電気接続箱
【課題】バッテリ救援端子部を備えた電気接続箱において、小型化を図ることが可能な電気接続箱を提供する。
【解決手段】自動車のエンジンルームに配置される電気接続箱1Aは、自動車のラゲージルームに配置されるバッテリと電源ケーブルを介して電気的に接続されるバスバ6と、バスバ6が取り付けられる合成樹脂製の保持部材11と、バッテリジャンプを行う際にブースターケーブルが接続されるバッテリ救援端子部4と、を備えている。バッテリ救援端子部4は、一端がバスバ6に電気接続され他端が自由端とされた電線2と、該電線2の他端に設けられた端子3と、で構成されている。また、保持部材11には、端子3を収容することが可能な端子収容部12が設けられている。
【解決手段】自動車のエンジンルームに配置される電気接続箱1Aは、自動車のラゲージルームに配置されるバッテリと電源ケーブルを介して電気的に接続されるバスバ6と、バスバ6が取り付けられる合成樹脂製の保持部材11と、バッテリジャンプを行う際にブースターケーブルが接続されるバッテリ救援端子部4と、を備えている。バッテリ救援端子部4は、一端がバスバ6に電気接続され他端が自由端とされた電線2と、該電線2の他端に設けられた端子3と、で構成されている。また、保持部材11には、端子3を収容することが可能な端子収容部12が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルームなどに取り付けられる電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンルームには、エンジン、バッテリ、該バッテリと電気接続された電気接続箱等が配置されているが、搭載スペースの問題等により、バッテリが車両後方のラゲージルームに配置されることがあった。このように、バッテリと電気接続箱とが離れた位置に配置された自動車においては、バッテリが上がった時にブースターケーブルの接続を行い易くするために、図9に示すように、電気接続箱301にバッテリ救援端子部304が設けられることがあった(特許文献1を参照。)。
【0003】
図9に示す電気接続箱301は、ケース本体307と、リレー、ヒューズなどの複数の部品314a,314b及びバスバ306が装着された保持部材311と、バスバ306の一部で構成され、保持部材311の部品搭載面311aから突出した上記バッテリ救援端子部304と、ケース本体307の上面を覆う図示しないカバーと、を備えている。また、前記バスバ306は、電源ケーブルを介して上記バッテリと電気接続されている。
【0004】
このような電気接続箱301を備えた自動車において、前記バッテリが上がった際は、カバーをケース本体307から取り外し、バッテリ救援端子部304をブースターケーブル20のクリップ21で挟んで前記バッテリに給電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−330527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した電気接続箱301においては、以下に示す問題があった。即ち、電気接続箱301は、バッテリ救援端子部304にブースターケーブル20のクリップ21を装着する際、このクリップ21が部品314a,314bに接触するのを避けるために、バッテリ救援端子部304の周囲に空間Sを設ける必要があり、電気接続箱301が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、バッテリ救援端子部を備えた電気接続箱において、小型化を図ることが可能な電気接続箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、バッテリと電気的に接続されたバスバと、バッテリ救援端子部と、を備えた電気接続箱において、前記バッテリ救援端子部が、一端が前記バスバに電気接続され他端が自由端とされた電線と、該電線の他端に設けられた端子と、で構成されていることを特徴とする電気接続箱である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、ケース本体と、ヒンジを介して前記ケース本体に連結され、前記ケース本体の開口部を覆うカバーと、を備え、前記カバーに、前記電線の他端近傍を固定することが可能なフックが設けられている
ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記バスバと複数の部品とが取り付けられる保持部材を備え、前記保持部材に、前記端子を収容することが可能な端子収容部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、前記バッテリ救援端子部が、一端が前記バスバに電気接続され他端が自由端とされた電線と、該電線の他端に設けられた端子と、で構成されているので、バッテリ救援端子部を使用する際は、他部品から離れた位置に引き出して使用することで、端子に装着されるブースターケーブルが他部品に接触することによるショートを防止できるので、従来品においてバッテリ救援端子部の周囲に設けていた空間をなくすことができ、そのために、小型化を図ることが可能な電気接続箱を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、ケース本体と、ヒンジを介して前記ケース本体に連結され、前記ケース本体の開口部を覆うカバーと、を備え、前記カバーに、前記電線の他端近傍を固定することが可能なフックが設けられているので、バッテリ救援端子部を使用する際は、電線の他端近傍をフックに固定した状態で端子にブースターケーブルを接続することで、ブースターケーブルが他部品に接触することによるショートを防止でき、作業の安全性を確保することができる。
【0013】
請求項3に記載された発明によれば、前記バスバと複数の部品とが取り付けられる保持部材を備え、前記保持部材に、前記端子を収容することが可能な端子収容部が設けられているので、バッテリ救援端子部を使用しない際は、端子を端子収容部に収容しておくことで、端子が他部品に接触することによるショートを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電気接続箱を示す斜視図である。
【図2】図1中のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図2に示されたカバーを取り外してバッテリ救援端子部を引き出した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる電気接続箱の断面図である。
【図5】図4に示されたカバーを取り外してバッテリ救援端子部を引き出した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかる電気接続箱の断面図である。
【図7】図6に示されたカバーを90度開いてバッテリ救援端子部にブースターケーブルを接続した状態を示す断面図である。
【図8】図6に示されたカバーを180度開いてバッテリ救援端子部にブースターケーブルを接続した状態を示す断面図である。
【図9】従来の電気接続箱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱を、図1〜3を参照して説明する。
【0016】
図1〜3に示す本発明の電気接続箱1Aは、自動車のエンジンルームに配置されて、前記自動車に搭載された多種多様な電子機器に電力供給及び信号伝送を行うものである。また、本明細書では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックス)、ヒューズブロック(ヒューズボックス)、リレーブロック(リレーボックス)を、総称して電気接続箱と呼ぶ。
【0017】
上記電気接続箱1Aは、図2に示すように、ケース本体7、カバー8、ロアカバー9で構成されるケース10と、ケース本体7に取り付けられた保持部材11と、この保持部材11に取り付けられた複数の部品14及びバスバ6と、バッテリ救援端子部4と、バッテリ救援端子部4の後述する端子3に被せられる絶縁性のキャップ5と、を備えている。
【0018】
上記ケース本体7は、絶縁性の合成樹脂により四角筒状に形成されている。
【0019】
上記カバー8は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。このカバー8は、ケース本体7に着脱可能に設けられており、ケース本体7の上側の開口部7aを覆う。
【0020】
上記ロアカバー9は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。このロアカバー9は、ケース本体7の下側の開口部を覆うようにケース本体7に取り付けられている。
【0021】
上記保持部材11は、絶縁性の合成樹脂によりブロック状に形成されている。この保持部材11には、バスバ6を収容するバスバ収容部と、複数の部品14が装着される部品搭載面11aと、ケース本体7の内面に係止する係止部と、が設けられている。また、保持部材11は、部品搭載面11aがケース本体7の上側の開口部7a側に位置付けられる向きでケース本体7に取り付けられる。
【0022】
上記複数の部品14は、例えば、リレー、ヒューズ、ワイヤハーネスのコネクタである。これら部品14は、保持部材11の部品搭載面11aに装着されることにより、保持部材11の内部に収容されたバスバ6と電気接続される。
【0023】
上記バスバ6は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものである。このバスバ6は、前記自動車のラゲージルームに配置されたバッテリと、図示しない電源ケーブルを介して電気的に接続されている。
【0024】
上記バッテリ救援端子部4は、一端がバスバ6に電気接続され他端が自由端とされた電線2と、該電線2の他端に設けられた端子3と、で構成されている。前記電線2は、芯線の周りが絶縁被覆で覆われた被覆電線である。前記端子3は、導電性の金属で構成されており、ブースターケーブルのクリップで挟むことが可能な板状に形成されている。また、端子3は、加締め等により電線2の芯線と電気接続されている。
【0025】
また、上記保持部材11には、端子3を収容することが可能な端子収容部12と、電線挿通孔13と、が設けられている。前記端子収容部12は、部品搭載面11aから凹状に形成されている。前記電線挿通孔13は、端子収容部12の底面から保持部材11の下側に延びている。また、電線挿通孔13は、電線2を通すことが可能で端子3を通すことが不能な寸法に形成されている。
【0026】
バッテリ救援端子部4は、使用時以外は、端子3にキャップ5が被せられた状態で端子収容部12内に位置付けられ、電線2の余長部分が電線挿通孔13を通されて保持部材11の下側に位置付けられている。このように、端子3を端子収容部12内に収容しておくことで、端子3が他の部品14に接触することによるショートを防止できる。
【0027】
また、前記バッテリが上がった際は、図3に示すように、カバー8をケース本体7から取り外し、バッテリ救援端子部4を端子収容部12及び電線挿通孔13から保持部材11の上側に引き出し、キャップ5を取り外して、端子3をブースターケーブルのクリップで挟んで前記バッテリに給電を行う。
【0028】
このように、本発明の電気接続箱1Aによれば、バッテリ救援端子部4を使用する際は、他の部品14から離れた位置に引き出して使用することで、端子3に装着されるブースターケーブルのクリップが部品14等に接触することによるショートを防止できるので、従来品においてバッテリ救援端子部の周囲に設けていた空間をなくすことができ、そのために、ケース10の小型化を図ることができる。
【0029】
(第2の実施形態)
本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱を、図4,5を参照して説明する。また、図4,5において前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図4に示す本実施形態の電気接続箱1Bは、第1の実施形態で説明した電気接続箱1Aのバッテリ救援端子部4に、バネ片15を追加した構成となっている。バネ片15は、保持部材11に取り付けられているとともに電線2の一端側の部分に沿わされている。
【0031】
このようにバネ片15が設けられたバッテリ救援端子部4は、図5に示すように、バネ片15を弾性変形させながら端子収容部12及び電線挿通孔13から保持部材11の上側に引き出される。また、バッテリ救援端子部4の使用後は、バネ片15の弾性復元力によって電線2が自動で保持部材11の下側に引き込まれ、端子3が端子収容部12内に収容される。
【0032】
このように、本発明の電気接続箱1Bによれば、バッテリ救援端子部4にバネ片15を設けているので、端子収容部12から引き出して使用したバッテリ救援端子部4を、端子収容部12に収容し忘れることを防止できる。また、本発明では、バネ片15の代わりに、保持部材11の下端に取り付けられたコイルバネと、コイルバネの先に取り付けられ電線2に接触するスライドローラと、によって電線2に下向きのテンションをかけることにより、保持部材11の上側に引き出された電線2を保持部材11の下側に引き込むようにすることも可能である。
【0033】
(第3の実施形態)
本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱を、図6〜8を参照して説明する。また、図6〜8において前述した第1,2の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
図6に示す本実施形態の電気接続箱1Cは、ケース本体17、カバー18、ロアカバー9で構成されるケース110と、ケース本体17に取り付けられた保持部材111と、この保持部材111に取り付けられた複数の部品14及びバスバ6と、バッテリ救援端子部4と、を備えている。
【0035】
上記ケース本体17は、絶縁性の合成樹脂により四角筒状に形成されている。
【0036】
上記カバー18は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。このカバー18は、ヒンジ16を介してケース本体17に連結されている。このカバー18は、図6に示すようにケース本体17の上側の開口部17aを覆う位置と、図7,8に示すように開口部17aを開放する位置と、に亘って回動可能とされている。
【0037】
上記保持部材111は、絶縁性の合成樹脂によりブロック状に形成されている。この保持部材111には、複数の部品14が装着される部品搭載面111aと、ケース本体17の内面に係止する係止部と、電線挿通孔113と、が設けられている。また、保持部材111は、部品搭載面111aがケース本体17の上側の開口部17a側に位置付けられる向きでケース本体7に取り付けられる。前記電線挿通孔113は、部品搭載面111aから保持部材111の下側に延びている。また、電線挿通孔113は、電線2を通すことが可能で端子3を通すことが不能な寸法に形成されている。
【0038】
また、上記カバー18の内面には、電線2の他端近傍を固定することが可能なフック19が設けられている。このフック19は、U字状に形成されており、U字の内側に電線2を挟むことが可能なように形成されている。また、フック19は、カバー18と一体成形されている。
【0039】
バスバ6に電気接続された電線2は、保持部材111の下側から電線挿通孔113を通されて保持部材111の上側に引き出され、保持部材111の部品搭載面111a及びカバー18の内面を這わされて、他端近傍がフック19に固定される。電気接続箱1Cは、通常、この状態でカバー18が閉じられてエンジンルームに配置される。また、端子3は、図6に示すようにカバー18が閉じられた状態で、他の部品に接触しないようになっている。
【0040】
また、前記バッテリが上がった際は、図7または図8に示すように、カバー18を開き、端子3をブースターケーブル20のクリップ21で挟んで前記バッテリに給電を行う。このように、カバー18が開かれることにより、フック19に固定された端子3が他の部品14から離れた位置に位置付けられるので、クリップ21が他の部品14等に接触することによる部品の破損を防止できる。よって、バッテリへの給電作業を安全に行うことができる。
【0041】
また、図7中の23は、エンジンルームのボディを表している。図7に示すように電気接続箱1Cがボディ23に隣接する位置に配置される場合、カバー18を90度開くことによって、該カバー18がボディ23とブースターケーブル20のクリップ21との間に介在することとなり、クリップ21がボディ23に接触して部品が破損することを防止できる。よって、バッテリへの給電作業を安全に行うことができる。
【0042】
また、図8中の24は、大電流が通電される機器を表している。図8に示すように電気接続箱1Cが機器24に隣接する位置に配置される場合、カバー18を180度開くことによって、該カバー18が機器24とブースターケーブル20のクリップ21との間に介在することとなり、クリップ21が機器24に接触してショートを起こすことを防止できる。よって、バッテリへの給電作業を安全に行うことができる。
【0043】
また、バッテリ救援端子部4は、前述したように、電線2の他端近傍をフック19に固定したまま端子3にブースターケーブル20のクリップ21を装着することも可能であるし、電線2の他端近傍をフック19から外して端子3にブースターケーブル20のクリップ21を装着することも可能である。また、バッテリ救援端子部4は、使用時以外は、端子3に第1,2の実施形態で説明したキャップ5を被せるようにしても良い。
【0044】
また、本発明では、保持部材111に第1,2の実施形態で説明した端子収容部12を設け、バッテリ救援端子部4の使用時以外は端子3を端子収容部12内に位置付けるようにし、バッテリ救援端子部4の使用時に電線2の他端近傍をフック19に固定するようにしても良い。
【0045】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 A,1B,1C 電気接続箱
2 電線
3 端子
4 バッテリ救援端子部
6 バスバ
11 保持部材
12 端子収容部
14 部品
16 ヒンジ
17 ケース本体
17a 開口部
18 カバー
19 フック
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンルームなどに取り付けられる電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のエンジンルームには、エンジン、バッテリ、該バッテリと電気接続された電気接続箱等が配置されているが、搭載スペースの問題等により、バッテリが車両後方のラゲージルームに配置されることがあった。このように、バッテリと電気接続箱とが離れた位置に配置された自動車においては、バッテリが上がった時にブースターケーブルの接続を行い易くするために、図9に示すように、電気接続箱301にバッテリ救援端子部304が設けられることがあった(特許文献1を参照。)。
【0003】
図9に示す電気接続箱301は、ケース本体307と、リレー、ヒューズなどの複数の部品314a,314b及びバスバ306が装着された保持部材311と、バスバ306の一部で構成され、保持部材311の部品搭載面311aから突出した上記バッテリ救援端子部304と、ケース本体307の上面を覆う図示しないカバーと、を備えている。また、前記バスバ306は、電源ケーブルを介して上記バッテリと電気接続されている。
【0004】
このような電気接続箱301を備えた自動車において、前記バッテリが上がった際は、カバーをケース本体307から取り外し、バッテリ救援端子部304をブースターケーブル20のクリップ21で挟んで前記バッテリに給電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−330527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した電気接続箱301においては、以下に示す問題があった。即ち、電気接続箱301は、バッテリ救援端子部304にブースターケーブル20のクリップ21を装着する際、このクリップ21が部品314a,314bに接触するのを避けるために、バッテリ救援端子部304の周囲に空間Sを設ける必要があり、電気接続箱301が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、バッテリ救援端子部を備えた電気接続箱において、小型化を図ることが可能な電気接続箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、バッテリと電気的に接続されたバスバと、バッテリ救援端子部と、を備えた電気接続箱において、前記バッテリ救援端子部が、一端が前記バスバに電気接続され他端が自由端とされた電線と、該電線の他端に設けられた端子と、で構成されていることを特徴とする電気接続箱である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、ケース本体と、ヒンジを介して前記ケース本体に連結され、前記ケース本体の開口部を覆うカバーと、を備え、前記カバーに、前記電線の他端近傍を固定することが可能なフックが設けられている
ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記バスバと複数の部品とが取り付けられる保持部材を備え、前記保持部材に、前記端子を収容することが可能な端子収容部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載された発明によれば、前記バッテリ救援端子部が、一端が前記バスバに電気接続され他端が自由端とされた電線と、該電線の他端に設けられた端子と、で構成されているので、バッテリ救援端子部を使用する際は、他部品から離れた位置に引き出して使用することで、端子に装着されるブースターケーブルが他部品に接触することによるショートを防止できるので、従来品においてバッテリ救援端子部の周囲に設けていた空間をなくすことができ、そのために、小型化を図ることが可能な電気接続箱を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、ケース本体と、ヒンジを介して前記ケース本体に連結され、前記ケース本体の開口部を覆うカバーと、を備え、前記カバーに、前記電線の他端近傍を固定することが可能なフックが設けられているので、バッテリ救援端子部を使用する際は、電線の他端近傍をフックに固定した状態で端子にブースターケーブルを接続することで、ブースターケーブルが他部品に接触することによるショートを防止でき、作業の安全性を確保することができる。
【0013】
請求項3に記載された発明によれば、前記バスバと複数の部品とが取り付けられる保持部材を備え、前記保持部材に、前記端子を収容することが可能な端子収容部が設けられているので、バッテリ救援端子部を使用しない際は、端子を端子収容部に収容しておくことで、端子が他部品に接触することによるショートを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる電気接続箱を示す斜視図である。
【図2】図1中のA−A線に沿った断面図である。
【図3】図2に示されたカバーを取り外してバッテリ救援端子部を引き出した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる電気接続箱の断面図である。
【図5】図4に示されたカバーを取り外してバッテリ救援端子部を引き出した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかる電気接続箱の断面図である。
【図7】図6に示されたカバーを90度開いてバッテリ救援端子部にブースターケーブルを接続した状態を示す断面図である。
【図8】図6に示されたカバーを180度開いてバッテリ救援端子部にブースターケーブルを接続した状態を示す断面図である。
【図9】従来の電気接続箱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱を、図1〜3を参照して説明する。
【0016】
図1〜3に示す本発明の電気接続箱1Aは、自動車のエンジンルームに配置されて、前記自動車に搭載された多種多様な電子機器に電力供給及び信号伝送を行うものである。また、本明細書では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックス)、ヒューズブロック(ヒューズボックス)、リレーブロック(リレーボックス)を、総称して電気接続箱と呼ぶ。
【0017】
上記電気接続箱1Aは、図2に示すように、ケース本体7、カバー8、ロアカバー9で構成されるケース10と、ケース本体7に取り付けられた保持部材11と、この保持部材11に取り付けられた複数の部品14及びバスバ6と、バッテリ救援端子部4と、バッテリ救援端子部4の後述する端子3に被せられる絶縁性のキャップ5と、を備えている。
【0018】
上記ケース本体7は、絶縁性の合成樹脂により四角筒状に形成されている。
【0019】
上記カバー8は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。このカバー8は、ケース本体7に着脱可能に設けられており、ケース本体7の上側の開口部7aを覆う。
【0020】
上記ロアカバー9は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。このロアカバー9は、ケース本体7の下側の開口部を覆うようにケース本体7に取り付けられている。
【0021】
上記保持部材11は、絶縁性の合成樹脂によりブロック状に形成されている。この保持部材11には、バスバ6を収容するバスバ収容部と、複数の部品14が装着される部品搭載面11aと、ケース本体7の内面に係止する係止部と、が設けられている。また、保持部材11は、部品搭載面11aがケース本体7の上側の開口部7a側に位置付けられる向きでケース本体7に取り付けられる。
【0022】
上記複数の部品14は、例えば、リレー、ヒューズ、ワイヤハーネスのコネクタである。これら部品14は、保持部材11の部品搭載面11aに装着されることにより、保持部材11の内部に収容されたバスバ6と電気接続される。
【0023】
上記バスバ6は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものである。このバスバ6は、前記自動車のラゲージルームに配置されたバッテリと、図示しない電源ケーブルを介して電気的に接続されている。
【0024】
上記バッテリ救援端子部4は、一端がバスバ6に電気接続され他端が自由端とされた電線2と、該電線2の他端に設けられた端子3と、で構成されている。前記電線2は、芯線の周りが絶縁被覆で覆われた被覆電線である。前記端子3は、導電性の金属で構成されており、ブースターケーブルのクリップで挟むことが可能な板状に形成されている。また、端子3は、加締め等により電線2の芯線と電気接続されている。
【0025】
また、上記保持部材11には、端子3を収容することが可能な端子収容部12と、電線挿通孔13と、が設けられている。前記端子収容部12は、部品搭載面11aから凹状に形成されている。前記電線挿通孔13は、端子収容部12の底面から保持部材11の下側に延びている。また、電線挿通孔13は、電線2を通すことが可能で端子3を通すことが不能な寸法に形成されている。
【0026】
バッテリ救援端子部4は、使用時以外は、端子3にキャップ5が被せられた状態で端子収容部12内に位置付けられ、電線2の余長部分が電線挿通孔13を通されて保持部材11の下側に位置付けられている。このように、端子3を端子収容部12内に収容しておくことで、端子3が他の部品14に接触することによるショートを防止できる。
【0027】
また、前記バッテリが上がった際は、図3に示すように、カバー8をケース本体7から取り外し、バッテリ救援端子部4を端子収容部12及び電線挿通孔13から保持部材11の上側に引き出し、キャップ5を取り外して、端子3をブースターケーブルのクリップで挟んで前記バッテリに給電を行う。
【0028】
このように、本発明の電気接続箱1Aによれば、バッテリ救援端子部4を使用する際は、他の部品14から離れた位置に引き出して使用することで、端子3に装着されるブースターケーブルのクリップが部品14等に接触することによるショートを防止できるので、従来品においてバッテリ救援端子部の周囲に設けていた空間をなくすことができ、そのために、ケース10の小型化を図ることができる。
【0029】
(第2の実施形態)
本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱を、図4,5を参照して説明する。また、図4,5において前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図4に示す本実施形態の電気接続箱1Bは、第1の実施形態で説明した電気接続箱1Aのバッテリ救援端子部4に、バネ片15を追加した構成となっている。バネ片15は、保持部材11に取り付けられているとともに電線2の一端側の部分に沿わされている。
【0031】
このようにバネ片15が設けられたバッテリ救援端子部4は、図5に示すように、バネ片15を弾性変形させながら端子収容部12及び電線挿通孔13から保持部材11の上側に引き出される。また、バッテリ救援端子部4の使用後は、バネ片15の弾性復元力によって電線2が自動で保持部材11の下側に引き込まれ、端子3が端子収容部12内に収容される。
【0032】
このように、本発明の電気接続箱1Bによれば、バッテリ救援端子部4にバネ片15を設けているので、端子収容部12から引き出して使用したバッテリ救援端子部4を、端子収容部12に収容し忘れることを防止できる。また、本発明では、バネ片15の代わりに、保持部材11の下端に取り付けられたコイルバネと、コイルバネの先に取り付けられ電線2に接触するスライドローラと、によって電線2に下向きのテンションをかけることにより、保持部材11の上側に引き出された電線2を保持部材11の下側に引き込むようにすることも可能である。
【0033】
(第3の実施形態)
本発明の一実施の形態にかかる電気接続箱を、図6〜8を参照して説明する。また、図6〜8において前述した第1,2の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
図6に示す本実施形態の電気接続箱1Cは、ケース本体17、カバー18、ロアカバー9で構成されるケース110と、ケース本体17に取り付けられた保持部材111と、この保持部材111に取り付けられた複数の部品14及びバスバ6と、バッテリ救援端子部4と、を備えている。
【0035】
上記ケース本体17は、絶縁性の合成樹脂により四角筒状に形成されている。
【0036】
上記カバー18は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。このカバー18は、ヒンジ16を介してケース本体17に連結されている。このカバー18は、図6に示すようにケース本体17の上側の開口部17aを覆う位置と、図7,8に示すように開口部17aを開放する位置と、に亘って回動可能とされている。
【0037】
上記保持部材111は、絶縁性の合成樹脂によりブロック状に形成されている。この保持部材111には、複数の部品14が装着される部品搭載面111aと、ケース本体17の内面に係止する係止部と、電線挿通孔113と、が設けられている。また、保持部材111は、部品搭載面111aがケース本体17の上側の開口部17a側に位置付けられる向きでケース本体7に取り付けられる。前記電線挿通孔113は、部品搭載面111aから保持部材111の下側に延びている。また、電線挿通孔113は、電線2を通すことが可能で端子3を通すことが不能な寸法に形成されている。
【0038】
また、上記カバー18の内面には、電線2の他端近傍を固定することが可能なフック19が設けられている。このフック19は、U字状に形成されており、U字の内側に電線2を挟むことが可能なように形成されている。また、フック19は、カバー18と一体成形されている。
【0039】
バスバ6に電気接続された電線2は、保持部材111の下側から電線挿通孔113を通されて保持部材111の上側に引き出され、保持部材111の部品搭載面111a及びカバー18の内面を這わされて、他端近傍がフック19に固定される。電気接続箱1Cは、通常、この状態でカバー18が閉じられてエンジンルームに配置される。また、端子3は、図6に示すようにカバー18が閉じられた状態で、他の部品に接触しないようになっている。
【0040】
また、前記バッテリが上がった際は、図7または図8に示すように、カバー18を開き、端子3をブースターケーブル20のクリップ21で挟んで前記バッテリに給電を行う。このように、カバー18が開かれることにより、フック19に固定された端子3が他の部品14から離れた位置に位置付けられるので、クリップ21が他の部品14等に接触することによる部品の破損を防止できる。よって、バッテリへの給電作業を安全に行うことができる。
【0041】
また、図7中の23は、エンジンルームのボディを表している。図7に示すように電気接続箱1Cがボディ23に隣接する位置に配置される場合、カバー18を90度開くことによって、該カバー18がボディ23とブースターケーブル20のクリップ21との間に介在することとなり、クリップ21がボディ23に接触して部品が破損することを防止できる。よって、バッテリへの給電作業を安全に行うことができる。
【0042】
また、図8中の24は、大電流が通電される機器を表している。図8に示すように電気接続箱1Cが機器24に隣接する位置に配置される場合、カバー18を180度開くことによって、該カバー18が機器24とブースターケーブル20のクリップ21との間に介在することとなり、クリップ21が機器24に接触してショートを起こすことを防止できる。よって、バッテリへの給電作業を安全に行うことができる。
【0043】
また、バッテリ救援端子部4は、前述したように、電線2の他端近傍をフック19に固定したまま端子3にブースターケーブル20のクリップ21を装着することも可能であるし、電線2の他端近傍をフック19から外して端子3にブースターケーブル20のクリップ21を装着することも可能である。また、バッテリ救援端子部4は、使用時以外は、端子3に第1,2の実施形態で説明したキャップ5を被せるようにしても良い。
【0044】
また、本発明では、保持部材111に第1,2の実施形態で説明した端子収容部12を設け、バッテリ救援端子部4の使用時以外は端子3を端子収容部12内に位置付けるようにし、バッテリ救援端子部4の使用時に電線2の他端近傍をフック19に固定するようにしても良い。
【0045】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 A,1B,1C 電気接続箱
2 電線
3 端子
4 バッテリ救援端子部
6 バスバ
11 保持部材
12 端子収容部
14 部品
16 ヒンジ
17 ケース本体
17a 開口部
18 カバー
19 フック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと電気的に接続されたバスバと、バッテリ救援端子部と、を備えた電気接続箱において、
前記バッテリ救援端子部が、一端が前記バスバに電気接続され他端が自由端とされた電線と、該電線の他端に設けられた端子と、で構成されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
ケース本体と、ヒンジを介して前記ケース本体に連結され、前記ケース本体の開口部を覆うカバーと、を備え、
前記カバーに、前記電線の他端近傍を固定することが可能なフックが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記バスバと複数の部品とが取り付けられる保持部材を備え、
前記保持部材に、前記端子を収容することが可能な端子収容部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項1】
バッテリと電気的に接続されたバスバと、バッテリ救援端子部と、を備えた電気接続箱において、
前記バッテリ救援端子部が、一端が前記バスバに電気接続され他端が自由端とされた電線と、該電線の他端に設けられた端子と、で構成されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
ケース本体と、ヒンジを介して前記ケース本体に連結され、前記ケース本体の開口部を覆うカバーと、を備え、
前記カバーに、前記電線の他端近傍を固定することが可能なフックが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記バスバと複数の部品とが取り付けられる保持部材を備え、
前記保持部材に、前記端子を収容することが可能な端子収容部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−34284(P2013−34284A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168280(P2011−168280)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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