説明

電気光学装置および電子機器

【課題】電気光学物質層を駆動した際に出射される光を受光素子で検出する場合でも、受光素子が変調光の出射の妨げになることのない電気光学装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】電気光学装置100および投射型表示装置において、液晶層50(電気光学物質層)から反射性の画素電極9a(反射層)に向かった光は画素電極9aで反射して出射される。その際、反射性の画素電極9aといっても、一部の光は透過するので、画素電極9aに対して基板本体10w側に受光素子600を設けた場合でも、液晶層50から画素電極9aに向かった光の一部は受光素子600で検出される。このため、受光素子600での受光結果に基づいて液晶層50の性能や劣化度合いを監視することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性基板の一方面側に電気光学物質層および反射層が設けられた電気光学装置、および当該電気光学装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶装置や有機エレクトロルミネッセンス装置等の電気光学装置では基板の一方面側に液晶層や発光層等の電気光学物質層が設けられている。また、反射型の液晶装置やトップエミッションタイプの有機エレクトロルミネッセンス装置等の反射型の電気光学装置では基板と電気光学物質層との間に反射層が設けられており、液晶層を透過してきた光や発光層から出射された光を反射層で反射して出射する。
【0003】
かかる電気光学装置において、電気光学物質層や画素トランジスター等が劣化すると、表示特性が低下する。そこで、液晶装置において、反射層で反射して出射してきた光を受光素子で受光し、その受光強度に基づいて液晶層や画素トランジスター等の性能を監視する技術が提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−331155号公報
【特許文献2】特開2009−193044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
反射層で反射してきた光を受光素子で受光することにより、液晶層等の性能を監視するにあたっては、電気光学装置と重なる位置に受光素子を設けることが好ましいが、受光素子を電気光学装置と重なる位置に設けると、画像表示の妨げになってしまう。このため、特許文献1、2では、電気光学装置からの変調光の出射光路から外れた位置に受光素子を配置する等の工夫が行われているが、光学系のレイアウト等によっては、受光素子を配置するスペースを確保できないこともある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、電気光学物質層を駆動した際に出射される光を受光素子で検出する場合でも、受光素子が変調光の出射の妨げになることのない電気光学装置および該電気光学装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電気光学装置は、基板と、該基板の第1面および第2面のうち、前記第1面側に設けられた電気光学物質層と、前記電気光学物質層と前記基板との間に設けられた反射層と、前記反射層より前記基板側で該基板に対する法線方向からみて前記反射層と重なるように設けられ、当該反射層を透過してきた光を受光する受光素子と、を有することを特徴とする。本発明における「電気光学装置」とは、電気信号によって光の透過状態や発光状態を切り替えることによって表示等を行う装置であって、液晶装置、有機エレクトロルミネッセンス装置等を例示することができる。また、電気光学物質層とは、液晶層や発光層等、電気信号によって光の透過性や発光特性等が切り換えられる物質の層を意味する。
【0008】
本発明に係る電気光学装置は反射型の電気光学装置であり、電気光学物質層から反射層に向かった光は反射層で反射して出射される。その際、反射層といっても、一部の光は透過するので、反射層に対して基板側に受光素子を設けた場合でも、電気光学物質層から反射層に向かった光の一部は受光素子で検出される。このため、受光素子での受光結果に基づいて電気光学物質層の性能や劣化度合いを監視することができる。また、受光素子は、変調光が出射される側とは反対側に設けられているので、変調光の出射を妨げることがない。
【0009】
本発明において、前記反射層は、反射性の画素電極である構成を採用することができる。かかる構成によれば、画素電極とは別に反射層を設ける必要がないという利点がある。
【0010】
本発明において、前記基板は透光性基板であり、前記受光素子は、前記透光性基板の前記第2面側に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、受光素子を透光性基板に後付けすることができるので、受光素子を容易に設けることができる。
【0011】
本発明において、電気光学装置を液晶装置として構成した場合、液晶装置は、前記基板の前記第1面側に対向配置された対向基板と、当該対向基板と前記基板との間に前記電気光学物質層として保持された液晶層と、を有している。
【0012】
本発明に係る電気光学装置は各種電子機器に用いることができる。この場合、電子機器は、前記電気光学物質層に電圧を印加した際の前記受光素子での検出結果に基づいて前記電気光学物質層に対する駆動条件を調整する駆動条件調整部を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、駆動条件調整部は、電気光学物質層等の劣化度合いに応じた状態に駆動条件を調整するので、電気光学物質層等が劣化した場合でも、品位の高い画像を表示することができる。
【0013】
また、電気機器を投射型表示装置として構成した場合、投射型表示装置は、前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、前記液晶層に電圧を印加するとともに前記光源部から出射された前記光を前記電気光学装置に前記対向基板側から入射させた際の前記受光素子での検出結果に基づいて前記液晶層に対する駆動条件を調整する駆動条件調整部を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、駆動条件調整部は、電気光学物質層等の劣化度合いに応じた状態に駆動条件を調整するので、電気光学物質層等が劣化した場合でも、品位の高い画像を表示することができる。
【0014】
本発明において、前記駆動条件調整部は、前記電気光学物質層に印加する電圧と前記受光素子での受光量との関係に基づいて前記電気光学物質層に対する駆動条件を調整する構成を採用することができる。かかる構成によれば、駆動条件調整部は、電気光学物質層等の劣化度合いを確実に監視することができるので、電気光学物質層等が劣化した場合でも、駆動条件を適正に調整することができ、品位の高い画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した投射型表示装置(電子機器)の概略構成図である。
【図2】図1に示す投射型表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用した電気光学装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用した電気光学装置の液晶パネルの説明図である。
【図5】本発明を適用した電気光学装置の素子基板において隣り合う複数の画素の平面図である。
【図6】本発明を適用した電気光学装置の断面図である。
【図7】本発明を適用した電気光学装置において液晶層に印加した電圧と変調光の強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態として、各種の電気光学装置のうち、アクティブマトリクス型の液晶装置に本発明を適用した例を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、電界効果型トランジスターを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。また、素子基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは素子基板の基板本体が位置する側とは反対側(対向基板が位置する側)を意味し、下層側とは素子基板の基板本体が位置する側を意味する。また、対向基板に形成される層を説明する際、上層側あるいは表面側とは対向基板の基板本体が位置する側とは反対側(素子基板が位置する側)を意味し、下層側とは対向基板の基板本体が位置する側を意味する。
【0017】
[電気機器の構成例]
(投射型表示装置の概略構成)
図1は、本発明を適用した投射型表示装置(電子機器)の概略構成図である。図1において、投射型表示装置1000は、光源光を発生する光源部1021と、光源部1021から出射された光源光を赤色光R、緑色光G、および青色光Bの3色の色光に分離する色分離導光光学系1023と、色分離導光光学系1023から出射された各色の光源光によって照明される光変調部1025とを有している。また、投射型表示装置1000は、光変調部1025から出射された各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム1027(合成光学系)と、クロスダイクロイックプリズム1027を経た像光をスクリーン(不図示)に投射する投射光学系1029とを備えている。
【0018】
かかる投射型表示装置1000において、まず、光源部1021は、光源1021aと、一対のフライアイ光学系1021d、1021eと、偏光変換部材1021gと、重畳レンズ1021iとを備えている。本形態においては、光源部1021は、放物面からなるリフレクタ1021fを備えており、平行光を出射する。フライアイ光学系1021d、1021eは、システム光軸と直交する面内にマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材1021gは、フライアイ光学系1021eから出射した光源光を、例えば図面に平行なp偏光成分のみに変換して光路下流側光学系に供給する。重畳レンズ1021iは、偏光変換部材1021gを経た光源光を全体として適宜収束させることにより、光変調部1025に設けた複数の電気光学装置100を各々均一に重畳照明可能とする。
【0019】
色分離導光光学系1023は、クロスダイクロイックミラー1023aと、ダイクロイックミラー1023bと、反射ミラー1023j、1023kとを備える。色分離導光光学系1023において、光源部1021からの略白色の光源光は、クロスダイクロイックミラー1023aに入射する。クロスダイクロイックミラー1023aを構成する一方の第1ダイクロイックミラー1031aで反射された赤色光Rは、反射ミラー1023jで反射されダイクロイックミラー1023bを透過して、入射側偏光板1037r、p偏光を透過させる一方、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032r、および光学補償板1039rを介して、p偏光のまま、電気光学装置100(赤色用液晶パネル100R)に入射する。
【0020】
また、第1ダイクロイックミラー1031aで反射された緑色光Gは、反射ミラー1023jで反射され、その後、ダイクロイックミラー1023bでも反射されて、入射側偏光板1037g、p偏光を透過させる一方、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032g、および光学補償板1039gを介して、p偏光のまま、電気光学装置100(緑色用液晶パネル100G)に入射する。
【0021】
これに対して、クロスダイクロイックミラー1023aを構成する他方の第2ダイクロイックミラー1031bで反射された青色光Bは、反射ミラー1023kで反射されて、入射側偏光板1037b、p偏光を透過する一方、s偏光を反射するワイヤーグリッド偏光板1032b、および光学補償板1039bを介して、p偏光のまま、電気光学装置100(青色用液晶パネル100B)に入射する。なお、光学補償板1039r、1039g、1039bは、電気光学装置100への入射光および出射光の偏光状態を調整することで、液晶層の特性を光学的に補償している。
【0022】
このように構成した投射型表示装置1000では、光学補償板1039r、1039g、1039bを経て入射した3色の光は各々、各電気光学装置100において変調される。その際、電気光学装置100から出射された変調光のうち、s偏光の成分光は、ワイヤーグリッド偏光板1032r、1032g、1032bで反射し、出射側偏光板1038r、1038g、1038bを介してクロスダイクロイックプリズム1027に入射する。クロスダイクロイックプリズム1027には、X字状に交差する第1誘電体多層膜1027aおよび第2誘電体多層膜1027bが形成されており、一方の第1誘電体多層膜1027aは赤色光Rを反射し、他方の第2誘電体多層膜1027bは青色光Bを反射する。従って、3色の光は、クロスダイクロイックプリズム1027において合成され、投射光学系1029に出射される。そして、投射光学系1029は、クロスダイクロイックプリズム1027で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(図示せず。)に投射する。かかる投射型表示装置1000においては、電気光学装置100およびクロスダイクロイックプリズム1027(光合成光学系)等によって光学ユニット200が構成されている。
【0023】
(投射型表示装置1000の電気的構成)
図2は、図1に示す投射型表示装置1000の電気的構成を示すブロック図である。図2に示すように、投射型表示装置1000は、各色に対応する3つの電気光学装置100に加えて、3つの電気光学装置100の各々に対応して、タイミング制御回路900、画像信号供給回路300、および電源回路400を備えている。また、投射型表示装置1000は、光源部1021を駆動する光源駆動回路700を有している。
【0024】
ここで、タイミング制御回路900は、各部で使用される各種タイミング信号を出力するように構成されている。タイミング制御回路900の一部であるタイミング信号出力手段により、最小単位のクロックであり各画素を走査するためのドットクロックが生成され、かかるドットクロックに基づいて、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv、YスタートパルスDY及びXスタートパルスDXが生成される。画像信号供給回路300は、外部から入力される1系統の入力画像データDATAを変換して、各画素の階調を規定する画像信号VIDを生成する。なお、画像信号供給回路300は、1系統の入力画像データをシリアル−パラレル変換して、例えば6相、9相、12相、24相、48相、96相、・・・等n相の画像信号VID1〜VIDnを生成するようにしてもよい。電源回路400は、各部で使用される各種の電源電位を生成して出力する電源回路であり、コモン電位Vcom等を液晶パネル100pに供給する。
【0025】
このように構成した投射型表示装置1000においては、詳しくは後述するように、3つの電気光学装置100は各々、各色に対応する液晶パネル100R、100G、100B(液晶パネル100p)に加えて、受光素子600を備えており、かかる受光素子600は、各液晶パネル100pの変調特性を検出するための光センサ(光検出器)である。また、投射型表示装置1000には、変調特性検出部500が設けられているとともに、画像信号供給回路300にはルックアップテーブル310が設けられており、かかる画像信号供給回路300と変調特性検出部500とによって、駆動条件調整部800が構成されている。
【0026】
(電気光学装置100の電気的構成)
図3は、本発明を適用した電気光学装置100の電気的な構成を示すブロック図である。図3に示すように、電気光学装置100は、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Alignment)モードの液晶パネル100pを有しており、かかる液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画像表示領域10a(画素配列領域/有効画素領域)を備えている。画像表示領域10aでは、複数本のデータ線6aおよび複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交差部分に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、電界効果型トランジスター(スイッチング素子)からなる画素トランジスター30、および後述する画素電極9aが形成されている。画素トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、画素トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、画素トランジスター30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。このようにして、電気光学装置100では、複数の画素100aの各々に対応して複数の画素電極9aおよび複数の画素トランジスター30が形成されている。
【0027】
素子基板10において、画像表示領域10aより外周側には走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、およびサンプリング回路103が設けられている。データ線駆動回路101は、サンプリング回路103を介して各データ線6aに電気的に接続している。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続している。
【0028】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板(図2等を参照)に形成された共通電極と液晶層を介して対向し、液晶容量を構成している。また、各画素100aには、液晶容量で保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量と並列に蓄積容量55が付加されている。本形態では、蓄積容量55を構成するために、素子基板10には、複数の画素100aに跨って延在する容量線5bが形成されており、容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。
【0029】
走査線駆動回路104には、Yクロック信号CLY、反転Yクロック信号CLYinv及びYスタートパルスDYが供給される。走査線駆動回路104は、YスタートパルスDYが入力されると、Yクロック信号CLY及び反転Yクロック信号CLYinvに基づくタイミングで、走査信号を順次生成して走査線3aに出力する。
【0030】
データ線駆動回路101には、Xクロック信号CLX、反転Xクロック信号CLXinv、及びXスタートパルスDXが供給される。データ線駆動回路101は、XスタートパルスDXが入力されると、Xクロック信号CLX及び反転Xクロック信号CLXinvに基づくタイミングで、サンプリング信号を順次生成してサンプリング回路103に出力する。
【0031】
サンプリング回路103は、データ線6a毎に設けられた複数のサンプリングスイッチ103aを備えている。各サンプリングスイッチ103aには、画像信号線103bを介して画像信号VIDが供給され、データ線駆動回路101から出力されるサンプリング信号により各サンプリングスイッチ103aは順次閉じられる。その結果、画像信号VIDは、データ線6a毎にサンプリング信号に応じてサンプリングされ、複数のデータ線6aにデータ信号として供給される。
【0032】
(電気光学装置100の構成)
図4は、本発明を適用した電気光学装置100の液晶パネル100pの説明図であり、図4(a)、(b)は各々、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0033】
図4に示すように、液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の外縁に沿うように枠状に設けられている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバーあるいはガラスビーズ等のギャップ材107aが配合されている。液晶パネル100pにおいて、素子基板10と対向基板20との間のうち、シール材107によって囲まれた領域内には、各種液晶材料(電気光学物質)からなる液晶層50(電気光学物質層)が設けられている。本形態において、シール材107には、液晶注入口107cとして利用される途切れ部分が形成されており、かかる液晶注入口107cは、液晶材料の注入後、封止材108によって封止されている。
【0034】
かかる構成の液晶パネル100pにおいて、素子基板10および対向基板20はいずれも四角形であり、液晶パネル100pの略中央には、図3を参照して説明した画像表示領域10aが四角形の領域として設けられている。かかる形状に対応して、シール材107も略四角形に設けられ、画像表示領域10aの外側は、四角枠状の外周領域10cになっている。
【0035】
素子基板10において、外周領域10cでは、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101、サンプリング回路103および複数の端子電極102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。なお、端子電極102には、フレキシブル配線基板(図示せず)が接続されており、素子基板10には、フレキシブル配線基板を介して各種電位や各種信号が入力される。
【0036】
図5等を参照して詳しくは後述するが、素子基板10の第1面10sおよび第2面10tのうち、対向基板20と対向する第1面10sの側において、画像表示領域10aには、図3を参照して説明した画素トランジスター30、および画素トランジスター30に電気的に接続する画素電極9aがマトリクス状に形成されており、かかる画素電極9aの上層側には配向膜16が形成されている。
【0037】
また、素子基板10の第1面10sの側において、画像表示領域10aより外側の外周領域10cのうち、画像表示領域10aとシール材107とに挟まれた四角枠状の周辺領域10bには、画素電極9aと同時形成されたダミー画素電極9bが形成されている。ダミー画素電極9bは、隣り合うダミー画素電極9b同士が細幅の連結部(図示せず)で繋がっている。また、ダミー画素電極9bは、共通電位Vcomが印加されており、画像表示領域10aの外周側端部での液晶分子の配向の乱れを防止する。また、ダミー画素電極9bは、素子基板10において配向膜16が形成される面を研磨により平坦化する際、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。なお、ダミー画素電極9bに電位を印加せず、ダミー画素電極9bを電位的にフロート状態とする場合もあり、この場合でも、ダミー画素電極9bは、画像表示領域10aと周辺領域10bとの高さ位置の差を圧縮し、配向膜16が形成される面を平坦面にするのに寄与する。
【0038】
対向基板20の一方面20sおよび他方面20tのうち、素子基板10と対向する一方面20sの側には共通電極21が形成されている。共通電極21は、対向基板20の略全面あるいは複数の帯状電極として複数の画素100aに跨って形成されている。本形態において、共通電極21は、対向基板20の略全面に形成されている。
【0039】
また、対向基板20の一方面20sの側には、共通電極21の下層側に遮光層29が形成され、共通電極21の表面には配向膜26が積層されている。本形態において、遮光層29は、画像表示領域10aの外周縁に沿って延在する額縁部分29aとして形成されており、遮光層29の内周縁によって画像表示領域10aが規定されている。また、本形態において、遮光層29は、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに重なるブラックマトリクス部29bとしても形成されている。ここで、額縁部分29aはダミー画素電極9bと重なる位置に形成されており、額縁部分29aの外周縁は、シール材107の内周縁との間に隙間を隔てた位置にある。従って、額縁部分29aとシール材107とは重なっていない。
【0040】
液晶パネル100pにおいて、シール材107より外側には、対向基板20の一方面20sの側の4つの角部分に基板間導通用電極25が形成されており、素子基板10の第1面10sの側には、対向基板20の4つの角部分(基板間導通用電極25)と対向する位置に基板間導通用電極19が形成されている。本形態において、基板間導通用電極25は、共通電極21の一部からなる。基板間導通用電極19は、共通電位Vcomが印加された定電位配線7rに導通しており、定電位配線7rは、端子電極102のうち、共通電位印加用の端子電極102aに導通している。基板間導通用電極19と基板間導通用電極25との間には、導電粒子を含んだ基板間導通材109が配置されており、対向基板20の共通電極21は、基板間導通用電極19、基板間導通材109および基板間導通用電極25を介して、素子基板10側に電気的に接続されている。このため、共通電極21は、素子基板10の側から共通電位Vcomが印加されている。シール材107は、略同一の幅寸法をもって対向基板20の外周縁に沿って設けられている。このため、シール材107は、略四角形である。但し、シール材107は、対向基板20の角部分と重なる領域では基板間導通用電極19、25を避けて内側を通るように設けられており、シール材107の角部分は略円弧状である。
【0041】
本形態において、電気光学装置100は反射型の液晶装置であり、共通電極21は、ITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成され、画素電極9aは、アルミニウム膜等の反射性導電膜により形成されている。かかる反射型の液晶装置(電気光学装置100)では、矢印Lで示すように、素子基板10および対向基板20のうち、対向基板20の側から入射した光が、矢印L1で示すように、素子基板10の画素電極9aで反射して出射される間に変調されて画像を表示する。
【0042】
ここで、電気光学装置100では、素子基板10の第2面10tの側には放熱シート106が貼付されている。また、放熱シート106において、画像表示領域10aの略中央部分と重なる領域には開口部が形成されており、かかる開口部には、図1に示す受光素子600が配置されている。かかる受光素子600の目的等については後述する。
【0043】
電気光学装置100は、モバイルコンピューター、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20あるいは素子基板10には、カラーフィルター(図示せず)が形成される。また、電気光学装置100は、電子ペーパーとして用いることできる。また、電気光学装置100では、使用する液晶層50の種類や、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が液晶パネル100pに対して所定の向きに配置される。本形態において、電気光学装置100は、図1を参照して説明した投射型表示装置において、RGB用のライトバルブとして用いられている。このため、RGB用の各電気光学装置100の各々には、各色の光が各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されていない。
【0044】
以下、電気光学装置100が、誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を液晶層50として用いたVAモードの液晶パネル100pを備えている場合を中心に説明する。
【0045】
(画素100pの具体的構成)
図5は、本発明を適用した電気光学装置100の素子基板10において隣り合う複数の画素100aの平面図である。図6は、本発明を適用した電気光学装置100の断面図であり、図5のF−F′線に沿って電気光学装置100を切断した図である。なお、図5では、各層を以下の線
下層側の遮光層8a=細くて長い破線
半導体層1a=細くて短い点線
走査線3a=太い実線
ドレイン電極4a=細い実線
データ線6aおよび中継電極6b=細い一点鎖線
容量線5b=太い一点鎖線
上層側の遮光層7aおよび中継電極7b=細い二点鎖線
画素電極9a=太い破線
で示してある。また、図5では、互いの端部が重なり合う層については、層の形状等が分かりやすいように、端部の位置をずらしてある。
【0046】
図5および図6に示すように、素子基板10において対向基板20と対向する第1面10sには、複数の画素100aの各々に画素電極9aが形成されており、隣り合う画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fに沿ってデータ線6aおよび走査線3aが形成されている。本形態において、画素間領域10fは縦横に延在しており、走査線3aは画素間領域10fのうち、X方向(第1方向)に延在する第1画素間領域10gに沿って直線的に延在し、データ線6aは、Y方向(第2方向)に延在する第2画素間領域10hに沿って直線的に延在している。また、データ線6aと走査線3aとの交差に対応して画素トランジスター30が形成されており、本形態において、画素トランジスター30は、データ線6aと走査線3aとの交差領域およびその付近を利用して形成されている。素子基板10には容量線5bが形成されており、かかる容量線5bには共通電位Vcomが印加されている。本形態において、容量線5bは、走査線3aおよびデータ線6aに重なるように延在して格子状に形成されている。画素トランジスター30の上層側には遮光層7aが形成されており、かかる遮光層7aは、データ線6aに重なるように延在している。画素トランジスター30の下層側には遮光層8aが形成されており、かかる遮光層8aは、走査線3aと重なるように直線的に延びた主線部分と、データ線6aと走査線3aとの交差部分でデータ線6aに重なるように延びた副線部分とを備えている。
【0047】
図6に示すように、素子基板10は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体10wの液晶層50側の基板面(対向基板20と対向する第1面10s側)に形成された画素電極9a、画素スイッチング用の画素トランジスター30、および配向膜16を主体として構成されている。対向基板20は、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w、その液晶層50側の表面(素子基板10と対向する一方面20s)に形成された遮光層29、共通電極21、および配向膜26を主体として構成されている。
【0048】
素子基板10において、基板本体10wの第1面10s側には、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる下層側の遮光層8aが形成されている。本形態において、遮光層8aは、タングステンシリサイド(WSi)等の遮光膜からなり、電気光学装置100を透過した後の光が他の部材で反射した際、かかる反射光が半導体層1aに入射して画素トランジスター30で光電流に起因する誤動作が発生することを防止する。なお、遮光層8aを走査線として構成する場合もあり、この場合、後述するゲート電極3cと遮光層8aを導通させた構成とする。
【0049】
基板本体10wの第1面10s側において、遮光層8aの上層側には、透光性の絶縁膜12が形成されており、かかる絶縁膜12の表面側に、半導体層1aを備えた画素トランジスター30が形成されている。本形態において、絶縁膜12は、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG (ボロンリンシリケートガラス)等のシリコン酸化膜(シリケートガラスも含む。)や、シリコン窒化膜からなる。かかる絶縁膜12は、シランガス(SiH4)、2塩化シラン(SiCl22)、TEOS(テトラエトキシシラン/テトラ・エチル・オルソ・シリケート/Si(OC254)、TEB(テトラ・エチル・ボートレート)、TMOP(テトラ・メチル・オキシ・フォスレート)等を用いた常圧CVD法、減圧CVD法、あるいはプラズマCVD法等により形成される。
【0050】
画素トランジスター30は、データ線6aの延在方向に長辺方向を向けた半導体層1aと、半導体層1aの長さ方向と直交する方向に延在して半導体層1aの長さ方向の中央部分に重なるゲート電極3cとを備えており、本形態において、ゲート電極3cは走査線3aの一部からなる。画素トランジスター30は、半導体層1aとゲート電極3cとの間に透光性のゲート絶縁層2を有している。半導体層1aは、ゲート電極3cに対してゲート絶縁層2を介して対向するチャネル領域1gを備えているとともに、チャネル領域1gの両側にソース領域1bおよびドレイン領域1cを備えている。本形態において、画素トランジスター30は、LDD構造を有している。従って、ソース領域1bおよびドレイン領域1cは各々、チャネル領域1gの両側に低濃度領域を備え、低濃度領域に対してチャネル領域1gとは反対側で隣接する領域に高濃度領域を備えている。
【0051】
半導体層1aは、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)等によって構成されている。ゲート絶縁層2は、半導体層1aを熱酸化したシリコン酸化膜からなる第1ゲート絶縁層2aと、温度が700〜900℃の高温条件での減圧CVD法により形成されたシリコン酸化膜からなる第2ゲート絶縁層2bとの2層構造からなる。ゲート電極3cおよび走査線3aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ゲート電極3cは、導電性のポリシリコン膜とタングステンシリサイド膜との2層構造を有している。
【0052】
ゲート電極3cの上層側には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜41が形成され、層間絶縁膜41の上層には、ドレイン電極4aが形成されている。本形態において、層間絶縁膜41は、シリコン酸化膜からなる。ドレイン電極4aは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、ドレイン電極4aはチタン窒化膜からなる。ドレイン電極4aは、半導体層1aのドレイン領域1c(画素電極側ソースドレイン領域)と一部が重なるように形成されており、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール41aを介してドレイン領域1cに導通している。
【0053】
ドレイン電極4aの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性のエッチングストッパー層49、および透光性の誘電体層40が形成されており、かかる誘電体層40の上層側には容量線5bが形成されている。誘電体層40としては、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜等のシリコン化合物を用いることができる他、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜、ニオブ酸化膜、ハフニウム酸化膜、ランタン酸化膜、ジルコニウム酸化膜等の高誘電率の誘電体層を用いることができる。容量線5bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、容量線5bは、チタン窒化膜、アルミニウム膜、およびチタン窒化膜との3層構造を有している。ここで、容量線5bは、誘電体層40を介してドレイン電極4aと重なっており、蓄積容量55を構成している。
【0054】
容量線5bの上層側には層間絶縁膜42が形成されており、かかる層間絶縁膜42の上層側には、データ線6aと中継電極6bとが同一の導電膜により形成されている。層間絶縁膜42はシリコン酸化膜からなる。データ線6aと中継電極6bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、データ線6aおよび中継電極6bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。データ線6aは、層間絶縁膜42、エッチングストッパー層49、層間絶縁膜41およびゲート絶縁層2を貫通するコンタクトホール42aを介してソース領域1b(データ線側ソースドレイン領域)に導通している。中継電極6bは、層間絶縁膜42およびエッチングストッパー層49を貫通するコンタクトホール42bを介してドレイン電極4aに導通している。
【0055】
データ線6aおよび中継電極6bの上層側にはシリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜44が形成されており、かかる層間絶縁膜44の上層側には、遮光層7aおよび中継電極7bが同一の導電膜によって形成されている。層間絶縁膜44は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなり、その表面は平坦化されている。遮光層7aおよび中継電極7bは、導電性のポリシリコン膜、金属シリサイド膜、金属膜あるいは金属化合物膜等の導電膜からなる。本形態において、遮光層7aおよび中継電極7bは、アルミニウム合金膜や、チタン窒化膜とアルミニウム膜との2層乃至4層の積層膜からなる。中継電極7bは、層間絶縁膜44を貫通するコンタクトホール44aを介して中継電極6bに導通している。遮光層7aは、データ線6aと重なるように延在しており、遮光層として機能している。なお、遮光層7aを容量線5bと導通させて、シールド層として利用してもよい。
【0056】
遮光層7aおよび中継電極7bの上層側には、シリコン酸化膜等からなる透光性の層間絶縁膜45が形成されており、かかる層間絶縁膜45の上層側には、アルミニウム膜やアルミニウム合金膜等の反射性金属膜を備えた画素電極9a(反射層)が形成されている。本形態において、画素電極9aは、下層側のチタン窒化膜と、上層側のアルミニウム膜との2層構造になっており、その厚さは、例えば50nm〜200nmである。
【0057】
層間絶縁膜45には、層間絶縁膜45を貫通して中継電極7bまで到達したコンタクトホール45aが形成されており、画素電極9aは、コンタクトホール45aを介して中継電極7bに電気的に接続している。その結果、画素電極9aは、中継電極7b、中継電極6bおよびドレイン電極4aを介してドレイン領域1cに電気的に接続している。層間絶縁膜45は、例えば、テトラエトキシシランと酸素ガスとを用いたプラズマCVD法や、シランガスと亜酸化窒素ガスとを用いたプラズマCVD法等により形成したシリコン酸化膜からなる。また、層間絶縁膜45は、NSG(ノンシリケートガラス)からなる下層側の第1絶縁膜と、BSG(ボロンシリケートガラス)からなる上層側の第2絶縁膜との構造を有している場合がある。いずれの場合も、層間絶縁膜45の表面は平坦化されている。
【0058】
画素電極9aの表面側にはポリイミドや無機配向膜からなる配向膜16が形成されている。本形態において、配向膜16は、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜/無機配向膜)からなる。
【0059】
(対向基板20の構成)
対向基板20では、石英基板やガラス基板等の透光性の基板本体20w(透光性基板)の液晶層50側の表面(素子基板10に対向する一方面20s)には、遮光層29、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜28、およびITO膜等の透光性導電膜からなる共通電極21が形成されており、かかる共通電極21を覆うように、ポリイミドや無機配向膜からなる配向膜26が形成されている。本形態において、共通電極21はITO膜からなる。本形態において、配向膜26は、配向膜16と同様、SiOX(x<2)、SiO2、TiO2、MgO、Al23、In23、Sb23、Ta25等の斜方蒸着膜(傾斜垂直配向膜/無機配向膜)である。
【0060】
かかる配向膜16、26は、液晶層50に用いた誘電異方性が負のネマチック液晶化合物を傾斜垂直配向させ、液晶パネル100pは、ノーマリブラックのVAモードとして動作する。本形態では、配向膜16、26として、各種無機配向膜のうち、シリコン酸化膜(SiOX)の斜方蒸着膜が用いられている。
【0061】
(受光素子600の構成)
図4および図5に示すように、本形態の電気光学装置100において、画素電極9a(反射層)より基板本体10wの側には、基板本体10wに対する法線方向からみて画素電極9aと重なる位置に受光素子600が設けられている。本形態において、基板本体10wは透光性基板であり、受光素子600は、基板本体10wの第2面10t側に後付けされている。受光素子600は、基板本体10wの側に受光面を向けたフォトダイオードやフォトトランジスター等からなる。かかる受光素子600は、画素電極9a一つ分1の面積より大きいため、受光素子600は、複数の画素電極9aに重なるように配置されている。このため、受光素子600は、画素電極9aにより挟まれた画素間領域10hにも重なっている。
【0062】
また、本形態の電気光学装置100では、図2を参照して説明したように、3つの電気光学装置100の各々に対して、受光素子600が設けられているとともに、受光素子600での受光結果に基づいて、液晶パネル100pの性能や劣化を検出する変調特性検出部500が設けられている。また、画像信号供給回路300には、階調補正データが記憶されたルックアップテーブル310が設けられており、画像信号供給回路300は、各画素100a毎の階調を規定する画像信号VIDを生成する際、変調特性検出部500での検出結果に基づいて、画像信号VIDを補正する。このため、本形態では、ルックアップテーブル310を備えた画像信号供給回路300と、変調特性検出部500とによって、駆動条件調整部800が構成されている。
【0063】
そこで、本形態では、以下に説明するように、図1に示す光源部1021から出射された光を電気光学装置100に対向基板20側から入射させた際の受光素子600での検出結果に基づいて液晶層50に対する駆動条件を調整する。
【0064】
(駆動条件の調整動作)
図7は、本発明を適用した電気光学装置100において液晶層50に印加した電圧と変調光の強度との関係を示すグラフであり、図7(a)、(b)は、画素電極9aで反射して対向基板20の側から出射される反射光の強度を示すグラフ、および画素電極9aを透過して受光素子600で検出される透過光の強度を示すグラフである。なお、図7(a)、(b)に示すグラフでは、縦軸(光強度)のスケールは相違しており、図7(a)に示す縦軸(光強度)のスケールは、図7(b)に示す縦軸(光強度)のスケールより大である。
【0065】
本形態の電気光学装置100においては、図4(b)および図6に矢印Lで示すように、対向基板20の側から一定強度の照明光(図1に示す光源部1021から出射された光)を入射させた状態で、液晶層50に印加する電圧(画素電極9aと共通電極21との間の電圧)を変化させると、画素電極9aで反射して対向基板20の側から出射される反射光(矢印L1参照)の強度は、図7(a)に実線L11で示すカーブを示す。但し、液晶層50に経時的な劣化が発生すると、図7(a)に点線L12で示すように、画素電極9aで反射して対向基板20の側から出射される反射光の強度は、図7(a)に実線L11で示すカーブよりも、同一の反射率を示す電圧が高電圧側にシフトする。従って、反射光の強度を受光素子で監視すれば、液晶層50の劣化を監視できる。但し、反射光の出射側に受光素子を配置すると、画像の表示を妨げることになる。
【0066】
そこで、本形態では、図4および図6に示すように、画素電極9a(反射層)より基板本体10wの側に設けた受光素子600によって液晶層50の劣化を監視する。すなわち、対向基板20の側から照明光を入射させた状態で、液晶層50に電圧を印加すると、大部分の光は、画素電極9aで反射して対向基板20の側から出射されるが、一部の光は、画素電極9aを透過して素子基板10の第2面10tに透過してくる。従って、素子基板10の第2面10tに受光素子600を設けても、液晶層50で変調された光の強度を監視することができる。
【0067】
より具体的には、図4(b)および図6に矢印Lで示すように、対向基板20の側から一定強度の照明光(図1に示す光源部1021から出射された光)を入射させた状態で、液晶層50に印加する電圧(画素電極9aと共通電極21との間の電圧)を変化させると、画素電極9aを透過して受光素子600で受光される透過光(矢印L2参照)の強度は、図7(b)に実線L21で示すカーブを示す。また、液晶層50に経時的な劣化が発生すると、図7(b)に点線L22で示すように、画素電極9aを透過して受光素子600で受光される透過光の強度は、図7(b)に実線L21で示すカーブよりも、同一の透過率を示す電圧が高電圧側にシフトする。従って、透過光の強度を受光素子600で監視すれば、液晶層50の劣化を監視することができる。ここで、液晶層50の特性をより正確に監視するには、受光素子600と画素電極9aとの間、より具体的には、基板本体10wと受光素子600との間に偏光板、さらには位相差板を配置することが好ましい。
【0068】
このように構成した本形態の電気光学装置100および投射型表示装置1000では、3つの電気光学装置100の各々において、対向基板20の側から一定強度の照明光(図1に示す光源部1021から出射された光)を入射させるとともに、液晶層50に1つのレベルあるいは複数のレベルの電圧を印加し、画素電極9aを透過してくる光を受光素子600で受光する。
【0069】
そして、図2を参照して説明した変調特性検出部500は、受光素子600での受光結果に基づいて、図7(b)に示すカーブのシフト量ΔLを求め、その結果を画像信号供給回路300に供給する。そして、画像信号供給回路300は、各画素100a毎の階調を規定する画像信号VIDを生成する際、変調特性検出部500での検出結果、およびルックアップテーブル310に記憶されている補正データに基づいて、画像信号VIDを補正する。従って、駆動条件調整部800による補正が行われた以降、表示された画像のコントラスト等は、液晶層50が劣化する前と同等である。それ故、投射型表示装置1000は、長期間にわたって品位の高い画像を表示することができる。
【0070】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電気光学装置100および投射型表示装置1000において、電気光学装置100は反射型の液晶装置であり、液晶層50(電気光学物質層)から反射性の画素電極9a(反射層)に向かった光は画素電極9aで反射して出射される。その際、反射性の画素電極9aといっても、一部の光は透過するので、画素電極9aに対して基板本体10w側に受光素子600を設けた場合でも、液晶層50から画素電極9aに向かった光の一部は受光素子600で検出される。このため、受光素子600での受光結果に基づいて液晶層50の性能や劣化度合いを監視することができる。また、受光素子600は、変調光が出射される側とは反対側に設けられているので、変調光の出射を妨げることがない。
【0071】
また、反射型の電気光学装置100を構成する場合、画素電極を透光性膜により構成し、画素電極9aとは別に反射層を設けた構成を採用することもできるが、本形態においては、画素電極9aを反射性金属膜により構成することにより、画素電極9a自身を反射層として利用している。このため、画素電極9aとは別に反射層を設ける必要がないという利点がある。
【0072】
さらに、本形態において、素子基板10の基板本体10wが透光性基板であることから、受光素子600を透光性の基板本体10wの第2面10t側に設けてある。このため、受光素子600を透光性の基板本体10wに後付けすることができるので、受光素子600を容易に設けることができる。
【0073】
また、本形態の投射型表示装置1000(電子機器)には、受光素子600での受光結果に基づいて液晶層50に対する駆動条件を調整する駆動条件調整部800が設けられており、駆動条件調整部800は、液晶層50に印加する電圧と受光素子600での受光量との関係に基づいて液晶層50に対する駆動条件を調整する。このため、液晶層50の劣化度合いに応じた状態に駆動条件を調整することができるので、液晶層50が劣化した場合でも、品位の高い画像を表示することができる。
【0074】
[他の液晶装置の構成例]
上記実施の形態では、複数の反射性の画素電極9aと重なる位置に受光素子600を設けたため、受光素子600は、画素電極9aにより挟まれた画素間領域10fとも重なっていたが、画素電極9aのみに受光素子600の受光面が重なるように構成してもよい。
【0075】
上記実施の形態では、1つの電気光学装置100に受光素子600を1つ設けたが、1つの電気光学装置100に複数の受光素子600を設けてもよい。
【0076】
上記実施の形態では、反射層(画素電極9a)より基板本体10wに受光素子600を設けるにあたって、基板本体10wの第2面10t側に受光素子600を設けたが、基板本体10wの第1面10s側の画素電極9a(反射層)と重なる領域に受光素子600を設けてもよい。例えば、画素トランジスター30と同一の層間や、基板本体10wと絶縁膜12との層間に受光素子600を設けてもよい。かかる構成によれば、基板本体10wが透光性基板であるか、シリコン単結晶基板等の遮光性基板であるかにかかわらず、受光素子600を設けることができる。
【0077】
上記実施の形態では、画素電極9aにより反射層を構成したが、画素電極を透光性導電膜により構成し、かかる透光性の画素電極に対して基板本体側にアルミニウム膜等の反射層を設けた反射型の液晶装置に本発明を適用してもよい。
【0078】
上記実施の形態では、対向基板20側から光が入射して対向基板20側から変調光が出射されることから、素子基板10側に受光素子600を設けたが、素子基板10側から光が入射して素子基板10側から変調光が出射される構成の電気光学装置100の場合には、対向基板20側に反射層が設けられる。従って、かかる構成の場合、対向基板20側に受光素子600を設けることになる。
【0079】
[他の電気光学装置の構成例]
上記実施の形態では、電気光学装置100として反射型の液晶装置を例示したが、基板の第1面側に電気光学物質および反射層が設けられる構成の電気光学装置であれば、液晶装置以外にも、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機エレクトロルミネッセンス装置、電気泳動装置等の電気光学装置に本発明を適用してもよい。
【0080】
[他の電子機器]
投射型表示装置については、光源部として、各色の光を出射するLED光源等を用い、かかるLED光源から出射された色光を各々、別の液晶装置に供給するように構成してもよい。
【0081】
また、電気光学装置100は、上記の電子機器(投射型表示装置)の他にも、携帯電話機、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等の電子機器において直視型表示装置として用いてもよく、かかる電子機器に用いた電気光学装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0082】
9a・・画素電極(反射層)、10・・素子基板、10a・・画像表示領域、20・・対向基板、21・・共通電極、50・・液晶層(電気光学物質層)、100・・電気光学装置、600・・受光素子、800・・駆動条件調整部、1000・・投射型表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板の第1面および第2面のうち、前記第1面側に設けられた電気光学物質層と、
前記電気光学物質層と前記基板との間に設けられた反射層と、
前記反射層より前記基板側で該基板に対する法線方向からみて前記反射層と重なるように設けられ、当該反射層を透過してきた光を受光する受光素子と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記反射層は、反射性の画素電極であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記基板は透光性基板であり、
前記受光素子は、前記透光性基板の前記第2面側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記基板の前記第1面側に対向配置された対向基板と、
当該対向基板と前記基板との間に前記電気光学物質層として保持された液晶層と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の電気光学装置を備えた電子機器であって、
前記電気光学物質層に電圧を印加した際の前記受光素子での検出結果に基づいて前記電気光学物質層に対する駆動条件を調整する駆動条件調整部を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項4に記載の電気光学装置を備えた電子機器であって、
前記電気光学装置に供給される光を出射する光源部と、
前記電気光学装置によって変調された光を投射する投射光学系と、
前記液晶層に電圧を印加するとともに前記光源部から出射された前記光を前記電気光学装置に前記対向基板側から入射させた際の前記受光素子での検出結果に基づいて前記液晶層に対する駆動条件を調整する駆動条件調整部を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記駆動条件調整部は、前記電気光学物質層に印加する電圧と前記受光素子での受光量との関係に基づいて前記液晶層に対する駆動条件を調整することを特徴とする請求項5または6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−7899(P2013−7899A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140620(P2011−140620)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】