電気コネクタ
【課題】簡易な構成で、信号伝送媒体Ｆが所定位置まで挿入されているか否か、或いはロ
ック操作が完了されているか否かを、迅速かつ確実に確認することを可能とする。
【解決手段】絶縁ハウジング１１に、ロック部材１３の変位状態又は係合状態を目視可能
とするロック確認手段１１ｄを設けて、信号伝送媒体Ｆが所定位置まで挿入された時点で
のロック部材１３の変位状態、或いは信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部に落ち込んだ状態
を、ロック確認手段１１ｄを通して目視により確認可能とし、信号伝送媒体Ｆの挿入状態
の良否を直ちに判断し得るように構成したものである。
ック操作が完了されているか否かを、迅速かつ確実に確認することを可能とする。
【解決手段】絶縁ハウジング１１に、ロック部材１３の変位状態又は係合状態を目視可能
とするロック確認手段１１ｄを設けて、信号伝送媒体Ｆが所定位置まで挿入された時点で
のロック部材１３の変位状態、或いは信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部に落ち込んだ状態
を、ロック確認手段１１ｄを通して目視により確認可能とし、信号伝送媒体Ｆの挿入状態
の良否を直ちに判断し得るように構成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、信号伝送媒体の端末部分を絶縁ハウジングの内部の所定位置まで挿入することによって信号伝送媒体をロック部材の弾性力で保持するように構成された電気コネクタに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、種々の電気機器等において、フレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）や、フレキシブル・フラット・ケーブル（ＦＦＣ）等の各種信号伝送媒体を電気的に接続するための手段として種々の電気コネクタが広く用いられている。例えば、下記の特許文献１のように印刷配線基板上に実装されて使用される電気コネクタでは、ＦＰＣやＦＦＣ等からなる信号伝送媒体が、絶縁ハウジング（インシュレータ）の前端側開口部から内部に挿入され、その後にアクチュエータ（接続操作手段）が、作業者の操作力でコネクタ前方側又は後方側の接続作用位置に向かって押し倒されるように回動される。これによって、信号伝送媒体の端末部分に設けられた係合部にロック部材の一部が落ち込んで係合状態になされ、信号伝送媒体の端末部分がロック部材により略不動状態に保持される構成になされている。
【０００３】
このように、アクチュエータを備えた電気コネクタは、接続解除位置と接続作用位置との間でアクチュエータを回動操作することによってロック部材の係合・離脱を操作する構成になされているが、信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）の挿入作業とは別個にアクチュエータを操作する必要があるために作業効率が問題となる場合がある。そのため、従来から、絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体に対してロック部材の一部が乗り上げるようにして弾性変位し、その後に信号伝送媒体の係合部にロック部材の一部が落ち込んで係合が行われるように構成された、いわゆるワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタが採用されることがある。このようなワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタを用いれば、電気コネクタの内部の所定位置まで信号伝送媒体を挿入するだけで、信号伝送媒体が略不動状態に保持されることとなり、作業効率の向上が図られる。
【０００４】
しかしながら、従来の電気コネクタに採用されているワンアクションオートロック機構では、上述したように信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）を電気コネクタに挿入するだけでロックが行われる利点がある反面、信号伝送媒体が所定の位置まで正しく挿入されているか否かの確認や、ロック動作が完了されているか否か等を直ちに判断することができないという問題があり、信号伝送媒体の接続作業の完了を最終的に確認する際に手間が掛かることがある。
【０００５】
【特許文献１】特開２００８−５２９９３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
そこで本発明は、簡易な構成で、ＦＰＣ，ＦＦＣ等からなる信号伝送媒体の挿入状態を直ちに確認することができるようにした電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するため本発明では、絶縁ハウジングの内部の所定位置まで挿入された信号伝送媒体の端末部分を略不動状態に保持するロック部材が、前記絶縁ハウジングの内部に設けられたものであって、前記信号伝送媒体の挿入に伴って前記ロック部材の一部が前記信号伝送媒体の表面上に乗り上げるように弾性変位した後に、前記信号伝送媒体の端末部分に設けられた係合位置決め部に前記ロック部材の一部が落ち込んで係合状態になされるように構成された電気コネクタにおいて、前記絶縁ハウジングには、前記ロック部材の変位状態又は係合状態を目視可能とするロック確認手段が設けられた構成が採用されている。
【０００８】
このような構成を有する本発明によれば、信号伝送媒体が所定位置まで挿入された時点においてロック部材の変位状態、或いは信号伝送媒体の係合位置決め部に落ち込んだ状態が、ロック確認手段を通して目視で確認されるため、信号伝送媒体の挿入状態の良否が直ちに判断されるようになっている。
【０００９】
また、本発明における前記ロック確認手段は、前記絶縁ハウジングを構成する壁面を貫通するように設けられた窓部又はスリット部からなることが可能である。
【００１０】
また、本発明における前記ロック確認手段としてのスリット部は、前記ロック部材の弾性変位時に当該ロック部材の一部が前記スリット部を通して前記絶縁ハウジングの外方に突出するように構成されていることが望ましい。
【００１１】
このような構成を有する本発明によれば、信号伝送媒体が必要量にわたって挿入された際にロック部材がスリット部から外方に突出することから、信号伝送媒体の良好な挿入状態が作業者によって容易に認識される。
【００１２】
また、本発明における前記ロック確認手段としての窓部は、前記絶縁ハウジングの内部における前記ロック部材の変位前後又は係合前後の位置に臨むように設けられていることが可能である。
【００１３】
また、本発明においては、前記ロック部材に、当該ロック部材を弾性変位させる方向の操作力が付加される解除押圧部が設けられているとともに、前記絶縁ハウジングに、前記ロック部材の解除押圧部に重合するように延出する操作カバー部が設けられていることが望ましい。
【００１４】
このような構成を有する本発明によれば、信号伝送媒体に対するロック部材の係合状態を解除する操作が、絶縁ハウジングに設けられた操作カバー部に対する操作によって、容易かつ確実に行われる。
【００１５】
また、本発明における前記操作カバー部は、適宜の間隔をなして一対配置され、それら一対の操作カバー部同士を一体的に連結するように延在する操作アーム部が設けられていることが望ましい。
【００１６】
このような構成を有する本発明によれば、一対設けられたロック部材の係合状態を解除する操作が、操作アーム部に対する操作によって同時に効率的に行われる。
【００１７】
また、本発明における前記操作アーム部には、当該操作アーム部の長手方向における両端側部分から中央部分にかけて押圧方向の高さが連続的に低くなるように傾斜部が設けられていることが望ましい。
【００１８】
このような構成を有する本発明によれば、操作アーム部に操作する際に、当該操作アーム部の両端側に設けられた傾斜面部に対して作業者の指先が掛かりにくくなって、主として操作アーム部の中央部分に対して操作力が付加されることから、操作アーム部に対する破損等を防止することが可能となる。
【００１９】
また、本発明においては、前記ロック操作カバー部が、前記ロック部材のロック解除押圧部に対して、当該ロック部材を弾性変位させる操作力の付加方向において前後から挟むように形成されていることが望ましい。
【００２０】
このような構成を有する本発明によれば、ロック操作カバー部にカバー下保持部を設けることによって、ロック部材とロック操作カバー部との全体が、一対の弾性カバーアームにより弾性的に保持され、例えばロック解除操作力等によってロック部材に塑性変形を生じた場合であっても、弾性カバーアームの弾性保持力が、ロック操作カバー部のカバー下保持部を介してロック部材を保持するように作用し、その弾性カバーアームの弾性力によってロック部材が元の位置に復元されることとなって、ロック部材の係止ロック部による通常のロック機能が安定的に維持される。
【発明の効果】
【００２１】
以上述べたように本発明にかかる電気コネクタは、絶縁ハウジングに、ロック部材の変位状態又は係合状態を目視可能とするロック確認手段を設けて、信号伝送媒体が所定位置まで挿入された時点でのロック部材の変位状態、或いは信号伝送媒体の係合位置決め部に落ち込んだ状態を、ロック確認手段を通して目視により確認可能とし、信号伝送媒体の挿入状態の良否を直ちに判断し得るように構成したものであるから、簡易な構成で、信号伝送媒体が所定位置まで挿入されているか否か、或いはロック状態が完了されているか否かを、迅速かつ確実に確認することができ、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の第１の実施形態にかかる電気コネクタを表した平面説明図である。
【図２】図１に表された電気コネクタの正面説明図である。
【図３】図２中の ＩＩＩ−ＩＩＩ 線に沿った横断面説明図である。
【図４】図１〜図３に表された電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示す外観斜視説明図である。
【図５】図４に表された状態から信号伝送媒体がやや差し込まれた状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図６】図５に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれた状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図７】図６に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれて電気コネクタに対する信号伝送媒体の差し込みが完了し、信号伝送媒体が係止ロック部により係止された状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図８】図７に表されたロック状態から解除操作が行われてロック部材が押し上げられた状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図９】本発明の第２の実施形態にかかる電気コネクタを表した平面説明図である。
【図１０】図９に表された電気コネクタの正面説明図である。
【図１１】図１０中の ＸＩ−ＸＩ 線に沿った横断面説明図である。
【図１２】図９〜図１１に表された電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示す外観斜視説明図である。
【図１３】図１２に表された状態から信号伝送媒体がやや差し込まれた状態を示す図１０中の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１４】図１３に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれた状態を示す図１０中の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１５】図１４に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれて電気コネクタに対する信号伝送媒体の差し込みが完了し、信号伝送媒体が係止ロック部により係止された状態を示す図１０の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１６】図１５に表されたロック状態から解除操作が行われてロック部材が押し上げられた状態を示す図１０の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１７】本発明の第３の実施形態にかかる電気コネクタを表した平面説明図である。
【図１８】図１７に表された電気コネクタの正面説明図である。
【図１９】図１８中の ＸＩＸ−ＸＩＸ 線に沿った横断面説明図である。
【図２０】図１７〜図１９に表された電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示す外観斜視説明図である。
【図２１】図２０に表された状態から信号伝送媒体がやや差し込まれた状態を示す図１８中のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相当する横断面説明図である。
【図２２】図２１に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれた状態を示す図１８中のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相相当する横断面説明図である。
【図２３】図２２に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれて電気コネクタに対する信号伝送媒体の差し込みが完了し、信号伝送媒体が係止ロック部により係止された状態を示す図１８のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相当する横断面説明図である。
【図２４】図２３に表されたロック状態から解除操作が行われてロック部材が押し上げられた状態を示す図１８のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相当する横断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下において、フレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）やフレキシブルフラット・ケーブル（ＦＦＣ）等からなる信号伝送媒体の接続を行うために配線基板上に実装して使用される電気コネクタに本発明を適用した実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【００２４】
［第１の実施形態にかかる電気コネクタの全体構成について］
まず、図１〜図８に示されている本発明の第１実施形態にかかる電気コネクタ１０は、いわゆるノン・ジフ（ＮＯＮ−ＺＩＦ）タイプのワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタからなるものであって、絶縁ハウジング１１の前端縁部（図３の左端縁部）に設けられた媒体挿入口１１ａを通して上述した信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの端末部分を絶縁ハウジング１１内の所定位置まで挿入した際に、当該信号伝送媒体Ｆのロックが自動的に行われるように構成されている。
【００２５】
［絶縁ハウジングについて］
このとき、前記絶縁ハウジング１１は、細長状に延在する中空枠体状の絶縁部材から形成されているが、その絶縁ハウジング１１における長手の横幅方向を、以下、コネクタ長手方向と呼び、また信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの端末部分を挿入又は離脱させる方向をコネクタ前後方向と呼ぶこととする。
【００２６】
その絶縁ハウジング１１の前端縁部分（図３左端縁部分）には、上述したようにフレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）やフレキシブル・フラット・ケーブル（ＦＦＣ）等からなる信号伝送媒体Ｆの端末部分が挿入される媒体挿入口１１ａが、コネクタ長手方向に沿って細長状をなすように設けられている。その媒体挿入口１１ａにおけるコネクタ長手方向の両端部分には、後述するロック部材１３が後方側（図５の右方側）に向かって挿入されている。また、当該媒体挿入口１１ａに対してコネクタ前後方向における反対側の後端縁部分（図３の右端縁部分）には、導電コンタクト１２等を装着するための部品取付口１１ｂが、同じくコネクタ長手方向に沿って細長状をなすように設けられている。
【００２７】
［導電コンタクトについて］
導電コンタクト１２は、適宜の形状をなす薄板状金属製部材により形成されていて、それら複数体の導電コンタクト１２が、絶縁ハウジング１１の後端側の部品取付口１１ｂから前方側（図３の左方側）に向かって挿入され、絶縁ハウジング１１の内部においてコネクタ長手方向に適宜の間隔をなして多極状に配置されている。これらの導電コンタクト１２の各々は、信号伝送用又はグランド接続用のいずれかとして、主印刷配線基板（図示省略）上に形成された導電路に対して半田接合により実装された状態で使用される。
【００２８】
すなわち、上述したようにして絶縁ハウジング１１の内部に装着された各導電コンタクト１２の配置位置は、媒体挿入口１１ａを通して絶縁ハウジング１１内に挿入される信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆに設けられた配線パターンに対応した設定になされている。その信号伝送媒体Ｆの配線パターンは、信号伝送用導電路（信号線パッド）又はシールド用導電路（シールド線パッド）を適宜のピッチ間隔で配置したものである。
【００２９】
各導電コンタクト１２の構成を具体的に説明すると、当該導電コンタクト１２は、信号伝送媒体Ｆの挿脱方向（図３の左右方向）である前後方向に沿って延在するように形成されており、そのコネクタ後端側部分、つまり絶縁ハウジング１１のコネクタ後端部から後方に突出する部分が、主印刷配線基板（図示省略）上に形成された導電路に半田接続される基板接続部１２ａとして形成されている。その基板接続部１２ａは、当該基板接続部１２ａから前方側に向かって延出する細長状のビーム部材からなる可撓性アーム部１２ｂに連接されている。その可撓性アーム部１２ｂは、上述した基板接続部１２ａとの連接部分において略直角に立ち上がるように折り曲げ形成されているとともに、その立ち上り端部分において再び前方側に向かって略直角に折り曲げられており、絶縁ハウジング１１の図示上方側天井板の内壁面に沿って片持ち状に延出している。
【００３０】
このようにして導電コンタクト１２に設けられた可撓性アーム部１２ｂは、基板接続部１２ａとの連接部分又はその近傍を中心として、図３の紙面内において上下の方向に揺動する構成になされている。当該可撓性ビーム部１２ｂにおける前端側の延出部分（図３の左端側部分）には、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆに形成された信号伝送用導電路又はシールド用導電路（配線パターン）のいずれかに対応して端子接触凸部１２ｃが図示下向きの突形状をなすように設けられている。すなわち、この導電コンタクト１２に設けられた端子接触凸部１２ｃは、上述したように信号伝送媒体Ｆが絶縁ハウジング１１の内部に挿入されて来た際に、当該信号伝送媒体Ｆの配線パターン上に乗り上げる配置関係になされており、その信号伝送媒体Ｆが所定の最終位置まで挿入されたときに、可撓性ビーム部１２ｂの弾性力によって両者が圧接されて電気的に接続された状態に維持されるようになっている。
【００３１】
［ワンアクションオートロック機構について］
本実施形態にかかる電気コネクタ１０は、前述したようにワンアクションオートロック機構を備えたものであるが、その前提として信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの端末部分には、特に図４に示されているように、幅方向両側の端縁部分に、切り欠き状の凹部からなる係合位置決め部Ｆａ，Ｆａが形成されている。そして、この信号伝送媒体Ｆに設けられた係合位置決め部Ｆａ，Ｆａに対応して電気コネクタ１０側にロック部材１３，１３が設けられており、それらロック部材１３，１３の係止作用（ロック作用）によって信号伝送媒体Ｆの挿入状態が保持される構成になされている。
【００３２】
［ロック部材について］
上述した両ロック部材１３，１３は、絶縁ハウジング１１のコネクタ長手方向における両端部分に配置されており、電気コネクタ１０の内部に信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆが差し込まれた際に、各ロック部材１３の一部、より具体的には後述する係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの表面上に乗り上げ、それによってロック部材１３が弾性変位した状態となり、さらに、そのロック部材１３の一部である係止ロック部１３ｄが、信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに落ち込んで係合状態（ロック状態）になされるように構成されている。
【００３３】
このときのロック部材１３は、一対の細長状ビーム部材からなる可動ビーム部１３ａ及び固定ビーム部１３ｂを有している。これらの可動ビーム部１３ａ及び固定ビーム部１３ｂは、上述した絶縁ハウジング１１の内部空間において図示上下方向に適宜の間隔をなして互いに対向するように配置されている。そのうちの固定ビーム部１３ｂは、絶縁ハウジング１１の底面板の内壁面に沿って略不動状態となるように固定されているとともに、その固定ビーム部１３ｂの図示上方位置に略平行に延在する可動ビーム部１３ａが、連結支柱部１３ｃを介して固定ビーム部１３ｂに一体的に連結されている。
【００３４】
その連結支柱部１３ｃは、細幅の板状部材から形成されており、前記両ビーム１３ａ及び１３ｂの延在方向における後方側の部分において、側面略「く」の字形状を図示の左右方向に反転した形状をなして図示上下方向に延在するように配置されている。そして、その連結支柱部１３ｃの図示上端部分に連結された可動ビーム部１３ａは、連結支柱部１３ｃの弾性可撓性に基づいて前記固定ビーム部１３ｂに対して弾性変位可能になされており、当該連結支柱部１３ｃ又はその近傍を回動中心として当該可動ビーム部１３ａが揺動可能となるように構成されている。そのときの可動ビーム部１３ａの揺動は、図５の紙面内において上下の方向に行われることとなる。
【００３５】
また、上述したような揺動部材として構成された可動ビーム部１３ａの前端側部分（図５の左端側部分）には、フック状部材からなる係止ロック部１３ｄが設けられている。その係止ロック部１３ｄは、下方に向かって略三角形状に突出する板状部材から形成されており、当該係止ロック部１３ｄの下端側頂点部が設けられているとともに、当該下端側頂点部から前方側上方に向かって斜めに延在する傾斜案内辺が設けられている。このような構成を有する係止ロック部１３ｄは、上述した信号伝送媒体Ｆの端末部分に設けられた係合位置決め部Ｆａの直上位置に配置されたときに当該係合位置決め部Ｆａの内部に向かって落ち込んで係合状態になされ、そのときの係止ロック部１３ｄの係合力によって信号伝送媒体Ｆの挿入状態が保持される構成になされている。
【００３６】
信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの挿入から係合までの状態を具体的に説明すると、まず図４及び図５に示されているように、絶縁ハウジング１１の媒体挿入口１１ａを通して信号伝送媒体Ｆが絶縁ハウジング１１の内部に挿入されてくると、その信号伝送媒体Ｆの挿入側の先端縁部が、ロック部材１３に設けられた係止ロック部１３ｄの傾斜案内辺に当接し、当該係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの表面上に乗り上げる。これにより、上述したロック部材１３の可動ビーム部１３ａが、図６に示されているように連結支柱部１３ｃ近傍の揺動支点を中心として上方側に押し上げられるように弾性変位される。さらに、信号伝送媒体Ｆの端末部分が後方側に向かって押し込まれると、当該信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａが係止ロック部１３ｄの直下位置まで移動したときに、図７に示されているように、可動ビーム部１３ａの弾性復元力によって係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａの内部に落ち込むように揺動される。その結果、信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに対して係止ロック部１３ｄが係合状態となり、信号伝送媒体Ｆが抜け落ちることのないように保持される。
【００３７】
一方、前述したようにロック部材１３の固定ビーム部１３ｂは、絶縁ハウジング１１の底面板の内壁面に沿って前後方向に延在するように配置されているが、その固定ビーム部１３ｂの後方側の先端部分（図５の右方側部分）は、絶縁ハウジング１１に設けられたロック固定部１１ｃ内に圧入されて固定状態に保持されている。また、この固定ビーム部１３ｂの前方側の先端部分（図５の左方側部分）は、主印刷配線基板（図示省略）上に形成された導電路に半田接続される基板接続部１３ｅとして形成されている。
【００３８】
このように信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆがロック部材１３によって係合状態（ロック状態）になされるにあたっては、上述した係止ロック部１３ｄを含む可動ビーム部１３ａの前方側部分が上方に押し上げられるように弾性変位されることとなるが、そのときの可動ビーム部１３ａの上方側への弾性変位は、絶縁ハウジング１１にロック確認手段としてのスリット部１１ｄによって許容されるようになっている。このロック確認手段を構成するスリット部１１ｄは、絶縁ハウジング１１の天井壁部を貫通する細長状の穴部から形成されたものであって、上述した可動ビーム部１３ａの上方側部分において連結支柱部１３ｃから係止ロック部１３ｄに至るまでの部位を包含する長さを有しているとともに、当該可動ビーム部１３ａの板厚さよりもやや大きな隙間を有する細長状の空間部分から形成されている。
【００３９】
そして、前述したように絶縁ハウジング１１の内部に信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆが挿入される際に、当該信号伝送媒体Ｆの表面上にロック部材１３の係止ロック部１３ｄが乗り上げることによってロック部材１３の可動ビーム部１３ａが上方側に押し上げられるように弾性変位されると、その上方弾性変位された可動ビーム部１３ａにおける前方側部分が、上述したロック確認手段としてのスリット部１１ｄの内部に入り込み、それによって可動ビーム部１３ａの上方弾性変位が許容されるとともに、当該可動ビーム部１３ａの上方弾性変位が目視される構成になされている。
【００４０】
すなわち、上述した係止ロック部１３ｄを含む可動ビーム部１３ａの前端側部分は、上方弾性変位時に、ロック確認手段としてのスリット部１１ｄを通過して上方に突き抜ける配置関係になされていて、絶縁ハウジング１１の内部に信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆが挿入される工程の途中において、ロック部材１３を構成する可動ビーム部１３ａの前端側部分が、スリット部（ロック確認手段）１１ｄを通して絶縁ハウジング１１の上表面から更に上方側に突出する構成になされている。そして、その可動ビーム部１３ａの上方側突出部分が、作業者等によって外方から目視され、それによってロック部材１３の変位状態が容易に確認されるようになっている。
【００４１】
その後、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの係合位置決め部Ｆａが係止ロック部１３ｄの直下位置まで移動して、係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａの内部に落ち込んだときには、それまで絶縁ハウジング１１の上表面から上方側に突出していた可動ビーム部１３ａの前端部分が、再びスリット部１１ｄを通して絶縁ハウジング１１の内部に沈み込み、外方から目視されなくなる構成になされている。
【００４２】
［ロック解除機構について］
一方、前述したように係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに係合されて信号伝送媒体Ｆが保持された状態から、図８に示されているようにロック解除操作が行われると、ロック部材１３の可動ビーム部１３ａの弾性力に抗して係止ロック部１３ｄが上方側に持ち上げられるように揺動され、当該係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａから離脱される。
【００４３】
すなわち、上述したロック部材１３の可動ビーム部１３ａには、係止ロック部１３ｄと反対側の部位、つまり連結支柱部１３ｃから後方側に延出しているビーム状部分にロック解除押圧部１３ｆが設けられている。このロック解除押圧部１３ｆは、前述した係止ロック部１３ｄとは逆方向に揺動する構成になされているが、絶縁ハウジング１１の後端部から後方側外方に向かって突出する長さを有するように形成されており、当該ロック解除押圧部１３ｆが下方に押し下げられることによって、前端側の係止ロック部１３ｄが上方側に押し上げられる構成になされている。
【００４４】
また、このようなロック解除押圧部１３ｆに対応して、絶縁ハウジング１１の後端部分におけるコネクタ長手方向の両端部分には、一対のロック操作カバー部１１ｅ，１１ｅが設けられている。それらの各ロック操作カバー部１１ｅは、上述したロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆの直上位置において絶縁ハウジング１１の後端部から後方に向かって片持ち状に延出しており、ロック解除押圧部１３ｆに重合する配置関係にされている。また、それらの各ロック操作カバー部１１ｅは、比較的幅広をなす板状部材から形成されており、その比較的幅広になされたロック操作カバー部１１ｅが、幅狭な板厚を有するロック解除押圧部１３ｆの上縁部を上方側から覆うように配置関係になされている。
【００４５】
このようなロック操作カバー部１１ｅの上表面には、凹凸状の滑り止め部が形成されており、当該ロック操作カバー部１１ｅが作業者の指先等により下方に押し下げられることで、上述したロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆも同様に下方に押し下げられ、それによって可動ビーム部１３ａの反対側に設けられた係止ロック部１３ｄが上方に押し上げられる。その結果、それまで信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに係合されていた係止ロック部１３ｄが係合位置決め部Ｆａから上方に離脱し、信号伝送媒体Ｆが自由状態となって前方側へ向かって抜去可能な状態になされる。このときのロック操作カバー部１１ｅの押し下げ時には、ロック解除押圧部１３ｆの下端面がロック固定部１１ｃの上端面に当接することで、可動ビーム部１３ａの過度な上方弾性変位を抑制して、ロック部材１３の変形や破損を防止することが可能となる。
【００４６】
このようにロック部材１３に対してロック解除操作が施される際には、上述したように係止ロック部１３ｄを含む可動ビーム部１３ａの前方側部分が上方に押し上げられるように弾性変位されることとなるが、そのときの可動ビーム部１３ａの上方側弾性変位は、前述した信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの挿入時と同様に、絶縁ハウジング１１にロック確認手段として設けられたスリット部１１ｄによって許容されるとともに、その可動ビーム部１３ａの上方側突出部分がスリット部１１ｄを通して上方に突出するように構成されており、その可動ビーム部１３ａの上方突出部分が外方から目視されることによって、ロック部材１３の変位状態が容易に確認されるようになっている。
【００４７】
このような構成を有する本実施形態によれば、信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）Ｆが所定位置まで挿入された時点においてロック部材１３の上方変位状態が、ロック確認手段として設けられたスリット部１１ｄを通して外方から容易に目視されるため、信号伝送媒体Ｆの挿入状態の良否が直ちに確認され判断されるようになっている。特に、本実施形態においては、スリット部１１ｄを通してロック部材１３の一部が絶縁ハウジング１１の外方に突出する構成になされていることから、ロック部材１３の変位状態が極めて良好に目視される。
【００４８】
さらに、本実施形態においては、ロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆに重合するロック操作カバー部１１ｅが絶縁ハウジング１１に設けられていることから、信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）Ｆに対するロック部材１３の係合状態を解除する操作が、絶縁ハウジング１１のロック操作カバー部１１ｅに対する操作によって容易かつ確実に行われる。
【００４９】
［第２の実施形態にかかる電気コネクタについて］
一方、上述した第１の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した図９〜図１６にかかる第２の実施形態においては、絶縁ハウジング１１に適宜の間隔をなして一対配置されたロック操作カバー部１１ｅ，１１ｅ同士を一体的に連結するように延在する操作連動アーム部１１ｆが設けられている。
【００５０】
このような構成を有する本実施形態によれば、一対設けられたロック部材１３，１３の係合状態を解除する押し下げ動作が、操作連動アーム部１１ｆの一箇所に対する一回の操作によって同時に効率的に行われる。このときの操作連動アーム部１１ｆに対する押し下げ作業時には、ロック操作カバー部１１ｅの下端面が、ロック部材１３の後端側に設けられた基板接続部１３ｅの上端面に当接することで、可動ビーム１３ａの過度な上方弾性変位を抑制して、ロック部材１３の変形や破損を防止することが可能となる。
【００５１】
また、本実施形態における操作連動アーム部１１ｆには、当該操作連動アーム部１１ｆの長手方向両端部分に設けられた傾斜部１１ｇによって、当該長手方向両端部分から中央部分にかけて押圧方向の高さが低くなるように構成されている。
【００５２】
このような構成を有する本実施形態によれば、操作連動アーム部１１ｆに対して操作を施す際に、当該操作連動アーム部１１ｆの両端側に設けられた傾斜面部１１ｇに対して作業者の指先が掛かりにくくなって、主として操作連動アーム部１１ｆの中央部分に対して操作力が付加されるようになることから、操作連動アーム部１１ｆに対する破損等を防止することが可能となる。
【００５３】
［第３の実施形態にかかる電気コネクタについて］
更に、上述した第１の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した図１７〜図２４にかかる本発明の第３の実施形態においては、絶縁ハウジング１１の後端部分におけるコネクタ長手方向の両端部分に、一対のロック操作カバー部１１ｈ，１１ｈが、上述したロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆに対応して設けられている。それらの各ロック操作カバー部１１ｈは、絶縁ハウジング１１の前端部から後方に向かって片持ち状に延出する弾性カバーアーム１１ｈ１の延出側先端部分に一体的に連結されており、ロック解除押圧部１３ｆの直上位置において当該ロック解除押圧部１３ｆに対して上方側から重合する配置関係にされている。
【００５４】
それら一対のロック操作カバー部１１ｈの各々は、平面略矩形状をなす比較的幅広の板状部材から形成されており、その比較的幅広になされたロック操作カバー部１１ｈが、幅狭な板厚を有するようにロック部材１３の後端部分に設けられたロック解除押圧部１３ｆの上縁部を上方側から覆うような配置関係になされている。また、それらの各ロック操作カバー部１１ｈを上下方向に弾性変位可能に保持する弾性カバーアーム１１ｈ１は、各ロック操作カバー部１１ｈ毎に一対設けられており、それら一対の弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１が、ロック部材１３の可動ビーム部１３ａを両側から挟むように配置されている。
【００５５】
また、上述したロック操作カバー部１１ｈの後端部分（図２１の右端部分）は、ロック部材１３の下方側に回り込むように形成されており、ロック解除押圧部１３ｆの後端部分を下方側から覆う配置関係になされている。すなわち、本実施形態におけるロック操作カバー部１１ｈは、ロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆに対して直下位置から重合するカバー下保持部１１ｈ２を有しており、ロック部材１３を弾性変位させる下方向の操作力付加方向において前後（上下）から、ロック解除押圧部１３ｆをロック操作カバー部１１ｈが挟持するように形成されている。そして、そのカバー下保持部１１ｈ２を含むロック操作カバー部１１ｈの全体が、ロック部材１３と一体的に弾性変位するとともに、それらのロック部材１３とロック操作カバー部１１ｈとの全体が、上述した一対の弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１の弾性力によって保持される構成になされている。
【００５６】
このように本実施形態においては、ロック操作カバー部１１ｈがカバー下保持部１１ｈ２を有することによって、ロック部材１３とロック操作カバー部１１ｈとの全体が、一対の弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１により弾性的に保持される構成になされていることから、例えばロック解除操作力等によりロック部材１３に塑性変形を生じた場合であっても、弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１の弾性保持力が、ロック操作カバー部１１ｈのカバー下保持部１１ｈ２を介してロック部材１３を下方側から保持するように作用し、その弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１の弾性保持力によってロック部材１３が元の位置に復元することが可能となり、その結果、ロック部材１３の係止ロック部１３ｄによる通常のロック機能が安定的に維持される。
【００５７】
［導電コンタクトについて］
また、本実施形態にかかる導電コンタクト２２は、絶縁ハウジング１１のコネクタ後端側に設けられた部品取付口１１ｂから前方側（図１９の左方側）に向かって挿入されて装着されている。このようにして絶縁ハウジング１１の内部に装着された各導電コンタクト２２は、媒体挿入口１１ａを通して絶縁ハウジング１１の内部に挿入された信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの配線パターンに対応した位置に配置されている。それらの信号伝送媒体Ｆに形成された配線パターンは、信号伝送用導電路（信号線パッド）又はシールド用導電路（シールド線パッド）を適宜のピッチ間隔で配置したものである。
【００５８】
上述した各導電コンタクト２２は、信号伝送媒体Ｆの挿脱方向（図１９の左右方向）である前後方向に沿って略平行に延在する一対の細長状ビーム部材からなる可動ビーム２２ａ，２２ｂを有している。これら一対の可動ビーム２２ａ，２２ｂは、絶縁ハウジング１１の内部空間において図示上下方向に適宜の間隔をなして互いに対向するように配置されており、連結支柱部２２ｃを介して一体的に連結されている。これらの両可動ビーム２２ａ，２２ｂの前端部分は、絶縁ハウジング１１の内壁面から浮き上がるように形成されている。
【００５９】
連結支柱部２２ｃは、細幅の板状部材から形成されており、前記可動ビーム２２ａ，２２ｂの延在方向の後端部分において図示上下方向に延在するように配置されている。そして、その連結支柱部２２ｃの図示上端部分及び下端部分に連結された両可動ビーム２２ａ，２２ｂは、自身及び連結支柱部２２ｃの弾性可撓性に基づいて弾性変位可能となるように構成されており、両可動ビーム２２ａ，２２ｂが、連結支柱部２２ｃ又はその近傍を回動中心として揺動可能となるように構成されている。そのときの各可動ビーム２２ａ，２２ｂの揺動は、図１９の紙面内において上下の方向に行われることとなる。
【００６０】
さらに、上側の可動ビーム２２ａの前端側部分（図１９の左端側部分）には、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの図示上面側に形成された配線パターン（信号伝送用又はシールド用の導電路）のいずれかに接続される上端子接触凸部２２ａ１が図示下向きの突形状をなすように設けられているとともに、下側の可動ビーム２２ｂにおける前方側部分（図１９の左方側部分）には、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの図示下面側に形成された配線パターン（信号伝送用又はシールド用の導電路）のいずれかに接続される下端子接触凸部２２ｂ１が図示上向きの突形状をなすように設けられている。この下端子接触凸部２２ｂ１は、上述した可動ビーム２２ａ側の上端子接触凸部２２ａ１の図示直下位置に対面するように配置されており、それらの上端子接触凸部２２ａ１と下端子接触凸部２２ｂ１との間に信号伝送媒体Ｆが挟持され、それによって電気的な接続が行われる構成になされている。
【００６１】
なお、これらの上端子接触凸部２２ａ１及び下端子接触凸部２２ｂ１は、互いの位置をコネクタ前方側（図１９の左方側）或いはコネクタ後方側（図１９の右方側）にずらして配置することも可能である。
【００６２】
さらに、上述した下側の可動ビーム２２ｂの後端側部分（図１９の右端側部分）には、主印刷配線基板上に形成された導電路に半田接続される基板接続部２２ｂ２がそれぞれ設けられている。
【００６３】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【００６４】
例えば、ロック確認手段は、絶縁ハウジング１１の壁面を貫通するように設けられた窓部として形成することが可能である。このときのロック確認手段として窓部は、絶縁ハウジング１１の内部においてロック部材が変位する前後いずれかの位置に臨んで目視可能とし、或いは係合する前後いずれかの位置に臨んで目視可能とするように設けられることとなる。
【００６５】
また、上述した各実施形態では、電気コネクタに固定される信号伝送媒体として、フレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）、及びフレキシブル・フラット・ケーブル（ＦＦＣ）を採用しているが、その他の信号伝送用媒体等を用いた場合に対しても本発明は同様に適用することができる。
【００６６】
さらに、上述した実施形態にかかる電気コネクタには、同一形状の導電コンタクトが用いられているが、異なる形状の導電コンタクトを交互に配置した構造であっても本発明は同様に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【００６７】
本発明は、各種電気機器に使用する多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【００６８】
１０ 電気コネクタ
１１ 絶縁ハウジング
１１ａ 媒体挿入口
１１ｂ 部品取付口
１１ｃ ロック固定部
１１ｄ スリット部（ロック確認手段）
１１ｅ ロック操作カバー部
１１ｆ 操作連動アーム部
１１ｇ 傾斜部
１２ 導電コンタクト
１２ａ 基板接続部
１２ｂ 可撓性アーム部
１２ｃ 端子接触凸部
１３ ロック部材
１３ａ 可動ビーム部
１３ｂ 固定ビーム部
１３ｃ 連結支柱部
１３ｄ 係止ロック部
１３ｅ 基板接続部
１３ｆ ロック解除押圧部
Ｆ 信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）
Ｆａ 係合位置決め部
１１ｈ ロック操作カバー部
１１ｈ１ 弾性カバーアーム
１１ｈ２ カバー下保持部
２２ 導電コンタクト
【技術分野】
【０００１】
本発明は、信号伝送媒体の端末部分を絶縁ハウジングの内部の所定位置まで挿入することによって信号伝送媒体をロック部材の弾性力で保持するように構成された電気コネクタに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、種々の電気機器等において、フレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）や、フレキシブル・フラット・ケーブル（ＦＦＣ）等の各種信号伝送媒体を電気的に接続するための手段として種々の電気コネクタが広く用いられている。例えば、下記の特許文献１のように印刷配線基板上に実装されて使用される電気コネクタでは、ＦＰＣやＦＦＣ等からなる信号伝送媒体が、絶縁ハウジング（インシュレータ）の前端側開口部から内部に挿入され、その後にアクチュエータ（接続操作手段）が、作業者の操作力でコネクタ前方側又は後方側の接続作用位置に向かって押し倒されるように回動される。これによって、信号伝送媒体の端末部分に設けられた係合部にロック部材の一部が落ち込んで係合状態になされ、信号伝送媒体の端末部分がロック部材により略不動状態に保持される構成になされている。
【０００３】
このように、アクチュエータを備えた電気コネクタは、接続解除位置と接続作用位置との間でアクチュエータを回動操作することによってロック部材の係合・離脱を操作する構成になされているが、信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）の挿入作業とは別個にアクチュエータを操作する必要があるために作業効率が問題となる場合がある。そのため、従来から、絶縁ハウジングの内部に挿入された信号伝送媒体に対してロック部材の一部が乗り上げるようにして弾性変位し、その後に信号伝送媒体の係合部にロック部材の一部が落ち込んで係合が行われるように構成された、いわゆるワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタが採用されることがある。このようなワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタを用いれば、電気コネクタの内部の所定位置まで信号伝送媒体を挿入するだけで、信号伝送媒体が略不動状態に保持されることとなり、作業効率の向上が図られる。
【０００４】
しかしながら、従来の電気コネクタに採用されているワンアクションオートロック機構では、上述したように信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）を電気コネクタに挿入するだけでロックが行われる利点がある反面、信号伝送媒体が所定の位置まで正しく挿入されているか否かの確認や、ロック動作が完了されているか否か等を直ちに判断することができないという問題があり、信号伝送媒体の接続作業の完了を最終的に確認する際に手間が掛かることがある。
【０００５】
【特許文献１】特開２００８−５２９９３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
そこで本発明は、簡易な構成で、ＦＰＣ，ＦＦＣ等からなる信号伝送媒体の挿入状態を直ちに確認することができるようにした電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記目的を達成するため本発明では、絶縁ハウジングの内部の所定位置まで挿入された信号伝送媒体の端末部分を略不動状態に保持するロック部材が、前記絶縁ハウジングの内部に設けられたものであって、前記信号伝送媒体の挿入に伴って前記ロック部材の一部が前記信号伝送媒体の表面上に乗り上げるように弾性変位した後に、前記信号伝送媒体の端末部分に設けられた係合位置決め部に前記ロック部材の一部が落ち込んで係合状態になされるように構成された電気コネクタにおいて、前記絶縁ハウジングには、前記ロック部材の変位状態又は係合状態を目視可能とするロック確認手段が設けられた構成が採用されている。
【０００８】
このような構成を有する本発明によれば、信号伝送媒体が所定位置まで挿入された時点においてロック部材の変位状態、或いは信号伝送媒体の係合位置決め部に落ち込んだ状態が、ロック確認手段を通して目視で確認されるため、信号伝送媒体の挿入状態の良否が直ちに判断されるようになっている。
【０００９】
また、本発明における前記ロック確認手段は、前記絶縁ハウジングを構成する壁面を貫通するように設けられた窓部又はスリット部からなることが可能である。
【００１０】
また、本発明における前記ロック確認手段としてのスリット部は、前記ロック部材の弾性変位時に当該ロック部材の一部が前記スリット部を通して前記絶縁ハウジングの外方に突出するように構成されていることが望ましい。
【００１１】
このような構成を有する本発明によれば、信号伝送媒体が必要量にわたって挿入された際にロック部材がスリット部から外方に突出することから、信号伝送媒体の良好な挿入状態が作業者によって容易に認識される。
【００１２】
また、本発明における前記ロック確認手段としての窓部は、前記絶縁ハウジングの内部における前記ロック部材の変位前後又は係合前後の位置に臨むように設けられていることが可能である。
【００１３】
また、本発明においては、前記ロック部材に、当該ロック部材を弾性変位させる方向の操作力が付加される解除押圧部が設けられているとともに、前記絶縁ハウジングに、前記ロック部材の解除押圧部に重合するように延出する操作カバー部が設けられていることが望ましい。
【００１４】
このような構成を有する本発明によれば、信号伝送媒体に対するロック部材の係合状態を解除する操作が、絶縁ハウジングに設けられた操作カバー部に対する操作によって、容易かつ確実に行われる。
【００１５】
また、本発明における前記操作カバー部は、適宜の間隔をなして一対配置され、それら一対の操作カバー部同士を一体的に連結するように延在する操作アーム部が設けられていることが望ましい。
【００１６】
このような構成を有する本発明によれば、一対設けられたロック部材の係合状態を解除する操作が、操作アーム部に対する操作によって同時に効率的に行われる。
【００１７】
また、本発明における前記操作アーム部には、当該操作アーム部の長手方向における両端側部分から中央部分にかけて押圧方向の高さが連続的に低くなるように傾斜部が設けられていることが望ましい。
【００１８】
このような構成を有する本発明によれば、操作アーム部に操作する際に、当該操作アーム部の両端側に設けられた傾斜面部に対して作業者の指先が掛かりにくくなって、主として操作アーム部の中央部分に対して操作力が付加されることから、操作アーム部に対する破損等を防止することが可能となる。
【００１９】
また、本発明においては、前記ロック操作カバー部が、前記ロック部材のロック解除押圧部に対して、当該ロック部材を弾性変位させる操作力の付加方向において前後から挟むように形成されていることが望ましい。
【００２０】
このような構成を有する本発明によれば、ロック操作カバー部にカバー下保持部を設けることによって、ロック部材とロック操作カバー部との全体が、一対の弾性カバーアームにより弾性的に保持され、例えばロック解除操作力等によってロック部材に塑性変形を生じた場合であっても、弾性カバーアームの弾性保持力が、ロック操作カバー部のカバー下保持部を介してロック部材を保持するように作用し、その弾性カバーアームの弾性力によってロック部材が元の位置に復元されることとなって、ロック部材の係止ロック部による通常のロック機能が安定的に維持される。
【発明の効果】
【００２１】
以上述べたように本発明にかかる電気コネクタは、絶縁ハウジングに、ロック部材の変位状態又は係合状態を目視可能とするロック確認手段を設けて、信号伝送媒体が所定位置まで挿入された時点でのロック部材の変位状態、或いは信号伝送媒体の係合位置決め部に落ち込んだ状態を、ロック確認手段を通して目視により確認可能とし、信号伝送媒体の挿入状態の良否を直ちに判断し得るように構成したものであるから、簡易な構成で、信号伝送媒体が所定位置まで挿入されているか否か、或いはロック状態が完了されているか否かを、迅速かつ確実に確認することができ、電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の第１の実施形態にかかる電気コネクタを表した平面説明図である。
【図２】図１に表された電気コネクタの正面説明図である。
【図３】図２中の ＩＩＩ−ＩＩＩ 線に沿った横断面説明図である。
【図４】図１〜図３に表された電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示す外観斜視説明図である。
【図５】図４に表された状態から信号伝送媒体がやや差し込まれた状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図６】図５に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれた状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図７】図６に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれて電気コネクタに対する信号伝送媒体の差し込みが完了し、信号伝送媒体が係止ロック部により係止された状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図８】図７に表されたロック状態から解除操作が行われてロック部材が押し上げられた状態を示す図２中の Ｖ−Ｖ 線に相当する横断面説明図である。
【図９】本発明の第２の実施形態にかかる電気コネクタを表した平面説明図である。
【図１０】図９に表された電気コネクタの正面説明図である。
【図１１】図１０中の ＸＩ−ＸＩ 線に沿った横断面説明図である。
【図１２】図９〜図１１に表された電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示す外観斜視説明図である。
【図１３】図１２に表された状態から信号伝送媒体がやや差し込まれた状態を示す図１０中の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１４】図１３に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれた状態を示す図１０中の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１５】図１４に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれて電気コネクタに対する信号伝送媒体の差し込みが完了し、信号伝送媒体が係止ロック部により係止された状態を示す図１０の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１６】図１５に表されたロック状態から解除操作が行われてロック部材が押し上げられた状態を示す図１０の ＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ 線に相当する横断面説明図である。
【図１７】本発明の第３の実施形態にかかる電気コネクタを表した平面説明図である。
【図１８】図１７に表された電気コネクタの正面説明図である。
【図１９】図１８中の ＸＩＸ−ＸＩＸ 線に沿った横断面説明図である。
【図２０】図１７〜図１９に表された電気コネクタに信号伝送媒体が差し込まれる直前の状態を示す外観斜視説明図である。
【図２１】図２０に表された状態から信号伝送媒体がやや差し込まれた状態を示す図１８中のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相当する横断面説明図である。
【図２２】図２１に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれた状態を示す図１８中のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相相当する横断面説明図である。
【図２３】図２２に表された状態から更に信号伝送媒体が差し込まれて電気コネクタに対する信号伝送媒体の差し込みが完了し、信号伝送媒体が係止ロック部により係止された状態を示す図１８のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相当する横断面説明図である。
【図２４】図２３に表されたロック状態から解除操作が行われてロック部材が押し上げられた状態を示す図１８のＸＸＩ−ＸＸＩ線に相当する横断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下において、フレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）やフレキシブルフラット・ケーブル（ＦＦＣ）等からなる信号伝送媒体の接続を行うために配線基板上に実装して使用される電気コネクタに本発明を適用した実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【００２４】
［第１の実施形態にかかる電気コネクタの全体構成について］
まず、図１〜図８に示されている本発明の第１実施形態にかかる電気コネクタ１０は、いわゆるノン・ジフ（ＮＯＮ−ＺＩＦ）タイプのワンアクションオートロック機構を備えた電気コネクタからなるものであって、絶縁ハウジング１１の前端縁部（図３の左端縁部）に設けられた媒体挿入口１１ａを通して上述した信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの端末部分を絶縁ハウジング１１内の所定位置まで挿入した際に、当該信号伝送媒体Ｆのロックが自動的に行われるように構成されている。
【００２５】
［絶縁ハウジングについて］
このとき、前記絶縁ハウジング１１は、細長状に延在する中空枠体状の絶縁部材から形成されているが、その絶縁ハウジング１１における長手の横幅方向を、以下、コネクタ長手方向と呼び、また信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの端末部分を挿入又は離脱させる方向をコネクタ前後方向と呼ぶこととする。
【００２６】
その絶縁ハウジング１１の前端縁部分（図３左端縁部分）には、上述したようにフレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）やフレキシブル・フラット・ケーブル（ＦＦＣ）等からなる信号伝送媒体Ｆの端末部分が挿入される媒体挿入口１１ａが、コネクタ長手方向に沿って細長状をなすように設けられている。その媒体挿入口１１ａにおけるコネクタ長手方向の両端部分には、後述するロック部材１３が後方側（図５の右方側）に向かって挿入されている。また、当該媒体挿入口１１ａに対してコネクタ前後方向における反対側の後端縁部分（図３の右端縁部分）には、導電コンタクト１２等を装着するための部品取付口１１ｂが、同じくコネクタ長手方向に沿って細長状をなすように設けられている。
【００２７】
［導電コンタクトについて］
導電コンタクト１２は、適宜の形状をなす薄板状金属製部材により形成されていて、それら複数体の導電コンタクト１２が、絶縁ハウジング１１の後端側の部品取付口１１ｂから前方側（図３の左方側）に向かって挿入され、絶縁ハウジング１１の内部においてコネクタ長手方向に適宜の間隔をなして多極状に配置されている。これらの導電コンタクト１２の各々は、信号伝送用又はグランド接続用のいずれかとして、主印刷配線基板（図示省略）上に形成された導電路に対して半田接合により実装された状態で使用される。
【００２８】
すなわち、上述したようにして絶縁ハウジング１１の内部に装着された各導電コンタクト１２の配置位置は、媒体挿入口１１ａを通して絶縁ハウジング１１内に挿入される信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆに設けられた配線パターンに対応した設定になされている。その信号伝送媒体Ｆの配線パターンは、信号伝送用導電路（信号線パッド）又はシールド用導電路（シールド線パッド）を適宜のピッチ間隔で配置したものである。
【００２９】
各導電コンタクト１２の構成を具体的に説明すると、当該導電コンタクト１２は、信号伝送媒体Ｆの挿脱方向（図３の左右方向）である前後方向に沿って延在するように形成されており、そのコネクタ後端側部分、つまり絶縁ハウジング１１のコネクタ後端部から後方に突出する部分が、主印刷配線基板（図示省略）上に形成された導電路に半田接続される基板接続部１２ａとして形成されている。その基板接続部１２ａは、当該基板接続部１２ａから前方側に向かって延出する細長状のビーム部材からなる可撓性アーム部１２ｂに連接されている。その可撓性アーム部１２ｂは、上述した基板接続部１２ａとの連接部分において略直角に立ち上がるように折り曲げ形成されているとともに、その立ち上り端部分において再び前方側に向かって略直角に折り曲げられており、絶縁ハウジング１１の図示上方側天井板の内壁面に沿って片持ち状に延出している。
【００３０】
このようにして導電コンタクト１２に設けられた可撓性アーム部１２ｂは、基板接続部１２ａとの連接部分又はその近傍を中心として、図３の紙面内において上下の方向に揺動する構成になされている。当該可撓性ビーム部１２ｂにおける前端側の延出部分（図３の左端側部分）には、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆに形成された信号伝送用導電路又はシールド用導電路（配線パターン）のいずれかに対応して端子接触凸部１２ｃが図示下向きの突形状をなすように設けられている。すなわち、この導電コンタクト１２に設けられた端子接触凸部１２ｃは、上述したように信号伝送媒体Ｆが絶縁ハウジング１１の内部に挿入されて来た際に、当該信号伝送媒体Ｆの配線パターン上に乗り上げる配置関係になされており、その信号伝送媒体Ｆが所定の最終位置まで挿入されたときに、可撓性ビーム部１２ｂの弾性力によって両者が圧接されて電気的に接続された状態に維持されるようになっている。
【００３１】
［ワンアクションオートロック機構について］
本実施形態にかかる電気コネクタ１０は、前述したようにワンアクションオートロック機構を備えたものであるが、その前提として信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの端末部分には、特に図４に示されているように、幅方向両側の端縁部分に、切り欠き状の凹部からなる係合位置決め部Ｆａ，Ｆａが形成されている。そして、この信号伝送媒体Ｆに設けられた係合位置決め部Ｆａ，Ｆａに対応して電気コネクタ１０側にロック部材１３，１３が設けられており、それらロック部材１３，１３の係止作用（ロック作用）によって信号伝送媒体Ｆの挿入状態が保持される構成になされている。
【００３２】
［ロック部材について］
上述した両ロック部材１３，１３は、絶縁ハウジング１１のコネクタ長手方向における両端部分に配置されており、電気コネクタ１０の内部に信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆが差し込まれた際に、各ロック部材１３の一部、より具体的には後述する係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの表面上に乗り上げ、それによってロック部材１３が弾性変位した状態となり、さらに、そのロック部材１３の一部である係止ロック部１３ｄが、信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに落ち込んで係合状態（ロック状態）になされるように構成されている。
【００３３】
このときのロック部材１３は、一対の細長状ビーム部材からなる可動ビーム部１３ａ及び固定ビーム部１３ｂを有している。これらの可動ビーム部１３ａ及び固定ビーム部１３ｂは、上述した絶縁ハウジング１１の内部空間において図示上下方向に適宜の間隔をなして互いに対向するように配置されている。そのうちの固定ビーム部１３ｂは、絶縁ハウジング１１の底面板の内壁面に沿って略不動状態となるように固定されているとともに、その固定ビーム部１３ｂの図示上方位置に略平行に延在する可動ビーム部１３ａが、連結支柱部１３ｃを介して固定ビーム部１３ｂに一体的に連結されている。
【００３４】
その連結支柱部１３ｃは、細幅の板状部材から形成されており、前記両ビーム１３ａ及び１３ｂの延在方向における後方側の部分において、側面略「く」の字形状を図示の左右方向に反転した形状をなして図示上下方向に延在するように配置されている。そして、その連結支柱部１３ｃの図示上端部分に連結された可動ビーム部１３ａは、連結支柱部１３ｃの弾性可撓性に基づいて前記固定ビーム部１３ｂに対して弾性変位可能になされており、当該連結支柱部１３ｃ又はその近傍を回動中心として当該可動ビーム部１３ａが揺動可能となるように構成されている。そのときの可動ビーム部１３ａの揺動は、図５の紙面内において上下の方向に行われることとなる。
【００３５】
また、上述したような揺動部材として構成された可動ビーム部１３ａの前端側部分（図５の左端側部分）には、フック状部材からなる係止ロック部１３ｄが設けられている。その係止ロック部１３ｄは、下方に向かって略三角形状に突出する板状部材から形成されており、当該係止ロック部１３ｄの下端側頂点部が設けられているとともに、当該下端側頂点部から前方側上方に向かって斜めに延在する傾斜案内辺が設けられている。このような構成を有する係止ロック部１３ｄは、上述した信号伝送媒体Ｆの端末部分に設けられた係合位置決め部Ｆａの直上位置に配置されたときに当該係合位置決め部Ｆａの内部に向かって落ち込んで係合状態になされ、そのときの係止ロック部１３ｄの係合力によって信号伝送媒体Ｆの挿入状態が保持される構成になされている。
【００３６】
信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの挿入から係合までの状態を具体的に説明すると、まず図４及び図５に示されているように、絶縁ハウジング１１の媒体挿入口１１ａを通して信号伝送媒体Ｆが絶縁ハウジング１１の内部に挿入されてくると、その信号伝送媒体Ｆの挿入側の先端縁部が、ロック部材１３に設けられた係止ロック部１３ｄの傾斜案内辺に当接し、当該係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの表面上に乗り上げる。これにより、上述したロック部材１３の可動ビーム部１３ａが、図６に示されているように連結支柱部１３ｃ近傍の揺動支点を中心として上方側に押し上げられるように弾性変位される。さらに、信号伝送媒体Ｆの端末部分が後方側に向かって押し込まれると、当該信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａが係止ロック部１３ｄの直下位置まで移動したときに、図７に示されているように、可動ビーム部１３ａの弾性復元力によって係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａの内部に落ち込むように揺動される。その結果、信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに対して係止ロック部１３ｄが係合状態となり、信号伝送媒体Ｆが抜け落ちることのないように保持される。
【００３７】
一方、前述したようにロック部材１３の固定ビーム部１３ｂは、絶縁ハウジング１１の底面板の内壁面に沿って前後方向に延在するように配置されているが、その固定ビーム部１３ｂの後方側の先端部分（図５の右方側部分）は、絶縁ハウジング１１に設けられたロック固定部１１ｃ内に圧入されて固定状態に保持されている。また、この固定ビーム部１３ｂの前方側の先端部分（図５の左方側部分）は、主印刷配線基板（図示省略）上に形成された導電路に半田接続される基板接続部１３ｅとして形成されている。
【００３８】
このように信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆがロック部材１３によって係合状態（ロック状態）になされるにあたっては、上述した係止ロック部１３ｄを含む可動ビーム部１３ａの前方側部分が上方に押し上げられるように弾性変位されることとなるが、そのときの可動ビーム部１３ａの上方側への弾性変位は、絶縁ハウジング１１にロック確認手段としてのスリット部１１ｄによって許容されるようになっている。このロック確認手段を構成するスリット部１１ｄは、絶縁ハウジング１１の天井壁部を貫通する細長状の穴部から形成されたものであって、上述した可動ビーム部１３ａの上方側部分において連結支柱部１３ｃから係止ロック部１３ｄに至るまでの部位を包含する長さを有しているとともに、当該可動ビーム部１３ａの板厚さよりもやや大きな隙間を有する細長状の空間部分から形成されている。
【００３９】
そして、前述したように絶縁ハウジング１１の内部に信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆが挿入される際に、当該信号伝送媒体Ｆの表面上にロック部材１３の係止ロック部１３ｄが乗り上げることによってロック部材１３の可動ビーム部１３ａが上方側に押し上げられるように弾性変位されると、その上方弾性変位された可動ビーム部１３ａにおける前方側部分が、上述したロック確認手段としてのスリット部１１ｄの内部に入り込み、それによって可動ビーム部１３ａの上方弾性変位が許容されるとともに、当該可動ビーム部１３ａの上方弾性変位が目視される構成になされている。
【００４０】
すなわち、上述した係止ロック部１３ｄを含む可動ビーム部１３ａの前端側部分は、上方弾性変位時に、ロック確認手段としてのスリット部１１ｄを通過して上方に突き抜ける配置関係になされていて、絶縁ハウジング１１の内部に信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆが挿入される工程の途中において、ロック部材１３を構成する可動ビーム部１３ａの前端側部分が、スリット部（ロック確認手段）１１ｄを通して絶縁ハウジング１１の上表面から更に上方側に突出する構成になされている。そして、その可動ビーム部１３ａの上方側突出部分が、作業者等によって外方から目視され、それによってロック部材１３の変位状態が容易に確認されるようになっている。
【００４１】
その後、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの係合位置決め部Ｆａが係止ロック部１３ｄの直下位置まで移動して、係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａの内部に落ち込んだときには、それまで絶縁ハウジング１１の上表面から上方側に突出していた可動ビーム部１３ａの前端部分が、再びスリット部１１ｄを通して絶縁ハウジング１１の内部に沈み込み、外方から目視されなくなる構成になされている。
【００４２】
［ロック解除機構について］
一方、前述したように係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに係合されて信号伝送媒体Ｆが保持された状態から、図８に示されているようにロック解除操作が行われると、ロック部材１３の可動ビーム部１３ａの弾性力に抗して係止ロック部１３ｄが上方側に持ち上げられるように揺動され、当該係止ロック部１３ｄが信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａから離脱される。
【００４３】
すなわち、上述したロック部材１３の可動ビーム部１３ａには、係止ロック部１３ｄと反対側の部位、つまり連結支柱部１３ｃから後方側に延出しているビーム状部分にロック解除押圧部１３ｆが設けられている。このロック解除押圧部１３ｆは、前述した係止ロック部１３ｄとは逆方向に揺動する構成になされているが、絶縁ハウジング１１の後端部から後方側外方に向かって突出する長さを有するように形成されており、当該ロック解除押圧部１３ｆが下方に押し下げられることによって、前端側の係止ロック部１３ｄが上方側に押し上げられる構成になされている。
【００４４】
また、このようなロック解除押圧部１３ｆに対応して、絶縁ハウジング１１の後端部分におけるコネクタ長手方向の両端部分には、一対のロック操作カバー部１１ｅ，１１ｅが設けられている。それらの各ロック操作カバー部１１ｅは、上述したロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆの直上位置において絶縁ハウジング１１の後端部から後方に向かって片持ち状に延出しており、ロック解除押圧部１３ｆに重合する配置関係にされている。また、それらの各ロック操作カバー部１１ｅは、比較的幅広をなす板状部材から形成されており、その比較的幅広になされたロック操作カバー部１１ｅが、幅狭な板厚を有するロック解除押圧部１３ｆの上縁部を上方側から覆うように配置関係になされている。
【００４５】
このようなロック操作カバー部１１ｅの上表面には、凹凸状の滑り止め部が形成されており、当該ロック操作カバー部１１ｅが作業者の指先等により下方に押し下げられることで、上述したロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆも同様に下方に押し下げられ、それによって可動ビーム部１３ａの反対側に設けられた係止ロック部１３ｄが上方に押し上げられる。その結果、それまで信号伝送媒体Ｆの係合位置決め部Ｆａに係合されていた係止ロック部１３ｄが係合位置決め部Ｆａから上方に離脱し、信号伝送媒体Ｆが自由状態となって前方側へ向かって抜去可能な状態になされる。このときのロック操作カバー部１１ｅの押し下げ時には、ロック解除押圧部１３ｆの下端面がロック固定部１１ｃの上端面に当接することで、可動ビーム部１３ａの過度な上方弾性変位を抑制して、ロック部材１３の変形や破損を防止することが可能となる。
【００４６】
このようにロック部材１３に対してロック解除操作が施される際には、上述したように係止ロック部１３ｄを含む可動ビーム部１３ａの前方側部分が上方に押し上げられるように弾性変位されることとなるが、そのときの可動ビーム部１３ａの上方側弾性変位は、前述した信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの挿入時と同様に、絶縁ハウジング１１にロック確認手段として設けられたスリット部１１ｄによって許容されるとともに、その可動ビーム部１３ａの上方側突出部分がスリット部１１ｄを通して上方に突出するように構成されており、その可動ビーム部１３ａの上方突出部分が外方から目視されることによって、ロック部材１３の変位状態が容易に確認されるようになっている。
【００４７】
このような構成を有する本実施形態によれば、信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）Ｆが所定位置まで挿入された時点においてロック部材１３の上方変位状態が、ロック確認手段として設けられたスリット部１１ｄを通して外方から容易に目視されるため、信号伝送媒体Ｆの挿入状態の良否が直ちに確認され判断されるようになっている。特に、本実施形態においては、スリット部１１ｄを通してロック部材１３の一部が絶縁ハウジング１１の外方に突出する構成になされていることから、ロック部材１３の変位状態が極めて良好に目視される。
【００４８】
さらに、本実施形態においては、ロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆに重合するロック操作カバー部１１ｅが絶縁ハウジング１１に設けられていることから、信号伝送媒体（ＦＰＣ，ＦＦＣ等）Ｆに対するロック部材１３の係合状態を解除する操作が、絶縁ハウジング１１のロック操作カバー部１１ｅに対する操作によって容易かつ確実に行われる。
【００４９】
［第２の実施形態にかかる電気コネクタについて］
一方、上述した第１の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した図９〜図１６にかかる第２の実施形態においては、絶縁ハウジング１１に適宜の間隔をなして一対配置されたロック操作カバー部１１ｅ，１１ｅ同士を一体的に連結するように延在する操作連動アーム部１１ｆが設けられている。
【００５０】
このような構成を有する本実施形態によれば、一対設けられたロック部材１３，１３の係合状態を解除する押し下げ動作が、操作連動アーム部１１ｆの一箇所に対する一回の操作によって同時に効率的に行われる。このときの操作連動アーム部１１ｆに対する押し下げ作業時には、ロック操作カバー部１１ｅの下端面が、ロック部材１３の後端側に設けられた基板接続部１３ｅの上端面に当接することで、可動ビーム１３ａの過度な上方弾性変位を抑制して、ロック部材１３の変形や破損を防止することが可能となる。
【００５１】
また、本実施形態における操作連動アーム部１１ｆには、当該操作連動アーム部１１ｆの長手方向両端部分に設けられた傾斜部１１ｇによって、当該長手方向両端部分から中央部分にかけて押圧方向の高さが低くなるように構成されている。
【００５２】
このような構成を有する本実施形態によれば、操作連動アーム部１１ｆに対して操作を施す際に、当該操作連動アーム部１１ｆの両端側に設けられた傾斜面部１１ｇに対して作業者の指先が掛かりにくくなって、主として操作連動アーム部１１ｆの中央部分に対して操作力が付加されるようになることから、操作連動アーム部１１ｆに対する破損等を防止することが可能となる。
【００５３】
［第３の実施形態にかかる電気コネクタについて］
更に、上述した第１の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した図１７〜図２４にかかる本発明の第３の実施形態においては、絶縁ハウジング１１の後端部分におけるコネクタ長手方向の両端部分に、一対のロック操作カバー部１１ｈ，１１ｈが、上述したロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆに対応して設けられている。それらの各ロック操作カバー部１１ｈは、絶縁ハウジング１１の前端部から後方に向かって片持ち状に延出する弾性カバーアーム１１ｈ１の延出側先端部分に一体的に連結されており、ロック解除押圧部１３ｆの直上位置において当該ロック解除押圧部１３ｆに対して上方側から重合する配置関係にされている。
【００５４】
それら一対のロック操作カバー部１１ｈの各々は、平面略矩形状をなす比較的幅広の板状部材から形成されており、その比較的幅広になされたロック操作カバー部１１ｈが、幅狭な板厚を有するようにロック部材１３の後端部分に設けられたロック解除押圧部１３ｆの上縁部を上方側から覆うような配置関係になされている。また、それらの各ロック操作カバー部１１ｈを上下方向に弾性変位可能に保持する弾性カバーアーム１１ｈ１は、各ロック操作カバー部１１ｈ毎に一対設けられており、それら一対の弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１が、ロック部材１３の可動ビーム部１３ａを両側から挟むように配置されている。
【００５５】
また、上述したロック操作カバー部１１ｈの後端部分（図２１の右端部分）は、ロック部材１３の下方側に回り込むように形成されており、ロック解除押圧部１３ｆの後端部分を下方側から覆う配置関係になされている。すなわち、本実施形態におけるロック操作カバー部１１ｈは、ロック部材１３のロック解除押圧部１３ｆに対して直下位置から重合するカバー下保持部１１ｈ２を有しており、ロック部材１３を弾性変位させる下方向の操作力付加方向において前後（上下）から、ロック解除押圧部１３ｆをロック操作カバー部１１ｈが挟持するように形成されている。そして、そのカバー下保持部１１ｈ２を含むロック操作カバー部１１ｈの全体が、ロック部材１３と一体的に弾性変位するとともに、それらのロック部材１３とロック操作カバー部１１ｈとの全体が、上述した一対の弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１の弾性力によって保持される構成になされている。
【００５６】
このように本実施形態においては、ロック操作カバー部１１ｈがカバー下保持部１１ｈ２を有することによって、ロック部材１３とロック操作カバー部１１ｈとの全体が、一対の弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１により弾性的に保持される構成になされていることから、例えばロック解除操作力等によりロック部材１３に塑性変形を生じた場合であっても、弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１の弾性保持力が、ロック操作カバー部１１ｈのカバー下保持部１１ｈ２を介してロック部材１３を下方側から保持するように作用し、その弾性カバーアーム１１ｈ１，１１ｈ１の弾性保持力によってロック部材１３が元の位置に復元することが可能となり、その結果、ロック部材１３の係止ロック部１３ｄによる通常のロック機能が安定的に維持される。
【００５７】
［導電コンタクトについて］
また、本実施形態にかかる導電コンタクト２２は、絶縁ハウジング１１のコネクタ後端側に設けられた部品取付口１１ｂから前方側（図１９の左方側）に向かって挿入されて装着されている。このようにして絶縁ハウジング１１の内部に装着された各導電コンタクト２２は、媒体挿入口１１ａを通して絶縁ハウジング１１の内部に挿入された信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの配線パターンに対応した位置に配置されている。それらの信号伝送媒体Ｆに形成された配線パターンは、信号伝送用導電路（信号線パッド）又はシールド用導電路（シールド線パッド）を適宜のピッチ間隔で配置したものである。
【００５８】
上述した各導電コンタクト２２は、信号伝送媒体Ｆの挿脱方向（図１９の左右方向）である前後方向に沿って略平行に延在する一対の細長状ビーム部材からなる可動ビーム２２ａ，２２ｂを有している。これら一対の可動ビーム２２ａ，２２ｂは、絶縁ハウジング１１の内部空間において図示上下方向に適宜の間隔をなして互いに対向するように配置されており、連結支柱部２２ｃを介して一体的に連結されている。これらの両可動ビーム２２ａ，２２ｂの前端部分は、絶縁ハウジング１１の内壁面から浮き上がるように形成されている。
【００５９】
連結支柱部２２ｃは、細幅の板状部材から形成されており、前記可動ビーム２２ａ，２２ｂの延在方向の後端部分において図示上下方向に延在するように配置されている。そして、その連結支柱部２２ｃの図示上端部分及び下端部分に連結された両可動ビーム２２ａ，２２ｂは、自身及び連結支柱部２２ｃの弾性可撓性に基づいて弾性変位可能となるように構成されており、両可動ビーム２２ａ，２２ｂが、連結支柱部２２ｃ又はその近傍を回動中心として揺動可能となるように構成されている。そのときの各可動ビーム２２ａ，２２ｂの揺動は、図１９の紙面内において上下の方向に行われることとなる。
【００６０】
さらに、上側の可動ビーム２２ａの前端側部分（図１９の左端側部分）には、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの図示上面側に形成された配線パターン（信号伝送用又はシールド用の導電路）のいずれかに接続される上端子接触凸部２２ａ１が図示下向きの突形状をなすように設けられているとともに、下側の可動ビーム２２ｂにおける前方側部分（図１９の左方側部分）には、信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）Ｆの図示下面側に形成された配線パターン（信号伝送用又はシールド用の導電路）のいずれかに接続される下端子接触凸部２２ｂ１が図示上向きの突形状をなすように設けられている。この下端子接触凸部２２ｂ１は、上述した可動ビーム２２ａ側の上端子接触凸部２２ａ１の図示直下位置に対面するように配置されており、それらの上端子接触凸部２２ａ１と下端子接触凸部２２ｂ１との間に信号伝送媒体Ｆが挟持され、それによって電気的な接続が行われる構成になされている。
【００６１】
なお、これらの上端子接触凸部２２ａ１及び下端子接触凸部２２ｂ１は、互いの位置をコネクタ前方側（図１９の左方側）或いはコネクタ後方側（図１９の右方側）にずらして配置することも可能である。
【００６２】
さらに、上述した下側の可動ビーム２２ｂの後端側部分（図１９の右端側部分）には、主印刷配線基板上に形成された導電路に半田接続される基板接続部２２ｂ２がそれぞれ設けられている。
【００６３】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【００６４】
例えば、ロック確認手段は、絶縁ハウジング１１の壁面を貫通するように設けられた窓部として形成することが可能である。このときのロック確認手段として窓部は、絶縁ハウジング１１の内部においてロック部材が変位する前後いずれかの位置に臨んで目視可能とし、或いは係合する前後いずれかの位置に臨んで目視可能とするように設けられることとなる。
【００６５】
また、上述した各実施形態では、電気コネクタに固定される信号伝送媒体として、フレキシブル・プリンテッド・サーキット（ＦＰＣ）、及びフレキシブル・フラット・ケーブル（ＦＦＣ）を採用しているが、その他の信号伝送用媒体等を用いた場合に対しても本発明は同様に適用することができる。
【００６６】
さらに、上述した実施形態にかかる電気コネクタには、同一形状の導電コンタクトが用いられているが、異なる形状の導電コンタクトを交互に配置した構造であっても本発明は同様に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【００６７】
本発明は、各種電気機器に使用する多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【００６８】
１０ 電気コネクタ
１１ 絶縁ハウジング
１１ａ 媒体挿入口
１１ｂ 部品取付口
１１ｃ ロック固定部
１１ｄ スリット部（ロック確認手段）
１１ｅ ロック操作カバー部
１１ｆ 操作連動アーム部
１１ｇ 傾斜部
１２ 導電コンタクト
１２ａ 基板接続部
１２ｂ 可撓性アーム部
１２ｃ 端子接触凸部
１３ ロック部材
１３ａ 可動ビーム部
１３ｂ 固定ビーム部
１３ｃ 連結支柱部
１３ｄ 係止ロック部
１３ｅ 基板接続部
１３ｆ ロック解除押圧部
Ｆ 信号伝送媒体（ＦＰＣ又はＦＦＣ等）
Ｆａ 係合位置決め部
１１ｈ ロック操作カバー部
１１ｈ１ 弾性カバーアーム
１１ｈ２ カバー下保持部
２２ 導電コンタクト
【特許請求の範囲】
【請求項１】
絶縁ハウジングの内部の所定位置まで挿入された信号伝送媒体の端末部分を略不動状態に保持するロック部材が、前記絶縁ハウジングの内部に設けられたものであって、
前記信号伝送媒体の挿入に伴って前記ロック部材の一部が前記信号伝送媒体の表面上に乗り上げるように弾性変位した後に、前記信号伝送媒体の端末部分に設けられた係合位置決め部に前記ロック部材の一部が落ち込んで係合状態になされるように構成された電気コネクタにおいて、
前記絶縁ハウジングには、前記ロック部材の変位状態又は係合状態を目視可能とするロック確認手段が設けられていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項２】
前記ロック確認手段は、前記絶縁ハウジングを構成する壁面を貫通するように設けられた窓部又はスリット部からなることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ。
【請求項３】
前記ロック確認手段としてのスリット部は、前記ロック部材の弾性変位時に当該ロック部材の一部が前記スリット部を通して前記絶縁ハウジングの外方に突出するように構成されていることを特徴とする請求項２記載の電気コネクタ。
【請求項４】
前記ロック確認手段としての窓部は、前記絶縁ハウジングの内部における前記ロック部材の変位前後又は係合前後の位置に臨むように設けられていることを特徴とする請求項２記載の電気コネクタ。
【請求項５】
前記ロック部材に、当該ロック部材を弾性変位させる方向の操作力が付加されるロック解除押圧部が設けられているとともに、
前記絶縁ハウジングに、前記ロック部材のロック解除押圧部に重合するように延出するロック操作カバー部が設けられていることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ。
【請求項６】
前記ロック操作カバー部は、適宜の間隔をなして一対配置され、
それら一対のロック操作カバー部同士を一体的に連結するように延在する操作連動アーム部が設けられていることを特徴とする請求項５記載の電気コネクタ。
【請求項７】
前記操作連動アーム部には、当該操作連動アーム部の長手方向における両端側部分から中央部分にかけて押圧方向の高さが連続的に低くなるように傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項６記載の電気コネクタ。
【請求項８】
前記ロック操作カバー部が、前記ロック部材のロック解除押圧部に対して、当該ロック部材を弾性変位させる操作力の付加方向において前後から挟むように形成されていることを特徴とする請求項５記載の電気コネクタ。
【請求項１】
絶縁ハウジングの内部の所定位置まで挿入された信号伝送媒体の端末部分を略不動状態に保持するロック部材が、前記絶縁ハウジングの内部に設けられたものであって、
前記信号伝送媒体の挿入に伴って前記ロック部材の一部が前記信号伝送媒体の表面上に乗り上げるように弾性変位した後に、前記信号伝送媒体の端末部分に設けられた係合位置決め部に前記ロック部材の一部が落ち込んで係合状態になされるように構成された電気コネクタにおいて、
前記絶縁ハウジングには、前記ロック部材の変位状態又は係合状態を目視可能とするロック確認手段が設けられていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項２】
前記ロック確認手段は、前記絶縁ハウジングを構成する壁面を貫通するように設けられた窓部又はスリット部からなることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ。
【請求項３】
前記ロック確認手段としてのスリット部は、前記ロック部材の弾性変位時に当該ロック部材の一部が前記スリット部を通して前記絶縁ハウジングの外方に突出するように構成されていることを特徴とする請求項２記載の電気コネクタ。
【請求項４】
前記ロック確認手段としての窓部は、前記絶縁ハウジングの内部における前記ロック部材の変位前後又は係合前後の位置に臨むように設けられていることを特徴とする請求項２記載の電気コネクタ。
【請求項５】
前記ロック部材に、当該ロック部材を弾性変位させる方向の操作力が付加されるロック解除押圧部が設けられているとともに、
前記絶縁ハウジングに、前記ロック部材のロック解除押圧部に重合するように延出するロック操作カバー部が設けられていることを特徴とする請求項１記載の電気コネクタ。
【請求項６】
前記ロック操作カバー部は、適宜の間隔をなして一対配置され、
それら一対のロック操作カバー部同士を一体的に連結するように延在する操作連動アーム部が設けられていることを特徴とする請求項５記載の電気コネクタ。
【請求項７】
前記操作連動アーム部には、当該操作連動アーム部の長手方向における両端側部分から中央部分にかけて押圧方向の高さが連続的に低くなるように傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項６記載の電気コネクタ。
【請求項８】
前記ロック操作カバー部が、前記ロック部材のロック解除押圧部に対して、当該ロック部材を弾性変位させる操作力の付加方向において前後から挟むように形成されていることを特徴とする請求項５記載の電気コネクタ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【公開番号】特開２０１２−２１２６５８（Ｐ２０１２−２１２６５８Ａ）
【公開日】平成２４年１１月１日（２０１２．１１．１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１２−３６５３９（Ｐ２０１２−３６５３９）
【出願日】平成２４年２月２２日（２０１２．２．２２）
【出願人】（５９２０２８８４６）第一精工株式会社 (94)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１１月１日（２０１２．１１．１）
【国際特許分類】
【出願日】平成２４年２月２２日（２０１２．２．２２）
【出願人】（５９２０２８８４６）第一精工株式会社 (94)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]