説明

電子部品用ポリマー基板

ある実施形態では、本発明は、電子部品をポリマー基板に固定し、かつ電子的に結合する方法を含む。この実施形態では、まずポリマー基板が用意される。ポリマー基板は、ポリマー基板に結合された結合剤に接するように配置された電子部品を有する。本実施形態はまた、ポリマー基板の少なくとも一部を熱源から保護するように構成された遮熱材を備える。遮熱材は、熱源からの熱が結合剤に伝わることを許容するように設けられている。そして、本実施形態では、結合剤が熱源にさらされた後、結合剤が硬化した際に、熱源からの熱の作用によって電子部品がポリマー基板に固定され、かつ電子的に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連米国出願)
本出願は、代理人整理番号がSYNA−20070201−A1.PRO、発明の名称が「電子部品用ポリマー基板」であり、2007年3月30日に出願され、特許出願の譲受人に譲渡された同時継続仮特許出願番号第60/921159号の優先権を主張し、参照によりそのすべてを本願明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
表面実装技術と製造プロセスが何十年にもわたって存在してきた。しかしながら、種々の技術が発展し、改良されるように、表面実装技術と製造プロセスもまた、増大する製造上の要求に応えるために発展し、改良される必要がある。これらの増大する要求は、処理量や生産量の増大、コストの低減、あるいはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0003】
表面実装技術と製造プロセスを改良するために、フレキシブル基板の使用が試みられている。フレキシブル基板の使用は、主として、デラウエア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.Du Pont De Nemours and Company)製のカプトン(登録商標)テープなどのポリイミド材料で形成されたフレキシブル基板への電子部品の実装を改善する。従来のフレキシブル基板は種々応用されて大きな利点をもたらす一方で、欠点も併せ持つ。
【0004】
上述のように、従来のフレキシブル基板は、通常、標準的な表面実装技術と製造プロセスにつきものである高温に対して適合すると考えられているポリイミド材料(例えば、カプトン(登録商標)テープ)などの高融点材料で形成されている。しかしながら、このようなポリイミド材料は概ね高額である。したがって、フレキシブル基板は、コストが重要な要素となる適用対象にとっては、必ずしも実現可能な解決方法とはならない。
【0005】
フレキシブル基板に付随するコストを削減するために、フレキシブル基板の使用と、より従来型で価格の安い標準プリント基板(printed circuit board:PCB)の使用との組み合わせが試みられている。このような取り組みにおいて、一部の部品および回路はフレキシブル基板に実装され、他の一部の部品および回路はリジッドPCB(rigid PCB)に搭載される。フレキシブル基板は、その後PCBに結合される。フレキシブル基板がリジッドPCBに結合される部分には、(フレキシブル基板とリジッドPCBとの剛性の違いによって)大きなストレスがかかる傾向にあり、この部分がしばしば組み立て体の故障原因となる。フレキシブル基板とリジッドPCBとの結合の補強が示唆され、試みられているが、このような補強によって製造プロセスにおけるコストが増大してしまう。
【0006】
したがって、従来のフレキシブル基板材料に付随するコストの増大を招くことなくフレキシブル基板の利点を引き出すことは有益なことであろう。さらに、故障の要因となり得る、フレキシブル基板のリジッド基板への結合を必要とすることなくフレキシブル基板の利点を引き出すことは有益なことであろう。
【発明の概要】
【0007】
(要約)
ある実施形態において、本発明は電子部品をポリマー基板に対して固定し、かつ電子的に結合する方法を含む。この実施形態において、ポリマー基板が用意される。ポリマー基板は、ポリマー基板に結合された結合剤に接するように配置された電子部品を有する。本実施形態はまた、ポリマー基板の少なくとも一部を熱源から保護するように構成された遮熱材を備える。遮熱材は、熱源からの熱が結合剤に伝わることを許容するように設けられている。そして、本実施形態では、結合剤が熱源にさらされて、結合剤が硬化した際に、熱源からの熱の作用によって電子部品がポリマー基板に固定され、かつ電子的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る、ボンディングパッドとこれに結合された導電配線とを有するポリマー基板の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、電子部品をポリマー基板に固定する方法を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る、結合剤に接するように配置された電子部品とポリマー基板保護用遮熱材を備えたポリマー基板を含む組み立て体の分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、裏面部材および表面部材と、それらの間に配置されたポリマー基板とが位置合わせされた、図3に示す組み立て体の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、結合剤に接するように配置された複数の電子部品とポリマー基板保護用遮熱材を備えたポリマー基板を一部に含む組み立て体の分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、裏面部材および表面部材と、それらの間に配置されたポリマー基板とが位置合わせされた、図5に示す組み立て体の斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、多層組み立て体を形成するために折り畳まれたポリマー基板の斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、ポリマー基板の第1面側および第2面側の両方に結合した電子部品を有するポリマー基板の側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る、容量検知装置と、これに結合した複数の電子部品を有するポリエステル基板を含む電子部品組み立て体の斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る、ポリエステル基板上に配置された露出金属層をマスクする方法を説明するフローチャートである。
【図11A】本発明の実施形態に係る、金属層が表面に配置されたポリエステル基板の側面図である。
【図11B】本発明の実施形態に係る、表面に配置された金属層と、一部の金属層上に配置されたマスクとを有するポリエステル基板の側面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る、ポリエステル基板上に配置された露出金属領域を表面処理する方法を説明するフローチャートである。
【図13】一部に表面処理が施された金属層が表面に配置されたポリエステル基板の側面図である。 本明細書において参照される図面は、特に注記する場合を除き、一定の縮尺で描かれているものとして理解されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
これより本発明の実施形態を詳細に説明する。実施形態の例は、添付の図面に示される。本発明は実施形態とともに説明されるが、実施形態は本発明を実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。それとは逆に、本発明は、本発明の精神および範囲内に含まれるであろう、代替形態、変更形態、および均等物を包含することが意図されている。さらに、以下に続く本発明の詳細な説明において、本発明の完全な理解のために多数の具体的細部が説明される。しかしながら、本発明がこれらの具体的細部がなくとも実施可能であることは当業者に自明であろう。他の例では、既知の方法、手順、部品、および回路は、本発明の態様を不必要に不明確にしないように、詳細には記載されない。
【0010】
図1には、ポリマー基板100の斜視図が示されている。図1の実施形態において、ポリマー基板は、第1の一組のボンディングパッド102aと、これに結合した第2の一組のボンディングパッド102bを有する。本発明の実施形態は、ポリマー基板100と、ボンディングパッド102aおよび/または102bとの間に配置される各種タイプの中間層のいずれかを設けることに適している。本実施形態では、第1の一組のボンディングパッド102aと第2の一組のボンディングパッド102bとが導電配線104を介して結合されている。図1の実施形態では、明瞭簡潔にするために、二組のボンディングパッド102aおよび102bのみと、一つの接続用導電配線104のみがポリマー基板100に結合された状態が示されている。理解されるであろうこととして、本発明は、より少ないか、あるいはより多いボンディングパッドと、これに対応する導電配線とがポリマー基板100に結合された実施形態にも適している。また、本発明の実施形態は、スクリーン印刷やフォトリソグラフィプロセスなどの、これらに限定されない多数の既知のボンディングパッド、および/または導電配線製造プロセスのいずれかを用いて形成された、ボンディングパッド102aおよび102bと導電性トレース104とを設けることに適している。さらに、ある実施形態において、ポリマー基板100は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)などの、これらに限定されないポリエステル材料を含むか、このようなポリエステル材料から成る。さらに、本発明の多様な実施形態において、ポリマー基板100は、熱可塑性プラスチック材料を含むか、熱可塑性プラスチック材料から成る。また、ここで説明される多様な実施形態において、ポリマー基板は約25〜200μmの範囲の厚さを有する。
【0011】
明瞭簡潔にするために、後の図面においても、少数のボンディングパッド102aおよび102bと、一つの接続用導電配線104のみがポリマー基板100に結合した状態を示す。
【0012】
図2には、電子部品をポリマー基板に固定する方法を説明するフローチャート200が示されている。本実施形態の方法のステップ202において、ポリマー基板に結合した結合剤に接するように配置された電子部品を有するポリマー基板が用意される。ある実施形態において、本方法では例えば図1のポリマー基板100などのポリマー基板が用意される。そのような実施形態では、電子部品は例えば、はんだペースト材料などのこれに限定されない結合剤を用いてボンディングパッド102aに結合されていてもよい。ポリマー基板に結合した結合剤に接するように配置された電子部品を有するポリマー基板の簡潔な実施態様は、図3に示されており、図2のステップ204によってさらに説明される。図3は、一部がポリマー基板100から成り、結合剤304に接するように配置された電子部品302を有する組み立て体300の分解斜視図である。
【0013】
ステップ204において、本実施形態は、ポリマー基板の少なくとも一部を熱源から保護するように構成された遮熱材を提供する。本出願の目的のために、ポリマー基板の少なくとも一部において熱源から発生した熱を遮断することで、遮熱材はポリマー基板の少なくとも一部を熱源から保護する。図2のステップ204をより明確に説明するために、再び図3を参照する。図3の組み立て体300には、裏面部材306および表面部材308を含むポリマー基板保護用遮熱材が含まれる。さらに注目されるべきこととして、ポリマー基板保護用遮熱材はまた、裏面部材306および表面部材308を位置合わせするように構成された位置合わせ機構を含む。本実施形態において、位置合わせ機構は、裏面部材306の突起部312a−312dと、表面部材308の受け部314a−314dを含む。ある実施形態において、突起部312a−312dを対応する受け部314a−314dに挿入することによって、裏面部材306と表面部材308の取り外し可能な結合が実現される。円形断面の突起部と受け部が4つだけ図3に示されているが、任意の数あるいは形状を有する、任意の数および型の適切な位置合わせ機構が採用可能であることが理解される。例えば、ここでは上述のような位置合わせ機構が説明されているが、本発明は、ピン、ホール、スロット、ガイド、およびヒンジ組み立て体、あるいは裏面部材306と表面部材308とを位置合わせする多様な他の機構もしくは方法のいずれかを含むがこれらに限定されない実施形態に適している。異なる位置合わせ機構を配置するために能動機構も使用することができる。例えば、ロボットシステムは、基板保護用遮熱材に対して基板を位置合わせすることができる。
【0014】
図2のステップ204を参照すると、本実施形態では、ポリマー基板保護用遮熱材が、熱源からの熱が結合剤304に伝わるように配置される。すなわち、ポリマー基板保護用遮熱材の表面部材308は、その部材内に形成された開口部310を有する。開口部310は、裏面部材306および表面部材308が、両者の間に配置されたポリマー基板100とともに位置合わせされた際に、電子部品302および結合剤304が熱源からの熱を受け取ることができるように配置されている。また、本発明の実施形態において、熱源は単段型熱源である。したがって、本発明の実施形態は、電子部品をポリマー基板に固定するために、多段型熱源の使用を必要としない。
【0015】
図4は、裏面部材306および表面部材308と、それらの間に配置されたポリマー基板100とが位置合わせされた組み立て体300の斜視図である。図4に示すように、電子部品302および結合剤304は、表面部材308の開口部310内に配置されており、そのため、結合剤304は、熱源と隣接するように配置された場合に熱を受け取ることができる。
【0016】
図2のステップ206を参照するに、続いて本方法では、結合剤304が熱源にさらされる。たとえば、赤外線リフロー炉などの熱源にさらされると、熱源からの熱によって結合剤304の活性化、リフロー、あるいは融解が起こる。赤外線リフロー炉に限らず、本発明は、蒸気リフローシステム、温風リフローシステムなどの、これらに限定されない他の熱源によって熱を発生させる実施形態に適している。結合剤304を熱源からの熱にさらすのを止めると、結合剤304は凝固する。結合剤304が凝固すると、凝固した結合剤は電子部品をポリマー基板100に固定するとともに電子的に結合する。一般に、ポリマー基板100に結合されたボンディングパッド、たとえば図1に示すボンディングパッド102aなどに電子部品が電子的に結合され、また固定されることは理解されるであろう。
【0017】
フローチャート200の各ステップは、最終製品を得るために任意の回数だけ繰り返すことができることは理解されるであろう。たとえば、ステップ202,204,206はすべて、様々な理由から同じポリマー基板について繰り返すことができる。本実施形態では、ステップ202の各繰り返しに対しては、同一のポリマー基板と異なる未結合の電子部品とが用いられる。ステップ204の各繰り返しについては、異なる一組のポリマー基板保護用遮熱材であって、それぞれが異なる電子部品を露出させるための異なる開口部を備えたものが用いられる。この場合、後の繰り返しに用いられるポリマー基板保護用遮熱材は、すでに結合された電子部品を収容して保護するための一つ以上の凹部あるいは他の機構を備える。本実施形態において、必要に応じて同一のあるいは異なる条件下(たとえば、温度、湿度、時間など)で、ステップ206を繰り返すことができる。
【0018】
別の実施例として、ステップ204と206だけが繰り返される。ある実施形態では、これらの二つのステップは、同じポリマー基板上の同じ電子部品セットに対して、この電子部品セットをポリマー基板に結合させるために繰り返される。ステップ204の各繰り返しについては、異なるポリマー基板保護用遮熱材であって、それぞれが特定の電子部品を収容して保護し、あるいは露出させるための異なる凹部あるいは他の機構を備えたものも用いることができる。ステップ206は、必要に応じて同一のあるいは異なる条件下(たとえば、温度、湿度、時間など)で繰り返すことができる。
【0019】
図2のいずれかあるいはすべてのステップの繰り返しを随意に含む図2に示す工程は、ポリマー基板の両面に電子部品を結合させるために採用することができる。各ポリマー基板保護用遮熱材の凹部および開口部は、表面部材および裏面部材のどちらか、あるいは両方に設けることができ、ポリマー基板の片側あるいは両側で部品を収容して保護し、あるいは露出させる。基板の両面への電子部品の結合は、製造工程200のステップの一回の実施で、あるいは製造工程200のステップの繰り返しで実施することができる。
【0020】
さらに、本発明の実施形態では、結合剤304として様々なタイプの結合剤を好適に用いることができる。一例として、本発明のある実施形態では、融点がおおよそ270℃である、従来のあるいは標準的なはんだを含む結合剤が用いられる。本発明の別の実施形態では、融点がおおよそ120℃である低温はんだを含む結合剤が用いられる。また、本発明の実施形態では、他の様々な溶融温度を有する他の様々な結合剤も好適に用いることができる。また、本発明の実施形態では、はんだを含まない結合剤も好適に用いることができる。
【0021】
さらに、本実施形態では、表面部材308はポリマー基板100の前面(すなわち、結合剤304および電子部品302が配置された側の表面)の少なくとも一部を熱源によって生じた熱から保護するように設定されている。特に、裏面部材306および表面部材308がこれらの間に配置されたポリマー基板100と位置合わせされた際に、ポリマー基板100の前面における開口部310によって露出していない部分が、隣接して配置された熱源によって生じた熱から保護される。その結果、ポリマー基板100の保護された部分は、結合剤304のリフロー、融解または活性化に必要な高温にさらされることがない。したがって、本発明の実施形態によれば、従来であれば基板として用いることができなかった材料でポリマー基板100を形成することができる。すなわち、本発明の実施形態によれば、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)などの材料でポリマー基板100を形成することができる。さらに、本発明の種々の実施形態において、ポリマー基板100は、熱可塑性プラスチック材料を含んで形成される。本発明の実施形態がなされるより前は、表面実装技術(surface mount technology:SMT)製造プロセスにおいて基板にPETやPENなどの材料を用いることは不可能であり、また実際、不可能であると思われていたことは理解されるべきである。
【0022】
従来のSMT製造プロセスでは、リフロー温度が、低融点はんだに対してのおおよそ120℃から通常のはんだに対しての270℃の範囲に及ぶ。対照的に、PETのガラス転移温度は、おおよそ79℃である。ガラス転移温度が、その温度以上で非晶質材料(PET、PENなど)が液体のように振る舞う(すなわち、ゴム状態となる)温度であることは理解されるであろう。したがって、本発明の実施形態よりも前には、ゴム状態となるPETのようなポリエステル基板は、巻きや反りに悩まされるおそれがあり、結局SMTプロセスにおいて基板として用いるには適していなかったであろう。
【0023】
本発明の実施形態において、ポリマー基板保護用遮熱材は、結合剤304が加熱されている間、ポリマー基板100に構造的剛性を付与する。特にこのポリマー基板保護用遮熱材は、裏面部材306と表面部材308とがこれらの間に配置されたポリマー基板100と位置合わせされると、裏面部材306と表面部材308との間でポリマー基板100を堅く保持する。その際、ポリマー基板100の(表面部材308の開口部310によって露出された)一部がガラス転移温度を上回る温度にさらされた場合であっても、ポリマー基板100の露出部分は、巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こすことはない。むしろ、このポリマー基板保護用遮熱材は、リフロー工程においてもポリマー基板100を位置固定された状態に維持する。すなわち、ポリマー基板100のうち、裏面部材306および表面部材308によって熱から保護されている部分は、ポリマー基板100のうち熱源によって生成される熱から保護されていない部分を拘束する。その結果、ポリマー基板100の開口部310を介して露出している部分がガラス転移温度よりも高い温度で加熱された場合であっても、その周囲の保護された(ガラス転移温度よりも高い温度で加熱されない)部分がポリマー基板100の露出部分の形状を維持して、露出部分が巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こさないようにする。したがって、本発明の実施形態によれば、ポリマー基板100を、従来は基板として用いることができなかった材料で形成することができる。すなわち、本発明の実施形態によれば、ポリマー基板100を、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)、もしくは、SMT製造プロセスに付随する温度未満のガラス転移温度を有する他の熱可塑性プラスチック材料などの材料で形成することができる。
【0024】
さらに、ポリマー基板保護用遮熱材は、結合剤を熱源にさらした後に電子部品およびポリマー基板に能動的な冷却処理を施すことなく、電子部品をポリマー基板に固定して結合させることを可能にする。すなわち、ポリマー基板保護用遮熱材を用いることで、ポリマー基板100は十分に熱から保護され、これによりポリマー基板100は、結合剤を熱源にさらした後の能動的な冷却処理を必要とすることなく、自身に電子部品を結合させることができる。
【0025】
図5には、結合剤304に接するように配置された複数の電子部品302,502,504を有するポリマー基板を一部に含む組み立て体500の分解斜視図が示されている。図5の組み立て体500には、裏面部材306および表面部材308を含むポリマー基板保護用遮熱材が含まれる。より具体的には、ポリマー基板保護用遮熱材の表面部材308は開口部310,506,508を備える。開口部310,506,508は、裏面部材306および表面部材308が、両者の間に配置されたポリマー基板100と位置合わせされた際に、電子部品302,502,504と結合剤304とが熱源からの熱を受け取ることができるように配置されている。
【0026】
図6は、裏面部材306および表面部材308と、それらの間に配置されたポリマー基板100とが位置合わせされた組み立て体500の斜視図を示す。図6に示すように、電子部品302,502,504(および対応する結合剤304)は、それぞれ表面部材308の開口部310,506,508内に配置され、これにより結合剤304は、熱源に隣接して配置された際に熱を受け取ることができる。したがって、本発明の実施形態によれば、ポリマー基板の少なくとも一部を熱源から保護しながら、熱源からの熱が結合剤に伝わることを可能にするように特別に設定された、カスタマイズされた遮熱材が提供される。より具体的には、本発明の実施形態によれば、ポリマー基板100の少なくとも一部を熱源から保護するとともに、ポリマー基板100上における、ポリマー基板100に結合した結合剤304に接するように電子部品(302、502、および504)が配置された複数の場所に、熱源からの熱が伝わることを可能にするように特別に設定された遮熱材が提供される。組み立て体500は、図3および4の説明と併せて上述したように作動し、利用される。明瞭簡潔にするためにその説明は繰り返さない。
【0027】
上述のように、図5に示す組み立て体は、複数の開口部310,506,508を含むため、複数の電子部品302,502,504に結合した結合剤304を同時に加熱することができる。本発明の実施形態はまた、一連のポリマー基板保護用遮熱材のそれぞれを連続的に用いて、各位置の結合剤304を熱源からの熱にさらすのに適している。そのようなものの一例として、3つ未満の開口部を有する第1のポリマー基板保護用遮熱材(例えば、表面部材308に開口部310および開口部506のみを有するもの)が熱源にさらされる。その際、最終的に結合剤304が電子部品302,502をポリマー基板100に結合する。次に、3つ未満の開口部を有する第2のポリマー基板保護用遮熱材(例えば、表面部材308に開口部508のみを有するもの)が熱源にさらされる。その際、最終的に結合剤304が電子部品504をポリマー基板100に結合する。したがって、本発明の実施形態は、一以上のポリマー基板保護用遮熱材を用いて複数の結合剤の位置を熱源からの熱にさらすのに適している。
【0028】
上述のように、本発明の実施形態によれば、ポリマー基板100を、例えば、SMT製造プロセスに付随する温度未満のガラス転移温度を有する、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはポリエチレンナフタレート(PEN)などの材料で形成することができる。さらに、本発明の様々な実施形態において、ポリマー基板100は様々な熱可塑性プラスチック材料のいずれかで形成することができる。その結果、本発明の実施形態によれば、フレキシブル基板の製造にともなうコストが大幅に削減される。特に、PETおよびPENなどの、これらに限定されない低温基材の使用が可能になることによって、本発明の実施形態によれば、従来のフレキシブル基板材料に付随するコストの増大を招くことなくフレキシブル基板の利益を得ることができる。さらに、本発明の実施形態によれば、故障を起こしやすい、リジッド基板へのフレキシブル基板の結合を必要とすることなくフレキシブル基板の利益を得ることができる。それどころか、本発明の実施形態によれば、例えばPETまたはPENなどの低コストのポリマー材料からなる単一の連続するシート上に、完全な集積回路を完全に製造することができる。さらに、PETおよびPENは、それらに関連する大きな利点を有する。従来のポリイミド材料(例えば、カプトン(登録商標)テープ)と比べて実質的に低価格であることに加えて、PETおよびPENなどのポリエステル材料は、ポリイミド材料よりも簡単に再生利用され、また、PETおよびPENは透明にすることができる。
【0029】
また、本発明の実施形態が他の様々なSMTプロセスにも適していることは指摘されるべきである。明瞭簡潔にするために、図3〜6は、(例えば、PETあるいはPENから成る)ポリマー基板100に結合したボンディングパッドに対する、二つの端末装置(例えば電子部品302,502,504)の結合を示している。しかしながら、理解されるべきは、本発明の実施形態がいくつもの端末装置に結合した電子部品(図7に示された702cのように)の利用に適していることである。例えば、クアッドフラットパッケージ(QFP)、クアッドフラットノーリード(QFN)、あるいはボールグリッドアレイ(BGA)などの様々なパッケージタイプの集積回路を基板に搭載することができる。本発明の実施形態はまた、ポリマー基板100に電子部品を電気的に結合するワイヤボンディングSMTプロセスの使用にも適している。そのような取り組みの一つとして、多くの実施形態で用いられ得るリジッド基材を必要とすることなく、ワイヤボンディングプロセスがポリエステル基板に対して実施される。さらに、そのような本発明の実施形態では、ポリエステル基板は、ポリマー基板に結合したボンディングパッドに配置された集積回路の電気的結合に用いられるワイヤに通常塗布される封止剤の堆積に耐える。また、本発明の実施形態はまた、電子部品をポリマー基板100に対して電気的に結合するフリップチップSMTプロセスの使用に適している。そのような実施形態の一つとして、集積回路を複数の対応するボンディングパッドに結合させるための異方性導電膜を設けるために、熱した金型が用いられる。本発明の実施形態は、(例えば、PET、PEN、あるいは任意の様々な熱可塑性プラスチック材料などの)ポリマー基板が、巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こすことなく、SMTプロセスに付随する加熱に耐えることができることを明確に示している。
【0030】
図7には、多層組み立て体を形成するために折り畳まれたポリマー基板100の斜視図が示されている。図7に示すように、本発明の実施形態は、ポリマー基板100を用いた多層組み立て体の形成と、図1〜6を用いて説明した上述の方法および構造に適している。図7に示される実施形態では、ポリマー基板100は、図1〜6を用いて説明した上述の方法および構造を利用して、結合剤を介して自身に結合された複数の電子部品702b〜702dを有する。図7の実施形態では、ポリマー基板100は自身に形成された開口部703を有している。図7に示すように、ポリマー基板100は、多層組み立て体を形成するために折り重ねることができる。そのような実施形態では、ポリマー基板100の開口部703は、例えば電子部品702bなどの開口部内に位置する電子部品に熱をかけることができる開口部として用いられる。すなわち、本発明の実施形態は、単層のポリマー基板組み立て体に限定されない。反対に、(上に詳細に記載されたような)本発明の実施形態は、従来のSMTプロセスを組み合わせた、ポリマー基板100を用いた多層組み立て体の形成に適している。多層基板は、多くの場合、より少ない層の基板を積層して形成される。別の方法は、折り畳みによるものである。
【0031】
図8には、ポリマー基板100の第1面側および第2面側の両方に結合した電子部品を有するポリマー基板100の側面図が示されている。図8の実施形態では、電子部品802a,802bが、ポリマー基板100の第1面側に結合した図示しない結合剤に接するように配置されている。また、電子部品802c,802d,802eが、ポリマー基板100の第2面側に結合した図示しない結合剤に接するように配置されている。ここで、ポリマー基板100の第2面側は、ポリマー基板100の第1面側と反対側である。本発明のある実施形態では、ポリマー基板100の第1面側にある一以上の電子部品(802aおよび802b)と、ポリマー基板100の第2面側にある一以上の電子部品(802c、802d、および802e)との電気的な結合を容易に行うことができるように、スルーホール804内に導電経路が形成されている。図8に示される実施形態は、ポリマー基板100と、図1〜6を用いて説明した方法および構造とを用いて実現される。すなわち、本発明の実施形態は、ポリマー基板100の一面側のみに電子部品を配置する構成に限定されない。反対に、(上に詳細に記載されたような)本発明の実施形態は、従来のSMTプロセスを用いてポリマー基板100の二以上の面に電子部品を配置することに適している。
【0032】
図9には、容量検知装置902と、これに結合した複数の電子部品904a〜904fを有するポリマー基板100を含む電子部品組み立て体900の斜視図が示されている。本実施形態では、ポリマー基板100はポリエステル材料(例えばPETあるいはPENなど)から成る。また、本発明の様々な実施形態では、ポリマー基板100は熱可塑性プラスチック材料から成る。図9の実施形態では、容量検知装置902がポリエステル基板100の第1領域906に配置され、複数の電子部品904a〜904fがポリエステル基板100の第2領域908に配置されている。さらに、図9の実施形態では、複数の電子部品904a〜904fは、容量検知装置902に対応している。すなわち、複数の電子部品904a〜904fは、容量検知装置902と連動する部品を含んで構成されている。容量検知装置902および複数の電子部品904a〜904fは、ポリエステル基板100に結合した導電配線910を介して結合している。図9の電子部品組み立て体900に示される実施形態では、複数の電子部品904a〜904fは、図1〜6を用いて説明した方法および構造を用いて、ポリマー基板に結合されている。また、複数の電子部品904a〜904fが図9の電子部品組み立て体900に示されているが、本発明の実施形態はまた、ポリエステル基板100に結合した単一の電子部品のみを備えた構成にも適している。同様に、本発明の実施形態は、従来のSMTプロセスを用いて、ポリエステル基板100の二以上の面に電子部品を配置する構成に適している。
【0033】
引き続き図9を参照すると、電子部品組み立て体900は、ポリエステル基板100をリジッド基板に結合させることを必要とせずに十分に使用可能である、独立して使用可能な電子部品組み立て体として機能する。その結果、本発明の実施形態は、フレキシブル基板の製造にともなうコストを大幅に削減することができる。特に、例えばPETおよびPENなどのポリエステル基板といった、これらに限定されない低温基材の使用が可能になることによって、本発明の実施形態によれば、従来のフレキシブル基板材料(例えば、カプトン(登録商標)テープなどのポリイミド材料)に付随するコストの増大を招くことなくフレキシブル基板の利益を得ることができる。さらに、本発明の実施形態によれば、故障を起こしやすい、リジッド基板へのフレキシブル基板の結合を必要とすることなくフレキシブル基板の利益を得ることができる。それどころか、本発明の実施形態によれば、例えばPET、PEN、あるいは任意の他の様々な熱可塑性プラスチック材料などの低コストのポリエステル材料からなる単一の連続するシート上に、完全なフレキシブル電子部品組み立て体(容量検知装置と、それに対応する電子部品など)を完全に製造することができる。
【0034】
図10には、ポリエステル基板上に配置された露出金属層をマスクする方法を説明するフローチャート1000が示されている。ステップ1002において、本実施形態の方法では、露出金属層が配置されたポリエステル基板1002が用意される。金属層1104が配置されたポリエステル基板は、図11A〜11Bに図示されている。図11A〜11Bについては、図10のフローチャート1000の説明と併せてさらに記述される。図11Aは、金属層1104が表面に配置されたポリエステル基板1102の側面図である。金属領域1104g,1104h,1104i,1104jは、最終的に露出されたまま(すなわち、マスクされない状態)である。本実施形態では、ポリエステル基板1102は、PETあるいはPENなどの、これらに限定されない材料を含んで形成される。また、本発明の様々な実施形態では、ポリマー基板100は、熱可塑性プラスチック材料を含んで形成される。金属層は最終的に、例えば導電配線、ボンディングパッド、ランディングパッドなどのパターンを含むことができることは理解されるであろう。本発明の実施形態はまた、ポリエステル基板1102の両面(上面および下面)に露出金属層が配置されたポリエステル基板に対する、以下に示すマスク処理の実施に適している。
【0035】
図10のステップ1004と図11Bとに示すように、本実施形態では、ポリエステル基板1102に対してマスク処理が実施され、露出金属層1104には、マスク層(1108a,1108b,1108c,1108d,1108eとして示される)が配置される。マスク層1108a,1108b,1108c,1108d,1108eは、金属層1104のうち下にある部分(1104a,1104b,1104c,1104d,1104eとして示される)を、例えば、続くSMTプロセス、周囲環境への露出などから保護するために用いられる。
【0036】
ある実施形態では、マスク処理は、例えば、カバーレイフィルム積層、あるいは液状感光性(LPI)ソルダーレジスト処理などの従来のマスク処理である。従来のカバーレイフィルム積層は、おおよそ150℃の温度で行われる。LPIソルダーレジスト処理は、おおよそ20〜25℃の温度で実施される初期堆積ステップを含む。LPIソルダーレジスト処理では、初期堆積処理に続いて、おおよそ100℃の温度での硬化ステップが実施される。したがって、本発明の実施形態によれば、ポリエステル基板1102を、従来は基板として使用できなかった材料で形成することができる。すなわち、本発明の実施形態によれば、ポリエステル基板1102を、例えば、従来の金属層マスク処理に付随する温度未満のガラス転移温度を有する、PETあるいはPENなどの材料で形成することができる。
【0037】
さらに図10のステップ1004と図11Bとを参照するに、注目すべきこととして、本発明の実施形態によれば、ポリエステル基板1102を続く製造工程に適さない状態とすることなく、マスク処理を実施することができる。すなわち、本発明の実施形態は、(例えば、PETあるいはPENなどの)ポリエステル基板が、巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こすことなく、マスク処理に付随する加熱に耐えられることを示している。理解されるべきこととして、本発明の実施形態が得られる前には、カバーレイフィルム積層やLPIソルダーレジスト処理などのマスク処理に、PETおよびPENなどの材料を使用することは不可能であり、また実際に不可能であると信じられていた。今後は、本発明の実施形態により、PET、PEN、あるいは任意の様々な他の熱可塑性プラスチック材料などの低温基材には適さないと従来考えられていたマスク処理に、ポリエステル基板1102を用いることができる。従来のマスク処理は、ポリエステル基板の巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こすことが認められていた。したがって、カバーレイフィルム積層処理では、上昇した温度および圧力下での積層処理中の配置形状(アラインメント)を保つために工具を用いている。さらに、LPIソルダーレジスト処理では、PETおよびPENの接着に適したLPIソルダーレジスト材料を選択している。LPIソルダーレジスト材料は、好ましくは基板が巻き、反り、あるいは望ましくない変形を起こさない温度で接着される。LPIソルダーレジスト材料は、好ましくは、続くSMTプロセスを経て損傷することなく残るものが選択される。
【0038】
図12には、ポリエステル基板上に配置された露出金属領域を表面処理する方法を説明するフローチャート1200が示されている。ステップ1202において、本実施形態の方法では、露出金属層が配置されたポリエステル基板が用意される。露出金属層が配置されたポリエステル基板は、図11Bに図示されている。本実施形態では、ポリエステル基板1002は、PETあるいはPENなどの、これらに限定されない材料を含んで形成されている。また、本発明の様々な実施形態では、ポリエステル基板1002は、熱可塑性プラスチック材料を含んで形成されている。上述のように、金属層1104の領域1104g,1104h,1104i,1104jは、露出金属領域を含む。ある実施形態では、金属層1104、ひいては、露出金属領域1104g,1104h,1104i,1104jは、銅を含んで形成される。理解されるべきこととして、金属層は最終的に、例えば、導電配線、ボンディングパッド、ランディングパッドなどのパターンを含み得る。本発明の実施形態はまた、ポリエステル基板1102の両面(上面および下面)に露出金属層が配置されたポリエステル基板に対する、以下に示すマスク処理の実施に適している。さらに理解されるべきこととして、銅は、すぐに酸化する、化学的に活性のある金属である。したがって、露出金属領域1104g,1104h,1104i,1104jに表面処理を施さないと、直ちに酸化してしまい、後に続くはんだ付けに不適切な状態となってしまう。金属層1104は銅を含んで形成されると説明したが、本発明の実施形態は、銅以外の金属を含んで形成される金属層への使用にも適している。
【0039】
図12のステップ1204と図13とを参照するに、本発明の実施形態では、続いて、ポリエステル基板1102に表面処理を施し、露出金属領域1106a,1106bには、表面処理層1302a,1302bがそれぞれ積層される。本発明の実施形態は、熱風平滑化はんだ付け(hot air solder level:HASL)、浸漬貴金属めっき(immersion precious metal plating)、および有機被膜表面保護(organic surface protectant:OSP)などの、これらに限定されない表面処理方法の実施に適している。具体的には、本発明の実施形態では、例えば、無電解ニッケル浸漬金めっき(ENiG)、浸漬すずめっき、および浸漬金めっきなどの表面処理方法が用いられる。従来の処理条件では、ポリエステル基板の損傷が認められた。したがって、ポリエステル基板が巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こさない表面処理方法の開発が望まれている。これは、ポリエステル基板が後に続く製造工程に不適切な状態とならない温度で処理を実施することで、達成することができる。別の実施形態では、基板を固定具に固定して、任意の昇温処理の間、基板が巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こさないようにしている。
【0040】
さらに図12のステップ1204と図13とを参照するに、注目すべきこととして、本発明の実施形態によれば、ポリエステル基板1102を後に続く製造工程に不適切な状態とすることなく、表面処理を実施することができる。すなわち、本発明の実施形態は、(例えば、PETあるいはPENなどの)ポリエステル基板が、巻き、反り、あるいは他の望ましくない変形を引き起こすことなく、このような表面処理に耐えられることを示している。理解されるべきこととして、本発明の実施形態が得られる前には、HASL、浸漬貴金属めっき、およびOSPなどの表面処理方法とともに、PETおよびPENなどの材料を使用することは不可能であり、また実際に不可能であると信じられていた。今後は、本発明の実施形態により、PET、PEN、あるいは他の熱可塑性プラスチック材料などの低温基材には適さないと従来考えられていた表面処理方法に、ポリエステル基板1102を用いることができる。
【0041】
ここに記載した本発明の実施形態は例として示されたに過ぎず、本発明を網羅することを意図するものではなく、本発明を実施形態の構成に限定することを意図するものでもない。そして、上述の教示を踏まえた多くの変更と変形が可能であることは明らかである。各実施形態は、本発明の原理とその応用について最もよく説明するために、そして、それにより当業者が、意図する具体的な使用に適した様々な変更とともに、本発明および様々な実施形態を最良の形で利用できるように、選択され、開示されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品をポリマー基板に対して固定し、かつ電子的に結合する方法であって、
結合剤が結合され、当該結合剤に接するように配置された前記電子部品を有する前記ポリマー基板を用意するステップと、
前記ポリマー基板の少なくとも一部を単段型熱源から保護するように構成された遮熱材であって、前記単段型熱源からの熱が前記結合剤に伝わることを許容するように構成された遮熱材を設けるステップと、
前記結合剤が硬化した際に、前記単段型熱源からの熱の作用により前記電子部品が前記ポリマー基板に固定され、かつ電子的に結合されるように、前記結合剤を前記単段型熱源にさらすステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ポリマー基板を用意するステップは、結合剤が結合され、当該結合剤に接するように配置された前記電子部品を有するポリエステル基板を用意することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリエステル基板は、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー基板を用意するステップは、前記ポリマー基板に結合したはんだを含む結合剤に接するように配置された前記電子部品を有する前記ポリマー基板を用意することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリマー基板を用意するステップは、前記ポリマー基板に結合した低融点はんだを含む結合剤に接するように配置された前記電子部品を有する前記ポリマー基板を用意することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー基板の少なくとも一部を単段型熱源から保護するように構成された遮熱材を設けるステップは、前記ポリマー基板の少なくとも一部を単段型熱源から保護するとともに、前記単段型熱源からの熱が前記結合剤に伝わることを許容するように設定された遮熱材を設けることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー基板の少なくとも一部を単段型熱源から保護するように構成された遮熱材を設けるステップは、前記ポリマー基板の少なくとも一部を単段型熱源から保護するとともに、前記ポリマー基板に結合した各結合剤に接するように電子部品が配置された、前記ポリマー基板上の複数の位置に、前記単段型熱源からの熱が伝わることを許容するように設定された遮熱材を設けることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー基板に電子部品を固定する前記方法は、前記ポリマー基板に配置された複数の結合剤のそれぞれに接するように配置された複数の電子部品に対して連続的に繰り返されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー基板に結合された結合剤に接するように配置された前記電子部品を有する前記ポリマー基板を用意するステップは、前記ポリマー基板の第1面側に結合された結合剤に接するように配置された第1電子部品と、前記ポリマー基板の第2面側に結合された結合剤に接するように配置された第2電子部品とを有する前記ポリマー基板を用意することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリマー基板に電子部品を固定し、かつ電子的に結合する前記方法は、前記結合剤を前記単段型熱源にさらした後に、前記電子部品および前記ポリマー基板に能動的な冷却処理を施すことを必要としないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー基板を用意するステップは、表面に補強構造を有する前記ポリマー基板を用意することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー基板の少なくとも一部を単段型熱源から保護するように構成された遮熱材を設けるステップは、前記ポリマー基板への前記電子部品の固定および電子的結合の後に、前記ポリマー基板へのさらなる電子部品の結合を許容可能に形成された少なくとも一つの開口部を有する遮熱材を設けることを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項13】
ポリエステル基板に配置された露出金属領域の表面処理方法であって、
露出金属領域が配置されたポリエステル基板であって、さらに、マスクされた金属領域が配置されたポリエステル基板を用意するステップと、
前記露出金属領域に表面処理層が形成されるように、前記ポリエステル基板に表面処理を施すステップと、を含み、
前記表面処理は、前記ポリエステル基板を後に続く製造工程に不適切な状態とすることなく実施されることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記露出金属領域が配置された前記ポリエステル基板を用意するステップは、銅ボンディングパッドを含む露出金属領域が配置された前記ポリエステル基板を用意することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記表面処理は、熱風平滑化はんだ付け、浸漬貴金属めっき、および有機被膜表面保護からなる群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記露出金属領域が配置された前記ポリエステル基板を用意するステップは、前記ポリエステル基板の第1面側に配置された前記露出金属領域と、前記ポリエステル基板の第2面側に配置された第2露出金属領域とを有する前記ポリエステル基板を用意することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
第1領域と第2領域とを有するポリエステル基板と、
前記ポリエステル基板の前記第1領域に結合された容量検知装置と、
前記ポリエステル基板の前記第2領域に固定され、かつ電子的に結合された電子部品であって、前記容量検知装置に対応するとともに、前記ポリエステル基板に結合された配線を介して前記容量検知装置に結合された電子部品と、
を備えたことを特徴とする電子部品組み立て体。
【請求項18】
前記電子部品組み立て体は、前記ポリエステル基板のリジッド基板への結合を必要とせずに使用可能である、独立して使用可能な電子部品組み立て体であることを特徴とする請求項17に記載の電子部品組み立て体。
【請求項19】
前記ポリエステル基板における、前記第2領域が配置された側と反対側に固定され、かつ電子的に結合された第2電子部品をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の電子部品組み立て体。
【請求項20】
単段型熱源から発生した熱からポリマー基板の裏面の少なくとも一部を保護するように構成された裏面部材と、
前記単段型熱源から発生した熱からポリマー基板の表面の少なくとも一部を保護するように構成された表面部材であって、前記単段型熱源から発生した熱が前記ポリマー基板に配置された結合剤に伝わるのを許容するように構成された表面部材と、
前記裏面部材および前記表面部材を位置合わせするように構成された位置合わせ機構と、を備え、
前記ポリマー基板に対して加熱時の構造的剛性を付与するように、前記表面部材と前記裏面部材との間にポリマー基板が挟まれて位置合わせされるように構成されたことを特徴とするポリマー基板保護用遮熱材。
【請求項21】
ポリエステル基板に配置された露出金属層をマスクする方法であって、
露出金属層が配置されたポリエステル基板を用意するステップと、
前記露出金属層にマスク層が配置されるように、前記ポリエステル基板にマスク処理を施すステップと、を含み、
前記マスク処理は、前記ポリエステル基板を後に続く製造工程に不適切な状態とすることなく実施されることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記マスク処理は、カバーレイフィルム積層、および液状感光性ソルダーレジスト処理からなる群から選択されることを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−524207(P2010−524207A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501230(P2010−501230)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/058525
【国際公開番号】WO2008/121741
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(502161508)シナプティクス インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】