電気光学装置及び電子機器
【課題】トランジスタの半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを確実に防止するとともに、トランジスタが誤動作し、オフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカが発生してしまう他、表示におけるコントラストの低下が発生してしまうことを確実に防止することができる構成を有する電気光学装置、電子機器を提供する。
【解決手段】TFT基板10に複数の薄膜が積層され、積層された複数の薄膜の一部によってTFT30が形成された液晶装置100であって、TFT30の半導体層1の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、TFT基板10に複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜7が積層されていることを特徴とする。
【解決手段】TFT基板10に複数の薄膜が積層され、積層された複数の薄膜の一部によってTFT30が形成された液晶装置100であって、TFT30の半導体層1の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、TFT基板10に複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜7が積層されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に複数の薄膜が積層され、該積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気光学装置、例えば光透過型の液晶装置は、ガラス基板、石英基板、シリコン基板等からなる2枚の基板間に液晶が介在されて構成されており、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に介在された液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能としている。
【0003】
また、トランジスタを配置した素子基板と、この素子基板に相対して配置される対向基板とは、別々に製造される。素子基板及び対向基板は、例えば石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。層毎に各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程とを繰り返すことによって形成されるのである。
【0004】
ところで、画素電極毎に設けられる複数のトランジスタは、液晶装置における表示領域において、画素電極に画像信号を供給するデータ線とトランジスタにオン信号を供給する走査線との交差部位にそれぞれ構成されている。
【0005】
また、トランジスタは、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有する半導体層と、該半導体層に該半導体層を平面視した状態で覆うよう積層されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜にチャネル領域に対向して積層されたゲート電極とを具備して構成されている。
【0006】
ここで、トランジスタにおける半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうと、トランジスタが誤動作し、液晶装置に、オフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカが発生してしまう他、表示におけるコントラストの低下が発生してしまうといった問題があった。
【0007】
このような問題に鑑み、素子基板に積層された各種薄膜の内、半導体層の下層に、半導体層の下側を平面視した状態で覆う遮光膜が設けられ、半導体層の上層に、半導体層の上側を平面視した状態で覆う遮光膜が設けられることにより、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防止することができる液晶装置の構成が周知であり、例えば特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1に開示された液晶装置においては、走査線が、半導体層の下側を平面視した状態で覆う遮光膜として機能し、データ線と画素電極の電圧の保持を行う蓄積容量の電極とが、半導体層の上側を平面視した状態で覆う遮光膜として機能する構成を有している。
【0009】
また、特許文献1に開示された液晶装置においては、半導体層の上側を覆う遮光膜として機能する蓄積容量の電極に対し、半導体層が構成されたデータ線と走査線との交差部位において、各画素の開口領域を規定する張り出し部が設けられた構成を有している、即ち交差部位における遮光膜が幅広に形成された構成を有していることにより、各画素の開口率を低下させることなく、半導体層のチャネル領域に上側から垂直方向または斜め方向に入射する光を確実に遮光する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−337553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された液晶装置の構成においては、半導体層と上側の遮光膜との間、及び半導体層と下側の遮光膜との間には、所定の厚さを有する光透過性を有する絶縁膜が積層されている。即ち、半導体層は、上側及び下側の遮光膜と所定間隔離れて積層されていることから、上側の遮光膜及び下側の遮光膜のみでは、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうのを確実に遮光するには不十分であった。
【0011】
ところで、ゲート電極は、半導体層のチャネル領域上にのみ形成される。従って、ゲート電極の形成領域と半導体層の他の部分とで段差が生じてしまう。
【0012】
また、半導体層のソース領域にはデータ線が電気的に接続される。このため、ソース領域上に遮光膜を構成する高誘電率膜が形成された場合には、データ線との間でカップリングを起こし、電気的特性が劣化するという欠点もある。
【0013】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、トランジスタの半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを確実に防止するとともに、トランジスタが誤動作し、オフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカが発生してしまう他、表示におけるコントラストの低下が発生してしまうことを確実に防止すると共に、半導体層上に段差が生じることを抑制し、データ線と遮光膜とのカップリングによる電気的特性の劣化を防ぐことができる構成を有する電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係る電気光学装置は、基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置であって、前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有しており、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の前記ソース領域及び前記ドレイン領域における少なくともLDD領域を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に入射してしまう光を、半導体層の少なくとも一部、具体的にはLDD領域を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0017】
また、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層全体を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に入射してしまう光を、半導体層全体を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生をより確実に防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0019】
さらに、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の上層において、前記半導体層に近接して積層されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に該チャネル領域の上層側から入射してしまう光を、半導体層の上層に近接して積層された遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0021】
また、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の下層において、前記半導体層に当接するか近接するかのいずれかにより積層されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に該チャネル領域の下層側から入射してしまう光を、半導体層の下層に当接するか近接するかのいずれかにより積層された遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができるといった効果を有する。
【0023】
また、チャネル領域に該チャネル領域の上層及び下層側から入射してしまう光を、半導体層の上層及び下層に積層された遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0024】
さらに、前記遮光性の絶縁膜は、高誘電率材料から構成されていることを特徴とする。
【0025】
また、前記遮光性の絶縁膜は、酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとのいずれかから構成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、遮光性の絶縁膜は、高誘電率材料である可視光の透過率が80%程度の酸化ハフニウムと可視光の透過率が70%程度の酸化ジルコニウムとのいずれかから構成されていることにより、確実に、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0027】
また、前記トランジスタは、前記半導体層と、該半導体層に積層された酸化シリコンから構成されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜に前記チャネル領域に対向して積層されたゲート電極とを具備しており、前記遮光性の絶縁膜は、前記酸化シリコンよりも可視光の透過率が低い材料から構成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、遮光性の絶縁膜は、可視光の透過率が90%程度の酸化シリコンから構成された半導体層上に積層されたゲート絶縁膜よりも、可視光の透過率が低い材料から構成されていることにより、確実に、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0029】
また、本発明の一態様に係る電子機器は、基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置を具備する電子機器であって、前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする電気光学装置を具備する。
【0030】
本発明の電子機器によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に入射してしまう光を、半導体層の少なくとも一部、具体的には、LDD領域を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を具備する電子機器を提供することができるといった効果を有する。
【0031】
また、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層上であって、前記トランジスタのゲート電極形成領域を除く部分に形成されていることを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、ゲート電極形成部分とそれ以外の部分との段差が遮光性の絶縁膜によって低減される。
【0033】
また、前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有しており、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の前記ソース領域及び前記ドレイン領域のうち画素電極に接続された領域のLDD領域を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、光の影響を受けやすいLDD領域を確実に遮光して、効果的に光リークの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において電気光学装置は、光透過型の液晶装置を例に挙げて説明する。また、液晶装置において対向配置される一対の基板の内、一方の基板は、素子基板(以下、TFT基板と称す)を、また他方の基板は、TFT基板に対向する対向基板を例に挙げて説明する。
【0036】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態を示す液晶装置の平面図、図2は、図1中のII−II線に沿って切断した断面図、図3は、図1のTFT基板に積層された各層の成膜パターンを示す平面図、図4は、図3中のIV-IV線に沿う位置における一つの画素に着目した図1の液晶装置の模式的断面図である。
【0037】
図1,図2に示すように、液晶装置100は、例えば、石英基板やガラス基板、シリコン基板等を用いたTFT基板10と、該TFT基板10に対向配置される、例えばガラス基板や石英基板、シリコン基板等を用いた対向基板20との間の内部空間に、電気光学物質である液晶50が介在されて構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
【0038】
TFT基板10の基板上の液晶50と接する表面10f側に、液晶装置100の表示領域40を構成するTFT基板10の表示領域10hが構成されている。また、表示領域10hに、画素を構成するとともに、後述する対向電極21とともに液晶50に駆動電圧を印加する画素電極(ITO)9aが、図3に示すように、マトリクス状に配置されている。
【0039】
また、対向基板20の基板上の液晶50と接する表面20fの全面に、液晶50に画素電極9aとともに駆動電圧を印加する対向電極(ITO)21が設けられており、対向電極21のTFT基板10の表示領域10hに対向する位置の液晶50と接する面側に、液晶装置100の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
【0040】
TFT基板10の画素電極9a上に、ラビング処理が施された配向膜16が設けられており、また、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、ラビング処理が施された配向膜26が設けられている。各配向膜16,26は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0041】
また、図3に示すように、TFT基板10の表示領域10hにおいては、複数本の走査線11aと複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線11aとデータ線6aとで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。
【0042】
そして、図3に示すように、走査線11aとデータ線6aとの各交差部位に対応してスイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)30が設けられ、このTFT30毎に画素電極9aが接続されている。
【0043】
TFT30は走査線11aのON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。
【0044】
また、図3に示すように、画素電極9aと並列に、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70によって、液晶50に印加される電圧の保持時間が延長され、例えば画像信号が画素電極9aに供給される時間よりも3桁も長い時間の保持が可能となる。
【0045】
対向基板20に、TFT基板10の表示領域10h及び対向基板20の表示領域20hの外周を、画素領域において規定し区画することにより、表示領域40を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。
【0046】
液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶注入方式で注入される場合、シール材52は、シール材52の1辺の一部において欠落して塗布されている。尚、液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶滴下方式で滴下される場合、シール材52は、途中で欠落することなく連続的に周状に塗布される。
【0047】
シール材52の欠落した箇所は、該欠落した箇所から貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20との間に液晶50を注入するための液晶注入口108を構成している。液晶注入口108は、液晶注入後、封止材109で封止される。尚、液晶滴下方式で液晶50が滴下される場合は、液晶注入口108、封止材109は不要となる。
【0048】
シール材52の外側の領域に、TFT基板10の図示しないデータ線に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するドライバであるデータ線駆動回路101及び外部回路との接続のための外部接続端子102が、TFT基板10の一辺に沿って設けられている。
【0049】
この一辺に隣接する二辺に沿って、TFT基板10の走査線11a及びゲート電極3aに、走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極3aを駆動するドライバである走査線駆動回路103,104が設けられている。走査線駆動回路103,104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFT基板10上に形成されている。
【0050】
また、TFT基板10上に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103,104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
【0051】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成されている。そして、TFT基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、該上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0052】
また、図4に示すように、各種薄膜形成前の、石英基板、ガラス、シリコン基板等のTFT基板10を構成する基板の表面上に、TFT30や画素電極9aの他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。尚、この積層構造、及び積層された各層の機能は周知であるため、概略的に説明する。
【0053】
この積層構造は、下から順に、走査線11aを含む第1層、ゲート電極3aを具備するTFT30等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、シールド層400等を含む第5層、画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層から構成されている。また、各層間には、後述する層間絶縁膜がそれぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。
【0054】
第1層に、例えば、タングステンシリサイドからなる走査線11aが、図3に示すように、平面形状がX方向にストライプ状となるようパターニングされて形成されている。また、走査線11aは、図3に示すように、データ線6aが平面的にストライプ状に形成される方向、即ちY方向に一部が延出するよう、パターニングされて形成されている。
【0055】
走査線11aは、TFT30に下側から入射しようとする光を遮る遮光機能をも有している。よって、走査線11aは、X方向及びY方向の一部において、TFT30、特にTFT30の後述する半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うようパターニングされて形成されている。
【0056】
走査線11a上に、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる下地絶縁膜12が、例えば、常圧または減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成されている。
【0057】
第2層に、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、例えばポリシリコン膜等の結晶化シリコン膜からなる半導体層1と、ゲート電極3aと、半導体層1を平面視した状態で覆うことによりゲート電極3aと半導体層1とを絶縁するゲート絶縁膜2とから主要部が構成されている。
【0058】
尚、ゲート絶縁膜2は、例えば酸化シリコン膜から構成されている。また、ゲート絶縁膜2は、多層から構成されていても構わない。さらに、ゲート電極3aは、ゲート絶縁膜2上において、後述するチャネル領域1aに対向するとともにチャネル領域1aを平面視した状態で覆う位置に設けられている。
【0059】
半導体層1は、ゲート電極3aからの電界によりチャネルが形成されるチャネル領域1aと、ソース領域におけるLDD領域を構成する低濃度ソース領域1bと、ドレイン領域におけるLDD領域を構成する低濃度ドレイン領域1cと、ソース領域を構成する高濃度ソース領域1dと、ドレイン領域を構成する高濃度ドレイン領域1eとを備えている。そして、この第2層に、上述のゲート電極3aと同一膜として中継電極719が形成されている。さらに、後述するが、ゲート電極3a及びゲート絶縁膜2上には、ゲート絶縁膜2を平面視した状態で覆うよう、遮光性の絶縁膜7が形成されている。尚、図3においては、ゲート絶縁膜2及び遮光性の絶縁膜7の記載は省略されている。
【0060】
下地絶縁膜12に、平面的にみて半導体層1の両脇に、図3に示すように、データ線6aに沿って延びる半導体層1のチャネル長と同じ幅の溝(コンタクトホール)12cvが掘られている。該コンタクトホール12cvにより、同一行の走査線11aとゲート電極3aとは同電位となる。
【0061】
第3層に、容量部である蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された下部電極71と、容量電極300とが、容量となる誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。尚、蓄積容量70は、図3に示すように、下部電極71及び容量電極300が半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うことにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうのを遮光している。
【0062】
TFT30ないしゲート電極3a及び中継電極719の上、かつ、蓄積容量70の下に、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0063】
第1層間絶縁膜41に、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール81が、第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。
【0064】
また、第1層間絶縁膜41に、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する下部電極71とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール83が開孔されている。
【0065】
さらに、この第1層間絶縁膜41に、下部電極71と中継電極719とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール881が開孔されている。更に加えて、第1層間絶縁膜41に、中継電極719と第2中継層61とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール882が、第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。
【0066】
第4層に、データ線6aが設けられている。このデータ線6aは、下層より順に、アルミニウム層41A、窒化チタン層41TN、窒化シリコン膜層401の三層構造を有する膜として形成されている。尚、データ線6aも、図3に示すように、半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うことにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうのを遮光している。
【0067】
また、この第4層に、データ線6aと同一膜として、シールド層用中継層60及び第2中継層61が形成されている。また、第2層間絶縁膜42に、シールド層用中継層60と容量電極300とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール801が開孔されている。
【0068】
第5層に、シールド層400が形成されている。尚、シールド層400も、図3に示すように、半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うことにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうのを遮光している。また、第5層に、このようなシールド層400と同一膜として、中継層としての第3中継電極402が形成されている。
【0069】
第3層間絶縁膜43に、シールド層400とシールド層用中継層60とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール803、及び第3中継電極402と第2中継層61とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール804がそれぞれ開孔されている。
【0070】
第6層に、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。そして、この画素電極9a下に、第4層間絶縁膜44が形成されている。また、第4層間絶縁膜44に、画素電極9a及び第3中継電極402間を電気的に接続するために介在されたコンタクトホール89が開孔されている。
【0071】
尚、上述した液晶装置の構成は、上記実施形態のような形態に限定されるものではなく、別の種々の形態が考えられ得る。
【0072】
次に、上述したゲート電極3a及びゲート絶縁膜2上に積層される遮光性の絶縁膜7について、図5、図6を用いて説明する。図5は、図4の液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図、図6は、遮光性の絶縁膜を、半導体層のLDD領域の上層のみに形成する変形例を示す部分断面図である。
【0073】
図5に示すように、遮光性の絶縁膜7は、ゲート電極3a及びゲート絶縁膜2上において、半導体層1に近接して、半導体層1全体を平面視した状態で覆うように、島状に積層されている。尚、遮光性の絶縁膜7は、図6に示すように、ゲート絶縁膜2上において、半導体層1に近接して、半導体層の少なくとも一部、具体的には、LDD領域を構成する少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cのみを平面視した状態で覆うように、島状に形成されていても構わない。
【0074】
また、遮光性の絶縁膜7が、半導体層1全体を平面視した状態で覆う場合には、遮光性の絶縁膜7にも、上述したコンタクトホール81、83が形成される。
【0075】
遮光性の絶縁膜7は、各層間絶縁膜12、41〜44、ゲート絶縁膜2を構成する、約90%の光の透過性を有する酸化シリコン膜よりも、光透過性の低い材料、例えば約80%の光透過性を有する酸化ハフニウム(HFO2)や、約70%の光透過性を有する酸化ジルコニウム(ZrO)等の高誘電率の材料から構成されている。
【0076】
尚、遮光性の絶縁膜7を構成する高誘電率の材料としては、ゲート絶縁膜2を構成する酸化シリコン膜よりも光透過性の低い材料であれば、酸化ハフニウム(HFO2)や酸化ジルコニウム(ZrO)に限定されないことは勿論である。
【0077】
遮光性の絶縁膜7は、半導体層1に近接する上層において、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆うように設けられていることにより、上述した遮光膜を兼ねた蓄積容量70の下部電極71及び容量電極300や、データ線6a、シールド層400では遮光することのできない、半導体層の上側からTFT30の半導体層1のチャネル領域1aに入射する光を遮光する。このことにより、チャネル領域1aに光が入射することによって、TFT30が誤動作し、オフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカが発生してしまう他、表示におけるコントラストの低下が発生してしまうことを防止する。
【0078】
次に、図7を参照して本実施の形態による液晶装置の製造方法を説明する。尚、以下に示す液晶装置の製造方法においては、遮光性の絶縁膜7を形成するまでの工程以外は周知であるため、その説明を省略する。
【0079】
図7(a)〜図7(e)は、TFT基板の製造工程における第1層間絶縁膜を形成するまでの工程を示す工程図である。
【0080】
まず、図7(a)に示すように、石英基板、ガラス、シリコン基板等のTFT基板10を構成する基板が用意される。
【0081】
次いで、このように用意されたTFT基板10を構成する基板に、平面形状がストライプ状の走査線11aが所定の形状にパターニングされて形成される。尚、この際、走査線11aは、後に形成される半導体層1全体を平面視した状態で覆う領域にパターンニングされて形成される。
【0082】
次いで、走査線11a上に、NSG(ノンシリケートガラス)等の窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる下地絶縁膜12が形成される。次いで、半導体層1が形成される。詳しくは、先ず、下地絶縁膜12上に、減圧CVD等によってアモルファスシリコン膜が形成される。その後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを有する半導体層1が形成される。
【0083】
次いで、図7(b)に示すように、半導体層1上に、例えば1層または複数層の酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜2が形成される。次いで、下地絶縁膜12に対して、走査線11aに通ずるコンタクトホール12cvがドライエッチング等により形成される。
【0084】
次いで、図7(c)に示すように、ゲート絶縁膜2上において、半導体層1のチャネル領域1aとなる領域に対向する領域に、チャネル領域1aとなる領域を平面視した状態で覆う形状にパターニングされたゲート電極3aが形成される。
【0085】
更に、このゲート電極3aのパターニングの際、これと同時に、中継電極719もまた形成される。次いで、半導体層1において、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eが形成される。
【0086】
次いで、図7(d)に示すように、ゲート絶縁膜2上に、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、図6に示すように、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆うよう、好ましくは、ゲート絶縁膜2及びゲート電極3a上に、図5に示すように、半導体層1全体を平面視した状態で覆うよう、例えば酸化ハフニウム(HFO2)や酸化ジルコニウム(ZrO)から構成された遮光性の絶縁膜7が、例えばCVDやALD(Atomic Layer Deposition)により成膜された後、パターニングされて形成される。
【0087】
その後、図7(e)に示すように、遮光性の絶縁膜7上に、第1の層間絶縁膜41が形成され、該第1の層間絶縁膜41に、上述したコンタクトホール83、881が形成される。尚、その後の工程は周知であるため、その説明は省略する。
【0088】
このように、本実施の形態においては、半導体層1に近接する上層におけるゲート絶縁膜2上に、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、図6に示すように、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆う、遮光性の絶縁膜7が島状に形成されていると示した。
【0089】
このことによれば、遮光膜を兼ねた蓄積容量70の下部電極71及び容量電極300や、データ線6a、シールド層400では遮光することのできない、半導体層1のチャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層側から入射してしまう光を、半導体層1に近接する上層に少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆うよう積層された遮光性の絶縁膜7によって遮光することにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0090】
また、図5に示すように、半導体層1に近接する上層におけるゲート絶縁膜2及びゲート電極3a上に、半導体層1全体を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜7が島状に形成されていてもよいと示した。
【0091】
このことによれば、遮光膜を兼ねた膜である蓄積容量70の下部電極71及び容量電極300や、データ線6a、シールド層400では遮光することのできない、半導体層1のチャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層側から入射してしまう光を、半導体層1に近接する上層に半導体層1全体を平面視した状態で覆うよう積層された遮光性の絶縁膜7によって遮光することにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうことをより確実に防ぐことができる。
【0092】
以上から、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置100を提供することができる。
【0093】
尚、以下、変形例を、図8を用いて示す。図8は、図5の遮光性の絶縁膜がゲート絶縁膜を兼ねている変形例を示す液晶装置の部分断面図である。
【0094】
本実施の形態においては、ゲート絶縁膜2上に、半導体層1に近接するよう、遮光性の絶縁膜7が形成されていると示したが、これに限らず、図8に示すように、ゲート絶縁膜2自体を遮光性の絶縁膜7によって構成しても構わない。即ち、半導体層1に当接するよう、半導体層1の直上に遮光性の絶縁膜7を形成しても構わない。
【0095】
尚、遮光性の絶縁膜7をゲート絶縁膜2の代わりに形成することができるのは、遮光性の絶縁膜7は、ゲート電極3aとチャネル領域1aとの間を電気的に絶縁できるためである。
【0096】
このことによれば、半導体層1におけるチャネル領域1aの直上に、即ち、半導体層1に最も近い位置に、遮光性の絶縁膜7を形成することができることから、本実施の形態よりも確実に、半導体層1の上層側からチャネル領域1aに入射してしまう光を、遮光性の絶縁膜7によって遮光することができる。
【0097】
尚、以下、別の変形例を、図9を用いて示す。図9は、図8の遮光性の絶縁膜と半導体層との間に、ゲート絶縁膜を形成した変形例を示す液晶装置の部分断面図である。
【0098】
図9に示すように、遮光性の絶縁膜7と半導体層1との間に、ゲート絶縁膜2を形成しても構わない。言い換えれば、遮光性の絶縁膜7上において、チャネル領域1aに対向する領域に、ゲート電極3aを、チャネル領域1aを平面視した状態で覆うよう形成しても構わない。このような構成によっても、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
(第2実施の形態)
図10は、本実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図である。
【0100】
この第2実施の形態の液晶装置の構成は、上述した第1実施の形態の液晶装置と比して、半導体層の下層側からチャネル領域に入射する光を遮光する点のみが異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態の液晶装置100と同様の構成部材には、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0101】
図10に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、下地絶縁膜12上において、半導体層1自体を、半導体層1に当接する直下の層において、平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜8が島状に形成されている。尚、図示しないが、遮光性の絶縁膜8は、半導体層1に近接する下層において、半導体層1自体を平面視した状態で覆うよう島状に形成されていても構わない。
【0102】
また、図示しないが、遮光性の絶縁膜8は、第1実施の形態における遮光性の絶縁膜7同様、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cのみを平面視した状態で覆うよう島状に形成されていても構わない。
【0103】
また、本実施の形態における遮光性の絶縁膜8を構成する材料は、第1実施の形態における遮光性の絶縁膜7を構成する材料と同一であるため、その説明は省略する。
【0104】
尚、遮光性の絶縁膜8を形成する工程は、下地絶縁膜12上に形成する以外は、第1実施の形態の遮光性の絶縁膜7を形成する工程と略同じであるため、その記載は省略する。
【0105】
このように、本実施の形態によれば、遮光膜を兼ねた膜である走査線11aでは遮光することのできない、半導体層1のチャネル領域1aに該チャネル領域1aの下層側から入射してしまう光を、半導体層1に当接する半導体層1の直下の層または半導体層1に近接する半導体層1の下層において積層された遮光性の絶縁膜8によって遮光することができる。
【0106】
よって、チャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0107】
(第3実施の形態)
図11は、本実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図である。
【0108】
この第3実施の形態の液晶装置の構成は、上述した第1実施の形態の液晶装置及び上述した第2実施の形態の液晶装置と比して、半導体層の上層側及び下層側からの両方からチャネル領域に入射する光を遮光する点のみが異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態の液晶装置100及び第2実施の形態の液晶装置と同様の構成部材には、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0109】
図11に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、下地絶縁膜12上において、半導体層1自体を、半導体層1に当接する直下の層または近接する下層において平面視した状態で覆う上述した第2実施の形態に示した遮光性の絶縁膜8が島状に形成されている。
【0110】
また、ゲート絶縁膜2及びゲート電極3a上には、半導体層1自体を、半導体層1に近接する上層において平面視した状態で覆う上述した第1実施の形態に示した遮光性の絶縁膜7が島状に形成されている。
【0111】
尚、本実施の形態においても、遮光性の絶縁膜7、8は、半導体層1の上層及び下層において、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cのみを平面視した状態で覆うよう島状に形成されていても構わない。
【0112】
尚、遮光性の絶縁膜7、8を形成する工程は、第1の実施の形態及び第2実施の形態と同じであるため、その記載は省略する。
【0113】
このように、本実施の形態によれば、チャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層及び下層側から入射してしまう光を、半導体層1の上層及び下層に積層された遮光性の絶縁膜7、8によって遮光することにより、半導体層1のチャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0114】
よって、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0115】
(第4実施の形態)
図13は本発明の第4実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図である。
【0116】
上述した第1実施の形態においては、半導体層だけでなくゲート電極上においても遮光性の絶縁膜を形成した。これに対し、本実施の形態は、ゲート電極上以外の半導体層上に遮光性の絶縁膜を形成した点が第1実施の形態と異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0117】
図13に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、半導体層(図示せず)上には、遮光性の絶縁膜91が形成されている。絶縁膜91は、平面視すると、ゲート電極3a上を除き、半導体層1(図5参照)を覆うように構成される。即ち、絶縁膜91は、図5の絶縁膜7においてゲート電極3a上の部分を除去したものである。例えば、ゲート電極3a形成後において、ゲート電極3a上を除く半導体層1をレジスト等でマスクして絶縁膜をパターン形成することによって、絶縁膜91を形成することができる。
【0118】
このように、本実施の形態によれば、チャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層側から入射しようとする光を、半導体層1の上層に積層された遮光性の絶縁膜91によって遮光することにより、半導体層1のチャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0119】
よって、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0120】
更に、本実施の形態においては、ゲート電極形成部分において遮光性の絶縁膜を形成せず、ゲート電極形成部分以外の半導体層上に遮光性の絶縁膜を形成していることから、遮光性の絶縁膜によってゲート電極形成部分の段差を低減することができる。
【0121】
(第5実施の形態)
図14は本発明の第5実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図である。
【0122】
上述した第1実施の形態においては、図6においてLDD領域上にのみ遮光性の絶縁膜を形成する例を示した。これに対し、本実施の形態は、ソース領域におけるLDD領域を構成する低濃度ソース領域1bと、ドレイン領域におけるLDD領域を構成する低濃度ドレイン領域1cのうち画素電極9aが電気的に接続されるドレイン領域のLDD領域のみの半導体層上に遮光性の絶縁膜を形成した点が図6の実施の形態と異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0123】
図14に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、半導体層1上には、遮光性の絶縁膜92が形成されている。絶縁膜92は、平面視すると、画素電極9aが電気的に接続されるドレイン領域側の低濃度ドレイン領域1c上にのみ形成されて、この部分のLDD領域を覆うように構成される。即ち、絶縁膜92は、図6の絶縁膜7において低濃度ソース領域1b上の部分を除去したものであり、絶縁膜92の側面及び画素電極9aの側面同士は接している。例えば、ゲート電極3a形成後において、低濃度ドレイン領域1cを除く部分をマスクして絶縁膜をパターン形成することによって、絶縁膜92を形成することができる。
【0124】
このように、本実施の形態によれば、画素電極に電気的に接続されたドレイン領域側のLDD領域の上層側から入射しようとする光を、遮光性の絶縁膜92によって遮光することにより、画素電極側のLDD領域に光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0125】
よって、LDD領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0126】
ところで、半導体層のうち画素電極に電気的に接続されたドレイン領域側の方がソース領域側よりも、光の影響を受けやすい。従って、本実施の形態のように、画素電極に電気的に接続されたドレイン領域側のLDD領域を遮光性の絶縁膜で覆うことによって、効果的に光リークの影響を回避することが可能である。なお、ドレイン領域・ソース領域の呼称に拘わらず、画素電極が電気的に接続された側のLDD領域上を覆うように遮光性の絶縁膜を形成すればよい。
【0127】
また、上述したように、ソース・ドレイン領域との電気的な接続を図るために、ソース領域上及びドレイン領域上にコンタクトホールを開孔する。第1実施の形態においては、遮光性の絶縁膜と層間絶縁膜との選択比を考慮すると、コンタクトホール開孔前に遮光性の絶縁膜を除去しておいた方がよい。これに対し、本実施の形態においては、このコンタクト領域に遮光性の絶縁膜を設けていないので、加工容易であるという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0128】
また、液晶装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶装置は、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールであっても構わない。
【0129】
さらに、本実施の形態においては、電気光学装置は、液晶装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(Field Emission Display)装置、SED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管または液晶シャッター等を用いた小型テレビを用いた装置などの各種の電気光学装置に適用できる。
【0130】
また、電気光学装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
【0131】
また、電気光学装置は、片側の基板の同一層に、一対の電極が形成される表示用デバイス、例えばIPS(In-Plane Switching)や、片側の基板において、絶縁膜を介して一対の電極が形成される表示用デバイスFFS(Fringe Field Switching)等であっても構わない。
【0132】
さらに、本発明の液晶装置が用いられる電子機器としては、投写型表示装置、具体的には、プロジェクタが挙げられる。図12は、図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図である。
【0133】
同図に示すように、プロジェクタ1100に、液晶装置100は、各々RGB用のライトバルブとして、例えば3つ(100R,100G,100B)配設されている。
【0134】
プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投写光が発せされると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R,100G,100Bに各々導かれる。
【0135】
この際、特にB光は、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。
【0136】
そして、ライトバルブ100R,100G,100Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投写レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投写される。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本実施の形態を示す液晶装置の平面図。
【図2】図1中のII−II線に沿って切断した断面図。
【図3】図1のTFT基板に積層された各層の成膜パターンを示す平面図。
【図4】図3中のIV-IV線に沿う位置における一つの画素に着目した図1の液晶装置の模式的断面図。
【図5】図4の液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図。
【図6】遮光性の絶縁膜を、半導体層のLDD領域の上層のみに形成する変形例を示す部分断面図。
【図7】TFT基板の製造工程における第1層を積層する工程から第2層を積層する工程までを示す工程図。
【図8】図5の遮光性の絶縁膜がゲート絶縁膜を兼ねている変形例を示す液晶装置の部分断面図。
【図9】図8の遮光性の絶縁膜と半導体層との間に、ゲート絶縁膜を形成した変形例を示す液晶装置の部分断面図。
【図10】第2実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図。
【図11】第3実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図。
【図12】図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図。
【図13】本発明の第4実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図。
【図14】本発明の第5実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図。
【符号の説明】
【0138】
1…半導体層、1a…チャネル領域、1b…低濃度ソース領域、1c…低濃度ドレイン領域、1d…高濃度ソース領域、1e…高濃度ドレイン領域、2…ゲート絶縁膜、3a…ゲート電極、7…遮光性の絶縁膜、8…遮光性の絶縁膜、10…TFT基板、30…TFT、100…液晶装置、1100…プロジェクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に複数の薄膜が積層され、該積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電気光学装置、例えば光透過型の液晶装置は、ガラス基板、石英基板、シリコン基板等からなる2枚の基板間に液晶が介在されて構成されており、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両基板間に介在された液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能としている。
【0003】
また、トランジスタを配置した素子基板と、この素子基板に相対して配置される対向基板とは、別々に製造される。素子基板及び対向基板は、例えば石英基板上に、所定のパターンを有する半導体薄膜、絶縁性薄膜又は導電性薄膜を積層することによって構成される。層毎に各種膜の成膜工程とフォトリソグラフィ工程とを繰り返すことによって形成されるのである。
【0004】
ところで、画素電極毎に設けられる複数のトランジスタは、液晶装置における表示領域において、画素電極に画像信号を供給するデータ線とトランジスタにオン信号を供給する走査線との交差部位にそれぞれ構成されている。
【0005】
また、トランジスタは、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有する半導体層と、該半導体層に該半導体層を平面視した状態で覆うよう積層されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜にチャネル領域に対向して積層されたゲート電極とを具備して構成されている。
【0006】
ここで、トランジスタにおける半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうと、トランジスタが誤動作し、液晶装置に、オフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカが発生してしまう他、表示におけるコントラストの低下が発生してしまうといった問題があった。
【0007】
このような問題に鑑み、素子基板に積層された各種薄膜の内、半導体層の下層に、半導体層の下側を平面視した状態で覆う遮光膜が設けられ、半導体層の上層に、半導体層の上側を平面視した状態で覆う遮光膜が設けられることにより、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防止することができる液晶装置の構成が周知であり、例えば特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1に開示された液晶装置においては、走査線が、半導体層の下側を平面視した状態で覆う遮光膜として機能し、データ線と画素電極の電圧の保持を行う蓄積容量の電極とが、半導体層の上側を平面視した状態で覆う遮光膜として機能する構成を有している。
【0009】
また、特許文献1に開示された液晶装置においては、半導体層の上側を覆う遮光膜として機能する蓄積容量の電極に対し、半導体層が構成されたデータ線と走査線との交差部位において、各画素の開口領域を規定する張り出し部が設けられた構成を有している、即ち交差部位における遮光膜が幅広に形成された構成を有していることにより、各画素の開口率を低下させることなく、半導体層のチャネル領域に上側から垂直方向または斜め方向に入射する光を確実に遮光する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−337553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された液晶装置の構成においては、半導体層と上側の遮光膜との間、及び半導体層と下側の遮光膜との間には、所定の厚さを有する光透過性を有する絶縁膜が積層されている。即ち、半導体層は、上側及び下側の遮光膜と所定間隔離れて積層されていることから、上側の遮光膜及び下側の遮光膜のみでは、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうのを確実に遮光するには不十分であった。
【0011】
ところで、ゲート電極は、半導体層のチャネル領域上にのみ形成される。従って、ゲート電極の形成領域と半導体層の他の部分とで段差が生じてしまう。
【0012】
また、半導体層のソース領域にはデータ線が電気的に接続される。このため、ソース領域上に遮光膜を構成する高誘電率膜が形成された場合には、データ線との間でカップリングを起こし、電気的特性が劣化するという欠点もある。
【0013】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、トランジスタの半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを確実に防止するとともに、トランジスタが誤動作し、オフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカが発生してしまう他、表示におけるコントラストの低下が発生してしまうことを確実に防止すると共に、半導体層上に段差が生じることを抑制し、データ線と遮光膜とのカップリングによる電気的特性の劣化を防ぐことができる構成を有する電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明に係る電気光学装置は、基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置であって、前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする。
【0015】
また、前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有しており、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の前記ソース領域及び前記ドレイン領域における少なくともLDD領域を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に入射してしまう光を、半導体層の少なくとも一部、具体的にはLDD領域を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0017】
また、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層全体を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に入射してしまう光を、半導体層全体を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生をより確実に防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0019】
さらに、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の上層において、前記半導体層に近接して積層されていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に該チャネル領域の上層側から入射してしまう光を、半導体層の上層に近接して積層された遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0021】
また、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の下層において、前記半導体層に当接するか近接するかのいずれかにより積層されていることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に該チャネル領域の下層側から入射してしまう光を、半導体層の下層に当接するか近接するかのいずれかにより積層された遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができるといった効果を有する。
【0023】
また、チャネル領域に該チャネル領域の上層及び下層側から入射してしまう光を、半導体層の上層及び下層に積層された遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0024】
さらに、前記遮光性の絶縁膜は、高誘電率材料から構成されていることを特徴とする。
【0025】
また、前記遮光性の絶縁膜は、酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとのいずれかから構成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、遮光性の絶縁膜は、高誘電率材料である可視光の透過率が80%程度の酸化ハフニウムと可視光の透過率が70%程度の酸化ジルコニウムとのいずれかから構成されていることにより、確実に、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0027】
また、前記トランジスタは、前記半導体層と、該半導体層に積層された酸化シリコンから構成されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜に前記チャネル領域に対向して積層されたゲート電極とを具備しており、前記遮光性の絶縁膜は、前記酸化シリコンよりも可視光の透過率が低い材料から構成されていることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、遮光性の絶縁膜は、可視光の透過率が90%程度の酸化シリコンから構成された半導体層上に積層されたゲート絶縁膜よりも、可視光の透過率が低い材料から構成されていることにより、確実に、半導体層のチャネル領域に光が入射してしまうことを防止することができる構成を有する電気光学装置を提供することができるといった効果を有する。
【0029】
また、本発明の一態様に係る電子機器は、基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置を具備する電子機器であって、前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする電気光学装置を具備する。
【0030】
本発明の電子機器によれば、電気光学装置に設けられる遮光膜や遮光膜として機能する膜では遮光することのできない、半導体層のチャネル領域に入射してしまう光を、半導体層の少なくとも一部、具体的には、LDD領域を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜によって遮光することにより、即ち、チャネル領域に光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する電気光学装置を具備する電子機器を提供することができるといった効果を有する。
【0031】
また、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層上であって、前記トランジスタのゲート電極形成領域を除く部分に形成されていることを特徴とする。
【0032】
このような構成によれば、ゲート電極形成部分とそれ以外の部分との段差が遮光性の絶縁膜によって低減される。
【0033】
また、前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有しており、前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の前記ソース領域及び前記ドレイン領域のうち画素電極に接続された領域のLDD領域を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、光の影響を受けやすいLDD領域を確実に遮光して、効果的に光リークの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。尚、以下に示す実施の形態において電気光学装置は、光透過型の液晶装置を例に挙げて説明する。また、液晶装置において対向配置される一対の基板の内、一方の基板は、素子基板(以下、TFT基板と称す)を、また他方の基板は、TFT基板に対向する対向基板を例に挙げて説明する。
【0036】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態を示す液晶装置の平面図、図2は、図1中のII−II線に沿って切断した断面図、図3は、図1のTFT基板に積層された各層の成膜パターンを示す平面図、図4は、図3中のIV-IV線に沿う位置における一つの画素に着目した図1の液晶装置の模式的断面図である。
【0037】
図1,図2に示すように、液晶装置100は、例えば、石英基板やガラス基板、シリコン基板等を用いたTFT基板10と、該TFT基板10に対向配置される、例えばガラス基板や石英基板、シリコン基板等を用いた対向基板20との間の内部空間に、電気光学物質である液晶50が介在されて構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
【0038】
TFT基板10の基板上の液晶50と接する表面10f側に、液晶装置100の表示領域40を構成するTFT基板10の表示領域10hが構成されている。また、表示領域10hに、画素を構成するとともに、後述する対向電極21とともに液晶50に駆動電圧を印加する画素電極(ITO)9aが、図3に示すように、マトリクス状に配置されている。
【0039】
また、対向基板20の基板上の液晶50と接する表面20fの全面に、液晶50に画素電極9aとともに駆動電圧を印加する対向電極(ITO)21が設けられており、対向電極21のTFT基板10の表示領域10hに対向する位置の液晶50と接する面側に、液晶装置100の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
【0040】
TFT基板10の画素電極9a上に、ラビング処理が施された配向膜16が設けられており、また、対向基板20上の全面に渡って形成された対向電極21上にも、ラビング処理が施された配向膜26が設けられている。各配向膜16,26は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0041】
また、図3に示すように、TFT基板10の表示領域10hにおいては、複数本の走査線11aと複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線11aとデータ線6aとで区画された領域に画素電極9aがマトリクス状に配置される。
【0042】
そして、図3に示すように、走査線11aとデータ線6aとの各交差部位に対応してスイッチング素子である薄膜トランジスタ(以下、TFTと称す)30が設けられ、このTFT30毎に画素電極9aが接続されている。
【0043】
TFT30は走査線11aのON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9aに供給される。この画素電極9aと対向基板20に設けられた対向電極21との間の電圧が液晶50に印加される。
【0044】
また、図3に示すように、画素電極9aと並列に、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70によって、液晶50に印加される電圧の保持時間が延長され、例えば画像信号が画素電極9aに供給される時間よりも3桁も長い時間の保持が可能となる。
【0045】
対向基板20に、TFT基板10の表示領域10h及び対向基板20の表示領域20hの外周を、画素領域において規定し区画することにより、表示領域40を規定する額縁としての遮光膜53が設けられている。
【0046】
液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶注入方式で注入される場合、シール材52は、シール材52の1辺の一部において欠落して塗布されている。尚、液晶50がTFT基板10と対向基板20との間の空間に、既知の液晶滴下方式で滴下される場合、シール材52は、途中で欠落することなく連続的に周状に塗布される。
【0047】
シール材52の欠落した箇所は、該欠落した箇所から貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20との間に液晶50を注入するための液晶注入口108を構成している。液晶注入口108は、液晶注入後、封止材109で封止される。尚、液晶滴下方式で液晶50が滴下される場合は、液晶注入口108、封止材109は不要となる。
【0048】
シール材52の外側の領域に、TFT基板10の図示しないデータ線に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するドライバであるデータ線駆動回路101及び外部回路との接続のための外部接続端子102が、TFT基板10の一辺に沿って設けられている。
【0049】
この一辺に隣接する二辺に沿って、TFT基板10の走査線11a及びゲート電極3aに、走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極3aを駆動するドライバである走査線駆動回路103,104が設けられている。走査線駆動回路103,104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFT基板10上に形成されている。
【0050】
また、TFT基板10上に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103,104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
【0051】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成されている。そして、TFT基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が対向電極21に接触する上下導通材106が設けられており、該上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0052】
また、図4に示すように、各種薄膜形成前の、石英基板、ガラス、シリコン基板等のTFT基板10を構成する基板の表面上に、TFT30や画素電極9aの他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。尚、この積層構造、及び積層された各層の機能は周知であるため、概略的に説明する。
【0053】
この積層構造は、下から順に、走査線11aを含む第1層、ゲート電極3aを具備するTFT30等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、シールド層400等を含む第5層、画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層から構成されている。また、各層間には、後述する層間絶縁膜がそれぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。
【0054】
第1層に、例えば、タングステンシリサイドからなる走査線11aが、図3に示すように、平面形状がX方向にストライプ状となるようパターニングされて形成されている。また、走査線11aは、図3に示すように、データ線6aが平面的にストライプ状に形成される方向、即ちY方向に一部が延出するよう、パターニングされて形成されている。
【0055】
走査線11aは、TFT30に下側から入射しようとする光を遮る遮光機能をも有している。よって、走査線11aは、X方向及びY方向の一部において、TFT30、特にTFT30の後述する半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うようパターニングされて形成されている。
【0056】
走査線11a上に、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる下地絶縁膜12が、例えば、常圧または減圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成されている。
【0057】
第2層に、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、例えばポリシリコン膜等の結晶化シリコン膜からなる半導体層1と、ゲート電極3aと、半導体層1を平面視した状態で覆うことによりゲート電極3aと半導体層1とを絶縁するゲート絶縁膜2とから主要部が構成されている。
【0058】
尚、ゲート絶縁膜2は、例えば酸化シリコン膜から構成されている。また、ゲート絶縁膜2は、多層から構成されていても構わない。さらに、ゲート電極3aは、ゲート絶縁膜2上において、後述するチャネル領域1aに対向するとともにチャネル領域1aを平面視した状態で覆う位置に設けられている。
【0059】
半導体層1は、ゲート電極3aからの電界によりチャネルが形成されるチャネル領域1aと、ソース領域におけるLDD領域を構成する低濃度ソース領域1bと、ドレイン領域におけるLDD領域を構成する低濃度ドレイン領域1cと、ソース領域を構成する高濃度ソース領域1dと、ドレイン領域を構成する高濃度ドレイン領域1eとを備えている。そして、この第2層に、上述のゲート電極3aと同一膜として中継電極719が形成されている。さらに、後述するが、ゲート電極3a及びゲート絶縁膜2上には、ゲート絶縁膜2を平面視した状態で覆うよう、遮光性の絶縁膜7が形成されている。尚、図3においては、ゲート絶縁膜2及び遮光性の絶縁膜7の記載は省略されている。
【0060】
下地絶縁膜12に、平面的にみて半導体層1の両脇に、図3に示すように、データ線6aに沿って延びる半導体層1のチャネル長と同じ幅の溝(コンタクトホール)12cvが掘られている。該コンタクトホール12cvにより、同一行の走査線11aとゲート電極3aとは同電位となる。
【0061】
第3層に、容量部である蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された下部電極71と、容量電極300とが、容量となる誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。尚、蓄積容量70は、図3に示すように、下部電極71及び容量電極300が半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うことにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうのを遮光している。
【0062】
TFT30ないしゲート電極3a及び中継電極719の上、かつ、蓄積容量70の下に、例えば、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0063】
第1層間絶縁膜41に、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール81が、第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。
【0064】
また、第1層間絶縁膜41に、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する下部電極71とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール83が開孔されている。
【0065】
さらに、この第1層間絶縁膜41に、下部電極71と中継電極719とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール881が開孔されている。更に加えて、第1層間絶縁膜41に、中継電極719と第2中継層61とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール882が、第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。
【0066】
第4層に、データ線6aが設けられている。このデータ線6aは、下層より順に、アルミニウム層41A、窒化チタン層41TN、窒化シリコン膜層401の三層構造を有する膜として形成されている。尚、データ線6aも、図3に示すように、半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うことにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうのを遮光している。
【0067】
また、この第4層に、データ線6aと同一膜として、シールド層用中継層60及び第2中継層61が形成されている。また、第2層間絶縁膜42に、シールド層用中継層60と容量電極300とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール801が開孔されている。
【0068】
第5層に、シールド層400が形成されている。尚、シールド層400も、図3に示すように、半導体層1、特にチャネル領域1aを平面視した状態で覆うことにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうのを遮光している。また、第5層に、このようなシールド層400と同一膜として、中継層としての第3中継電極402が形成されている。
【0069】
第3層間絶縁膜43に、シールド層400とシールド層用中継層60とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール803、及び第3中継電極402と第2中継層61とを電気的に接続するために介在されるコンタクトホール804がそれぞれ開孔されている。
【0070】
第6層に、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。そして、この画素電極9a下に、第4層間絶縁膜44が形成されている。また、第4層間絶縁膜44に、画素電極9a及び第3中継電極402間を電気的に接続するために介在されたコンタクトホール89が開孔されている。
【0071】
尚、上述した液晶装置の構成は、上記実施形態のような形態に限定されるものではなく、別の種々の形態が考えられ得る。
【0072】
次に、上述したゲート電極3a及びゲート絶縁膜2上に積層される遮光性の絶縁膜7について、図5、図6を用いて説明する。図5は、図4の液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図、図6は、遮光性の絶縁膜を、半導体層のLDD領域の上層のみに形成する変形例を示す部分断面図である。
【0073】
図5に示すように、遮光性の絶縁膜7は、ゲート電極3a及びゲート絶縁膜2上において、半導体層1に近接して、半導体層1全体を平面視した状態で覆うように、島状に積層されている。尚、遮光性の絶縁膜7は、図6に示すように、ゲート絶縁膜2上において、半導体層1に近接して、半導体層の少なくとも一部、具体的には、LDD領域を構成する少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cのみを平面視した状態で覆うように、島状に形成されていても構わない。
【0074】
また、遮光性の絶縁膜7が、半導体層1全体を平面視した状態で覆う場合には、遮光性の絶縁膜7にも、上述したコンタクトホール81、83が形成される。
【0075】
遮光性の絶縁膜7は、各層間絶縁膜12、41〜44、ゲート絶縁膜2を構成する、約90%の光の透過性を有する酸化シリコン膜よりも、光透過性の低い材料、例えば約80%の光透過性を有する酸化ハフニウム(HFO2)や、約70%の光透過性を有する酸化ジルコニウム(ZrO)等の高誘電率の材料から構成されている。
【0076】
尚、遮光性の絶縁膜7を構成する高誘電率の材料としては、ゲート絶縁膜2を構成する酸化シリコン膜よりも光透過性の低い材料であれば、酸化ハフニウム(HFO2)や酸化ジルコニウム(ZrO)に限定されないことは勿論である。
【0077】
遮光性の絶縁膜7は、半導体層1に近接する上層において、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆うように設けられていることにより、上述した遮光膜を兼ねた蓄積容量70の下部電極71及び容量電極300や、データ線6a、シールド層400では遮光することのできない、半導体層の上側からTFT30の半導体層1のチャネル領域1aに入射する光を遮光する。このことにより、チャネル領域1aに光が入射することによって、TFT30が誤動作し、オフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカが発生してしまう他、表示におけるコントラストの低下が発生してしまうことを防止する。
【0078】
次に、図7を参照して本実施の形態による液晶装置の製造方法を説明する。尚、以下に示す液晶装置の製造方法においては、遮光性の絶縁膜7を形成するまでの工程以外は周知であるため、その説明を省略する。
【0079】
図7(a)〜図7(e)は、TFT基板の製造工程における第1層間絶縁膜を形成するまでの工程を示す工程図である。
【0080】
まず、図7(a)に示すように、石英基板、ガラス、シリコン基板等のTFT基板10を構成する基板が用意される。
【0081】
次いで、このように用意されたTFT基板10を構成する基板に、平面形状がストライプ状の走査線11aが所定の形状にパターニングされて形成される。尚、この際、走査線11aは、後に形成される半導体層1全体を平面視した状態で覆う領域にパターンニングされて形成される。
【0082】
次いで、走査線11a上に、NSG(ノンシリケートガラス)等の窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等からなる下地絶縁膜12が形成される。次いで、半導体層1が形成される。詳しくは、先ず、下地絶縁膜12上に、減圧CVD等によってアモルファスシリコン膜が形成される。その後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定パターンを有する半導体層1が形成される。
【0083】
次いで、図7(b)に示すように、半導体層1上に、例えば1層または複数層の酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜2が形成される。次いで、下地絶縁膜12に対して、走査線11aに通ずるコンタクトホール12cvがドライエッチング等により形成される。
【0084】
次いで、図7(c)に示すように、ゲート絶縁膜2上において、半導体層1のチャネル領域1aとなる領域に対向する領域に、チャネル領域1aとなる領域を平面視した状態で覆う形状にパターニングされたゲート電極3aが形成される。
【0085】
更に、このゲート電極3aのパターニングの際、これと同時に、中継電極719もまた形成される。次いで、半導体層1において、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに、高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eが形成される。
【0086】
次いで、図7(d)に示すように、ゲート絶縁膜2上に、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、図6に示すように、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆うよう、好ましくは、ゲート絶縁膜2及びゲート電極3a上に、図5に示すように、半導体層1全体を平面視した状態で覆うよう、例えば酸化ハフニウム(HFO2)や酸化ジルコニウム(ZrO)から構成された遮光性の絶縁膜7が、例えばCVDやALD(Atomic Layer Deposition)により成膜された後、パターニングされて形成される。
【0087】
その後、図7(e)に示すように、遮光性の絶縁膜7上に、第1の層間絶縁膜41が形成され、該第1の層間絶縁膜41に、上述したコンタクトホール83、881が形成される。尚、その後の工程は周知であるため、その説明は省略する。
【0088】
このように、本実施の形態においては、半導体層1に近接する上層におけるゲート絶縁膜2上に、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、図6に示すように、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆う、遮光性の絶縁膜7が島状に形成されていると示した。
【0089】
このことによれば、遮光膜を兼ねた蓄積容量70の下部電極71及び容量電極300や、データ線6a、シールド層400では遮光することのできない、半導体層1のチャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層側から入射してしまう光を、半導体層1に近接する上層に少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cを平面視した状態で覆うよう積層された遮光性の絶縁膜7によって遮光することにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0090】
また、図5に示すように、半導体層1に近接する上層におけるゲート絶縁膜2及びゲート電極3a上に、半導体層1全体を平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜7が島状に形成されていてもよいと示した。
【0091】
このことによれば、遮光膜を兼ねた膜である蓄積容量70の下部電極71及び容量電極300や、データ線6a、シールド層400では遮光することのできない、半導体層1のチャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層側から入射してしまう光を、半導体層1に近接する上層に半導体層1全体を平面視した状態で覆うよう積層された遮光性の絶縁膜7によって遮光することにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうことをより確実に防ぐことができる。
【0092】
以上から、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置100を提供することができる。
【0093】
尚、以下、変形例を、図8を用いて示す。図8は、図5の遮光性の絶縁膜がゲート絶縁膜を兼ねている変形例を示す液晶装置の部分断面図である。
【0094】
本実施の形態においては、ゲート絶縁膜2上に、半導体層1に近接するよう、遮光性の絶縁膜7が形成されていると示したが、これに限らず、図8に示すように、ゲート絶縁膜2自体を遮光性の絶縁膜7によって構成しても構わない。即ち、半導体層1に当接するよう、半導体層1の直上に遮光性の絶縁膜7を形成しても構わない。
【0095】
尚、遮光性の絶縁膜7をゲート絶縁膜2の代わりに形成することができるのは、遮光性の絶縁膜7は、ゲート電極3aとチャネル領域1aとの間を電気的に絶縁できるためである。
【0096】
このことによれば、半導体層1におけるチャネル領域1aの直上に、即ち、半導体層1に最も近い位置に、遮光性の絶縁膜7を形成することができることから、本実施の形態よりも確実に、半導体層1の上層側からチャネル領域1aに入射してしまう光を、遮光性の絶縁膜7によって遮光することができる。
【0097】
尚、以下、別の変形例を、図9を用いて示す。図9は、図8の遮光性の絶縁膜と半導体層との間に、ゲート絶縁膜を形成した変形例を示す液晶装置の部分断面図である。
【0098】
図9に示すように、遮光性の絶縁膜7と半導体層1との間に、ゲート絶縁膜2を形成しても構わない。言い換えれば、遮光性の絶縁膜7上において、チャネル領域1aに対向する領域に、ゲート電極3aを、チャネル領域1aを平面視した状態で覆うよう形成しても構わない。このような構成によっても、上述した本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
(第2実施の形態)
図10は、本実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図である。
【0100】
この第2実施の形態の液晶装置の構成は、上述した第1実施の形態の液晶装置と比して、半導体層の下層側からチャネル領域に入射する光を遮光する点のみが異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態の液晶装置100と同様の構成部材には、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0101】
図10に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、下地絶縁膜12上において、半導体層1自体を、半導体層1に当接する直下の層において、平面視した状態で覆う遮光性の絶縁膜8が島状に形成されている。尚、図示しないが、遮光性の絶縁膜8は、半導体層1に近接する下層において、半導体層1自体を平面視した状態で覆うよう島状に形成されていても構わない。
【0102】
また、図示しないが、遮光性の絶縁膜8は、第1実施の形態における遮光性の絶縁膜7同様、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cのみを平面視した状態で覆うよう島状に形成されていても構わない。
【0103】
また、本実施の形態における遮光性の絶縁膜8を構成する材料は、第1実施の形態における遮光性の絶縁膜7を構成する材料と同一であるため、その説明は省略する。
【0104】
尚、遮光性の絶縁膜8を形成する工程は、下地絶縁膜12上に形成する以外は、第1実施の形態の遮光性の絶縁膜7を形成する工程と略同じであるため、その記載は省略する。
【0105】
このように、本実施の形態によれば、遮光膜を兼ねた膜である走査線11aでは遮光することのできない、半導体層1のチャネル領域1aに該チャネル領域1aの下層側から入射してしまう光を、半導体層1に当接する半導体層1の直下の層または半導体層1に近接する半導体層1の下層において積層された遮光性の絶縁膜8によって遮光することができる。
【0106】
よって、チャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができることにより、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0107】
(第3実施の形態)
図11は、本実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図である。
【0108】
この第3実施の形態の液晶装置の構成は、上述した第1実施の形態の液晶装置及び上述した第2実施の形態の液晶装置と比して、半導体層の上層側及び下層側からの両方からチャネル領域に入射する光を遮光する点のみが異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態の液晶装置100及び第2実施の形態の液晶装置と同様の構成部材には、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0109】
図11に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、下地絶縁膜12上において、半導体層1自体を、半導体層1に当接する直下の層または近接する下層において平面視した状態で覆う上述した第2実施の形態に示した遮光性の絶縁膜8が島状に形成されている。
【0110】
また、ゲート絶縁膜2及びゲート電極3a上には、半導体層1自体を、半導体層1に近接する上層において平面視した状態で覆う上述した第1実施の形態に示した遮光性の絶縁膜7が島状に形成されている。
【0111】
尚、本実施の形態においても、遮光性の絶縁膜7、8は、半導体層1の上層及び下層において、半導体層1の少なくとも一部、具体的には、少なくとも低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cのみを平面視した状態で覆うよう島状に形成されていても構わない。
【0112】
尚、遮光性の絶縁膜7、8を形成する工程は、第1の実施の形態及び第2実施の形態と同じであるため、その記載は省略する。
【0113】
このように、本実施の形態によれば、チャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層及び下層側から入射してしまう光を、半導体層1の上層及び下層に積層された遮光性の絶縁膜7、8によって遮光することにより、半導体層1のチャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0114】
よって、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0115】
(第4実施の形態)
図13は本発明の第4実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図である。
【0116】
上述した第1実施の形態においては、半導体層だけでなくゲート電極上においても遮光性の絶縁膜を形成した。これに対し、本実施の形態は、ゲート電極上以外の半導体層上に遮光性の絶縁膜を形成した点が第1実施の形態と異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0117】
図13に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、半導体層(図示せず)上には、遮光性の絶縁膜91が形成されている。絶縁膜91は、平面視すると、ゲート電極3a上を除き、半導体層1(図5参照)を覆うように構成される。即ち、絶縁膜91は、図5の絶縁膜7においてゲート電極3a上の部分を除去したものである。例えば、ゲート電極3a形成後において、ゲート電極3a上を除く半導体層1をレジスト等でマスクして絶縁膜をパターン形成することによって、絶縁膜91を形成することができる。
【0118】
このように、本実施の形態によれば、チャネル領域1aに該チャネル領域1aの上層側から入射しようとする光を、半導体層1の上層に積層された遮光性の絶縁膜91によって遮光することにより、半導体層1のチャネル領域1aに光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0119】
よって、チャネル領域1aに光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0120】
更に、本実施の形態においては、ゲート電極形成部分において遮光性の絶縁膜を形成せず、ゲート電極形成部分以外の半導体層上に遮光性の絶縁膜を形成していることから、遮光性の絶縁膜によってゲート電極形成部分の段差を低減することができる。
【0121】
(第5実施の形態)
図14は本発明の第5実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図である。
【0122】
上述した第1実施の形態においては、図6においてLDD領域上にのみ遮光性の絶縁膜を形成する例を示した。これに対し、本実施の形態は、ソース領域におけるLDD領域を構成する低濃度ソース領域1bと、ドレイン領域におけるLDD領域を構成する低濃度ドレイン領域1cのうち画素電極9aが電気的に接続されるドレイン領域のLDD領域のみの半導体層上に遮光性の絶縁膜を形成した点が図6の実施の形態と異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
【0123】
図14に示すように、本実施の形態の液晶装置においては、半導体層1上には、遮光性の絶縁膜92が形成されている。絶縁膜92は、平面視すると、画素電極9aが電気的に接続されるドレイン領域側の低濃度ドレイン領域1c上にのみ形成されて、この部分のLDD領域を覆うように構成される。即ち、絶縁膜92は、図6の絶縁膜7において低濃度ソース領域1b上の部分を除去したものであり、絶縁膜92の側面及び画素電極9aの側面同士は接している。例えば、ゲート電極3a形成後において、低濃度ドレイン領域1cを除く部分をマスクして絶縁膜をパターン形成することによって、絶縁膜92を形成することができる。
【0124】
このように、本実施の形態によれば、画素電極に電気的に接続されたドレイン領域側のLDD領域の上層側から入射しようとする光を、遮光性の絶縁膜92によって遮光することにより、画素電極側のLDD領域に光が入射してしまうことを防ぐことができる。
【0125】
よって、LDD領域に光が入射してしまうことにより発生するオフリーク電流に起因する表示ムラ、クロストーク、フリッカの発生や、表示におけるコントラストの低下の発生を防止することができる構成を有する液晶装置を提供することができる。
【0126】
ところで、半導体層のうち画素電極に電気的に接続されたドレイン領域側の方がソース領域側よりも、光の影響を受けやすい。従って、本実施の形態のように、画素電極に電気的に接続されたドレイン領域側のLDD領域を遮光性の絶縁膜で覆うことによって、効果的に光リークの影響を回避することが可能である。なお、ドレイン領域・ソース領域の呼称に拘わらず、画素電極が電気的に接続された側のLDD領域上を覆うように遮光性の絶縁膜を形成すればよい。
【0127】
また、上述したように、ソース・ドレイン領域との電気的な接続を図るために、ソース領域上及びドレイン領域上にコンタクトホールを開孔する。第1実施の形態においては、遮光性の絶縁膜と層間絶縁膜との選択比を考慮すると、コンタクトホール開孔前に遮光性の絶縁膜を除去しておいた方がよい。これに対し、本実施の形態においては、このコンタクト領域に遮光性の絶縁膜を設けていないので、加工容易であるという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0128】
また、液晶装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶装置は、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールであっても構わない。
【0129】
さらに、本実施の形態においては、電気光学装置は、液晶装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、エレクトロルミネッセンス装置、特に、有機エレクトロルミネッセンス装置、無機エレクトロルミネッセンス装置等や、プラズマディスプレイ装置、FED(Field Emission Display)装置、SED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display)装置、LED(発光ダイオード)表示装置、電気泳動表示装置、薄型のブラウン管または液晶シャッター等を用いた小型テレビを用いた装置などの各種の電気光学装置に適用できる。
【0130】
また、電気光学装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
【0131】
また、電気光学装置は、片側の基板の同一層に、一対の電極が形成される表示用デバイス、例えばIPS(In-Plane Switching)や、片側の基板において、絶縁膜を介して一対の電極が形成される表示用デバイスFFS(Fringe Field Switching)等であっても構わない。
【0132】
さらに、本発明の液晶装置が用いられる電子機器としては、投写型表示装置、具体的には、プロジェクタが挙げられる。図12は、図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図である。
【0133】
同図に示すように、プロジェクタ1100に、液晶装置100は、各々RGB用のライトバルブとして、例えば3つ(100R,100G,100B)配設されている。
【0134】
プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投写光が発せされると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R,100G,100Bに各々導かれる。
【0135】
この際、特にB光は、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。
【0136】
そして、ライトバルブ100R,100G,100Bにより各々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投写レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投写される。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本実施の形態を示す液晶装置の平面図。
【図2】図1中のII−II線に沿って切断した断面図。
【図3】図1のTFT基板に積層された各層の成膜パターンを示す平面図。
【図4】図3中のIV-IV線に沿う位置における一つの画素に着目した図1の液晶装置の模式的断面図。
【図5】図4の液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図。
【図6】遮光性の絶縁膜を、半導体層のLDD領域の上層のみに形成する変形例を示す部分断面図。
【図7】TFT基板の製造工程における第1層を積層する工程から第2層を積層する工程までを示す工程図。
【図8】図5の遮光性の絶縁膜がゲート絶縁膜を兼ねている変形例を示す液晶装置の部分断面図。
【図9】図8の遮光性の絶縁膜と半導体層との間に、ゲート絶縁膜を形成した変形例を示す液晶装置の部分断面図。
【図10】第2実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図。
【図11】第3実施の形態を示す液晶装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を拡大して示す部分断面図。
【図12】図1の液晶装置が3つ配設されたプロジェクタの構成を示す図。
【図13】本発明の第4実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図。
【図14】本発明の第5実施の形態に係る電気光学装置において、遮光性の絶縁膜が形成された部位を示す斜視図。
【符号の説明】
【0138】
1…半導体層、1a…チャネル領域、1b…低濃度ソース領域、1c…低濃度ドレイン領域、1d…高濃度ソース領域、1e…高濃度ドレイン領域、2…ゲート絶縁膜、3a…ゲート電極、7…遮光性の絶縁膜、8…遮光性の絶縁膜、10…TFT基板、30…TFT、100…液晶装置、1100…プロジェクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置であって、
前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有しており、
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の前記ソース領域及び前記ドレイン領域における少なくともLDD領域を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層全体を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の上層において、前記半導体層に近接して積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の下層において、前記半導体層に当接するか近接するかのいずれかにより積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記遮光性の絶縁膜は、高誘電率材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記遮光性の絶縁膜は、酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとのいずれかから構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記トランジスタは、前記半導体層と、該半導体層に積層された酸化シリコンから構成されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜に前記チャネル領域に対向して積層されたゲート電極とを具備しており、
前記遮光性の絶縁膜は、前記酸化シリコンよりも可視光の透過率が低い材料から構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置を具備する電子機器であって、
前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする電気光学装置を具備する電子機器。
【請求項10】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層上であって、前記トランジスタのゲート電極形成領域を除く部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項11】
前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備し、
前記遮光性の絶縁膜は、前記ソース領域及び前記ドレイン領域のうち画素電極に電気的に接続された領域のLDD領域を覆うよう、島状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項1】
基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置であって、
前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備するLDD構造を有しており、
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の前記ソース領域及び前記ドレイン領域における少なくともLDD領域を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層全体を平面視した状態で覆うよう、前記基板に島状に積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の上層において、前記半導体層に近接して積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層の下層において、前記半導体層に当接するか近接するかのいずれかにより積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記遮光性の絶縁膜は、高誘電率材料から構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記遮光性の絶縁膜は、酸化ハフニウムと酸化ジルコニウムとのいずれかから構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記トランジスタは、前記半導体層と、該半導体層に積層された酸化シリコンから構成されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜に前記チャネル領域に対向して積層されたゲート電極とを具備しており、
前記遮光性の絶縁膜は、前記酸化シリコンよりも可視光の透過率が低い材料から構成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
基板に複数の薄膜が積層され、積層された前記複数の薄膜の一部によってトランジスタが形成された電気光学装置を具備する電子機器であって、
前記トランジスタの半導体層の少なくとも一部を平面視した状態で覆うよう、前記基板に前記複数の薄膜の一部を構成する遮光性の絶縁膜が積層されていることを特徴とする電気光学装置を具備する電子機器。
【請求項10】
前記遮光性の絶縁膜は、前記半導体層上であって、前記トランジスタのゲート電極形成領域を除く部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項11】
前記半導体層は、チャネル領域とソース領域とドレイン領域とを具備し、
前記遮光性の絶縁膜は、前記ソース領域及び前記ドレイン領域のうち画素電極に電気的に接続された領域のLDD領域を覆うよう、島状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−96970(P2008−96970A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207507(P2007−207507)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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