説明

電気光学装置、電気光学装置の駆動方法、電子機器

【課題】高電圧での駆動を可能にし、かつ、データ信号の低電圧化による低消費電力化を可能にした電気光学装置、電気光学装置の駆動方法、電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置は、画素40毎に、画素電極35、選択トランジスタTRs、第1トランジスタTR1〜第3トランジスタTR3、保持容量C1、C2、昇圧制御線102及び基準電位線103が設けられ、保持容量C1の電極20aが選択トランジスタTRsのドレインに接続され、電極20bが基準電位線103に接続され、保持容量C2の電極21aが第1トランジスタTR1のドレインに接続され、電極21bが第2トランジスタTR2のソースに接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置、電気光学装置の駆動方法、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画素部に昇圧回路が設けられた表示装置であって、画素内において画素電極の電圧を昇圧させることで表示素子の駆動に必要な高電圧を生成する、という技術が存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−109600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の発明では、選択トランジスタのソース・ドレイン間に昇圧後の高電圧が印加されてしまう。選択トランジスタにソース・ドレイン耐圧以上の高電圧が印加されると、表示不良に繋がるおそれがあるため、画素内で生成される高電圧をトランジスタのソース・ドレイン耐圧の範囲内に限定しなければならない。
【0005】
例えば、図15には、トランジスタTR11,TR12,TR13,保持容量C9,画素電極35,電気泳動素子32、共通電極37、走査線66、データ線68、昇圧制御線102及び基準電位線103を備えた画素回路が示されている。このような画素回路の場合、トランジスタTR11のソース・ドレイン耐圧が15V程度のとき、トランジスタTR11を介して保持容量C9に所定の電圧を書き込み(図15(a))、トランジスタTR13を介して保持容量C9の電圧を昇圧させた後(図15(b))、次の行で0Vを書き込もうとすると、トランジスタTR11の両端の電位差が30Vとなり(図15(c))、耐圧を越える高い電圧がかかってしまう。このため、トランジスタTR11のソース・ドレイン耐圧までしか昇圧することができない。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、画素回路を構成する半導体素子の耐圧を超える高電圧を画素内で生成可能とした電気光学装置、電気光学装置の駆動方法、電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するために、一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、互いに交差する方向に延びる複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差部に対応して形成された画素とを備えた電気光学装置であって、前記画素毎に、画素電極と、選択トランジスタと、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第3トランジスタと、第1の保持容量と、第2の保持容量と、昇圧制御線と、基準電位線と、が設けられ、前記走査線に、前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの各々のゲートが接続され、前記データ線に前記第3トランジスタのソースが接続されており、前記選択トランジスタのソースが前記データ線に接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、前記第1トランジスタのドレインが前記画素電極に接続され、前記第2トランジスタのソースが前記第3トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記基準電位線に接続され、前記第3トランジスタのゲートが前記昇圧制御線に接続され、前記第1の保持容量の一方の電極が前記選択トランジスタの前記ドレインに接続され、他方の電極が前記基準電位線に接続され、前記第2の保持容量の一方の電極が前記第1トランジスタのドレインに接続され、他方の電極が前記第2トランジスタのソースに接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1の保持容量に所定の電圧を保持させることで、昇圧制御線を介して電圧制御された第2の保持容量の高電圧が選択トランジスタに直接印加されないようになる。これにより、従来では選択トランジスタのソース・ドレイン耐圧までの高電圧しか生成できなかったが、本実施形態ではこれを越える高電圧を生成することが可能となる。よって、表示素子の駆動に必要な高電圧を効率よく生成することができる。
【0009】
また、前記画素毎に、前記第2トランジスタのソースに一方の電極が接続された第3の保持容量をさらに有することが好ましい。
本発明によれば、第3の保持容量を備えたことにより、昇圧制御線の電圧変化に伴う保持容量の電極の電位変動が抑えられ、保持容量の電圧低下が抑制されて高電圧に保持できる。
【0010】
また、前記第3の保持容量が前記昇圧制御線と前記第2の保持容量の前記他の電極との間の寄生容量よりも大きいことが好ましい。
本発明によれば、第2の保持容量の電極の電位変動が生じにくくなり、第2の保持容量の低下を防止できる。
【0011】
また、第1の前記走査線に対応する前記基準電位線が、前記第1の走査線と隣り合う第2の前記走査線であることを特徴とする請求項2記載の電気光学装置。
本発明によれば、第1の走査線に対応する基準電位線として第2の走査線を機能させることが可能になる。これにより、基準電位線を別途配線する必要がなくなるので、装置構成が簡素化されて製造も容易となる。
【0012】
本発明の電気光学装置の駆動方法は、一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、互いに交差する方向に延びる複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差部に対応して形成された画素とを備え、前記画素毎に、画素電極と、選択トランジスタと、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第3トランジスタと、第1の保持容量と、第2の保持容量と、昇圧制御線と、基準電位線と、が設けられ、前記走査線に、前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの各々のゲートが接続され、前記データ線に前記第3トランジスタのソースが接続されており、前記選択トランジスタのソースが前記データ線に接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、前記第1トランジスタのドレインが前記画素電極に接続され、前記第2トランジスタのソースが前記第3トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記基準電位線に接続され、前記第3トランジスタのゲートが前記昇圧制御線に接続され、前記第1の保持容量の一方の電極が前記選択トランジスタの前記ドレインに接続され、他方の電極が前記基準電位線に接続され、前記第2の保持容量の一方の電極が前記第1トランジスタのドレインに接続され、他方の電極が前記第2トランジスタのソースに接続されている電気光学装置の駆動方法であって、複数の前記画素が配列された表示部に画像を表示させる画像表示期間において、前記走査線を選択し、前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態とされ、前記第3トランジスタがオフ状態とされた際に、前記基準電位線がローレベルとされ、前記第1の保持容量および第2の保持容量に前記データ線を介して第1の信号電圧が書き込まれる第1書込みステップと、前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオフ状態とされ、前記第3トランジスタがオン状態とされた際に、前記データ線を介して前記第2の保持容量に第2の信号電圧が書き込まれる第2書込みステップ、とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明では、第1書き込みステップにおいて第1の保持容量及び第2の保持容量に第1の信号電圧を保持させ、第2書き込みステップにおいて第2の保持容量の保持電圧を第2の信号電圧によって昇圧させることとする。本発明によれば、第2の保持容量の高電圧が選択トランジスタに直接印加されないようになる。これにより、従来においては選択トランジスタのソース・ドレイン耐圧までの高電圧しか生成できなかったが、本発明ではこれを超える高電圧を生成することが可能となる。よって、高電圧を必要とする表示素子の駆動が可能となる。
【0014】
また、一本の前記走査線に属する複数の前記画素に対して、前記第1書込みステップ及び前記第2書込みステップを連続して行うことが好ましい。
本発明によれば、各走査線に属する画素電極に対して第1の信号電位および第2の信号電位を連続して印加することとなる。
【0015】
また、前記表示部の全ての前記画素に対して前記第1書込みステップを実施した後、全ての前記画素に対して前記第2書込みステップを実施することが好ましい。
本発明によれば、各書込みステップにおいて、全行の走査線に対し同じ電圧を印加すればよいため、制御が容易になるとともに電力消費が軽減される。
【0016】
本発明の電子機器は、先に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、画素回路を構成する半導体素子の耐圧を超える高電圧を画素内で生成可能とした表示装置を具備しているので、高電圧駆動の電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態における電気泳動表示装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態における1画素の回路構成図。
【図3】表示部における電気泳動表示装置の部分断面図。
【図4】電気泳動表示素子の動作説明図。
【図5】第1実施形態における画像表示期間におけるタイミングチャート。
【図6】第1書込みステップにおける駆動模式図。
【図7】第2書込みステップにおける駆動模式図。
【図8】画像表示期間における他の駆動方法によるタイミングチャート。
【図9】画素回路に生じる寄生容量を示す。
【図10】第2実施形態における1画素の回路構成図。
【図11】第2実施形態の第2書込みステップにおける駆動模式図。
【図12】電子機器の一例を示す図。
【図13】電子機器の一例を示す図。
【図14】電子機器の一例を示す図。
【図15】従来の問題点を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本発明に係る電気光学装置及び電子機器の実施の形態について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の電気光学装置の一実施形態である電気泳動表示装置100の概略構成図である。
電気泳動表示装置100(電気光学装置)は、複数の画素40がマトリクス状に配列された表示部5を備えている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、コントローラー(制御部)63、共通電源変調回路64、及び電圧制御回路51が配置されている。走査線駆動回路61、データ線駆動回路62、共通電源変調回路64及び電圧制御回路51は、それぞれコントローラー63と接続されている。コントローラー63は、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、これらを総合的に制御する。
【0020】
表示部5には、走査線駆動回路61から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。また、電圧制御回路51から走査線66と平行して延びる複数の昇圧制御線102が設けられており、それぞれの配線は画素40と接続されている。また、共通電源変調回路64から延びる複数の基準電位線103も各画素40と接続されている。
【0021】
走査線駆動回路61は、m本の走査線66(Y1、Y2、…、Ym)を介して各々の画素40に接続されており、コントローラー63の制御のもと、1行目からm行目までの走査線66を順次選択し、画素40に設けられた選択トランジスタTRs(図2参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。
データ線駆動回路62は、n本のデータ線68(X1、X2、…、Xn)を介して各々の画素40に接続されており、コントローラー63の制御のもと、画素40の各々に対応する画素データを規定する画像信号を画素40に供給する。
電圧制御回路51は、コントローラー63の制御のもと、上記の昇圧制御線102(L1、L2、…、Lm)の各々に供給すべき各種信号を生成する。
共通電源変調回路64は、コントローラー63の制御のもと、上記の基準電位線103の各々に供給すべき各種信号を生成する一方、これら各配線の電気的な接続及び切断(ハイインピーダンス(Hi−Z)化)を行う。
【0022】
また、本実施形態における書込極性については、電気泳動素子32に対して階調に応じた電圧を保持させる際に、共通電極37の電位Vcomよりも画素電極35の電位を高位側とする場合を正極性といい、低位側とする場合を負極性という。なお、共通電極37の電位Vcomを基準とし、Vcom=0Vとして、以後説明する。
【0023】
図2は、画素40の回路構成図である。
画素40には、選択トランジスタTRsと、第1トランジスタTR1と、第2トランジスタTR2と、第3トランジスタTR3と、保持容量C1(第1の保持容量)と、保持容量C2(第2の保持容量)と、画素電極35と、電気泳動素子32と、共通電極37と、が設けられている。また、画素40には、走査線66と、データ線68と、昇圧制御線102と、基準電位線103とが接続されている。選択トランジスタTRsは、N−MOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)トランジスタである。
なお、選択トランジスタTRsは、それと同等の機能を有する他の種類のスイッチング素子と置き換えてもよい。例えば、N−MOSトランジスタに代えてP−MOSトランジスタを用いてもよく、インバータやトランスミッションゲートを用いてもよい。
【0024】
選択トランジスタTRs、第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2の各ゲートには走査線66が接続されている。選択トランジスタTRsのソースにはデータ線68が接続され、ドレインには第1トランジスタTR1のソースが接続されている。第1トランジスタTR1のドレインには画素電極35が接続されている。
第2トランジスタTR2のソースには第3トランジスタTR3のドレインが接続され、ドレインには基準電位線103が接続されている。
第3トランジスタTR3のゲートには昇圧制御線102が接続され、ソースにデータ線68が接続され、ドレインに上記第2トランジスタTR2のソースが接続されている。
【0025】
保持容量C1,C2は、後述する素子基板30上に形成され、誘電体膜を介して対向配置された一対の電極からなる。
保持容量C1は、選択トランジスタTRsと第1トランジスタTR1との間に一方の電極20aを接続され、他方の電極20bは基準電位線103に接続されている。保持容量C1は選択トランジスタTRsを介して書き込まれたデータ線68からの画像データ電圧で充電される。
保持容量C2は、第1トランジスタTR1と画素電極35との間に一方の電極21aを接続され、他方の電極21bに第2トランジスタTR2のソースと第3トランジスタTR3のドレインが接続されている。この保持容量C2に第3トランジスタTR3を介して書き込まれたデータ線68からの画像データ電圧により画素電極35側の一方の電極21aが昇圧される。保持容量C1は選択トランジスタTRsを介して書き込まれたデータ線68からの画像データ電圧で充電される。
【0026】
電気泳動素子32は、画素電極35と共通電極37との間に挟持され、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセルから構成されている。
【0027】
次に、図3(a)は、表示部5における電気泳動表示装置100の部分断面図である。
電気泳動表示装置100は、素子基板30と対向基板31との間に、複数のマイクロカプセル20を配列してなる電気泳動素子32を挟持した構成を備えている。
【0028】
表示部5において、素子基板30の電気泳動素子32側には、図1や図2に示した走査線66、データ線68、選択トランジスタTRsなどが形成された回路層34が設けられており、回路層34上に複数の画素電極35が配列形成されている。
【0029】
素子基板30は、ガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示面とは反対側に配置されるため透明なものでなくてもよい。画素電極35は、Cu(銅)箔上にニッケルメッキと金メッキとをこの順番で積層したものや、Al(アルミニウム)、ITO(インジウム・スズ酸化物)などにより形成された電気泳動素子32に電圧を印加する電極である。
【0030】
一方、対向基板31の電気泳動素子32側には複数の画素電極35と対向する共通電極37が形成されており、共通電極37上に電気泳動素子32が設けられている。
対向基板31はガラスやプラスチック等からなる基板であり、画像表示側に配置されるため透明基板とされる。共通電極37は、画素電極35とともに電気泳動素子32に電圧を印加する電極であり、MgAg(マグネシウム銀)、ITO(インジウム・スズ酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)などから形成された透明電極である。
そして、電気泳動素子32と画素電極35とが、接着剤層33を介して接着されることで、素子基板30と対向基板31とが接合されている。
【0031】
なお、電気泳動素子32は、あらかじめ対向基板31側に形成され、接着剤層33までを含めた電気泳動シートとして取り扱われるのが一般的である。製造工程において、電気泳動シートは接着剤層33の表面に保護用の離型シートが貼り付けられた状態で取り扱われる。そして、別途製造された素子基板30(画素電極35や各種回路などが形成されている)に対して、離型シートを剥がした当該電気泳動シートを貼り付けることによって、表示部5を形成する。このため、接着剤層33は画素電極35側のみに存在することになる。
【0032】
図3(b)は、マイクロカプセル20の模式断面図である。マイクロカプセル20は、例えば50μm程度の粒径を有しており、内部に分散媒21と、複数の白色粒子(電気泳動粒子)27と、複数の黒色粒子(電気泳動粒子)26とを封入した球状体である。マイクロカプセル20は、図3(a)に示すように共通電極37と画素電極35とに挟持され、1つの画素40内に1つ又は複数のマイクロカプセル20が配置される。
【0033】
マイクロカプセル20の外殻部(壁膜)は、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガムなどの透光性を持つ高分子樹脂などを用いて形成される。
分散媒21は、白色粒子27と黒色粒子26とをマイクロカプセル20内に分散させる液体である。分散媒21としては、水、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、脂肪族炭化水素(ぺンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(シクロへキサン、メチルシクロへキサンなど)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類(キシレン、ヘキシルベンゼン、ヘブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼンなど))、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなど)、カルボン酸塩などを例示することができ、その他の油類であってもよい。これらの物質は単独又は混合物として用いることができ、さらに界面活性剤などを配合してもよい。
【0034】
白色粒子27は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば負に帯電されて用いられる。黒色粒子26は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子あるいはコロイド)であり、例えば正に帯電されて用いられる。
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンドなどの粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤などを添加することができる。
また、黒色粒子26及び白色粒子27に代えて、例えば赤色、緑色、青色などの顔料を用いてもよい。かかる構成によれば、表示部5に赤色、緑色、青色などを表示することができる。
なお着色した分散媒21中に単色粒子を分散させたものでも良い。
【0035】
図4は、電気泳動素子の動作説明図である。図4(a)は、画素40を白表示する場合、図4(b)は、画素40を黒表示する場合をそれぞれ示している。
図4(a)に示す白表示の場合には、共通電極37が相対的に高電位、画素電極35が相対的に低電位に保持される。これにより、負に帯電した白色粒子27が共通電極37に引き寄せられる一方、正に帯電した黒色粒子26が画素電極35に引き寄せられる。その結果、表示面側となる共通電極37側からこの画素を見ると、白色(W)が認識される。
図4(b)に示す黒表示の場合、共通電極37が相対的に低電位、画素電極35が相対的に高電位に保持される。これにより、正に帯電した黒色粒子26が共通電極37に引き寄せられる一方、負に帯電した白色粒子27が画素電極35に引き寄せられる。その結果、共通電極37側からこの画素を見ると黒色(B)が認識される。
【0036】
[駆動方法]
次に、本実施形態の電気泳動表示装置100の駆動方法について説明する。図5は電気泳動表示装置100の駆動方法のタイミングチャートである。図6及び図7は、駆動模式図である。
図5には、電気泳動表示装置100の全白表示とされた表示部5に黒表示画像を表示させる画像表示期間ST11において、1つの画素40についての共通電極37(電位Vcom)の電位を基準とした、走査線66の電圧波形G(i)、データ線68の電圧波形S(i)、昇圧制御線102の電圧波形Gn1、保持容量C1の一方の電極20aの電圧波形Vh1a、保持容量C2の一方の電極21aの電圧波形Vh2a、保持容量C2の他方の電極21bの電圧波形Vh2bが示されている。
【0037】
なお、共通電極37(電位Vcom)の電位を基準(0V)としてあるので、保持容量C2の一方の電極21a側に接続された画素電極35の電圧が電気泳動素子32に印加する電圧となる。
また、データ信号の電圧範囲は0V〜15Vであり、各トランジスタTRs,TR1,TR2,TR3のソース・ドレイン耐圧は15Vとされ、ゲートがHighのときにONするものとする。
【0038】
画像表示期間ST11では、保持容量C1に所定の電位を書き込む第1書込みステップS201と、保持容量C2に所定の電位を書き込む第2書込みステップS202とを実施する。
【0039】
画像表示期間ST11では、まず、タイミングT1において、走査線駆動回路61により各行の走査線66を順次選択する。選択された走査線66には、図5及び図6(a)に示すように、選択トランジスタTRs、第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2をオン状態とする選択電圧Ve(例えば17V)が入力される。ここで、選択された走査線66(i行の走査線66)に接続された選択トランジスタTRs、第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2はそれぞれオン状態とされるが、第3トランジスタTR3はオフ状態のままである。
【0040】
そして、タイミングT2において、データ線68に画像データ電圧V1が供給され、オン状態とされている選択トランジスタTRs及び第1トランジスタTR1を介して、第1書込電圧(第1の信号電圧)として上記画像データ電圧V1(ここでは最大15V)が保持容量C1及び保持容量C2に書き込まれる(第1書込みステップS201)。すると、保持容量C1の一方の電極20aが高電位(15V)とされ、他方の電極20bは基準電位線103により低電位(0V)とされる。また、保持容量C2の片側の電極21aが高電位(15V)とされる一方、電極21bには、i行目の走査線66が選択されたことでオン状態とされた第2トランジスタTR2を介して基準電位線103から0Vが供給され、これに保持される。このようにして保持容量C1、C2が充電される。
【0041】
その後、タイミングT3において、非選択電圧(例えば0V)を走査線66(i行目の走査線66)に印加して走査線66が非選択となると、図5及び図6(b)に示すように、選択トランジスタTRs及び第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2がオフ状態になって、保持容量C1,C2の電圧が保持される。また、画素電極35はハイインピーダンス状態となり、保持容量C1、C2に蓄えられたエネルギーにより画素電極35の電圧が保持される。
【0042】
次に、タイミングT4において、電圧制御回路51によりi行目の走査線66に対応する昇圧制御線102を選択する。選択された昇圧制御線102には、図5及び図7(a)に示すように、第3トランジスタTR3をオン状態にする選択電圧Ve(例えば17V)が入力される。選択された昇圧制御線102(i行目の昇圧制御線102)に接続された第3トランジスタTR3はオン状態とされるが、選択トランジスタTRs、第1トランジスタTR1および第2トランジスタTR2はオフ状態のままである。
【0043】
昇圧制御線102が選択されて第3トランジスタTR3がオン状態となると、第3トランジスタTR3を介して、保持容量C2に第2書込電圧(第2の信号電圧)として所定の画像データ電圧V2(ここでは最大15V)が書き込まれる(第2書込みステップS202)。本実施形態では、第1書込電圧(V1)および第2書込電圧(V2)はともに等しい電圧である。
【0044】
所定の画像データ電圧V2が印加されると、保持容量C2は一対の電極21a,21b間に15Vの電圧を保持していたため、電極21bの電位が0Vから15Vに上昇したことにより電極21aの電位も15Vから30Vへ上昇する。保持容量C2における保持電圧は変化しないため、一方の電極21bが上昇すると他方の電極21aも上昇することとなる。その結果、画素電極35に30Vの高電圧が印加される。
【0045】
ここで、保持容量C2の電極21aに高電圧が生成されるが、保持容量C1には第1書込電圧(15V)が保持されているため、第1トランジスタTR1のソース・ドレイン間の電圧は15Vとなる。よって、第1トランジスタTR1の耐圧は確保される。その他の選択トランジスタTRs、第2トランジスタTR2及び第3トランジスタTR3においても、ソース・ドレイン間には第1書込電圧(V1)あるいは第2書込電圧(V2)として15Vが印加されるのみで、それぞれの耐圧は確保されている。
このような駆動により、低電圧から画素回路において高い電圧が生成され、画素電極35を介して電気泳動素子32に高電圧が印加される。
【0046】
次に、タイミングT6において、非選択電圧(例えば0V)を昇圧制御線102(i行目の昇圧制御線102)に印加して昇圧制御線102が非選択となると、図5及び図7(b)に示すように、第3トランジスタTR3がオフ状態になって、保持容量C2の電極21a,21bの電圧は保持される。
これにより、画素電極35と共通電極37との電圧に基づいて電気泳動素子32が駆動し、所望の階調の表示を得ることができる。このように、保持容量C2の電荷を電気泳動素子32に供給することによって電気泳動素子32内の荷電粒子が移動し、表示状態の変更が行われる。
そして、次行への第1書込みステップへと移行する。
【0047】
ここで、昇圧制御線102の電圧を変化させるタイミングは、電気泳動素子32の電気光学特性にもよるが、走査線66が非選択とされた直後から適宜好適のタイミングで行えばよい。
【0048】
本実施形態によれば、選択トランジスタTRsと保持容量C2との間に、第1トランジスタTR1と保持容量C1とを備えた構成としたことから、データ線68に近い電圧緩衝用の保持容量C1に第1書込電圧(V1)を保持させることで、第2書込みステップS202において昇圧された保持容量C2の高電圧が選択トランジスタTRsに直接印加されないようになる。これにより、従来においては、選択トランジスタTRsのソース・ドレイン耐圧までの高電圧しか生成できなかったが、本実施形態では、これを越える高電圧を画素内で生成することが可能となる。よって、高電圧を必要とする表示素子の駆動が可能となる。
【0049】
また、データ信号を低電圧にしても駆動に必要な高電圧を画素内で生成できるので、データ信号の低電圧化が可能になり、これに伴う低消費電力な電気泳動表示装置100が得られる。
さらに、耐圧の低いトランジスタを用いることも可能になるので、低コストで表示装置を製作できる。
【0050】
(他の駆動方法)
次に、第1実施形態における電気泳動表示装置の他の駆動方法について述べる。
図8は、第1実施形態における電気泳動表示装置の他の駆動方法を示すタイミングチャートである。また、以下の説明において、図6及び図7を適宜参照するものとする。
【0051】
先の実施形態においては、各行の走査線66毎に第1書込みステップS201および第2書込みステップS202を連続して実施したが、ここではまず、表示部5の全ての画素40(全行の走査線66×m本に属する複数の画素)に対して順次書込みを行う第1書込みステップS201を実施した後、全ての画素40(全行の走査線66×m本に属する複数の画素)に対して順次書込みを行う第2書込みステップS202を実施する。
【0052】
なお、図8では、第1書込みステップS201において選択されたi行の走査線66のみを記載し、これに連続して選択される他の走査線66の波形については省略してある。また、第2書込みステップS202においては、i行の走査線66に対応する昇圧制御線102の波形のみを記載し、これに連続して選択される他の昇圧制御線102の波形については省略してある。
【0053】
[第1書込みステップS201]
第1書込みステップS201では、i行の走査線66に属する複数の画素40に対して画像データ電圧V1の書込みを行う。
タイミングT1において、i行の走査線66を選択し、選択トランジスタTRs及び第1トランジスタTR1をオン状態にする。
タイミングT2において、オン状態とされた選択トランジスタTRsおよび第1トランジスタTR1を介して、第1書込電圧として画像データ電圧V1(最大15V)を保持容量C1及び保持容量C2に書き込む。
タイミングT3において、i行の走査線66を非選択にするのと同時に、i+1行の走査線66を選択し、上記したタイミングT2,T3と同様の動作を実施する。
【0054】
このようにしてi+m行の走査線66まで同様の動作を実行して、表示部5における全ての走査線66(i行〜i+m行の各走査線66)に属する保持容量C1,C2に対して画像データ電圧V1を書き込む。なお、第1書込みステップS201においては昇圧制御線102が常にローレベルなので第3トランジスタTR3が常にOFFとなっている。
【0055】
[第2書込みステップS202]
次に、第2書込みステップS202では、タイミングT21のときにi行の走査線66に対応する昇圧制御線102を選択し、第3トランジスタTR3をオンにする。このとき、第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2はオフ状態のままである。第3トランジスタTR3がオン状態になると、この第3トランジスタTR3を介して保持容量C2に第2書込電圧として所定の画像データ電圧V2(最大15V)が書き込まれる。保持容量C2に画像データ電圧V2が書き込まれると、各電極21a,21bの電位が書き込まれた電圧に応じて上昇することとなり、電極21bの電位が0Vから15V、電極21aの電位が15Vから30Vへ上昇する。よって、i行の走査線66に属する各画素電極35には最大30Vの高電圧が印加される。
その後、タイミングT23において、昇圧制御線102が非選択となると、第3トランジスタTR3がオフ状態となって保持容量C2の電圧が保持される。
このようにして、i行の走査線66に属する画素40に対する画像データ電圧V2の書込み動作が終了する。i行の昇圧制御線102が非選択とされるのと同時かこれ以降に、i+1行の昇圧制御線102を選択し、タイミングT21〜T24までの動作を実行する。
【0056】
このようにしてi+m行の昇圧制御線102までタイミングT21〜T23同様の動作を実行して、表示部5における全ての昇圧制御線102(i行〜i+m行の各昇圧制御線102)に属する保持容量C2に対して画像データ電圧V2を書き込む。なお、第2書込みステップS202においては走査線66が常にローレベルなので第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2が常にOFFとなっている。
【0057】
このような駆動方法によっても先の実施形態と同様の効果が得られる。また、各ステップ毎に全行の走査線66および昇圧制御線102の各々に対して同じ電圧を印加すればよいため、制御が容易になる。
【0058】
(第2実施形態)
先に述べた第1実施形態における画素回路では、走査線66及び昇圧制御線102がともにローレベル電位の場合、保持容量C2の電極21bがフローティングとなり不安定となる。画素回路の構成によっては保持容量C2の電極21bと昇圧制御線102との間に図9(a)に示すような寄生容量Cgd(追記しました)が生じてしまう。保持容量C2の電極21bと昇圧制御線102との間に寄生容量(図9(a))が生じていると、昇圧制御線102のハイレベル電位・ローレベル電位の切り替えに伴って保持容量C2の電極21bの電位が変動し(フィードスルー)、これに同期して保持容量C2のもう一方の電極21aの電位(つまり、画素電極35への書込み電圧)も変動してしまう。
【0059】
例えば、図9(a)に示すように、第2書込みステップにおいて、昇圧制御線102が選択され保持容量C2に15Vの電圧が書き込まれると、電極21bが0Vから15Vに上昇し、電極21aが15Vから30Vに上昇して昇圧される。
その後、図9(b)に示すように昇圧制御線102が非選択とされると、保持容量C2の電極21bと昇圧制御線102との間に生じた寄生容量によって、電極21bの電位が15Vから例えば7Vに低下し、電極21aの電位が30Vから例えば22Vに低下してしまう。保持容量C2の各電極21a,21bの電位変動の大きさは寄生容量の大きさによって変化する。
このような寄生容量の対策として第2実施形態を提案する。
【0060】
以下に、本発明の電気光学装置の第2実施形態について図10を用いて説明する。図10は、第2実施形態の電気泳動表示装置における画素の回路構成図である。
以下に示す本実施形態の電気泳動表示装置の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、画素の回路構成において異なる。よって、以下の説明では、画素の回路構成について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1〜図9と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0061】
本実施形態の各画素40には、選択トランジスタTRsと、第1トランジスタTR1と、第2トランジスタTR2と、第3トランジスタTR3と、保持容量C1と、保持容量C2と、画素電極35と、電気泳動素子32と、共通電極37とが設けられている他、上記対策として、保持容量C2の電極21bと基準電位線103との間に保持容量C3が設けられている。保持容量C3の一方の電極22aは保持容量C2の電極21bに接続されているとともに第3トランジスタTR3のドレインに接続されており、他方の電極22bは基準電位線103に接続されている。
【0062】
この保持容量C3の容量は、保持容量C2の電極21bと昇圧制御線102との間に生じる寄生容量に対して十分に大きいものとする。
【0063】
本実施形態の駆動方法では、図11(a)に示すように、第2書込みステップS202によって保持容量C2の電圧を昇圧させるのと同時に、保持容量C3が充電される。つまり、昇圧制御線102が選択されて第3トランジスタTR3がオン状態とされると、保持容量C2および保持容量C3に所定の画像データ電圧V2(ここでは最大15V)が書き込まれることになる。これにより、保持容量C2の電極21bと保持容量C3の電極22aの電位が0Vから15Vへと上昇する。
【0064】
その後、図11(b)に示すように、昇圧制御線102が非選択とされて第3トランジスタTR3がオフ状態となると、保持容量C2及び保持容量C3の電圧が保持される。本実施形態では、寄生容量に近い保持容量C2の電極21bが保持容量C3の電極22aに接続されており、第2書込み動作により電極21bの電位は15Vに保持されている。このため、昇圧制御線102が非選択とされて0Vが印加されても、保持容量C2は昇圧制御線102と保持容量C2の電極21bとの間に生じた寄生容量の影響をほとんど受けず、電極21bの電位が15V程度に保持される。実際には、14.9V程度に僅かに低下するものの略変わりがない。
【0065】
このように、保持容量C2の電極21bと昇圧制御線102との間に生じる寄生容量に対して十分大きな保持容量C3を追加することによって、昇圧制御線102をローレベルとし非選択(0V)とした際にも、保持容量C2の電極21bの電位が変動しにくくなる。
したがって本実施形態によれば、昇圧制御線102の電圧変化に伴う保持容量C2の電極21bの電圧変動が抑えられ、保持容量C2の電圧低下が抑制されて高電圧に保持できる。
【0066】
なお、i行の走査線66に対応する基準電位線103として、i行の走査線66と隣り合うi+1行の走査線66を機能させてもよい。これにより、基準電位線103を配線する必要がないので製造が容易になる。
【0067】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
例えば、上記した各実施形態では電気光学装置の一実施例として電気泳動表示装置を例に挙げて述べたが、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置あるいは撮像装置において好適に応用可能である。
【0069】
(電子機器)
次に、上記実施形態の電気光学装置(電気泳動表示装置100)を、電子機器に適用した場合について説明する。
図12は、腕時計1000の正面図である。腕時計1000は、時計ケース1002と、時計ケース1002に連結された一対のバンド1003とを備えている。
時計ケース1002の正面には、上記各実施形態の電気光学装置からなる表示部1005と、秒針1021と、分針1022と、時針1023とが設けられている。時計ケース1002の側面には、操作子としての竜頭1010と操作ボタン1011とが設けられている。竜頭1010は、ケース内部に設けられる巻真(図示は省略)に連結されており、巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。表示部1005では、背景となる画像、日付や時間などの文字列、あるいは秒針、分針、時針などを表示することができる。
【0070】
図13は電子ペーパー1100の構成を示す斜視図である。電子ペーパー1100は、上記実施形態の電気光学装置を表示領域1101に備えている。電子ペーパー1100は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1102を備えて構成されている。
【0071】
図14は、電子ノート1200の構成を示す斜視図である。電子ノート1200は、上記の電子ペーパー1100が複数枚束ねられ、カバー1201に挟まれているものである。カバー1201は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力する図示は省略の表示データ入力手段を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0072】
以上の腕時計1000、電子ペーパー1100、及び電子ノート1200によれば、本発明に係る電気光学装置が採用されているので、動作信頼性に優れ、表示品質の高い表示部を備えた電子機器となる。
【0073】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気光学装置は好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0074】
100 電気泳動表示装置、TRs 選択トランジスタ、TR1 第1トランジスタ、TR2 第2トランジスタ、TR3 第3トランジスタ、5 表示部、20a 電極、20b 電極、21a 電極、21b 電極、22a 電極、22b 電極、30 素子基板、31 対向基板、32 電気泳動素子(電気光学層)、35 画素電極、40 画素、66 走査線、68 データ線、C1 保持容量、C2 保持容量、C3 保持容量、V1 画像データ電圧(第1の信号電圧)、V2 画像データ電圧(第2の信号電圧)、102 昇圧制御線、103 基準電位線、1000 腕時計、1100 電子ペーパー、1200 電子ノート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、互いに交差する方向に延びる複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差部に対応して形成された画素とを備えた電気光学装置であって、
前記画素毎に、画素電極と、選択トランジスタと、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第3トランジスタと、第1の保持容量と、第2の保持容量と、昇圧制御線と、基準電位線と、が設けられ、
前記走査線に、前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの各々のゲートが接続され、前記データ線に前記第3トランジスタのソースが接続されており、
前記選択トランジスタのソースが前記データ線に接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、
前記第1トランジスタのドレインが前記画素電極に接続され、
前記第2トランジスタのソースが前記第3トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記基準電位線に接続され、
前記第3トランジスタのゲートが前記昇圧制御線に接続され、
前記第1の保持容量の一方の電極が前記選択トランジスタの前記ドレインに接続され、他方の電極が前記基準電位線に接続され、
前記第2の保持容量の一方の電極が前記第1トランジスタのドレインに接続され、他方の電極が前記第2トランジスタのソースに接続されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記画素毎に、前記第2トランジスタのソースに一方の電極が接続された第3の保持容量をさらに有することを特徴とする請求項1記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第3の保持容量が前記昇圧制御線と前記第2の保持容量の前記他の電極との間の寄生容量よりも大きいことを特徴とする請求項2記載の電気光学装置。
【請求項4】
第1の前記走査線に対応する前記基準電位線が、前記第1の走査線と隣り合う第2の前記走査線であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
一対の基板間に電気光学層を挟持してなり、互いに交差する方向に延びる複数の走査線及び複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差部に対応して形成された画素とを備え、前記画素毎に、画素電極と、選択トランジスタと、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第3トランジスタと、第1の保持容量と、第2の保持容量と、昇圧制御線と、基準電位線と、が設けられ、前記走査線に、前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタの各々のゲートが接続され、前記データ線に前記第3トランジスタのソースが接続されており、前記選択トランジスタのソースが前記データ線に接続され、ドレインが前記第1トランジスタのソースに接続され、
前記第1トランジスタのドレインが前記画素電極に接続され、前記第2トランジスタのソースが前記第3トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記基準電位線に接続され、前記第3トランジスタのゲートが前記昇圧制御線に接続され、前記第1の保持容量の一方の電極が前記選択トランジスタの前記ドレインに接続され、他方の電極が前記基準電位線に接続され、前記第2の保持容量の一方の電極が前記第1トランジスタのドレインに接続され、他方の電極が前記第2トランジスタのソースに接続されている電気光学装置の駆動方法であって、
複数の前記画素が配列された表示部に画像を表示させる画像表示期間において、
前記走査線を選択し、前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオン状態とされ、前記第3トランジスタがオフ状態とされた際に、前記基準電位線がローレベルとされ、前記第1の保持容量および第2の保持容量に前記データ線を介して第1の信号電圧が書き込まれる第1書込みステップと、
前記選択トランジスタ、前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタがオフ状態とされ、前記第3トランジスタがオン状態とされた際に、前記データ線を介して前記第2の保持容量に第2の信号電圧が書き込まれる第2書込みステップ、とを有することを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項6】
一本の前記走査線に属する複数の前記画素に対して、前記第1書込みステップ及び前記第2書込みステップを連続して行うことを特徴とする請求項5記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項7】
前記表示部の全ての前記画素に対して前記第1書込みステップを実施した後、全ての前記画素に対して前記第2書込みステップを実施することを特徴とする請求項5または6に記載の電気光学装置の駆動方法。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−150009(P2011−150009A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9212(P2010−9212)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】