説明

電気接続方法、電気接続構造、および、インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットヘッド

【課題】フレキシブル基板の電気接続部の高さばらつきを吸収し、確実に電気的接続を行なうことができる電気接続方法および電気接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
配線のパターンが形成されたフレキシブル基板60と電子部品48との電気接続方法であって、フレキシブル基板60は、フレキシブル基板60と電子部品48との当接部側に空間88を設けて、支持部材62に接着されて保持されており、空間88に、低粘性の樹脂材料84を充填する充填工程と、低粘性の樹脂材料48を半硬化させる半硬化工程と、支持部材62を電子部品48に当接し押圧する押圧工程と、樹脂材料48を完全に硬化させる硬化工程と、を有することを特徴とする電気接続方法および電気雪像構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続方法、電気接続構造、および、インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットヘッドに係り、特に、支持部材を用いて基板側と支持部材側の先端の配線を電気接続する電気接続方法、電気接続構造、および、インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性のフレキシブル基板を用いて電気的な接続を行なう接続構造が知られている。電気的な接続には、フレキシブル基板を支持部材に貼り付けた板状部材を、配線部材保持孔を通して、流路基板側に形成されている配線に電気接続している。この時、電気接続部の高さにばらつきがあると、位置ずれが生じたり、電気接続されないという問題が生じていた。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば、下記の特許文献1には、リード電極に接続された可撓性の配線基板と、配線基板が接続された支持部材からなり、支持部材の下端面に緩衝部材(テフロン(登録商標))を設けて均等に押圧することが記載されている。また、特許文献2には、弾性部材を用いて、フレキシブル基板を電極に向って押圧することで電気接続させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−255516号公報
【特許文献2】特開2008−263049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載されている方法では、フレキシブルケーブルと支持部材の間に弾性部材・緩衝部材を使用しているため、これらの部材の弾性変形により荷重が吸収されるため、電気接続部にかかる圧力が小さくなる。そのため、余計に加圧しなければならないという問題があった。また、弾性部材・緩衝部材には流動性がないため、電気接続部に均一に荷重をかけることができていなかった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、フレキシブル基板の電気接続部の高さばらつきを吸収し、確実に電気的接続を行なうことができる電気接続方法、電気接続構造、および、インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、配線のパターンが形成されたフレキシブル基板と電子部品との電気接続方法であって、前記フレキシブル基板は、前記フレキシブル基板と前記電子部品との当接部側で、支持部材との間に空間を設けて、前記支持部材に接着されて保持されており、前記空間に、低粘性の樹脂材料を充填する充填工程と、前記低粘性の樹脂材料を半硬化させる半硬化工程と、前記支持部材を前記電子部品に当接し押圧する押圧工程と、前記樹脂材料を完全に硬化させる硬化工程と、を有することを特徴とする電気接続方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、電子部品側の支持部材とフレキシブル基板との間に空間を設け、この空間に低粘性の樹脂を流し込んだ後、まず、半硬化させている。これにより、空間に充填させた樹脂にエアーを含んで、バブルを形成することなく、樹脂を充填させることができる。そして、半硬化させた状態で支持部材を電子部品に押圧しているので、電子部品の面状の段差、反りなどを支持部材先端に転写することができる。また、半硬化工程で、エアーを含むことなく、樹脂材料を充填しているので、支持部材を電子部品に均一の荷重で押圧することができる。その後、樹脂部材を完全に硬化させることで、電子部品の面状に対応する支持部材を形成することができるので、確実に電気接続を行なうことができる。
【0009】
本発明は、前記押圧工程の前に、前記フレキシブル基板に導電性材料を付与する付与工程を有することが好ましい。
【0010】
本発明によれば、押圧工程の前に、導電性材料を付与しているので、硬化工程の後に、支持部材を固定することで、電気接続を行うことができる。
【0011】
本発明は、前記硬化工程の後に、前記支持部材を外し、前記フレキシブル基板に導電性材料を付与する付与工程を有することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、一旦、樹脂材料で電子部品の面状を転写し、完全に硬化させた後、支持部材を取り出す。その後、導電性材料を付与した後に、接続、固定をすることで、電気接続することも可能である。
【0013】
本発明は、前記半硬化工程は、前記支持部材の空間から垂れ流れない程度に硬化させることが好ましい。
【0014】
本発明は、半硬化工程の樹脂の粘度を規定したものであり、支持部材から樹脂材料が垂れ流れない程度の粘度とすることが好ましい。半硬化工程の粘度を上記条件とすることで、電子部品の面状を転写するのに充分な粘度を有し、かつ、樹脂材料が空間から流れ出ることを防止することができる。
【0015】
本発明は、前記樹脂材料が、エポキシ樹脂、または、アクリル樹脂からなることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、樹脂材料としてエポキシ樹脂、または、アクリル樹脂を用いているので、本発明の半硬化、押圧、硬化を効率良く行なうことができる。
【0017】
本発明は前記目的を達成するために、配線のパターンが形成されたフレキシブル基板と電子部品との電気接続構造であって、前記フレキシブル基板は、前記フレキシブル基板と前記電子部品との当接部側の間に、樹脂材料が充填され、支持部材に接着されて保持されており、前記樹脂材料は、前記フレキシブル基板が当接される前記電子部品の面状が転写されており、前記樹脂材料の硬化後の弾性率が0.1GPa以上であることを特徴とする電気接続構造を提供する。
【0018】
本発明によれば、電子部品の面状を樹脂材料に転写した後、硬化させて、硬化後の樹脂の弾性率を0.1GPa以上としているので、支持部材先端の形状を電子部品の面状と適合させることができる。したがって、確実に電気接続をすることができる。
【0019】
本発明は、前記樹脂材料が、エポキシ樹脂、または、アクリル樹脂からなることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、エポキシ樹脂、または、アクリル樹脂からなる樹脂を用いることで、電子部品の面状の樹脂への転写、硬化を効果的に行うことができる。
【0021】
本発明は前記目的を達成するために、上記記載の電気接続方法を用いることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法を提供する。
【0022】
本発明は前記目的を達成するために、上記記載の電気接続構造を用いることを特徴とするインクジェットヘッドを提供する。
【0023】
本発明によれば、電気接続を低い圧力で確実に行なうことができるので、インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットとして好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電気接続方法、電気接続構造、および、インクジェットヘッドの製造方法、インクジェットによれば、支持部材とフレキシブル基板との間に、樹脂を充填させ、半硬化、電子部品側の電気接続部の面状を転写することにより、全面に均等な圧力、低圧力で確実に電気接続をすることができ、実装信頼性を大幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】インクジェットヘッドの電気接続構造を示す断面図である。
【図2】電気接続方法の実施形態を説明する図である。
【図3】電気接続方法の他の実施形態を説明する図である。
【図4】電気接続方法を説明するフローチャートである。
【図5】支持部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0027】
はじめに、本発明の適用例に係るインクジェットヘッドの構造について説明する。図1は、インクジェットヘッドの断面図である。このインクジェットヘッド10は、ノズル開口部12を備えたノズル基板14と、該ノズル基板14の上面に接合され、圧力室16の隔壁部17を形成する圧力室形成基板18と、該圧力室形成基板18の上面に接合された振動板20と、振動板20の上面に接合された圧電素子22と、該圧電素子22の上部空間(変位空間)を確保しつつ圧電素子22の上方を覆うとともに、リザーバ24を形成するリザーバ形成基板26と、圧電素子22との電気接続を行なうためのフレキシブル基板60を有する支持部材62を備えている。
【0028】
複数のノズル開口部12にそれぞれ対応するように複数形成されている圧力室16は、圧力室形成基板18による隔壁部17と、ノズル基板14と、振動板20とで囲まれた空間によって形成される。
【0029】
リザーバ24は、不図示の液タンクに繋がる液導入口32から導入された液を一次的に保持(貯留)する液室であり、このリザーバ24から各圧力室16に液が供給される。すなわち、リザーバ24は、複数の圧力室16に対する共通の液保持室(共通液室)となっている。
【0030】
リザーバ形成基板26によって形成されるリザーバ部34に連通する連通部36と、該連通部36を介してリザーバ24から各圧力室16に液を導く個別供給路38は、圧力室形成基板18によって形成される。
【0031】
圧力室形成基板18の上面を覆う振動板20は、圧力室16側に面した弾性膜42と、該弾性膜42の上面に設けられた下部電極44とから構成される。下部電極44は各圧力室16に対応した複数の圧電素子22の共通電極として機能する。なお、本例では、弾性膜42の上に下部電極44を重ねた構造の振動板20を用いているが、かかる構成に代えて、金属製の振動板を用いるなどして、弾性膜42を省略した構造とし、共通電極を兼ねる振動板を採用してもよい。
【0032】
圧電素子22は、下部電極44の上面に設けられた圧電体膜46と、その圧電体膜46の上面に設けられた上部電極48とを備えている。すなわち、下部電極44と、上部電極48と、両電極膜の間に介在する圧電体膜46とによって圧電素子22が構成される。圧電素子22は、各圧力室16ごとに設けられており、上部電極48は各圧電素子22の個別電極として機能する。
【0033】
リザーバ形成基板26のうち、圧電素子22に対向する領域には、各圧電素子22の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態で、その空間を密封可能な圧電素子保持部50が設けられている。このように、リザーバ形成基板26は、圧電素子22を外部環境と遮断して、圧電素子22を封止するための封止部材として機能している。
【0034】
圧電素子保持部50によって封止されている圧電素子22のうち、上部電極48の一方の端部は、圧電素子保持部50の外側まで延びており、フレキシブル基板60の配線接続を行うための接続端子部(電極の引き出し部分)となっている。なお、図1においては、上部電極48を延設することで、配線としているが、他の方法、たとえば、上部電極の上に、例えば、金(Au)等からなるリード電極を接続し、他方を圧電素子保持部50の外側に延ばし接続端子部とすることもできる。
【0035】
また、リザーバ形成基板26には、リザーバ形成基板26を厚さ方向に貫通する貫通孔64が設けられている。貫通孔64は、本実施形態では圧電素子保持部50の間に設けられている。そして、各圧電素子22から引き出された上部電極48の端部は、貫通孔64内に露出するように設けられている。
【0036】
圧電素子22との電気接続を行なうフレキシブル基板60は、下端部が上部電極48に接続されるとともにほぼ垂直に立ち上げられて支持部材62の側面に接着されている。本実施形態では、これらの支持部材62、フレキシブル基板60および駆動回路(図示せず)で配線基板が構成されている。
【0037】
さらに、図1に示すように、リザーバ形成基板26上には、封止膜66及び固定板68とからなるコンプライアンス基板70が接合されている。ここで、封止膜66は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜66によってリザーバ24の一方面が封止されている。また、固定板68は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板68のリザーバ24に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部72となっているため、リザーバ24の一方面は可撓性を有する封止膜66のみで封止されている。
【0038】
さらに、コンプライアンス基板70上には、保持部材であるヘッドケース74が設けられている。ヘッドケース74には、インク導入口に連通してカートリッジ等のインク貯留手段からのインクをリザーバ24に供給するインク導入路が設けられている。また、ヘッドケース74には、開口部72に対向する領域に凹部が形成され、開口部72のたわみ変形が適宜行われるようになっている。さらに、ヘッドケース74には、リザーバ形成基板26に設けられた貫通孔64と連通する配線部材保持孔78が設けられており、配線部材は、配線部材保持孔78内に挿通されて上部電極48と接続されている。そして、ヘッドケース74の配線部材保持孔78に挿通された支持部材62は、ヘッドケース74と接着剤80を介して接着されている。
【0039】
支持部材62は、フレキシブル基板60が両側に接着されており、配線(上部電極48)側の支持部材62とフレキシブル基板60との間に樹脂材料84が設けられている。樹脂材料84は、実装時に不完全に硬化させた状態で、電気接続部に押圧し、電気接続部の凹凸・反りなどの状態を写し取った状態で、加熱する。これにより、電気接続部の面状を支持部材の対応する面に完全にトレースすることができるので、低圧力で実装信頼性を大幅に高めることができる。フレキシブル基板60と配線は導電性材料86を介して接続されている。
【0040】
樹脂材料は、完全に硬化させた後の弾性率は0.1GPa以上であることが好ましい。電気接続部の面状の転写を行い、完全硬化後の弾性率を上記範囲とすることにより、樹脂材料が変形することを防止することができるので、確実に電気接続をすることができる。
【0041】
[電気接続方法]
次にフレキシブル基板60と配線との電気接続構造について、図2および図4のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
まず、支持部材62とフレキシブル基板60の接着を行なう(図2(a)、S11)。この時、次工程で充填させる低粘性の樹脂材料を充填する空間88を、支持部材62とフレキシブル基板60との間の電子部品との接続側に形成する。次に、この空間88に、樹脂材料を充填させる(図2(b)、S12)。樹脂材料としては、特に限定されず、硬化前が低粘度であり、熱、紫外線などにより硬化させることができる材料であれば、特に限定されず使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などを使用することができる。
【0043】
次に充填した樹脂材料84の加熱を行い、樹脂材料84を半硬化させる。加熱は、樹脂が不完全に硬化し、クリープ現象が生じる程度まで、半硬化を行う(S13)。好ましくは、支持部材の端部から樹脂材料が垂れ流れない程度まで硬化させることが好ましい。
【0044】
フレキシブル基板60と支持部材62との間にエアーなどを閉じ込めてしまう場合があるが、この場合、その後の電気接続の時の圧力を印加した際には、圧力のかからない部分ができてしまう。このように、低粘性の樹脂を充填し、低粘性の樹脂材料から半硬化させることで、樹脂材料84を形成することで、エアーの巻き込みを防止することができる。したがって、電気接続の時の圧力を均一にかけることができるとともに、圧力を低く抑えることができる。なお、低粘性の樹脂材料とは、空間88内に隙間なく樹脂材料を充填できる程度の粘度のことである。
【0045】
次に、フレキシブル基板60と配線(上部電極48)との接続部にNCP(ノンコンダクティブペースト)、ACP(異方導電性ペースト)などの導電性材料86をフレキシブル基板の電気接続部に付与する(図2(c)、S14)。
【0046】
その後、圧力室形成基板18にフレキシブル基板60の実装部に荷重をかけながら押し当て、圧力室形成基板の電気接続部表面の段差・反り状態をトレースする(図2(d)、S15)。
【0047】
その後、支持部材62を圧力室形成基板の電気接続部に接触させたまま、熱を加える、または、紫外線を照射することで樹脂の硬化を行なう(図2(e)、S16)。電気接続部の面状は、支持部材62とフレキシブル基板60との間に設けられた樹脂材料84により、転写されており、フレキシブル基板60と支持部材62とで当接した状態で硬化を行っているので、フレキシブル基板60と配線(上部電極48)とを完全に電気接続することが可能である。
【0048】
最後にヘッドケース74と支持部材62を固定する(S17)。支持部材62とヘッドケース74の接続は、ヘッドケース74と支持部材62とを、フレキシブル基板60の保持口が設けられた領域で接着剤を介して接着することもできるし、フレキシブル基板60とヘッドケース74とを接着するようにしてもよい。また、リザーバ形成基板26と支持部材62との間の空間をモールド材によってモールドするようにしてもよい。
【0049】
低粘性を有する樹脂材料は、樹脂材料が支持部材62の端部から流れ出ないように充填、半硬化を行なうことが好ましい。樹脂材料84の流出を防止するため、樹脂材料84を硬化する際、治具を設けて樹脂材料の充填を行なうこともできる。治具としては、防波堤を有する治具を設置し、支持部材62から樹脂材料が流れ出ないようにすることもできる。図5は支持部材62とフレキシブル基板60を側面から見た図である、図5に示すように、樹脂材料を充填・半硬化させる際の支持部材62からのはみ出しを考慮して、フレキシブル基板60自体を支持部材62より長く形成しておき、必要に応じて、樹脂材料84またはフレキシブル基板60を除去・切断することで、半硬化した樹脂材料84が充填された支持部材62およびフレキシブル基板60を形成することができる。
【0050】
支持部材62の材料としては、圧力室形成基板18と熱膨張率が近い、もしくは、等しい材料を用いることが好ましい。例えば、圧力室形成基板18の材料がSiなら、支持部材62の材料もSi、もしくは、熱膨張率が近いインバー(invar)を用いることが好ましい。また、支持部材62は、保持部材であるヘッドケース74と線膨張係数が同等の材料で形成することが好ましく、例えば、ステンレス鋼を用いることができる。支持部材62とヘッドケース74との線膨張係数が近い材料を用いることにより、インクジェットヘッドが熱により膨張・収縮した際に、ヘッドケース74と支持部材との線膨張係数の違いによる反りや破壊を防止することができる。また、線膨張係数が異なる材料を用いると、支持部材が圧力室形成基板18を押圧してしまい、圧力室形成基板18にクラックが発生することが考えられる。
【0051】
また、図1は、圧力室形成基板18に圧力室16が併設された列を2列設けたものであるが、この場合の列数には特別な制限はない。1列であっても、3列以上であっても構わない。複数列の場合には、少なくとも2列一組を相対向させて設ければよい。
【0052】
また、支持部材62が導電性材料で形成されている場合には、支持部材62を接地するようにしてもよい。支持部材62を接地することで、駆動回路などから発生するノイズをシールドすることができ、ノイズによる駆動信号などの阻害を抑制することができる。また、支持部材62を接地することで、インクジェットヘッドの移動時に浮きメタルによるノイズの発生を低減することができる。
【0053】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の電気接続方法の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る電気接続方法は、圧力室形成基板18側の電気接続部の面状をトレースし、樹脂材料84を硬化させた後、一度取り外している点で、第1実施形態と異なっている。
【0054】
具体的には、まず、樹脂材料84の充填、加熱しクリープを起こす程度に半硬化させるまでは、第1実施形態と同様の方法により操作を行なう(図3(a)、(b))。
【0055】
次に圧力室形成基板18にフレキシブル基板60が形成された支持部材62を、荷重をかけながら押し当て、圧力室形成基板18の電気接続部の段差・反りなどの面状をトレースする(図3(c)、S24)。その後、熱を加える、または、紫外線を照射することで、樹脂材料84を完全に硬化させ、電気接続部の面状を樹脂材料84に写し取った状態で完全に硬化させることができる(図3(d)、S25)。
【0056】
樹脂を硬化させた後、支持部材62を一度取り出し、NCP、ACPなどの導電性材料86を付与する(図3(e)、S26)。そして、再度、支持部材62を電気接続部に挿入し、ヘッドケース74と固定することで、完全に電気接続する(図3(f)、S17)。その後、支持部材とヘッドケース74とを接着剤で結合させることにより、電気接続およびインクジェットヘッドの製造を行う。
【符号の説明】
【0057】
10…インクジェットヘッド、12…ノズル開口部、14…ノズル基板、16…圧力室、17…隔壁部、18…圧力室形成基板、20…振動板、22…圧電素子、24…リザーバ、26…リザーバ形成基板、32・・・液導入口、34…リザーバ部、36…連通部、38…個別供給路、42…弾性膜、44…下部電極、46…圧電体膜、48…上部電極、50…圧電素子保持部、60…フレキシブル基板、62…支持部材、64…貫通孔、66…封止膜、68…固定板、70…コンプライアンス基板、72…開口部、74…ヘッドケース、78…配線部材保持孔、80…接着剤、84…樹脂材料、86…導電性材料、88…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線のパターンが形成されたフレキシブル基板と電子部品との電気接続方法であって、
前記フレキシブル基板は、前記フレキシブル基板と前記電子部品との当接部側で、支持部材との間に空間を設けて、前記支持部材に接着されて保持されており、前記空間に、低粘性の樹脂材料を充填する充填工程と、
前記低粘性の樹脂材料を半硬化させる半硬化工程と、
前記支持部材を前記電子部品に当接し押圧する押圧工程と、
前記樹脂材料を完全に硬化させる硬化工程と、を有することを特徴とする電気接続方法。
【請求項2】
前記押圧工程の前に、前記フレキシブル基板に導電性材料を付与する付与工程を有することを特徴とする請求項1に記載の電気接続方法。
【請求項3】
前記硬化工程の後に、前記支持部材を外し、前記フレキシブル基板に導電性材料を付与する付与工程を有することを特徴とする請求項1に記載の電気接続方法。
【請求項4】
前記半硬化工程は、前記支持部材の空間から垂れ流れない程度に硬化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気接続方法。
【請求項5】
前記樹脂材料が、エポキシ樹脂、または、アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気接続方法。
【請求項6】
配線のパターンが形成されたフレキシブル基板と電子部品との電気接続構造であって、
前記フレキシブル基板は、前記フレキシブル基板と前記電子部品との当接部側の間に、樹脂材料が充填され、支持部材に接着されて保持されており、
前記樹脂材料は、前記フレキシブル基板が当接される前記電子部品の面状が転写されており、
前記樹脂材料の硬化後の弾性率が0.1GPa以上であることを特徴とする電気接続構造。
【請求項7】
前記樹脂材料が、エポキシ樹脂、または、アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項6に記載の電気接続構造。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気接続方法を用いることを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の電気接続構造を用いることを特徴とするインクジェットヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−191050(P2012−191050A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54328(P2011−54328)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】