説明

電気コネクタ

【課題】回路基板の実装スペースを節約でき、カードを安定的にイジェクトできる可能的な電気コネクタを提供する。
【解決手段】相手対象としてのプラグまたはカードの一方を択一的に接続可能的な電気コネクタにおいて、相手対象を収容する収容空間を形成する絶縁本体と、前記絶縁本体に装着され、前記収容空間に露出される接触部を有する複数のコンタクトと、前記収容空間を挿入したカードをイジェクトするためのイジェクト部材と、を含み、前記イジェクト部材は、前記相手対象の挿入方向に沿って、前記収容空間の奥側に配置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBプラグまたはICカードの一方を択一的に接続可能な電気コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピューター設備において最も普及している信号伝送規格は、USB(Universal Serial Bus)に他ならない。そこで、コンピューター設備などにUSBソケットが配置している。また、電子機器においては、中央処理装置(CPU)あるいはメモリ用の集積回路が内蔵されるメモリスティック(商標)などのICカードをその各電子機器にICカード用コネクタを介して装着することにより、電子機器における各種の機能拡張などを行うようにしている。一般に、USBプラグとICカードを接続するために、電子機器にはUSBソケットとICカード用コネクタがそれぞれ配置することが必要になった。こうして、電子機器の小型化の発展に不利になる恐れがあった。
【0003】
従来の特許文献1では、電気コネクタがUSBケーブルまたはICカードの一方が択一的に接続可能になり、絶縁ハウジングと、絶縁ハウジングに保持されるコンタクトと、絶縁ハウジングの外部を覆っている金属シェルと、イジェクト部材とを含み、絶縁ハウジングと金属シェルが収容空間を形成し、前記イジェクト部材は収容空間の一側に配置され、イジェクト部材は、前記収容空間に突出するイジェクト部が設けられる。USBプラグを収容空間に挿入すると、イジェクト部材が収容空間の一側に配置されることで、USBプラグがイジェクト部材を駆動させず、ICカードを挿入すると、ICカードがイジェクトのイジェクト部に押圧されて、収容空間まで完全に挿入される。ICカードを排出したい時には、ICカードの挿入方向に沿ってICカードを再度押圧してICカードを収容空間から排出されるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新案公告CN2749135Y号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電気コネクタにおいてイジェクト部材が収容空間の一側に配置されることで、収容空間の挿入口の幅が広くなり、電気機器における他部材の配置位置が制限され、回路基板のスペースを占めるが恐れがあった。また、イジェクト部材が収容空間の一側に位置するので、ICカードを排出するときに、ICカードの一端だけが押圧力を受け、ICカードを収容空間から安定的にイジェクトできないという問題があった。
【0006】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、回路基板の実装スペースを節約でき、ICカードを安定的にイジェクトできる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、相手対象としてのプラグまたはICカードの一方が択一的に接続可能的な電気コネクタにおいて、相手対象を収容する収容空間を形成する絶縁本体と、前記絶縁本体に装着され、前記収容空間に露出される接触部を有する複数のコンタクトと、前記収容空間を挿入したICカードをイジェクトするためのイジェクト部材と、を含み、前記イジェクト部材は、前記相手対象の挿入方向に沿って、前記収容空間の奥側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
従来技術に比べ、本発明は以下の利点を有している。前記イジェクト部材は、相手対象の挿入方向に沿って前記収容空間の奥側に配置されることにより、回路基板の実装スペースを節約でき、イジェクト部材が相手対象の挿入方向の末端に配置されるので、ICカードをイジェクトする時に、イジェクト部材がICカードの先端を押圧して安定的にイジェクトできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電気コネクタの組立斜視図である。
【図2】図1に示す電気コネクタを他の角度から見た組立斜視図である。
【図3】本発明に係る電気コネクタの分解斜視図である。
【図4】本発明に係る電気コネクタの上金属シェルを外した平面図である。
【図5】図1に示す電気コネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についての実施形態を詳細に説明する。図1乃至図5を参照すると、本発明に係る電気コネクタ100が回路基板(図示せず)に実装可能となってなり、USBプラグまたはICカードの一方が択一的に接続可能なものであり、挿入口を有する収容空間10が設けられる絶縁本体1と、絶縁本体1に装着される複数のコンタクト2と、絶縁本体1の外周を覆う金属シェル3と、イジェクト部材4と、を含み、前記相手対象としてのUSBプラグ又はICカードを同じ挿入方向に沿って収容空間10に挿入できる。以下の説明において、相手対象の排出方向を前方とする。
【0011】
図3を参照すると、絶縁本体1は、本体部11と、本体部11から前向きに延出するように形成される舌片12とを含み、前記舌片12には収容空間10が窪んで形成され、本体部11の上壁と舌片12の上壁とが階段状を呈するように配置される。舌片12の上壁に複数の端子溝121と、端子溝121の両側に形成されるスリット122とが設けられ、前記舌片12の上表面において、スリット122の長さが端子溝121より長くなっている。本体部11の上壁には、略中央部に配置される溝部111と、溝部111の両側にそれぞれ位置しかつ溝部111と平行となる収容孔112とが形成される。溝部111と収容孔112とは、相手対象の挿入方向に沿って延出して、溝部111と収容孔112の先端が収容空間10に連通しているように配置される。溝部111の末端において本体部11には保持孔113が設けられている。
【0012】
コンタクト2は、前記端子溝121に収容される接触部21と、接触部21に交差し回路基板へ向く方向に延出する端子部22と、を含む。接触部21は、舌片12の上壁に突出して収容空間10に露出して、前記端子部22が絶縁本体1を突出し回路基板に接続できる。
【0013】
金属シェル3は、互いに係合する上金属シェル31と下金属シェル32とを構成して、上金属シェル31が絶縁本体1の舌片12の上壁に対向するように配置され、また、上金属シェル31の前記溝部111に対向する部分には、溝部111へと延出する弾性片311が設けられる。金属シェル3は絶縁本体1の外周を覆って絶縁本体1の先端より前方に突出する。金属シェル3の先端には、収容空間10に連通する挿入口37が形成される。金属シェル3が絶縁本体1より長いので、相手対象を挿入した時に安定するようになっている。
【0014】
イジェクト部材4は、絶縁本体1の本体部11に組み合わせられ、T字形状を呈するスライド部材41と、弾性部材42と、ガイド部材43と、を含む。スライド部材41は、前記溝部111へ移動可能な基部411と、基部411に直交するように形成される当接部材412と、を含む。当接部材412は絶縁本体1の舌片12上に配置され、当接部材412の底部の両端には、前記スリット122へスライド可能な位置決め片4120がそれぞれ形成され、また、当接部材412の、絶縁本体1の収容溝112に対応する箇所には、ポスト4123がそれぞれ突出するように設けられる。前記弾性部材42は、収容溝112に収容されるスプリングであり、一端が当接部材412のポスト4123に保持され、他端の収容溝112の末端に当接し保持される。
【0015】
基部411には、前記ガイド部材43の一端を移動する心臓形状のガイド溝4110が設けられ、前記ガイド部材43の一端が基部411のガイド溝4110内でスライドでき、他端が絶縁本体1の保持孔113に回転可能に保持され、前記金属シェル3の弾性片311がガイド部材413に押圧して、ガイド部材413の安定した移動を保証できる。該イジェクト部材4は、所謂、プッシュ・プッシュ操作によりICカードをイジェクトすることを行なうものであり、その作動原理は業界の公知技術であるため、ここでは詳細に説明しない。
【0016】
ICカードを挿入すると、ICカードが前記当接部材412を押圧して奥側へ挿入されスライドできるようになる。ICカードをイジェクトする時には、前記ICカードを再度押圧して、イジェクト部材4の弾性部材42の弾性力によりスライド部材41を前方へスライドさせると、ICカードがイジェクトされる。前記弾性部材42と位置決め片4120とをそれぞれ二つずつ有するので、ICカードを受けた押圧力が均等になり、作動過程においてスライド41の移動が安定して行われる。
【0017】
本発明の電気コネクタは、USBプラグまたはICカードの一方が択一的に接続可能になり、イジェクト部材4が収容空間10の後端に配置されるので、電気コネクタの挿入口37の幅がUSBプラグの幅とほぼ等しく、電気コネクタ100の完成品の幅が減少され、回路基板の実装スペースを節約できる。また、前記イジェクト部材4が収容空間10の奥側に配置されるので、イジェクト部材4の当接部材412がICカードの先端に当接して、ICカードを安定してイジェクトできる。
【0018】
以上本発明について最良の実施の形態を参照して詳細に説明したが、実施形態はあくまでも例示的なものであり、これらに限定されない。また上述の説明は、本発明に基づきなしうる細部の修正或は変更など、いずれも本発明の請求範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0019】
100 電気コネクタ
1 絶縁本体
10 収容空間
11 本体部
12 舌片
111 溝部
112 収容部
121 端子溝
122 スリット
2 コンタクト
3 金属シェル
4 イジェクト部材
41 スライド部材
42 弾性部材
43 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手対象としてのプラグまたはカードの一方を択一的に接続可能的な電気コネクタにおいて、
相手対象を収容する収容空間を形成する絶縁本体と、
前記絶縁本体に装着され、前記収容空間に露出される接触部を有する複数のコンタクトと、
前記収容空間に挿入されたプラグまたはカードをイジェクトするためのイジェクト部材と、
を含み、
前記イジェクト部材は、前記相手対象の挿入方向に沿って、前記収容空間の奥側に配置されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記絶縁本体は、本体部と、前記本体部から前向きに延出する舌片とを含み、前記イジェクト部材は、前記本体部と舌片に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記絶縁本体の本体部に、溝部と、前記溝部の一側に平行に配置される収容孔とが形成され、前記イジェクト部材は、前記溝部にスライド可能に収容されるスライド部材と、前記収容孔に収容される弾性部材と、ガイド部材と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記溝部は、前記絶縁本体の本体部の中央部に設けられ、前記溝部の両側にそれぞれ配置される二つ前記収容孔を有することを特徴とする請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記イジェクト部材のスライド部材は、前記溝部に移動可能に配置される基部を含み、前記基部に心臓形状のガイド溝が設けられ、前記ガイド部材の一端が前記ガイド溝にスライド可能に位置していることを特徴とする請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記ガイド部材は、一端が前記心臓形状のガイド溝にスライド可能に収容され、他端が前記絶縁本体の本体部に保持されることを特徴とする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記イジェクト部材のスライド部材は、前記基部に直交するように配置される当接部材を含み、該当接部材の底部に位置決め片が突出するように形成され、前記絶縁本体の舌片には、位置決め片をスライドして収容するスリットが形成されることを特徴とする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記絶縁本体の舌片には、前記コンタクトの接触部を収容する端子溝が設けられ、前記スリットが全体の端子溝の両側にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記当接部材は、前記舌片上に横たわるように配置されることを特徴とする請求項7に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記当接部材には、前記収容孔へ向く方向に延出するポストが突出して、前記弾性部材の一端がポストに保持され、他端が前記収容孔の末端に当接し保持されることを特徴とする請求項7に記載の電気コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−138773(P2011−138773A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293194(P2010−293194)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】