説明

電子部品検査装置

【課題】電子部品を載置するトレイに歪みが生じている場合であれ、該トレイの電子部品の把持や該トレイへの電子部品の載置を好適に行なうことができる電子部品検査装置を提供する。
【解決手段】ICハンドラは、トレイに対して上下移動するとともにトレイとの間で電子部品を授受する把持部32と、把持部32に接続され、トレイへの近接に応じた信号を出力する近接検出装置40と、把持部32の上下移動を制御するとともに、近接検出装置40から出力される信号に基づいてトレイへの近接を検出する制御装置とを備え、制御手段は、トレイへの近接が検出されたとき、把持部32の上下位置をトレイの高さ位置として測定して、当該トレイの高さ位置に基づいてトレイに載置されるICチップの高さ位置を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばICなどの電子部品の電気的特性を検査する電子部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品検査装置は、トレイに乗せられて該電子部品検査装置の外部から供給される検査前の電子部品を把持装置により同トレイから取得し、該取得した電子部品を検査用ヘッドに供給して同検査用ヘッドにより電子部品を検査する検査用ソケットに配置する。そして検査後には、この検査用ソケットに配置されている電子部品を検査用ヘッドにより回収するとともに、検査結果の良否の別に各対応するトレイに把持装置により分配して、それらトレイとともに該電子部品検査装置の外部に排出するようにしている。すなわち電子部品検査装置の把持装置は、オペレータの目視によるティーチングにてトレイに載置された電子部品に当接する所定の高さを予め設定され、当該設定された所定の高さまで下降して電子部品を吸着により把持取得する、又は、吸着把持している電子部品をトレイに配置するようにしている。
【0003】
ところでトレイは、支持される方法や加熱冷却の繰り返しなどにより変形するため、所定の位置に正しく配置されたトレイであれ、その高さがトレイ全体として均一とはならないことがあることも知られている。すなわち変形したトレイに載置された電子部品の高さは、変形したトレイの影響を受けて把持装置の下降する位置であるティーチングで予め設定された所定の高さに対して上下方向に誤差を有するおそれがある。例えば、把持装置は、トレイの高くなっている部分では、所定の高さまで下降するとトレイに対して接近しすぎてトレイに電子部品を強い力で押しつけて該電子部品にダメージを与えるおそれがある。また、把持装置は、トレイの低くなっている部分では、トレイに載置された電子部品に当接できない、又は、把持した電子部品をトレイに当接させられないこととなる。このとき把持装置との間に隙間のあるまま吸い上げられる電子部品は、同把持装置に吸着されるべき位置からずれたり、トレイとの間に隙間のあるまま把持装置から離脱される電子部品は、トレイ上の載置位置が目標位置に対してずれたりするおそれがある。
【0004】
そのようなことから、トレイに生じた変形に併せて電子部品を把持する際の高さを適切な高さに補正等する技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載の電子部品検査装置は、電子部品を吸着する把持装置と、上下方向に移動する底板と、底板に積層されるとともに電子部品が載置されるトレイと、トレイの所定の3箇所の上面高さを測定する測定装置と、トレイの重量に基づく底板のたわみにより発生する誤差を補正する底板たわみ誤差補正手段とを備える。そして誤差補正手段は、底板にトレイが1枚の場合と、複数枚のトレイが積み重ねられた場合とのそれぞれでティーチングにより測定されたそれらトレイの所定の3箇所の上面高さの測定結果を用いてトレイの重量に基づく底板のたわみを算出し、算出された底板のたわみに基づいて積層された各トレイの電子部品の高さを補正するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−309672号公報
【特許文献2】特開平11−298191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の技術によれば、トレイの支持方法などを原因としてトレイに生じた規則的な歪みに基づく高さの変化を補正できるが、熱サイクルの影響などを原因としてトレイに生じた不規則な歪みに基づく高さの変化を補正することまでは考慮されていない。またトレイに生じる不規則な歪みはそれを事前に算出(予測)することは困難であり、そこに載置された電子部品の高さ位置を補正しようとすれば、トレイが交換される毎にその交換されたトレイの歪みを測定する必要が生じるようになる。このようなとき、トレイ毎の歪みの測定をトレイの交換毎にオペレータの目視によるティーチングにて行なうことは検査の効率を大幅に低下させる問題もある。
【0007】
なお、電子部品の高さ位置のティーチングを自動的に行なう技術としては、特許文献2に記載の技術が提案されてはいる。この特許文献2に記載の部品検査装置は、把持装置を有する部品取出しユニットにレーザー変位計からなる高さセンサーが取付けられており、当該部品取出しユニットが電子部品の位置に移動したとき、高さセンサーからの信号に基づいてトレイ上に電子部品があるか否かを認識するようにしている。これにより電子部品のそれぞれの位置にて各電子部品の高さ位置が検出されるものの、電子部品の有無を確認することが目的であるため電子部品の高さよりも小さいトレイの歪みを検出することや、トレイの歪みに基づいて把持装置の下降する位置を調整するようなことまでは考慮されていない。また、レーザー変位計はもとより光電センサー、カメラなどの高さセンサーは、部品取出しユニットに要する設置スペースや付加する質量により当該部品取出しユニットの小型化や軽量化を難しくさせるとともに、それらセンサー自体も比較的高価であるためにそれらの採用される部品検査装置のコスト上昇をも招きかねない。
【0008】
さらに上記のいずれの技術においても、測定装置と電子部品との間の高さの算出を可能とはするものの、把持装置と測定装置との間に生じ得る誤差を補正することはできない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子部品を載置するトレイに歪みが生じている場合であれ、該トレイの電子部品の把持や該トレイへの電子部品の載置を好適に行なうことができる電子部品検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子部品検査装置は、トレイに載置されて搬入された電子部品の電気的検査を行うとともに、該検査された電子部品をトレイに載置させて排出する電子部品検査装置であって、前記トレイに対して上下移動するとともに前記トレイとの間で前記電子部品を授受する把持手段と、前記把持手段に接続され、前記トレイへの近接に応じた信号を出力する近接検出手段と、前記把持手段の上下移動を制御するとともに、前記近接検出手段から出力される信号に基づいて前記トレイへの近接を検出する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記トレイへの近接が検出されたとき、前記把持手段の上下位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該測定されたトレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される前記電子部品の高さ位置を算出することを要旨とする。
【0010】
このような構成によれば、近接検出手段に接続された把持手段をトレイに下降させることによりトレイの高さが測定されるようになる。すなわち制御手段が近接検出手段からの信号によりトレイの高さを自動的に測定することができるようになるので、従来、時間を要する手動のティーチングに行なわれていたトレイの高さの測定を、自動的なティーチングにより短時間で行うことができるようになる。また、自動ティーチングであれば、自動運転における一処理として実行させることも可能となり、自動ティーチングの利便性が向上し、また、そのティーチングに基づく電子部品の高さ位置の補正・調整等により把持手段による電子部品の把持動作の精度も大幅に向上されるようになる。これにより電子部品検査装置としての検査精度や検査効率が向上されるようになる。
【0011】
また、トレイの高さの測定を電子部品を把持する把持手段により行なうので、トレイの
高さを測定するために要する構成を少なくすることができ、このようなトレイの高さの測定が容易になる。さらに前述のように、トレイの高さの測定と、当該高さに基づく電子部品の把持とが、いずれも同じ把持手段により行われることから、当該把持手段が電子部品検査装置に対して機械的や制御的な誤差を有していた場合であれ、そのような誤差が高さを測定する際及び電子部品を把持する際にそれぞれ等しく反映されるようになる。すなわち、そのような誤差が測定の際及び把持の際とで相殺されるようなかたちとなり、当該誤差を調整することなく、測定されたトレイの高さに基づいて算出された高さにて好適に電子部品を取得できるようになる。これによっても電子部品検査装置としての検査精度や検査効率が向上されるようになる。
【0012】
この電子部品検査装置は、前記制御手段は、前記把持手段を前記トレイにあって前記電子部品を載置させない位置の高さ位置を測定することを要旨とする。
このような構成によれば、トレイの電子部品を載置させない位置、いわゆるトレイに設けられた電子部品を配置するポケット以外の位置の高さ位置を測定するようにする。これにより、ポケットであればその高さ位置は電子部品の有無等によって変化するが、ポケット以外の位置であることからトレイへの電子部品の載置の有無にかかわらず、トレイの高さ位置を正確に測定することができるようになる。これにより、トレイの高さの算出が容易になるとともに、電子部品の有無を要因として生じる算出誤差を無くすことができるようになる。
【0013】
この電子部品検査装置は、前記トレイには、前記電子部品と同等の形状を有する補助部品が載置され、前記把持手段は更に、前記制御手段の制御により前記トレイに対して水平方向に移動可能とされ、前記近接検出手段は更に、前記補助部品への近接を検出可能であり、前記制御手段は、前記補助部品への近接が検出されたとき、前記把持手段の上下位置を前記補助部品の高さ位置として測定するとともに、前記トレイにあって前記補助部品に隣接する位置の高さ位置を測定し、前記測定された補助部品の高さ位置と、前記補助部品に隣接する位置の高さ位置との差を求め、当該求められた差と前記測定されたトレイの高さ位置とに基づいて前記トレイに載置される前記電子部品の高さ位置を算出することを要旨とする。
【0014】
このような構成によれば、トレイに載置される電子部品の寸法などが設定されていないような場合であれ、トレイの上面と電子部品の上面との相対的な高さ位置の差に基づいて、トレイ上面の高さ位置を算出できるようになる。
【0015】
この電子部品検査装置は、前記補助部品は、前記電子部品そのものであることを要旨とする。
このような構成によれば、トレイの上面と電子部品の上面との相対的な高さ位置の差を測定することが容易になる。
【0016】
この電子部品検査装置は、前記近接検出手段は、前記把持手段に所定の流量の気体を供給するとともに当該供給する気体の流量を測定する流量計を備え、前記制御手段は、前記所定の流量の気体を前記把持手段から噴射させつつ当該把持手段を前記トレイに下降させ、前記近接検出手段から伝達される前記流量計の気体の測定流量に対応した信号に基づいて求められる当該気体の流量が予め設定された所定の流量よりも少なくなったとき、該把持手段の高さ位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該トレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される電子部品の高さ位置を算出することを要旨とする。
【0017】
このような構成によれば、把持手段に設けられている電子部品の吸着用の配管を近接検出手段が流量の測定に用いる配管と共用できるようになる。これにより、電子部品検査装置への近接検出手段の適用が容易になる。
【0018】
この電子部品検査装置は、前記近接検出手段は、前記把持手段に所定の圧力の気体を供給するとともに当該供給する気体の圧力を測定する圧力計を備え、前記制御手段は、前記所定の圧力の気体を前記把持手段から噴射させつつ当該把持手段を前記トレイに下降させ、前記近接検出手段から伝達される前記圧力計の気体の測定圧力に対応した信号に基づいて求められる当該気体の圧力が予め設定された所定の圧力よりも高くなったとき、該把持手段の高さ位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該トレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される電子部品の高さ位置を算出することを要旨とする。
【0019】
このような構成によれば、把持手段に設けられている電子部品の吸着用の配管が近接検出手段が圧力の測定に用いる配管と共用できるようになる。これにより、電子部品検査装置への近接検出手段の適用が容易になる。
【0020】
この電子部品検査装置は、前記近接検出手段は、前記把持手段に供給する気体の流量又は圧力を所定の値に調整することのできる調整弁を備えることを要旨とする。
このような構成によれば、調整弁により把持手段から噴射される気体の流量または圧力が調整されるので、トレイやそこに載置されている電子部品に対して近接を検出する、すなわち高さを測定するために好適な流量または圧力の気体を供給することができるようになる。これにより、例えば、高さを測定するために把持手段から噴射される気体が電子部品を吹き飛ばすなどして移動させるようなことが防止されるようになる。その結果、このような高さ測定が好適に行われるようになる。
【0021】
この電子部品検査装置は、前記トレイには、少なくとも電荷を拡散させる導電性が確保され、前記把持手段には、前記電子部品検査装置に対して独立している導電性が確保され、前記近接検出手段は、前記把持手段に電気的に接続されるとともに前記把持手段に付与された電荷を測定する電荷量測定器を備え、前記制御手段は、電荷の付与された前記把持手段を前記トレイに下降させ、前記電荷量測定器から伝達される測定された電荷量に対応した信号に基づいて求められる電荷量が予め設定された所定の電荷量よりも少なくなったとき、該把持手段の高さ位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該トレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される電子部品の高さ位置を算出することを要旨とする。
【0022】
このような構成によれば、電荷量の減少により把持手段のトレイへの当接が検出されるようになり、トレイへの検出が確実かつ高い応答性で得られるようになる。これにより、トレイの高さ位置の検出精度がより向上され、この検出された高さ位置に基づいて算出されるトレイの高さ位置の精度も向上し、同算出された高さ位置に基づいてトレイに下降する把持手段による電子部品の授受がより好適になされるようになる。
【0023】
この電子部品検査装置は、前記制御手段は、前記トレイの少なくとも3箇所の高さ位置を測定し、当該少なくとも3箇所により規定される範囲に含まれる任意の位置における前記トレイの高さ位置を算出することができることを要旨とする。
【0024】
このような構成によれば、複数の測定箇所により規定される範囲に含まれる任意の位置の高さが算出されるようになるので、少ない測定箇所に基づいて多くの位置の高さが算出できるようになる。これにより、測定箇所が少ない場合であれ、その測定結果に基づいて複数の電子部品の高さ位置を調整・補正等できるようになり把持手段による電子部品の取得が好適になされるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる電子部品検査装置の全体構造についてその第1の実施形態を示す平面図。
【図2】同実施形態において電子部品を載置して搬送するトレイを示す斜視図。
【図3】同実施形態において近接検出装置を有するロボットハンドユニットの斜視構造を示す斜視図。
【図4】同実施形態の吸着部の断面構造を示す断面図。
【図5】同実施形態における電子部品検査装置の電気的構成を示すブロック図。
【図6】同実施形態のトレイの高さの測定について説明する説明図。
【図7】同実施形態の把持部によるトレイ高さの測定について示す図であって、(a)は測定状態を模式的に示す模式図、(b)はトレイと把持部との間の距離と、流量との関係を示すグラフ。
【図8】同実施形態のデバイス搬送処理にかかるフローチャート。
【図9】同実施形態のトレイ歪み算出処理にかかるフローチャート。
【図10】本発明にかかる電子部品検査装置を具体化した第2の実施形態における近接検出装置について示すブロック図。
【図11】本発明にかかる電子部品検査装置を具体化した第3の実施形態における近接検出装置を有するロボットハンドユニットの斜視構造を示す斜視図。
【図12】上記第1の実施形態の電子部品の高さ測定のその他の態様を示すフローチャート。
【図13】図12とともに上記第1の実施形態の電子部品の高さ測定のその他の態様を示すフローチャート。
【図14】本発明にかかる電子部品検査装置がトレイの高さを測定するトレイ上の測定ポイントを選択する例について示す状態図。
【図15】本発明にかかる電子部品検査装置に用いられるトレイのその他の例についてその平面構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
以下、本発明の電子部品検査装置の具体化された第1の実施形態について図に従って説明する。図1は、電子部品検査装置としてのICハンドラ10を示す平面図である。
【0027】
ICハンドラ10は、ベース11、安全カバー12、高温チャンバ13、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16、第2シャトル17、複数のコンベアC1〜C6を備えている。
【0028】
ベース11は、その上面に前記各要素を搭載している。安全カバー12は、ベース11の大きな領域を囲っていて、この内部には、供給ロボット14、回収ロボット15、第1シャトル16及び第2シャトル17が収容されている。
【0029】
複数のコンベアC1〜C6は、その一端部側が、安全カバー12の外側に位置し、他端部が安全カバー12の内側に位置するように、ベース11に設けられている。各コンベアC1〜C6は、電子部品などのICチップTを複数収容したトレイ18を、安全カバー12の外側から安全カバー12の内側へ搬送したり、反対に、トレイ18を、安全カバー12の内側から安全カバー12の外側へ搬送したりする。なお、ICチップTは、シリコンチップや樹脂モジュールされたものでもよく、またそのサイズにも制限はないが、近年の小型化された、例えば一辺が2(mm)のチップや厚みが0.3(mm)のチップでもよい。
【0030】
図2に示すように、トレイ18は、その上面にICチップTを保持するための複数のポケットPK11〜PK64が形成されている。各ポケットPK11〜PK64はそこに載置されたICチップTをそのポケット内に所定の向きで保持するものであって、トレイ1
8が移動されてもそこに載置されたICチップTがトレイ18に対して移動しないように保持されるようになっている。なお、各ポケットPK11〜PK64は、そこに載置されたICチップTを緩やかに保持するものの、そこに固定するものではないため、そこに載置されたICチップTはトレイ18が受ける振動やICチップT自体が受ける風圧などにより載置されたポケットから飛び出したり、載置されている向きが変ったりするおそれを有している。特に上述したような小型化されたチップは、その質量が小さく、わずかな振動や風圧でその向きが変ったり、ポケットから飛び出してしまったりするおそれが高く、所定の位置に安定的に載置させておくことや、それを所定の位置から正しく取得すること、所定の位置に正しく配置することなどを難しくしている。
【0031】
また、トレイ18は、静電気対策のために静電気(電荷)が拡散するような抵抗値による静電気拡散性を有する樹脂材料などから形成されている。すなわちトレイ18は、その静電気拡散性によりそこに静電気が滞留することを防止し、載置されたICチップTを静電気から保護するようにしている。さらにトレイ18は耐熱性を有しており、そこに高温の電子部品が載置されたり、そこに電子部品を載置させた状態でICハンドラ10の前後の工程などにて加熱・冷却することができるようになっている。ところでトレイ18は、その耐熱性により上述のような温度及び温度変化に耐えることができるものの、加熱・冷却の繰り返しはトレイ18に多少なりとも不規則な変形を生じさせ、複数のトレイ18がそれぞれ各別の不規則な変形を有するようになる。
【0032】
図1に示すように、供給ロボット14は、X軸フレームFX、第1のY軸フレームFY1及び供給側ロボットハンドユニット20により構成されている。回収ロボット15は、X軸フレームFX、第2のY軸フレームFY2及び回収側ロボットハンドユニット21により構成されている。X軸フレームFXは、X方向に配置されている。第1のY軸フレームFY1及び第2のY軸フレームFY2は、Y方向に沿って互いに平行となるように配置され、前記X軸フレームFXに対して、X方向に移動可能に支持されている。そして、第1のY軸フレームFY1はX軸フレームFXに設けられた供給X軸モーターMX1によって、第2のY軸フレームFY2は同じくX軸フレームFXに設けられた回収X軸モーターMX2によって、該X軸フレームFXに沿ってX方向にそれぞれ往復移動する。
【0033】
第1のY軸フレームFY1の下側には、供給側ロボットハンドユニット20がY方向に移動可能に支持されている。供給側ロボットハンドユニット20は、第1のY軸フレームFY1に設けた供給Y軸モーターMY1によって、該第1のY軸フレームFY1に沿ってY方向に往復移動する。そして、供給側ロボットハンドユニット20は、例えば、コンベアC1のトレイ18に収容された検査前のICチップTを、例えば、第1シャトル16に供給する。
【0034】
第2のY軸フレームFY2の下側には、回収側ロボットハンドユニット21がY方向に移動可能に支持されている。回収側ロボットハンドユニット21は、第2のY軸フレームFY2に設けた回収Y軸モーターMY2によって、該第2のY軸フレームFY2に沿ってY方向に往復移動する。そして、回収側ロボットハンドユニット21は、例えば、第1シャトル16から供給された検査後のICチップTを、例えば、コンベアC6のトレイ18に供給する。
【0035】
ベース11の上面であって、供給ロボット14と回収ロボット15との間には、第1のレール24A及び第2のレール24BがそれぞれX軸方向に平行して配設されている。第1のレール24Aには、第1シャトル16がX軸方向に往復動可能に備えられている。また、第2のレール24Bには、第2シャトル17がX軸方向に往復動可能に備えられている。
【0036】
第1シャトル16は、X軸方向に長い略板状のベース部材16Aを備えており、その底面の図示しないレール受けによって第1のレール24Aに摺接されている。そして、第1シャトル16に設けた図示しないモーターによって、第1のレール24Aに沿って往復動される。ベース部材16Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット16B,16Cがネジなどで交換可能に固着されている。また、第2シャトル17は、X軸方向に長い略板状のベース部材17Aを備えており、その底面の図示しないレール受けによって第2のレール24Bに摺接されている。そして、第2シャトル17に設けた図示しないモーターによって、第2のレール24Bに沿って往復動される。ベース部材17Aの上面の両端には、それぞれチェンジキット17B,17Cがネジなどで交換可能に固着されている。
【0037】
各チェンジキット16B,17Bにはそれぞれ未検査の検査対象のICチップTが収容されるポケットPSが複数設けられ、各チェンジキット16C,17Cにはそれぞれ検査済みの検査対象のICチップTが収容されるポケットPSが複数設けられ、それらの各ポケットPSにICチップTが保持されるようになっている。これにより、供給ロボット14の供給側ロボットハンドユニット20の搬送した複数のICチップTが、各チェンジキット16B,17Bの各ポケットPSに載置され、回収ロボット15の回収側ロボットハンドユニット21が各チェンジキット16C,17CのポケットPSから複数のICチップTを搬出する。
【0038】
ベース11の上面であって、第1及び第2シャトル16,17との間には検査部23が設けられている。検査部23には、検査対象のICチップTが配置される検査用ソケット50が複数設けられている。すなわち検査用ソケット50には、上記各シャトル16,17のチェンジキット16B,17Bの各ポケットPSに収容された各ICチップTがそれぞれ配置される。
【0039】
高温チャンバ13内側には、第1及び第2シャトル16,17及び検査用ソケット50の上方を跨ぐように、Y方向に配設された図示しないレールが備えられている。
レールの下部には、Y方向に往復移動可能に検査用ヘッド22が支持されているとともに、レールに備えられたY軸モーター(図示略)によって、Y方向に往復動させられる。すなわち、検査用ヘッド22は、レールに沿って移動して各シャトル16,17と検査用ソケット50との間でICチップTを相互に搬送するようになっている。
【0040】
詳述すると、検査用ヘッド22は、各シャトル16,17のチェンジキット16B,17Bにより供給されたICチップTを取得し、ICチップTを検査用ソケット50の直上位置に配置する。そして、検査用ヘッド22は、ICチップTを下方に移動させ、ICチップTの各接続端子を上方から検査用ソケット50の接触端子と当接させてスプリングピンを下方に押し下げることによって、該検査用ソケット50に装着させる。さらに、検査用ソケット50に装着されたICチップTの電気的検査が終了すると、検査用ヘッド22は、各検査用ソケット50に装着されたICチップTを抜き取って、対応するチェンジキット16C,17Cの直上位置に配置する。そして検査用ヘッド22は、対応するチェンジキット16C,17Cの直上位置にてICチップTを下方に移動させ、同対応するチェンジキット16C,17Cの所定のポケットPSに収容させるようになっている。
【0041】
ベース11の上面であって、供給ロボット14の稼動範囲に設けられている作業エリア19にはクリーニングチップCCが配置されている。クリーニングチップCCは各シャトル16,17及び検査用ヘッド22を介して検査用ソケット50に配置されることにより、検査用ソケット50の検査端子に付着した汚れを除去することなどにより検査端子とICチップTの端子との間の電気的な接触を良好に維持させる。クリーニングチップCCは、所定のルールに基づき、例えば所定回数のICチップTの検査毎に検査用ソケット50に押圧配置されて電気的接触を好適に維持させるようにするとともに、使用後は作業エリ
ア19に戻される。
【0042】
次に、供給ロボット14の供給側ロボットハンドユニット20について図3に従って説明する。
図3に示すように、供給側ロボットハンドユニット20は、第1のY軸フレームFY1にY方向に移動可能に連結されているフレーム25と、同フレーム25の下方に延出された4本の当接装置20A,20B,20C,20Dとを備えている。4本の当接装置20A〜20Dは、対応するトレイ18の各ポケットPK11〜PK64に適合するとともに、チェンジキット16B,17Bの各ポケットPSにも適合するように設けられている。すなわち当接装置20A,20B,20C,20Dは、トレイ18上に矩形の領域を形成するように隣接する4つのポケット、例えばポケットPK11,PK12,PK21,PK22から一時にICチップTを把持したり、各チェンジキット16B,17Bの4つのポケットに一時にICチップTを載置したりすることができるようになっている。
【0043】
また、各当接装置20A〜20Dは、図示しないそれらの上部がフレーム25内にてそれぞれ一体連結され、フレーム25に対して一体的に上下動できるようになっている。一体化された各当接装置20A〜20Dの各上部はフレーム25内にて供給Z軸モーターMZ1に駆動連結されており、各当接装置20A〜20Dは供給Z軸モーターMZ1の駆動により一体的に上下動されるようになっている。
【0044】
各当接装置20A〜20Dはそれぞれ、フレーム25の下方に延出される支持部30と、支持部30に対して受動的に上下動する受動部31と、ICチップTを吸着把持する把持部32とを備えている。すなわち、支持部30は供給Z軸モーターMZ1の駆動に対応して上下動するようになっている。また支持部30の内部には、吸着用の空気圧を供給するエアー配管30Hが設けられている。
【0045】
受動部31は、その上部側が支持部30の下部に進退可能に嵌め込まれており、その上部とそれが嵌め込まれている支持部30との間には下方への弾性力を付与する図示しないばねが設けられており、そのバネの弾性力により通常、支持部30の下方へ最進出されるようになっている。その一方、受動部31はその先の把持部32などにばねの弾性力より大きい上方向のへの力を受けたとき、上部が支持部30により入り込んで後退し、同支持部30の方向へ移動するようにもなっている。受動部31の内部には、支持部30のエアー配管30Hに連結されるエアー配管31Hが設けられている。
【0046】
把持部32は、その下端部に当接されたICチップTをその下端部に発生させる負圧により吸着把持するものであり、各当接装置20A〜20Dの受動部31にそれぞれ連結されている。また各把持部32は、それぞれの支持部30に対して受動部31が下方に最進出されたとき、その下端部が略同じ高さになるように各当接装置20A〜20Dに設けられている。
【0047】
図4に示すように、当接装置20Aの把持部32は、その上側に凹設された連結部32Jに受動部31の下端部を挿入することにより同受動部31に連結されるとともに、その内部に貫通形成されたエアー通路32Hを受動部31のエアー配管31Hに連通させている。把持部32にはその外周に同外周を下方に延出させた筒状の外筒部32Gが形成されており、外筒部32Gに囲われたその内部上側に形成されているエアー通路32Hの周囲には下方に突出する凸部32Bが形成されている。同凸部32Bにはゴムなどの弾性又は可撓性などを有する吸着ノズル35が装着されており、その吸着ノズル35の吸着口35Hがエアー通路32Hに連通されている。これにより、吸着ノズル35の吸着口35Hが、把持部32のエアー通路32H、受動部31のエアー配管31H、支持部30のエアー配管30Hを介して近接検出装置40に連結されている。
【0048】
近接検出装置40は、吸着口35Hに、吸着用、離脱用及び高さ測定用の各流量の気体を付与するための装置である。図3に示すように、近接検出装置40には、正圧である所定の供給圧の気体を供給する正圧回路39が接続されているとともに、第1のバルブ41、離脱用流量調整弁42、高さ測定用流量調整弁43、第2のバルブ44、流量計45、第3のバルブ46、負圧発生器47及びフィルタ48が設けられている。
【0049】
これにより近接検出装置40は、吸着ノズル35に吸着した電子部品を離脱させるとき、第1のバルブ41が駆動されて配管AR4が配管AR3に接続され、配管AR3に供給圧の気体が供給される。また、第2のバルブ44が、離脱用流量調整弁42を有する配管AR3を配管AR2に接続させるとともに流量計45を介して配管AR1に接続させ、離脱用流量調整弁42により供給圧から離脱用流量に調整された気体を吸着ノズル35に供給させる。これにより吸着ノズル35から離脱用流量の気体が噴出されるようになり、当該吸着ノズル35に把持されていたICチップTが当該吸着ノズル35から離脱されるようになる。なお、離脱用流量は、特に大きな吸着パッドと広く接触して離れが悪くなったICチップTなどの離れをよくするためのものであり、評価実験やシミュレーション、計算などにより適切な流量(例えば、3[L/min])が予め求められており、その離脱用流量が吸着ノズル35に供給されるように離脱用流量調整弁42が調整されている。
【0050】
また近接検出装置40は、吸着ノズル35にてトレイ18などの高さを測定するとき、第1のバルブ41が駆動されて配管AR4が配管AR3に接続され、配管AR3に供給圧の空気が供給される。また、第2のバルブ44が、高さ測定用流量調整弁43を有する配管AR3を配管AR2に接続させるとともに流量計45を介して配管AR1に接続させ、高さ測定用流量調整弁43により供給圧から高さ測定用流量に調整された気体を吸着ノズル35に供給させる。これにより吸着ノズル35から高さ測定用流量の気体が噴出されるようになり、当該吸着ノズル35から噴出される高さ測定用流量の気体の流量が流量計45により測定できるようになる。なお、近年の小型化されたICチップTは、吸着ノズル35から気体を噴出しながら下降すると、トレイ18に載置されている場合であれ、噴出される気体により吹き飛ばされるなどの不都合が生じるおそれがある。そこで、そのような不都合を生じさせない適切な流量(例えば、0.6[L/min]以下)が高さ測定用流量として評価実験やシミュレーション、計算などにより予め求められており、その高さ測定用流量が吸着ノズル35に供給されるように高さ測定用流量調整弁43が調整されている。
【0051】
さらに近接検出装置40は、吸着口35Hに電子部品を吸着するとき、第3のバルブ46が駆動されて配管AR4が配管AR5に接続され、配管AR5に供給圧の空気が供給される。配管AR5には負圧発生器47が接続されており、配管AR5に供給された供給圧の空気が通過することに伴って負圧を発生し、その負圧がフィルタ48を介して接続されている配管AR2に供給される。配管AR2に供給された負圧は、流量計45を介して接続される配管AR1に供給されることで吸着ノズル35にも供給される。これにより吸着ノズル35に吸引力が生じ、当該吸着ノズル35にICチップTを吸着把持することができるようになる。
【0052】
また、各当接装置20B〜20Dの把持部32は当接装置20Aの把持部32と同様の構造を有しているので、説明の便宜上、それらの構造の詳細な説明については割愛する。
これにより供給側ロボットハンドユニット20は、トレイ18の上方に移動されてから当接装置20A〜20Dを供給Z軸モーターMZ1の駆動により所定の上下方向の位置(把持高さ)まで下降させてコンベアC1のトレイ18に収容されている複数(4個)の検査前のICチップTを各把持部32に吸着把持し、同把持部32を上昇させる。そして、複数のICチップTを吸着把持しつつ第1シャトル16の上方に移動してから各把持部3
2を供給Z軸モーターMZ1の駆動により所定の上下方向の位置(供給高さ)まで下降させるとともに各把持部32からICチップTを離脱させることにより把持していた複数のICチップTを第1シャトル16に供給する。
【0053】
また、回収ロボット15の回収側ロボットハンドユニット21も、上述した供給側ロボットハンドユニット20と同様の構造を有しているが、説明の便宜上、その詳細な説明については割愛する。すなわち回収側ロボットハンドユニット21の4つの当接装置(図示略)は、各チェンジキット16C,17Cの4つのポケットPSから一時にICチップTを把持することができるようになっている。また、トレイ18上に矩形の領域を形成するように隣接配置されている4つのポケット、例えばポケットPK51,PK52,PK61,PK62に一時にICチップTを載置したりすることができるようにもなっている。これにより回収側ロボットハンドユニット21は、第1シャトル16の上方に移動されてから把持部(32)を回収Z軸モーターMZ2の駆動により所定の上下方向の位置(回収高さ)まで下降させて第1シャトル16に収容されている複数の検査済みのICチップTを各把持部(32)に吸着把持させるとともに同把持部(32)を上昇させる。そして、複数のICチップTを吸着把持しつつコンベアC6のトレイ18の上方に移動してから同把持部(32)を回収Z軸モーターMZ2の駆動により所定の上下方向の位置(載置高さ)まで下降させるとともに各把持部(32)からICチップTを離脱させることにより把持していた複数のICチップTをコンベアC6のトレイ18に供給する。
【0054】
次に、ICハンドラ10が供給ロボット14にてICチップTを搬送するための電気的構成について図5を参照して説明する。
ICハンドラ10には、制御装置80が備えられている。制御装置80は、中央演算処理装置(CPU)、記憶装置(不揮発性メモリーROM、揮発性メモリーRAMなど)を有するマイクロコンピュータを中心に構成されており、メモリーに格納されている各種データ及びプログラムに基づいて、ICチップTなどのデバイスを搬送する処理などの各種制御を実行する。本実施形態では、制御装置80にてトレイ18の上下方向の位置(高さ)を測定して、測定された高さに基づいて同トレイ18の歪みを算出するトレイ歪み算出処理及び同算出されたトレイ18の歪みに基づいて同トレイ18に載置された各ICチップTの高さ、すなわち当接装置20A〜20Dの下降する高さを算出する高さ算出処理が実行される。また不揮発性メモリーROMには、トレイ歪み算出処理や高さ算出処理に必要な各種のパラメータなどが予め保存されている。
【0055】
制御装置80は、入出力装置85と電気的に接続されている。入出力装置85は、各種スイッチと状態表示機を有しており、前記各処理の実行を開始する指令信号や、各処理を実行するための初期値データ等を制御装置80に出力する。本実施形態では、各種ICチップT及びトレイ18等の寸法に関する情報や、それらICチップTの種類に応じて設定されている供給ロボット14、回収ロボット15の移動に関する情報などが制御装置80に出力される。
【0056】
制御装置80は、供給X軸モーター駆動回路MXD1、供給Y軸モーター駆動回路MYD1及び供給Z軸モーター駆動回路MZD1にそれぞれ電気的に接続されている。
供給X軸モーター駆動回路MXD1は、制御装置80から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいて供給X軸モーターMX1を駆動制御するようになっている。また制御装置80には、供給X軸モーター駆動回路MXD1を介して供給X軸モーターエンコーダーEMX1によって検出された供給X軸モーターMX1の回転速度が入力される。これにより制御装置80は、供給側ロボットハンドユニット20の左右方向(X方向)の位置を把握する。そして、その把握した位置とコンベアC1〜C6の上方位置や第1又は第2シャトル16,17の上方位置などの目標位置とのX方向のずれを求めて、供給X軸モーターMX1を駆動制御して供給側ロボットハ
ンドユニット20を目標位置に移動させるようになっている。
【0057】
供給Y軸モーター駆動回路MYD1は、制御装置80から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいて供給Y軸モーターMY1を駆動制御するようになっている。また制御装置80には、供給Y軸モーター駆動回路MYD1を介して供給Y軸モーターエンコーダーEMY1によって検出された供給Y軸モーターMY1の回転速度が入力される。これにより制御装置80は、供給側ロボットハンドユニット20の前後方向(Y方向)の位置を把握する。そして、その把握した位置とコンベアC1〜C6の上方位置や第1又は第2シャトル16,17の上方位置などの目標位置とのY方向のずれを求めて、供給Y軸モーターMY1を駆動制御して供給側ロボットハンドユニット20を目標位置に移動させるようになっている。
【0058】
供給Z軸モーター駆動回路MZD1は、制御装置80から受けた駆動信号に応答して、同駆動信号に基づく駆動量を演算し、演算された駆動量に基づいて供給Z軸モーターMZ1を駆動制御するようになっている。また供給Z軸モーター駆動回路MZD1は、供給Z軸モーターMZ1の駆動制御に同期して、供給Z軸モーターブレーキBMZ1の開放・締結を行うようになっている。さらに、制御装置80には、供給Z軸モーター駆動回路MZD1を介して供給Z軸モーターエンコーダーEMZ1によって検出された供給Z軸モーターMZ1の回転速度が入力される。これにより制御装置80は、供給側ロボットハンドユニット20の4本の当接装置20A〜20Dの上下方向(Z方向)の位置(高さ)を把握するとともに、その高さ位置と目標の高さ位置(上下方向の位置)とのずれを求めて、供給Z軸モーターMZ1を駆動制御して当接装置20A〜20Dを目標の高さ位置に移動させるようになっている。
【0059】
制御装置80は、バルブ駆動回路41Dと電気的に接続されている。バルブ駆動回路41Dは、制御装置80から受けた制御信号に応答して第1のバルブ41を駆動制御するようになっている。また制御装置80により駆動制御される第1のバルブ41は、把持部32の吸着ノズル35に正圧の気体を供給するか否かを切換える。吸着ノズル35に正圧の気体が供給されたとき吸着ノズル35から圧縮空気が噴出される。
【0060】
制御装置80は、バルブ駆動回路44Dと電気的に接続されている。バルブ駆動回路44Dは、制御装置80から受けた制御信号に応答して第2のバルブ44を駆動制御するようになっている。また制御装置80により駆動制御される第2のバルブ44は、把持部32の吸着ノズル35に供給する正圧の気体の流量を離脱用流量と高さ測定用流量との間で切換える。
【0061】
制御装置80は、バルブ駆動回路46Dと電気的に接続されている。バルブ駆動回路46Dは、制御装置80から受けた制御信号に応答して第3のバルブ46を駆動制御するようになっている。また制御装置80により駆動制御される第3のバルブ46は、把持部32の吸着口35Hに負圧を供給するか否かを切換える。吸着口35Hが負圧にされたとき把持部32にICチップTが吸着される。
【0062】
制御装置80は、流量計45と電気的に接続されている。制御装置80には、流量計45により測定された気体の流量に基づいた信号が伝達される。これにより制御装置80は、流量計45により測定され気体の流量を算出して、当該流量を予め定められた近接検出用流量閾値TH1と比較して、当該流量が同近接検出用流量閾値TH1よりも少ないとき、吸着ノズル35が塞がれたものと判断して、吸着ノズル35のトレイ18などへの近接を検出するようになっている。
【0063】
次に、このICハンドラ10にてトレイ18の高さを自動的に測定してその歪みを算出
する原理について図6及び図7に従って説明する。図6は、トレイ18の高さ測定の態様を説明する図であり、図7は気体の流量により近接を検出する原理を説明する図であって、(a)は吸着ノズルの近接状態を模式的に示す図であり、(b)は近接と流量との関係を示すグラフである。
【0064】
図6に示すように、トレイ18には、その高さを測定するための複数の測定ポイントCP11〜CP13が予め設定されており、例えば、トレイ18に不規則な変形が生じている場合など、それら各測定ポイントCP11〜CP13の高さがそれぞれ異なるっていることがある。すなわち、図6において左側の測定ポイントCP11の高さは高さL11であり、図6において中央付近の測定ポイントCP12の高さは高さL12であり、該高さL12は測定ポイントCP11の高さL11よりも差d12だけ低くい。また、図6において右側の測定ポイントCP13の高さは高さL13であり、該高さL13は測定ポイントCP11の高さL11よりも差d13だけ高い。なお、本実施形態では、各測定ポイントCP11〜CP33(図2参照)を各ポケットPK11〜PK64(図2参照)ではない位置に設定している。
【0065】
このとき、本実施形態では、トレイ18の歪みの算出に先立ち、制御装置80が当接装置20Aにより、トレイ18の各測定ポイントCP11〜CP13の高さを自動的に測定する。詳述すると、制御装置80は、トレイ18の測定ポイントCP11の上方に当接装置20Aの把持部32を配置させるとともに、該把持部32の吸着ノズル35に高さ測定用圧力の気体を供給して吸着ノズル35から気体を噴出させながら当接装置20Aを下降させる。吸着ノズル35がトレイ18と離れているとき、例えばトレイ18の高さが高さH0のとき吸着ノズル35の高さが高さH2以上である場合、すなわち吸着ノズル35とトレイ18との間の距離Dが所定の距離以上である場合、吸着ノズル35に供給される気体はそのほとんどが吸着ノズル35から噴射される。また、吸着ノズル35とトレイ18との間の距離Dが所定の距離以下になるとき、例えば吸着ノズル35の高さが高さH2より低い場合、吸着ノズル35からの気体の噴射量が減少して流量計45により測定される気体の流量が減少するようになる。さらに、吸着ノズル35がトレイ18に当接してその吸着口35Hが塞がれるとき、例えば吸着ノズル35の高さが高さH0の場合、吸着ノズル35から気体が噴射されなくなり流量計45により測定される気体の流量が略「0」になる。すなわち、近接検出用の閾値として近接検出用流量閾値TH1を設定すると、吸着ノズル35の高さがH1になったとき、すなわち吸着ノズル35とトレイ18との間の距離Dが「高さH0−高さH1」となったとき、当該閾値TH1よりも流量が少なくなり、吸着ノズル35のトレイ18への近接が検出されるようになる。なお、同様にして各測定ポイントCP21〜CP33の高さも測定される。
【0066】
このように、接触圧力などではなく、高さ測定用流量の気体の流量の変化に基づいて各測定ポイントCP11〜CP33それぞれの近接を検出するようにすることで、高さ測定の際にトレイ18に余計な負荷を与えるおそれが軽減される。また、当接装置20Aは受動部31がばねの弾性力よりも強い力を受けると、把持部32を上方に移動させて高さ方向の誤差を吸収する機能(バッファー機能)が発揮されるようになっている。このためバッファー機能が発揮されると、把持部32により測定される高さに当該バッファー機能により吸収された高さに基づく誤差が含まれるようになるおそれがあるが、気体流量の変化により高さを測定することにより、受動部31が強い力を受ける前に高さを測定することができるので測定された高さの精度を高く維持することができる。さらに、測定位置が、各ポケットPK11〜PK64であればICチップTの有無により高さが変化するが、各測定ポイントCP11〜CP33を各ポケットPK11〜PK64ではない位置に設定することによりICチップTの高さの影響を受けることなくトレイ18の高さを測定することができるようになる。
【0067】
次に上述した測定の結果に基づいて、トレイ18の歪みを算出する。詳述すると、測定ポイントCP11と測定ポイントCP12との間には、2つのポケットPK11,PK12が近接配置されている。このとき、測定ポイントCP11の高さL11及び測定ポイントCP12の高さL12と、測定ポイントCP11や測定ポイントCP12と2つのポケットPK11,PK12との間の距離及びポケットの深さ寸法などに基づいて、各ポケットPK11,PK12の高さがそれぞれ算出される。同様に、測定ポイントCP12と測定ポイントCP13との間には、2つのポケットPK13,PK14が近接配置されている。このとき、測定ポイントCP12の高さL12及び測定ポイントCP13の高さL13と、測定ポイントCP12や測定ポイントCP13と2つのポケットPK13,PK14との間の距離及びポケットの深さ寸法などに基づいて、各ポケットPK13,PK14の高さをそれぞれ算出できる。同様に、各測定ポイントCP21〜CP33の高さを用いて、各ポケットPK21〜PK64(図2参照)の高さを算出することができる。
【0068】
なお、ポケットの高さは、3つ以上の測定ポイントから求めることもできる。例えば3つの測定ポイントCP11,CP12,CP21からそれらに囲まれる平面領域の任意の座標とその高さを算出することができるようにすることによって、例えば、その平面領域に少なくとも一部が含まれる各ポケットPK11,PK12,PK21,PK22,PK31に対応する位置の高さを求めることができるようになる。そして、各ポケットPK11,PK12,PK21,PK22,PK31に対応する位置の高さから、ポケットの深さ寸法を減算することによって各ポケットPK11,PK12,PK21,PK22,PK31の高さが算出される。同様に、4つの測定ポイントCP11,CP12,CP21,CP22からはそれらに囲まれる平面領域に含まれる各ポケットPK11,PK12,PK21,PK22,PK31,PK32に対応する位置の高さを求めることができるようになる。そして、各ポケットPK11,PK12,PK21,PK22,PK31,PK32に対応する位置の高さから、ポケットの深さ寸法を減算することによって各ポケットPK11,PK12,PK21,PK22,PK31,PK32の高さが算出される。
【0069】
また、複数の測定ポイントの測定データから形成される2点間の途中の任意の位置の高さや、同じく形成される平面領域の任意の座標の高さの算出などには、上記の例に限らず、一次式や二次式で近似した数式を用いた方法など、周知の各種の演算方法を適用することができる。
【0070】
次に、このICハンドラ10における供給ロボット14のデバイスの搬送処理について図8及び図9に従って説明する。図8は、供給ロボット14によるデバイスの搬送処理を示すフローチャートであり、図9は、デバイスの搬送処理におけるトレイ歪み算出処理を示すフローチャートである。なお、供給側ロボットハンドユニット20には4つの当接装置20A〜20Dが設けられており一度に4つのICチップTの搬送ができるようになっているが、ここでは説明の便宜上、1つの当接装置20AによりICチップTを搬送する態様について説明する。
【0071】
図8に示すように、供給ロボット14によりトレイ18から各シャトル16,17へのデバイスとしてのICチップTの搬送処理が開始されると、制御装置80は、未検査のICチップTを載置したトレイ18を、例えばコンベアC1により供給させる(ステップS10)。未検査のICチップTを載置したトレイ18が供給されると、制御装置80は、トレイの歪みを算出する(ステップS20)。
【0072】
図9に示すように、トレイの歪み算出処理では、制御装置80は、トレイ18に予め設定されている測定ポイントCP11の上方に当接装置20Aを移動させる(ステップS21)。当接装置20Aが測定ポイントCP11の上方に移動すると、制御装置80は、当接装置20Aの把持部32に高さ測定用流量の気体を供給し、流量計45の測定する流量
と近接検出用流量閾値TH1とを比較しながら把持部32を下降させる。そして、制御装置80は、流量計45の測定する流量が減少することにより把持部32のトレイ18への近接が検出されたとき供給Z軸モーターエンコーダーEMZ1の値から測定ポイントCP11の高さを測定し、測定ポイントCP11の高さとしてメモリー等に記憶する(ステップS22)。測定ポイントCP11の高さが測定されると、制御装置80は、次の測定ポイントの有無を判断する(ステップS23)。測定ポイントCP11の次には測定ポイントCP12があると判断した場合(ステップS23でYES)、制御装置80は、その測定ポイントCP12に当接装置20Aを移動させて(ステップS21)、その測定ポイントCP12の高さを測定する(ステップS22)。同様に、制御装置80は、各測定ポイントCP13〜CP33の高さを順次測定する。
【0073】
測定ポイントCP33の高さを測定した次など、次の測定ポイントが無い場合(ステップS23でNO)、制御装置80は、測定された各測定ポイントCP11〜CP33の高さに基づいて各ポケットPK11〜PK64の高さを算出・記憶する(ステップS24)。このときポケットPK11〜PK64の高さは、上述のようにして、各測定ポイントCP13〜CP33の高さから求められる。そして各ポケットPK11〜PK64の高さが求められるとデバイスの搬送処理に戻る。
【0074】
なお、例えば、ポケットPK11に載置されているICチップTの高さを測定して、同測定した高さから同ポケットPK11に近い測定ポイントCP11の高さを減算した値を、各ポケットPK12〜PK64に対応する位置の高さに加算して、各ポケットPK11〜PK64に載置されたICチップTの高さを直接的に求めることもできる。
【0075】
図8に示すように、トレイの歪み算出(ステップS20)が完了すると、制御装置80は、先に算出されたポケットPK11の高さ位置とICチップTの寸法とに基づいて、ポケットPK11に配置されたICチップTの上面の高さの位置を算出する(ステップS30)。そして、制御装置80は、前記算出された高さ位置に把持部32を下降させてポケットPK11に載置されているICチップTを把持取得する(ステップS40)。このとき、当接装置20Aは上述のように算出された高さに基づいてポケットPK11のICチップTに下降するので、その把持部32がポケットPK11のICチップTの上面に適切に、例えば丁度の高さで当接することとなり、同ICチップTをポケットPK11に押し付けたり、同ICチップTとの間に隙間があるまま吸引したりすることがなくなる。当接装置20AにICチップTを把持取得すると、制御装置80は、そのICチップTを第1シャトル16に搬送配置し(ステップS50)、次のポケットのICチップTの有無を判断する(ステップS60)。次のICチップTがポケットPK12にある場合(ステップS60でYES)、制御装置80は、当接装置20AをポケットPK12の上方に移動させる。そして、制御装置80は、ポケットPK12のICチップTを、ポケットPK11のICチップTと同様に、当該ポケットPK12から取得して第1シャトル16に搬送配置する。その後、制御装置80は、各ポケットPK13〜PK64の各ICチップTを順次第1シャトル16または第2シャトル17に搬送配置する。ポケットPK64のICチップTを搬送配置するなどして、次のデバイスがないと判断された場合(ステップS60でNO)、制御装置80は、次のトレイがあるか否かを判断する(ステップS70)。次のトレイ18があると判断した場合(ステップS70でYES)、制御装置80は、次のトレイ18を供給させて(ステップS10)、当該トレイ18の歪みを算出し(ステップS20)、当該トレイ18に載置されているICチップTを取得し搬送する(ステップS30,S40,S50)。その後も制御装置80は、トレイ18の全てのデバイスの搬送が終了したと判断した場合(ステップS60でNO)、次のトレイ18があるか否かを判断して(ステップS70)、トレイ18が有る場合(ステップS70でYES)、上述のステップS10〜S60の工程を繰り返してICチップTを搬送する。
【0076】
一方、次のトレイ18がないと判断した場合(ステップS70でNO)、制御装置80は、このICチップTの搬送処理を終了する。
なお、ここでは1つの当接装置20AによりICチップTを搬送する態様について説明したが、ICチップTの搬送に他の当接装置20B〜20Dを用いたり、それらとともに当接装置20AがICチップTを搬送するようにしてもよい。例えば、算出された各ポケットPK11〜PK64の高さから、当接装置20AがICチップTを把持する一のポケットと、その一のポケットに隣接する他のポケットの高さとが一時にICチップTを取得することができる所定の誤差範囲にあることも多い。このような場合、当接装置20Aは、他のポケットに対応する他の当接装置20B〜20Dとの協働により一度に複数(2〜4個)のICチップTを把持搬送するようにしてもよい。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の電子部品搬送装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)近接検出装置40の接続された把持部32をトレイ18に下降させることによりトレイ18の高さを測定するようにした。すなわち制御装置80が近接検出装置40からの信号によりトレイ18の高さを自動的に測定するようになるので、従来、時間を要する手動のティーチングに行なわれていたトレイ18の高さの測定を、自動的なティーチングにより短時間で行うことができるようになる。また、自動ティーチングであれば、自動運転における一処理として実行させることも可能となり、自動ティーチングの利便性が向上し、また、そのティーチングに基づくICチップTの高さ位置の補正・調整等により把持部32によるICチップTの把持動作の精度も大幅に向上されるようになる。これによりICハンドラ10としての検査精度や検査効率が向上されるようになる。
【0078】
(2)トレイ18の高さの測定をICチップTを把持する把持部32により行なうことで、トレイ18の高さを測定するために要する構成を少なくした。これにより、このようなトレイ18の高さの測定が容易になる。
【0079】
(3)さらに前述のように、トレイ18の高さの測定と、当該高さに基づくICチップTの把持とが、いずれも同じ把持部32により行なわれるようにした。このことから、当該把持部32がICハンドラ10に対して機械的や制御的な誤差を有していた場合であれ、そのような誤差が、高さを測定する際及びICチップTを把持する際にそれぞれ等しく反映されるようになる。すなわち、そのような誤差が測定の際及び把持の際とで相殺されるようなかたちとなり、当該誤差を調整することなく、測定されたトレイ18の高さに基づいて算出された高さにて好適にICチップTを取得できるようになる。これによってもICハンドラ10としての検査精度や検査効率が向上されるようになる。
【0080】
(4)トレイ18のICチップTを載置させない位置、いわゆるトレイ18に設けられたICチップTを配置するポケット(PK11〜PK64)以外の位置である測定ポイントCP11〜CP33の高さ位置を測定するようにする。これにより、ポケットであればその高さ位置はICチップTの有無等によって変化するが、測定ポイントがポケット以外の位置であることからトレイ18へのICチップTの載置の有無にかかわらず、トレイ18の高さ位置を正確に測定することができるようになる。これにより、トレイ18の高さの算出が容易になるとともに、ICチップTの有無を要因として生じる算出誤差を無くすことができるようになる。
【0081】
(5)複数の測定箇所としての測定ポイントCP11〜CP33により規定される範囲に含まれる任意の位置の高さを算出してもよいようにしたことから、少ない測定ポイントに基づいて多くの位置、すなわち多くのポケットPK11〜PK64の高さが算出できるようになる。これにより、測定ポイントが少ない場合であれ、その測定結果に基づいて複数のICチップTの高さ位置を調整・補正等できるようになり把持部32によるICチッ
プTの取得が好適になされるようになる。
【0082】
(6)把持部32に設けられているICチップTの吸着用の配管を近接検出装置40が流量の測定に用いる配管として共用する。これにより、ICハンドラ10への近接検出装置40の適用が容易になる。
【0083】
(7)高さ測定用流量調整弁43により把持部32から噴射される気体の流量を調整して、トレイ18やそこに載置されているICチップTに対しての近接の検出、すなわち高さの測定のために好適な流量の気体を供給するようにする。これにより、例えば、高さを測定するために把持部32から噴射される気体がICチップTを吹き飛ばすなどして移動させるようなことが防止されるようになる。その結果、このような高さ測定が好適に行われるようになる。
【0084】
(第2の実施形態)
本発明の電子部品検査装置の具体化された第2の実施形態について図10に従って説明する。なお、本実施形態は、把持部32による高さ測定を、吸着ノズル35に供給した所定の高さ測定用圧力の気体の圧力変化に基づいて検出するようにした点について、先の第1の実施形態と相違するものであり、ここでは主にその相違点について説明し、説明の便宜上、同様の部分には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0085】
本実施形態の近接検出装置40は、先の第1の実施形態の離脱用流量調整弁42に代わって離脱用圧力調整弁42Pを、同じく高さ測定用流量調整弁43に代わって高さ測定用圧力調整弁43Pを、同じく流量計45に代わって圧力計45Pを備えている。
【0086】
これにより近接検出装置40は、吸着ノズル35に吸着した電子部品を離脱させるとき、第1のバルブ41が駆動されて配管AR3に供給圧の気体が供給され、第2のバルブ44が離脱用圧力調整弁42Pを有する配管AR3を配管AR2に接続させて圧力計45Pを介して配管AR1に接続させる。これにより、離脱用圧力調整弁42Pにより離脱用圧力に調整された気体が配管AR1を介して吸着ノズル35に供給される。すなわち吸着ノズル35から離脱用圧力の気体が噴出されるようになり、当該吸着ノズル35に把持されていたICチップTが当該吸着ノズル35から離脱されるようになる。なお、離脱用圧力は、特に大きな吸着パッドと広く接触して離れが悪くなったICチップTなどの離れをよくするためのものであり、評価実験やシミュレーション、計算などにより適切な圧力が予め求められており、その離脱用圧力が吸着ノズル35に供給されるように離脱用圧力調整弁42Pが調整されている。
【0087】
また近接検出装置40は、吸着ノズル35にてトレイ18などの高さを測定するとき、第1のバルブ41が駆動され配管AR3に供給圧の気体が供給される。また、第2のバルブ44が高さ測定用圧力調整弁43Pを有する配管AR3を配管AR2に接続させることにより圧力計45Pを介して配管AR1に接続させ、高さ測定用圧力調整弁43Pにより高さ測定用圧力に調整された気体が吸着ノズル35に供給される。これにより吸着ノズル35から高さ測定用圧力の気体が噴出されるようになり、当該吸着ノズル35から噴出される高さ測定用圧力の気体の圧力が圧力計45Pにより測定できるようになる。なお、近年の小型化されたICチップTは、吸着ノズル35が気体を噴出しながら下降すると、トレイ18に載置されている場合であれ、噴出される気体により吹き飛ばされるなどの不都合を生じさせるおそれがある。そこで、そのような不都合を生じさせない適切な圧力(例えば、離脱用圧力以下)が高さ測定用圧力として評価実験やシミュレーション、計算などにより予め求められており、その高さ測定用圧力が吸着ノズル35に供給されるように高さ測定用圧力調整弁43Pが調整されている。
【0088】
このことから、吸着ノズル35がトレイ18に所定の距離未満まで近接して吸着ノズル35からの高さ検出用圧力の気体の噴射に負荷がかかるようになると、配管AR1内などの気体の背圧が上昇して圧力計45Pにより検出される圧力が高くなる。この検出される圧力を予め定められた近接検出用圧力閾値と比較して、当該圧力が近接検出用圧力閾値よりも高いとき、吸着ノズル35が塞がれたものと判断して、吸着ノズル35のトレイ18などへの近接を検出することができる。
【0089】
このように気体の圧力に基づく高さ測定によっても、トレイ18の高さの測定、及びICチップTの高さの算出をすることができるようになり、先の第1の実施形態と同様に、トレイ18に載置されたICチップTを好適に把持することができるようになる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態によっても先の第1の実施形態の前記(1)〜(5)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0091】
(8)把持部32に設けられているICチップTの吸着用の配管が近接検出装置40が圧力の測定に用いる配管と共用できるようになる。これにより、ICハンドラ10への近接検出手段の適用が容易になる。
【0092】
(9)高さ測定用圧力調整弁43Pにより把持部32から噴射される気体の圧力を調整するので、トレイ18やそこに載置されているICチップTに対しての近接の検出、すなわち高さの測定のために好適な圧力の気体を供給することができるようになる。これにより、例えば、高さを測定するために把持部32から噴射される気体がICチップTを吹き飛ばすなどして移動させるようなことが防止されるようになる。その結果、このような高さ測定が好適に行われるようになる。
【0093】
(第3の実施形態)
本発明の電子部品検査装置の具体化された第3の実施形態について図11に従って説明する。なお、本実施形態は、把持部32による高さ測定を、把持部32に付与されている電荷量の変化に基づいて検出するようにしたことが、先の第1の実施形態と相違する点であることから、ここでは主にその相違点について説明し、説明の便宜上、同様の部分には同一の符号を付しその説明を省略する。
【0094】
まず、本実施形態の供給ロボット14の供給側ロボットハンドユニット20について図11に従って説明する。
図11に示すように、供給側ロボットハンドユニット20は、上部が一体的に連結された4本の当接装置20A,20B,20C,20Dを備えている。各当接装置20A〜20Dはそれぞれ、フレーム25の下方に延出される支持部30と、支持部30に対して受動的に上下動する受動部31と、受動部31の先端にはICチップTを吸着把持する把持部32Aとを備えている。
【0095】
把持部32Aは、導電性を有する部材により形成されるとともに、その下端部に当接されたICチップTをその下端部に発生させる負圧により吸着把持する。また本実施形態では、当接装置20Aの把持部32Aは、受動部31の下端部に絶縁性を有するジョイント33を介して連結されている。すなわち、当接装置20Aの各把持部32Aは、受動部31と電気的に絶縁されており当接装置20Aにおいて独立した導電性を有している。把持部32Aの下部には、ICチップTを吸着するため、第1の実施形態の吸着ノズル35と同様の、吸着ノズル(図示略)が設けられている。なお、吸着ノズル35には導電性として、少なくとも静電気(電荷)を拡散させる静電気拡散性としての抵抗値が付与されている。
【0096】
ジョイント33により絶縁された把持部32Aには配線58を介して近接検出装置40が電気的に接続されている。
近接検出装置40には、電荷チャージャー55、電荷量測定器56及びそれらと配線58との接続を選択的に切替える切換器57とが設けられている。電荷チャージャー55は、電荷量測定用の直流電力を出力する直流電源であり、その出力に接続された対象に所定の電荷を付与するようになっている。これにより切換器57により配線58を介して接続された当接装置20Aの把持部32Aに所定量の電荷を供給することができるようになっている。当接装置20Aの把持部32Aは、唯一支持連結される受動部31に絶縁性を有するジョイント33を介して接続されることで、別途導電体などに接触するようなことがない限り、当接装置20Aに対して独立している電気的に絶縁された状態が維持され、電荷チャージャー55から供給された電荷が拡散することなく維持される。
【0097】
電荷量測定器56は、測定対象に滞留している電荷量を測定するための測定器であり、切換器57により配線58と接続された当接装置20Aの把持部32Aに滞留している電荷量を検出する。当接装置20Aの把持部32Aは、それが連結された受動部31などと電気的に絶縁され独立した導電性を有しているため、電荷チャージャー55から供給された電荷に基づく電荷量が検出される。
【0098】
切換器57は、当接装置20Aの把持部32Aに接続させる電荷チャージャー55と電荷量測定器56とを選択的に切替えるものであり、同把持部32Aに電荷を付与する場合には電荷チャージャー55を配線58に接続させ、同把持部32Aに付与された電荷量を検出する場合には電荷量測定器56を配線58に接続させるように接続先を切換える。
【0099】
これにより当接装置20Aの把持部32Aを電荷チャージャー55に接続するとともに電荷チャージャー55に直流電力を出力させることにより同把持部32Aに電荷が付与され、当接装置20Aの把持部32Aを電荷量測定器56に接続することにより同把持部32Aの電荷量が測定されるようになる。
【0100】
すなわち、トレイ18の測定ポイントCP11の上方に電荷を付与された当接装置20Aの把持部32Aを配置させ、該把持部32Aの電荷量を電荷量測定器56に測定させながら当接装置20Aを下降させる。これにより、静電気拡散性を有する吸着ノズル35が同じく静電気拡散性を有するトレイ18に接触したとき、把持部32Aの電荷が拡散され電荷量が大幅に減少することが電荷量測定器56の測定する電荷量から検出されるようになる。そして、電荷量の大幅な減少が検出されたときや測定された電荷量が予め定められた所定の電荷量よりも小さくなったようなとき、当接装置20Aの高さ、例えば高さL11を測定ポイントCP11の高さとして記憶するようにすることで、電荷量によっても測定ポイントの高さ位置を検出することができるようになる。
【0101】
このように電荷量の変化に基づく高さ測定によってもトレイ18の高さを測定し、ICチップTの高さを算出することができるようになり、先の第1の実施形態と同様に、トレイ18に載置されたICチップTを好適に把持することができるようになる。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によっても先の第1の実施形態の前記(1)〜(5)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、以下に列記するような効果が得られるようになる。
【0103】
(10)電荷量の減少により把持部32Aのトレイ18への当接を検出するようにしたことにより、トレイ18への検出が確実かつ高い応答性で得られるようになる。これにより、トレイ18の高さ位置の検出精度がより向上され、算出されるトレイ18の高さ位置
の精度も向上し、同算出された高さ位置に基づいてトレイ18に下降する把持部32によるICチップTの授受がより好適になされるようになる。
【0104】
なお、上記各実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、算出されたトレイ18の高さと、トレイ18の寸法、及びICチップTの寸法から、各ポケットPK11〜PK64に載置されたICチップTの上面高さを算出した。しかしこれに限らず、ポケットに載置されたICチップの上面の高さと、そのポケットに隣接する測定ポイントの高さとを測定し、測定されたICチップの上面高さと測定ポイントの高さとの差分を求め、その差分をトレイの各位置毎に算出される高さに加算することでトレイの任意の位置におけるICチップの上面高さ位置を求めてもよい。
【0105】
例えば、まず、図12に示すように、把持部32を用いてデバイスとしてのICチップの上面高さ位置を測定するために、制御装置80は、供給側ロボットハンドユニット20を所定のポケット、例えばポケットPK11に載置されたICチップTの上部に移動させる(ステップS100)。また、把持部32からは高さ測定用圧力の気体を噴出させる(ステップS101)。そして、制御装置80は、流量計45により高さ測定用圧力の気体の流量を測定しつつ当該気体の流量を把持部32とICチップTとの当接を検出するために予め定められた閾値と比較しながら把持部32をICチップT上に下降させる(ステップS102)。制御装置80は、把持部32が下降して気体の流量が前記閾値よりも小さくなったことを検出したとき(ステップS103)、供給Z軸モーターエンコーダーEMZ1からの値に基づいてICチップT上面の高さ位置を測定し記憶する。なお、このとき、ポケットにICチップTの代わりにICチップTと同様の寸法を有する代替的な補助部品を載置して、その上面を測定した値をICチップTの上面の高さ位置としてもよい。
【0106】
次に、ICチップTの上面高さ位置を測定した所定のポケットに隣接する測定ポイント、例えば、測定ポイントCP11の高さを検出する。すなわち、図13に示すように、制御装置80は、供給側ロボットハンドユニット20を所定のポケットに隣接する測定ポイント、例えば測定ポイントCP11の上部に移動させ(ステップS110)、把持部32から高さ測定用圧力の気体を噴出させる(ステップS111)。そして、制御装置80は、流量計45により高さ測定用圧力の気体の流量を測定しつつ当該気体の流量を把持部32とトレイ18との当接を検出するための予め定められた閾値と比較しながら把持部32をICチップT上に下降させる(ステップS112)。制御装置80は、把持部32が下降して気体の流量が前記閾値よりも小さくなったことを検出したとき(ステップS113)、供給Z軸モーターエンコーダーEMZ1からの値に基づいて測定ポイントCP11の高さ位置を測定し記憶する。
【0107】
そして、記憶されたICチップTの上面の高さ位置と、ICチップTの載置位置に隣接する測定ポイントの高さ位置とから、測定ポイント、すなわちトレイ18の表面と、ポケットに載置されたICチップTの上面との差を求めて、この差をトレイ18の表面に対するICチップTの上面の相対高さとして記憶する。これにより、トレイ18の任意の位置であれ、その表面に対して前記相対高さを加えることで、当該任意の位置にICチップTが載置されたときのICチップTの上面高さを求めることができるようにもなる。
【0108】
これにより、トレイ18の寸法やICチップTの寸法などが設定されていなかったり、設定されていたとしてもその精度が高くないような場合であれ、実際に供給されたトレイ18とICチップTとに基づいてICチップTの上面高さが算出できることから、把持部32を下降させる高さ位置の調整の利便性やその精度が高められるようになる。
【0109】
・なお、上記第2の実施形態においても、上述のようにICチップの上面高さ位置を求
めてもよい。すなわち、ポケットに載置されたICチップの上面の高さと、そのポケットに隣接するトレイ18上の測定ポイントの高さとを測定し、測定されたICチップの上面高さと測定ポイントの高さとの差分を求め、その差分をトレイの各位置毎に算出される高さに加算することでトレイの任意の位置におけるICチップの上面高さ位置を求めてもよい。
【0110】
・さらに、上記第3の実施形態においても、上述のようにICチップの上面高さ位置を求めてもよい。しかしこの場合、ICチップへの電荷の付与は好ましくないことから、このとき測定対象となるポケットにはICチップそれ自体ではなくその代わりに、ダミーのデバイスなどを補助部品として載置させておくことが好ましい。
【0111】
・上記各実施形態では、供給ロボット14の供給側ロボットハンドユニット20にてトレイ18の高さを測定して同トレイ18の歪みを算出する場合について例示した。しかしこれに限らず、回収ロボットの回収側ロボットハンドユニットにてトレイの高さを測定して同トレイの歪みを算出してもよい。これにより、検査済みのICチップTをトレイに好適に載置することができるようになる。
【0112】
・上記各実施形態では、トレイ18毎にトレイの歪みを算出する場合について例示したが、トレイの歪みの算出は、必ずしもトレイ毎に行なわなくてもよい。この場合、トレイの歪みが多い場合や所定の枚数毎などにトレイの歪みを算出するなど算出の条件の自由度が高められる。
【0113】
・上記各実施形態では、トレイ18の全体の歪みをICチップTを取得する前に算出する場合について例示した。しかしこれに限らず、ICチップを取得する範囲毎に逐次トレイの歪みを測定し、算出するようにしてもよい。
【0114】
・上記各実施形態では、測定ポイントが9つである場合について例示したが、測定ポイントの数には特に制限はなく、トレイの変形度合いに合わせて20箇所など9つより多くしても、例えばトレイの四隅の4箇所など9つより少なくしてもよい。また、それら測定ポイントを配置する位置についても任意の位置に設定してもよい。一般的には、測定ポイントの数が多くなるほどトレイ18の歪みの算出精度が向上するようになる。
【0115】
・上記各実施形態では、デバイス搬送処理の際にトレイ18の高さ測定及び歪みの算出処理を行なう場合について例示したが、これに限らず、高さ測定や歪みの算出処理は、デバイス搬送処理中ではない、各種試験やその他の処理などで実施してもよいし、任意に単独で実施するようにしてもよい。
【0116】
・上記各実施形態では、トレイ18の歪みを算出する場合について例示したが、これに限らず、当接装置により高さを測定できる場所であれば、例えば、作業エリアや、加熱エリアなどの高さを測定してもよい。
【0117】
・上記各実施形態では、トレイ18は静電気拡散性を有する樹脂材料より形成される場合について例示したが、これに限らず、トレイは静電気拡散性よりも高い導電性を有していてもよい。これにより、トレイを形成する材料などの自由度が高められるようになる。
【0118】
・上記各実施形態では、供給側ロボットハンドユニット20には4つの当接装置20A〜20Dが設けられている場合について例示したが、これに限らず、供給側ロボットハンドユニットは、当接装置を1つ、又は2つ以上の複数有していてもよい。これにより、電子部品把持部の構成の自由度が高められる。
【0119】
・上記各実施形態では、各当接装置20A〜20Dは一体として上下動する場合について例示したが、これに限らず、各当接装置は独立して上下動するようになっていてもよい。この場合、各当接装置にそれぞれ上下動用のモーターが設けられてもよい。
【0120】
・上記各実施形態では、各当接装置20A〜20Dはバッファー機能を有する場合について例示したが、各当接装置はその一部に又は全部にバッファー機能が設けられていなくてもよい。
【0121】
・上記第3の実施形態では、当接装置20Aの把持部32Aのみ絶縁され、その把持部32Aのみに近接検出装置40が接続されている場合について例示したが、これに限らず、複数の当接装置の把持部が絶縁され、それら把持部に近接検出装置がそれぞれ設けられてもよく、又は、それら把持部が一つの近接検出装置を共用してもよい。
【0122】
・上記第3の実施形態では、把持部32Aはジョイント33により受動部31に対して絶縁される場合について例示したが、これに限らず、把持部の独立した絶縁性が確保され、把持部に電荷を保持させることができるのであれば、把持部の絶縁性がどのような構造により確保されていてもよい。
【0123】
・上記各実施形態では、各測定ポイントCP11〜CP33は予め定められている場合について例示した。しかしこれに限らず、測定ポイントは、画像認識により逐次定めるようにしてもよい。例えば、図14に示すように、ICハンドラのコンベア上など設けられた撮像装置(図示略)によりトレイ18を上方から撮像し、その撮像されたトレイ18の画像87を画像処理して把持部の外形のサイズ32GSを重ね合わせて探し出された把持部による高さ測定の可能な位置を測定ポイントCP11などとして設定するようにしてもよい。
【0124】
・上記各実施形態では、ICチップTを載置させる部分である各ポケットPK11〜PK64はトレイ18の上面に凹設される場合について例示した。しかしこれに限らず、ICチップを載置させる部分は、トレイが移動した場合であれ、同トレイ上にICチップTを好適に保持できるものであれば、トレイの上面に凹設されていなくてもよく、ICチップを保持する部分に、例えば壁や柱などの突部を突出させてもよい。例えば、図15に示すように、トレイ18Aの上面180と電子部品載置位置181の高さが同じであるような場合、電子部品載置位置181の周囲にICチップの移動を防止するための突部182を設けてもよい。これにより、トレイの選択自由度が高められる。
【0125】
また、このようなトレイ18Aであれ、測定ポイントCP11Bを上述のように画像認識により設定することにより、その利便性が高められるようになる。
【符号の説明】
【0126】
10…電子部品検査装置としてのICハンドラ、11…ベース、12…安全カバー、13…高温チャンバ、14…供給ロボット、15…回収ロボット、16…第1シャトル、16A…ベース部材、16B,16C…チェンジキット、17…第2シャトル、17A…ベース部材、17B,17C…チェンジキット、18,18A…トレイ、19…作業エリア、20…供給側ロボットハンドユニット、20A〜20D…当接装置、21…回収側ロボットハンドユニット、22…検査用ヘッド、23…検査部、24A…第1のレール、24B…第2のレール、25…フレーム、30…支持部、31…受動部、30H,31H…エアー配管、32,32A…把持手段としての把持部、32B…凸部、32G…外筒部、32H…エアー通路、32J…連結部、32GS…サイズ、33…ジョイント、35…吸着ノズル、35H…吸着口、39…正圧回路、40…近接検出手段としての近接検出装置、41…第1のバルブ、41D,44D,46D…バルブ駆動回路、42…離脱用流量調整
弁、42P…離脱用圧力調整弁、43…高さ測定用流量調整弁、43P…高さ測定用圧力調整弁、44…第2のバルブ、45…流量計、45P…圧力計、46…第3のバルブ、47…負圧発生器、48…フィルタ、50…検査用ソケット、55…電荷チャージャー、56…電荷量測定器、57…切換器、58…配線、80…制御手段としての制御装置、85…入出力装置、87…画像、180…上面、181…電子部品載置位置、182…突部、T…電子部品としてのICチップ、C1〜C6…コンベア、CP11〜CP33,CP11B…測定ポイント、CC…クリーニングチップ、FX…X軸フレーム、PK11〜PK64,PS…ポケット、AR1〜AR5…配管、FY1…第1のY軸フレーム、FY2…第2のY軸フレーム、MX1…供給X軸モーター、MX2…回収X軸モーター、MY1…供給Y軸モーター、MY2…回収Y軸モーター、MZ1…供給Z軸モーター、MZ2…回収Z軸モーター、ROM…不揮発性メモリ、BMZ1…供給Z軸モーターブレーキ、EMX1…供給X軸モーターエンコーダー、EMY1…供給Y軸モーターエンコーダー、EMZ1…供給Z軸モーターエンコーダー、MXD1…供給X軸モーター駆動回路、MYD1…供給Y軸モーター駆動回路、MZD1…供給Z軸モーター駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイに載置されて搬入された電子部品の電気的検査を行うとともに、該検査された電子部品をトレイに載置させて排出する電子部品検査装置であって、
前記トレイに対して上下移動するとともに前記トレイとの間で前記電子部品を授受する把持手段と、
前記把持手段に接続され、前記トレイへの近接に応じた信号を出力する近接検出手段と、
前記把持手段の上下移動を制御するとともに、前記近接検出手段から出力される信号に基づいて前記トレイへの近接を検出する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記トレイへの近接が検出されたとき、前記把持手段の上下位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該測定されたトレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される前記電子部品の高さ位置を算出する
ことを特徴とする電子部品検査装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記把持手段を前記トレイにあって前記電子部品を載置させない位置の高さ位置を測定する
請求項1に記載の電子部品検査装置。
【請求項3】
前記トレイには、前記電子部品と同等の形状を有する補助部品が載置され、
前記把持手段は更に、前記制御手段の制御により前記トレイに対して水平方向に移動可能とされ、
前記近接検出手段は更に、前記補助部品への近接を検出可能であり、
前記制御手段は、前記補助部品への近接が検出されたとき、前記把持手段の上下位置を前記補助部品の高さ位置として測定するとともに、前記トレイにあって前記補助部品に隣接する位置の高さ位置を測定し、前記測定された補助部品の高さ位置と、前記補助部品に隣接する位置の高さ位置との差を求め、当該求められた差と前記測定されたトレイの高さ位置とに基づいて前記トレイに載置される前記電子部品の高さ位置を算出する
請求項1又は2に記載の電子部品検査装置。
【請求項4】
前記補助部品は、前記電子部品そのものである
請求項3に記載の電子部品検査装置。
【請求項5】
前記近接検出手段は、前記把持手段に所定の流量の気体を供給するとともに当該供給する気体の流量を測定する流量計を備え、
前記制御手段は、前記所定の流量の気体を前記把持手段から噴射させつつ当該把持手段を前記トレイに下降させ、前記近接検出手段から伝達される前記流量計の気体の測定流量に対応した信号に基づいて求められる当該気体の流量が予め設定された所定の流量よりも少なくなったとき、該把持手段の高さ位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該トレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される電子部品の高さ位置を算出する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品検査装置。
【請求項6】
前記近接検出手段は、前記把持手段に所定の圧力の気体を供給するとともに当該供給する気体の圧力を測定する圧力計を備え、
前記制御手段は、前記所定の圧力の気体を前記把持手段から噴射させつつ当該把持手段を前記トレイに下降させ、前記近接検出手段から伝達される前記圧力計の気体の測定圧力に対応した信号に基づいて求められる当該気体の圧力が予め設定された所定の圧力よりも高くなったとき、該把持手段の高さ位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該トレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される電子部品の高さ位置を算出する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子部品検査装置。
【請求項7】
前記近接検出手段は、前記把持手段に供給する気体の流量又は圧力を所定の値に調整することのできる調整弁を備える
請求項5又は6に記載の電子部品検査装置。
【請求項8】
前記トレイには、少なくとも電荷を拡散させる導電性が確保され、
前記把持手段には、前記電子部品検査装置に対して独立している導電性が確保され、
前記近接検出手段は、前記把持手段に電気的に接続されるとともに前記把持手段に付与された電荷を測定する電荷量測定器を備え、
前記制御手段は、電荷の付与された前記把持手段を前記トレイに下降させ、前記電荷量測定器から伝達される測定された電荷量に対応した信号に基づいて求められる電荷量が予め設定された所定の電荷量よりも少なくなったとき、該把持手段の高さ位置を前記トレイの高さ位置として測定して、当該トレイの高さ位置に基づいて前記トレイに載置される電子部品の高さ位置を算出する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品検査装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記トレイの少なくとも3箇所の高さ位置を測定し、当該少なくとも3箇所により規定される範囲に含まれる任意の位置における前記トレイの高さ位置を算出することができる
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子部品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−107010(P2011−107010A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263652(P2009−263652)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】