説明

電気機器制御システムおよび操作装置

【課題】 例えば個人住宅において、任意の一の部屋に設けられた操作装置の操作によって、他の部屋の電気機器を制御することができ、更には監視することができる電気機器制御システム及び操作装置を提供する。
【解決手段】 電気機器制御システム1は、複数の電気機器2と、これに個別に対応して設けられて互いに通信可能な複数の操作装置3とを備え、一の操作装置3は、対応する電気機器2への電力供給を調整するリレー22と、他の操作装置3が有するリレー22の電力供給状態(オン・オフ)を決定すべるスイッチS1〜S12等と、自身のリレー22の動作を制御するプロセッサ20とを有し、プロセッサ20は、スイッチS1〜S12の操作に基づき、他の操作装置3が有するリレー22を駆動させるべく、指示信号を当該操作装置3へ出力する一方、他の操作装置3からの指示信号に基づいて自身のリレー22を駆動するよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器への電力供給状態を制御するシステム及び該システムに用いる操作装置に関し、例えば、個人住宅の各部屋に設けられた照明や、一般にコンセントへのプラグの抜き差しでオン・オフ可能な機器(電気ポットなど)等の電気機器のオン・オフを、各電気機器に個別に対応して設けられた操作装置のうち任意の操作装置によって制御するシステムと該操作装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内に設けられた照明等の電気機器や水供給設備の動作状態を監視するシステムとして、特許文献1に開示された発明が知られている。該特許文献1に係る発明は、各電気機器が接続される電力計からの信号および水放出検出器からの信号を玄関近傍に設けられた1つの監視表示器へ集約し、外出に際して施錠したときに該監視表示器にてこれらの動作状態を表示させるものである。
【0003】
また、建物内に設けられた複数の調光器の状態を監視及び制御するシステムとして、特許文献2に開示された発明が知られている。該特許文献2に係る発明は、複数の調光器に対応して設けられた複数の調光サーバと、これらの調光サーバから得られる調光状態を格納する統括サーバと、調光サーバ及び統括サーバに接続されるクライアント装置とを備えるシステムである。そして、クライアント装置は統括サーバにアクセスすることにより、各調光サーバを介して各調光器の状態を監視及び制御可能となっている。
【特許文献1】特開平8−210882号公報
【特許文献2】特開昭61−212941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば個人住宅においては、各部屋に設けられた照明装置等の電気機器は、該電気機器が設けられた部屋のスイッチにより電源のオン・オフが制御されるようになっているのが一般的であるが、これに対し、個人住宅に上述した特許文献1又は特許文献2に開示された発明を適用することが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る発明を適用した場合、消し忘れた照明装置が存在することを監視表示器によって表示可能であっても、どの部屋の照明装置がそれに該当するのかまでは特定することができないばかりか、照明装置の制御もできず、且つ、監視表示器の設置場所が1箇所に限定されてしまう。また、特許文献2に係る発明を適用した場合、照明装置用に各部屋に設けられたスイッチ(操作卓)の他に複数のサーバ装置及びクライアント装置を備える必要があってコスト高になり、個人住宅への適用は現実的ではない。このように従来は、特に個人住宅などにおいて、比較的大規模な設備投資をすることなく、各所に設けられた電気機器の制御を離れた場所から行うことができないという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、建物の各所に設けられた操作装置のうち任意の操作装置を操作しても、建物に付随して各所に設けられた電気機器を制御することができ、更にはその電気機器への電力供給状態を監視することができる電気機器制御システムと、このようなシステムに用いられる操作装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る電気機器制御システムは、複数の電気機器と、該電気機器に個別に対応して設けられ、オペレータの操作により対応する電気機器への電力供給を調整する複数の操作装置とを備え、複数の前記操作装置は互いに通信可能に接続され、個別の前記操作装置は、対応する電気機器への電力供給を調整する電力調整部と、複数の前記電気機器における電力供給状態を決定すべくオペレータに操作される操作部と、前記電力調整部の動作を制御する制御部とを有し、該制御部は、オペレータによる前記操作部の操作に基づき、他の前記操作装置が有する前記電力調整部を駆動させるべく、指示信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの指示信号に基づいて前記電力調整部を駆動するよう構成されている。
【0008】
このような構成とすることにより、一の操作装置に対応する一の電気機器への電力供給は、該一の操作装置が有する操作部の操作によって制御することができ、また、一の操作装置が有する操作部の操作によって他の一の操作装置に対応する他の一の電気機器への電力供給をも制御することが可能である。従って、個人住宅において、電気機器及びこれに対応する操作装置を各部屋に設けることにより、任意の一の部屋に設けられた操作装置の操作によって他の部屋の電気機器を制御することができる。
【0009】
また、前記操作装置は、複数の前記電気機器への電力供給状態を表示する表示部を有し、前記制御部は、対応する電気機器への電力供給状態を示す状態信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの前記状態信号に基づいて該操作装置に対応する前記電気機器への電力供給状態を前記表示部にて表示させるよう構成されていてもよい。
【0010】
このような構成とすることにより、任意の一の部屋に設けられた操作装置の操作によって他の部屋の電気機器を制御することができるだけでなく、何れの操作装置においても全室に電気機器への電力供給状況を表示させて監視することが可能である。
【0011】
例えば就寝時に他の部屋に設けられた照明装置の点灯状況(消し忘れ状況)を把握することができ、実際に各部屋へ確認しに行く必要がなくなる。また、2階の寝室で就寝中の深夜に1階のトイレへ行く際、寝室にて事前にトイレまでの経路に設けられた照明装置をオン状態としておくことができ、足元の安全を確保することができるという利点がある。そして、このような消し忘れ状況の把握や、事前に経路上の照明を点灯させることは、寝室等に設けた特定の操作装置のみでしか実現できないのではなく、各所に設けられた何れの操作装置によっても実現可能である。
【0012】
また、この操作装置は、従来から各部屋に設けられていたスイッチを兼ねることができるため、余分にサーバ装置及びクライアント装置を備える必要がなく、低価格で実現することが可能である。
【0013】
また本発明に係る操作装置は、複数の電気機器に個別に対応して設けられ、オペレータの操作により対応する電気機器への電力供給を調整する操作装置であって、他の操作装置との間で通信可能に接続するためのインタフェースと、対応する電気機器への電力供給を調整する電力調整部と、複数の前記電気機器における電力供給状態を決定すべくオペレータに操作される操作部と、前記電力調整部の動作を制御する制御部とを有し、該制御部は、オペレータによる前記操作部の操作に基づき、他の前記操作装置が有する前記電力調整部を駆動させるべく、指示信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの指示信号に基づいて前記電力調整部を駆動するよう構成されている。
【0014】
また、複数の前記電気機器への電力供給状態を表示する表示部を有し、前記制御部は、対応する電気機器への電力供給状態を示す状態信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの前記状態信号に基づいて該操作装置に対応する前記電気機器への電力供給状態を前記表示部にて表示させるよう構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、例えば個人住宅において、任意の一の部屋に設けられた操作装置の操作によって、他の部屋の電気機器を制御することができ、更には監視することができる電気機器制御システムと、このようなシステムに用いられる操作装置とを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る電気機器制御システム及び操作装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
[システムの全体構成]
図1は、電気機器制御システムの全体構成の一例を示すブロック図であり、個人住宅に本システムを適用した場合の構成を示している。図1に示すように電気機器制御システム1は、建物内の玄関、廊下、寝室等に夫々設けられた電気機器である複数の照明装置2と、該照明装置2に対応して各所に設けられてオペレータに操作される操作装置3とを備えている。そして、各所に設けられた照明装置2とこれに対応する操作装置3とは1つのセット10を成している。
【0018】
より詳しくは、建物内の適所には分電盤4が設けられ、該分電盤4からは、各所に設けられた複数のジョイントボックス5(図1では破線で示している)を経由して電力線L1及びアース線L2が延設されている。電力線L1はジョイントボックス5内で分岐しており、その支線L11は操作装置3が有する第1端子E31に接続されている。また、アース線L2はジョイントボックス5内で本線以外に2つの支線L21,L22に分岐しており、一方の支線L21は操作装置3が有する第2端子E32に接続され、他方の支線L22は、ジョイントボックス5が有する結線部5aを介して照明装置2が有する一方の端子E21に接続されている。そして、1つのセット10を構成する照明装置2及び操作装置3については、操作装置3が有する第3端子E33と照明装置2が有する別の端子E22とが、ジョイントボックス5が有する結線部5bを介して別の電力線L3により結線されている。
【0019】
このようにして電力線L1及びアース線L2に接続され且つ互いに接続された照明装置2と操作装置3とのセット10が、上述した玄関、廊下、寝室等の各所に備えられている。そして、各セット10間においては、操作装置3が有する第4端子E34同士が信号線L4(図1では1点鎖線で示している)によって互いに接続され、複数の操作装置3の間で通信可能になっている。
【0020】
なお、図1に示す構成では、玄関、廊下、及び寝室に照明装置2及び操作装置3を設けた場合について示しているが、その他、建物内であればリビング、洗面所、トイレ、和室、書斎等、建物外であれば駐車スペース、中庭、勝手口等、何れに設けてもよい。また、図1では電気機器として照明装置2を例示しているがこれに限られず、その他にも電動シャッターやコンセントに接続されて該コンセントへのプラグの抜き差しによりオン・オフ可能な電気機器も採用することができる。
【0021】
[操作装置の構成]
図2は、図1に示した操作装置3の構成を示すブロック図であり、図3は、該操作装置3においてオペレータに操作される操作パネル3aを示す図面である。図2に示すように操作装置3はプロセッサ(制御部)20を備え、該プロセッサ20には、入出力インタフェース(以下、単に「インタフェース」という)21を介して上述した信号線L4が接続され、また、アース線L2の支線L21が接続されている。また、プロセッサ20には、スイッチング素子であるリレー(電力調整部)22が信号線により駆動回路22aを介して接続され、該リレー22には、上述した電力線L1の支線L11と照明装置2へ電力を供給するための電力線L3とが接続されている。リレー22は、駆動回路22aがプロセッサ20からの信号に応じて出力する駆動信号に基づいてスイッチング動作を実行し、支線L11と電力線L3との間の接続状態(本実施の形態ではオン・オフ)の調整を行なう。
【0022】
また、プロセッサ20には複数のスイッチS1〜S12が接続され、オペレータによる操作によって各スイッチS1〜S12は所定の信号をプロセッサ20へ出力する。更に、プロセッサ20には駆動回路23を介してLED等から成る複数のライトL1〜L12が接続されており、これらのライトL1〜L12はプロセッサ20からの信号に基づいて点灯、点滅、及び消灯するようになっている。
【0023】
図3に示すように、これらのスイッチS1〜S12とライトL1〜L12とは組を成しており、例えば、スイッチS1とライトL1とで一組を成し、操作装置3を正面視したときに操作パネル3a中の同一箇所に設けられている。各スイッチS1〜S12は、オペレータによって押される部分が透明の樹脂性部材から成っており、ライトL1〜L12はこの部材の背後に設けられているため、これらライトL1〜L12の点灯状態は外部から視認可能となっている。そして本実施の形態では、スイッチS1〜S12とライトL1〜L12とから構成される各組は、操作装置3の操作パネル3a上に3行4列のマトリックス状に配設されている。
【0024】
また、図3に示すように操作パネル3a上には、当該操作装置3に対応する照明装置2への電力供給状態を決定する電源スイッチ25と、後述する複合スイッチ26及び機能スイッチ27とが配設され、図2に示すようにこれらのスイッチ25〜27はプロセッサ20に接続されている。なお、図示しないがこれらのスイッチ25〜27についても組を成すライトが設けられ、スイッチ25〜27への操作状態に応じて該ライトは点灯、点滅、及び消灯する。
【0025】
[システムの動作]
上述したような構成の電気機器制御システム1の使用例及びその動作について説明する。まず、上述した操作装置3は建物内外の各所に設けられ、本実施の形態ではスイッチS1〜S12の数に対応して、(1)玄関、(2)廊下、(3)階段、(4)リビング、(5)ダイニング、(6)キッチン、(7)和室、(8)車庫、(9)書斎、(10)男の子部屋、(11)女の子部屋、(12)主寝室、の全12箇所に設けられている。そして、図3に示すように操作装置3の操作パネル3aには、スイッチS1〜S12の夫々に対応していることが分かるように、これらの近傍に上記(1)〜(12)の各所をイメージさせる各イラストが付されている。
【0026】
例えば、スイッチS1は玄関に、スイッチ2は廊下に、というように各スイッチS1〜S12と操作装置3の各設置箇所との対応関係がイラストにより容易に認識可能となっている。また、このイラストは、操作パネル3aに直接的に印刷等されて描かれており、この操作パネル3aを交換することによって、各イラストの配置やデザインは必要に応じて自由に設定できるようになっている。なお、操作パネル3aと形状の合うシートにイラストを描き、このシートを操作パネル3aに貼付するようにしてもよく、この場合はシートを交換することによって、操作パネル3aに表示する各イラストの配置やデザインを自由に設定できるようになる。
【0027】
(実施例1)
次に、電気機器制御システム1の具体的な使用例として、寝室にいるオペレータが、当該寝室に設けられた照明装置2を点灯させる場合について説明する。寝室に設けられた照明装置2が消灯している状態でオペレータが電源スイッチ25を押すと、その旨の信号がプロセッサ20へ入力される。プロセッサ20はこの信号に基づいてリレー22を駆動させ、寝室に設けられた照明装置2へ電力を供給して点灯させる。更にプロセッサ20は、操作パネル3aにおいて寝室のイラスト近傍のライトL11を点灯させると共に、寝室の照明装置2が点灯状態である旨の信号(状態信号)を、インタフェース21を介して外部へ出力する。
【0028】
一方、この操作装置3との間で信号線L4を介して接続された他の操作装置3では、寝室の操作装置3から出力された状態信号を、インタフェース21を介してプロセッサ20が受信し、該プロセッサ20はこの信号に基づいてライトL11を点灯させる。その結果、寝室以外の場所にいる住人にとっても、当該場所に設けられた操作装置3においてライトL11の点灯を視認することにより、寝室の照明装置2が消灯状態から点灯状態に変わったことが把握できる。
【0029】
なお、オペレータが寝室の照明装置2を消灯させる場合も同様であり、電源スイッチ25を押すことにより寝室の照明装置2は消灯し、各操作装置3が有するライトL11は消灯する。これにより、寝室の照明装置2が消灯したことを、何れの操作装置3を視認することによっても把握することができる。
【0030】
(実施例2)
寝室にいるオペレータが、当該寝室以外の場所の照明装置2を点灯させる場合について説明する。この場合、オペレータは電源スイッチ25ではなく、スイッチS1〜S12のうち所望するものを操作する。例えば、玄関の照明装置2を点灯させる場合にはスイッチS1を押す。すると、プロセッサ20にはスイッチS1が操作された旨の信号が入力され、この信号に基づいて、玄関の照明装置2を点灯させるべき旨の指示信号を、インタフェース21を介して外部へ出力する。
【0031】
一方、玄関に設けられた操作装置3では、プロセッサ20が上記指示信号を受信し、この指示信号に基づいてリレー22を駆動させ、玄関に設けられた照明装置2へ電力を供給させて点灯させる。更にプロセッサ20は、操作パネル3aにおいて寝室のイラスト近傍のライトL1を点灯させると共に、玄関の照明装置2が点灯状態である旨の信号(状態信号)を、インタフェース21を介して外部へ出力する。
【0032】
他方、上述した寝室及び玄関以外の場所に設けられた操作装置3では、プロセッサ20が上記指示信号及び状態信号を夫々受信する。そして、受信した指示信号の内容が、自身に対応する照明装置2の点灯を意味するか否かを判断するが、ここでは、自身に対応する照明装置2の点灯を意味しないと判断し、リレー22を駆動させない。また、プロセッサ20は受信した状態信号に基づいてライトL1を点灯させる。同様に、寝室に設けられた操作装置3においても、玄関の操作装置3から出力された状態信号を受信することにより、プロセッサ20はライトL1を点灯させる。
【0033】
これにより、寝室のオペレータは、当該寝室に設けられた操作装置3を操作することにより、玄関など他の場所に設けられた照明装置2を点灯させることができる。また、何れの操作装置3を視認することによっても、上記操作によって何れの照明装置2が点灯したかを把握することができる。
【0034】
なお、オペレータが寝室の操作装置3を操作することにより玄関など他の場所の照明装置2を消灯させる場合も同様であり、例えばスイッチS1を押すことにより玄関の照明装置2は消灯し、各操作装置3が有するライトL1は消灯する。これにより、玄関の照明装置2が消灯したことを、何れの操作装置3を視認することによっても把握することができる。
【0035】
また、本実施例2では、点灯又は消灯した照明装置2に対応する操作装置3から状態信号を出力する場合について説明したが、これに限られない。例えば、受信した指示信号が、自身に対応する照明装置2に関するものでないと判断した場合は、この指示信号を状態信号と同様に扱い、この指示信号が対象とする照明装置2の場所(例えば、玄関)に対応するライト(例えば、ライトL1)を点灯させるようにしてもよい。
【0036】
(実施例3)
次に、機能スイッチ27について説明する。この機能スイッチ27は、以下に説明するように他のスイッチS1〜S12等と組み合わせて操作することにより、電気機器制御システム1に更に多様な動作を実行させることができる。図4は、機能スイッチ27と他のスイッチとの組み合わせにより、電気機器制御システム1に実行させることができる動作例を示す図面である。
【0037】
図4に示すように、操作装置3の機能スイッチ27を押しながら電源スイッチ25を押すことにより、その後、他の場所に設けられた操作装置3の操作によって自身に対応する照明装置2への電力供給状態が変更されるのを阻止するようプロセッサ20を動作させることができる。この場合にプロセッサ20は、インタフェース21を介して受信した指示信号を、その内容に関わらず無視することとなる。
【0038】
機能スイッチ27を押しながらスイッチS5を押すことにより、全ての照明装置2を点灯させることができる。この場合にプロセッサ20は、全ての照明装置2を点灯させるべき旨の指示信号を、インタフェース21を介して外部へ出力することとなる。
【0039】
機能スイッチ27を押しながらスイッチS6を押すことにより、全ての照明装置2を消灯させることができる。この場合にプロセッサ20は、全ての照明装置2を消灯させるべき旨の指示信号を、インタフェース21を介して外部へ出力することとなる。
【0040】
機能スイッチ27を押しながらスイッチS9を押すことにより、複数の操作装置3間での通信状況を確認することができる。例えば、玄関に設けられた操作装置3との間だけ通信不可な状態であれば、通信可能な相手方の操作装置3に対応するスイッチS2〜S12を点灯させ、通信不可となっている相手方の操作装置3に対応するスイッチS1は点滅させることにより、オペレータが通信状況を確認できるようになっている。
【0041】
機能スイッチ27を押しながらスイッチS2を押すことにより、別途備えられたリモコン(後述する図5参照)30からの操作を有効とし、機能スイッチ27を押しながらスイッチS10を押すことにより、リモコン30からの操作を無効とすることができる。なお、操作装置3には、リモコン30からの赤外線信号を受信するための受信部3bが設けられており(図2及び図3参照)、該受信部3bはプロセッサ20に接続されている。
【0042】
更に、機能スイッチ27を押しながらスイッチS3,S7,S11又は複合スイッチ26の何れかを押すことにより、後述するように複数箇所の照明装置2を同時に動作制御することのできる特殊機能を4種類まで設定することができ、機能スイッチ27を押しながらスイッチS4,S8,S12を押すか、又は複合スイッチ26を押すことにより、前述した4種類の特殊機能の何れかを実行することができる。
【0043】
特殊機能の設定方法について、一例として寝室、階段、廊下、及び玄関の照明装置2を同時に点灯させる特殊機能の設定方法をより具体的に説明する。まず、オペレータが機能スイッチ27を押しながらスイッチS3を押した後、機能スイッチ27及びスイッチS3から手を離すと、プロセッサ20はスイッチS1〜S12に対応するランプL1〜L12の全てを点滅させる。次に、スイッチS1,S2,S3,S12を夫々1回押すと、これらのスイッチS1,S2,S3,S12に対応するランプL1,L2,L3,L12が点滅状態から点灯状態に変わり、この特殊機能の実行によって同時に点灯させる照明装置2が暫定的に選択された状態となる。ここで、オペレータが点滅状態のランプL1〜L12に対応するスイッチS1〜S12のうち例えばスイッチS8を2回押した場合は、押されたスイッチS8に対応するランプL8は点滅状態から消灯状態へと変わり、この特殊機能を実行した場合に消灯させるべき照明装置2として車庫に設けられた照明装置2が暫定的に選択された状態となる。このようにして、特殊機能を実行したときに同時に点灯させる照明装置2及び消灯させる照明装置2が暫定的に選択された状態で、オペレータが再び機能スイッチ27を押すと、特殊機能の内容が上記選択内容に確定される。
【0044】
確定した特殊機能は、上述したように機能スイッチ27を押しながらスイッチS4を押すと実行される。即ち、上述した特殊機能を実行した場合には、寝室、階段、廊下、及び玄関の各照明装置2が同時に点灯すると共に、車庫の照明装置2が消灯し、その他の場所に設けられた照明装置2は特殊機能の実行前の状態が維持される。従って、深夜に寝室から玄関へ向かう場合、寝室に設けられた操作装置3を操作することにより、寝室から玄関へ至るまでの経路に存在する複数の照明装置2を予め点灯しておくことができる。
【0045】
なお、機能スイッチ27を押しながら他のスイッチS7,S11又は複合スイッチ26を押して特殊機能を設定する場合も同様の手順により行うことができ、確定された各特殊機能は、機能スイッチ27を押しながらスイッチS8,S12を押すか、又は複合スイッチ26を単独で押すことによって実行される。
【0046】
ところで、本実施の形態に係る電気機器制御システム1は、既に言及したようにリモコン30が備えられている。図5は、このリモコン30の外観構成を示す正面図である。図5に示すようにリモコン30は、12個の通常ボタンSW1〜SW12と、4個の特殊ボタンM1〜M4とを備え、更に、外部へ赤外線による信号を出力するための発信部31を備えている。
【0047】
これらの通常ボタンSW1〜SW12及び特殊ボタンM1〜M4を操作することにより、電気機器制御システム1は、操作装置3を直接的に操作した場合と同様の機能を発揮する。例えば、リモコン30の通常ボタンSW1を押すと、押されたボタン(通常ボタンSW1)に応じた信号が発信部31から出力され、この信号は、リモコン30の最も近くに設けられた操作装置3の受信部3bを介してプロセッサ20に受信される。プロセッサ20は、受信した信号に基づいて玄関に設けられた照明装置2を点灯させるか、又はこの照明装置2を点灯させるべき旨の信号をインタフェース21を介して出力し、更にライトL1を点灯させ、操作装置3のスイッチS1が押された場合と同じ動作を実行する。
【0048】
また、この状態で通常ボタンSW1を再度押した場合も同様に、操作装置3のプロセッサ20は玄関の照明装置2を消灯させるか、又はこの照明装置2を消灯させるべき旨の信号を出力し、更にライトL1を消灯させ、操作装置3のスイッチS1が再度押された場合と同じ動作を実行する。
【0049】
このように、リモコン30に設けられた通常ボタンSW1は操作装置3のスイッチS1に相当している。そして、その他の通常ボタンSW2〜SW12は操作装置3のスイッチS2〜S12に相当しており、電気機器制御システム1は、これらの通常ボタンSW2〜SW12を押すことによって操作装置3のスイッチS2〜S12を押した場合と同じ機能を発揮する。また、リモコン30に設けられた特殊ボタンM1〜M4は、これらを押すことによって既に説明した4つの特殊機能を実行するためのものであり、特殊ボタンM1は機能スイッチ27及びスイッチS4を同時に押した場合の特殊機能を、特殊ボタンM2は機能スイッチ27及びスイッチS8を同時に押した場合の特殊機能を、特殊ボタンM3は機能スイッチ27及びスイッチS12を同時に押した場合の特殊機能を、そして特殊ボタンM4は複合スイッチS6を押した場合の特殊機能を、それぞれ実行可能になっている。
【0050】
なお、上述ではリモコン30の通常ボタンSW1〜SW12と操作装置3のスイッチS1〜S12とが対応する構成について説明したが、これに限られず、他の対応関係を成すようにしてもよい。また、本実施の形態に係る電気機器制御システム1は、図1に示すように複数の操作装置3が互いに等価な位置付けとなる構成になっているため、点灯させる際にリモコン30からの信号を受信する操作装置3と、消灯させる際にリモコン30からの信号を受信する操作装置3とが別個のものであっても何ら問題なく所望の照明装置2の点灯・消灯を行うことができる。
【0051】
また、このように各操作装置3が互いに等価な位置付けであるため、何れか1の操作装置3を新品と交換する場合には、新たに取り付ける操作装置3のみを所期設定すればよく、他の操作装置3について何ら設定する必要がない。玄関に設けた操作装置3を新たな操作装置3に交換する場合について、より具体的に説明する。新たな操作装置3を図1に示すように結線した後、機能スイッチ27を押しながらスイッチS1を押すことにより、スイッチS1〜S12に対応するランプL1〜L12が点滅状態となる。ここで、玄関の照明装置2に対応するスイッチS1を再度押すことにより、当該操作装置3は玄関の照明装置2に対応のものとして所期設定が完了する。従って、操作装置3を新たなものと交換するに際し、その操作装置3が何れの箇所の照明装置に対応するものであるか否かを考慮する必要がなく、本システム1に組み込んだ後の簡易な設定によって何れの箇所の照明装置にも対応させることができる。なお、上述したような所期設定及び既に説明した操作装置3の動作は、操作装置3が有するプロセッサ20が図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作することにより実現される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、例えば個人住宅において、任意の一の部屋に設けられた操作装置の操作によって、他の部屋の電気機器を制御することができ、更には監視することができる電気機器制御システムとこれに用いる操作装置とに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施の形態に係る電気機器制御システムの全体構成の一例を示すブロック図であり、個人住宅に本システムを適用した場合の構成を示している。
【図2】図1に示した操作装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した操作装置においてオペレータに操作される面(正面)を示す図面である。
【図4】機能スイッチと他のスイッチとの組み合わせにより、電気機器制御システムに実行させることができる動作例を示す図面である。
【図5】電気機器制御システムが備えるリモコンの外観構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 電気機器制御システム
2 照明装置(電気機器)
3 操作装置
20 プロセッサ(制御部)
22 リレー(電力調整部)
25 電源スイッチ
26 複合スイッチ
27 機能スイッチ
30 リモコン
1〜S12 スイッチ(操作部)
1〜L12 ライト(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気機器と、
該電気機器に個別に対応して設けられ、オペレータの操作により対応する電気機器への電力供給を調整する複数の操作装置とを備え、
複数の前記操作装置は互いに通信可能に接続され、
個別の前記操作装置は、対応する電気機器への電力供給を調整する電力調整部と、複数の前記電気機器における電力供給状態を決定すべくオペレータに操作される操作部と、前記電力調整部の動作を制御する制御部とを有し、
該制御部は、オペレータによる前記操作部の操作に基づき、他の前記操作装置が有する前記電力調整部を駆動させるべく、指示信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの指示信号に基づいて前記電力調整部を駆動するよう構成されていることを特徴とする電気機器制御システム。
【請求項2】
前記操作装置は、複数の前記電気機器への電力供給状態を表示する表示部を有し、
前記制御部は、対応する電気機器への電力供給状態を示す状態信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの前記状態信号に基づいて該操作装置に対応する前記電気機器への電力供給状態を前記表示部にて表示させるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機器制御システム。
【請求項3】
複数の電気機器に個別に対応して設けられ、オペレータの操作により対応する電気機器への電力供給を調整する操作装置であって、
他の操作装置との間で通信可能に接続するためのインタフェースと、対応する電気機器への電力供給を調整する電力調整部と、複数の前記電気機器における電力供給状態を決定すべくオペレータに操作される操作部と、前記電力調整部の動作を制御する制御部とを有し、
該制御部は、オペレータによる前記操作部の操作に基づき、他の前記操作装置が有する前記電力調整部を駆動させるべく、指示信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの指示信号に基づいて前記電力調整部を駆動するよう構成されていることを特徴とする操作装置。
【請求項4】
複数の前記電気機器への電力供給状態を表示する表示部を有し、
前記制御部は、対応する電気機器への電力供給状態を示す状態信号を他の前記操作装置へ出力する一方、他の前記操作装置からの前記状態信号に基づいて該操作装置に対応する前記電気機器への電力供給状態を前記表示部にて表示させるよう構成されていることを特徴とする請求項3に記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−107915(P2008−107915A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287857(P2006−287857)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【特許番号】特許第3957079号(P3957079)
【特許公報発行日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(506355671)
【Fターム(参考)】