電気光学装置、画像形成装置、および電気光学装置の製造方法
【課題】電気光学装置において、温度変化による自己の反りを抑制する。
【解決手段】発光パネル20と、集束性レンズアレイ60と、両者に接合されて挟まれた光透過性のスペーサ70を有する電気光学装置10Aを提供する。発光パネル20は、複数のEL素子21と、各EL素子21から進行する光を透過させる素子基板22を有する。集束性レンズアレイ40は、素子基板22から進行する光を透過させて発光パネル20上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズ62が一方向に複数配列されたレンズアレイ体61と、レンズアレイ体61を間に挟む一対のレンズアレイ側体64および65を有する。スペーサ70、レンズアレイ側体64およびレンズアレイ側体65は、共通部材30の一部である。
【解決手段】発光パネル20と、集束性レンズアレイ60と、両者に接合されて挟まれた光透過性のスペーサ70を有する電気光学装置10Aを提供する。発光パネル20は、複数のEL素子21と、各EL素子21から進行する光を透過させる素子基板22を有する。集束性レンズアレイ40は、素子基板22から進行する光を透過させて発光パネル20上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズ62が一方向に複数配列されたレンズアレイ体61と、レンズアレイ体61を間に挟む一対のレンズアレイ側体64および65を有する。スペーサ70、レンズアレイ側体64およびレンズアレイ側体65は、共通部材30の一部である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子またはライトバルブ素子のような電気光学素子が配列された電気光学パネルを備えた電気光学装置、この電気光学装置を用いた画像形成装置および電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置の像担持体(例えば感光体ドラム)に静電潜像を書き込むために、エレクトロルミネセント素子(以下、「EL素子」と呼ぶ)のアレイを使用する技術が開発されている。このような技術では、一般的に、EL素子アレイと像担持体の間に集束性レンズアレイが配置される。このような配置において、EL素子から発せられた光の損失を低減するために、EL素子アレイと集束性レンズアレイの間に光透過性のスペーサを配置する技術が、特許文献1に開示されている。
【0003】
図1〜図3は、それぞれ、従来の画像形成装置の一部の概略を示す図であり、図1は斜視図、図2は側面図、図3は図2のA−A線断面図である。この画像形成装置では、EL素子アレイが設けられた発光パネル12と感光体ドラム110の間に、複数の屈折率分布型レンズ41が二列千鳥状に配列された集束性レンズアレイ40が配置され、発光パネル12と集束性レンズアレイ40の間に光透過性のスペーサ52が配置されている。発光パネル12、スペーサ52および集束性レンズアレイ40は、接着によりモジュール化されている。
【0004】
発光パネル12のEL素子アレイからの光は、スペーサ52と集束性レンズアレイ40の複数の屈折率分布型レンズを透過し、感光体ドラム110に到達して像を結ぶ。結像の光学特性(例えば鮮明度)を十分に高くするために、感光体ドラム110と集束性レンズアレイ40は、両者間の距離が、集束性レンズアレイ40の像側の作動距離(設計値)LAに一致するように配置される。なお、集束性レンズアレイとしては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック\SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。
【特許文献1】特開2006−218848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は、従来の画像形成装置の問題点を説明するための側面図である。集束性レンズアレイ40、スペーサ52および発光パネル12の熱膨張率(熱膨張係数)はそれぞれ異なるから、上記のモジュールは、内部の要素(例えばEL素子)や外部の要素(例えば定着器)の発熱等に起因して自己の温度が変化すると、例えば図4に示すように、反ってしまう。
【0006】
モジュールに反りが生じると、発光パネル12のEL素子から発して集束性レンズアレイ40の屈折率分布型レンズを透過した光が感光体ドラム110に到達する位置(結像位置IPA)と、集束性レンズアレイ40から感光体ドラム110側に集束性レンズアレイ40の像側の作動距離LAだけ離れた位置(焦点位置FPA)のズレが増大する。このズレが大きいと、結像の光学特性(例えば結像性能)が著しく悪化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、温度変化による自己の反りを抑制することが可能な電気光学装置、この電気光学装置を用いた画像形成装置および電気光学装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気光学装置は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、前記スペーサの一部または全部は、共通部材の一部であり、前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方は、前記共通部材の一部である、ことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、スペーサの一部または全部と、一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0009】
上記の電気光学装置において、前記共通部材は透明であり、前記スペーサの全部は、前記共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様では、スペーサの一部が共通部材の一部ではない場合に比較して、構造が簡素となる。さらに、前記一対のレンズアレイ側体の両方は、それぞれ、前記共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様によれば、一対のレンズアレイ側体の一方が共通部材の一部ではない場合に比較して、構造が簡素となる。さらに、これらの態様において、前記基板は、前記共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様によれば、スペーサの全部と、一対のレンズアレイ側体の一方または両方と基板とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを、より一層、抑制することができる。
【0010】
上記の電気光学装置において、前記一対のレンズアレイ側体の一方は前記共通部材の一部ではなく、前記一対のレンズアレイ側体の両方の材質は互いに同一である、ようにしてもよい。この態様によれば、一対のレンズアレイ側体の一方が共通部材の一部ではなく、一対のレンズアレイ側体の両方の材質が互いに異なる場合に比較して、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0011】
上記の電気光学装置において、前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材とは別の共通部材の一部であり、前記スペーサの一部は、前記別の共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様によれば、スペーサの一部と一対のレンズアレイ側体の一方とが一体の構造となるとともに、スペーサの他の一部と一対のレンズアレイ側体の他方とが一体の構造となるから、温度変化による自己の反りを、より一層、抑制することができる。
【0012】
上記の電気光学装置において、前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有し、前記一対のスペーサ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、前記一対のスペーサ側体の他方は、前記別の共通部材の一部であり、前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、前記一対のレンズアレイ側体の他方は、前記別の共通部材の一部である、ようにしてもよい。
この態様によれば、一対のスペーサ側体の両方と一対のレンズアレイ側体の両方とがそれぞれ一体の構造であるから、一方のスペーサ側体と一方のレンズアレイ側体とが一体の構造であり、かつ、他方のスペーサ側体と他方のレンズアレイ側体とが一体の構造でない場合に比較して、温度変化による自己の反りを、より一層、抑制することができる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電器と、前記電気光学パネルから進行して前記集束性レンズアレイを透過する光を、前記像担持体の帯電された面に照射して潜像を形成する、上記の電気光学装置または上記の各態様に係る電気光学装置と、前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器とを備える。この画像形成装置によれば、電気光学装置の温度変化によって結像の光学特性(例えば結像性能)が著しく悪化してしまう事態を回避することができる。
【0014】
本発明に係る電気光学装置の製造方法は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、溝を有し、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、前記第1工程の後に、前記基板に、前記共通部材を、前記基板から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第2工程とを有する、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、一塊の共通部材の一部がスペーサの一部または全部となり、他の一部が一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となった電気光学装置を製造することができる。この電気光学装置によれば、スペーサの一部または全部と、一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0015】
本発明に係る別の電気光学装置の製造方法は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、溝を有し、前記基板の全部、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、前記第1工程の後に、前記共通部材に、前記複数の電気光学素子を、前記複数の電気光学素子から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように形成する第2工程とを有する、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、一塊の共通部材の一部が電気光学パネルの基板となり、別の一部がスペーサとなり、更に別の一部が一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となった電気光学装置を製造することができる。この電気光学装置によれば、基板とスペーサと一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る更に別の電気光学装置の製造方法は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有する、電気光学装置の製造方法であって、一対の共通部材に、前記レンズアレイ体を、前記一対の共通部材に挟まれ、前記屈折率分布型レンズの光軸が前記一対の共通部材に遮られないように接着する第1工程と、前記第1工程の後に、前記一対の共通部材および前記レンズアレイ体に画定された空間に前記透明体を固定する第2工程と、前記第2工程の後に、前記基板に、前記一対の共通部材および前記透明体を、前記基板から進行する光が前記透明体を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第3工程とを有する、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、一方のスペーサ側体が一方の共通部材の一部となり、他方のスペーサ側体が他方の共通部材の一部となり、一方のレンズアレイ側体が一方の共通部材の一部となり、他方のレンズアレイ側体が他方の共通部材の一部となった電気光学装置を製造することができる。この電気光学装置によれば、一方のスペーサ側体と一方のレンズアレイ側体とが一体の構造であり、かつ、他方のスペーサ側体と他方のレンズアレイ側体とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。本発明は、その実施の形態を変形して得られる変形例をも範囲に含む。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0018】
<電気光学装置>
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置1Aについて説明する。この電気光学装置1Aでは、スペーサの全部と一対のレンズアレイ側体の両方とが一体構造になっている。以下、詳細に説明する。
【0019】
<構成>
まず、電気光学装置1Aの構成について説明する。
図5は、電気光学装置1Aの概略を示す斜視図である。図に例示された電気光学装置1Aは、電子写真方式を利用した画像形成装置における像担持体(例えば図5に示すように感光体ドラム110)に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いられる。
【0020】
電気光学装置1Aは、複数の有機EL素子(電気光学素子)を含む有機EL素子アレイが設けられた発光パネル(電気光学パネル)20と、発光パネル20に重ねられた集束性レンズアレイ60を備える。集束性レンズアレイ60は、発光パネル20と感光体ドラム110の間に配置されている。発光パネル20と集束性レンズアレイ60の間には、ガラスまたは透明なプラスチックで形成された光透過性のスペーサ70が介在する。発光パネル20の有機EL素子アレイからの光は、スペーサ70を透過し、さらに集束性レンズアレイ60の複数の屈折率分布型レンズを透過し、感光体ドラム110に到達する。
【0021】
図6は、電気光学装置1Aの集束性レンズアレイ60の概略を示す斜視図である。集束性レンズアレイ60は、二列かつ千鳥状のパターンで一方向に配列された複数の屈折率分布型レンズ62を有するレンズアレイ体61と、屈折率分布型レンズ62の配列方向(すなわちレンズアレイ体61の延在方向)に延在する一対のレンズアレイ側体64および65を有する。以下、レンズアレイ体61の外面のうち、各屈折率分布型レンズ62の中心軸(すなわち光軸)および屈折率分布型レンズ62の配列方向に略平行な面を、レンズアレイ体61の「側面」と呼ぶ。一対のレンズアレイ側体64および65は、レンズアレイ体61を間に挟んでおり、それぞれ、レンズアレイ体61の側面に接合されている。
【0022】
レンズアレイ体61は、複数の屈折率分布型レンズ62の間を埋めて複数の屈折率分布型レンズ62の配列パターンを固定化している充填体63を含む。また、集束性レンズアレイ60は、レンズアレイ体61をその延在方向において間に挟む一対の先端体66,66を有する。一対の先端体66,66は、それぞれ、一対のレンズアレイ側体64および65間に挟まれており、レンズアレイ体61、レンズアレイ側体64およびレンズアレイ側体65に接合されている。
【0023】
屈折率分布型レンズ62の各々は、中心軸での屈折率が低く、中心軸から離れるほど屈折率が高くなるように形成されたグレーデッドインデックス光ファイバであり、発光パネル20から進行する光を透過させて発光パネル20上の像に対する正立像を感光体ドラム110に結像可能である。これらの複数の屈折率分布型レンズ62で得られた像は感光体ドラム110上で1つの連続した像を構成する。集束性レンズアレイ60の具体例には、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある
【0024】
図7は電気光学装置1Aの平面図である。この図に示すように、各屈折率分布型レンズ62は、発光パネル20のEL素子21が形成された領域に重なっている。EL素子21および屈折率分布型レンズ62の配列パターンは、それぞれ、図示の形態に限定されず、単列または三列以上でもよいし他の適切なパターンで配列されていてもよい。
【0025】
図8は電気光学装置1Aの平面図であり、図9は図7および図8のB−B線断面図である。これらの図に示すように、発光パネル20は平板状の素子基板22を備える。素子基板22は、ガラスや透明なプラスチックなどの光透過性の材料で形成されている。素子基板22の形成材料の屈折率と、スペーサ70の形成材料の屈折率は、同じであることが好ましい。素子基板22の上(図9内では下)には図示しない配線層が形成されており、その上(図9内では下)には多数の発光素子としてのEL素子21が形成されている。
【0026】
配線層には、複数の回路素子(例えば、TFT(薄膜トランジスタ))および配線(例えば、回路素子への給電線や駆動素子とEL素子21との接続線)が設けられている。回路素子はそれぞれEL素子21に駆動電圧を与えるためのものである。EL素子21の各々は、注入されたキャリヤの再結合によって励起して発光する発光層と、この発光層を挟む一対の電極を有し、これら一対の電極間に印加された電圧に応じて発光する。これら一対の電極のうち、素子基板22側の電極(画素電極)は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極である。
【0027】
素子基板22には、多数のEL素子21を素子基板22との間に挟むように、封止基板23が接合されている。封止基板23は、素子基板22と協働して、EL素子21を外気、特に水分および酸素から隔離してその劣化を抑制する。封止基板23は、例えばガラス、プラスチック、セラミックまたは金属等の適切な材料で形成されている。素子基板22への封止基板23の取り付けには接着剤が用いられる。接着剤が、封止基板23の周縁部のみに接する形態であってもよいし(缶封止)、封止基板23の素子基板22側の全面に接する形態であってもよい(ベタ封止)。
【0028】
素子基板22には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された共通部材30が接合されている。共通部材30は、集束性レンズアレイ60とスペーサ70とで共通して用いられる一塊の部材であり、素子基板22に対向する面が平坦にされており、透明接着剤により素子基板22に接合されている。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。共通部材30の、素子基板22とは反対の側には、EL素子21の配列方向に延在する溝31が形成されている。溝31は、図9内で左右方向に広がっている1つの底面と、この底面の端から立ち上がっている一対の側面を有する。
【0029】
溝31には、レンズアレイ体61および一対の先端体66,66が入っており、それぞれ、共通部材30に接合されている。また、一対の先端体66,66は、それぞれ、レンズアレイ体61に接合されている。これらの接合には、接着剤が用いられている。溝31の底面へのレンズアレイ体61の接合に用いられる接着剤は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じ屈折率の透明接着剤である。他の接着剤は、この透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。
【0030】
共通部材30のうち、溝31の一対の側面を形成している2つの部分の一方がレンズアレイ側体64であり、他方がレンズアレイ側体65である。つまり、一対のレンズアレイ側体64および65は共通部材30の一部である。共通部材30から、これら2つの部分を除いた部分が、スペーサ70である。つまり、スペーサ70の全部は共通部材30の一部である。したがって、発光パネル20から出射して進行する光は、共通部材30を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0031】
上述した構成の電気光学装置1Aによれば、図8に示すように、電気光学装置1Aと像担持体が、集束性レンズアレイ60と像担持体との距離が集束性レンズアレイ60の像側の作動距離(設計値)LBに一致するように配置された場合、電気光学装置1Aの反りが小さければ、発光パネル20のEL素子21から発して集束性レンズアレイ60の屈折率分布型レンズ62を透過した光が像担持体に到達する位置(結像位置IPB)と、集束性レンズアレイ60から像担持体側に作動距離LBだけ離れた位置(焦点位置FPB)のズレが小さくなり、結像の光学特性(例えば結像性能)が良好となる。
【0032】
これに対して、電気光学装置1Aは、スペーサ70の全部と一対のレンズアレイ側体64および65の両方とが一体の構造を有するから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。したがって、電気光学装置1Aによれば、光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。しかも、スペーサ70の全部と集束性レンズアレイ60の一部とが一体の構造は、スペーサ70の全部と集束性レンズアレイ60の全部とが別体の構造と比較して簡素であるから、電気光学装置1Aの製造は容易である。
【0033】
<製造方法>
次に、電気光学装置1Aの製造方法について説明する。
図10に示すように、電気光学装置1Aの製造では、まず、溝31を有する共通部材30を形成する。具体的には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で、直方体状の塊を形成し、その一部をダイシング等の公知の技術により切削して溝31を形成する。なお、上記透明材料を型に入れて共通部材30を形成するようにしてもよい。次に、図11に示すように、予め形成しておいたレンズアレイ体61を、その全部が溝31内に位置し、かつ、各屈折率分布型レンズ62の光軸が溝31の底面を通るように、共通部材30に接着する。具体的には、以下に述べる通りである。
【0034】
まず、溝31の底面に光硬化型の透明接着剤を塗布する。この透明接着剤の屈折率は、後に用いる発光パネル20の素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。次に、レンズアレイ体61を溝31に入れる。この工程では、一対の先端体66,66をも溝31に入れる。これにより、溝31内では、レンズアレイ体61が、その延在方向において一対の先端体66,66に挟まれる。次に、レンズアレイ体61と溝31の一対の側面との間、レンズアレイ体61と一対の先端体66,66との間、および、一対の先端体66,66と溝31の2つの側面との間に、光硬化型の接着剤を充填する。この接着剤は、溝31の底面に塗布した透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。次に、レンズアレイ体61の周囲の接着剤を硬化させる。この硬化は、例えば、レンズアレイ体61の周囲に光を照射することにより行われる。
【0035】
こうして、共通部材30へのレンズアレイ体61の接着が完了し、スペーサ70および集束性レンズアレイ60を含むモジュールが形成される(図12参照)。なお、共通部材30へのレンズアレイ体61の接着に用いる接着剤として、熱硬化型接着剤を採用することも可能である。この場合には、レンズアレイ体61の周囲の温度を硬化温度に変化させることによって接着剤の硬化を行うことになる。また、溝31の底面に塗布した透明接着剤を硬化させた後に他の接着剤を硬化させるようにしてもよい。
【0036】
次に、予め形成しておいた発光パネル20の素子基板22に、上記のモジュールを、素子基板22から進行する光が共通部材30を透過してから複数の屈折率分布型レンズ62を透過するように接着する。具体的には、図12に示すように、素子基板22に、共通部材30を接着する。この接着には透明接着剤を用いる。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。このようにして、図9の電気光学装置1Aが製造される。
【0037】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置1Bについて説明する。この電気光学装置1Bでは、スペーサの全部と一対のレンズアレイ側体の一方とが一体構造になっており、スペーサと一対のレンズアレイ側体の他方は別体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Aとの相違点のみに触れる。
【0038】
<構成>
図13は、電気光学装置1Bの断面図である。この図に示すように、発光パネル20の素子基板22には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された共通部材32が接合されている。共通部材32は、集束性レンズアレイ60とスペーサ70とで共通して用いられる一塊の部材であり、素子基板22に対向する面が平坦にされており、透明接着剤により素子基板22に接合されている。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。
【0039】
共通部材32の、素子基板22とは反対の側には、EL素子21の配列方向に延在する溝33が形成されている。溝33は、図13内で左右方向に広がっている1つの底面と、この底面の端から立ち上がっている1つの側面を有する。溝33には、レンズアレイ体61、一対の先端体66,66、およびレンズアレイ側体65が入っている。レンズアレイ側体65の材質は、共通部材32の材質と同一である。
【0040】
一対の先端体66,66は、それぞれ、共通部材32、レンズアレイ体61およびレンズアレイ側体65に接合されている。レンズアレイ体61は、共通部材32およびレンズアレイ側体65に接合されている。レンズアレイ側体65は、共通部材32に接合されている。これらの接合には、接着剤が用いられている。溝33の底面へのレンズアレイ体61の接合に用いられる接着剤は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じ屈折率の透明接着剤である。他の接着剤は、この透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。
【0041】
共通部材32のうち、溝33の側面を形成している1つの部分がレンズアレイ側体64である。つまり、レンズアレイ側体64は共通部材32の一部である。共通部材32から、この部分を除いた部分が、スペーサ70である。つまり、スペーサ70の全部は共通部材32の一部である。したがって、発光パネル20から出射して進行する光は、共通部材32を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0042】
上述したように、電気光学装置1Bは、スペーサ70の全部とレンズアレイ側体64とが一体の構造を有し、かつ、レンズアレイ側体65の材質が共通部材32の材質と同一であるから、電気光学装置1Aと同様の利点を有する。すなわち、電気光学装置1Bは、簡素な構造で、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。なお、本実施の形態を変形し、共通部材32の材質とレンズアレイ側体65の材質とが異なるようにしてもよい。
【0043】
<製造方法>
図13から明らかなように、電気光学装置1Bの製造では、レンズアレイ体61を、その一部が溝33内に位置し、かつ、各屈折率分布型レンズ62の光軸が溝33の底面を通るように、共通部材32に接着する工程において、一対の先端体66,66のみならず、レンズアレイ側体65をも溝33に入れ、共通部材32に接着する。この製造方法には、電気光学装置1Bを製造可能という利点の他に、レンズアレイ体61を溝に入れる作業が容易となるという利点もある。
【0044】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る電気光学装置1Cについて説明する。この電気光学装置1Cでは、1つのスペーサ側体と一方のレンズアレイ側体とが一体構造になっており、スペーサの他の全ての部分と他方のレンズアレイ側体とが一体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Aとの相違点のみに触れる。
【0045】
<構成>
図14は、電気光学装置1Cの断面図である。この図に示すように、発光パネル20の素子基板22には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された共通部材34および共通部材36が接合されている。共通部材34および共通部材36は、それぞれ、集束性レンズアレイ60とスペーサ71とで共通して用いられる一塊の部材であり、素子基板22に対向する面が平坦にされている。これらの平坦な面は面一となっており、共通部材34および共通部材36は、これらの平坦な面で素子基板22に接合されている。この接合には、屈折率が素子基板22の形成材料の屈折率と同一の透明接着剤が用いられている。
【0046】
共通部材34の、素子基板22とは反対の側には、EL素子21の配列方向に延在する溝35が形成されている。溝35は、図14内で左右方向に広がっている1つの底面と、この底面の端から立ち上がっている1つの側面を有する。溝35には、レンズアレイ体61および一対の先端体66,66が入っている。レンズアレイ側体65の材質は、共通部材34の材質と同一である。
【0047】
一対の先端体66,66は、それぞれ、共通部材34、レンズアレイ体61および共通部材36に接合されている。レンズアレイ体61は、共通部材34および共通部材36に接合されている。共通部材36は、共通部材34に接合されている。これらの接合には、接着剤が用いられている。溝35の底面へのレンズアレイ体61の接合に用いられる接着剤は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じ屈折率の透明接着剤である。他の接着剤は、この透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。
【0048】
共通部材34のうち、溝35の側面を形成している1つの部分がレンズアレイ側体64である。つまり、レンズアレイ側体64は共通部材34の一部である。共通部材34から上記の部分を除いた部分がスペーサ本体72である。また、共通部材36のうち、レンズアレイ体61および一対の先端体66,66が接合されている部分がレンズアレイ側体65である。つまり、レンズアレイ側体65は共通部材36の一部である。共通部材36から上記の部分を除いた部分がスペーサ側体73である。スペーサ71は、スペーサ本体72およびスペーサ側体73から構成されている。発光パネル20から出射して進行する光は、スペーサ本体72(共通部材34)を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0049】
上述したように、電気光学装置1Cは、スペーサ本体72とレンズアレイ側体64とが一体の構造を有し、かつ、スペーサ側体73とレンズアレイ側体65とが一体の構造を有し、かつ、共通部材34の材質が共通部材36の材質と同一であるから、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。なお、本実施の形態を変形し、共通部材34の材質と共通部材36の材質とが互いに異なるようにしてもよい。
【0050】
<製造方法>
図14から明らかなように、電気光学装置1Cの製造では、レンズアレイ体61を、その一部が溝35内に位置し、かつ、各屈折率分布型レンズ62の光軸が溝35の底面を通るように、共通部材34に接着する工程において、溝35内にレンズアレイ体61および一対の先端体66,66が入った状態の共通部材34に、共通部材36を接着する。この製造方法には、電気光学装置1Cを製造可能という利点の他に、レンズアレイ体61を溝に入れる作業が容易となるという利点もある。
【0051】
<第4の実施の形態>
まず、本発明の第4の実施の形態に係る電気光学装置1Dについて説明する。この電気光学装置1Dでは、素子基板とスペーサの全部と一対のレンズアレイ側体の両方とが一体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Aとの相違点のみに触れる。
【0052】
<構成>
図15は電気光学装置1Dの側面図であり、図16は図15のC−C線断面図である。これらの図に示すように、電気光学装置1Dは、共通部材30に相当する共通部材37を有する。共通部材37は、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された一塊の部材であり、発光パネル20、スペーサ74、集束性レンズアレイ67に共通して用いられる。スペーサ74がスペーサ70と異なる点は、図16内の左右方向の長さのみである。集束性レンズアレイ67が集束性レンズアレイ60と異なる点は、一対のレンズアレイ側体の図16内の左右方向の長さのみである。
【0053】
集束性レンズアレイ67の一対のレンズアレイ側体68および69は、それぞれ、共通部材37の一部である。スペーサ74の全部は共通部材37の一部である。素子基板22の全部は共通部材37の一部である。各EL素子21から発して進行する光は、素子基板22を透過し、次に共通部材37を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0054】
上述したように、電気光学装置1Dは、スペーサ74の全部と一対のレンズアレイ側体68および69の両方と素子基板22とが一体の構造を有するから、簡素な構造で、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。
【0055】
<製造方法>
図17に示すように、電気光学装置1Dの製造では、まず、溝31を有する共通部材37を形成する。この形成の工程は、共通部材30を形成する工程と同様である。次に、図18に示すように、予め形成しておいたレンズアレイ体61を共通部材37に接着する。この接着の工程は、レンズアレイ体61を共通部材30に接着する工程と同様である。
【0056】
次に、図19に示すように、共通部材37の、封止基板23に対向する面(図19内では上面)上に、複数の回路素子および配線を有する配線層(図示略)を形成し、その上に複数のEL素子21を形成する。そして、封止基板23を用いた封止を行い、図16の電気光学装置1Dが製造される。
【0057】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態に係る電気光学装置1Eについて説明する。この電気光学装置1Eでは、素子基板とスペーサの全部と一方のレンズアレイ側体とが一体構造になっており、他方のレンズアレイ側体は別体になっている。以下の説明では、電気光学装置1Dとの相違点のみに触れる。
【0058】
図20は、電気光学装置1Eの断面図である。この図に示すように、電気光学装置1Eは、共通部材37に相当する共通部材38を有する。共通部材38は、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された一塊の部材であり、発光パネル20、スペーサ74、集束性レンズアレイ67に共通して用いられる。
【0059】
レンズアレイ側体68は共通部材38の一部である。スペーサ74の全部は共通部材38の一部である。素子基板22の全部は共通部材38の一部である。一方、レンズアレイ側体69は共通部材38の一部ではない。各EL素子21から発して進行する光は、素子基板22を透過し、次に共通部材38を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0060】
上述したように、電気光学装置1Eは、素子基板22とスペーサ74の全部とレンズアレイ側体68とが一体の構造を有し、かつ、レンズアレイ側体69の材質が共通部材38の材質と同一であるから、簡素な構造で、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。
【0061】
電気光学装置1Eの製造方法は、前述の電気光学装置1Dの製造方法および前述の電気光学装置1Bの製造方法から自明である。なお、本実施の形態を変形し、レンズアレイ側体69の材質と共通部材38の材質とが異なるようにしてもよい。また、電気光学装置1Bに対する電気光学装置1Cのように、電気光学装置1Eに対する別の電気光学装置を観念することが可能である。別の電気光学装置としては、スペーサが、共通部材38の一部ではない1つのスペーサ側体(図14のスペーサ側体73に相当するスペーサ側体)を有する電気光学装置が挙げられる。この電気光学装置の形態としては、1つのスペーサ側体とレンズアレイ側体69とが一体構造となった形態や、1つのスペーサ側体とレンズアレイ側体69と素子基板22の一部とが一体構造となった形態が挙げられる。
【0062】
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態に係る電気光学装置1Fについて説明する。この電気光学装置1Fでは、一対のスペーサ側体の両方と一対のレンズアレイ側体の両方とがそれぞれ独立に一体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Cとの相違点のみに触れる。
【0063】
<構成>
図21は、電気光学装置1Fの断面図である。この図に示すように、電気光学装置1Fは、共通部材34を持たず、共通部材36とは別に共通部材80を有する。共通部材80は、共通部材36と同じ材料で形成された一塊の部材であり、スペーサ75、集束性レンズアレイ60に共通して用いられる。スペーサ75は、スペーサ本体76と、スペーサ本体76を間に挟む一対のスペーサ側体73および77を有する。
【0064】
スペーサ本体76は、複数の屈折率分布型レンズ62の配列方向に延在し、発光パネル20の素子基板22と集束性レンズアレイ60に接合されて挟まれた板状の透明体であり、共通部材36および共通部材80と同一の材料で形成されている。以下、スペーサ本体76の面のうち、図21の上下方向および紙面垂直方向に広がる面を、スペーサ本体76の「側面」と呼ぶ。スペーサ本体76の2つの側面には、それぞれ、スペーサ側体73および77が接合されている。レンズアレイ側体64およびスペーサ側体77は、それぞれ、共通部材80の一部である。発光パネル20から進行する光は、スペーサ本体76を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0065】
上述したように、電気光学装置1Fは、スペーサ側体77とレンズアレイ側体64とが一体の構造を有し、かつ、スペーサ側体73とレンズアレイ側体65とが一体の構造を有し、かつ、共通部材80の材質と共通部材36の材質とスペーサ本体76の材質とが同一であるから、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。なお、本実施の形態を変形し、共通部材80、共通部材36およびスペーサ本体76のうち、いずれか1つの材質が他の2つの材質と異なるようにしてもよいし、全ての材質が互いに異なるようにしてもよい。
【0066】
<製造方法>
電気光学装置1Fの製造方法では、まず、図22に示すように、共通部材36および共通部材80に、レンズアレイ体61を、共通部材36と共通部材80に挟まれ、屈折率分布型レンズ62の光軸が共通部材36にも共通部材80にも遮られないように接着する。具体的には、共通部材36と共通部材80の間にレンズアレイ体61を挟み、レンズアレイ体61の周囲(側面)に接着剤を注入し、硬化させる。
【0067】
次に、共通部材36、共通部材80およびレンズアレイ体61に画定された空間に、スペーサ本体76を固定する。具体的には、図23に示すように、レンズアレイ体61の光入射面に透明接着剤を塗布し、上記の空間にスペーサ本体76を入れてレンズアレイ体61に接合させ、透明接着剤を硬化させる。この透明接着剤の屈折率は、後に用いる発光パネル20の素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。こうして、スペーサ75と集束性レンズアレイ60を含むモジュールが形成される(図24参照)。なお、スペーサ本体76の形成材料が硬化性樹脂の場合には、液状の樹脂を上記の空間に注入して硬化(固定)させることにより、上記のモジュールを形成するようにしてもよい。
【0068】
次に、予め形成しておいた発光パネル20の素子基板22に、上記のモジュールを、発光パネル20から進行する光が共通部材30を透過してから複数の屈折率分布型レンズ62を透過するように接着する。具体的には、図24に示すように、素子基板22に、スペーサ75(スペーサ本体76、共通部材36および共通部材80)を接着する。この接着には透明接着剤を用いる。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。このようにして、図21の電気光学装置1Fが製造される。
【0069】
<画像形成装置>
本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置は、それぞれ、電子写真方式を利用した画像形成装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いることが可能である。画像形成装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。
【0070】
図25は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。この画像形成装置では、同様な構成の4個の光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。光ヘッド10K,10C,10M,10Yは、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置である。
【0071】
図に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0072】
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0073】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数のOLED素子14の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0074】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0075】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0076】
図26は、本発明の実施の形態に係る他の画像形成装置の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図10に示す画像形成装置において、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。光ヘッド167は、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置である。
【0077】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。光ヘッド167は、電気光学装置またはその変形例に係る電気光学装置であり、複数の発光素子14の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
【0078】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0079】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0080】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0081】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0082】
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0083】
上述した画像形成装置によれば、光ヘッドとして、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置を用いているから、光ヘッドの温度変化によって結像の光学特性(例えば結像性能)が著しく悪化してしまう事態を回避することができる。したがって、安定して高い品質で画像を形成することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置のいずれかを応用可能な画像形成装置を例示したが、他の電子写真方式の画像形成装置にも、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置のいずれかを応用することが可能であり、そのような画像形成装置は本発明の範囲内にある。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置である。
【0085】
<他の変形>
上述した実施の形態では、各EL素子21から発せられた光が素子基板22を透過して発光パネル20から出射するボトムエミッションタイプの発光パネル20を用いるようにしたが、これとは逆の方向に光が出射するトップエミッションタイプの発光パネルを用いるようにしてもよい。つまり、複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板は、封止基板であってもよい。この場合には、各EL素子から発して封止基板側へ進行する光が遮られないように、各部の光透過性を定めることになる。
【0086】
また、上述した実施の形態では、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子として、キャリヤの再結合による励起を必須とする有機EL素子を採用したが、キャリヤの再結合を必須としない発光素子(例えば無機EL素子)や、励起を必須としない発光素子(例えば無機LED)、与えられた電気エネルギにより光の透過特性が変化するライトバルブ素子(例えば液晶素子)を採用してもよい。また、上述した実施の形態では、電気光学素子を駆動するための回路素子を配線層内に設けたが、これを変形し、これらの回路素子を発光パネル外に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】従来の画像形成装置の一部の概略を示す斜視図である。
【図2】従来の画像形成装置の一部の概略を示す側面図である。
【図3】図2のA−A’線断面図である。
【図4】従来の画像形成装置の問題点を説明するための側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置10Aの概略を示す斜視図である。
【図6】電気光学装置10Aの集束性レンズアレイ60の概略を示す斜視図である。
【図7】電気光学装置10Aの平面図である。
【図8】電気光学装置10Aの平面図である。
【図9】図7および図8のB−B線断面図である。
【図10】電気光学装置10Aの製造の最初の工程を示す図である。
【図11】図10の製造の次の工程を示す図である。
【図12】図11の製造の次の工程を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置10Bの断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る電気光学装置10Cの断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る電気光学装置10Dの側面図である。
【図16】図15のC−C線断面図である。
【図17】電気光学装置10Dの製造の最初の工程を示す図である。
【図18】図17の製造の次の工程を示す図である。
【図19】図18の製造の次の工程を示す図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態に係る電気光学装置10Eの断面図である。
【図21】本発明の第6の実施の形態に係る電気光学装置10Fの断面図である。
【図22】電気光学装置10Fの製造の最初の工程を示す図である。
【図23】図22の製造の次の工程を示す図である。
【図24】図23の製造の次の工程を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例を示す縦断面図である。
【図26】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1A〜1F…電気光学装置、20…発光パネル(電気光学パネル)、21…EL素子(電気光学素子)、22…素子基板、23…封止基板、30,32,34,36,37,38,80…共通部材、31,33,35,39…溝、60,67…集束性レンズアレイ、61…レンズアレイ体、62…屈折率分布型レンズ、64,65,68,69…レンズアレイ側体、70,71,74,75…スペーサ、72…スペーサ本体、73,77…スペーサ側体、76…スペーサ本体(透明体)、110,165…感光体ドラム(像担持体)、111,168…コロナ帯電器(帯電器)、114,163…現像器、112…一次転写コロトロン(転写器)、166…一次転写ローラ(転写器)、10K,10C,10M,10Y,167…光ヘッド(電気光学装置)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光素子またはライトバルブ素子のような電気光学素子が配列された電気光学パネルを備えた電気光学装置、この電気光学装置を用いた画像形成装置および電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置の像担持体(例えば感光体ドラム)に静電潜像を書き込むために、エレクトロルミネセント素子(以下、「EL素子」と呼ぶ)のアレイを使用する技術が開発されている。このような技術では、一般的に、EL素子アレイと像担持体の間に集束性レンズアレイが配置される。このような配置において、EL素子から発せられた光の損失を低減するために、EL素子アレイと集束性レンズアレイの間に光透過性のスペーサを配置する技術が、特許文献1に開示されている。
【0003】
図1〜図3は、それぞれ、従来の画像形成装置の一部の概略を示す図であり、図1は斜視図、図2は側面図、図3は図2のA−A線断面図である。この画像形成装置では、EL素子アレイが設けられた発光パネル12と感光体ドラム110の間に、複数の屈折率分布型レンズ41が二列千鳥状に配列された集束性レンズアレイ40が配置され、発光パネル12と集束性レンズアレイ40の間に光透過性のスペーサ52が配置されている。発光パネル12、スペーサ52および集束性レンズアレイ40は、接着によりモジュール化されている。
【0004】
発光パネル12のEL素子アレイからの光は、スペーサ52と集束性レンズアレイ40の複数の屈折率分布型レンズを透過し、感光体ドラム110に到達して像を結ぶ。結像の光学特性(例えば鮮明度)を十分に高くするために、感光体ドラム110と集束性レンズアレイ40は、両者間の距離が、集束性レンズアレイ40の像側の作動距離(設計値)LAに一致するように配置される。なお、集束性レンズアレイとしては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック\SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。
【特許文献1】特開2006−218848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4は、従来の画像形成装置の問題点を説明するための側面図である。集束性レンズアレイ40、スペーサ52および発光パネル12の熱膨張率(熱膨張係数)はそれぞれ異なるから、上記のモジュールは、内部の要素(例えばEL素子)や外部の要素(例えば定着器)の発熱等に起因して自己の温度が変化すると、例えば図4に示すように、反ってしまう。
【0006】
モジュールに反りが生じると、発光パネル12のEL素子から発して集束性レンズアレイ40の屈折率分布型レンズを透過した光が感光体ドラム110に到達する位置(結像位置IPA)と、集束性レンズアレイ40から感光体ドラム110側に集束性レンズアレイ40の像側の作動距離LAだけ離れた位置(焦点位置FPA)のズレが増大する。このズレが大きいと、結像の光学特性(例えば結像性能)が著しく悪化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、温度変化による自己の反りを抑制することが可能な電気光学装置、この電気光学装置を用いた画像形成装置および電気光学装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気光学装置は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、前記スペーサの一部または全部は、共通部材の一部であり、前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方は、前記共通部材の一部である、ことを特徴とする。
この電気光学装置によれば、スペーサの一部または全部と、一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0009】
上記の電気光学装置において、前記共通部材は透明であり、前記スペーサの全部は、前記共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様では、スペーサの一部が共通部材の一部ではない場合に比較して、構造が簡素となる。さらに、前記一対のレンズアレイ側体の両方は、それぞれ、前記共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様によれば、一対のレンズアレイ側体の一方が共通部材の一部ではない場合に比較して、構造が簡素となる。さらに、これらの態様において、前記基板は、前記共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様によれば、スペーサの全部と、一対のレンズアレイ側体の一方または両方と基板とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを、より一層、抑制することができる。
【0010】
上記の電気光学装置において、前記一対のレンズアレイ側体の一方は前記共通部材の一部ではなく、前記一対のレンズアレイ側体の両方の材質は互いに同一である、ようにしてもよい。この態様によれば、一対のレンズアレイ側体の一方が共通部材の一部ではなく、一対のレンズアレイ側体の両方の材質が互いに異なる場合に比較して、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0011】
上記の電気光学装置において、前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材とは別の共通部材の一部であり、前記スペーサの一部は、前記別の共通部材の一部である、ようにしてもよい。この態様によれば、スペーサの一部と一対のレンズアレイ側体の一方とが一体の構造となるとともに、スペーサの他の一部と一対のレンズアレイ側体の他方とが一体の構造となるから、温度変化による自己の反りを、より一層、抑制することができる。
【0012】
上記の電気光学装置において、前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有し、前記一対のスペーサ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、前記一対のスペーサ側体の他方は、前記別の共通部材の一部であり、前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、前記一対のレンズアレイ側体の他方は、前記別の共通部材の一部である、ようにしてもよい。
この態様によれば、一対のスペーサ側体の両方と一対のレンズアレイ側体の両方とがそれぞれ一体の構造であるから、一方のスペーサ側体と一方のレンズアレイ側体とが一体の構造であり、かつ、他方のスペーサ側体と他方のレンズアレイ側体とが一体の構造でない場合に比較して、温度変化による自己の反りを、より一層、抑制することができる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電器と、前記電気光学パネルから進行して前記集束性レンズアレイを透過する光を、前記像担持体の帯電された面に照射して潜像を形成する、上記の電気光学装置または上記の各態様に係る電気光学装置と、前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器とを備える。この画像形成装置によれば、電気光学装置の温度変化によって結像の光学特性(例えば結像性能)が著しく悪化してしまう事態を回避することができる。
【0014】
本発明に係る電気光学装置の製造方法は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、溝を有し、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、前記第1工程の後に、前記基板に、前記共通部材を、前記基板から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第2工程とを有する、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、一塊の共通部材の一部がスペーサの一部または全部となり、他の一部が一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となった電気光学装置を製造することができる。この電気光学装置によれば、スペーサの一部または全部と、一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0015】
本発明に係る別の電気光学装置の製造方法は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、溝を有し、前記基板の全部、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、前記第1工程の後に、前記共通部材に、前記複数の電気光学素子を、前記複数の電気光学素子から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように形成する第2工程とを有する、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、一塊の共通部材の一部が電気光学パネルの基板となり、別の一部がスペーサとなり、更に別の一部が一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となった電気光学装置を製造することができる。この電気光学装置によれば、基板とスペーサと一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【0016】
本発明に係る更に別の電気光学装置の製造方法は、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有する、電気光学装置の製造方法であって、一対の共通部材に、前記レンズアレイ体を、前記一対の共通部材に挟まれ、前記屈折率分布型レンズの光軸が前記一対の共通部材に遮られないように接着する第1工程と、前記第1工程の後に、前記一対の共通部材および前記レンズアレイ体に画定された空間に前記透明体を固定する第2工程と、前記第2工程の後に、前記基板に、前記一対の共通部材および前記透明体を、前記基板から進行する光が前記透明体を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第3工程とを有する、ことを特徴とする。
この製造方法によれば、一方のスペーサ側体が一方の共通部材の一部となり、他方のスペーサ側体が他方の共通部材の一部となり、一方のレンズアレイ側体が一方の共通部材の一部となり、他方のレンズアレイ側体が他方の共通部材の一部となった電気光学装置を製造することができる。この電気光学装置によれば、一方のスペーサ側体と一方のレンズアレイ側体とが一体の構造であり、かつ、他方のスペーサ側体と他方のレンズアレイ側体とが一体の構造であるから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。本発明は、その実施の形態を変形して得られる変形例をも範囲に含む。なお、図面においては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0018】
<電気光学装置>
<第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置1Aについて説明する。この電気光学装置1Aでは、スペーサの全部と一対のレンズアレイ側体の両方とが一体構造になっている。以下、詳細に説明する。
【0019】
<構成>
まず、電気光学装置1Aの構成について説明する。
図5は、電気光学装置1Aの概略を示す斜視図である。図に例示された電気光学装置1Aは、電子写真方式を利用した画像形成装置における像担持体(例えば図5に示すように感光体ドラム110)に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いられる。
【0020】
電気光学装置1Aは、複数の有機EL素子(電気光学素子)を含む有機EL素子アレイが設けられた発光パネル(電気光学パネル)20と、発光パネル20に重ねられた集束性レンズアレイ60を備える。集束性レンズアレイ60は、発光パネル20と感光体ドラム110の間に配置されている。発光パネル20と集束性レンズアレイ60の間には、ガラスまたは透明なプラスチックで形成された光透過性のスペーサ70が介在する。発光パネル20の有機EL素子アレイからの光は、スペーサ70を透過し、さらに集束性レンズアレイ60の複数の屈折率分布型レンズを透過し、感光体ドラム110に到達する。
【0021】
図6は、電気光学装置1Aの集束性レンズアレイ60の概略を示す斜視図である。集束性レンズアレイ60は、二列かつ千鳥状のパターンで一方向に配列された複数の屈折率分布型レンズ62を有するレンズアレイ体61と、屈折率分布型レンズ62の配列方向(すなわちレンズアレイ体61の延在方向)に延在する一対のレンズアレイ側体64および65を有する。以下、レンズアレイ体61の外面のうち、各屈折率分布型レンズ62の中心軸(すなわち光軸)および屈折率分布型レンズ62の配列方向に略平行な面を、レンズアレイ体61の「側面」と呼ぶ。一対のレンズアレイ側体64および65は、レンズアレイ体61を間に挟んでおり、それぞれ、レンズアレイ体61の側面に接合されている。
【0022】
レンズアレイ体61は、複数の屈折率分布型レンズ62の間を埋めて複数の屈折率分布型レンズ62の配列パターンを固定化している充填体63を含む。また、集束性レンズアレイ60は、レンズアレイ体61をその延在方向において間に挟む一対の先端体66,66を有する。一対の先端体66,66は、それぞれ、一対のレンズアレイ側体64および65間に挟まれており、レンズアレイ体61、レンズアレイ側体64およびレンズアレイ側体65に接合されている。
【0023】
屈折率分布型レンズ62の各々は、中心軸での屈折率が低く、中心軸から離れるほど屈折率が高くなるように形成されたグレーデッドインデックス光ファイバであり、発光パネル20から進行する光を透過させて発光パネル20上の像に対する正立像を感光体ドラム110に結像可能である。これらの複数の屈折率分布型レンズ62で得られた像は感光体ドラム110上で1つの連続した像を構成する。集束性レンズアレイ60の具体例には、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある
【0024】
図7は電気光学装置1Aの平面図である。この図に示すように、各屈折率分布型レンズ62は、発光パネル20のEL素子21が形成された領域に重なっている。EL素子21および屈折率分布型レンズ62の配列パターンは、それぞれ、図示の形態に限定されず、単列または三列以上でもよいし他の適切なパターンで配列されていてもよい。
【0025】
図8は電気光学装置1Aの平面図であり、図9は図7および図8のB−B線断面図である。これらの図に示すように、発光パネル20は平板状の素子基板22を備える。素子基板22は、ガラスや透明なプラスチックなどの光透過性の材料で形成されている。素子基板22の形成材料の屈折率と、スペーサ70の形成材料の屈折率は、同じであることが好ましい。素子基板22の上(図9内では下)には図示しない配線層が形成されており、その上(図9内では下)には多数の発光素子としてのEL素子21が形成されている。
【0026】
配線層には、複数の回路素子(例えば、TFT(薄膜トランジスタ))および配線(例えば、回路素子への給電線や駆動素子とEL素子21との接続線)が設けられている。回路素子はそれぞれEL素子21に駆動電圧を与えるためのものである。EL素子21の各々は、注入されたキャリヤの再結合によって励起して発光する発光層と、この発光層を挟む一対の電極を有し、これら一対の電極間に印加された電圧に応じて発光する。これら一対の電極のうち、素子基板22側の電極(画素電極)は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極である。
【0027】
素子基板22には、多数のEL素子21を素子基板22との間に挟むように、封止基板23が接合されている。封止基板23は、素子基板22と協働して、EL素子21を外気、特に水分および酸素から隔離してその劣化を抑制する。封止基板23は、例えばガラス、プラスチック、セラミックまたは金属等の適切な材料で形成されている。素子基板22への封止基板23の取り付けには接着剤が用いられる。接着剤が、封止基板23の周縁部のみに接する形態であってもよいし(缶封止)、封止基板23の素子基板22側の全面に接する形態であってもよい(ベタ封止)。
【0028】
素子基板22には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された共通部材30が接合されている。共通部材30は、集束性レンズアレイ60とスペーサ70とで共通して用いられる一塊の部材であり、素子基板22に対向する面が平坦にされており、透明接着剤により素子基板22に接合されている。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。共通部材30の、素子基板22とは反対の側には、EL素子21の配列方向に延在する溝31が形成されている。溝31は、図9内で左右方向に広がっている1つの底面と、この底面の端から立ち上がっている一対の側面を有する。
【0029】
溝31には、レンズアレイ体61および一対の先端体66,66が入っており、それぞれ、共通部材30に接合されている。また、一対の先端体66,66は、それぞれ、レンズアレイ体61に接合されている。これらの接合には、接着剤が用いられている。溝31の底面へのレンズアレイ体61の接合に用いられる接着剤は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じ屈折率の透明接着剤である。他の接着剤は、この透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。
【0030】
共通部材30のうち、溝31の一対の側面を形成している2つの部分の一方がレンズアレイ側体64であり、他方がレンズアレイ側体65である。つまり、一対のレンズアレイ側体64および65は共通部材30の一部である。共通部材30から、これら2つの部分を除いた部分が、スペーサ70である。つまり、スペーサ70の全部は共通部材30の一部である。したがって、発光パネル20から出射して進行する光は、共通部材30を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0031】
上述した構成の電気光学装置1Aによれば、図8に示すように、電気光学装置1Aと像担持体が、集束性レンズアレイ60と像担持体との距離が集束性レンズアレイ60の像側の作動距離(設計値)LBに一致するように配置された場合、電気光学装置1Aの反りが小さければ、発光パネル20のEL素子21から発して集束性レンズアレイ60の屈折率分布型レンズ62を透過した光が像担持体に到達する位置(結像位置IPB)と、集束性レンズアレイ60から像担持体側に作動距離LBだけ離れた位置(焦点位置FPB)のズレが小さくなり、結像の光学特性(例えば結像性能)が良好となる。
【0032】
これに対して、電気光学装置1Aは、スペーサ70の全部と一対のレンズアレイ側体64および65の両方とが一体の構造を有するから、温度変化による自己の反りを抑制することができる。したがって、電気光学装置1Aによれば、光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。しかも、スペーサ70の全部と集束性レンズアレイ60の一部とが一体の構造は、スペーサ70の全部と集束性レンズアレイ60の全部とが別体の構造と比較して簡素であるから、電気光学装置1Aの製造は容易である。
【0033】
<製造方法>
次に、電気光学装置1Aの製造方法について説明する。
図10に示すように、電気光学装置1Aの製造では、まず、溝31を有する共通部材30を形成する。具体的には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で、直方体状の塊を形成し、その一部をダイシング等の公知の技術により切削して溝31を形成する。なお、上記透明材料を型に入れて共通部材30を形成するようにしてもよい。次に、図11に示すように、予め形成しておいたレンズアレイ体61を、その全部が溝31内に位置し、かつ、各屈折率分布型レンズ62の光軸が溝31の底面を通るように、共通部材30に接着する。具体的には、以下に述べる通りである。
【0034】
まず、溝31の底面に光硬化型の透明接着剤を塗布する。この透明接着剤の屈折率は、後に用いる発光パネル20の素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。次に、レンズアレイ体61を溝31に入れる。この工程では、一対の先端体66,66をも溝31に入れる。これにより、溝31内では、レンズアレイ体61が、その延在方向において一対の先端体66,66に挟まれる。次に、レンズアレイ体61と溝31の一対の側面との間、レンズアレイ体61と一対の先端体66,66との間、および、一対の先端体66,66と溝31の2つの側面との間に、光硬化型の接着剤を充填する。この接着剤は、溝31の底面に塗布した透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。次に、レンズアレイ体61の周囲の接着剤を硬化させる。この硬化は、例えば、レンズアレイ体61の周囲に光を照射することにより行われる。
【0035】
こうして、共通部材30へのレンズアレイ体61の接着が完了し、スペーサ70および集束性レンズアレイ60を含むモジュールが形成される(図12参照)。なお、共通部材30へのレンズアレイ体61の接着に用いる接着剤として、熱硬化型接着剤を採用することも可能である。この場合には、レンズアレイ体61の周囲の温度を硬化温度に変化させることによって接着剤の硬化を行うことになる。また、溝31の底面に塗布した透明接着剤を硬化させた後に他の接着剤を硬化させるようにしてもよい。
【0036】
次に、予め形成しておいた発光パネル20の素子基板22に、上記のモジュールを、素子基板22から進行する光が共通部材30を透過してから複数の屈折率分布型レンズ62を透過するように接着する。具体的には、図12に示すように、素子基板22に、共通部材30を接着する。この接着には透明接着剤を用いる。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。このようにして、図9の電気光学装置1Aが製造される。
【0037】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置1Bについて説明する。この電気光学装置1Bでは、スペーサの全部と一対のレンズアレイ側体の一方とが一体構造になっており、スペーサと一対のレンズアレイ側体の他方は別体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Aとの相違点のみに触れる。
【0038】
<構成>
図13は、電気光学装置1Bの断面図である。この図に示すように、発光パネル20の素子基板22には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された共通部材32が接合されている。共通部材32は、集束性レンズアレイ60とスペーサ70とで共通して用いられる一塊の部材であり、素子基板22に対向する面が平坦にされており、透明接着剤により素子基板22に接合されている。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。
【0039】
共通部材32の、素子基板22とは反対の側には、EL素子21の配列方向に延在する溝33が形成されている。溝33は、図13内で左右方向に広がっている1つの底面と、この底面の端から立ち上がっている1つの側面を有する。溝33には、レンズアレイ体61、一対の先端体66,66、およびレンズアレイ側体65が入っている。レンズアレイ側体65の材質は、共通部材32の材質と同一である。
【0040】
一対の先端体66,66は、それぞれ、共通部材32、レンズアレイ体61およびレンズアレイ側体65に接合されている。レンズアレイ体61は、共通部材32およびレンズアレイ側体65に接合されている。レンズアレイ側体65は、共通部材32に接合されている。これらの接合には、接着剤が用いられている。溝33の底面へのレンズアレイ体61の接合に用いられる接着剤は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じ屈折率の透明接着剤である。他の接着剤は、この透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。
【0041】
共通部材32のうち、溝33の側面を形成している1つの部分がレンズアレイ側体64である。つまり、レンズアレイ側体64は共通部材32の一部である。共通部材32から、この部分を除いた部分が、スペーサ70である。つまり、スペーサ70の全部は共通部材32の一部である。したがって、発光パネル20から出射して進行する光は、共通部材32を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0042】
上述したように、電気光学装置1Bは、スペーサ70の全部とレンズアレイ側体64とが一体の構造を有し、かつ、レンズアレイ側体65の材質が共通部材32の材質と同一であるから、電気光学装置1Aと同様の利点を有する。すなわち、電気光学装置1Bは、簡素な構造で、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。なお、本実施の形態を変形し、共通部材32の材質とレンズアレイ側体65の材質とが異なるようにしてもよい。
【0043】
<製造方法>
図13から明らかなように、電気光学装置1Bの製造では、レンズアレイ体61を、その一部が溝33内に位置し、かつ、各屈折率分布型レンズ62の光軸が溝33の底面を通るように、共通部材32に接着する工程において、一対の先端体66,66のみならず、レンズアレイ側体65をも溝33に入れ、共通部材32に接着する。この製造方法には、電気光学装置1Bを製造可能という利点の他に、レンズアレイ体61を溝に入れる作業が容易となるという利点もある。
【0044】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る電気光学装置1Cについて説明する。この電気光学装置1Cでは、1つのスペーサ側体と一方のレンズアレイ側体とが一体構造になっており、スペーサの他の全ての部分と他方のレンズアレイ側体とが一体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Aとの相違点のみに触れる。
【0045】
<構成>
図14は、電気光学装置1Cの断面図である。この図に示すように、発光パネル20の素子基板22には、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された共通部材34および共通部材36が接合されている。共通部材34および共通部材36は、それぞれ、集束性レンズアレイ60とスペーサ71とで共通して用いられる一塊の部材であり、素子基板22に対向する面が平坦にされている。これらの平坦な面は面一となっており、共通部材34および共通部材36は、これらの平坦な面で素子基板22に接合されている。この接合には、屈折率が素子基板22の形成材料の屈折率と同一の透明接着剤が用いられている。
【0046】
共通部材34の、素子基板22とは反対の側には、EL素子21の配列方向に延在する溝35が形成されている。溝35は、図14内で左右方向に広がっている1つの底面と、この底面の端から立ち上がっている1つの側面を有する。溝35には、レンズアレイ体61および一対の先端体66,66が入っている。レンズアレイ側体65の材質は、共通部材34の材質と同一である。
【0047】
一対の先端体66,66は、それぞれ、共通部材34、レンズアレイ体61および共通部材36に接合されている。レンズアレイ体61は、共通部材34および共通部材36に接合されている。共通部材36は、共通部材34に接合されている。これらの接合には、接着剤が用いられている。溝35の底面へのレンズアレイ体61の接合に用いられる接着剤は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じ屈折率の透明接着剤である。他の接着剤は、この透明接着剤と同じ接着剤であっても異なる接着剤であってもよい。
【0048】
共通部材34のうち、溝35の側面を形成している1つの部分がレンズアレイ側体64である。つまり、レンズアレイ側体64は共通部材34の一部である。共通部材34から上記の部分を除いた部分がスペーサ本体72である。また、共通部材36のうち、レンズアレイ体61および一対の先端体66,66が接合されている部分がレンズアレイ側体65である。つまり、レンズアレイ側体65は共通部材36の一部である。共通部材36から上記の部分を除いた部分がスペーサ側体73である。スペーサ71は、スペーサ本体72およびスペーサ側体73から構成されている。発光パネル20から出射して進行する光は、スペーサ本体72(共通部材34)を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0049】
上述したように、電気光学装置1Cは、スペーサ本体72とレンズアレイ側体64とが一体の構造を有し、かつ、スペーサ側体73とレンズアレイ側体65とが一体の構造を有し、かつ、共通部材34の材質が共通部材36の材質と同一であるから、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。なお、本実施の形態を変形し、共通部材34の材質と共通部材36の材質とが互いに異なるようにしてもよい。
【0050】
<製造方法>
図14から明らかなように、電気光学装置1Cの製造では、レンズアレイ体61を、その一部が溝35内に位置し、かつ、各屈折率分布型レンズ62の光軸が溝35の底面を通るように、共通部材34に接着する工程において、溝35内にレンズアレイ体61および一対の先端体66,66が入った状態の共通部材34に、共通部材36を接着する。この製造方法には、電気光学装置1Cを製造可能という利点の他に、レンズアレイ体61を溝に入れる作業が容易となるという利点もある。
【0051】
<第4の実施の形態>
まず、本発明の第4の実施の形態に係る電気光学装置1Dについて説明する。この電気光学装置1Dでは、素子基板とスペーサの全部と一対のレンズアレイ側体の両方とが一体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Aとの相違点のみに触れる。
【0052】
<構成>
図15は電気光学装置1Dの側面図であり、図16は図15のC−C線断面図である。これらの図に示すように、電気光学装置1Dは、共通部材30に相当する共通部材37を有する。共通部材37は、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された一塊の部材であり、発光パネル20、スペーサ74、集束性レンズアレイ67に共通して用いられる。スペーサ74がスペーサ70と異なる点は、図16内の左右方向の長さのみである。集束性レンズアレイ67が集束性レンズアレイ60と異なる点は、一対のレンズアレイ側体の図16内の左右方向の長さのみである。
【0053】
集束性レンズアレイ67の一対のレンズアレイ側体68および69は、それぞれ、共通部材37の一部である。スペーサ74の全部は共通部材37の一部である。素子基板22の全部は共通部材37の一部である。各EL素子21から発して進行する光は、素子基板22を透過し、次に共通部材37を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0054】
上述したように、電気光学装置1Dは、スペーサ74の全部と一対のレンズアレイ側体68および69の両方と素子基板22とが一体の構造を有するから、簡素な構造で、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。
【0055】
<製造方法>
図17に示すように、電気光学装置1Dの製造では、まず、溝31を有する共通部材37を形成する。この形成の工程は、共通部材30を形成する工程と同様である。次に、図18に示すように、予め形成しておいたレンズアレイ体61を共通部材37に接着する。この接着の工程は、レンズアレイ体61を共通部材30に接着する工程と同様である。
【0056】
次に、図19に示すように、共通部材37の、封止基板23に対向する面(図19内では上面)上に、複数の回路素子および配線を有する配線層(図示略)を形成し、その上に複数のEL素子21を形成する。そして、封止基板23を用いた封止を行い、図16の電気光学装置1Dが製造される。
【0057】
<第5の実施の形態>
次に、本発明の第5の実施の形態に係る電気光学装置1Eについて説明する。この電気光学装置1Eでは、素子基板とスペーサの全部と一方のレンズアレイ側体とが一体構造になっており、他方のレンズアレイ側体は別体になっている。以下の説明では、電気光学装置1Dとの相違点のみに触れる。
【0058】
図20は、電気光学装置1Eの断面図である。この図に示すように、電気光学装置1Eは、共通部材37に相当する共通部材38を有する。共通部材38は、ガラスまたは透明なプラスチック等の透明材料で形成された一塊の部材であり、発光パネル20、スペーサ74、集束性レンズアレイ67に共通して用いられる。
【0059】
レンズアレイ側体68は共通部材38の一部である。スペーサ74の全部は共通部材38の一部である。素子基板22の全部は共通部材38の一部である。一方、レンズアレイ側体69は共通部材38の一部ではない。各EL素子21から発して進行する光は、素子基板22を透過し、次に共通部材38を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0060】
上述したように、電気光学装置1Eは、素子基板22とスペーサ74の全部とレンズアレイ側体68とが一体の構造を有し、かつ、レンズアレイ側体69の材質が共通部材38の材質と同一であるから、簡素な構造で、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。
【0061】
電気光学装置1Eの製造方法は、前述の電気光学装置1Dの製造方法および前述の電気光学装置1Bの製造方法から自明である。なお、本実施の形態を変形し、レンズアレイ側体69の材質と共通部材38の材質とが異なるようにしてもよい。また、電気光学装置1Bに対する電気光学装置1Cのように、電気光学装置1Eに対する別の電気光学装置を観念することが可能である。別の電気光学装置としては、スペーサが、共通部材38の一部ではない1つのスペーサ側体(図14のスペーサ側体73に相当するスペーサ側体)を有する電気光学装置が挙げられる。この電気光学装置の形態としては、1つのスペーサ側体とレンズアレイ側体69とが一体構造となった形態や、1つのスペーサ側体とレンズアレイ側体69と素子基板22の一部とが一体構造となった形態が挙げられる。
【0062】
<第6の実施の形態>
次に、本発明の第6の実施の形態に係る電気光学装置1Fについて説明する。この電気光学装置1Fでは、一対のスペーサ側体の両方と一対のレンズアレイ側体の両方とがそれぞれ独立に一体構造になっている。以下の説明では、電気光学装置1Cとの相違点のみに触れる。
【0063】
<構成>
図21は、電気光学装置1Fの断面図である。この図に示すように、電気光学装置1Fは、共通部材34を持たず、共通部材36とは別に共通部材80を有する。共通部材80は、共通部材36と同じ材料で形成された一塊の部材であり、スペーサ75、集束性レンズアレイ60に共通して用いられる。スペーサ75は、スペーサ本体76と、スペーサ本体76を間に挟む一対のスペーサ側体73および77を有する。
【0064】
スペーサ本体76は、複数の屈折率分布型レンズ62の配列方向に延在し、発光パネル20の素子基板22と集束性レンズアレイ60に接合されて挟まれた板状の透明体であり、共通部材36および共通部材80と同一の材料で形成されている。以下、スペーサ本体76の面のうち、図21の上下方向および紙面垂直方向に広がる面を、スペーサ本体76の「側面」と呼ぶ。スペーサ本体76の2つの側面には、それぞれ、スペーサ側体73および77が接合されている。レンズアレイ側体64およびスペーサ側体77は、それぞれ、共通部材80の一部である。発光パネル20から進行する光は、スペーサ本体76を透過し、次に複数の屈折率分布型レンズ62を透過し、最後に像担持体に到達して像を結ぶ。
【0065】
上述したように、電気光学装置1Fは、スペーサ側体77とレンズアレイ側体64とが一体の構造を有し、かつ、スペーサ側体73とレンズアレイ側体65とが一体の構造を有し、かつ、共通部材80の材質と共通部材36の材質とスペーサ本体76の材質とが同一であるから、温度変化による自己の反りを抑制して光学特性が良好な結像を安定して得ることができる。なお、本実施の形態を変形し、共通部材80、共通部材36およびスペーサ本体76のうち、いずれか1つの材質が他の2つの材質と異なるようにしてもよいし、全ての材質が互いに異なるようにしてもよい。
【0066】
<製造方法>
電気光学装置1Fの製造方法では、まず、図22に示すように、共通部材36および共通部材80に、レンズアレイ体61を、共通部材36と共通部材80に挟まれ、屈折率分布型レンズ62の光軸が共通部材36にも共通部材80にも遮られないように接着する。具体的には、共通部材36と共通部材80の間にレンズアレイ体61を挟み、レンズアレイ体61の周囲(側面)に接着剤を注入し、硬化させる。
【0067】
次に、共通部材36、共通部材80およびレンズアレイ体61に画定された空間に、スペーサ本体76を固定する。具体的には、図23に示すように、レンズアレイ体61の光入射面に透明接着剤を塗布し、上記の空間にスペーサ本体76を入れてレンズアレイ体61に接合させ、透明接着剤を硬化させる。この透明接着剤の屈折率は、後に用いる発光パネル20の素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。こうして、スペーサ75と集束性レンズアレイ60を含むモジュールが形成される(図24参照)。なお、スペーサ本体76の形成材料が硬化性樹脂の場合には、液状の樹脂を上記の空間に注入して硬化(固定)させることにより、上記のモジュールを形成するようにしてもよい。
【0068】
次に、予め形成しておいた発光パネル20の素子基板22に、上記のモジュールを、発光パネル20から進行する光が共通部材30を透過してから複数の屈折率分布型レンズ62を透過するように接着する。具体的には、図24に示すように、素子基板22に、スペーサ75(スペーサ本体76、共通部材36および共通部材80)を接着する。この接着には透明接着剤を用いる。この透明接着剤の屈折率は、素子基板22の形成材料の屈折率と同じであることが好ましい。このようにして、図21の電気光学装置1Fが製造される。
【0069】
<画像形成装置>
本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置は、それぞれ、電子写真方式を利用した画像形成装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いることが可能である。画像形成装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。
【0070】
図25は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。この画像形成装置では、同様な構成の4個の光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。光ヘッド10K,10C,10M,10Yは、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置である。
【0071】
図に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0072】
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0073】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数のOLED素子14の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0074】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0075】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0076】
図26は、本発明の実施の形態に係る他の画像形成装置の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図10に示す画像形成装置において、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。光ヘッド167は、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置である。
【0077】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。光ヘッド167は、電気光学装置またはその変形例に係る電気光学装置であり、複数の発光素子14の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
【0078】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0079】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0080】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0081】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0082】
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0083】
上述した画像形成装置によれば、光ヘッドとして、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置を用いているから、光ヘッドの温度変化によって結像の光学特性(例えば結像性能)が著しく悪化してしまう事態を回避することができる。したがって、安定して高い品質で画像を形成することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置のいずれかを応用可能な画像形成装置を例示したが、他の電子写真方式の画像形成装置にも、本発明の実施の形態またはその変形例に係る電気光学装置のいずれかを応用することが可能であり、そのような画像形成装置は本発明の範囲内にある。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置である。
【0085】
<他の変形>
上述した実施の形態では、各EL素子21から発せられた光が素子基板22を透過して発光パネル20から出射するボトムエミッションタイプの発光パネル20を用いるようにしたが、これとは逆の方向に光が出射するトップエミッションタイプの発光パネルを用いるようにしてもよい。つまり、複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板は、封止基板であってもよい。この場合には、各EL素子から発して封止基板側へ進行する光が遮られないように、各部の光透過性を定めることになる。
【0086】
また、上述した実施の形態では、与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子として、キャリヤの再結合による励起を必須とする有機EL素子を採用したが、キャリヤの再結合を必須としない発光素子(例えば無機EL素子)や、励起を必須としない発光素子(例えば無機LED)、与えられた電気エネルギにより光の透過特性が変化するライトバルブ素子(例えば液晶素子)を採用してもよい。また、上述した実施の形態では、電気光学素子を駆動するための回路素子を配線層内に設けたが、これを変形し、これらの回路素子を発光パネル外に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】従来の画像形成装置の一部の概略を示す斜視図である。
【図2】従来の画像形成装置の一部の概略を示す側面図である。
【図3】図2のA−A’線断面図である。
【図4】従来の画像形成装置の問題点を説明するための側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る電気光学装置10Aの概略を示す斜視図である。
【図6】電気光学装置10Aの集束性レンズアレイ60の概略を示す斜視図である。
【図7】電気光学装置10Aの平面図である。
【図8】電気光学装置10Aの平面図である。
【図9】図7および図8のB−B線断面図である。
【図10】電気光学装置10Aの製造の最初の工程を示す図である。
【図11】図10の製造の次の工程を示す図である。
【図12】図11の製造の次の工程を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る電気光学装置10Bの断面図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る電気光学装置10Cの断面図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係る電気光学装置10Dの側面図である。
【図16】図15のC−C線断面図である。
【図17】電気光学装置10Dの製造の最初の工程を示す図である。
【図18】図17の製造の次の工程を示す図である。
【図19】図18の製造の次の工程を示す図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態に係る電気光学装置10Eの断面図である。
【図21】本発明の第6の実施の形態に係る電気光学装置10Fの断面図である。
【図22】電気光学装置10Fの製造の最初の工程を示す図である。
【図23】図22の製造の次の工程を示す図である。
【図24】図23の製造の次の工程を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例を示す縦断面図である。
【図26】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1A〜1F…電気光学装置、20…発光パネル(電気光学パネル)、21…EL素子(電気光学素子)、22…素子基板、23…封止基板、30,32,34,36,37,38,80…共通部材、31,33,35,39…溝、60,67…集束性レンズアレイ、61…レンズアレイ体、62…屈折率分布型レンズ、64,65,68,69…レンズアレイ側体、70,71,74,75…スペーサ、72…スペーサ本体、73,77…スペーサ側体、76…スペーサ本体(透明体)、110,165…感光体ドラム(像担持体)、111,168…コロナ帯電器(帯電器)、114,163…現像器、112…一次転写コロトロン(転写器)、166…一次転写ローラ(転写器)、10K,10C,10M,10Y,167…光ヘッド(電気光学装置)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、
前記スペーサの一部または全部は、共通部材の一部であり、
前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方は、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記共通部材は透明であり、
前記スペーサの全部は、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記一対のレンズアレイ側体の両方は、それぞれ、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記基板は、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記一対のレンズアレイ側体の一方は前記共通部材の一部ではなく、
前記一対のレンズアレイ側体の両方の材質は互いに同一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材とは別の共通部材の一部であり、
前記スペーサの一部は、前記別の共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有し、
前記一対のスペーサ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、
前記一対のスペーサ側体の他方は、前記別の共通部材の一部であり、
前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、
前記一対のレンズアレイ側体の他方は、前記別の共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電器と、
前記電気光学パネルから進行して前記集束性レンズアレイを透過する光を、前記像担持体の帯電された面に照射して潜像を形成する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電気光学装置と、
前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、
前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器と、
を備える画像形成装置。
【請求項9】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、
溝を有し、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記基板に、前記共通部材を、前記基板から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第2工程とを有する、
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、
溝を有し、前記基板の全部、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記共通部材に、前記複数の電気光学素子を、前記複数の電気光学素子から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように形成する第2工程とを有する、
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、
前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有する、電気光学装置の製造方法であって、
一対の共通部材に、前記レンズアレイ体を、前記一対の共通部材に挟まれ、前記屈折率分布型レンズの光軸が前記一対の共通部材に遮られないように接着する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記一対の共通部材および前記レンズアレイ体に画定された空間に前記透明体を固定する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記基板に、前記一対の共通部材および前記透明体を、前記基板から進行する光が前記透明体を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第3工程とを有する、
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項1】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、
前記スペーサの一部または全部は、共通部材の一部であり、
前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方は、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記共通部材は透明であり、
前記スペーサの全部は、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記一対のレンズアレイ側体の両方は、それぞれ、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記基板は、前記共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記一対のレンズアレイ側体の一方は前記共通部材の一部ではなく、
前記一対のレンズアレイ側体の両方の材質は互いに同一である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材とは別の共通部材の一部であり、
前記スペーサの一部は、前記別の共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有し、
前記一対のスペーサ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、
前記一対のスペーサ側体の他方は、前記別の共通部材の一部であり、
前記一対のレンズアレイ側体の一方は、前記共通部材の一部であり、
前記一対のレンズアレイ側体の他方は、前記別の共通部材の一部である、
ことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電器と、
前記電気光学パネルから進行して前記集束性レンズアレイを透過する光を、前記像担持体の帯電された面に照射して潜像を形成する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電気光学装置と、
前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、
前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器と、
を備える画像形成装置。
【請求項9】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、
溝を有し、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記基板に、前記共通部材を、前記基板から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第2工程とを有する、
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備える電気光学装置の製造方法であって、
溝を有し、前記基板の全部、前記スペーサの全部および前記一対のレンズアレイ側体の少なくとも一方となる透明な共通部材に、前記レンズアレイ体を、その一部または全部が前記溝内に位置して前記屈折率分布型レンズの光軸が前記溝の底面を通るように接着する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記共通部材に、前記複数の電気光学素子を、前記複数の電気光学素子から進行する光が前記共通部材を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように形成する第2工程とを有する、
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
与えられた電気エネルギにより発光特性または光の透過特性が変化する複数の電気光学素子と、前記複数の電気光学素子から進行する光を透過させる基板とを有する電気光学パネルと、
前記基板から進行する光を透過させて前記電気光学パネル上の像に対する正立像を結像可能な屈折率分布型レンズが一方向に複数配列されたレンズアレイ体と、前記一方向に延在し、前記レンズアレイ体を間に挟んで前記レンズアレイ体の側面に接合された一対のレンズアレイ側体とを有し、複数の前記屈折率分布型レンズで得られた像が1つの連続した像を構成する集束性レンズアレイと、
前記基板と前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれ、前記複数の電気光学パネルから進行する光を透過させるスペーサとを備え、
前記スペーサは、前記一方向に延在し、前記電気光学パネルと前記集束性レンズアレイに接合されて挟まれた板状の透明体と、前記一方向に延在し、前記透明体を間に挟んで前記透明体の側面に接合された一対のスペーサ側体とを有する、電気光学装置の製造方法であって、
一対の共通部材に、前記レンズアレイ体を、前記一対の共通部材に挟まれ、前記屈折率分布型レンズの光軸が前記一対の共通部材に遮られないように接着する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記一対の共通部材および前記レンズアレイ体に画定された空間に前記透明体を固定する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記基板に、前記一対の共通部材および前記透明体を、前記基板から進行する光が前記透明体を透過してから前記屈折率分布型レンズを透過するように接着する第3工程とを有する、
ことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2008−143025(P2008−143025A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332895(P2006−332895)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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