回路チップ1を不可溶性樹脂6で覆った構造でもよい。
【0044】
以上のプロセスを行うことで、図1、図14に示すようなフリップチップ接続構造体を製作できる。
【0045】
本発明のフリップチップ接続構造体は、半導体集積回路チップ1と回路基板3とを接続するのに可溶性の部材を用いたものであり、これにより半導体集積回路チップ1の取り外しは容易であり、更に、半導体集積回路チップの周辺は不可溶性樹脂6で接着しているために、溶剤にも強く、接続信頼性が高い半導体集積回路チップ1のフリップチップ接続を実現できる方法である。
【0046】
また、他の方法として、半導体集積回路チップ1の取り外し方法(図10及び図11)と半導体集積回路チップ1を溶剤16につける方法(図12、図13)がある。
【0047】
図10及び図11に示す半導体集積回路チップ1の取り外し方法は、ボンディングツール10に直接粘着材13を張らない方法である。図10に示すように粘着テープ23を設置し、半導体集積回路チップ1とボンディングツール10の間に置く。(ステップC1)
次に、ボンディングツール10で粘着テープ23を押さえながら、粘着テープ23を半導体集積回路チップ1に押し当てる。粘着テープ23には、熱を加えると接着力が強くなる材料。例えば熱硬化性のフィルムが好ましい。(ステップC2)
次に、ボンディングツール10を引き上げると、粘着テープ23が半導体集積回路チップ1に転写される。(ステップC3)
次に、半導体集積回路チップ1上の接着テープ23が張られている位置にボンディングツール10で半導体集積回路チップ1を押し当てると、粘着テープ23はボンディングツール10と接着するため、ボンディングツール10を引き上げると、粘着テープ23によって半導体集積回路チップ1は回路基板3から取り外される。(ステップC4)
半導体集積回路チップ1を溶剤16につける方法としては図12、図13に示す方法がある。
【0048】
図12に示すように、受け皿12の中に溶剤16を入れ、該受け皿12の中に半導体集積回路チップ1を実装した回路基板3を入れる。次に溶剤16を沸点より10℃低い温度で加熱する。溶剤16は、回路基板3が溶解しにくい溶剤、例えばラフィニット、イソプロピルアルコールのアルコール系が好ましい。
【0049】
また、他のはんだ付け部品7や回路基板3を溶解させてしまう可能性のある溶剤16を用いる場合は、図13に示す方法である。図13に示すように半導体集積回路チップ1の周辺に溶剤流出防止枠14を設置する。溶剤流出防止枠14は溶剤16に溶解しない材料である金属がよく、特にアルミがよい。溶剤流出防止枠14は下面に粘着材13を張り合わせておく。(ステップD1)
次に、半導体集積回路チップ1の周辺の回路基板3上に溶剤流出防止枠14を張り合わせ、半導体集積回路チップ1の上から溶剤16を塗布し、ホットプレート22で半導体集積回路チップ1を加熱する。加熱温度は、溶剤16の温度が溶剤16の沸点より10℃低い温度に設定するのがよい。加熱時間は5分程度でよい。例えば、回路基板3半導体集積回路チップ1の間の可溶性樹脂5にアクリル樹脂を用い、溶剤16にDMF、NMP,DMSOを用いた場合、DMFは150℃で5分、NMPは180℃で5分、DMSOは200℃で5分がよい。(ステップD2)
次に、半導体集積回路チップ1の上に布17を被せて、溶剤16を布17に染みこませ、溶剤16を除去する。また、回路基板3をひっくり返すことで溶剤16を流し出してもよい。(ステップD3)
次に溶剤防止枠14を取り外し、図6、図7、図8に示すように半導体集積回路チップ1を取り外し、可溶性樹脂5を取り除く。
【0050】
以上の図12、図13に示す半導体集積回路チップ1に溶剤16をつける方法もある。
【0051】
また、突起電極2が半導体集積回路チップ1の中央部分に形成されている半導体集積回路チップ1、例えばメモリチップなどは、図16及び図17に示す方法がある。
【0052】
半導体集積回路チップ1を回路基板3上に搭載する前工程として、半導体集積回路チップ1の中央部に突起電極2を形成する。(ステップE1)
次に、半導体集積回路チップ1を回路基板3に搭載する位置の半導体集積回路チップ1の外周が位置する2辺に、予め可溶性樹脂5を塗布する。(ステップE2)
次に、半導体集積回路チップ1をボンディングツール10で吸着し、半導体集積回路チップ1の能動素子面を回路基板3に対して下向きにして、回路基板3の基板電極4と半導体集積回路チップ1の突起電極2が直接接続できるように位置決めする。(ステップE3)
次に、回路基板3上に半導体集積回路チップ1を搭載し、半導体集積回路チップ1を吸着したボンディングツール10で半導体集積回路チップ1を加熱し、可溶性樹脂5を硬化させる。可溶性樹脂5が熱硬化型の場合は熱を加え、光硬化型の場合は光を当てる。(ステップE4)。
【0053】
次に、半導体集積回路チップ1の動作確認に必要なはんだ付け部品7を実装する。(ステップE5)
次に、半導体集積回路チップ1とはんだ付け部品7の搭載が終了した後、半導体集積回路チップ1の検査、または回路基板3上の搭載部品の検査を行う。検査方法は、例えばプローブ11を回路基板3上の検査用電極9に接触させ、半導体集積回路チップ1の出力特性を調べる。(ステップE6)
検査結果が半導体集積回路チップ1の不良と判定した場合は、図5、図7、図8の方法で半導体集積回路チップ1を回路基板3から取り除く。
【0054】
検査結果が半導体集積回路チップ1の合格と判定した場合は、図18及び図19に示す工程を行う。
【0055】
まず、半導体集積回路チップ1の可溶性樹脂5で硬化していない半導体集積回路チップ1の1辺に不可溶性樹脂6を塗布する。(ステップF1)
次に、不可溶性樹脂6の粘度が低くなる温度で、回路基板3を加熱し、半導体集積回路チップ1と回路基板3の隙間に不可溶性樹脂6を流し込む。(ステップF2)
次に、加熱させて不可溶性樹脂6を硬化し、半導体集積回路チップ1と回路基板3を可溶性樹脂5と不可溶性樹脂6で接着する。(ステップF3)
以上のプロセスを行うことで、図15に示すようなフリップチップ接続構造体を製作できる。
【0056】
これまでは主に半導体集積回路チップの実装について説明してきたが、本発明は半導体集積回路チップに限定されるものではなく、回路基板に実装する他の電子部品についても適用できることは言うまでもない。
【0057】
また、半導体集積回路チップと回路基板とを接続する可溶性樹脂の代わりに、溶剤により接着界面の接着力が電子部品の周囲に塗布された樹脂より回路基板と電子部品との間を接着した樹脂の方が大きい関係にある不可溶性の樹脂を用いても良い。この場合、回路基板もしくは半導体集積回路チップとの接着力が10〜50MPaのものが好ましい。この程度の接着力であれば、動作時の電気的接続を確保するのに充分であるとともに、溶剤を用いることで回路基板もしくは半導体集積回路チップとの接着力が1〜5MPaと一桁ほど低下し、半導体集積回路チップを取外せる程度の界面接着力にすることが可能となる。
【0058】
また、半導体集積回路周辺に塗布する樹脂は不可溶性の樹脂でなくとも、防湿性の可溶性樹脂や、チップ放熱のため熱伝導性のよい可溶性樹脂でも良いが、いずれの場合も動作時の接着力(信頼性)を確保する意味において、少なくとも10MPa以上である必要がある。また、半導体集積回路チップの突起電極の種類は、はんだ、Auでも良く、その突起電極上にさらに熱可塑性もしくは熱硬化性の導電性樹脂を設けてもよく、回路基板の電極上にはんだを設けてもよい。もしくはこれらを組み合わせた構造であっても良い。但し、はんだを用いる場合は、動作確認を行うまでは溶融させない方がリペア際に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例における接続構造体の断面図である
【図2】本発明の一実施例における接続構造体の全体図である
【図3】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図4】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図5】本発明の実施例の溶剤浸透プロセス図である
【図6】本発明の実施例のチップ取り外し装置図である
【図7】本発明の実施例のチップ取り外しプロセス図である
【図8】本発明の実施例の樹脂残留除去プロセス図である
【図9】本発明の実施例の樹脂充填プロセス図である
【図10】本発明の実施例のチップ取り外しプロセス図である
【図11】本発明の実施例のチップ取り外しプロセス図である
【図12】本発明の実施例の溶剤浸透プロセス図である
【図13】本発明の実施例の溶剤浸透プロセス図である
【図14】本発明の一実施例における接続構造体の断面図である
【図15】本発明の一実施例における接続構造体の断面図である
【図16】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図17】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図18】本発明の実施例の樹脂充填プロセス図である
【図19】本発明の実施例の樹脂充填プロセス図である
【符号の説明】
【0060】
1 半導体集積回路チップ、
2 突起電極(バンプ)
3 回路基板
4 基板電極
5 可溶性樹脂
6 不可溶性樹脂
7 はんだ付け部品
8 はんだ
9 検査電極
10 ボンディングツール
11 プローブ
12 受け皿
13 粘着材
14 溶剤流出防止枠
15 ディスペンサ
16 溶剤
17 布
18 チップ取り外し装置
19 粘着テープ張り付け装置
20 スポイド
21 テフロン(登録商標)シート
22 ヒーター
23 粘着テープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を回路基板に接続する実装構造体、電子部品の実装方法、および電子部品取外装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の組立には、はんだ付けが多用されているが、電子機器の高密度化と小形化、薄形化の要求によって、パッケージの接続端子数の増加と小形化により、端子ピッチの減少が急速に進んでいる。従来のはんだ付け技術では、微細な電極に精度よくはんだ供給することが困難になっており、はんだ付けによる組立が困難になっている。
【0003】
そこで、半導体集積回路チップを回路基板に搭載する接続技術が開発されてきており、なかでも半導体集積回路チップの能動素子面を回路基板に対して下向きに搭載するフリップチップ接続は、電気特性と実装密度の向上を実現する手段として有力な工法である。
【0004】
しかし、フリップチップ接続は半導体集積回路チップと回路基板の間を樹脂で接着するため、一度、半導体集積回路チップを回路基板上に搭載すると、回路基板から半導体集積回路チップを取り外すことが困難である。したがって、通常、半導体集積回路チップの不良、または接続不良が発生した場合は、回路基板ごと電子機器、及び電子部品は廃棄してしまっているため、歩留まりが悪くなっている。
【0005】
そこで、歩留まりを上げる方法としては、半導体集積回路チップを容易に取り外し、取り替える技術が必要である。
【0006】
従来の半導体集積回路チップの取り外し方法としては、特開平8-186149号公報に記載されている方法がある。これは、半導体集積回路チップの突起電極と回路基板の電極のみで接続し、半導体集積回路チップの動作確認後、不合格であれば半導体集積回路チップの横から、突起電極に向けてレーザーを照射し、突起電極を切断させ、半導体集積回路チップを取り外す方法である。
【0007】
【特許文献1】特開平8-186149
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、半導体集積回路チップの突起電極にレーザーを照射して、突起電極を切断させる方法では、レーザーの照射は回路基板と水平方向から当てるために、半導体集積回路チップの周辺に部品が搭載されている状態では、半導体集積回路チップの突起電極に向けてレーザーを照射することは困難であった。通常は、半導体集積回路チップの動作確認、又は電子機器の動作確認の時は、半導体集積回路チップを単体で評価することはなく、半導体集積回路チップ以外に、バイパスコンデンサ、抵抗などを搭載して評価するため、半導体集積回路チップの周辺に電子部品が搭載されている。
【0009】
また、半導体集積回路チップの突起電極の高さは、数十ミクロンから数百ミクロンと低いため、レーザーを照射する位置に高精度を要し、作業も困難であるため、半導体集積回路チップを取り外す作業コストが高くなってしまうと言った問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべく、半導体集積回路チップの取り外しが容易であるとともにフリップチップ接続の信頼性を確保した構造を提供するものである。また、その実装方法を提供するものである。また、その電子部品の取外方法及び取外装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の目的を達成するために、半導体集積回路チップと回路基板の接着に用いる樹脂に可溶性と不可溶性の2種類の樹脂を用いるフリップチップ接続構造としたものである。また、溶剤を用いて可溶性樹脂を溶解させて半導体集積回路チップを取外すものである。ここで、「可溶性」の樹脂とは分子構造が2次元構造のものであり、「不可溶性」の樹脂は、3次元構造のものである。2次元構造のものは外部からエネルギー、例えば熱エネルギー、光エネルギーなどが加わったり、樹脂が溶剤の物質と混ざり合い、分子状に分散(溶ける)するので樹脂の持つ接着力は弱まる。3次元構造のものは互いの分子間力が強いために分散しにくい(溶けない)。
【0012】
一例としては、以下のような実装もしくはリペアを行う。
【0013】
まず、回路基板上の半導体集積回路チップが搭載される位置の中央部に予め可溶性の樹脂を塗布し、半導体集積回路チップの突起電極と基板電極を位置合わせした後、半導体集積回路チップを回路基板上に搭載し、半導体集積回路チップを吸着したボンディングツールと回路基板を載せた基板ステージより半導体集積回路チップと回路基板を加熱させ、可溶性樹脂を硬化させる。
【0014】
次に、半導体集積回路チップ以外の他のはんだ付け部品を搭載する。
【0015】
次に、半導体集積回路チップ、または回路基板上の搭載部品の動作確認を行う
。
【0016】
半導体集積回路チップ、または回路基板上の搭載部品の検査結果が不合格の場合は、半導体集積回路チップを布で覆い、布の上から溶剤を塗布し、半導体集積回路チップと回路基板の間に介在している可溶性樹脂に浸透させ、溶解させる。
【0017】
ここで、「溶解」とは、本来固体状態の物質が液体状態の物質と混ざり合い、分子状に分散すること、もしくは液体状態にある物質どうしが混ざり合う(mix)現象を意味するが、溶剤を用いて接着力が弱まる程度の現象であれば良い。
【0018】
次に、粘着材が接着されているボンディングツールで半導体集積回路チップを押し当て、粘着材と半導体集積回路チップを接着させ、ボンディングツールを引き上げる時に回路基板から半導体集積回路チップを取り外す。
【0019】
次に、可溶性樹脂を用いて、新しい半導体集積回路チップを再び回路基板上に搭載して動作確認を行う。
【0020】
一方、半導体集積回路チップ、または回路基板上の搭載部品の検査結果が合格の場合は、半導体集積回路チップの周辺に不可溶性樹脂を塗布し、不可溶性樹脂を硬化させ、半導体集積回路チップ周辺にフィレットを形成させる。不可溶性樹脂を半導体集積回路周辺に塗布することで、溶液に対する信頼性を向上させることが可能となる。
【0021】
従って、以上の構成によれば、可溶性の樹脂と不可溶性の樹脂を使用することで、リペアに好適であって信頼性を確保した実装構造体を提供することができる。
【0022】
より具体的には、電気回路パターンを形成してなる回路基板と、前記回路基板上の電極と電気的に接続する電子部品とを備え、該回路基板と該電子部品との間を可溶性の樹脂を用いて接続するものである。
【0023】
また、前記電子部品の周囲に塗布された不可溶性の樹脂を備えるものである。
【0024】
また、前記電子部品の周囲に塗布された可溶性の樹脂を備えるものである。
【0025】
また、前記可溶性の樹脂の代わりに溶剤により、接着界面の接着力が電子部品の周囲に塗布された樹脂より回路基板と電子部品との間を接着した樹脂の方が大きい関係にある不可溶性の樹脂を用いるものである。
【0026】
また、電子部品と回路基板とを可溶性の樹脂を用いて接続し、電子部品の動作確認を行い、電子部品の動作確認の結果が不合格と判定した場合、溶剤を用いて該電子部品を取り外し、電子部品の動作確認の結果が合格と判定した場合、電子部品の外周を不可溶性の部材を用いて接続するものである。
【0027】
また、粘着部材を用いて電子部品を取り外すものである。
【0028】
また、回路基板を搭載するステージと、粘着部材を有するツールと、該ツールもしくは該ステージを制御し、該ツールを該回路基板に実装された電子部品に位置させ、該ツールの有する粘着部材を該電子部品に接触させて押圧し、該ツールを移動させる制御装置とを有するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、半導体集積回路チップの取り外しが容易であるとともにフリップチップ接続の信頼性を確保することが可能となる。また、電子部品の取外しを可能とする電子部品の実装方法や取外装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を用いて本発明を詳述する。
【0031】
回路基板3への搭載が完了した本発明のフリップチップ接続構造体の断面図を図1に、全体図を図2に示す。図1において、1は半導体集積回路チップ、2は半導体集積回路チップの突起電極、3は回路基板、4は基板電極、5は可溶性樹脂、6は不可溶性樹脂である。なお、突起電極2の材料は金、はんだが好ましい。可溶性樹脂5はアクリル樹脂、シアノアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、などの材料が好ましい。不可溶性樹脂6は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂が好ましい。
【0032】
まず図3及び図4を用いて、突起電極2を設けた半導体集積回路チップ1を回路基板3上に搭載する方法を説明する。
【0033】
半導体集積回路チップ1を回路基板3上に搭載する前工程として、半導体集積回路チップ1に突起電極2を形成する。突起電極2の形成方法は、突起電極2の部材に金を用いる場合はワイヤバンピング法やメッキ法が好ましい。突起電極2にはんだを用いる場合はメッキ法、蒸着法、印刷法、はんだボールの接続法が好ましい。(ステップA1)
次に、半導体集積回路チップ1を回路基板3に搭載する位置に、予め可溶性樹脂5を塗布する。可溶性樹脂5を塗布する量は半導体集積回路チップ1と回路基板3の間を充分に介在させる量が好ましい。信頼性を確保するには少なくとも最外周の電極が覆われる程度の量が好ましい。(ステップA2)
次に、半導体集積回路チップ1をボンディングツール10で吸着し、半導体集積回路チップ1の能動素子面を回路基板3に対して下向きにして、回路基板3の基板電極4と半導体集積回路チップ1の突起電極2が直接接続できるように位置決めする。(ステップA3)
次に、回路基板3上に半導体集積回路チップ1を搭載し、半導体集積回路チップ1を吸着したボンディングツール10で半導体集積回路チップ1を加熱し、可溶性樹脂5を硬化させる。可溶性樹脂5が熱硬化型の場合は熱を加え、光硬化性型の場合は光を当てる。また、可溶性樹脂5の加熱のタイミングは、半導体集積回路チップ1の搭載と同時か、または半導体集積回路チップ1を搭載した後の、どちらでもよい。(ステップA4)
次に、半導体集積回路チップ1の動作確認に必要なはんだ付け部品7を実装する。はんだ付け部品7の実装方法として、一般的な方法であるはんだ8の印刷、部品の搭載、リフローを行う。なお、はんだ付けの部品7の搭載は、半導体集積回路チップ1を搭載する前(ステップ2の前)に、行ってもよい。(ステップA5)
次に、半導体集積回路チップ1とはんだ付け部品7の搭載が終了した後、半導体集積回路チップ1の検査、または回路基板3上の搭載部品の検査を行う。検査方法は、例えばプローブ11を回路基板3上の検査用電極9に接触させ、半導体集積回路チップ1の出力特性を調べる。(ステップA6)
検査結果が半導体集積回路チップ1の不良と判定した場合、半導体集積回路チップ1を回路基板3上から取り外すことができなければ、回路基板3上に搭載した他のはんだ付け部品7も廃棄しなければならず歩留まりが悪くなってしまう。更に、半導体集積回路チップ1は、単独で検査することが困難であるため不良品も混在している可能性が多く、回路基板3上に複数の半導体集積回路チップ1を搭載する場合は不良品を大量に作ってしまう可能性が高い。この問題を解決するために、半導体集積回路チップ1を回路基板3上から取り外す方法が必要となる。
【0034】
次に、この半導体集積回路チップ1を回路基板3上から取り外す方法の一例を図5〜図8に示す。
【0035】
図5に示すように、半導体集積回路チップ1の上から布17で覆い、該布17の上からディスペンサ15で溶剤16を塗布する。半導体集積回路チップ1を布17で覆うことで、溶剤16が半導体集積回路チップ1の周辺部品への広がりを防ぐ。また、半導体集積回路チップ1の周辺に部品がない場合は、半導体集積回路チップ1の上に布17をかぶせないで直接溶剤16を塗布してもよい。溶剤16はN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、酢酸ブチル、ラフィニット、イソプロピルアルコールなどが好ましい。(ステップA7)
次に、可溶性樹脂5を溶解させるために、回路基板3をヒーター22の置いて加熱させる。加熱温度の設定は、溶剤の沸点に近い温度が好ましい。例えば、溶剤16がN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の場合150℃、1-メチル-2-ピロリドン(NMP)の場合180℃、ジメチルスルホキシド(DMSO)の場合200℃とし、加熱時間は5分が好ましい。加熱することで可溶性樹脂5は溶解される。(ステップA8)
また、可溶性樹脂5の溶解方法については、溶剤16に限定する必要はなく放射線、電磁波、紫外線などでもよい。
【0036】
次に、可溶性樹脂5を溶解されたところで、半導体集積回路チップ1の取り外しを行う。
【0037】
図6に半導体集積回路チップ取り外し装置18、図7に半導体集積回路チップ1を取り外す方法を示す。
【0038】
半導体集積回路チップ取り外し装置18は、図6に示すような通常のボンディング装置と同等な構造であり、ボンディングツール10の下側に粘着材13を設けた構造である。粘着材13は、両面テープ、熱硬化性のフィルムが好ましい。
【0039】
まず、粘着材13が張られたボンディングツール10を半導体集積回路チップ1に押し当て、粘着材13と半導体集積回路チップ1を接触させる。次に、粘着材13に熱を加えると接着力が強くなる部材、例えば熱硬化性のフィルムを用いて、粘着材13をボンディングツール10で加熱させる。(ステップA9)
ボンディングツール10を加熱させることで粘着材13は半導体集積回路チップ1との接触力が強くなるため、ボンディングツール10を引き上げると半導体集積回路チップ1は回路基板3から引き剥がされる。(ステップA10)
次に半導体集積回路チップ1を取り外した後、回路基板3上に可溶性樹脂5が残留していれば取り除く必要がある。図8に可溶性樹脂5の残留を取り除く方法を示す。
【0040】
回路基板3上の可溶性樹脂5が残留している位置に溶剤16を塗布し、可溶性樹脂5を溶解させる。(ステップA11)
次に、粘着材13の付いたボンディングツール10で、回路基板3上の可溶性樹脂5が残留している位置を押し当てる。(ステップA12)
粘着材13の付いたボンディングツール10で、回路基板3上の可溶性樹脂5を押し当てることで可溶性樹脂5を粘着材13に転写し、回路基板3から可溶性樹脂5を取り除く。(ステップA13)
また、ブラシのような毛先のもので、可溶性樹脂5の残留を擦って取り除いてもよい。
【0041】
図5、図7、図8に示す方法で半導体集積回路チップ1を取り外した後、再び半導体集積回路チップ1を図3に示すステップ2の方法で搭載する。
【0042】
半導体集積回路チップ1、または回路基板3上の搭載部品の検査結果が合格と判定した場合は、信頼性を向上させるために、図9に示す半導体集積回路チップ1の外周を不可溶性樹脂6で硬化させる工程を行う。
【0043】
まず、半導体集積回路チップ1の周辺に不可溶性樹脂6を塗布する。(ステップB1)
次に、加熱させて不可溶性樹脂6を硬化させ、半導体集積回路チップ1の周辺に樹脂フィレットを形成させる。(ステップB2)
また、図14に示すように、半導体集積回路チップ1の真上から不可溶性樹脂6を塗布し、硬化させ、半導体集積回路チップ1を不可溶性樹脂6で覆った構造でもよい。
【0044】
以上のプロセスを行うことで、図1、図14に示すようなフリップチップ接続構造体を製作できる。
【0045】
本発明のフリップチップ接続構造体は、半導体集積回路チップ1と回路基板3とを接続するのに可溶性の部材を用いたものであり、これにより半導体集積回路チップ1の取り外しは容易であり、更に、半導体集積回路チップの周辺は不可溶性樹脂6で接着しているために、溶剤にも強く、接続信頼性が高い半導体集積回路チップ1のフリップチップ接続を実現できる方法である。
【0046】
また、他の方法として、半導体集積回路チップ1の取り外し方法(図10及び図11)と半導体集積回路チップ1を溶剤16につける方法(図12、図13)がある。
【0047】
図10及び図11に示す半導体集積回路チップ1の取り外し方法は、ボンディングツール10に直接粘着材13を張らない方法である。図10に示すように粘着テープ23を設置し、半導体集積回路チップ1とボンディングツール10の間に置く。(ステップC1)
次に、ボンディングツール10で粘着テープ23を押さえながら、粘着テープ23を半導体集積回路チップ1に押し当てる。粘着テープ23には、熱を加えると接着力が強くなる材料。例えば熱硬化性のフィルムが好ましい。(ステップC2)
次に、ボンディングツール10を引き上げると、粘着テープ23が半導体集積回路チップ1に転写される。(ステップC3)
次に、半導体集積回路チップ1上の接着テープ23が張られている位置にボンディングツール10で半導体集積回路チップ1を押し当てると、粘着テープ23はボンディングツール10と接着するため、ボンディングツール10を引き上げると、粘着テープ23によって半導体集積回路チップ1は回路基板3から取り外される。(ステップC4)
半導体集積回路チップ1を溶剤16につける方法としては図12、図13に示す方法がある。
【0048】
図12に示すように、受け皿12の中に溶剤16を入れ、該受け皿12の中に半導体集積回路チップ1を実装した回路基板3を入れる。次に溶剤16を沸点より10℃低い温度で加熱する。溶剤16は、回路基板3が溶解しにくい溶剤、例えばラフィニット、イソプロピルアルコールのアルコール系が好ましい。
【0049】
また、他のはんだ付け部品7や回路基板3を溶解させてしまう可能性のある溶剤16を用いる場合は、図13に示す方法である。図13に示すように半導体集積回路チップ1の周辺に溶剤流出防止枠14を設置する。溶剤流出防止枠14は溶剤16に溶解しない材料である金属がよく、特にアルミがよい。溶剤流出防止枠14は下面に粘着材13を張り合わせておく。(ステップD1)
次に、半導体集積回路チップ1の周辺の回路基板3上に溶剤流出防止枠14を張り合わせ、半導体集積回路チップ1の上から溶剤16を塗布し、ホットプレート22で半導体集積回路チップ1を加熱する。加熱温度は、溶剤16の温度が溶剤16の沸点より10℃低い温度に設定するのがよい。加熱時間は5分程度でよい。例えば、回路基板3半導体集積回路チップ1の間の可溶性樹脂5にアクリル樹脂を用い、溶剤16にDMF、NMP,DMSOを用いた場合、DMFは150℃で5分、NMPは180℃で5分、DMSOは200℃で5分がよい。(ステップD2)
次に、半導体集積回路チップ1の上に布17を被せて、溶剤16を布17に染みこませ、溶剤16を除去する。また、回路基板3をひっくり返すことで溶剤16を流し出してもよい。(ステップD3)
次に溶剤防止枠14を取り外し、図6、図7、図8に示すように半導体集積回路チップ1を取り外し、可溶性樹脂5を取り除く。
【0050】
以上の図12、図13に示す半導体集積回路チップ1に溶剤16をつける方法もある。
【0051】
また、突起電極2が半導体集積回路チップ1の中央部分に形成されている半導体集積回路チップ1、例えばメモリチップなどは、図16及び図17に示す方法がある。
【0052】
半導体集積回路チップ1を回路基板3上に搭載する前工程として、半導体集積回路チップ1の中央部に突起電極2を形成する。(ステップE1)
次に、半導体集積回路チップ1を回路基板3に搭載する位置の半導体集積回路チップ1の外周が位置する2辺に、予め可溶性樹脂5を塗布する。(ステップE2)
次に、半導体集積回路チップ1をボンディングツール10で吸着し、半導体集積回路チップ1の能動素子面を回路基板3に対して下向きにして、回路基板3の基板電極4と半導体集積回路チップ1の突起電極2が直接接続できるように位置決めする。(ステップE3)
次に、回路基板3上に半導体集積回路チップ1を搭載し、半導体集積回路チップ1を吸着したボンディングツール10で半導体集積回路チップ1を加熱し、可溶性樹脂5を硬化させる。可溶性樹脂5が熱硬化型の場合は熱を加え、光硬化型の場合は光を当てる。(ステップE4)。
【0053】
次に、半導体集積回路チップ1の動作確認に必要なはんだ付け部品7を実装する。(ステップE5)
次に、半導体集積回路チップ1とはんだ付け部品7の搭載が終了した後、半導体集積回路チップ1の検査、または回路基板3上の搭載部品の検査を行う。検査方法は、例えばプローブ11を回路基板3上の検査用電極9に接触させ、半導体集積回路チップ1の出力特性を調べる。(ステップE6)
検査結果が半導体集積回路チップ1の不良と判定した場合は、図5、図7、図8の方法で半導体集積回路チップ1を回路基板3から取り除く。
【0054】
検査結果が半導体集積回路チップ1の合格と判定した場合は、図18及び図19に示す工程を行う。
【0055】
まず、半導体集積回路チップ1の可溶性樹脂5で硬化していない半導体集積回路チップ1の1辺に不可溶性樹脂6を塗布する。(ステップF1)
次に、不可溶性樹脂6の粘度が低くなる温度で、回路基板3を加熱し、半導体集積回路チップ1と回路基板3の隙間に不可溶性樹脂6を流し込む。(ステップF2)
次に、加熱させて不可溶性樹脂6を硬化し、半導体集積回路チップ1と回路基板3を可溶性樹脂5と不可溶性樹脂6で接着する。(ステップF3)
以上のプロセスを行うことで、図15に示すようなフリップチップ接続構造体を製作できる。
【0056】
これまでは主に半導体集積回路チップの実装について説明してきたが、本発明は半導体集積回路チップに限定されるものではなく、回路基板に実装する他の電子部品についても適用できることは言うまでもない。
【0057】
また、半導体集積回路チップと回路基板とを接続する可溶性樹脂の代わりに、溶剤により接着界面の接着力が電子部品の周囲に塗布された樹脂より回路基板と電子部品との間を接着した樹脂の方が大きい関係にある不可溶性の樹脂を用いても良い。この場合、回路基板もしくは半導体集積回路チップとの接着力が10〜50MPaのものが好ましい。この程度の接着力であれば、動作時の電気的接続を確保するのに充分であるとともに、溶剤を用いることで回路基板もしくは半導体集積回路チップとの接着力が1〜5MPaと一桁ほど低下し、半導体集積回路チップを取外せる程度の界面接着力にすることが可能となる。
【0058】
また、半導体集積回路周辺に塗布する樹脂は不可溶性の樹脂でなくとも、防湿性の可溶性樹脂や、チップ放熱のため熱伝導性のよい可溶性樹脂でも良いが、いずれの場合も動作時の接着力(信頼性)を確保する意味において、少なくとも10MPa以上である必要がある。また、半導体集積回路チップの突起電極の種類は、はんだ、Auでも良く、その突起電極上にさらに熱可塑性もしくは熱硬化性の導電性樹脂を設けてもよく、回路基板の電極上にはんだを設けてもよい。もしくはこれらを組み合わせた構造であっても良い。但し、はんだを用いる場合は、動作確認を行うまでは溶融させない方がリペア際に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例における接続構造体の断面図である
【図2】本発明の一実施例における接続構造体の全体図である
【図3】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図4】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図5】本発明の実施例の溶剤浸透プロセス図である
【図6】本発明の実施例のチップ取り外し装置図である
【図7】本発明の実施例のチップ取り外しプロセス図である
【図8】本発明の実施例の樹脂残留除去プロセス図である
【図9】本発明の実施例の樹脂充填プロセス図である
【図10】本発明の実施例のチップ取り外しプロセス図である
【図11】本発明の実施例のチップ取り外しプロセス図である
【図12】本発明の実施例の溶剤浸透プロセス図である
【図13】本発明の実施例の溶剤浸透プロセス図である
【図14】本発明の一実施例における接続構造体の断面図である
【図15】本発明の一実施例における接続構造体の断面図である
【図16】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図17】本発明の実施例のチップ搭載プロセス図である
【図18】本発明の実施例の樹脂充填プロセス図である
【図19】本発明の実施例の樹脂充填プロセス図である
【符号の説明】
【0060】
1 半導体集積回路チップ、
2 突起電極(バンプ)
3 回路基板
4 基板電極
5 可溶性樹脂
6 不可溶性樹脂
7 はんだ付け部品
8 はんだ
9 検査電極
10 ボンディングツール
11 プローブ
12 受け皿
13 粘着材
14 溶剤流出防止枠
15 ディスペンサ
16 溶剤
17 布
18 チップ取り外し装置
19 粘着テープ張り付け装置
20 スポイド
21 テフロン(登録商標)シート
22 ヒーター
23 粘着テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板を搭載するステージと、
粘着部材を有するツールと、
該ツールもしくは該ステージを制御し、該ツールを該回路基板に実装された電子部品に位置させ、該ツールの有する粘着部材を該電子部品に接触させて押圧し、該ツールを移動させる制御装置とを有する電子部品取外装置。
【請求項1】
回路基板を搭載するステージと、
粘着部材を有するツールと、
該ツールもしくは該ステージを制御し、該ツールを該回路基板に実装された電子部品に位置させ、該ツールの有する粘着部材を該電子部品に接触させて押圧し、該ツールを移動させる制御装置とを有する電子部品取外装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−344990(P2006−344990A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216346(P2006−216346)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【分割の表示】特願2000−339138(P2000−339138)の分割
【原出願日】平成12年11月1日(2000.11.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【分割の表示】特願2000−339138(P2000−339138)の分割
【原出願日】平成12年11月1日(2000.11.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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