説明

電気光学表示デバイスの制御方法、電気光学表示デバイスの制御装置

【課題】画像ソースと双安定電気光学ディスプレイ装置間のインターフェイスを簡略化する新規な方法を提供すること。
【解決手段】画像のピクセルと前の画像のピクセルとから合成されたピクセルデータを生成し、設定可能な少なくとも1つの条件が真であるか決定するために前記画像のピクセルと前記前の画像の対応するピクセルとを比較するとともに、前記少なくとも1つの条件が真である場合に2つ以上の更新モードから1つの更新モードを選択し、パイプラインに前記画像の各ピクセルに対し波形を決定させて前記波形を画像データとして表示装置に伝送させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば双安定電気光学ディスプレイ装置に関し、より具体的に双安定電気光学
ディスプレイ装置の更新操作を自動的に設定することに関する。本明細書において、「デ
ィスプレイ」と「表示(装置)」とは互いに置換可能な用語として用いられている。また
、「パイプ」と「パイプライン」とは互いに置換可能な用語として用いられ、さらに、「
パイプ」、「更新パイプ」および「更新表示パイプ」も同様に互いに置換可能な用語とし
て用いられている。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置はピクセルのアレイを有している。「電気光学」は材料の光学特性が
電界に応答して変化する効果を指す。光学特性は視覚的な外観を含むが、これに限定され
ない。ピクセルの光学特性が電界に応答して変化するようにできるディスプレイ装置は電
気光学ディスプレイ装置である。一般的に、ピクセルが2つの安定状態を有する場合双安
定とみなすことができる。しかし「双安定」の用語は本明細書で複安定、すなわちピクセ
ルが2つ以上の安定状態を有することができること、の意味で使用される。ピクセルの光
学特性が安定しているとみなされるためには、特性が非一時的な期間安定であることが必
要である。このような期間はピクセルの光学特性を変更するのに必要な電界をもたらすの
に要する駆動信号の最小持続時間の4倍であれば非一時的とみなされる。
【0003】
さまざまな双安定電気光学ディスプレイ装置が知られている。双安定電気光学ディスプ
レイの一種は回転2色体を用いる。異なる光学特徴を持つ2つ以上の区分と内部双極子を
有する多数の小体がマトリクスの液体を充填した微少な空洞に懸濁される。体は電界を印
加することによい回転させることができる。別の種類の双安定電気光学ディスプレイはエ
レクトロクロミック媒体を用いる。さらに別の種類の電気光学ディスプレイは電気湿潤を
用いる。
【0004】
双安定電気光学ディスプレイ装置の1種は電気泳動、すなわち電界に応答した荷電粒子
の動き、に基づいている。この種のディスプレイにおいて、荷電粒子は電界の印加により
流体の中を動かされる。流体は液体または気体であって良い。粒子はカプセルに封入され
ていることができ、粒子、流体、カプセル、および他の要素が集合的に「封入電気泳動媒
体」と呼ぶことができる。通常封入電気泳動媒体は多数の小カプセルを有してなり、カプ
セルはポリマーバインダー内に保持され2つの電極間に位置する凝集層を形成する。この
種のディスプレイはマイクロカプセル化電気泳動(”MEP”)ディスプレイまたは電気
泳動ディスプレイ(”EPD”)と呼ぶことができる。
【0005】
「マイクロセル」電気泳動ディスプレイは別の種類のEPDである。マイクロセル電気
泳動ディスプレイにおいて、荷電粒子および懸濁流体は通常ポリマーフィルムの担体媒体
内に形成される複数の空洞内に保持される。
【0006】
EPDはアクティブマトリクスLCDで使用されるものと類似した薄膜トランジスター
(”TFT”)アレイを用いて更新され得るようにすることができ、この場合EPDはア
クティブマトリクスEPD(”AMPED”)と呼ぶことができる。EPDは太陽光を含
みさまざまな照明条件で良好な読みやすさを提供するので電子リーダーまたは「電子ブッ
ク」での使用に有望な技術である。加えて、LCDに比べ電力量の消費が低い(例えば引
用文献1参照)。
EPDはいくつかの異なる更新モードを使用して作動するよう設計されている。「単色
」更新モードはテキストなど、全く黒と白のピクセルからなる画像をリフレッシュするの
に用いることができる。この種の画像はバイレベルまたはビットマップ画像と呼ぶことも
できる。グレースケール更新モードは黒、白、または黒白間のさまざまな濃さのグレーで
あり得るピクセルからなる画像をリフレッシュするのに用いられる。
【0007】
EPDを異なる更新モードでリフレッシュするのに要する時間はさまざまである。例え
ば、代表的な単色更新モードの1つは代表的なグレースケース更新モードがEPDを更新
するのに必要とし得る時間の約3分の1を要するかもしれない。一般的には利用できる最
も速い更新モードを用いることが望ましい。しかし、間違った更新モードの使用は画像の
アーティファクトをもたらすかもしれない。
【0008】
EPDに表示される画像はおよそ10分毎、または画像が変わる時にしかリフレッシュ
する必要がないかもしれない。この理由から、CPUまたは他の画像データソースは通常
具体的に画像更新を要求する必要がある。CPUが画像更新を要求する場合、更新モード
および追加パラメーターを指定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7119772号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
既知のEPDには技術的問題がある。具体的には、CPUまたは画像データの他のソー
スが更新モードおよびさらなるパラメーターを指定する必要がある。しかし、必要の更新
モードおよび他のパラメーターを決定するために必要な情報はCPUにとって簡単に利用
可能でないかもしれない。さらにパラメーター値の決定はCPUにとって相当な負担とな
るかもしれない。
【0011】
従って、CPUまたは画像データの他のソースとEPDなど双安定電気光学ディスプレ
イ装置間のインターフェイスを簡略化する方法および装置の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電気光学表示デバイスの制御方法は、第1の画像を表示する命令を受信するス
テップと、前記第1の画像のピクセルデータと前記第1の画像の前に表示されている第2
の画像のピクセルデータとから合成された合成ピクセルデータを生成するステップと、複
数の更新モードから1つの更新モードを選択するステップと、前記選択された更新モード
に基づいた表示データをパイプラインに記憶するステップと、前記パイプラインに保存さ
れたデータを所与のタイミングで出力するステップと、を含む。
【0013】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法は、前記合成ピクセルデータは、イン
デックスデータと、前記第1の画像のピクセルデータの一部と、前記第2の画像のピクセ
ルデータの一部と、から生成されることができる。
【0014】
本発明の電気光学表示デバイスの制御装置は、第1の画像のピクセルデータと前記第1
の画像の前の画像である第2の画像のピクセルデータとから合成された合成ピクセルデー
タを生成するピクセル合成器と、前記ピクセル合成器の出力を受信し、複数の更新モード
から1つの更新モードを選択する更新モード選択回路と、複数の波形から選択された前記
第1の画像の各ピクセルに対応する波形を保存するパイプラインと、を含むことを特徴と
する。
【0015】
本発明の電気光学表示デバイスの制御装置は、第1の画像のピクセルデータと前記第1
の画像の前の画像である第2の画像のピクセルデータとから合成された合成ピクセルデー
タを生成するピクセル合成器と、前記ピクセル合成器の出力を受信し、複数の更新モード
から1つの更新モードを選択する更新モード選択回路と、複数の波形から選択された前記
第1の画像の第1のピクセルに対応する波形を保存する第1のパイプラインと、複数の波
形から選択された前記第1の画像の第2のピクセルに対応する波形を保存する第2のパイ
プラインと、前記第1のパイプラインからの出力と前記第2のパイプラインからの出力の
いずれか一方を選択して出力するタイミング生成回路と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の電気光学表示デバイスの前記更新モード選択回路は、前記第1の画像の
ピクセルデータと前記第2の画像のピクセルデータとを比較する第1の比較器と、前記第
1の画像のピクセルデータと前記第2の画像のピクセルデータとを比較する第2の比較器
と、前記第1の画像のピクセルデータと前記第2の画像のピクセルデータとを比較する第
3の比較器と、前記第1の比較器の出力に応じて、第1のモードと第2のモードのいずれ
か一方を選択する第1の選択回路と、前記第2の比較器の出力に応じて、前記第1の選択
回路の出力と第3のモードのいずれか一方を選択する第2の選択回路と、前記第3の比較
器の出力に応じて、前記第2の選択回路の出力と第4のモードのいずれか一方を選択する
第3の選択回路と、を含むことができる。
【0017】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置は、前記第1のモード及び前記第2の
モードの表示は、前記第4のモードよりも階調数が多いように構成することができる。
【0018】
また、本発明の前記第1の比較器、前記第2の比較器及び前記第3の比較器の各々は、
前記第1の画像のピクセルと前記第2の画像のピクセルとの差を、予め設定された第1の
値と比較する第4の比較器と、前記第1の画像のピクセルの光学特性と予め設定された第
2の値と比較する第5の比較器と、前記第2の画像のピクセルの光学特性と予め設定され
た第3の値と比較する第6の比較器と、を含むことができる。
【0019】
また、本発明の電気光学表示デバイスの前記更新モード選択回路は、第1の画像の第1
のピクセルと、第1の画像の所定のピクセルが表示される座標と同じ座標に位置する第2
の画像の第2のピクセルと、を比較することで、更新モードを選択することを特徴とする
ことができる。
【0020】
本発明の電気光学表示デバイスの制御方法は、(a)画像を表示する命令を受信するス
テップと、(b)前記画像のピクセルと前の画像のピクセルとから合成されたピクセルデ
ータを生成するステップと、(c)設定可能な少なくとも1つの条件が真であるか決定す
るために前記画像のピクセルと前記前の画像の対応するピクセルとを比較するとともに、
前記少なくとも1つの条件が真である場合に2つ以上の更新モードから1つの更新モード
を選択して、当該1つの更新モードを決定するステップと、(d)パイプラインに前記画
像の各ピクセルに対し波形を決定させて前記波形をインパルスデータとして表示装置に伝
送させるステップとを有することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法において、前記電気光学表示デバイス
は電気泳動表示デバイスを含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法において、前記選択された更新モード
に従い2つ以上のパイプラインから1つのパイプラインを選択するステップをさらに有す
ることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法において、前記電気光学表示デバイス
は電気泳動表示デバイスを含むことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法において、前記条件は、前記画像と前
記前の画像との各々対応するピクセル間の光学特性の差を予め定められた差と比較するこ
とを特徴とする。
【0025】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法において、前記条件は、前記画像のピ
クセルの光学特性を予め定められた光学特性と比較することを特徴とする。
【0026】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法において、前記条件は、前記前の画像
のピクセルの光学特性を予め定められた光学特性と比較することを特徴とする。
【0027】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御方法において、前記2つ以上の更新モード
は、単色更新モード、ペン更新モード、およびグレースケール更新モードを有することを
特徴とする。
【0028】
ここで、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置は、画像のピクセルと前の画像のピ
クセルとから合成されたピクセルデータを生成する第1装置と、設定可能な少なくとも1
つの条件が真であるか決定するために前記画像のピクセルと前記前の画像の対応するピク
セルとを比較するとともに、前記少なくとも1つの条件が真である場合に2つ以上の更新
モードから1つの更新モードを選択して、当該1つの更新モードを決定する第2装置と、
前記画像の各ピクセルに対し波形を決定し、前記波形をインパルスデータとして表示装置
に伝送させる少なくとも1つのパイプライン装置とを有することを特徴とする。
【0029】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置において、前記電気光学表示デバイス
は電気泳動表示デバイスを含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置において、前記選択された更新モード
に従い2つ以上のパイプラインからパイプラインを選択するパイプライン選択装置をさら
に有することを特徴とする。
【0031】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置において、前記条件は、前記画像と前
記前の画像との各々対応するピクセル間の光学特性の差を予め設定された差と比較するこ
とを特徴とする。
【0032】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置において、前記条件は、前記画像のピ
クセルの光学特性を予め設定された光学特性と比較することを特徴とする。
【0033】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置において、前記条件は、前記前の画像
のピクセルの光学特性を予め設定された光学特性と比較することを特徴とする。
【0034】
また、本発明の電気光学表示デバイスの制御装置において、前記2つ以上の更新モード
は単色更新モード、ペン更新モード、およびグレースケール更新モードを有することを特
徴とする。
【0035】
一方、本発明の電気光学表示デバイスは、画像のピクセルと前の画像のピクセルとから
合成されたピクセルデータを生成する第1装置と、設定可能な少なくとも1つの条件が真
であるか決定するために前記画像のピクセルと前記前の画像の対応するピクセルとを比較
するとともに、前記少なくとも1つの条件が真である場合に2つ以上の更新モードから1
つの更新モードを選択して、当該1つの更新モードを決定する第2装置と、前記画像の各
ピクセルに対し波形を決定し、前記波形をインパルスデータとして表示装置に伝送させる
少なくとも1つのパイプライン装置とを有することを特徴とする。
【0036】
また、本発明の電気光学表示デバイスにおいて、前記電気光学表示デバイスは電気泳動
表示デバイスであることを特徴とする。
【0037】
また、本発明の電気光学表示デバイスにおいて、前記選択された更新モードに従い2つ
以上のパイプラインからパイプラインを選択するパイプライン選択装置をさらに有するこ
とを特徴とする。
【0038】
また、本発明の電気光学表示デバイスにおいて、前記条件は、前記画像と前記前の画像
との各々対応するピクセル間の光学特性の差を予め設定された差と比較することを特徴と
する。
【0039】
また、本発明の電気光学表示デバイスにおいて、前記条件は、前記画像のピクセルの光
学特性を予め設定された光学特性と比較することを特徴とする。
【0040】
また、本発明の電気光学表示デバイスにおいて、前記条件は、前記前の画像のピクセル
の光学特性を予め設定された光学特性と比較することを特徴とする。
【0041】
また、本発明の電気光学表示デバイスにおいて、前記2つ以上の更新モードは単色更新
モード、ペン更新モード、およびグレースケール更新モードを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のディスプレイ装置、ディスプレイコントローラー、およびディスプレイメモリーを有するシステムのブロック図である。
【図2】図1のディスプレイ装置をより詳細に示す概略図である。
【図3】図2のディスプレイ装置における電気泳動媒体の一部の概略図である。
【図4】図1のディスプレイコントローラーおよびディスプレイメモリーをより詳細に示す概略図である。
【図5】図4のディスプレイコントローラーにおける更新モード選択装置を示すブロック図で、更新モード選択装置は複数の比較装置を含む図である。
【図6】図5の比較装置をより詳細に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下本発明の実施の形態について説明する。はじめに本発明の概要は以下となる。
【0044】
発明の原理を具現する装置は第1装置および第2装置、ならびに少なくとも1つのパイ
プライン装置を含む。第1装置は画像のピクセルおよび先行する画像のピクセルから合成
ピクセルデータを生成する。第2装置は画像のピクセルを先行する画像の対応するピクセ
ルと比較して少なくとも1つの条件が真であるか判定することにより更新モードを決定す
る。条件は設定することができる。加えて、第2装置は第1条件が真の場合2つ以上の更
新モードから更新モードを選択する。パイプライン装置は画像の各ピクセルに対し波形を
決定し、波形をインパルスデータとして双安定電気光学ディスプレイ装置に伝送する。
【0045】
装置はさらに選択した更新モードに従い2つ以上のパイプラインからパイプラインを選
択するパイプライン選択装置を含むことができる。
【0046】
発明の原理を具現する双安定電気光学ディスプレイ装置および方法も開示される。
【0047】
発明の原理による方法および装置はCPUまたは画像データの他のソース(「ホスト」
)と双安定電気光学ディスプレイ装置の間のインターフェイスを、ホストが最良の更新モ
ードおよびどのパイプラインを使用するかを決定せずに済ませることにより簡略化する。
【0048】
本概要は図面および詳細な説明において続くものを全般的に記述するために提供され、
発明の範囲を限定する意図はない。発明の目的、特長、および利点は添付図面と併せて以
下の詳細な説明を検討すれば容易に理解されよう。
【0049】
以下の図面および説明で、図面および説明において一般的に同じまたは類似する部分、
要素、または工程を一般的に指すのに同じ参照番号が用いられる。
【0050】
図1はホスト22、ディスプレイ装置24を有するシステム20のブロック図である。
ホスト22は、例えば、CPU、DSP(デジタルシグナルプロセッサー)、またはディ
スプレイコントローラー28とインターフェイスできるデバイスである。ディスプレイ装
置24は、例えば、双安定電気光学ディスプレイ26を含む。ディスプレイ26は、例え
ば、電気泳動ディスプレイである。ディスプレイ26は、AMPED(アクティブマトリ
クス電気泳動ディスプレイ)またはパッシブ駆動電気泳動ディスプレイであっても良い。
【0051】
システム20は、ディスプレイコントローラー28およびシステムメモリー30を含む
。システム20は、さらにディスプレイメモリー32、波形メモリー34(ウェーブフォ
ームメモリー)、温度センサー36、および電源モジュール38も含む。
【0052】
図2は、図1のディスプレイ装置24をより詳細に示す概略図である。双安定電気光学
ディスプレイとしてのディスプレイ26は、複数のピクセル40で構成されたピクセルの
アレイを含む。複数のピクセル40の各々は、TFTなどの能動スイッチ素子(図示せず
)を含む。スイッチ素子は、行ドライバー42(ゲートドライバー)および列ドライバー
44(ソースドライバー)により選択され駆動される。図1では、列ドライバー44が1
つ図示されているが、1つのディスプレイコントローラー28に対して複数の列ドライバ
ーを用い、1つ又は複数のディスプレイにそれらの列ドライバーが接続されていてもよい
。行ドライバー42は、複数の行電極の中から1本の行電極46を選択し、選択された行
におけるすべてのスイッチ素子をオンにすることができる。列ドライバー44は選択され
た列電極48にデータ信号を供給する。それにより行ドライバー42によって選択された
行および列ドライバー44によって選択された列電極の交差点に位置するピクセルに電圧
を提供することができる。
【0053】
図3はディスプレイ26の部分を断面で示す概略図である。図3に示す図はアクティブ
マトリクス電気泳動ディスプレイの一実施形態である。
【0054】
複数のマイクロカプセル54がピクセル電極59、ピクセル電極61間に挟まれている
。ピクセル電極59は透明である(可視光を透過する)。各ピクセルは3つ以上のマイク
ロカプセル54(54a,54b,54c)に対応する。各マイクロカプセル54は、流
体60に浮遊し正の電気を帯びた白粒子56および負の電気を帯びた黒粒子58を含む。
【0055】
ピクセル電極59は所定の電圧に保持することができる。図2の行電極46および列電
極48を用いて電極61に印加される電圧を制御することができる。ピクセル電極59,
61を用いて特定ピクセルのマイクロカプセル54に電界を設定することができる。電界
が正の場合、白粒子56は行電極46(図2参照)に電気的に接続されたピクセル電極5
9の方向に動き、その結果ピクセル電極59側から見たピクセルの見かけはより白くなる
。逆に、電界が負の場合、黒粒子58がピクセル電極59の方向に動き、その結果ピクセ
ル電極59側から見たピクセルの見かけはより黒くなる。マイクロカプセル54aは完全
に白いピクセルの簡略化された描写で、マイクロカプセル54bは完全に黒いピクセルの
簡略化された描写である。加えて、マイクロカプセル54cは完全に白または黒以外のグ
レースケール値、すなわちグレーを表示しているピクセルを図示する。特定の光学的外観
、例えば黒、白、またはグレー、を有するピクセルを生成するには、通常、電圧パルスの
シーケンスがピクセル電極に印加される。電圧パルスの具体的なシーケンスまたは波形は
、中でもピクセルの望まれる新しい外観による。ディスプレイ26の表示が更新される際
、波形(所望の駆動電圧)が列電極48を介してディスプレイの各ピクセルに印加される
。印加される具体的な波形はピクセルの更新後の表示及び更新前の表示に基づいて選択さ
れる。
【0056】
ピクセルの電極に適当な極性、持続時間、および振幅の電圧パルスを印加することによ
りピクセルを黒、白、またはある濃さのグレーの強度に駆動することができる。ピクセル
に印加する電圧パルスは持続時間、振幅、または持続時間と振幅双方に関し変調すること
ができる。さらに、電圧パルスは単一のパルスまたは単一のパルスに近似する2つ以上の
離散したパルスとして印加することができる。ここで、単一のパルスとは、非アクティブ
の状態からアクティブの状態に遷移して、再び非アクティブに遷移する信号のことを言う
。2つ以上の離散したパルスとは、上記の遷移を2回以上繰り返す信号のことである。例
えば、2つの離散したパルスとは、非アクティブの状態からアクティブの状態に遷移した
後に非アクティブ状態に遷移し、再びアクティブの状態に遷移した後に非アクティブ状態
に遷移する信号のことである。
【0057】
電気泳動ディスプレイのピクセルはパルス列により駆動される。パルス列は複数のパル
スで構成され、「波形(waveform)」とも呼ばれる。特定ピクセルを駆動するのに用いら
れる波形はピクセルの新しい外観または光学状態および他の種々の要素による。駆動波形
の選択に重要な要素の1つはピクセルの初期(または現在)の光学状態とともにピクセル
の前の光学状態である。駆動波形の選択に重要な他の要素には、温度および滞留時間、す
なわち新状態に駆動される前にピクセルがどれだけ長く初期状態にあったかが含まれる。
【0058】
EPDは数個の異なる更新モードを用いて作動することができる。本実施形態では、単
色更新モード、グレースケール更新モード及びペンモードの3種類の更新モードを用いて
EPDが動作する。
【0059】
単色更新モードは2値画像をリフレッシュするのに用いることができる。すなわち、白
又は黒を表示するための電圧パルスがEPDに送信される。グレースケール更新モードは
黒、白、または黒と白の間になるある濃さのグレーのピクセルからなる画像をリフレッシ
ュするのに用いられる。
【0060】
ペンモードは、例えばディスプレイ上で描画された画像をセンサーで読み込み、表示さ
れている画像データにセンシングで入力した画像データを重ねてディスプレイに表示する
モードである。ペンモードは、2値または複数のグレーピクセルからなる画像をリフレッ
シュするのに用いることができる。本実施形態では、ペンモードは現行画像を2値ピクセ
ルで更新する。他の更新モードはディスプレイ全体が白、黒、またはある濃さのグレーに
駆動されるモードを含む。各更新モードは異なる駆動機構(drive scheme)を用いる。
【0061】
駆動機構は任意の特定ピクセルを、現在の光学状態から任意の新しい光学状態に駆動す
る波形の組(set)である。言い換えれば、駆動機構は可能なピクセル遷移の各々に対す
る波形を有する。
【0062】
可能なピクセル遷移の数は特定の電気泳動ディスプレイが表示し得る光学状態の数によ
る。2値ピクセルの場合は、2つの可能な光学状態および2つの可能なピクセル遷移があ
る。例えば、ピクセルの表示が白から黒、黒から白へ遷移する2つのピクセル遷移がある
。従って、2値駆動機構は2つの波形を有してなることができる。なお、表示が白から白
、黒から黒へと切り換わるような表示が遷移しない場合でも、色を変化させないために所
定の波形を選択することもできる。
【0063】
2ビットピクセルの場合、4つの可能な状態(黒、濃いグレー、淡いグレー、および白
)および「16」の可能な遷移がある。8ビットピクセルの場合、64種類の状態および
4,096種類の遷移がある。
【0064】
前述した複数の更新モードの各々は複数の波形の組を含む。各組は特定環境、例えば特
定温度において作動される特定の電気泳動ディスプレイの種類に対して用いられる。
【0065】
図4はディスプレイコントローラー28およびディスプレイメモリー32をより詳細に
示すブロック図である。
【0066】
ディスプレイメモリー32は、画像バッファー78および更新バッファー82を含む。
ディスプレイメモリー32はRAMであって良い。さらに、画像バッファー78と更新バ
ッファー82が同じメモリー素子に存在していなくてもよく、画像バッファー78が設け
られたメモリー素子と更新バッファー82が設けられたメモリー素子が別のメモリー素子
であってもよい。
【0067】
ホスト22または他の画像データソースは、画像バッファー78に画像または画像の一
部を記憶することができる。画像または画像の一部はピクセルデータである。画像バッフ
ァー78へはリフレッシュ操作中ほとんどの期間にアクセスすることができる。例外の1
つとして、後述するピクセル合成操作がある。このように、ホスト22は画像バッファー
78を通常のフレームバッファーのように扱うことができる。
【0068】
更新バッファー82は現在の画像(広義の「第1の画像」)および次の画像(広義の「
第2の画像」)に関するピクセル遷移を記憶する。ピクセル遷移はある特定ピクセルにつ
いて、現在の光学状態および次の光学状態からなる。具体的に、更新バッファー82はデ
ィスプレイの各ピクセルについて次のピクセルNPおよび現行ピクセルCPを記憶する。
【0069】
例えば、画像バッファー78に1ピクセルあたりnビットのデータが記憶され、更新バ
ッファー82には、波形メモリー34から読み出されたヘッダー、現在の画像の1ピクセ
ルあたりmビット(m<n、例えばm=n/2)、及び次の画像の1ピクセルあたりmビ
ットのデータが保存される。更新バッファー82はピクセル合成器90または更新パイプ
84などディスプレイコントローラー28の内部コンポーネントによりアクセスできる。
ここで、現在の画像とは、ディスプレイ26に表示されている画像に対応する画像データ
である。ディスプレイ26の画像が更新中の場合、現在の画像は更新前の画像に対応する
画像データであり、次の画像は更新後の画像に対応する画像データである。現行ピクセル
CP、次のピクセルNPも同様である。
【0070】
ディスプレイコントローラー28は複数の更新パイプ84を含む。一実施形態で、ディ
スプレイコントローラー28は16個の更新パイプ84を含む。別の実施形態として、デ
ィスプレイコントローラー28は更新パイプ84を1つだけ含んでも良い。
【0071】
更新パイプ84をディスプレイの特定領域に割り当てることもできるが、これは必須で
はない。具体的に、更新パイプ84をディスプレイの任意の領域を更新するために選択で
きることを以下に説明される。更新パイプ84の出力はタイミング生成装置86に供給さ
れる。
【0072】
リフレッシュ操作はホスト22が画像バッファー78に記憶される新しいピクセルをデ
ィスプレイコントローラー28に送信することで開始される。ホスト22は画像バッファ
ー78に全フレームまたは全フレーム未満を記憶することができる。ホスト22はディス
プレイコントローラー28に「画像表示」命令または「部分画像表示」命令(図4の更新
CMD)を送信することによりいつでもリフレッシュ操作を開始することができる。
【0073】
リフレッシュ操作中、ピクセル合成器90はリフレッシュ操作に使用されるピクセルデ
ータを合成する。更新モード選択装置88は、更新モードを選択する。例えば、前述の単
色更新モード、グレースケール更新モード及びペンモードの中から選択する。パイプ選択
装置89は、更新パイプ84を選択する。本実施形態においては、更新パイプ84a〜更
新パイプ84nのn個の更新パイプの中から1つの更新パイプを選択する。
【0074】
リフレッシュ操作が開始された瞬間、すなわちホスト22から画像の更新命令を受信し
たとき、次のピクセルNPは、現在、ディスプレイ26に表示されているピクセルの光学
状態と対応している。また、現行ピクセルCPは、現在、ディスプレイ26に表示されて
いるピクセルの前の光学状態に対応している。
【0075】
ピクセル合成器90は、画像バッファー78から次に表示される画像のピクセルを読み
出す。また、ピクセル合成器90は、画像バッファー78から読み出した新しいピクセル
に対応する(ディスプレイ26の同じ座標に表示される)次のピクセルNPを更新バッフ
ァー82から読み出す。ピクセル合成器90は、画像バッファー78から読み出されたピ
クセルの全部又は一部を更新バッファー82に記憶する。
【0076】
合成操作において、画像バッファー78から読み出した新しいピクセルは更新バッファ
ー82に次のピクセルNPとして記憶される。更新バッファー82から読み出された次の
ピクセルNPは更新バッファー82に現行ピクセルCPとして記憶され、前に記憶された
CPを置き換える。
【0077】
このように、ピクセル合成器90は現在表示される画像と次に表示される画像に関する
ピクセル遷移を記憶する。ピクセルの新しいNP、CPの対は合わせて波形データを調べ
るインデクスとして用い得る新規ピクセル遷移を定義する。ピクセル合成操作中、ホスト
22は画像バッファー78を利用できない場合もあるが、合成操作を迅速に行うことがで
きるので合成操作を行うことでリフレッシュ操作時間を短縮できる可能性がある。
【0078】
更新モード選択装置88は更新モードを選択する。図5を参照すると、更新モード選択
装置88がより詳細に示される。図5の更新モード選択装置88は一実施形態で、比較装
置92(92a〜92c)を含む。別の実施形態として、更新モード選択装置88が比較
装置92を図5より多く含んでいても良いし、逆に図5より少なくても良い。更新モード
選択装置88はさらに更新モードを表す値を記憶するレジスター96および選択装置98
も含む。更新モード選択装置88はピクセルを1つずつ処理する。一実施形態で、次のピ
クセルNPおよびそれに対応する現行ピクセルCPの値がピクセル合成器90から比較装
置92の各々、比較装置92a,92b,92cに供給される。この実施形態で、ピクセ
ル合成器90および更新モード選択装置88は同時に動作することができる。別の実施形
態で、更新モード選択装置88は次のピクセルNPおよび現行ピクセルCPを更新バッフ
ァー82から得ることができる。
【0079】
図6に比較装置92の詳細な構成を示す。図5の比較装置92に含まれる比較装置92
a,92b,92cの各々は、閾値比較モジュール100、現行ピクセル比較モジュール
102、および次のピクセル比較モジュール104の3つの比較モジュールを含む。各モ
ジュールは設定可能である。例えば、一実施形態で、モジュールはホスト22または別の
装置により指定される制御ビットを用いてパラメーターの設定ができる。
【0080】
閾値比較モジュール100について説明する。閾値比較モジュール100に閾値として
設定されているパラメーターは、現行ピクセルのピクセル値および次のピクセルのピクセ
ル値との最小差である。閾値比較モジュールのパラメーターとして、例えばピクセル値の
ビット数が記憶される。一実施形態で、閾値比較モジュール100パラメーターは「0」
から「255」の間で任意の値にすることができる。
【0081】
現行ピクセルのピクセル値と次のピクセルのピクセル値との差が、閾値比較モジュール
100に設定された差パラメーター以上である場合、比較結果は真で、閾値比較モジュー
ル100は出力に「1」をアサートする。そうでない場合、結果は偽、すなわち閾値比較
モジュール100は出力にゼロをアサートする。一例として、差パラメーターが255に
設定されている場合、比較結果はCP=0かつNP=255、またはCP=255かつN
P=0の2つの場合にのみ真で、他の場合は全て偽となる。別の実施形態において、ピク
セル値の最大差で最小差を置き換えることができる。
【0082】
次いで、現行ピクセル比較モジュール102について説明する。現行ピクセル比較モジ
ュール102のパラメーターは現行ピクセルの値である。現行ピクセルCPが現行ピクセ
ルパラメーター値に等しければ、比較結果は真で現行ピクセル比較モジュール102は1
を出力する。そうでない場合ゼロが出力される。一例として、ピクセル状態が8ビットで
定義されCP比較モジュールが「255」に設定されている場合、比較結果はCP=25
5かつNPが「0〜255」のいずれかの256通りの場合に真になる。
【0083】
別の実施形態として、現行ピクセル比較モジュール102のパラメーターは現行ピクセ
ルより時間的に前のピクセルの値、例えば現行ピクセル値のすぐ前のピクセル値であって
もよい。本実施形態では、比較するパラメーターをピクセル値にしたが、ピクセル値以外
の光学特性を比較してもよい。
【0084】
最後に、次のピクセル比較モジュール104のパラメーターについて説明する。同様に
、次のピクセル比較モジュール104のパラメーターは次のピクセルの値であることがで
きる。次のピクセルNPが次のピクセルパラメーター値に等しければ比較結果は真で、次
のピクセル比較モジュール104は出力に「1」をアサートする。そうでない場合、ゼロ
が出力される。例えば、ピクセル状態が,8ビットで定義されCP比較モジュールが「2
55」に設定されている場合、比較結果はCPが「0〜255」のいずれかでかつNP=
255の256通りの場合に真になる。
【0085】
閾値比較モジュール100は、常に有効になっているが、差をゼロに指定することによ
り事実上無効にすることができる。次のピクセル比較モジュール104および現行ピクセ
ル比較モジュール102は、各々信号CP_ENおよび信号NP_ENにより有効または
無効にすることができる。作動の際、新フレームの開始においてレジスターRが「論理1
(または真)」にリセットされる。ピクセル毎の比較プロセス中、比較結果が偽になった
場合、レジスターRは「論理2(または偽)」にリセットされる。閾値比較モジュール1
00は単色型ピクセル遷移を検出するのに用いることができ、現行ピクセル比較モジュー
ル102、次のピクセル比較モジュール104はペン型ピクセル遷移を検出するのに用い
ることができる。モジュールは他の広範囲なピクセル遷移を検出するようプログラムでき
る。
【0086】
図5に戻ると、比較装置92a〜92cは比較装置に優先度が割り当てられる。本実施
形態では、比較装置92aが最高優先度を有する。線94a上の比較装置92aの出力が
高(真)である場合、比較装置92b,92cの出力結果に関わらず選択装置98aによ
り「モード0」が選択される。
【0087】
比較装置92bは比較装置92aの次に高い優先度を有する。線94a上の比較装置9
2aの出力が低(偽)である場合、選択装置98bの出力が選択装置98aにより選択さ
れる。これにより次に、線94b上の比較装置92bの出力が高(真)である場合「モー
ド1」が更新モード選択装置88から出力される。
【0088】
比較装置92cは3番目の優先度を有する。比較装置92a〜92cのすべての出力が
偽信号である場合、「デフォルトモード2」が更新モード選択装置88の出力に供給され
る。別の実施形態において、比較装置92a〜92cは装置の相対的優先度が図5に示す
ものと異なる形で設定されることができる。
【0089】
下記の表1はピクセル状態が8ビットで定義される一例によりさらに図5の更新モード
選択装置88の働きを示す。
【0090】
【表1】

【0091】
表1から分かるように、「比較装置0」は黒から白および白から黒のピクセル遷移のみ
を検出する。これらが更新領域の唯一の遷移である場合MU(単色更新)組の波形が選択
される。「比較装置1」および「比較装置2」は各々可能なすべてのPU(ペン更新)型
遷移の半分を検出する。このようにして、「比較装置0」、「比較装置1」及び「比較装
置2」を用いて、ピクセルの遷移モードを判定する。
【0092】
リフレッシュ操作は全表示面を更新することができる。あるいは、全表示面は複数の領
域に分割し、一部の領域の表示を更新することもできる。ホスト22は部分画像表示命令
を用いて全フレームの所望の領域を表示することができる。また、複数の更新パイプ84
のうち一部の更新パイプを用いて全表示面または全表示面の一部の領域をリフレッシュす
ることができる。
【0093】
一実施形態で、2つ以上の領域に対するリフレッシュ操作を平行して進めることができ
る。各領域の更新は別個の更新パイプ84により行われる。例えば、第1の領域の更新は
更新パイプ84aを用いて行い、第2の領域の更新は更新パイプ84b及び更新パイプ8
4cを用いて行うことができる。本実施形態において、更新モード選択装置88を用いて
複数のピクセルの各々について更新モードを判定することができる。さらに、別の実施形
態として、各領域に対するリフレッシュ操作は異なる更新モードを用いることもできる。
例えば、第1の領域は単色更新モードで、第2の領域はグレースケール更新モードで、第
3の領域はペンモードを用いることもできる。更新モード選択装置88を用いて全フレー
ムに対する更新モードを決定することができる。あるいは、更新モード選択装置88を用
いてフレームの1つ以上の領域に対する更新モードを決定することができる。
【0094】
更新モード選択装置88を用いる利点の1つは、使用すべき最良の更新モードをホスト
22が決定しなくて済むことである。さらに、ホスト22上で動作するソフトウェアはレ
イヤーからなることができ、より低い層がより高い層にサービスを提供するが、同時実施
の詳細をより高い層から遮蔽または隠す。更新モード選択装置88は、より高レベルで動
作するソフトウェアが画像表示および部分画像表示命令を使用することを許すが、ソフト
ウェアは最高速更新モードを決定するために前の画像の記録を取って置く必要がない。こ
れは高レベルソフトウェアの設計を簡単にするだけでなく、許可されない更新モードを選
択することによるソフトウェアの不注意なミスを予防することができる。さらに更新モー
ド選択装置88を設定できることは、本明細書に説明されるもの以外の更新モードまたは
新規に開発され利用可能になる更新モードとの使用にディスプレイコントローラー28を
容易に適応させることができる。
【0095】
一実施形態で、パイプ選択装置89は更新パイプ84を選択する。更新モード選択装置
88の出力、すなわち全フレームまたは所望の領域に対する最良の更新モードがパイプ選
択装置89に提供される。パイプ選択装置89はこのように提供された更新モードを用い
て複数の更新パイプから、リフレッシュで使用する更新パイプを選択することができる。
パイプ選択装置89が更新パイプを選択する方法の1つを下記の表2に示す。
【0096】
【表2】

【0097】
表2に示されるパイプ割り当て方法は、ディスプレイコントローラー28に16個の更
新パイプ84が備わっている場合の実施形態である。表2に示される仕組みは比較的高速
の更新モードに比較的少数の更新パイプが提供され、比較的低速の更新モードに比較的多
数の更新パイプが提供される。換言すると、表示する画像の階調数が多い更新モードでは
、階調数の少ない更新モードよりも更新パイプの数を多く割り当てている。これにより、
ディスプレイ26の更新負荷のバランスを取ることができる。具体的に、単色更新モード
およびペン更新モードは約260ms必要で、グレースケール更新モードは約800ms
必要であり得る。言い換えれば、更新すべき領域のサイズ(更新するピクセルの数)を問
わず、グレースケール更新モードでのリフレッシュ操作は他の更新モードの1つでのリフ
レッシュ操作より3倍かかる。具体的には、1フレーム20msで、単色更新モードとペ
ン更新モードでは13フレーム、グレースケール更新モードでは40フレームの更新期間
が必要になる。すなわち、1つのピクセルを更新するために必要な波形の長さが約3倍に
なる。1つのピクセルを更新するために必要な更新パイプの容量が約3倍になる。そのた
め、利用可能な更新パイプ84の50パーセントを他の更新モードより3倍かかる更新モ
ードに割り当てる。これより、部分画像表示命令は利用可能な表示パイプすべてが動作中
のため、リフレッシュ動作を待機する可能性が低くなる。
【0098】
上述の割り当て仕組みは一例として提供されるが、決定された更新モードを用いて類似
した負荷バランスの利点を提供する他の可能な割り当て仕組みも実施し得る。他の割り当
て仕組みは特定用途において予想される更新の種類を考慮に入れることができる。
【0099】
動作中、パイプ選択装置89により選択された更新パイプ84はその割り当てられた領
域に対する合成ピクセルデータを更新バッファー82から読み取り指定領域のピクセルに
対する波形を選択する。
【0100】
パイプ選択装置89を設ける一利点は、ホスト22が全画像表示命令または部分画像表
示命令を発行した際どの更新パイプ84を使用すべきかを決定しなくて済むことである。
パイプ選択装置89を設ける別の利点は、画像表示命令が利用できる更新表示パイプを待
たねばならない可能性が小さいことである。
【0101】
波形を選択するために、ピクセル遷移の各々が波形ルックアップテーブル(LUT)の
インデクスとして用いられる。波形は波形メモリー34に記憶されている。一実施形態で
、波形メモリー34はシリアルフラッシュメモリーであって良い。更新パイプ84は更新
モード選択装置88によりパイプに提供された指定更新モードに対応するすべての可能性
のある波形の組を波形メモリー34内で特定する。
【0102】
更新モード選択装置88の指示に基づいて波形メモリー34から選択された波形をディ
スプレイコントローラー28に送信する。1ピクセルごとの波形を送信しても良いし、複
数ピクセルの波形をまとめて送信してもよい。別の実施形態において、波形メモリー34
から全ての波形をディスプレイコントローラー28に送信し、ディスプレイコントローラ
ー28内で、それらの波形から所望の波形を選択してもよい。さらに、別の実施形態とし
て、ディスプレイコントローラー28内に波形メモリー34に保存されている波形の全て
又は一部をコピーして保存するメモリーを有していても良い。この場合、波形メモリー3
4とディスプレイコントローラー28間の通信速度が遅くても、ディスプレイ26の更新
の遅延を防ぐことができる。
【0103】
ディスプレイを構成するピクセルのアレイまたは「フレーム」はラスター順にアドレス
指定される。フレームのすべてのピクセルをスキャンするのに必要な時間はフレーム周期
である。波形が単一のパルスからなる場合、波形は1フレームの持続時間を有する。しか
し、通常、波形は複数のパルスを有する。従って波形に基づいた駆動電圧は通常複数のフ
レームでディスプレイ26に供給される。言い換えると、所望の領域の表示を更新するに
は、1フレーム期間で更新できず複数のフレーム期間を経て更新される。例えば、第1の
領域をグレースケール更新モードで更新し、第2の領域を単色モードで更新し、第3の領
域をペン更新モードで更新する場合、第1の領域は第1のフレーム〜第8のフレームの期
間で更新され、第2の領域は第4のフレーム〜第6のフレーム期間で更新され、第3の領
域は第6のフレーム〜第8のフレーム期間で更新される実施形態が考えられる。
【0104】
フレームにおけるパルスの電圧は正または負の極性を有する単一電圧振幅である。例え
ば、電圧振幅は+15V、−15Vのいずれかである。あるいは、パルスの電圧は正また
は負の電圧、または0Vである。例えば電圧振幅は+15V、−15Vのいずれか、また
は0Vである。しかしパルスが2つまたは3つの振幅に限定される必要はない。ピクセル
を駆動する波形は所望の異なる振幅の大きさを有することができる。例えば4種類以上の
電圧レベルを有する波形であってもよい。
【0105】
更新モード周期の各フレームについて更新パイプ84は現行フレームに対するすべての
ピクセル遷移のインパルスをコピーし、現行フレームのインパルスをパイプ内のルックア
ップ表に記憶する。しかし、更新パイプ84は各フレームにおける波形全体をコピーする
のではなく、現行フレームに関連する波形の部分のみ、例えば1パルス、がコピーされる
。加えて、各フレームに対し更新パイプ84はその割り当てられた領域に対するピクセル
遷移をラスター順で更新バッファー82から取り出す。パイプ内のルックアップ表に記憶
された現行フレームのインパルスデータを用い、更新パイプ84は取り出された各ピクセ
ル千期に対応する現行フレームに対するインパルスデータを突き止める。更新パイプ84
はインパルスデータをタイミング生成装置86に提供する。
【0106】
タイミング生成装置86はすべてのフレーム周期に画像の位置をラスター順に通り、現
行ピクセル位置に対応するインパルスデータを更新パイプ84の1つから選択する。タイ
ミング生成装置86には各指定領域の座標位置と併せてその領域が割り当てられた更新パ
イプ84が提供される。タイミング生成装置86はディスプレイ26および電源モジュー
ル38に選択されたインパルスデータを提供する。
【0107】
すなわち、ディスプレイ26に表示される画像データは複数の更新パイプに保存されて
いる。タイミング生成装置86は、複数の更新パイプに分散して保存されている画像デー
タをディスプレイ26の座標の順に出力する。画像を回転した状態で表示する場合も、同
様に回転後のディスプレイ26の座標の順に出力する。
【0108】
システム20は前述に記述されたものに加えたコンポーネントを含み得ることが理解さ
れよう。さらに、ディスプレイコントローラー28はさらなるモジュール、装置、または
コンポーネントを含み得る。本開示を不必要に複雑にしないよう、クレームされる発明の
原理を理解するために必要なモジュール、装置、またはコンポーネントが説明されている

【0109】
一実施形態で、更新モード選択モジュールまたはパイプ選択モジュールは機械読み取り
可能な媒体に記憶される命令を実行することにより本明細書に説明される操作および方法
の一部またはすべてを行うことができる。
【0110】
本説明において、「一実施形態」または「ある実施形態」への言及がなされ得る。これ
らの言及は実施形態に関連して説明される特定の特長、構造、または特徴がクレームされ
る発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って色々な個所におけ
る「一実施形態で」または「一実施形態」という言い回しは必ずしも同じ実施形態を指す
ものではない。さらに特定の特長、構造、または特徴は1つ以上の実施形態において組み
合わせることができる。
【0111】
明快な理解の目的から実施形態がかなり詳細に説明されたが、添付クレームの範囲内で
ある変更および修正を行い得ることは明らかであろう。従って、説明される実施形態は限
定的ではなく例示的とみなされ、クレームされる発明は本明細書にある詳細に限定されず
、添付クレームの範囲および同等のものの中で修正し得るものである。さらに、前述の明
細書において用いられた用語および言い回しは限定ではなく説明上の用語として使用され
、このような用語および言い回しを示され説明される特長またはその一部と同等のものを
排除する意図はなく、発明の範囲は続くクレームによってのみ定義され限定されることが
理解される。
【符号の説明】
【0112】
24…ディスプレイ装置、26…ディスプレイ、40…ピクセル、46…行電極、48
…列電極、54…マイクロカプセル、56…白粒子、58…黒粒子、59…ピクセル電極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像を表示する命令を受信するステップと、
前記第1の画像のピクセルデータと前記第1の画像の前に表示されている第2の画像の
ピクセルデータとから合成された合成ピクセルデータを生成するステップと、
複数の更新モードから1つの更新モードを選択するステップと、
前記選択された更新モードに基づいた表示データをパイプラインに記憶するステップと

前記パイプラインに保存されたデータを所与のタイミングで出力するステップと、
を含むことを特徴とする電気光学表示素子の制御方法。
【請求項2】
前記合成ピクセルデータは、
インデックスデータと、前記第1の画像のピクセルデータの一部と、前記第2の画像の
ピクセルデータの一部と、から生成されることを特徴とする請求項1に記載の電気光学表
示素子の制御方法。
【請求項3】
第1の画像のピクセルデータと前記第1の画像の前の画像である第2の画像のピクセル
データとから合成された合成ピクセルデータを生成するピクセル合成器と、
前記ピクセル合成器の出力を受信し、複数の更新モードから1つの更新モードを選択す
る更新モード選択回路と、
複数の波形から選択された前記第1の画像の各ピクセルに対応する波形を保存するパイ
プラインと、
を含むことを特徴とする電気光学表示デバイスの制御装置。
【請求項4】
第1の画像のピクセルデータと前記第1の画像の前の画像である第2の画像のピクセル
データとから合成された合成ピクセルデータを生成するピクセル合成器と、
前記ピクセル合成器の出力を受信し、複数の更新モードから1つの更新モードを選択す
る更新モード選択回路と、
複数の波形から選択された前記第1の画像の第1のピクセルに対応する波形を保存する
第1のパイプラインと、
複数の波形から選択された前記第1の画像の第2のピクセルに対応する波形を保存する
第2のパイプラインと、
前記第1のパイプラインからの出力と前記第2のパイプラインからの出力のいずれか一
方を選択して出力するタイミング生成回路と、
を含むことを特徴とする電気光学表示デバイスの制御装置。
【請求項5】
前記更新モード選択回路は、
前記第1の画像のピクセルデータと前記第2の画像のピクセルデータとを比較する第1
の比較器と、
前記第1の画像のピクセルデータと前記第2の画像のピクセルデータとを比較する第2
の比較器と、
前記第1の画像のピクセルデータと前記第2の画像のピクセルデータとを比較する第3
の比較器と、
前記第1の比較器の出力に応じて、第1のモードと第2のモードのいずれか一方を選択
する第1の選択回路と、
前記第2の比較器の出力に応じて、前記第1の選択回路の出力と第3のモードのいずれ
か一方を選択する第2の選択回路と、
前記第3の比較器の出力に応じて、前記第2の選択回路の出力と第4のモードのいずれ
か一方を選択する第3の選択回路と、
を含むことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電気光学表示デバイスの制御装
置。
【請求項6】
前記第1のモード及び前記第2のモードの表示は、前記第4のモードよりも階調数が多
いことを特徴とする請求項5に記載の電気光学表示デバイスの制御装置。
【請求項7】
前記第1の比較器、前記第2の比較器及び前記第3の比較器の各々は、
前記第1の画像のピクセルと前記第2の画像のピクセルとの差を、予め設定された第1
の値と比較する第4の比較器と、
前記第1の画像のピクセルの光学特性と予め設定された第2の値と比較する第5の比較
器と、
前記第2の画像のピクセルの光学特性と予め設定された第3の値と比較する第6の比較
器と、
を含むことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の電気光学表示デ
バイスの制御装置。
【請求項8】
前記更新モード選択回路は、
第1の画像の第1のピクセルと、第1の画像の所定のピクセルが表示される座標と同じ
座標に位置する第2の画像の第2のピクセルと、を比較することで、更新モードを選択す
ることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電気光学表示デバイスの制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−150493(P2012−150493A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−47722(P2012−47722)
【出願日】平成24年3月5日(2012.3.5)
【分割の表示】特願2009−95023(P2009−95023)の分割
【原出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】