説明

電極を含むカーボンナノチューブの製造方法

【課題】
ナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブとを含むマトリックス材を提供する。
【解決手段】
カーボンナノチューブ作製に適した条件下で、ナノサイズ金属材料をカーボンソースに接触させて、ナノサイズ金属材料上にカーボンナノチューブを生成させることにより、ナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブとを含むマトリックス材を作製させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は先に2007年3月16日に出願された米国特許出願第11/723、815号の優先権を主張する。本出願は、すべての目的の為にこの先の米国特許出願の内容のすべてを包含する。
【0002】
本願発明はカーボンナノチューブの製造のためのナノサイズの金属粒子を利用した電極を含むカーボンナノチューブの製造方法に関するものである。さらに、ナノチューブとこのナノチューブ製造に用いられ、ナノチューブ間に均一に分散された金属触媒とからなる混合組成物を開示する。
【背景技術】
【0003】
炭素基材電極、特に燃料電池に用いられる電極混合組成物にとって、凝集していない金属粒子を均一に分散させることが性能を決定する一つの重要な要因である。電極混合組成物を作製する公知の方法には、ナノサイズの金属粒子を既に作製したカーボンマトリックス材中に分散させるものや既に作製したカーボンマトリックス材中に存在する有機金属合成物を分解させるものが含まれている。これらの公知の作製方法を用いる場合、極めて微小な金属粒子の凝集および分解する有機金属合成物から初期形成される粒子の粒子サイズを制御することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーボンマトリックス材内およびカーボンマトリックス材間で均一に金属粒子を分散させた電極を製造するのに用いられる混合組成物を作製する方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、触媒金属塩と担持体材料と複数の溶媒とを用意し、まずこの触媒金属塩を用意した第一の溶媒と接触させて金属塩含有溶液を作製して、カーボンナノチューブを作製する方法を開示するものである。用意した担持体材料を用意した第二の溶媒と接触させて、担持体材料の縣濁液を作製し、この縣濁液をさらに作製した金属塩含有溶液と接触させ、金属触媒が担持体材料上に担持された被担持金属触媒を作製する。この後、第1および第2の溶媒を除去して、被担持金属触媒を加熱する。さらに加熱した後の担持金属触媒を粉砕して、被担持金属触媒粉末を作製する。この被担持金属触媒粉末を、カーボンソースと接触させて、カーボンナノチューブと被担持金属触媒粉末上にカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを生成させる。
【0006】
本明細書が開示する別の方法は、触媒金属塩と表面活性剤と担持体材料とを用意するステップと、前記触媒金属塩と前記表面活性剤とを接触させて第一の混合物を生成させるステップと、この第一の混合物を加熱して金属触媒ナノ粒子を生成させるステップと、を含むものである。この金属触媒ナノ粒子を担持体材料に接触させて、被担持金属触媒ナノ粒子を生成させ、この被担持金属触媒ナノ粒子を乾燥した後、カーボンソースと接触させて、カーボンナノチューブと被担持金属触媒ナノ粒子上にカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを生成させるものである。金属触媒ナノ粒子の直径が約1ナノメ−タから約11ナノメ−タである。
【0007】
マトリックス材の作製方法も提供する。マトリックス材の製造方法は、ナノサイズの金属触媒粒子を用意するステップと、このナノサイズの金属触媒粒子をカーボンナノチューブ製造に適した条件でカーボンソースに接触させるステップと、カーボンナノチューブを製造するステップと、カーボンナノチューブ内に分散した前記ナノサイズの金属触媒粒子を含むマトリックス材を生成させるステップと、を含むものである。
【0008】
本明細書は、さらに、ナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブと、を含むマトリックス材を開示し、このマトリックス材においてカーボンナノチューブはカーボンナノチューブ製造に適した条件でナノサイズ金属材料をカーボンソースに接触させると同時にナノサイズ金属材料によって製造されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付した図は、本発明の内容を十分に理解してもらうためのものであり、本明細書の一部を構成するものであり、本発明の様々な実施形態を示すものであり、以下の発明の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明するものである。
【0010】
【図1】本発明の製造方法により製造された典型的な材料のマイクロ写真である。
【図2】本発明に係る材料に空気を100sccmの流量で流し、5℃/分の加熱速度で加熱したときにおきる酸化反応を示す示差熱分析結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、触媒金属塩と担持体材料と複数の溶媒とを用意してカーボンナノチューブを作製する第一の方法を開示する。用意した触媒金属塩を用意した第一の溶媒と接触させて、金属塩含有溶液を生成させる。用意した担持体材料を用意した第2の溶媒と接触させて担持体材料縣濁液を生成させる。生成させた金属塩含有溶液を生成させた担持体材料縣濁液と接触させて、被担持金属触媒を生成させた後、第一の溶媒と第二の溶媒を除去する。この後、溶媒除去後の被担持金属触媒を加熱し、さらに粉砕して被担持金属触媒粉末を製造する。この被担持金属触媒粉末をカーボンソースに接触させることにより、カーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを被担持金属触媒粉末上に生成させる。
【0012】
第一の溶媒と第二の溶媒はそれぞれ独立して、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリコール、テトラハイドロフランおよびこれらの混合物から成る群から選ばれる、少なくとも一つを含むものである。
【0013】
第一の方法は、さらに被担持金属触媒粉末上に生成したカーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを十分に強い強酸に接触させて、担持体材料を除去するステップを含んでもよい。この酸は、フッ酸、硫酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、少なくとも一つの酸を含むものである。
【0014】
硫酸を用いるとマグネシアにより担持される材料に有害であることがわかっている。同様に、硝酸を用いると、硝酸が鉄含有触媒材料から沁みだしたり、鉄分を除去してしまったりする。
【0015】
担持体材料を除去した後、さらに被担持金属触媒粉末上のカーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とにマイクロ波を照射して、カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料を酸化させる。またいかなる手段を用いてもよいがカーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを、カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料を酸化するのに適した温度まで加熱してもよい。この加熱工程、約350℃までとすることができる。これらの加熱ステップは、好ましくは大気条件下または乾燥空気条件下のような酸化性雰囲気で行なう。
【0016】
担持体材料は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトからなるグループから選ばれる少なくとも一つの材料を含むものであればよい。
【0017】
本発明の製造方法に用いる触媒金属塩は、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの金属を含むものである。本発明の製造方法に用いる触媒金属塩は、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩酸塩、水酸化塩、アセチルアセトネートおよびこれらの混合物を含むものである。
【0018】
カーボンソースは、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物を含むものであればよい。
【0019】
前記した製造方法において、被担持金属触媒粉末をカーボンソースと接触させる前に、還元性雰囲気に接触させてもよい。
【0020】
前記した製造方法で用いるカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料は、例えば、アモルファスカーボン、マルチシェルカーボン、カーボン含有シェル、カーボンブラック、カーバイドを含むものである。
【0021】
触媒金属塩と担持体材料との比率は生成する被担持金属触媒の粒子サイズに影響を与えることがわかっている。前記した製造方法の場合、触媒金属塩と担持体材料とのモル比率は、約1:5から約1:100、または、約1:15から約1:60とすればよい。さらに別の実施形態においては、このモル比率は、約1:15から約1:40である。
【0022】
前記した製造方法においては、担持体材料に対する触媒金属塩のモル比率を変化させることにより、被担持金属触媒の粒子サイズを変化させることができる。前記した製造方法によれば、担持体材料に対する触媒金属塩のモル比率を選択することにより、被金属触媒の粒子サイズを約3ナノメ−タから約11ナノメ−タの範囲にすることができる。
【0023】
本明細書は、前記した製造方法により作製された金属触媒とカーボンナノチューブとを取り入れた電極を提供するものである。前記した方法によるカーボンナノチューブを用いて作製した電極カーボンナノチューブのマトリックス材中にナノサイズの金属粒子がより均一に分散した電極構造になることが予測される。
【0024】
本明細書が開示するカーボンナノチューブの他の製造方法は、触媒金属塩と、担持体材料と、表面活性剤とを用意し、用意した触媒金属塩と用意した表面活性剤とを接触させて第一の混合物を生成させるステップと、この生成させた第一の混合物を加熱して金属触媒ナノ粒子を生成させるステップとを含むものである。この生成させた金属触媒ナノ粒子を用意した担持体材料と接触させて、被担持金属触媒ナノ粒子を作製し、さらに乾燥する。この乾燥した被担持金属触媒ナノ粒子をカーボンソースと接触させることにより、カーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを被担持金属触媒ナノ粒子上に生成させる。約1ナノメ−タから約11ナノメ−タの範囲の粒子径の金属触媒ナノ粒子が、この製造方法で用いられる。
【0025】
前記した他の製造方法で用いられる表面活性剤は、例えば、水と、メタノールと、エタノールと、プロパノールと、ブタノールと、グリコールと、テトラハイドロゲンと、これらの混合物のいずれでもよい。
【0026】
前記した他の製造方法は、さらに被担持金属触媒粉末上に生成したカーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを十分に強い強酸に接触させて、担持体材料を除去するステップを含んでもよい。この酸は、フッ酸、硫酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、少なくとも一つの酸を含むものである。
【0027】
担持体材料を除去した後、被担持金属触媒粉末上に生成したカーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料を加熱して、またはマイクロ波を照射する。マイクロ波を照射することにより、カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料は酸化する。加熱は、カーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを、カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料を酸化するのに適した温度まで加熱するステップを服務ものである。カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料を酸化するのに適した温度の一例は、約350℃である。
【0028】
担持体材料は、例えば、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトからなるグループから選ばれる少なくとも一つの材料を含むものであればよい。
【0029】
触媒金属塩は、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの金属を含む。触媒金属塩は、例えば、アセテート、ナイトレート、カーボネート、サルフェート、クロライド、ハイドロオキサイド、アセチルアセトンおよびこれらの混合物を含むものであればよい。
【0030】
前記した他の製造方法では、カーボンソースは一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの材料を含むものであればよい。
【0031】
前記した他の製造方法においては、被担持金属触媒ナノ粒子をカーボンソースに接触させる前に、被担持金属触媒粉末を還元性雰囲気に接触させるステップを付け加えてもよい。触媒金属塩と担持体材料とのモル比約1;5から約1;100とすればよい、または、例えば、約1;15から約1:40とすればよい。
【0032】
カーボンナノチューブ生成に生成するカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料は、例えばアモルファスカーボン、マルチシェルカーボン、カーボン含有シェル、カーボンブラック、カーバイドを含む、様々な望まない材料を含む場合がある。
【0033】
本明細書記載の発明を利用する様々な製造方法において、金属触媒ナノ粒子の径は約3ナノメ−タから約8ナノメ−タである。被担持金属触媒ナノ粒子の粒子サイズは、触媒金属塩と担持体材料との比にしたがって変化する。触媒金属塩の量が少ないときは、被担持金属触媒ナノ粒子の粒子サイズは比較的小さくなる。
【0034】
金属触媒とカーボンナノチューブとからなるマトリックス材の製造方法も本明細書は開示する。このマトリックス材の製造方法は、金属触媒のナノサイズ粒子を用意して、カーボンナノチューブを製造するのに適した条件で、用意した金属触媒のナノサイズ粒子をカーボンソースに接触させるステップを含む。その結果、カーボンナノチューブが製造され、カーボンナノチューブ中に分散したナノサイズの金属触媒粒子を含むマトリックス材が生成する。
【0035】
このマトリックス材の製造方法では、特段の制限なく、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物を含む様々な金属触媒を利用することができる。また、この製造方法で用いるカーボンソースは、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物を含む。
【0036】
金属触媒のナノサイズ粒子をカーボンソースと接触させる前に、金属触媒のナノサイズ粒子を還元性雰囲気に接触させる。
【0037】
前記したマトリックス材の製造方法を変化させた方法では、金属触媒のナノサイズ粒子は担持体材料上に担持される。本製造方法に適切な担持体材料の例は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトを含む。
【0038】
前記したカーボンナノチューブの製造方法と同様に、マトリックス材の製造方法に用いる、金属触媒のナノサイズ粒子の担持体材料に対するモル比を変化させることができる。このモル比を変化させることにより、金属触媒のナノサイズ粒子の粒子サイズを変化させることができる。適切な属触媒のナノサイズ粒子の担持体材料に対するモル比の範囲の例は、約1:5から約1:100までの範囲、または、約1:15から約1:40までの範囲である。
【0039】
前記したマトリックス材の製造方法で用いる金属触媒のナノサイズ粒子は、径が1ナノメ−タから11ナノメ−タまでの範囲、または、約3ナノメ−タから約8ナノメ−タまでの範囲のものである。
【0040】
本明細書はさらに前記したマトリックス材の製造方法により製造された電極を開示する。
【0041】
また、ナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブとを含むマトリックス材を本発明は開示する。前記したマトリックス材に含まれるカーボンナノチューブは、ナノサイズ金属材料をカーボンナノチューブ適した条件下でカーボンソースに接触させれば、そのまま製造される。この製造方法により、ナノサイズ金属材料はカーボンナノチューブ中に分散される。
【0042】
前記したナノサイズ金属材料は、例えば、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物を含む。カーボンソースの例は、一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物を含む。
【0043】
前記したナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブとを含むマトリックス材は、ナノサイズ金属材料をカーボンソースに接触させる前に還元性雰囲気に接触させて作製してもよい。
【0044】
また、前記したナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブとを含むマトリックス材は、担持体材料上に担持されたナノサイズ金属材料をカーボンソースに接触させて作製してもよい。本マトリックス材製造に適切な担持体材料の例は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトを含む。ナノサイズ金属材料をカーボンソースと接触させた後、この担持体材料は触媒から除去される。
【0045】
ナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブとのモル比は、約1:5から約1:100までの範囲、または約1:15から約1:40までの範囲である。本明細書で開示するマトリックス材の場合、ナノサイズ金属材料の担持体材料に対するモル比を変化させることにより、ナノサイズ金属材料の粒子サイズが変化することがわかっている。
【0046】
ナノサイズ金属材料は径が約1ナノメ−タから約11ナノメ−タの範囲にある粒子を含むものでよい。また、本願発明の他の実施形態のマトリックス材においては、ナノサイズ金属材料は径が約3ナノメ−タから8ナノメ−タの範囲のものであればよい。
【0047】
本明細書が開示するマトリックス材を含む電極を燃料電池用電極とすることができる。
【0048】
本明細書が引用するすべての公開物、記事、論文、特許公報等の文献は、あらゆる目的のためそのすべてが本明細書に包含される。
【0049】
前記内容は本明細書の好ましい実施形態を記載したものであるが、記載した実施形態を変化させた実施形態があることは当業者には明らかであり、このような実施形態は本発明の技術的範囲内で可能である。
【0050】
次に示す実施例を説明するのは、本発明をより完全に理解してもらうためである。本発明の原理を説明するために実施例中に記載された具体的な技術、条件、材料、および報告データは例示のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0051】
<実施例1>
酢酸鉄Fe(OOCCH(Alpha AESAR社製)をメタノールに加えた液と、別にアルミナをメタノール中に縣濁させた液(Alpha AESAR社製)とを用意し、これらの2つの液を混合して1時間、十分に攪拌した。混合液中の鉄とアルミナのモル比は約1:30である。その後、溶媒を蒸発させて残った乾燥塊を、120℃の窒素ガスを流した雰囲気中で3時間加熱した。この作製した乾燥塊を自然冷却し、乳鉢で粉砕した。粉砕後の触媒粉末を500℃で1時間仮焼し、粉砕した後、CVD装置の石英反応管中に入れた。
【0052】
石英反応管中の粉砕された粉末上にアルゴンガスを流しながら、石英反応管内を加熱し管内温度を10℃/分の速度で820℃まで上昇させ、同温度で安定させた。その後、流量200sccmのアルゴンガスに流量40sccmのメタンガスを混ぜた混合ガスを石英反応管中の触媒粉末上に60分間流した。
【0053】
前記した工程により作製した材料をラマンスペクトロスコピーとTEMとにより観察し、カーボンナノチューブの成長を調べた。同材料から、フッ酸(HF)によりアルミナを除去した材料に150Wのマイクロ波(2.45GHz)を照射してカーボン含有ノンカーボンナノチューブを除去した。このようにして作製した材料を室温まで冷却し、プレスにより薄膜電極またはペレットに成形した。
【0054】
<実施例2>
アセチルアセトネート鉄Fe(CHCOCHCOCH(Alpha AESAR社製)をメタノールに加えた液と、別にマグネシアをメタノール中に縣濁させた液(Alpha AESAR社製)とを用意し、これらの2つの液を混合して1時間十分に攪拌した。混合液中の鉄とマグネシアのモル比は約1:25である。その後、溶媒を蒸発させ、残った乾燥塊を、窒素ガスを流した120℃の雰囲気中で3時間加熱した。この作製した乾燥塊を自然冷却し、乳鉢で粉砕した。粉砕後の触媒粉末を500℃で1時間仮焼し、粉砕した後、CVD装置の石英反応管中に入れた。
【0055】
石英反応管中の粉砕された粉末に流量40sccmの水素ガス(H)と流量100sccmのヘリウムガス(He)とを混合したガスを流した500℃の雰囲気中で1時間保持して還元させた。その後、この還元された粉砕粉末上にアルゴンガスを流しながら、石英反応管内を加熱し管内温度を10℃/分の速度で820℃まで上昇させ、同温度で安定させた。その後、流量200sccmのアルゴンガスに流量40sccmのメタンガスを混ぜた混合ガスを石英反応管中の触媒粉末上に5分間流した。
【0056】
前記した工程により作製した材料をラマンスペクトロスコピーとTEMとにより観察し、カーボンナノチューブの成長を調べた。同材料から、硫酸によりマグネシアを除去した材料に150Wのマイクロ波(2.45GHz)を照射してカーボン含有ノンカーボンナノチューブを除去した。このようにして作製した材料を室温まで冷却し、プレスにより薄膜電極またはペレットに成形した。
【0057】
<実施例3>
酢酸鉄Fe(OOCCH(Alpha AESAR社製)とグリコールとのモル比が1:15である、酢酸鉄Fe(OOCCH(Alpha AESAR社製)とグリコールとの混合液を作製した。この混合液を、窒素ガスを流した150℃の雰囲気中で20分間加熱して鉄ナノ粒子を作製した。この鉄/グリコール反応混合液を室温まで自然冷却して、アルミナ(Alpha AESAR社製)をさらに加えた。作製した混合液中の金属:アルミナのモル比は1:30である。この混合液を4時間攪拌した後、窒素ガス流により、溶媒を除去した。作製した乾燥塊を集めて、CVD装置の石英反応管中に入れた。
【0058】
作製した触媒はそのまま流量40sccmの水素ガス(H)と流量100sccmのヘリウムガス(He)とを混合したガスを流した500℃の雰囲気中で1時間保持して還元させた。その後、この還元された粉砕粉末上にアルゴンガスを流しながら、石英反応管内を加熱し管内温度を10℃/分の速度で820℃まで上昇させ、同温度で安定させた。その後、流量200sccmのアルゴンガスに流量40sccmのメタンガスを混ぜた混合ガスを石英反応管中の触媒粉末上に30分間流した。
【0059】
前記した工程により作製した材料をラマンスペクトロスコピーとTEMとにより観察し、カーボンナノチューブの成長を調べた。同材料から、フッ酸(HF)によりアルミナを除去した材料を、窒素ガス中に20%の乾燥酸素ガスを混ぜたガスを流した条件で350℃まで加熱してカーボン含有ノンカーボンナノチューブを除去した。このようにして作製した材料を室温まで冷却し、プレスにより薄膜電極またはペレットに成形した。
【0060】
<実施例4>
酢酸鉄Fe(OOCCH(Alpha AESAR社製)とグリコールとのモル比が1:15である、酢酸鉄Fe(OOCCH(Alpha AESAR社製)がグリコール中に縣濁した混合液を作製した。この混合液を、窒素ガスを流した150℃の雰囲気中で20分間加熱して鉄ナノ粒子を作製した。この鉄/グリコール反応混合液を室温まで自然冷却して、アルミナ(Alpha AESAR社製)をさらに加えた。作製した混合液中の金属:アルミナのモル比は1:40である。この混合液を4時間攪拌した後、窒素ガス流により、溶媒を除去した。作製した乾燥塊を集めて、CVD装置の石英反応管中に入れた。
【0061】
作製した触媒はそのまま流量40sccmの水素ガス(H)と流量100sccmのヘリウムガス(He)とを混合したガスを流した500℃の雰囲気中で1時間保持して還元させた。その後、この還元された粉砕粉末上にアルゴンガスを流しながら、石英反応管内を加熱し管内温度を10℃/分の速度で820℃まで上昇させ、同温度で安定させた。その後、流量200sccmのアルゴンガスに流量40sccmのメタンガスを混ぜた混合ガスを石英反応管中の触媒粉末上に60分間流した。
【0062】
前記した工程により作製した材料をラマンスペクトロスコピーとTEMとにより観察し、カーボンナノチューブの成長を調べた。同材料から、フッ酸(HF)によりアルミナを除去した材料を、窒素ガス中に20%の乾燥酸素ガスを混ぜたガスを流した条件で350℃まで加熱してカーボン含有ノンカーボンナノチューブを除去した。このようにして作製した材料を室温まで冷却し、プレスにより薄膜電極またはペレットに成形した。
【0063】
図1は本発明の製造方法により製造された材料のマイクロ写真である。この写真により触媒担持材を除去後に残った触媒ナノ粒子が存在し、この触媒ナノ粒子がカーボンナノチューブに取り囲まれているのがわかる。図2は、本明細書が開示する製造方法により製造された典型的な材料を一定温度制御条件下で加熱したときにおこる酸化反応を示す示差熱分析結果である。同材料は本分析において、空気を100sccmの流量で流した雰囲気中で、5℃/分の加熱速度で加熱された。「a」の印をつけたアモルファスカーボンの酸化が最初に約330℃の温度でおき、次に「b」の印をつけたマルチシェルカーボンの酸化が約480℃の温度でおき、その後に単一層カーボンナノチューブの酸化が約600℃でおきる。
【0064】
前記した製造方法により作製した実施例の薄膜電極およびペレットを水素燃料電池の酸素還元電極に用いて、それらの性能およびピーク電力変換効率を比較した。実施例の薄膜電極およびペレットの性能は、例えば、貴金属触媒粒子の平均粒径が10ナノメータより大きい貴金属がアルミナまたは他の担持体物質上に分散して担持されている標準的な燃料電池電極に匹敵するものである。
【0065】
前記した本発明の様々な実施形態についての詳細な説明は、実施形態を例示して説明するために記載されたものであり、本発明の実施形態を包括的に説明するものではない。また、本明細書の開示内容は、開示した実施形態そのものに限定されるものではない。当業者ならば、開示した実施形態には多くの変形例や変更例が可能であることが明らかである。開示した実施形態を選んで説明したのは、本発明の原理および可能な応用例を最も良く説明できるからである。開示した実施形態の説明により、当業者ならば本発明は様々な実施形態を有しており、さらに考えられる特定の用途に適したように様々に変形して実施できることが理解できる。本発明の技術的範囲は、以下の請求の範囲のクレームおよびその均等な範囲により定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブの製造方法であって、
触媒金属塩と第一の溶媒とを用意し、
前記触媒金属塩を前記第一の溶媒に接触させて、金属塩含有溶液を生成させ、
担持体材料と第二の溶媒とを用意し、
前記担持体材料と前記第二の溶媒とを接触させて、担持体材料縣濁液を生成させ、
前記金属塩含有溶液を前記担持体材料縣濁液に接触させて被担持金属触媒を生成させ、
前記第一の溶媒と前記第二の溶媒とを除去し、
前記被担持金属触媒を加熱し、
前記被担持金属触媒を粉砕して被担持金属触媒粉末を作製し、
前記被担持金属触媒粉末をカーボンソースと接触させて、カーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを被担持金属触媒粉末上に生成させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記第一の溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリコール、テトラハイドロフランおよびこれらの混合物から成る群から選ばれる、少なくとも一つの溶媒であることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記第二の溶媒は水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリコール、テトラハイドロフランおよびこれらの混合物から成る群から選ばれる、少なくとも一つの溶媒であることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒粉末上の前記カーボンナノチューブと前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを前記担持体材料を除去する十分に強い酸に接触させるステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記酸はフッ酸、硫酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、少なくとも一つの酸を含むものであることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒粉末上の前記カーボンナノチューブと前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とにマイクロ波を照射するステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料が酸化されることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項8】
請求項4に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボンナノチューブと前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを加熱するステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記加熱するステップは前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料を酸化させるのに十分高い温度まで加熱するステップを含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記加熱するステップは350℃まで加熱するステップを含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記担持体材料はアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトからなるグループから選ばれる少なくとも一つの材料を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩はクロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの金属を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩は酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩酸塩、水酸化塩、アセチルアセトネートおよびこれらの混合物を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボンソースは一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒粉末を前記カーボンソースと接触させる前に、還元性雰囲気に接触させるステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項16】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料は、アモルファスカーボン、マルチシェルカーボン、カーボン含有シェル、カーボンブラック、カーバイドからなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項17】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩と前記担持体材料とのモル比率は、1:5から1:100の範囲であることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩と前記担持体材料とのモル比率は、1:15から1:60の範囲であることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩と前記担持体材料とのモル比率は、1:15から1:40の範囲であることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項20】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩と前記担持体材料とのモル比率を変化させるステップをさらに有し、前記モル比率を変化させることにより前記被担持金属触媒の粒子サイズを変化させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒の前記粒子サイズが1ナノメ−タから11ナノメ−タの範囲にあることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項22】
請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造方法にしたがって作製された前記カーボンナノチューブと前記触媒金属塩とを含むことを特徴とする電極。
【請求項23】
カーボンナノチューブの製造方法であって、
触媒金属塩と表面活性剤とを用意し、
前記触媒金属塩を前記表面活性材に接触させて、第一の混合物を生成させ、
前記第一の混合物を加熱して、直径が1ナノメ−タから11ナノメ−タの金属触媒ナノ粒子を生成させ、
担持体材料を用意し、
前記担持体材料と前記金属触媒ナノ粒子とを接触させて、被担持金属触媒ナノ粒子を生成させ、
前記被担持金属触媒ナノ粒子を乾燥させ、
前記被担持金属触媒ナノ粒子をカーボンソースと接触させて、カーボンナノチューブとカーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを被担持金属触媒粉末上に生成させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記表面活性剤は水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリコール、テトラハイドロフランおよびこれらの混合物から成る群から選ばれる少なくとも一つを含むものであることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項25】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒粉末上の前記カーボンナノチューブと前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを前記担持体材料を除去する十分に強い酸に接触させるステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項26】
請求項25に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記酸はフッ酸、硫酸、硝酸およびこれらの混合物からなる群から選ばれる、少なくとも一つの酸を含むものであることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項27】
請求項25に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒粉末上の前記カーボンナノチューブと前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とにマイクロ波を照射するステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項28】
請求項27に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料が酸化されることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項29】
請求項25に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボンナノチューブと前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料とを加熱するステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項30】
請求項29に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記加熱するステップは前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料を酸化させるのに十分高い温度まで加熱するステップを含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項31】
請求項29に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記加熱するステップは350℃まで加熱するステップを含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項32】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記担持体材料はアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトからなるグループから選ばれる少なくとも一つの材料を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項33】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩はクロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの金属を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項34】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩は酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩酸塩、水酸化塩、アセチルアセトネートおよびこれらの混合物を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項35】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボンソースは一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項36】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒粉末を前記カーボンソースと接触させる前に、還元性雰囲気に接触させるステップをさらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項37】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記カーボン含有ノンカーボンナノチューブ材料は、アモルファスカーボン、マルチシェルカーボン、カーボン含有シェル、カーボンブラック、カーバイドからなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項38】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩と前記担持体材料とのモル比率は、1:5から1:100の範囲であることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項39】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩と前記担持体材料とのモル比率は、1:15から1:40の範囲であることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項40】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記被担持金属触媒ナノ粒子の粒子径が3ナノメ−タから8ナノメ−タの範囲にあることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項41】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法であって、前記触媒金属塩と前記担持体材料とのモル比率を変化させるステップをさらに有し、前記モル比率を変化させることにより前記被担持金属触媒の粒子サイズを変化させることを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項42】
請求項23に記載のカーボンナノチューブの製造方法にしたがって作製された前記カーボンナノチューブと前記触媒金属塩とを含むことを特徴とする電極。
【請求項43】
マトリックス材の製造方法であって、
金属触媒のナノ粒子を用意し、
前記金属触媒のナノ粒子をカーボンナノチューブ製造に適した条件で、カーボンソースと接触させ、
カーボンナノチューブを製造し、
前記カーボンナノチューブ中に分散した前記金属触媒のナノ粒子を含むマトリックス材を生成させることを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項44】
請求項43に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒はクロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの金属を含むことを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項45】
請求項43に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記カーボンソースは一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項46】
請求項43に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒のナノ粒子を前記カーボンソースと接触させる前に、還元性雰囲気に接触させるステップをさらに含むことを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項47】
請求項43に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒のナノ粒子は担持体材料上に担持されていることを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項48】
請求項47に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記担持体材料はアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトからなるグループから選ばれる少なくとも一つの材料を含むことを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項49】
請求項47に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒と前記担持体材料とのモル比率は、1:5から1:100の範囲であることを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項50】
請求項47に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒と前記担持体材料とのモル比率は、1:15から1:40の範囲であることを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項51】
請求項47に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒のナノサイズ粒子と前記担持体材料とのモル比率を変化させるステップをさらに有し、前記モル比率を変化させることにより前記金属触媒のナノサイズ粒子のサイズを変化させることを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項52】
請求項43に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒のナノサイズ粒子の粒子径が1ナノメ−タから11ナノメ−タの範囲にあることを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項53】
請求項43に記載のマトリックス材の製造方法であって、前記金属触媒のナノサイズ粒子の直径が3ナノメ−タから8ナノメ−タの範囲にあることを特徴とするマトリックス材の製造方法。
【請求項54】
請求項43に記載のマトリックス材の製造方法により製造されたマトリックス材を含むことを特徴とする電極。
【請求項55】
ナノサイズ金属材料とカーボンナノチューブとを含み、
前記ナノサイズ金属材料をカーボンソースに接触させることにより、前記ナノサイズ金属材料上に前記カーボンナノチューブが作製されることを特徴とするマトリックス材。
【請求項56】
請求項55に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料は前記カーボンナノチューブ中に分散していることを特徴とするマトリックス材。
【請求項57】
請求項55に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料はクロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、銀、タングステン、白金、金およびこれら金属の混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの金属を含むことを特徴とするマトリックス材。
【請求項58】
請求項55に記載のマトリックス材であって、前記カーボンソースは一酸化炭素、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブチレン、アセチレン、ベンゼン、ナフタレン、トルエン、アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトンおよびこれらの混合物からなるグループから選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とするマトリックス材。
【請求項59】
請求項55に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料を前記カーボンソースに接触させる前に、前記ナノサイズ金属材料を還元性雰囲気に接触させることを特徴とするマトリックス材。
【請求項60】
請求項55に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料を前記カーボンソースに接触させる時、前記ナノサイズ金属材料は担持体材料上に担持されていることを特徴とするマトリックス材。
【請求項61】
請求項60に記載のマトリックス材であって、前記担持体材料はアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアおよびゼオライトからなるグループから選ばれる少なくとも一つの材料を含むことを特徴とするマトリックス材。
【請求項62】
請求項60に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料と前記担持体材料とのモル比率は、1:5から1:100の範囲であることを特徴とするマトリックス材。
【請求項63】
請求項60に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料と前記担持体材料とのモル比率は、1:15から1:40の範囲であることを特徴とするマトリックス材。
【請求項64】
請求項60に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料と前記担持体材料とのモル比率を変化させることにより、前記ナノサイズ金属材料の粒子のサイズが変化することを特徴とするマトリックス材。
【請求項65】
請求項55に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料の粒子径が1ナノメ−タから11ナノメ−タの範囲にあることを特徴とするマトリックス材。
【請求項66】
請求項55に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料の粒子径が3ナノメ−タから8ナノメ−タの範囲にあることを特徴とするマトリックス材。
【請求項67】
請求項60に記載のマトリックス材であって、前記ナノサイズ金属材料を前記カーボンソースに接触させた後、前記担持体材料を取り除いたことを特徴とするマトリックス材。
【請求項68】
請求項55に記載のマトリックス材を含むことを特徴とする電極。

【図2】
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【図1】
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【公表番号】特表2010−522131(P2010−522131A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554654(P2009−554654)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/056772
【国際公開番号】WO2008/115753
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】