電気光学装置及び電子機器
【課題】COM分割駆動を採用する液晶装置等の電気光学装置に対して、共通電極の不定状態を解消する。
【解決手段】電気光学装置(100)は、走査線を用いた走査が行われている間、1以上の水平ライン毎の画素電極に対応して形成される複数の共通電極(11、COM1〜COMn)のうち相隣接する2つの共通電極に、夫々、第1電圧(VOCMH)及び第2電圧(VCOML)が供給されるように、複数の共通電極の夫々に対して第1電圧及び第2電圧を交互に供給すると共に、各共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に第1電圧から第2電圧へと又は第2電圧から第1電圧へと切り替える切替動作を順に行う供給回路(113)と、走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して第1電圧及び第2電圧を交互に供給するように供給回路を制御する制御回路(112)とを備える。
【解決手段】電気光学装置(100)は、走査線を用いた走査が行われている間、1以上の水平ライン毎の画素電極に対応して形成される複数の共通電極(11、COM1〜COMn)のうち相隣接する2つの共通電極に、夫々、第1電圧(VOCMH)及び第2電圧(VCOML)が供給されるように、複数の共通電極の夫々に対して第1電圧及び第2電圧を交互に供給すると共に、各共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に第1電圧から第2電圧へと又は第2電圧から第1電圧へと切り替える切替動作を順に行う供給回路(113)と、走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して第1電圧及び第2電圧を交互に供給するように供給回路を制御する制御回路(112)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、一対の素子基板及び対向基板間に、電気光学物質の一例である液晶が挟持される液晶装置が一例としてあげられる。素子基板上における複数の画素が配列されてなる表示領域(画素領域)には、走査線及びデータ線の交差に対応して画素電極を含む画素部が形成されることにより、複数の画素部がマトリクス状に平面配列される。そして、各画素部には、画素スイッチング素子として、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、「TFT」と称する)が含まれる。電気光学装置の駆動時、各画素部において、走査線より走査信号が供給されることにより画素スイッチング素子がオン状態となると、データ線より画素スイッチング素子を介して画素電極に画像信号が供給される。また、典型的には、複数の画素電極に対応して、表示領域の概ね全体に、複数の画素部に共通に共通電極(或いは、対向電極)がベタ状に形成されている。そして、液晶装置の駆動時には、画素電極と共通電極との間の電位差に基づく印加電圧が液晶に印加される。その結果、液晶の配向や秩序が制御され、画像表示が可能となる。
【0003】
このような液晶装置においては、近年、液晶装置の低消費電力化を実現するために、共通電極を1水平ライン(1行)毎に分割する(例えば、走査線に平行な方向に沿って分割する)と共に、ある電位レベル(例えば、相対的にハイレベル)の電圧を同一行の共通電極に供給し、且つ異なる電位レベル(例えば、相対的にローレベル)の電圧を相隣接する行の共通電極に供給しつつ、係る電圧の電位レベルを1水平走査期間毎に1行ずつ反転させる駆動(以降、このような駆動を適宜“COM分割駆動”と称する)が行われる(特許文献1参照)。これにより、全ての共通電極に対して同一電位レベルの電圧を供給しつつ、係る全ての共通電極の電位レベルを1水平走査期間毎に一括して反転させる駆動の態様と比較して、低消費電力化を図ることができる。
【0004】
【特許文献1】特願2006−183051
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなCOM分割駆動を採用する液晶装置においては、走査線に走査信号(特に、ハイレベルの走査信号)が入力された後でなければ、共通電極(共通配線)に対して電圧信号が供給されない。言い換えれば、走査線に走査信号(特に、ハイレベルの走査信号)が入力されるまでは、共通電極(共通配線)の電位がどのように電位になるのかは不定である。つまり、走査線に走査信号が入力された後に、共通電極(共通配線)の電位が相対的にハイレベルな電位になるのか又は相対的にローレベルな電位になるのかが不定である。このような電位が不定な状態は、例えば液晶装置の電源を投入した直後、省エネモードからの復帰時、表示モードの切り替え等において発生し得る。しかしながら、このような電位が不定な状態の発生は、液晶装置の安定的な動作に対しては好ましいものであるとは言いがたい。
【0006】
また、共通電極(共通配線)に対して電圧信号を供給する負荷を相対的に低減させるために、共通電極(共通配線)に対して電圧信号を供給する駆動回路が、液晶パネルの両側端(例えば、右端及び左端)に隣接して2つ設けられる構成を採用することがある。この場合、共通電極(共通配線)の電位がどのように変化するかが不定である状態においては、両側端に隣接する2つの駆動回路の夫々は、どのような電位を有する電圧信号を共通電極(共通配線)に対して供給すればよいのかを確実に認識することができない。更には、何らかの要因によって、ある共通電極(共通配線)に対して、2つの駆動回路から異なる電位を有する電圧信号が供給されかねない。この場合、共通電極(共通配線)や当該共通電極(共通配線)に電圧信号を供給する駆動回路に対して貫通電流が流れてしまうという技術的な問題点が発生する。これは、液晶パネルの破損にもつながりかねないという技術的な問題点にもつながる。
【0007】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばCOM分割駆動を採用する液晶装置等の電気光学装置に対して、共通電極の不定状態を解消することが可能な電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(電気光学装置)
本発明の電気光学装置は、複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられた複数の画素電極と、前記画素電極に対応して形成される複数の共通電極と、前記複数の画素電極と前記複数の共通電極との間に印加される電界に応じて駆動される電気光学物質とを備える電気光学装置であって、前記複数の走査線を用いた走査が行われている間、相隣接する2つの共通電極に、夫々、第1電圧及び該第1電圧とは異なる第2電圧が供給されるように、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給すると共に、前記一の共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に前記第1電圧から前記第2電圧へと又は前記第2電圧から前記第1電圧へと切り替える切替動作を前記複数の共通電極に対して順に行う供給回路と、前記複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する制御回路とを備える。
【0009】
本発明の電気光学装置によれば、例えば液晶装置等の電気光学装置が備える共通電極に対して共通配線を介して電圧を供給することにより、電気光学装置を駆動することができる。本発明に係る電気光学装置は、例えば画像信号が供給されるデータ線と走査信号が供給される走査線との交差位置に対応するように設けられる複数の画素電極と、1以上の水平ライン毎に設けられる(言い換えれば、1つの走査線毎若しくは2以上の走査線毎に1つずつ設けられる)複数の共通電極とを備えている。つまり、本発明においては、通常ベタ状に形成される共通電極が、1水平ライン毎(例えば、走査線に沿って)若しくは2以上の水平ライン毎(例えば、2以上の走査線に沿って)に、電気的に分割されている。そして、水平ライン毎に、各水平ラインに属する複数の画素電極の一部と共通電極との間の電位差に起因した電圧が電気光学物質に印加されることで、画像表示等が行われる。
【0010】
このような電気光学装置を駆動するため(特に、共通電極に対して電圧を供給するために)、本発明に係る電気光学装置は、供給回路を備えている。このとき、供給回路は、COM分割駆動を利用して電気光学装置を駆動する。
【0011】
具体的には、供給回路は、例えば複数の共通電極に対応して形成される複数の共通配線を介して、電気光学装置が備える複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給する。この複数の共通電極への電圧の供給は、複数の走査線を用いた走査が行われている間(つまり、複数の走査線に対して順に選択状態レベルにある走査信号が供給されている間)に行われる。ここで、本発明に係る供給回路は、複数の共通電極のうちの相隣接する2つの共通電極に対して、夫々異なる電圧(つまり、第1電圧及び第2電圧)が供給されるように、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給する。言い換えれば、供給回路は、奇数ライン(奇数行)に対応する共通電極に供給される電圧の極性と、偶数ライン(偶数行)に対応する共通電極に供給される電圧の極性とが相互に反転するように、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給する。具体的には、供給回路は、一の共通電極に対して第1電圧(例えば、相対的にハイレベルな電圧)及び第2電圧(例えば、相対的にローレベルな電圧)のうちの一方を供給する。その一方で、供給回路は、一の共通電極に隣接する他の共通電極に対して第1電圧及び第2電圧のうちの他方を供給する。
【0012】
加えて、供給回路は、各共通電極に対して供給される電圧を、所定期間毎に第1電圧から第2電圧へと又は第2電圧から第1電圧へと切り替える。例えば、一の所定期間において一の共通電極に第1電圧及び第2電圧の一方を供給すると共に、一の所定期間に続く他の所定期間において一の共通電極に第1電圧及び第2電圧の他方を供給する。この切替動作は、例えば、各共通電極に対して、隣接する行の走査線に対して選択状態レベル(例えば、ハイレベル)にある走査信号が供給されるタイミングで行われる。他方で、例えば、隣接する行の走査線に対して非選択状態レベル(例えば、ローレベル)にある走査信号が供給されている間は、切替動作は行われることなく、現在供給されている電圧がそのまま供給され続ける。
【0013】
尚、本発明における「所定期間」とは、第1電圧から第2電圧へと又は第2電圧から第1電圧へと切り替えられる期間として、駆動方式に対応して予め設定される期間を意味し、例えば、一垂直走査期間、フレーム期間、フィールド期間等が一例としてあげられる。また、本発明における「選択状態レベル」とは、走査線と電気的に接続されていると共に走査信号のレベルに応じて状態が切り替わるTFT等のスイッチング素子をオン状態とする(言い換えれば、該スイッチング素子を含む画素部を選択状態とする)ことができるレベルを示す趣旨である。また、本発明における「非選択状態レベル」とは、走査線と電気的に接続されていると共に走査信号のレベルに応じて状態が切り替わるTFT等のスイッチング素子をオフ状態とする(言い換えれば、該スイッチング素子を含む画素部を非選択状態とする)ことができるレベルを示す趣旨である。
【0014】
本発明に係る電気光学装置は、更に制御回路を備えている。制御回路は、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するように供給回路を制御する。言い換えれば、制御回路は、複数の走査線に対して順に選択状態レベルにある走査信号が供給されているか又は供給されていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するように供給回路を制御する。このときも、制御回路は、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように供給回路を制御する。つまり、制御回路は、通常は複数の走査線を用いた走査が行われている場合に複数の共通電極への電圧の供給を行う供給回路に対して、複数の走査線を用いた走査が行われていない場合であっても複数の共通電極への電圧の供給を行わせることができる。言い換えれば、制御回路の動作によって、任意の又は所望のタイミングで複数の共通電極への電圧の供給を行うことができる。
【0015】
これにより、走査線を用いた走査が開始される前に複数の共通電極に対して電圧を供給することができる。従って、複数の共通電極の電位が不定になってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。特に、この場合であっても、通常のCOM分割駆動と同様に、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給される。このため、電気光学装置は、走査線を用いた走査が開始された際に複数の共通電極の夫々の電位の状態を把握した上で動作(つまり、通常のCOM分割駆動)を行うことができる。このため、複数の共通電極の電位が不定になることで引き起こされ得る電気光学装置への悪影響を好適に抑制することができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記複数の共通電極の夫々は、水平ラインに沿って延在する共通配線と一体に形成されており、前記供給回路は、前記共通配線の一方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第1供給回路部と、前記共通配線の他方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第2供給回路部とを備える。
【0017】
この態様によれば、対応する共通電極と一体に形成される共通配線が水平ライン毎に設けられている。そして、第1電圧及び第2電圧は、供給回路から共通配線を介して共通電極に対して供給される。このとき、各共通配線には、第1供給回路部及び第2供給回路部の夫々から同一の電圧が供給される。例えば、各共通配線の夫々の一方の端部に対して第1供給回路部から第1電圧及び第2電圧の一方が供給されると共に、各共通配線の夫々の他方の端部(つまり、一方の端部とは逆側に位置する端部)に対して第2供給回路部から同じ電圧(つまり、第1電圧及び第2電圧の一方)が供給される。
【0018】
このとき、上述したように、制御回路の動作によって、走査線を用いた走査が開始される前であっても、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように複数の共通電極への電圧の供給を行うことができる。このため、第1供給回路部及び第2供給回路部は、複数の共通電極の夫々の電位の状態を把握した上で動作を行うことができる。従って、第1供給回路部が一の共通電極へ供給する電圧の電位と第2回路供給回路部が同じ一の共通電極へ供給する電圧の電位とが異なってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。このため、共通電極(或いは、共通配線)や当該共通電極(或いは、共通配線)に第1電圧又は第2電圧を供給する駆動回路に対して貫通電流が流れてしまうという不都合の発生を好適に抑制することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1電圧又は前記第2電圧を選択するための極性信号を保持するラッチ回路を更に備え、前記制御回路は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び前記制御回路による制御が行なわれるか否かを示す参照信号の夫々に基づいて、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する。
【0020】
このように構成すれば、制御回路は、供給回路が通常参照する極性信号と、当該制御回路による制御(つまり、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するための制御)が行われるか否かを示す参照信号とを参照することで、供給回路を制御することができる。このため、COM分割駆動の通常の動作に影響を与えることなく、複数の共通電極の電位が不定になってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。
【0021】
上述の如く制御回路が極性信号及び参照信号の夫々に基づいて供給回路を制御する電気光学装置の態様では、前記参照信号の信号レベルに応じて、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び該極性信号の反転信号の何れか一方又は固定信号レベルを有する固定信号を出力する制御回路部を水平ライン毎に備えるように構成してもよい。
【0022】
このように構成すれば、制御回路による制御を行なわない場合(つまり、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するための制御を行なわない場合)には、制御回路部がラッチ回路において保持された極性信号をそのまま或いは反転して出力することで、COM分割駆動の通常の動作を行うことができる。
【0023】
一方で、制御回路による制御を行なう場合(つまり、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するための制御を行う場合)には、制御回路部が参照信号に応じた固定信号(言い換えれば、極性信号に依存しない固定信号)を出力することで、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給することができる。
【0024】
上述の如く制御回路が水平ライン毎に制御回路部を備える電気光学装置の態様では、前記参照信号は、前記制御回路による制御が行なわれるべき期間はハイレベルとなると共に、前記制御回路による制御が行なわれる期間以外の他の期間はローレベルとなり、前記制御回路部は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号と前記参照信号との否定論理和信号を出力する否定論理和回路を備えるように構成してもよい。
【0025】
このように構成すれば、参照信号がローレベルとなる場合(つまり、制御回路による制御を行なわない場合)には、制御回路部(特に、制御回路部が備える否定論理和回路)からは、極性信号の反転信号が出力される。従って、供給回路は、極性信号の反転信号に基づいて、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように、複数の共通電極の夫々に対して第1電圧及び第2電圧を交互に供給すると共に、各共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に切り替えることができる。つまり、COM分割駆動の通常の動作を好適に行うことができる。
【0026】
他方で、参照信号がハイレベルとなる場合(つまり、制御回路による制御を行なわない場合)には、制御回路部(特に、制御回路部が備える否定論理和回路)からは、相対的にローレベルの固定信号が出力される。つまり、制御回路部からは、極性信号に依存せず且つ走査線を用いた走査が行われるか否かに依存することなく、固定信号が出力される。従って、制御回路部からローレベルからローレベルの信号が出力された場合には、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給することができる。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記制御回路は、前記電気光学装置の電源が投入された直後に、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する。
【0028】
この態様によれば、電気光学装置の電源が投入された直後という複数の共通電極の電位が不定になってしまいやすいタイミングで、複数の共通電極に対して電圧を供給することができる。このため、複数の共通電極の電位が不定になることで引き起こされ得る電気光学装置への悪影響を好適に抑制することができる。
【0029】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学装置は、前記複数の画素電極及び前記複数の共通電極の夫々が形成される第1基板と、前記第1基板に対向するように配置される第2基板とを備えており、前記電気光学物質は、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持される。
【0030】
この態様によれば、例えば、FFS方式やIPS方式等の横電界駆動方式の電気光学装置において、上述した各種効果を享受することができる。
【0031】
尚、複数の共通電極は、第2基板側に形成されてもよい。
【0032】
本発明の他の電気光学装置は、複数の走査線、複数のデータ線、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素電極、及び当該画素電極に対応して設けられ前記走査線に沿う方向に分割された複数の共通電極を有する第1基板と、当該第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学物質と、を備える電気光学装置であって、前記複数の共通電極の両端に配置され、前記共通電極の両端から第1電圧と、前記第1電圧よりも電位の高い第2電圧と、を共通電極に供給する第1供給回路部と第2供給回路部と、前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記共通電極に出力される電圧を共通電極ごとにすべて一致させる制御回路と、前記走査線を選択する選択電圧を前記複数の走査線に順次供給する走査線駆動回路と、前記走査線が選択された際に、前記第1電圧よりも電位の高い正極性の画像信号と、前記第2電圧よりも電位の低い負極性の画像信号と、を交互に前記複数のデータ線に供給するデータ線駆動回路と、を備え、前記制御回路により前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から共通電極に出力する電圧を各共通電極ごとにすべて一致させてから、前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記第1電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記正極性の画像信号を前記データ線に供給し、前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部により前記第2電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記負極性の画像信号を前記データ線に供給する。
【0033】
この態様によれば、片方の基板上に設けられた画素電極と共通電極間の横電界若しくは斜め電界により液晶を駆動する横電界方式の電気光学装置において、共通電極は、走査線に沿う方向、すなわち水平ライン方向に走査線ごと、若しくは複数の走査線ごとに分割さている。よって、共通電極は、水平ライン方向に細長い形状となり、配線抵抗が高くなるため、電圧供給回路部に高い能力が必要になる。そのため共通電極の両端に電圧供給回路部(第1供給回路部、第2供給回路部)を配置し、共通電極の両端から電圧を供給する構成としている。また、両端に配置された第1および第2供給回路部から供給される電圧を一致させるように、第1供給回路部と第2供給回路部から前記共通電極に出力される電圧を各共通電極ごとにすべて一致させる制御回路を備えている。このため、第1供給回路部と第2供給回路部から供給される電圧が不一致になることで、第1供給回路部と第2供給回路部間に貫通電流が流れ、共通電極、第1および第2供給回路部、および周辺回路部に劣化、断線、破壊などのダメージが生じることを防ぐことが出来る。
【0034】
(電子機器)
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0035】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置(或いは、その各種態様)備えているため、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる。つまり、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現することができる。
【0036】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から更に明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下では、本発明に係る電気光学装置の一例として、液晶装置を用いて説明を進める。
【0038】
(1)液晶装置の基本構成
先ず、本実施形態に係る液晶装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0039】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、本発明に係る「第1基板」の一例としてのTFTアレイ基板10と本発明における「第2基板」の一例としての対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置する枠状或いは額縁状のシール領域に設けられたシール材52により互いに貼り合わされている。
【0040】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のスペーサが散布されている。
【0041】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。但し、データ線駆動回路101は、シール領域よりも内側に、データ線駆動回路101が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられていてもよい。また、共通配線駆動回路110は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、不図示の走査線駆動回路104もまた、シール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0042】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。具体的には、画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に共通電極11、絶縁層12及び画素電極9aがこの順に形成されている。つまり、本実施形態に係る液晶装置100は、画素電極9aと共通電極11との間に生ずる電界によって液晶層50の配向状態を制御する横電界駆動方式(特に、FFS(Fringe Field Switching)方式)を採用している。ここで、画素電極9aは、画像表示領域10aを構成する各画素を形成するようにマトリクス状に設けられている。一方で、共通電極11は、1つの行に属する画素電極9aに対応する共通電極が、1水平ラインごとに配置される走査線ごとに配置されるデータ線ごとに分割されている。尚、共通電極11は、複数ラインごとに分割、すなわち、1以上の水平ラインごとの画素電極に対応して形成されていてもよい。また、本実施形態では、共通電極11と共通配線COMは、同一プロセスにより一体に形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上にカラーフィルタ8が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の基板間で、所定の配向状態をとる。
【0043】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0044】
(2)液晶装置の詳細な構成
続いて、図3を参照して、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【0045】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100は、そのTFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、2つの共通配線駆動回路110等の駆動回路が形成されている。
【0046】
走査線駆動回路104は、走査信号を、走査線Y1からYn(但し、nは1以上の整数)に順次供給する。例えば、ある走査線Ya(但し、aは、1≦a≦nを満たす整数)にハイレベルの走査信号が供給されると、この走査線Yaに接続されたTFT116が全てオン状態となり、この走査線Yaに対応する画素部70が全て選択される。
【0047】
データ線駆動回路101は、画像信号を、データ線X1からXm(但し、mは1以上の整数)に順次供給し、オン状態のTFT116を介してこの画像信号に基づく画像電圧を画素電極9aに書き込む。
【0048】
共通配線駆動回路110は、後に詳述するように、第1電圧VCOMH又は第1電圧VCOMHよりも電位が低い第2電圧VCOML(言い換えれば、所定の基準電位(例えば、画像信号に基づく画像電圧の中心電位)に対して正極性の第1電圧VCOMH(例えば、5V)又は所定の基準電位に対して負極性の第2電圧VCOML(例えば、0V))を、共通配線COM1からCOMnに供給する。より具体的には、共通配線駆動回路110は、a行目の共通配線COMaに対して、1フレーム期間毎に、第1電圧VCOMHと第2電圧VCOMLとを交互に供給する。例えば、共通配線駆動回路110は、ある1フレーム期間において、共通配線COMaに第1電圧VCOMHを供給した場合には、次の1フレーム期間において、共通配線COMaに第2電圧VCOMLを供給する。他方、共通配線駆動回路110は、ある1フレーム期間において、共通配線COMaに第2電圧VCOMLを供給した場合には、次の1フレーム期間において、共通配線COMaに第1電圧VCOMHを供給する。また、共通配線駆動回路110は、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧を供給する。つまり、共通配線駆動回路110は、共通配線COMa−1に第1電圧VCOMH(又は、第2電圧VCOML)を供給する一方で、共通配線COMa−1に隣接する共通配線COMaに第2電圧VCOML(又は、第1電圧VCOMH)を供給する。尚、共通配線駆動回路110の構成や詳細な動作については後に詳細に説明する(図4から図7参照)。
【0049】
尚、本実施形態では、画像表示領域10aの左右の夫々に共通配線駆動回路110が設けられている。この2つの共通配線駆動回路110は、互いに同じ構成を有すると共に同じ動作(同じ信号、電圧が入力され、同じタイミングで、同じ信号、電圧を共通配線COMaに出力する)を行う。このため、以降の説明では、単に“共通線駆動回路110”と称する場合には、2つの共通配線駆動回路110の夫々を示しているものとする。
【0050】
本実施形態に係る液晶装置100には、更に、そのTFTアレイ基板10の中央を占める画像表示領域10aに、マトリクス状に配列された複数の画素部70が設けられている。
【0051】
画素部70は、画素スイッチング用のTFT116、液晶容量118及び蓄積容量119を備えている。
【0052】
TFT116は、ソース端子がデータ線X1からXmのいずれかに電気的に接続され、ゲート端子が走査線Y1からYnのいずれかに電気的に接続され、ドレイン端子が画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用のTFT116は、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられる。
【0053】
液晶容量118は、画素電極9a、共通電極11並びに画素電極9a及び共通電極11間に位置する液晶から構成されている。画素電極9aは、TFT116を介してデータ線X1からXmのいずれかと電気的に接続されている。共通電極11は、共通配線COM1からCOMnのいずれかと電気的に接続されている。尚、画素電極9a及び共通電極11は、上述したように、いずれもTFTアレイ基板10上に設けられている。液晶装置100の動作時には、データ線X1からXm及びTFT116を介して供給された画像信号の電位を有する画素電極9aと、共通配線COM1からCOMnを介して供給された第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLの電位を有する共通電極11との間には、TFTアレイ基板10の基板面に沿った横電界が生じる。液晶は、当該横電界に応じて駆動されることによって、即ち、当該横電界に応じて分子集合の配向や秩序が変化することによって、光を変調し、階調表示を可能とする。
【0054】
蓄積容量119は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、液晶容量118と並列に付加されている。蓄積容量119を構成する一方の電極は、画素電極9aに電気的に接続され、他方の電極は、共通電極11に電気的に接続されている。尚、本実施形態では、共通配線COMaは、1水平ラインごとに分割された共通電極11と一体に形成されている。
【0055】
以上の液晶装置100は、以下のように動作する。
【0056】
まず、走査線駆動回路104から走査線Yaにハイレベルの走査信号を供給することで、走査線Yaに接続された全てのTFT116をオン状態にして、走査線Yaに係る全ての画素部70を選択する。
【0057】
また、走査線Yaに係る画素部70の選択に同期して、データ線駆動回路101からデータ線X1からXmに、共通配線COM1からCOMnの電位に応じて、正極性の画像信号と負極性の画像信号とを、1水平走査期間毎に交互に供給する。具体的には、共通配線COMaの電位が第1電圧VCOMHであれば、所定の基準電位に対して負極性の画像信号をデータ線X1からXmに供給する。他方、共通配線COMaの電位が第2電圧VCOMLであれば、所定の基準電位に対して正極性の画像信号をデータ線X1からXmに供給する。
【0058】
これにより、走査線駆動回路104で選択した全ての画素部70に、データ線駆動回路101からデータ線X1からXm及びTFT116を介して画像信号が供給される、この画像信号に基づく画像電圧が画素電極9aに書き込まれる。これにより、画素電極9aと共通電極11との間に電位差が生じて、駆動電圧が液晶に印加される。
【0059】
(3)共通配線駆動回路の具体的な構成及び動作
続いて、図4を参照して、共通配線駆動回路110の具体的な構成及び動作について説明する。ここに、図4は、共通配線駆動回路110の構成を概念的に示すブロック図である。
【0060】
図4に示すように、共通配線駆動回路110は、ラッチ回路111と、本発明における「制御回路」の一具体例を構成する制御信号出力回路112と、本発明における「供給回路、第1供給回路部、第2供給回路部」の一具体例を構成する電圧選択回路113とを備えている。
【0061】
続いて、図5を参照して、共通配線駆動回路110が備えるラッチ回路111の構成について説明する。ここに、図5は、共通配線駆動回路110が備えるラッチ回路111の構成を概念的に示すブロック図である。
【0062】
図5に示すように、ラッチ回路111は、1行目の共通配線COM1及びn行目の共通配線COMnに対応して設けられた第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nと、2行目からn−1行目の共通配線COM2からCOMn−1に対応して設けられた第2ラッチ回路部111−2#2から111−2#n−1(つまり、共通配線COMb(但し、bは、2≦b≦n−1を満たす整数)に対応して設けられた第2ラッチ回路部111−2#b)とを含んでいる。
【0063】
第2ラッチ回路部111−2#bは、NOR回路U11、第1インバータU12、第2インバータU13、第1クロックドインバータU14及び第2クロックドインバータU15を備えている。
【0064】
NOR回路U11の2つの入力端子には、夫々、第2ラッチ回路部111−2#bに対応する共通配線COMbの前段(つまり、前の行であって、b−1行目)の走査線b−1と、第2ラッチ回路部111−2#bに対応する共通配線COMbの後段(つまり、後の行であって、b+1行目)の走査線Yb+1とが電気的に接続されている。
【0065】
第1インバータU12の入力端子、第1クロックドインバータU14の反転入力制御端子及び第2クロックドインバータU15の非反転入力端子の夫々には、NOR回路U11の出力端子が電気的に接続されている。また、第1インバータU12の出力端子には、第1のクロックドインバータU14の非反転入力制御端子及び第2クロックドインバータU15の反転入力端子の夫々が電気的に接続されている。
【0066】
第1クロックドインバータU14の入力端子には、極性信号POLが入力されている。尚、極性信号POLは、1垂直走査期間(例えば、1フィールド期間又は1フレーム期間)毎に電位レベルがハイレベルからローレベルへと又はローレベルからハイレベルへと切り替わる信号である。第1クロックドインバータU14の出力端子には、第2クロックドインバータU15の出力端子及び第2インバータU13の入力端子の夫々が電気的に接続されている。第2クロックドインバータU15の入力端子には、第2インバータU13の出力端子が電気的に接続されている。
【0067】
以上の第2ラッチ回路部111−2#bは、以下のように動作する。
【0068】
まず、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が供給されると、該ハイレベルの走査信号は、NOR回路U11に入力される。その結果、NOR回路U11の出力端子からは、ローレベルの信号が出力される。NOR回路U11の出力であるローレベルの信号は、第1クロックドインバータU14の反転入力制御端子に入力される。また、NOR回路U11の出力であるローレベルの信号は、第1インバータU12により極性が反転されてハイレベルの信号に変換され、該ハイレベルの信号が第1クロックドインバータU14の非反転入力制御端子に入力される。このため、第1クロックドインバータU14はオン状態となり、極性信号POLの極性を反転した信号である反転極性信号/POLを出力する。この第1クロックドインバータU14から出力された反転極性信号/POLは、第2インバータU13により極性が再度反転されて極性信号POLに戻り、ラッチ信号LATbとして出力される。
【0069】
他方、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の双方にローレベルの走査信号が供給されると、該ローレベルの走査信号は、NOR回路U11に入力される。その結果、NOR回路U11の出力端子からは、ハイレベルの信号が出力される。NOR回路U11の出力であるハイレベルの信号は、第2クロックドインバータU15の非反転入力制御端子に入力される。また、NOR回路U11の出力であるハイレベルの信号は、第1インバータU12により極性が反転されてローレベルの信号に変換され、該ローレベルの信号が第2クロックドインバータU15の反転入力制御端子に入力される。このため、第2クロックドインバータU15はオン状態となり、第2インバータU13から出力された極性信号POLの極性を反転した信号(つまり、反転極性信号/POL)を出力する。この第2クロックドインバータU15から出力された反転極性信号/POLは、第2インバータU13により極性が再度反転されて極性信号POLに戻り、極性信号POLがラッチ信号LATbとして出力される。
【0070】
即ち、第2ラッチ回路部111−2#bは、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が供給されると、極性信号POLを取り込んで、この取り込んだ極性信号POLをラッチ信号LATbとして出力する。また、第2ラッチ回路部111−2#bは、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の双方にローレベルの走査信号が供給されると、ラッチ信号LATbを第2インバータU13及び第2クロックドインバータU15により保持しつつ、出力する。つまり、第2ラッチ回路部111−2#bは、ハイレベルの走査信号が走査線Yb−1及び走査線Yb+1の少なくとも一方に入力された時点で取り込んだ極性信号POLを、少なくとも1垂直走査期間の間出力し続けることができる。
【0071】
続いて、第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nについて説明する。第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nは、第2ラッチ回路部111−2#bと比較して、NOR回路U11に代えて、低電位電源VLLが第1インバータU12の入力端子、第1クロックドインバータU14の反転入力制御端子及び第2クロックドインバータU15の非反転入力端子の夫々に電気的に接続されているという点において異なっている。第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nの動作については、第2ラッチ回路部111−2#bの動作と同様である。つまり、第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nでは、第1クロックドインバータU14が常にオン状態になり、取り込んだ極性信号POLを、常に出力し続けることができる。
【0072】
続いて、図6を参照して、共通配線駆動回路110が備える制御信号出力回路112の構成について説明する。ここに、図6は、共通配線駆動回路110が備える制御信号出力回路112の構成を概念的に示すブロック図である。
【0073】
図6に示すように、制御信号出力回路112は、1行目からn行目の共通配線COM1からCOMnに対応して設けられた制御信号出力回路部112−1#a(但し、aは、1≦a≦nを満たす整数)を含んでいる。
【0074】
制御信号出力回路部112−1#aは、NOR回路U21を備えている。NOR回路U21の2つの入力端子には、夫々、ラッチ信号LATa及びリセット信号RSTが入力される。NAND回路U21の出力端子は、インバータU22の入力端子と電気的に接続されている。
【0075】
尚、リセット信号RSTは、本発明における「参照信号」の一具体例を構成しており、液晶装置100のリセット動作(特に、走査線Y1からYnに走査信号が供給されているか否かに関わらず、共通配線COM1からCOMnの夫々に対して電圧を供給するリセット動作)が行われるか否かを示す信号である。具体的には、リセット信号RSTは、例えば、リセット動作を行う間はハイレベルの信号レベルを有する一方で、リセット動作を行わない間はローレベルの信号レベルを有する信号である。このリセット信号RSTは、典型的には、液晶装置100の電源が投入された(つまり、OFFからONに切り替えられた)後の所定期間ハイレベルになると共に、その後はローレベルになる。
【0076】
以上の制御信号出力回路部112−1#aは、以下のように動作する。
【0077】
まず、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、NOR回路U21は、ラッチ信号LATaの極性を反転した信号である反転ラッチ信号/LATa(つまり、反転極性信号/POL)を制御信号Saとして出力する。他方で、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、NOR回路U21は、ラッチ信号LATaがハイレベルの信号であるか又はローレベルの信号であるかに依存することなく、ローレベルの信号を制御信号Saとして出力する。
【0078】
続いて、図7を参照して、共通配線駆動回路110が備える電圧選択回路113の構成について説明する。ここに、図7は、共通配線駆動回路110が備える電圧選択回路113の構成を概念的に示すブロック図である。
【0079】
図7に示すように、電圧選択回路113は、奇数行の共通配線COMi(但し、iは、1≦i≦nを満たす奇数であり、具体的には、1、3、・・・k−1、・・・、n−1)に対応して設けられた第1電圧選択回路部113−1#iと、偶数行の共通配線COMj(但し、jは、1≦i≦nを満たす偶数であり、具体的には、2、4、・・・、k、・・・、n)に対応して設けられた第2電圧選択回路部113−2#jとを含んでいる。尚、図7においては、kが偶数である場合の例について図示している。
【0080】
第1電圧選択回路部113−1#iは、インバータU31、TFTU32及びTFTU33を備えている。インバータU31の入力端子には、制御信号出力部112−1#iから出力される制御信号Siが入力される。TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々には、インバータU31の出力端子が電気的に接続されている。TFTU33のソース端子には、第1電圧VCOMHが供給される第1電圧供給線ZHが電気的に接続されている。また、TFTU32のソース端子には、第2電圧VCOMLが供給される第2電圧供給線ZLが電気的に接続されている。また、TFTU32のドレイン端子及びTFTU33のドレイン端子の夫々は、共通配線COMiに電気的に接続される。
【0081】
また、第2電圧選択回路部113−2#jは、インバータU31、TFTU32及びTFTU33を備えている。インバータU31の入力端子には、制御信号出力部112−1#jから出力される制御信号Sjが入力される。TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々には、インバータU31の出力端子が電気的に接続されている。TFTU33のソース端子には、第2電圧VCOMLが供給される第2電圧供給線ZLが電気的に接続されている。また、TFTU32のソース端子には、第1電圧VCOMHが供給される第1電圧供給線ZHが電気的に接続されている。また、TFTU32のドレイン端子及びTFTU33のドレイン端子の夫々は、共通配線COMjに電気的に接続される。
【0082】
以上の第1電圧選択回路部113−1#i及び第2電圧選択回路部113−2#jは、以下のように動作する。
【0083】
まず、制御信号出力回路部112−1#i及び制御信号出力回路部112−1#jから反転ラッチ信号/LATi及び反転ラッチ信号/LATjが制御信号Si及びSjとして出力されている場合について説明する。つまり、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合について説明する。
【0084】
この場合、奇数行においては、制御信号出力回路部112−1#iからは反転極性信号/POLが制御信号Siとして第1電圧選択回路部113−1#iに出力される。この反転極性信号/POLは、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMiとが、TFTU33を介して電気的に接続される。
【0085】
同様に、偶数行においては、制御信号出力回路部112−1#jからは反転極性信号/POLが制御信号Sjとして第2電圧選択回路部113−2#jに出力される。この反転極性信号/POLは、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU32を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMjとが、TFTU33を介して電気的に接続される。
【0086】
このように、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。特に、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、各行の共通配線COMaには、当該共通配線COMaに隣接する行の走査線Ya−1及び走査線Ya+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が入力された時点で取り込んだ極性信号POLに応じて、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが供給される。つまり、通常のCOM分割駆動が行われる。
【0087】
続いて、制御信号出力回路部112−1#i及び制御信号出力回路部112−1#jからローレベルの信号が制御信号Si及びSjとして出力されている場合について説明する。つまり、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合について説明する。
【0088】
この場合、奇数行においては、制御信号出力回路部112−1#iからはローレベルの信号が制御信号Siとして第1電圧選択回路部113−1#iに出力される。このローレベルの信号は、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。
【0089】
同様に、偶数行においては、制御信号出力回路部112−1#jからはローレベルの信号が制御信号Sjとして第2電圧選択回路部113−2#jに出力される。このローレベルの信号は、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU32を介して電気的に接続される。
【0090】
このように、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合にも、リセット信号RSTがローレベルである場合と同様に、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。但し、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合と異なり、各行の共通配線COMaには、極性信号POLに依存することなく且つ走査線Y1からYnに走査信号が供給されるか否かに依存することなく、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが同時に供給される。
【0091】
ここで、以上の如き動作を行う共通配線駆動回路110の動作について、図8を用いて、より詳細に説明する。ここに、図8は、共通配線駆動回路110の動作を示すタイミングチャートである。尚、図8においては、走査の方向が順方向である例(つまり、走査線Y1からYnに向かって順に走査される例)について説明する。
【0092】
図8に示すように、時刻t0で液晶装置100の電源がOFFからONに切り替わったとする。このとき、共通配線COM1からCOMnの電位について言えば、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給された後に第1電圧VCOMHへ切り替わるのか又は第2電圧VCOMLに切り替わるのかが不定である。
【0093】
ここで、時刻t1においてリセット信号RSTの電位がハイレベルになるとする。この場合、奇数行の共通配線COMi(但し、i=1、3、・・・、n−1)には、第2電圧VCOMLが供給される。同様に、偶数行の共通配線COMj(但し、j=2、4、・・・、n)には、第1電圧VCOMHが供給される。従って、この時点で、共通配線COM1からCOMnの電位が明確になると共に、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給された後に共通配線COM1からCOMnの電位が第1電圧VCOMHへ切り替わるのか又は第2電圧VCOMLに切り替わるのかが定まる。
【0094】
その後、リセット信号RSTの電位がハイレベルからローレベルに切り替わった後、時刻t2において極性信号POLがハイレベルからローレベルに反転したとする。極性信号POLがローレベルに切り替わるため、奇数行の共通配線COMi(但し、i=1、3、・・・、n−1)には、次のフレームで第1電圧VCOMHが供給されるようになる。同様に、偶数行の共通配線COMj(但し、j=2、4、・・・、n)には、次のフレームで第2電圧VCOMLが供給されるようになる。
【0095】
このように、本実施形態に係る液晶装置100によれば、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給される前の時点で、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々に対して第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLを供給することができる。従って、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給される前の時点で、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位を確定させることができる。つまり、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位が不定になってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。特に、この場合であっても、通常のCOM分割駆動と同様に、相隣接する2つの共通配線COMa−1と共通配線COMaとには、極性が異なる電圧が供給される。このため、共通線駆動回路110は、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給される時点で、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位の状態を把握した上で動作(つまり、通常のCOM分割駆動)を行うことができる。つまり、共通線駆動回路110は、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給された後に共通配線COM1からCOMnの電位が第1電圧VCOMHへ切り替わるのか又は第2電圧VCOMLに切り替わるのかを明確に把握した上で動作(つまり、通常のCOM分割駆動)を行うことができる。このため、複数の共通配線COM1からCOMnの電位(言い換えれば、複数の共通電極11の電位)が不定になることで引き起こされ得る液晶装置100への悪影響(特に、正常な動作への悪影響)を好適に抑制することができる。
【0096】
加えて、画像表示領域10aの左右端の夫々に隣接するように共通線駆動回路110が設けられる場合であっても、2つの共通線駆動回路の夫々は、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位の状態を把握した上で動作を行うことができる。従って、画像表示領域10aの左側に設けられる共通線駆動回路110が共通電極COMaへ供給する電圧の電位と、画像表示領域10aの右側に設けられる共通線駆動回路110が共通電極COMaへ供給する電圧の電位とが異なってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。このため、共通配線COM1からCOMn(或いは、共通電極11)や共通線駆動回路110自身に対して貫通電流が流れてしまうという不都合の発生を好適に抑制することができる。
【0097】
尚、上述の実施形態では、制御信号出力回路部112−1#aから反転ラッチ信号/LATa(つまり、反転極性信号/POL)又はローレベルの信号が制御信号Saとして出力される制御信号出力回路112の例について説明している。しかしながら、制御信号出力回路112がこれに限定されないことは言うまでもない。例えば、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、制御信号出力回路部112−1#aからラッチ信号LATa(つまり、極性信号POL)が出力され、且つリセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、制御信号出力回路部112−1#aからハイレベルの信号が出力されるように構成してもよい。このように構成しても、上述した効果を好適に享受することができる。但し、図6に示すように制御信号出力回路112中の制御信号出力回路部112−1#1から112−1#nの夫々が共通の構成を有する場合には、図7に示すように電圧選択回路113中の各電圧選択回路が奇数行と偶数行とで異なる構成を有する(つまり、奇数行の第1電圧選択回路部113−1#iと偶数行の第2電圧選択回路部113−2#jとを有する)ことが好ましい。
【0098】
他方で、電圧選択回路113中の各電圧選択回路部が、全ての行で共通の構成を有する場合も考えられる。このような構成を有する電圧選択回路113の一例について、図9を参照して説明する。ここに、図9は、変形例に係る電圧選択回路113aの構成を概念的に示すブロック図である。
【0099】
例えば、図9に示すように、変形例に係る電圧選択回路113aは、図7に示す電圧選択回路113と比較して、奇数行のみならず偶数行においても、第1電圧選択回路部113−1#jを備えるという点において異なっている。
【0100】
このように電圧選択回路113中の電圧選択回路部113−1#1から113−#nが、全ての行で共通の構成を有する場合には、制御信号出力回路112中の制御信号出力回路部112−1#1から112−1#nは、奇数行と偶数行とで異なる構成を有することが好ましい。そして、制御出力回路112においては、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、奇数行の制御信号出力回路部及び偶数行の制御信号出力回路部の夫々から互いに極性が反転した信号(例えば、極性信号POL及び反転極性信号/POL)が出力され、且つリセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、奇数行の制御信号出力回路部及び偶数行の制御信号出力回路部の夫々から互いに極性が反転していると共に固定信号レベルを有する固定信号が出力されるように構成されることが好ましい。このような構成を有する制御信号出力回路112の一例について、図10を参照して説明する。ここに、図10は、変形例に係る制御信号出力回路112aの構成を概念的に示すブロック図である。
【0101】
図10に示すように、変形例に係る制御信号出力回路112aは、図7に示す制御信号出力回路と比較して、偶数行の制御信号出力部112−1#jに代えて、インバータU22が新たに追加された偶数行の制御信号出力回路部112−2#jを備えるという点において異なっている。尚、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iについては変わらない。
【0102】
偶数行の制御信号出力回路部112−2#jからは、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、極性信号POLが制御信号Sjとして出力される一方で、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、ハイレベルの信号が制御信号Sjとして出力される。また、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iからは、上述したように、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、反転極性信号/POLが制御信号Siとして出力される一方で、リセット信号PSLがハイレベルの信号である場合には、ローレベルの信号が制御信号Siとして出力する。
【0103】
この場合、変形例に係る電圧選択回路113aは、以下のように動作する。
【0104】
まず、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合について説明する。この場合、奇数行の第1電圧選択回路部113a−1#iにおいては、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iから入力される反転極性信号/POLが、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMiとが、TFTU33を介して電気的に接続される。また、偶数行の第2電圧選択回路部113−1#jにおいては、奇数行の制御信号出力回路部112−2#jから入力される極性信号POLが、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU33を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMjとが、TFTU32を介して電気的に接続される。
【0105】
このように、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。特に、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、各行の共通配線COMaには、当該共通配線COMaに隣接する行の走査線Ya−1及び走査線Ya+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が入力された時点で取り込んだ極性信号POLに応じて、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが供給される。つまり、通常のCOM分割駆動が行われる。
【0106】
続いて、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合について説明する。この場合、奇数行の第1電圧選択回路部113−1#iにおいては、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iから入力されるローレベルの信号が、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。また、偶数行の第1電圧選択回路部113−1#jにおいては、偶数行の制御信号出力回路部112−2#jから入力されるハイレベルの信号が、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU33を介して電気的に接続される。
【0107】
このように、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合にも、リセット信号RSTがローレベルである場合と同様に、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。但し、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合と異なり、各行の共通配線COMaには、極性信号POLに依存することなく且つ走査線Y1からYnに走査信号が供給されるか否かに依存することなく、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが同時に供給される。
【0108】
従って、図9及び図10に示すように構成したとしても、上述した効果を好適に享受することができる。
【0109】
尚、上述の説明では、液晶装置100の電源が投入された直後にリセット信号RSTがハイレベルになる例について説明している。しかしながら、リセット信号RSTがハイレベルになるタイミングは、これに限定されることはなく、省エネモードからの復帰時、表示モードの切り替え時、任意のタイミング、又は所望のタイミングでリセット信号RSTをハイレベルにしたとしても、上述した効果を享受することができることは言うまでもない。
【0110】
尚、上述の説明では、画素電極9aと共通電極11とがTFT基板10上に設けられつつも夫々異なる層に設けられると共に、画素電極9aと共通電極11とが絶縁層12を間に挟持し、液晶層50側の画素電極9aに開口部を有するFFS方式を採用する液晶装置100について説明を進めているが、液晶層50側に、開口部を有する共通電極11を設けるように構成してもよい。また、画素電極9aと共通電極11とが同じ層に設けられるIPS方式を採用する液晶装置においても、上述した構成を採用することで、上述した各種効果を享受することができることは言うまでもない。また、横電界駆動方式を採用する液晶装置のみならず、例えばTN(ツイスト・ネマティック)方式や、ECB(複屈折電界効果)方式や、VA(垂直配向)方式等の縦電界駆動方式を採用する液晶装置においても、上述した構成を採用することで、上述した各種効果を相応に享受することができる。
【0111】
(4)電子機器
続いて、図11及び図12を参照しながら、上述の液晶装置100を具備してなる電子機器の例を説明する。
【0112】
図11は、上述した液晶装置100が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置100を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶装置100の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0113】
次に、上述した液晶装置100を携帯電話に適用した例について説明する。図12は、電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図12において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、半透過反射型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置100と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。
【0114】
これらの電子機器においても、上述した液晶装置100を含んでいるため、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0115】
尚、図11及び図12を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた直視型の表示装置や、液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0116】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】共通配線駆動回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図5】共通配線駆動回路が備えるラッチ回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図6】共通配線駆動回路が備える制御信号出力回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図7】共通配線駆動回路が備える電圧選択回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図8】共通配線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】変形例に係る電圧選択回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図10】変形例に係る制御信号出力回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図11】液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図12】液晶装置が適用された携帯電話の斜視図である。
【符号の説明】
【0118】
1…液晶装置、11…共通電極、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、110…共通配線駆動回路、111…ラッチ回路、112…制御信号出力回路、113…電圧選択回路、Y1〜Yn…走査線、COM1〜COMn…共通配線、ZH…第1電圧供給線、ZL…第2電圧供給線
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備える電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置として、一対の素子基板及び対向基板間に、電気光学物質の一例である液晶が挟持される液晶装置が一例としてあげられる。素子基板上における複数の画素が配列されてなる表示領域(画素領域)には、走査線及びデータ線の交差に対応して画素電極を含む画素部が形成されることにより、複数の画素部がマトリクス状に平面配列される。そして、各画素部には、画素スイッチング素子として、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、「TFT」と称する)が含まれる。電気光学装置の駆動時、各画素部において、走査線より走査信号が供給されることにより画素スイッチング素子がオン状態となると、データ線より画素スイッチング素子を介して画素電極に画像信号が供給される。また、典型的には、複数の画素電極に対応して、表示領域の概ね全体に、複数の画素部に共通に共通電極(或いは、対向電極)がベタ状に形成されている。そして、液晶装置の駆動時には、画素電極と共通電極との間の電位差に基づく印加電圧が液晶に印加される。その結果、液晶の配向や秩序が制御され、画像表示が可能となる。
【0003】
このような液晶装置においては、近年、液晶装置の低消費電力化を実現するために、共通電極を1水平ライン(1行)毎に分割する(例えば、走査線に平行な方向に沿って分割する)と共に、ある電位レベル(例えば、相対的にハイレベル)の電圧を同一行の共通電極に供給し、且つ異なる電位レベル(例えば、相対的にローレベル)の電圧を相隣接する行の共通電極に供給しつつ、係る電圧の電位レベルを1水平走査期間毎に1行ずつ反転させる駆動(以降、このような駆動を適宜“COM分割駆動”と称する)が行われる(特許文献1参照)。これにより、全ての共通電極に対して同一電位レベルの電圧を供給しつつ、係る全ての共通電極の電位レベルを1水平走査期間毎に一括して反転させる駆動の態様と比較して、低消費電力化を図ることができる。
【0004】
【特許文献1】特願2006−183051
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなCOM分割駆動を採用する液晶装置においては、走査線に走査信号(特に、ハイレベルの走査信号)が入力された後でなければ、共通電極(共通配線)に対して電圧信号が供給されない。言い換えれば、走査線に走査信号(特に、ハイレベルの走査信号)が入力されるまでは、共通電極(共通配線)の電位がどのように電位になるのかは不定である。つまり、走査線に走査信号が入力された後に、共通電極(共通配線)の電位が相対的にハイレベルな電位になるのか又は相対的にローレベルな電位になるのかが不定である。このような電位が不定な状態は、例えば液晶装置の電源を投入した直後、省エネモードからの復帰時、表示モードの切り替え等において発生し得る。しかしながら、このような電位が不定な状態の発生は、液晶装置の安定的な動作に対しては好ましいものであるとは言いがたい。
【0006】
また、共通電極(共通配線)に対して電圧信号を供給する負荷を相対的に低減させるために、共通電極(共通配線)に対して電圧信号を供給する駆動回路が、液晶パネルの両側端(例えば、右端及び左端)に隣接して2つ設けられる構成を採用することがある。この場合、共通電極(共通配線)の電位がどのように変化するかが不定である状態においては、両側端に隣接する2つの駆動回路の夫々は、どのような電位を有する電圧信号を共通電極(共通配線)に対して供給すればよいのかを確実に認識することができない。更には、何らかの要因によって、ある共通電極(共通配線)に対して、2つの駆動回路から異なる電位を有する電圧信号が供給されかねない。この場合、共通電極(共通配線)や当該共通電極(共通配線)に電圧信号を供給する駆動回路に対して貫通電流が流れてしまうという技術的な問題点が発生する。これは、液晶パネルの破損にもつながりかねないという技術的な問題点にもつながる。
【0007】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えばCOM分割駆動を採用する液晶装置等の電気光学装置に対して、共通電極の不定状態を解消することが可能な電気光学装置、及びこのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(電気光学装置)
本発明の電気光学装置は、複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられた複数の画素電極と、前記画素電極に対応して形成される複数の共通電極と、前記複数の画素電極と前記複数の共通電極との間に印加される電界に応じて駆動される電気光学物質とを備える電気光学装置であって、前記複数の走査線を用いた走査が行われている間、相隣接する2つの共通電極に、夫々、第1電圧及び該第1電圧とは異なる第2電圧が供給されるように、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給すると共に、前記一の共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に前記第1電圧から前記第2電圧へと又は前記第2電圧から前記第1電圧へと切り替える切替動作を前記複数の共通電極に対して順に行う供給回路と、前記複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する制御回路とを備える。
【0009】
本発明の電気光学装置によれば、例えば液晶装置等の電気光学装置が備える共通電極に対して共通配線を介して電圧を供給することにより、電気光学装置を駆動することができる。本発明に係る電気光学装置は、例えば画像信号が供給されるデータ線と走査信号が供給される走査線との交差位置に対応するように設けられる複数の画素電極と、1以上の水平ライン毎に設けられる(言い換えれば、1つの走査線毎若しくは2以上の走査線毎に1つずつ設けられる)複数の共通電極とを備えている。つまり、本発明においては、通常ベタ状に形成される共通電極が、1水平ライン毎(例えば、走査線に沿って)若しくは2以上の水平ライン毎(例えば、2以上の走査線に沿って)に、電気的に分割されている。そして、水平ライン毎に、各水平ラインに属する複数の画素電極の一部と共通電極との間の電位差に起因した電圧が電気光学物質に印加されることで、画像表示等が行われる。
【0010】
このような電気光学装置を駆動するため(特に、共通電極に対して電圧を供給するために)、本発明に係る電気光学装置は、供給回路を備えている。このとき、供給回路は、COM分割駆動を利用して電気光学装置を駆動する。
【0011】
具体的には、供給回路は、例えば複数の共通電極に対応して形成される複数の共通配線を介して、電気光学装置が備える複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給する。この複数の共通電極への電圧の供給は、複数の走査線を用いた走査が行われている間(つまり、複数の走査線に対して順に選択状態レベルにある走査信号が供給されている間)に行われる。ここで、本発明に係る供給回路は、複数の共通電極のうちの相隣接する2つの共通電極に対して、夫々異なる電圧(つまり、第1電圧及び第2電圧)が供給されるように、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給する。言い換えれば、供給回路は、奇数ライン(奇数行)に対応する共通電極に供給される電圧の極性と、偶数ライン(偶数行)に対応する共通電極に供給される電圧の極性とが相互に反転するように、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給する。具体的には、供給回路は、一の共通電極に対して第1電圧(例えば、相対的にハイレベルな電圧)及び第2電圧(例えば、相対的にローレベルな電圧)のうちの一方を供給する。その一方で、供給回路は、一の共通電極に隣接する他の共通電極に対して第1電圧及び第2電圧のうちの他方を供給する。
【0012】
加えて、供給回路は、各共通電極に対して供給される電圧を、所定期間毎に第1電圧から第2電圧へと又は第2電圧から第1電圧へと切り替える。例えば、一の所定期間において一の共通電極に第1電圧及び第2電圧の一方を供給すると共に、一の所定期間に続く他の所定期間において一の共通電極に第1電圧及び第2電圧の他方を供給する。この切替動作は、例えば、各共通電極に対して、隣接する行の走査線に対して選択状態レベル(例えば、ハイレベル)にある走査信号が供給されるタイミングで行われる。他方で、例えば、隣接する行の走査線に対して非選択状態レベル(例えば、ローレベル)にある走査信号が供給されている間は、切替動作は行われることなく、現在供給されている電圧がそのまま供給され続ける。
【0013】
尚、本発明における「所定期間」とは、第1電圧から第2電圧へと又は第2電圧から第1電圧へと切り替えられる期間として、駆動方式に対応して予め設定される期間を意味し、例えば、一垂直走査期間、フレーム期間、フィールド期間等が一例としてあげられる。また、本発明における「選択状態レベル」とは、走査線と電気的に接続されていると共に走査信号のレベルに応じて状態が切り替わるTFT等のスイッチング素子をオン状態とする(言い換えれば、該スイッチング素子を含む画素部を選択状態とする)ことができるレベルを示す趣旨である。また、本発明における「非選択状態レベル」とは、走査線と電気的に接続されていると共に走査信号のレベルに応じて状態が切り替わるTFT等のスイッチング素子をオフ状態とする(言い換えれば、該スイッチング素子を含む画素部を非選択状態とする)ことができるレベルを示す趣旨である。
【0014】
本発明に係る電気光学装置は、更に制御回路を備えている。制御回路は、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するように供給回路を制御する。言い換えれば、制御回路は、複数の走査線に対して順に選択状態レベルにある走査信号が供給されているか又は供給されていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するように供給回路を制御する。このときも、制御回路は、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように供給回路を制御する。つまり、制御回路は、通常は複数の走査線を用いた走査が行われている場合に複数の共通電極への電圧の供給を行う供給回路に対して、複数の走査線を用いた走査が行われていない場合であっても複数の共通電極への電圧の供給を行わせることができる。言い換えれば、制御回路の動作によって、任意の又は所望のタイミングで複数の共通電極への電圧の供給を行うことができる。
【0015】
これにより、走査線を用いた走査が開始される前に複数の共通電極に対して電圧を供給することができる。従って、複数の共通電極の電位が不定になってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。特に、この場合であっても、通常のCOM分割駆動と同様に、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給される。このため、電気光学装置は、走査線を用いた走査が開始された際に複数の共通電極の夫々の電位の状態を把握した上で動作(つまり、通常のCOM分割駆動)を行うことができる。このため、複数の共通電極の電位が不定になることで引き起こされ得る電気光学装置への悪影響を好適に抑制することができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の一の態様では、前記複数の共通電極の夫々は、水平ラインに沿って延在する共通配線と一体に形成されており、前記供給回路は、前記共通配線の一方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第1供給回路部と、前記共通配線の他方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第2供給回路部とを備える。
【0017】
この態様によれば、対応する共通電極と一体に形成される共通配線が水平ライン毎に設けられている。そして、第1電圧及び第2電圧は、供給回路から共通配線を介して共通電極に対して供給される。このとき、各共通配線には、第1供給回路部及び第2供給回路部の夫々から同一の電圧が供給される。例えば、各共通配線の夫々の一方の端部に対して第1供給回路部から第1電圧及び第2電圧の一方が供給されると共に、各共通配線の夫々の他方の端部(つまり、一方の端部とは逆側に位置する端部)に対して第2供給回路部から同じ電圧(つまり、第1電圧及び第2電圧の一方)が供給される。
【0018】
このとき、上述したように、制御回路の動作によって、走査線を用いた走査が開始される前であっても、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように複数の共通電極への電圧の供給を行うことができる。このため、第1供給回路部及び第2供給回路部は、複数の共通電極の夫々の電位の状態を把握した上で動作を行うことができる。従って、第1供給回路部が一の共通電極へ供給する電圧の電位と第2回路供給回路部が同じ一の共通電極へ供給する電圧の電位とが異なってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。このため、共通電極(或いは、共通配線)や当該共通電極(或いは、共通配線)に第1電圧又は第2電圧を供給する駆動回路に対して貫通電流が流れてしまうという不都合の発生を好適に抑制することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1電圧又は前記第2電圧を選択するための極性信号を保持するラッチ回路を更に備え、前記制御回路は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び前記制御回路による制御が行なわれるか否かを示す参照信号の夫々に基づいて、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する。
【0020】
このように構成すれば、制御回路は、供給回路が通常参照する極性信号と、当該制御回路による制御(つまり、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するための制御)が行われるか否かを示す参照信号とを参照することで、供給回路を制御することができる。このため、COM分割駆動の通常の動作に影響を与えることなく、複数の共通電極の電位が不定になってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。
【0021】
上述の如く制御回路が極性信号及び参照信号の夫々に基づいて供給回路を制御する電気光学装置の態様では、前記参照信号の信号レベルに応じて、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び該極性信号の反転信号の何れか一方又は固定信号レベルを有する固定信号を出力する制御回路部を水平ライン毎に備えるように構成してもよい。
【0022】
このように構成すれば、制御回路による制御を行なわない場合(つまり、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するための制御を行なわない場合)には、制御回路部がラッチ回路において保持された極性信号をそのまま或いは反転して出力することで、COM分割駆動の通常の動作を行うことができる。
【0023】
一方で、制御回路による制御を行なう場合(つまり、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給するための制御を行う場合)には、制御回路部が参照信号に応じた固定信号(言い換えれば、極性信号に依存しない固定信号)を出力することで、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給することができる。
【0024】
上述の如く制御回路が水平ライン毎に制御回路部を備える電気光学装置の態様では、前記参照信号は、前記制御回路による制御が行なわれるべき期間はハイレベルとなると共に、前記制御回路による制御が行なわれる期間以外の他の期間はローレベルとなり、前記制御回路部は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号と前記参照信号との否定論理和信号を出力する否定論理和回路を備えるように構成してもよい。
【0025】
このように構成すれば、参照信号がローレベルとなる場合(つまり、制御回路による制御を行なわない場合)には、制御回路部(特に、制御回路部が備える否定論理和回路)からは、極性信号の反転信号が出力される。従って、供給回路は、極性信号の反転信号に基づいて、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように、複数の共通電極の夫々に対して第1電圧及び第2電圧を交互に供給すると共に、各共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に切り替えることができる。つまり、COM分割駆動の通常の動作を好適に行うことができる。
【0026】
他方で、参照信号がハイレベルとなる場合(つまり、制御回路による制御を行なわない場合)には、制御回路部(特に、制御回路部が備える否定論理和回路)からは、相対的にローレベルの固定信号が出力される。つまり、制御回路部からは、極性信号に依存せず且つ走査線を用いた走査が行われるか否かに依存することなく、固定信号が出力される。従って、制御回路部からローレベルからローレベルの信号が出力された場合には、複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、相隣接する2つの共通電極に異なる電圧が供給されるように複数の共通電極の夫々に対して電圧を供給することができる。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記制御回路は、前記電気光学装置の電源が投入された直後に、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する。
【0028】
この態様によれば、電気光学装置の電源が投入された直後という複数の共通電極の電位が不定になってしまいやすいタイミングで、複数の共通電極に対して電圧を供給することができる。このため、複数の共通電極の電位が不定になることで引き起こされ得る電気光学装置への悪影響を好適に抑制することができる。
【0029】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学装置は、前記複数の画素電極及び前記複数の共通電極の夫々が形成される第1基板と、前記第1基板に対向するように配置される第2基板とを備えており、前記電気光学物質は、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持される。
【0030】
この態様によれば、例えば、FFS方式やIPS方式等の横電界駆動方式の電気光学装置において、上述した各種効果を享受することができる。
【0031】
尚、複数の共通電極は、第2基板側に形成されてもよい。
【0032】
本発明の他の電気光学装置は、複数の走査線、複数のデータ線、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素電極、及び当該画素電極に対応して設けられ前記走査線に沿う方向に分割された複数の共通電極を有する第1基板と、当該第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学物質と、を備える電気光学装置であって、前記複数の共通電極の両端に配置され、前記共通電極の両端から第1電圧と、前記第1電圧よりも電位の高い第2電圧と、を共通電極に供給する第1供給回路部と第2供給回路部と、前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記共通電極に出力される電圧を共通電極ごとにすべて一致させる制御回路と、前記走査線を選択する選択電圧を前記複数の走査線に順次供給する走査線駆動回路と、前記走査線が選択された際に、前記第1電圧よりも電位の高い正極性の画像信号と、前記第2電圧よりも電位の低い負極性の画像信号と、を交互に前記複数のデータ線に供給するデータ線駆動回路と、を備え、前記制御回路により前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から共通電極に出力する電圧を各共通電極ごとにすべて一致させてから、前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記第1電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記正極性の画像信号を前記データ線に供給し、前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部により前記第2電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記負極性の画像信号を前記データ線に供給する。
【0033】
この態様によれば、片方の基板上に設けられた画素電極と共通電極間の横電界若しくは斜め電界により液晶を駆動する横電界方式の電気光学装置において、共通電極は、走査線に沿う方向、すなわち水平ライン方向に走査線ごと、若しくは複数の走査線ごとに分割さている。よって、共通電極は、水平ライン方向に細長い形状となり、配線抵抗が高くなるため、電圧供給回路部に高い能力が必要になる。そのため共通電極の両端に電圧供給回路部(第1供給回路部、第2供給回路部)を配置し、共通電極の両端から電圧を供給する構成としている。また、両端に配置された第1および第2供給回路部から供給される電圧を一致させるように、第1供給回路部と第2供給回路部から前記共通電極に出力される電圧を各共通電極ごとにすべて一致させる制御回路を備えている。このため、第1供給回路部と第2供給回路部から供給される電圧が不一致になることで、第1供給回路部と第2供給回路部間に貫通電流が流れ、共通電極、第1および第2供給回路部、および周辺回路部に劣化、断線、破壊などのダメージが生じることを防ぐことが出来る。
【0034】
(電子機器)
上記課題を解決するために、本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0035】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置(或いは、その各種態様)備えているため、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる。つまり、上述した本発明の電気光学装置が享受する各種効果と同様の効果を享受することができる投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、携帯オーディオプレーヤ、ワードプロセッサ、デジタルカメラ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現することができる。
【0036】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から更に明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下では、本発明に係る電気光学装置の一例として、液晶装置を用いて説明を進める。
【0038】
(1)液晶装置の基本構成
先ず、本実施形態に係る液晶装置の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。
【0039】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、本発明に係る「第1基板」の一例としてのTFTアレイ基板10と本発明における「第2基板」の一例としての対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置する枠状或いは額縁状のシール領域に設けられたシール材52により互いに貼り合わされている。
【0040】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のスペーサが散布されている。
【0041】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。但し、データ線駆動回路101は、シール領域よりも内側に、データ線駆動回路101が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられていてもよい。また、共通配線駆動回路110は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、不図示の走査線駆動回路104もまた、シール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0042】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。具体的には、画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に共通電極11、絶縁層12及び画素電極9aがこの順に形成されている。つまり、本実施形態に係る液晶装置100は、画素電極9aと共通電極11との間に生ずる電界によって液晶層50の配向状態を制御する横電界駆動方式(特に、FFS(Fringe Field Switching)方式)を採用している。ここで、画素電極9aは、画像表示領域10aを構成する各画素を形成するようにマトリクス状に設けられている。一方で、共通電極11は、1つの行に属する画素電極9aに対応する共通電極が、1水平ラインごとに配置される走査線ごとに配置されるデータ線ごとに分割されている。尚、共通電極11は、複数ラインごとに分割、すなわち、1以上の水平ラインごとの画素電極に対応して形成されていてもよい。また、本実施形態では、共通電極11と共通配線COMは、同一プロセスにより一体に形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上にカラーフィルタ8が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、一対の基板間で、所定の配向状態をとる。
【0043】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0044】
(2)液晶装置の詳細な構成
続いて、図3を参照して、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成について説明する。ここに、図3は、本実施形態に係る液晶装置100の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【0045】
図3において、本実施形態に係る液晶装置100は、そのTFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、2つの共通配線駆動回路110等の駆動回路が形成されている。
【0046】
走査線駆動回路104は、走査信号を、走査線Y1からYn(但し、nは1以上の整数)に順次供給する。例えば、ある走査線Ya(但し、aは、1≦a≦nを満たす整数)にハイレベルの走査信号が供給されると、この走査線Yaに接続されたTFT116が全てオン状態となり、この走査線Yaに対応する画素部70が全て選択される。
【0047】
データ線駆動回路101は、画像信号を、データ線X1からXm(但し、mは1以上の整数)に順次供給し、オン状態のTFT116を介してこの画像信号に基づく画像電圧を画素電極9aに書き込む。
【0048】
共通配線駆動回路110は、後に詳述するように、第1電圧VCOMH又は第1電圧VCOMHよりも電位が低い第2電圧VCOML(言い換えれば、所定の基準電位(例えば、画像信号に基づく画像電圧の中心電位)に対して正極性の第1電圧VCOMH(例えば、5V)又は所定の基準電位に対して負極性の第2電圧VCOML(例えば、0V))を、共通配線COM1からCOMnに供給する。より具体的には、共通配線駆動回路110は、a行目の共通配線COMaに対して、1フレーム期間毎に、第1電圧VCOMHと第2電圧VCOMLとを交互に供給する。例えば、共通配線駆動回路110は、ある1フレーム期間において、共通配線COMaに第1電圧VCOMHを供給した場合には、次の1フレーム期間において、共通配線COMaに第2電圧VCOMLを供給する。他方、共通配線駆動回路110は、ある1フレーム期間において、共通配線COMaに第2電圧VCOMLを供給した場合には、次の1フレーム期間において、共通配線COMaに第1電圧VCOMHを供給する。また、共通配線駆動回路110は、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧を供給する。つまり、共通配線駆動回路110は、共通配線COMa−1に第1電圧VCOMH(又は、第2電圧VCOML)を供給する一方で、共通配線COMa−1に隣接する共通配線COMaに第2電圧VCOML(又は、第1電圧VCOMH)を供給する。尚、共通配線駆動回路110の構成や詳細な動作については後に詳細に説明する(図4から図7参照)。
【0049】
尚、本実施形態では、画像表示領域10aの左右の夫々に共通配線駆動回路110が設けられている。この2つの共通配線駆動回路110は、互いに同じ構成を有すると共に同じ動作(同じ信号、電圧が入力され、同じタイミングで、同じ信号、電圧を共通配線COMaに出力する)を行う。このため、以降の説明では、単に“共通線駆動回路110”と称する場合には、2つの共通配線駆動回路110の夫々を示しているものとする。
【0050】
本実施形態に係る液晶装置100には、更に、そのTFTアレイ基板10の中央を占める画像表示領域10aに、マトリクス状に配列された複数の画素部70が設けられている。
【0051】
画素部70は、画素スイッチング用のTFT116、液晶容量118及び蓄積容量119を備えている。
【0052】
TFT116は、ソース端子がデータ線X1からXmのいずれかに電気的に接続され、ゲート端子が走査線Y1からYnのいずれかに電気的に接続され、ドレイン端子が画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用のTFT116は、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオン状態及びオフ状態が切り換えられる。
【0053】
液晶容量118は、画素電極9a、共通電極11並びに画素電極9a及び共通電極11間に位置する液晶から構成されている。画素電極9aは、TFT116を介してデータ線X1からXmのいずれかと電気的に接続されている。共通電極11は、共通配線COM1からCOMnのいずれかと電気的に接続されている。尚、画素電極9a及び共通電極11は、上述したように、いずれもTFTアレイ基板10上に設けられている。液晶装置100の動作時には、データ線X1からXm及びTFT116を介して供給された画像信号の電位を有する画素電極9aと、共通配線COM1からCOMnを介して供給された第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLの電位を有する共通電極11との間には、TFTアレイ基板10の基板面に沿った横電界が生じる。液晶は、当該横電界に応じて駆動されることによって、即ち、当該横電界に応じて分子集合の配向や秩序が変化することによって、光を変調し、階調表示を可能とする。
【0054】
蓄積容量119は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、液晶容量118と並列に付加されている。蓄積容量119を構成する一方の電極は、画素電極9aに電気的に接続され、他方の電極は、共通電極11に電気的に接続されている。尚、本実施形態では、共通配線COMaは、1水平ラインごとに分割された共通電極11と一体に形成されている。
【0055】
以上の液晶装置100は、以下のように動作する。
【0056】
まず、走査線駆動回路104から走査線Yaにハイレベルの走査信号を供給することで、走査線Yaに接続された全てのTFT116をオン状態にして、走査線Yaに係る全ての画素部70を選択する。
【0057】
また、走査線Yaに係る画素部70の選択に同期して、データ線駆動回路101からデータ線X1からXmに、共通配線COM1からCOMnの電位に応じて、正極性の画像信号と負極性の画像信号とを、1水平走査期間毎に交互に供給する。具体的には、共通配線COMaの電位が第1電圧VCOMHであれば、所定の基準電位に対して負極性の画像信号をデータ線X1からXmに供給する。他方、共通配線COMaの電位が第2電圧VCOMLであれば、所定の基準電位に対して正極性の画像信号をデータ線X1からXmに供給する。
【0058】
これにより、走査線駆動回路104で選択した全ての画素部70に、データ線駆動回路101からデータ線X1からXm及びTFT116を介して画像信号が供給される、この画像信号に基づく画像電圧が画素電極9aに書き込まれる。これにより、画素電極9aと共通電極11との間に電位差が生じて、駆動電圧が液晶に印加される。
【0059】
(3)共通配線駆動回路の具体的な構成及び動作
続いて、図4を参照して、共通配線駆動回路110の具体的な構成及び動作について説明する。ここに、図4は、共通配線駆動回路110の構成を概念的に示すブロック図である。
【0060】
図4に示すように、共通配線駆動回路110は、ラッチ回路111と、本発明における「制御回路」の一具体例を構成する制御信号出力回路112と、本発明における「供給回路、第1供給回路部、第2供給回路部」の一具体例を構成する電圧選択回路113とを備えている。
【0061】
続いて、図5を参照して、共通配線駆動回路110が備えるラッチ回路111の構成について説明する。ここに、図5は、共通配線駆動回路110が備えるラッチ回路111の構成を概念的に示すブロック図である。
【0062】
図5に示すように、ラッチ回路111は、1行目の共通配線COM1及びn行目の共通配線COMnに対応して設けられた第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nと、2行目からn−1行目の共通配線COM2からCOMn−1に対応して設けられた第2ラッチ回路部111−2#2から111−2#n−1(つまり、共通配線COMb(但し、bは、2≦b≦n−1を満たす整数)に対応して設けられた第2ラッチ回路部111−2#b)とを含んでいる。
【0063】
第2ラッチ回路部111−2#bは、NOR回路U11、第1インバータU12、第2インバータU13、第1クロックドインバータU14及び第2クロックドインバータU15を備えている。
【0064】
NOR回路U11の2つの入力端子には、夫々、第2ラッチ回路部111−2#bに対応する共通配線COMbの前段(つまり、前の行であって、b−1行目)の走査線b−1と、第2ラッチ回路部111−2#bに対応する共通配線COMbの後段(つまり、後の行であって、b+1行目)の走査線Yb+1とが電気的に接続されている。
【0065】
第1インバータU12の入力端子、第1クロックドインバータU14の反転入力制御端子及び第2クロックドインバータU15の非反転入力端子の夫々には、NOR回路U11の出力端子が電気的に接続されている。また、第1インバータU12の出力端子には、第1のクロックドインバータU14の非反転入力制御端子及び第2クロックドインバータU15の反転入力端子の夫々が電気的に接続されている。
【0066】
第1クロックドインバータU14の入力端子には、極性信号POLが入力されている。尚、極性信号POLは、1垂直走査期間(例えば、1フィールド期間又は1フレーム期間)毎に電位レベルがハイレベルからローレベルへと又はローレベルからハイレベルへと切り替わる信号である。第1クロックドインバータU14の出力端子には、第2クロックドインバータU15の出力端子及び第2インバータU13の入力端子の夫々が電気的に接続されている。第2クロックドインバータU15の入力端子には、第2インバータU13の出力端子が電気的に接続されている。
【0067】
以上の第2ラッチ回路部111−2#bは、以下のように動作する。
【0068】
まず、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が供給されると、該ハイレベルの走査信号は、NOR回路U11に入力される。その結果、NOR回路U11の出力端子からは、ローレベルの信号が出力される。NOR回路U11の出力であるローレベルの信号は、第1クロックドインバータU14の反転入力制御端子に入力される。また、NOR回路U11の出力であるローレベルの信号は、第1インバータU12により極性が反転されてハイレベルの信号に変換され、該ハイレベルの信号が第1クロックドインバータU14の非反転入力制御端子に入力される。このため、第1クロックドインバータU14はオン状態となり、極性信号POLの極性を反転した信号である反転極性信号/POLを出力する。この第1クロックドインバータU14から出力された反転極性信号/POLは、第2インバータU13により極性が再度反転されて極性信号POLに戻り、ラッチ信号LATbとして出力される。
【0069】
他方、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の双方にローレベルの走査信号が供給されると、該ローレベルの走査信号は、NOR回路U11に入力される。その結果、NOR回路U11の出力端子からは、ハイレベルの信号が出力される。NOR回路U11の出力であるハイレベルの信号は、第2クロックドインバータU15の非反転入力制御端子に入力される。また、NOR回路U11の出力であるハイレベルの信号は、第1インバータU12により極性が反転されてローレベルの信号に変換され、該ローレベルの信号が第2クロックドインバータU15の反転入力制御端子に入力される。このため、第2クロックドインバータU15はオン状態となり、第2インバータU13から出力された極性信号POLの極性を反転した信号(つまり、反転極性信号/POL)を出力する。この第2クロックドインバータU15から出力された反転極性信号/POLは、第2インバータU13により極性が再度反転されて極性信号POLに戻り、極性信号POLがラッチ信号LATbとして出力される。
【0070】
即ち、第2ラッチ回路部111−2#bは、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が供給されると、極性信号POLを取り込んで、この取り込んだ極性信号POLをラッチ信号LATbとして出力する。また、第2ラッチ回路部111−2#bは、走査線Yb−1及び走査線Yb+1の双方にローレベルの走査信号が供給されると、ラッチ信号LATbを第2インバータU13及び第2クロックドインバータU15により保持しつつ、出力する。つまり、第2ラッチ回路部111−2#bは、ハイレベルの走査信号が走査線Yb−1及び走査線Yb+1の少なくとも一方に入力された時点で取り込んだ極性信号POLを、少なくとも1垂直走査期間の間出力し続けることができる。
【0071】
続いて、第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nについて説明する。第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nは、第2ラッチ回路部111−2#bと比較して、NOR回路U11に代えて、低電位電源VLLが第1インバータU12の入力端子、第1クロックドインバータU14の反転入力制御端子及び第2クロックドインバータU15の非反転入力端子の夫々に電気的に接続されているという点において異なっている。第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nの動作については、第2ラッチ回路部111−2#bの動作と同様である。つまり、第1ラッチ回路部111−1#1及び111−1#nでは、第1クロックドインバータU14が常にオン状態になり、取り込んだ極性信号POLを、常に出力し続けることができる。
【0072】
続いて、図6を参照して、共通配線駆動回路110が備える制御信号出力回路112の構成について説明する。ここに、図6は、共通配線駆動回路110が備える制御信号出力回路112の構成を概念的に示すブロック図である。
【0073】
図6に示すように、制御信号出力回路112は、1行目からn行目の共通配線COM1からCOMnに対応して設けられた制御信号出力回路部112−1#a(但し、aは、1≦a≦nを満たす整数)を含んでいる。
【0074】
制御信号出力回路部112−1#aは、NOR回路U21を備えている。NOR回路U21の2つの入力端子には、夫々、ラッチ信号LATa及びリセット信号RSTが入力される。NAND回路U21の出力端子は、インバータU22の入力端子と電気的に接続されている。
【0075】
尚、リセット信号RSTは、本発明における「参照信号」の一具体例を構成しており、液晶装置100のリセット動作(特に、走査線Y1からYnに走査信号が供給されているか否かに関わらず、共通配線COM1からCOMnの夫々に対して電圧を供給するリセット動作)が行われるか否かを示す信号である。具体的には、リセット信号RSTは、例えば、リセット動作を行う間はハイレベルの信号レベルを有する一方で、リセット動作を行わない間はローレベルの信号レベルを有する信号である。このリセット信号RSTは、典型的には、液晶装置100の電源が投入された(つまり、OFFからONに切り替えられた)後の所定期間ハイレベルになると共に、その後はローレベルになる。
【0076】
以上の制御信号出力回路部112−1#aは、以下のように動作する。
【0077】
まず、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、NOR回路U21は、ラッチ信号LATaの極性を反転した信号である反転ラッチ信号/LATa(つまり、反転極性信号/POL)を制御信号Saとして出力する。他方で、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、NOR回路U21は、ラッチ信号LATaがハイレベルの信号であるか又はローレベルの信号であるかに依存することなく、ローレベルの信号を制御信号Saとして出力する。
【0078】
続いて、図7を参照して、共通配線駆動回路110が備える電圧選択回路113の構成について説明する。ここに、図7は、共通配線駆動回路110が備える電圧選択回路113の構成を概念的に示すブロック図である。
【0079】
図7に示すように、電圧選択回路113は、奇数行の共通配線COMi(但し、iは、1≦i≦nを満たす奇数であり、具体的には、1、3、・・・k−1、・・・、n−1)に対応して設けられた第1電圧選択回路部113−1#iと、偶数行の共通配線COMj(但し、jは、1≦i≦nを満たす偶数であり、具体的には、2、4、・・・、k、・・・、n)に対応して設けられた第2電圧選択回路部113−2#jとを含んでいる。尚、図7においては、kが偶数である場合の例について図示している。
【0080】
第1電圧選択回路部113−1#iは、インバータU31、TFTU32及びTFTU33を備えている。インバータU31の入力端子には、制御信号出力部112−1#iから出力される制御信号Siが入力される。TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々には、インバータU31の出力端子が電気的に接続されている。TFTU33のソース端子には、第1電圧VCOMHが供給される第1電圧供給線ZHが電気的に接続されている。また、TFTU32のソース端子には、第2電圧VCOMLが供給される第2電圧供給線ZLが電気的に接続されている。また、TFTU32のドレイン端子及びTFTU33のドレイン端子の夫々は、共通配線COMiに電気的に接続される。
【0081】
また、第2電圧選択回路部113−2#jは、インバータU31、TFTU32及びTFTU33を備えている。インバータU31の入力端子には、制御信号出力部112−1#jから出力される制御信号Sjが入力される。TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々には、インバータU31の出力端子が電気的に接続されている。TFTU33のソース端子には、第2電圧VCOMLが供給される第2電圧供給線ZLが電気的に接続されている。また、TFTU32のソース端子には、第1電圧VCOMHが供給される第1電圧供給線ZHが電気的に接続されている。また、TFTU32のドレイン端子及びTFTU33のドレイン端子の夫々は、共通配線COMjに電気的に接続される。
【0082】
以上の第1電圧選択回路部113−1#i及び第2電圧選択回路部113−2#jは、以下のように動作する。
【0083】
まず、制御信号出力回路部112−1#i及び制御信号出力回路部112−1#jから反転ラッチ信号/LATi及び反転ラッチ信号/LATjが制御信号Si及びSjとして出力されている場合について説明する。つまり、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合について説明する。
【0084】
この場合、奇数行においては、制御信号出力回路部112−1#iからは反転極性信号/POLが制御信号Siとして第1電圧選択回路部113−1#iに出力される。この反転極性信号/POLは、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMiとが、TFTU33を介して電気的に接続される。
【0085】
同様に、偶数行においては、制御信号出力回路部112−1#jからは反転極性信号/POLが制御信号Sjとして第2電圧選択回路部113−2#jに出力される。この反転極性信号/POLは、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU32を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMjとが、TFTU33を介して電気的に接続される。
【0086】
このように、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。特に、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、各行の共通配線COMaには、当該共通配線COMaに隣接する行の走査線Ya−1及び走査線Ya+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が入力された時点で取り込んだ極性信号POLに応じて、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが供給される。つまり、通常のCOM分割駆動が行われる。
【0087】
続いて、制御信号出力回路部112−1#i及び制御信号出力回路部112−1#jからローレベルの信号が制御信号Si及びSjとして出力されている場合について説明する。つまり、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合について説明する。
【0088】
この場合、奇数行においては、制御信号出力回路部112−1#iからはローレベルの信号が制御信号Siとして第1電圧選択回路部113−1#iに出力される。このローレベルの信号は、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。
【0089】
同様に、偶数行においては、制御信号出力回路部112−1#jからはローレベルの信号が制御信号Sjとして第2電圧選択回路部113−2#jに出力される。このローレベルの信号は、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU32を介して電気的に接続される。
【0090】
このように、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合にも、リセット信号RSTがローレベルである場合と同様に、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。但し、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合と異なり、各行の共通配線COMaには、極性信号POLに依存することなく且つ走査線Y1からYnに走査信号が供給されるか否かに依存することなく、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが同時に供給される。
【0091】
ここで、以上の如き動作を行う共通配線駆動回路110の動作について、図8を用いて、より詳細に説明する。ここに、図8は、共通配線駆動回路110の動作を示すタイミングチャートである。尚、図8においては、走査の方向が順方向である例(つまり、走査線Y1からYnに向かって順に走査される例)について説明する。
【0092】
図8に示すように、時刻t0で液晶装置100の電源がOFFからONに切り替わったとする。このとき、共通配線COM1からCOMnの電位について言えば、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給された後に第1電圧VCOMHへ切り替わるのか又は第2電圧VCOMLに切り替わるのかが不定である。
【0093】
ここで、時刻t1においてリセット信号RSTの電位がハイレベルになるとする。この場合、奇数行の共通配線COMi(但し、i=1、3、・・・、n−1)には、第2電圧VCOMLが供給される。同様に、偶数行の共通配線COMj(但し、j=2、4、・・・、n)には、第1電圧VCOMHが供給される。従って、この時点で、共通配線COM1からCOMnの電位が明確になると共に、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給された後に共通配線COM1からCOMnの電位が第1電圧VCOMHへ切り替わるのか又は第2電圧VCOMLに切り替わるのかが定まる。
【0094】
その後、リセット信号RSTの電位がハイレベルからローレベルに切り替わった後、時刻t2において極性信号POLがハイレベルからローレベルに反転したとする。極性信号POLがローレベルに切り替わるため、奇数行の共通配線COMi(但し、i=1、3、・・・、n−1)には、次のフレームで第1電圧VCOMHが供給されるようになる。同様に、偶数行の共通配線COMj(但し、j=2、4、・・・、n)には、次のフレームで第2電圧VCOMLが供給されるようになる。
【0095】
このように、本実施形態に係る液晶装置100によれば、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給される前の時点で、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々に対して第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLを供給することができる。従って、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給される前の時点で、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位を確定させることができる。つまり、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位が不定になってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。特に、この場合であっても、通常のCOM分割駆動と同様に、相隣接する2つの共通配線COMa−1と共通配線COMaとには、極性が異なる電圧が供給される。このため、共通線駆動回路110は、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給される時点で、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位の状態を把握した上で動作(つまり、通常のCOM分割駆動)を行うことができる。つまり、共通線駆動回路110は、走査線Y1からYnに対してハイレベルの走査信号が供給された後に共通配線COM1からCOMnの電位が第1電圧VCOMHへ切り替わるのか又は第2電圧VCOMLに切り替わるのかを明確に把握した上で動作(つまり、通常のCOM分割駆動)を行うことができる。このため、複数の共通配線COM1からCOMnの電位(言い換えれば、複数の共通電極11の電位)が不定になることで引き起こされ得る液晶装置100への悪影響(特に、正常な動作への悪影響)を好適に抑制することができる。
【0096】
加えて、画像表示領域10aの左右端の夫々に隣接するように共通線駆動回路110が設けられる場合であっても、2つの共通線駆動回路の夫々は、複数の共通配線COM1からCOMnの夫々の電位の状態を把握した上で動作を行うことができる。従って、画像表示領域10aの左側に設けられる共通線駆動回路110が共通電極COMaへ供給する電圧の電位と、画像表示領域10aの右側に設けられる共通線駆動回路110が共通電極COMaへ供給する電圧の電位とが異なってしまうという不都合の発生を好適に防止することができる。このため、共通配線COM1からCOMn(或いは、共通電極11)や共通線駆動回路110自身に対して貫通電流が流れてしまうという不都合の発生を好適に抑制することができる。
【0097】
尚、上述の実施形態では、制御信号出力回路部112−1#aから反転ラッチ信号/LATa(つまり、反転極性信号/POL)又はローレベルの信号が制御信号Saとして出力される制御信号出力回路112の例について説明している。しかしながら、制御信号出力回路112がこれに限定されないことは言うまでもない。例えば、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、制御信号出力回路部112−1#aからラッチ信号LATa(つまり、極性信号POL)が出力され、且つリセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、制御信号出力回路部112−1#aからハイレベルの信号が出力されるように構成してもよい。このように構成しても、上述した効果を好適に享受することができる。但し、図6に示すように制御信号出力回路112中の制御信号出力回路部112−1#1から112−1#nの夫々が共通の構成を有する場合には、図7に示すように電圧選択回路113中の各電圧選択回路が奇数行と偶数行とで異なる構成を有する(つまり、奇数行の第1電圧選択回路部113−1#iと偶数行の第2電圧選択回路部113−2#jとを有する)ことが好ましい。
【0098】
他方で、電圧選択回路113中の各電圧選択回路部が、全ての行で共通の構成を有する場合も考えられる。このような構成を有する電圧選択回路113の一例について、図9を参照して説明する。ここに、図9は、変形例に係る電圧選択回路113aの構成を概念的に示すブロック図である。
【0099】
例えば、図9に示すように、変形例に係る電圧選択回路113aは、図7に示す電圧選択回路113と比較して、奇数行のみならず偶数行においても、第1電圧選択回路部113−1#jを備えるという点において異なっている。
【0100】
このように電圧選択回路113中の電圧選択回路部113−1#1から113−#nが、全ての行で共通の構成を有する場合には、制御信号出力回路112中の制御信号出力回路部112−1#1から112−1#nは、奇数行と偶数行とで異なる構成を有することが好ましい。そして、制御出力回路112においては、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、奇数行の制御信号出力回路部及び偶数行の制御信号出力回路部の夫々から互いに極性が反転した信号(例えば、極性信号POL及び反転極性信号/POL)が出力され、且つリセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、奇数行の制御信号出力回路部及び偶数行の制御信号出力回路部の夫々から互いに極性が反転していると共に固定信号レベルを有する固定信号が出力されるように構成されることが好ましい。このような構成を有する制御信号出力回路112の一例について、図10を参照して説明する。ここに、図10は、変形例に係る制御信号出力回路112aの構成を概念的に示すブロック図である。
【0101】
図10に示すように、変形例に係る制御信号出力回路112aは、図7に示す制御信号出力回路と比較して、偶数行の制御信号出力部112−1#jに代えて、インバータU22が新たに追加された偶数行の制御信号出力回路部112−2#jを備えるという点において異なっている。尚、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iについては変わらない。
【0102】
偶数行の制御信号出力回路部112−2#jからは、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、極性信号POLが制御信号Sjとして出力される一方で、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、ハイレベルの信号が制御信号Sjとして出力される。また、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iからは、上述したように、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、反転極性信号/POLが制御信号Siとして出力される一方で、リセット信号PSLがハイレベルの信号である場合には、ローレベルの信号が制御信号Siとして出力する。
【0103】
この場合、変形例に係る電圧選択回路113aは、以下のように動作する。
【0104】
まず、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合について説明する。この場合、奇数行の第1電圧選択回路部113a−1#iにおいては、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iから入力される反転極性信号/POLが、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMiとが、TFTU33を介して電気的に接続される。また、偶数行の第2電圧選択回路部113−1#jにおいては、奇数行の制御信号出力回路部112−2#jから入力される極性信号POLが、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、極性信号POLの極性がハイレベルである場合には、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU33を介して電気的に接続される。他方で、極性信号POLの極性がローレベルである場合には、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMjとが、TFTU32を介して電気的に接続される。
【0105】
このように、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。特に、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合には、各行の共通配線COMaには、当該共通配線COMaに隣接する行の走査線Ya−1及び走査線Ya+1の少なくとも一方にハイレベルの走査信号が入力された時点で取り込んだ極性信号POLに応じて、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが供給される。つまり、通常のCOM分割駆動が行われる。
【0106】
続いて、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合について説明する。この場合、奇数行の第1電圧選択回路部113−1#iにおいては、奇数行の制御信号出力回路部112−1#iから入力されるローレベルの信号が、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオン状態になり、TFTU33がオフ状態となる。その結果、第2電圧VCOMLを供給する第2電圧供給線ZLと走査線COMiとが、TFTU32を介して電気的に接続される。また、偶数行の第1電圧選択回路部113−1#jにおいては、偶数行の制御信号出力回路部112−2#jから入力されるハイレベルの信号が、インバータU31において反転された後、TFTU32の非反転入力ゲート端子及びTFTU33の反転入力ゲート端子の夫々に入力される。このため、TFTU32がオフ状態になり、TFTU33がオン状態となる。その結果、第1電圧VCOMHを供給する第1電圧供給線ZHと走査線COMjとが、TFTU33を介して電気的に接続される。
【0107】
このように、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合にも、リセット信号RSTがローレベルである場合と同様に、互いに隣接する共通配線COMa−1と共通配線COMaには、互いに異なる電圧が供給される。但し、リセット信号RSTがハイレベルの信号である場合には、リセット信号RSTがローレベルの信号である場合と異なり、各行の共通配線COMaには、極性信号POLに依存することなく且つ走査線Y1からYnに走査信号が供給されるか否かに依存することなく、第1電圧VCOMH又は第2電圧VCOMLが同時に供給される。
【0108】
従って、図9及び図10に示すように構成したとしても、上述した効果を好適に享受することができる。
【0109】
尚、上述の説明では、液晶装置100の電源が投入された直後にリセット信号RSTがハイレベルになる例について説明している。しかしながら、リセット信号RSTがハイレベルになるタイミングは、これに限定されることはなく、省エネモードからの復帰時、表示モードの切り替え時、任意のタイミング、又は所望のタイミングでリセット信号RSTをハイレベルにしたとしても、上述した効果を享受することができることは言うまでもない。
【0110】
尚、上述の説明では、画素電極9aと共通電極11とがTFT基板10上に設けられつつも夫々異なる層に設けられると共に、画素電極9aと共通電極11とが絶縁層12を間に挟持し、液晶層50側の画素電極9aに開口部を有するFFS方式を採用する液晶装置100について説明を進めているが、液晶層50側に、開口部を有する共通電極11を設けるように構成してもよい。また、画素電極9aと共通電極11とが同じ層に設けられるIPS方式を採用する液晶装置においても、上述した構成を採用することで、上述した各種効果を享受することができることは言うまでもない。また、横電界駆動方式を採用する液晶装置のみならず、例えばTN(ツイスト・ネマティック)方式や、ECB(複屈折電界効果)方式や、VA(垂直配向)方式等の縦電界駆動方式を採用する液晶装置においても、上述した構成を採用することで、上述した各種効果を相応に享受することができる。
【0111】
(4)電子機器
続いて、図11及び図12を参照しながら、上述の液晶装置100を具備してなる電子機器の例を説明する。
【0112】
図11は、上述した液晶装置100が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、上述した液晶装置100を含んでなる液晶表示ユニット1206とから構成されている。液晶表示ユニット1206は、液晶装置100の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0113】
次に、上述した液晶装置100を携帯電話に適用した例について説明する。図12は、電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。図12において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、半透過反射型の表示形式を採用し、且つ上述した液晶装置100と同様の構成を有する液晶装置1005を備えている。
【0114】
これらの電子機器においても、上述した液晶装置100を含んでいるため、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0115】
尚、図11及び図12を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた直視型の表示装置や、液晶プロジェクタ等の投射型の表示装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0116】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の要部の電気的な構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】共通配線駆動回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図5】共通配線駆動回路が備えるラッチ回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図6】共通配線駆動回路が備える制御信号出力回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図7】共通配線駆動回路が備える電圧選択回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図8】共通配線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】変形例に係る電圧選択回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図10】変形例に係る制御信号出力回路の構成を概念的に示すブロック図である。
【図11】液晶装置が適用されたモバイル型のパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図12】液晶装置が適用された携帯電話の斜視図である。
【符号の説明】
【0118】
1…液晶装置、11…共通電極、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、110…共通配線駆動回路、111…ラッチ回路、112…制御信号出力回路、113…電圧選択回路、Y1〜Yn…走査線、COM1〜COMn…共通配線、ZH…第1電圧供給線、ZL…第2電圧供給線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられた複数の画素電極と、1以上の水平ライン毎の画素電極に対応して形成される複数の共通電極と、前記複数の画素電極と前記複数の共通電極との間に印加される電界に応じて駆動される電気光学物質とを備える電気光学装置であって、
前記複数の走査線を用いた走査が行われている間、相隣接する2つの共通電極に、夫々、第1電圧及び該第1電圧とは異なる第2電圧が供給されるように、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給すると共に、前記一の共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に前記第1電圧から前記第2電圧へと又は前記第2電圧から前記第1電圧へと切り替える切替動作を前記複数の共通電極に対して順に行う供給回路と、
前記複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する制御回路と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の共通電極の夫々は、水平ラインに沿って延在する共通配線と一体に形成されており、
前記供給回路は、前記共通配線の一方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第1供給回路部と、前記共通配線の他方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第2供給回路部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1電圧又は前記第2電圧を選択するための極性信号を保持するラッチ回路を更に備え、
前記制御回路は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び前記制御回路による制御が行なわれるか否かを示す参照信号の夫々に基づいて、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記参照信号の信号レベルに応じて、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び該極性信号の反転信号の何れか一方又は固定信号レベルを有する固定信号を出力する制御回路部を水平ライン毎に備えることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記参照信号は、前記制御回路による制御が行なわれるべき期間はハイレベルとなると共に、前記制御回路による制御が行なわれる期間以外の他の期間はローレベルとなり、
前記制御回路部は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号と前記参照信号との否定論理和信号を出力する否定論理和回路を備えることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記電気光学装置の電源が投入された直後に、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記電気光学装置は、前記複数の画素電極及び前記複数の共通電極の夫々が形成される第1基板と、前記第1基板に対向するように配置される第2基板とを備えており、
前記電気光学物質は、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
複数の走査線、複数のデータ線、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素電極、及び当該画素電極に対応して設けられ前記走査線に沿う方向に分割された複数の共通電極を有する第1基板と、当該第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学物質と、を備える電気光学装置であって、
前記複数の共通電極の両端に配置され、前記共通電極の両端から第1電圧と、前記第1電圧よりも電位の高い第2電圧と、を共通電極に供給する第1供給回路部及び第2供給回路部と、
前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記共通電極に出力される電圧を共通電極ごとにすべて一致させる制御回路と、
前記走査線を選択する選択電圧を前記複数の走査線に順次供給する走査線駆動回路と、
前記走査線が選択された際に、前記第1電圧よりも電位の高い正極性の画像信号と、前記第2電圧よりも電位の低い負極性の画像信号と、を交互に前記複数のデータ線に供給するデータ線駆動回路と
を備え、
前記制御回路により前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から共通電極に出力する電圧を各共通電極ごとにすべて一致させてから、
前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記第1電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記正極性の画像信号を前記データ線に供給し、
前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部により前記第2電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記負極性の画像信号を前記データ線に供給することを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の走査線及び複数のデータ線の交差に対応して設けられた複数の画素電極と、1以上の水平ライン毎の画素電極に対応して形成される複数の共通電極と、前記複数の画素電極と前記複数の共通電極との間に印加される電界に応じて駆動される電気光学物質とを備える電気光学装置であって、
前記複数の走査線を用いた走査が行われている間、相隣接する2つの共通電極に、夫々、第1電圧及び該第1電圧とは異なる第2電圧が供給されるように、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給すると共に、前記一の共通電極に供給される電圧を、所定期間毎に前記第1電圧から前記第2電圧へと又は前記第2電圧から前記第1電圧へと切り替える切替動作を前記複数の共通電極に対して順に行う供給回路と、
前記複数の走査線を用いた走査が行われているか又は行われていないかに関わらず、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御する制御回路と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の共通電極の夫々は、水平ラインに沿って延在する共通配線と一体に形成されており、
前記供給回路は、前記共通配線の一方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第1供給回路部と、前記共通配線の他方の端部から前記第1電圧又は前記第2電圧を供給する第2供給回路部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記第1電圧又は前記第2電圧を選択するための極性信号を保持するラッチ回路を更に備え、
前記制御回路は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び前記制御回路による制御が行なわれるか否かを示す参照信号の夫々に基づいて、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記参照信号の信号レベルに応じて、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号及び該極性信号の反転信号の何れか一方又は固定信号レベルを有する固定信号を出力する制御回路部を水平ライン毎に備えることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記参照信号は、前記制御回路による制御が行なわれるべき期間はハイレベルとなると共に、前記制御回路による制御が行なわれる期間以外の他の期間はローレベルとなり、
前記制御回路部は、前記ラッチ回路により保持される前記極性信号と前記参照信号との否定論理和信号を出力する否定論理和回路を備えることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記電気光学装置の電源が投入された直後に、前記複数の共通電極の夫々に対して前記第1電圧及び前記第2電圧を交互に供給するように前記供給回路を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記電気光学装置は、前記複数の画素電極及び前記複数の共通電極の夫々が形成される第1基板と、前記第1基板に対向するように配置される第2基板とを備えており、
前記電気光学物質は、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
複数の走査線、複数のデータ線、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素電極、及び当該画素電極に対応して設けられ前記走査線に沿う方向に分割された複数の共通電極を有する第1基板と、当該第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた電気光学物質と、を備える電気光学装置であって、
前記複数の共通電極の両端に配置され、前記共通電極の両端から第1電圧と、前記第1電圧よりも電位の高い第2電圧と、を共通電極に供給する第1供給回路部及び第2供給回路部と、
前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記共通電極に出力される電圧を共通電極ごとにすべて一致させる制御回路と、
前記走査線を選択する選択電圧を前記複数の走査線に順次供給する走査線駆動回路と、
前記走査線が選択された際に、前記第1電圧よりも電位の高い正極性の画像信号と、前記第2電圧よりも電位の低い負極性の画像信号と、を交互に前記複数のデータ線に供給するデータ線駆動回路と
を備え、
前記制御回路により前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から共通電極に出力する電圧を各共通電極ごとにすべて一致させてから、
前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部から前記第1電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記正極性の画像信号を前記データ線に供給し、
前記第1供給回路部及び前記第2供給回路部により前記第2電圧を前記共通電極に供給し、前記走査線駆動回路により前記選択電圧を前記走査線に供給するとともに、前記データ線駆動回路により前記負極性の画像信号を前記データ線に供給することを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−205096(P2009−205096A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49926(P2008−49926)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】
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