説明

電子部品実装装置

【課題】吸着した電子部品及び基板の少なくとも一方の位置認識を画像認識するために、カメラのレンズの焦点を被写体に合わせる際、高速に、コントラストピーク値の合焦位置を求めることができるようにする。
【解決手段】波長が異なると、ある対象物に対する可視光照明によるコントラストカーブLA1又はLA2と、同対象物に対する近赤外光照明によるコントラストカーブLB1又はLB2とで、コントラストピーク値となるレンズ位置PA0、PB0が異なる。そこで、現在のレンズ位置P1において、それぞれの波長でのコントラスト値LA1(P1)又はLA2(P1)、LB1(P1)又はLB2(P1)を演算し、予め求めてあるそれぞれの波長でのコントラストカーブ特性により、可視光波長でコントラストピーク値となる合焦位置PA0を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載ヘッドに備えるノズルで電子部品をピックアップしてから、基板上の該当位置までノズルを移動し、ピックアップした電子部品を実装していく際に、ピックアップした電子部品及び基板の少なくとも一方の位置認識に基づいて、該電子部品の実装位置を補正するようにした電子部品実装装置に係り、特に、ピックアップした電子部品及び基板の少なくとも一方の位置を画像認識するために、カメラのレンズの焦点を被写体に合わせる際、高速に、コントラストピーク値の合焦位置を求めることができる電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置では、搭載ヘッドに備えるノズルで電子部品をピックアップ(例えば吸着)してから、基板上の該当位置までノズルを移動し、吸着した電子部品を実装していく。又、この実装の際には、吸着した電子部品及び基板の少なくとも一方をカメラで撮像し、この画像認識による位置認識に基づいて、該電子部品の実装位置を補正するようにしている。
【0003】
ここで、上述の撮像におけるカメラの自動焦点合わせ機構としては、特許文献1において、その図4および図5に示されるように、ヘッドユニット5bに取付けられた、部品を実装する基板を上方から撮像するためのカメラ40は、サーボモータ42により、基板に対して昇降作動可能とされ、焦点合わせされる位置までZ軸を移動する構成のものがある。
【0004】
又、基板に設けたマークの位置を画像認識するために、カメラのレンズの焦点を被写体に合わせる際には、Z軸を移動させながら焦点位置を移動させ、コントラストピーク値の合焦位置を求めた後、Z軸を移動させてこの合焦位置を基板マークに合わせる。以下、上記のように合焦位置を求める動作や、これに伴ってコントラスト値やそのピーク値を求める処理をまとめて、フォーカス動作と呼ぶ。
【0005】
又、特許文献2では、その図5に示されるように、上記のように合焦位置を求める際、まず、広い範囲を粗いピッチでZ軸を移動させながら焦点位置を移動させ、コントラストピーク値の大まかな合焦位置を求めた後(粗フォーカス動作)、次に、この合焦位置を含む狭い範囲を細かいピッチでZ軸を移動させながら焦点位置を移動させ、コントラストピーク値の合焦位置を求め(密フォーカス動作)、このように粗フォーカス動作及び密フォーカス動作の2段階で合焦位置を求めるようにしている。これによって、広い走査範囲にわたって短時間で精度よく合焦位置を求めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−203500号公報(図5)
【特許文献2】特開平10−48512号公報(図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電子部品実装装置のフォーカス動作では、以下のような問題点があった。
【0008】
前述のように、フォーカス動作において、コントラストピーク値を探すためには、レンズ光学系を機械機構的に上下に走査しながら、多数の画像を撮り、その画像処理を行なうことになる。従って、従来のフォーカス動作には、機械機構的な動作が伴い時間がかかるという問題があった。
【0009】
更に、電子部品実装装置において、部品を実装する基板には湾曲があり、このため、基板高さが例えば±3mmと大きく変動する場合がある。この場合、基板マーク認識毎に、フォーカス動作を行なって合焦させるよう、基板マークに焦点調整をする必要があり、時間がかかるフォーカス動作を、度々行なう必要があった。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点を解決するためのもので、吸着した電子部品及び基板の少なくとも一方の位置を画像認識するために、カメラのレンズの焦点を被写体に合わせる際、高速に、コントラストピーク値の合焦位置を求めることができる電子部品実装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、搭載ヘッドに備えるノズルで電子部品をピックアップしてから、基板上の該当位置までノズルを移動し、ピックアップした電子部品を実装していく際に、基板及びピックアップした電子部品の位置認識に基づいて、該電子部品の実装位置を補正するようにした電子部品実装装置において、波長が互いに異なる少なくとも2種類の照明装置及び該照明装置で照らされる被写体を撮像するカメラを、前記搭載ヘッド上、及び基台における基板と供給部との間の位置上の、少なくとも一方に設け、それぞれの波長でのコントラスト値を演算し、予め求めてあるそれぞれの波長でのコントラストカーブ特性により、前記演算されたコントラスト値に対応する可視光波長での合焦位置を求め、該合焦位置に焦点を調整して撮像し、得られた画像の位置認識を行なって、部品実装時に用いる補正データを求める画像入力認識処理部を備えたことにより、前記課題を解決したものである。
【0012】
ここで、前記照明装置として、可視光、及び近赤外光の照明装置を備えることができる。
【0013】
なお、本発明において、前記位置認識の際の撮像対象に応じて予め設定された光量に制御する照明駆動部を、更に備えると共に、前記画像入力認識処理部が、それぞれの波長でのコントラストカーブ特性を、前記撮像対象に応じて予め記憶しておくものであることも可能である。
【発明の効果】
【0014】
従来、フォーカス動作の際に、コントラストピーク値を探すためにレンズ光学系を機械的に走査させながら多数の画像を撮っていたが、本発明によれば、波長が互いに異なる少なくとも2種類の光、例えば、可視光と近赤外光の合焦位置がずれている特性を利用することで、2回の撮像処理ですむ。このため、本発明によれば、動作時間を要するレンズ光学系の機械的な走査を行なう必要がなく、動作時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用された実施形態の電子部品実装装置全体の斜視図
【図2】前記実施形態の部品認識ユニットの内部構成を示す側面図
【図3】上記実施形態の電子部品実装装置の搭載ヘッド7及び周辺部を示す主要構成斜視図
【図4】前記実施形態の基板認識ユニットの構成を示す側面図
【図5】前記実施形態の焦点調整及び照明の制御を行なう制御装置の構成を示したブロック図
【図6】前記実施形態において搬入された基板に対する部品実装処理を示すフローチャート
【図7】前記実施形態におけるモータ駆動焦点調整機構付レンズの単色可視光照明と近赤外光照明によるコントラストカーブを示すグラフ
【図8】上記コントラストカーブのデータが格納されたデータテーブルを示す線図
【図9】前記実施形態において、本発明を適用した、単色可視光と近赤外光照明の切り換えによる自動焦点調整処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明が適用された実施形態の電子部品実装装置全体の斜視図である。
【0018】
この図において、基台1の中央部にはX方向に搬送路2が配設されている。搬送路2は基板3を搬送すると共に搬送路2上で基板3を保持し位置決めする。従って搬送路2は基板保持部を兼ねている。搬送路2の両側には、電子部品の供給部4が配置され、それぞれの供給部4には多数台のパーツフィーダ5が並設されている。パーツフィーダ5はテープに保持された電子部品を収納し、このテープをテープ長方向に送ることにより電子部品を順次供給する。
【0019】
X軸フレーム6には、電子部品の搭載ヘッド7がX軸方向に移動自在に装着されている。X軸フレーム6は、その両端がY軸フレーム8a及び8bに両端部をY軸方向移動自在に支持されて架設されている。又、搭載ヘッド7及びX軸フレーム6はそれぞれ特に図示しないX軸モータ及びY軸モータにより駆動され、それぞれX軸及びY軸方向に移動自在となっている。これによって搭載ヘッド7はXY方向に任意に移動可能であり、下端部に装着された吸着ノズル14(図3参照)によりパーツフィーダ5のピックアップ位置から電子部品100をピックアップし、基板3上に実装する。
【0020】
又、基台1における基板3と供給部4との間の位置には、後述する部品認識ユニット9a、9bが夫々配設されており、部品認識ユニット9a、9bは搭載ヘッド7ひいては吸着ノズル14及びそれが吸着保持する電子部品100を下方から撮像することが可能である。搭載ヘッド7が電子部品を保持した状態で移動経路がより短くなる部品認識ユニット9a、9bの何れかの上方に移動し撮像することにより、電子部品の識別、位置ずれ検出が行われる。
【0021】
ここで、部品認識ユニット9a及び9bについて、その内部構成を示す側面図である図2を用いて説明する。
【0022】
図2において、17は搭載ヘッド7が吸着保持した部品を撮像する部品認識カメラ、61は部品認識カメラ17に取り付けられたモータ駆動焦点調整機構付レンズ、62は照明光を上方へと折り返すビームスプリッタ、27はビームスプリッタ側方に設けられてビームスプリッタにより反射された光で搭載ヘッド7が吸着保持した電子部品を下方から照射する可視光と近赤外光に切り換えが可能な同軸照明装置、28は搭載ヘッド7が吸着保持した電子部品に対して比較的浅い角度の下方から照射する可視光と近赤外光に切り換えが可能な斜光照明装置、29は認識ユニット9a及び9b内部に塵埃が侵入するのを防止するカバーガラス、30は同軸LED光を拡散させる拡散板を示す。ここで、モータ駆動焦点調整機構付レンズ61は、駆動用モータ24によって上下方向に焦点位置が移動される。
【0023】
次に、図3は、本実施形態の電子部品実装装置の搭載ヘッド7及び周辺部を示す主要構成斜視図である。
【0024】
図3において、搭載ヘッド7にはZ軸モータ10及びボールネジ11、更にθ軸モータ12が設けられ、これらにより、ノズルシャフト13はZ軸及びθ軸方向に自在に駆動される。又、特に図示しない真空発生装置が接続されることで、ノズルシャフト13の先端に着脱自在に係合される吸着ノズル14には電子部品が吸着保持される。
【0025】
併せて、基板3に設けられる位置基準マークを認識するためのモータ駆動焦点調整機構付レンズ18、基板認識カメラ15及び基板照明ユニット16が搭載ヘッド7と一体的に設けられる。ここで、これらモータ駆動焦点調整機構付レンズ18、基板認識カメラ15及び基板照明ユニット16を併せて基板認識ユニットと呼ぶ。
【0026】
図4は、上記の基板認識ユニットの構成を示す側面図である。
【0027】
この図において、15は基板3に設けられる位置基準マークを撮像する基板認識カメラ、18は該基板認識カメラ15に取り付けられたモータ駆動焦点調整機構付レンズ、19は照明光を下方へと折り返すビームスプリッタ、20はビームスプリッタ側方に設けられてビームスプリッタにより反射された光で基板3上を上方から照射する可視光と近赤外光に切り換えが可能な同軸照明装置、21は該基板3上に対して比較的浅い角度の上方から照射する可視光と近赤外光に切り換えが可能な斜光照明装置、22は基板認識ユニット内部に塵埃が侵入するのを防止するカバーガラス、26は同軸LED光を拡散させる拡散板26を示す。ここで、モータ駆動焦点調整機構付レンズ18は、駆動用モータ23によって上下方向に焦点位置が移動される。
【0028】
図5は、本実施形態の焦点調整及び照明の制御を行なう制御装置の構成を示したブロック図である。
【0029】
図示されるように、部品実装機メイン制御部40には、基板認識カメラ15及び部品認識カメラ17で撮像された影像に基づく画像認識を行なう画像入力認識処理部42、及び、本発明が適用されたフォーカス動作に係る処理を行なう照明・焦点調整制御部44が接続されている。更に、該部品実装機メイン制御部40には、搭載ヘッド7を移動させるX−Y駆動装置54、真空圧により吸着ノズル14に電子部品を吸着する部品吸着実装装置55、搬送路2において基板3を搬入、保持、搬出する基板搬送装置56、本実施形態の電子部品実装装置が備えるその他の付属品制御装置57に接続されている。
【0030】
上記の照明・焦点調整制御部44は、画像入力認識処理部42に接続され、これと連携動作する。又、該照明・焦点調整制御部44には、モータドライバ51及び52を介して前述の駆動用モータ23及び24が接続され、照明駆動部46が接続されている。
【0031】
該照明駆動部46には、まず、基板認識ユニットが備える、基板認識・可視光同軸落射照明装置20A、基板認識・可視光斜光照明装置21A、基板認識・近赤外光同軸落射照明装置20B、及び、基板認識・近赤外光斜光照明装置21Bが接続されている。更に、該照明駆動部46には、部品認識ユニット9a、9bが備える、部品認識・可視光同軸落射照明装置27A、部品認識・可視光斜光照明装置28A、部品認識・近赤外光同軸落射照明装置27B、及び、部品認識・近赤外光斜光照明装置28Bが接続されている。該照明駆動部46は、これらの照明装置の光量を、位置認識の際の撮像対象に応じて予め設定された光量に制御する。該設定は、照明・焦点調整制御部44内の記憶装置に予め格納されている。図5ブロック図では部品認識ユニット9aのみ表示している。部品認識ユニット9bも同様の接続とする。
【0032】
なお、これらの照明装置における発光手段は特に限定されるものではない。例えば、可視光や近赤外光など、個々の照明装置において必要な波長での発光が可能なLEDを用いることも可能である。可視光の照明装置において、黄色や青色などの単色のLEDを用いてもよい。LEDによれば、点滅が速やかであり、波長が互いに異なる照明装置を選択的に点灯することも容易であり、安定した光量で照明することができる。
【0033】
図6は、本実施形態において搬入された基板に対する部品実装処理を示すフローチャートである。
【0034】
このフローチャートにおいて、太線矩形で図示されるステップS104、S110、及びS114において、本発明が適用されたフォーカス動作が行なわれる。ここで、ステップS104及びS114では、基板認識ユニットによるフォーカス動作であり、ステップS110では、部品認識ユニット9a、9bによるフォーカス動作である。
【0035】
このフローチャートにおいて、まず、ステップS102では、今回搬入された基板3に関するデータを読み込む。又、ステップS104では、読み込んだ基板データに基づいて、基板認識ユニットにより、搬入されている基板3の基板マークに対して、フォーカス動作を行なった後に、搬送路2において保持されている基板3の位置ずれ量を認識する。
【0036】
次に、ステップS106では、基板3に実装する最初の電子部品のデータを読み出す。ステップS108では、データを読み出した電子部品を吸着ノズル14で吸着し、部品認識ユニット9a及び9bのいずれかまで移動する。ステップS110では、部品認識ユニット9a、9bにより、吸着されている電子部品に対してフォーカス動作を行なった後に、該電子部品の位置ずれ量を認識する。
【0037】
ステップS112では、吸着している電子部品がチップ部品であるか否か判定する。チップ部品である場合はステップS118に進み、補正データ演算処理を行なう。
【0038】
あるいは、チップ部品ではないと判定された場合、ステップS114において、基板上の各目的ICマークまで基板認識ユニットを移動し、基板認識ユニットにより、基板3の上面の「ICマーク」に対してフォーカス動作を行なった後に、該ICマークの撮像に基づいてICマーク位置ずれ量を認識する。該ステップS114の後にはステップS116において、補正データ演算処理を行なう。
【0039】
ここで、ステップS116における補正データ演算処理は、ステップS110において部品認識ユニット9a、9bにより認識した電子部品の位置ずれ量、ステップS114において部品認識ユニット9a、9bにより認識したICマークの位置ずれ量に基づいて、吸着している電子部品を基板3に実装する際の、実装位置の補正量を求めるものである。
【0040】
ステップS118における補正データ演算処理は、ステップS104において基板認識ユニットにより認識した基板3の位置ずれ量、ステップS110において部品認識ユニット9a、9bにより認識した電子部品の位置ずれ量に基づいて、吸着している電子部品を基板3に実装する際の、実装位置の補正量を求めるものである。
【0041】
このフローチャートにおいて、ステップS116の後、あるいはステップS118の後、ステップS120では、補正データ演算処理によって求められた実装位置の補正量による補正を行ないながら、搭載ヘッド7を移動させて吸着ノズル14に吸着されている電子部品を基板3上の該当位置に実装する。
【0042】
電子部品の実装後には、ステップS122において、次に実装する電子部品の部品データを読み出す。この際、基板3への部品実装がすべて終了している場合、新たな部品データは読み出されない。続くステップS124では、この新たな部品データの読出しの可否に基づき、基板3への部品実装の終了を判定する。終了と判定された場合は、このフローチャートの処理をすべて終了する。あるいは、終了ではないと判定された場合、前述のステップS108の前方に分岐する。
【0043】
図7は、本実施形態におけるモータ駆動焦点調整機構付レンズ18又は61の単色可視光照明と近赤外光照明によるコントラストカーブを示すグラフであり、図8は、このコントラストカーブのデータが格納されたデータテーブルを示す線図である。
【0044】
ここで、図8のデータテーブルのデータに基づいてグラフを描くと、図7のようになる。又、このデータテーブルは、照明・焦点調整制御部44において予め設定され、格納されている。
【0045】
まず、図7において、横軸は、焦点調整駆動用モータにより動かされるレンズの位置(レンズ及び被写体の間の距離、あるいはその変位量)、縦軸は、画像データから得られるコントラスト値を示す。又、実線LA1のカーブは、ある対象物(第1対象物)に対する可視光照明によるコントラストカーブであり、実線LB1のカーブは、同対象物に対する近赤外光照明によるコントラストカーブである。更に、破線LA2のカーブは、上記とは別の対象物(第2対象物)に対する可視光照明によるコントラストカーブであり、破線LB2のカーブは、同対象物に対する近赤外光照明によるコントラストカーブである。このように、対象物が変われば破線のカーブの様にコントラストカーブも変わる。
【0046】
ここで、モータ駆動焦点調整機構付レンズ18又は61に使用しているレンズは、レンズ面の曲率、レンズ面位置、硝材を調整することで、可視光でコントラストピーク値となるレンズ位置PA0と、近赤外光でコントラストピーク値となるレンズ位置PB0とに、差がある特性に設計している。
【0047】
図9は、本実施形態において、本発明を適用した、単色可視光と近赤外光照明の切り換えによる自動焦点調整処理を示すフローチャートである。
【0048】
まず、ステップS142において可視光コントラスト処理を行ってコントラストLA(前述のLA1やLA2など)を求め、この後、ステップS150において近赤外光コントラスト処理を行ってコントラストLB(前述のLB1やLB2など)を求める。
【0049】
又、ステップS144あるいはステップS152では、照明駆動部46は、該当する照明装置を、撮像対象物に応じて予め設定された光量で点灯する。ステップS146あるいはステップS154では、基板認識ユニットや部品認識ユニット9a、9bにより撮像を行って、画像データを取得する。続くステップS148あるいはステップS156では、取得された画像データに対して画像入力認識処理部42により画像処理を行い、コントラストLAやコントラストLBを求める。
【0050】
このようにしてコントラストLAやコントラストLBが求められると、ステップS158において、照明・焦点調整制御部44は、前述のように図8のようなデータテーブルが予め格納されているため、これらコントラストLAやコントラストLBを該データテーブルに照合することで、現在のレンズ位置P1を速やかに把握することができる。又、ステップS160では、この現在のレンズ位置P1に基づいて、可視光照明での合焦位置PA0への、被写体に対するレンズ移動量(P1−PA0)が求められ、焦点を合わせることができる。
【0051】
ここで、データテーブルとの照合の際、例えば、対象物が第1対象物であれば、可視光照明でコントラスト値LA1、近赤外光照明でコントラスト値LB1のテーブルで照合し、対象物が第2対象物であれば、可視光照明でコントラスト値LA2、近赤外光照明でコントラスト値LB2のテーブルで照合することにより、現在のレンズ位置P1が分かり、可視光照明での合焦位置PA0へのレンズ移動量が求められ、焦点を合わせることができる。
【0052】
例えば、図7のグラフにおいて、現在のレンズ位置が破線P1、可視光照明での合焦点のレンズ位置が破線PA0、近赤外光照明での合焦点のレンズ位置が破線PB0であるとする。
【0053】
この現在のレンズ位置P1では、第1対象物であれば、可視光照明のコントラスト値はLA1(P1)、近赤外光照明のコントラスト値はLB1(P1)となる。従って、上記のステップS158において、これらコントラスト値LA1(P1)、及びコントラスト値LB1(P1)を、データテーブルと照合することで、破線で図示されるような現在のレンズ位置P1を見出すことができ、又このレンズ位置P1に基づいて、可視光照明での合焦点のレンズ位置PA0を見出すことができる。
【0054】
あるいは、第2対象物であれば、可視光照明のコントラスト値はLA2(P1)、近赤外光照明のコントラスト値はLB2(P1)となる。従って、上記のステップS158において、これらコントラスト値LA2(P1)、及びコントラスト値LB2(P1)を、データテーブルと照合することで、破線で図示されるような現在のレンズ位置P1を見出すことができ、又このレンズ位置P1に基づいて、可視光照明での合焦点のレンズ位置PA0を見出すことができる。
【0055】
なお、前述した実施形態では、モータ駆動焦点調整機構付レンズ18又は61により焦点調整を行なっているが、それ以外の手段として、基板マーク認識時には基板を、部品認識時には部品を上下させることで焦点調整を行なう方法がある。
【符号の説明】
【0056】
1…基台
3…基板
4…供給部
7…搭載ヘッド
14…吸着ノズル
15…基板認識カメラ(カメラ)
16…基板照明ユニット
17…部品認識カメラ(カメラ)
18、61…モータ駆動焦点調整機構付レンズ
19、62…ビームスプリッタ
20、27…同軸照明装置(照明装置)
21、28…斜光照明装置(照明装置)
23、24…駆動用モータ
40…部品実装機メイン制御部
42…画像入力認識処理部
44…照明・焦点調整制御部
46…照明駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載ヘッドに備えるノズルで電子部品をピックアップしてから、基板上の該当位置までノズルを移動し、ピックアップした電子部品を実装していく際に、基板及びピックアップした電子部品の位置認識に基づいて、該電子部品の実装位置を補正するようにした電子部品実装装置において、
波長が互いに異なる少なくとも2種類の照明装置及び該照明装置で照らされる被写体を撮像するカメラを、前記搭載ヘッド上、及び基台における基板と供給部との間の位置上の、少なくとも一方に設け、それぞれの波長でのコントラスト値を演算し、予め求めてあるそれぞれの波長でのコントラストカーブ特性により、前記演算されたコントラスト値に対応する可視光波長での合焦位置を求め、該合焦位置に焦点を調整して撮像し、得られた画像の位置認識を行なって、部品実装時に用いる補正データを求める画像入力認識処理部を備えたことを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記照明装置として、可視光、及び近赤外光の照明装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記位置認識の際の撮像対象に応じて予め設定された光量に制御する照明駆動部を、更に備えると共に、
前記画像入力認識処理部が、それぞれの波長でのコントラストカーブ特性を、前記撮像対象に応じて予め記憶しておくものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品実装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−232548(P2010−232548A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80463(P2009−80463)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】