説明

電気機械のための枠体端部腕木部経由の内部油冷却

【課題】電気機械のための内部油冷却システムを提供すること。
【解決手段】電気機械を冷却するシステムが開示される。電気機械は、複数のコイルを有する固定子と、外枠体と、端部蓋部とを含む。電気機械の動作中、電気機械により発生する熱を取り除くために端部蓋部から複数のコイル上に流体が噴霧される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気機械を冷却するシステムに関する。さらに詳細には、本開示は、電気機械のための内部油冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原動機および発電機などの電気機械は、動作中に熱を発生する。電気機械を冷却するために、例えば、冷却用空気または冷却液が、電気機械を取り巻く外枠体を通って導かれてもよい。電気機械の動作中、冷却用空気または冷却液が、外枠体を通って流動し、電気機械から熱を吸収し取り除く。別の例として、電気機械は、動作中、冷却液中に沈められてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、電気機械のための内部油冷却システムを提供する。電気機械は、複数のコイルを有する固定子と、外枠体と、端部蓋部とを含む。電気機械の動作中、電気機械により発生する熱を取り除くために端部蓋部から複数のコイル上に流体が噴霧される。
【0004】
本開示の実施形態によれば、電気機械は、固定子と、外枠体と、端部蓋部とを含んで提供される。固定子は、複数のコイルを含み、回転子を受容するように構成されている軸方向穴を画定する。外枠体は、第1の軸端部と第2の軸端部とを有し、固定子を受容するように構成されている軸方向室を画定する。端部蓋部は、外枠体の第1の軸端部および第2の軸端部の少なくとも1つに結合するように構成されている。端部蓋部は、流体を受容するように構成されている流体入口と複数の流体出口とを含み、該複数の流体出口の少なくとも1つは、流体を流体入口から複数のコイルの少なくとも1つまで送達するように構成されている。
【0005】
本開示の別の実施形態によれば、電気機械が、固定子と、外枠体と、端部蓋部とを含んで提供される。固定子は、複数のコイルを含み、回転子を受容するように構成されている軸方向穴を画定する。外枠体は、第1の軸端部と第2の軸端部とを有し、固定子を受容するように構成されている軸方向室を画定する。端部蓋部は、外枠体の第1の軸端部および第2の軸端部の少なくとも1つに結合するように構成されている。電気機械はまた、流体を受容するように構成されている流体入口と、端部蓋部により画定されており流体入口からの流体を複数のコイルまで送達するように構成されている複数の流体出口とを含む。
【0006】
本開示のさらに別の実施形態によれば、電気機械を冷却する方法が提供される。電気機械は、複数のコイルを有する固定子と、固定子を取り巻いており第1の軸端部と第2の軸端部とを有する外枠体と、外枠体の第1の軸端部および第2の軸端部の少なくとも1つに結合されている端部蓋部とを含む。本方法は、冷却液を電気機械の端部蓋部に送達するステップと、該冷却液を、端部蓋部から固定子の複数のコイル上に噴霧するステップとを含む。
【0007】
本開示の前述のかつ他の特徴および利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付の図面と併せて用いられている以下の説明を参照することにより、より明白になり、開示自体がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】外枠体と固定子とを含む本開示の例示的電気機械の上面平面図である。 図1Aは、図1の線A−Aに沿った、図1の電気機械の横断面図である。
【図2】外枠体に結合されている端部蓋部をさらに含む、図1の電気機械の上面平面図である。
【図2A】図2の線A−Aに沿った、図2の電気機械の横断面図である。
【図2B】図2の線B−Bに沿った、図2の電気機械の横断面図である。
【図2C】図2Aの電気機械の一部分の詳細図である。
【図2D】図2Bの電気機械の一部分の詳細図である。
【図3】図2の端部蓋部の1つの上面平面図である。
【0009】
図3Aは、図3の線A−Aに沿った、図3の端部蓋部の横断面図である。
図3Bは、図3の線B−Bに沿った、図3の端部蓋部の横断面図である。
【図4】外枠体と固定子とを含む本開示の別の例示的電気機械の上面平面図である。
【0010】
図4Aは、図4の線A−Aに沿った、図4の電気機械の横断面図である。
【図5】外枠体に結合されている第1の端部蓋部と第2の端部蓋部とをさらに含む図4の電気機械の横断面図である。
【0011】
図5Aは、図5の線A−Aに沿った、図5の電気機械の横断面図である。
図5Bは、図5の線B−Bに沿った、図5の電気機械の横断面図である。
【図6】図5Aの第1の端部蓋部の上面平面図である。
【0012】
図6Aは、図6の線A−Aに沿った、図6の第1の端部蓋部の横断面図である。
図6Bは、図6の線B−Bに沿った、図6の第1の端部蓋部の横断面図である。
【図7】図5Aの第2の端部蓋部の上面平面図である。
【0013】
図7Aは、図7の線A−Aに沿った、図7の第2の端部蓋部の横断面図である。
図7Bは、図7の線B−Bに沿った、図7の第2の端部蓋部の横断面図である。
【図8】図1〜3の電気機械を冷却する例示的方法の概略図である。
【図9】図4〜7の電気機械を冷却する例示的方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
類似の参照文字は、いくつかの図面を通じて類似の部分を示す。本明細書に提示されている例証は、本開示の例示的実施形態を示し、そのような例証は、いかなる形でも本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではない。
【0015】
図1〜2は、原動機10の形態の例示的電気機械を示す。該電気機械は、本明細書において原動機10として示され記載されているが、本開示の機械はまた、例えば発電機を含んでもよい。原動機10は固定子12を含む。固定子12は略円筒形であり、回転子(図示せず)を受容するように構成されている軸方向穴14を画定する。動作中、動力が発動機10に供給され、周囲の固定子12に対して回転子を回転させる。
【0016】
固定子12は、外面16と内面18とを含む。固定子12の内面18は、軸方向穴14を取り巻いており、また、複数の径方向に離間された巻歯20を含む。絶縁銅線などの線が、固定子12の各巻歯20の周囲に繰り返し巻き付き、コイル24を形成する。コイル24の折返し端部26は、各巻歯20の周囲に繰り返し線を巻き付けるために、線が固定子12の両軸端部28で方向を変える際に形成される。
【0017】
図1および1Aを参照すると、原動機10はまた、外枠体30を含む。外枠体30は略円筒形であり、軸方向穴34を画定する内壁32を含む。外枠体30はまた、軸端部36を含む。外枠体30は、例えば鋼管で構成されてもよい。原動機10を組み立てるために、外枠体30は、固定子12を受容するように作られてもよい。さらに詳細には、外枠体30は、外枠体30の軸端部36間で、固定子12を受容する長さに切断されてもよく、外枠体30の内壁32は、外枠体30の軸方向穴34内に固定子12を受容する大きさおよび形状に作られてもよい。例えば、図1および1Aに示されている通り、外枠体30の内壁32は、固定子12の外面16に接触し、摩擦係合する大きさおよび形状に作られてもよい。以下にさらに詳細に検討されている通り、外枠体30の内壁32は、両軸端部36に小溝38を含んでもよい。また、外枠体30の両軸端部36は、例えば、外枠体30の軸端部36内に軸方向に穴を開けること(tapping or drilling holes)により形成される取付け開口部40を含んでもよい。
【0018】
原動機10の外枠体30はまた、外枠体30を径方向に貫通して延在する少なくとも1つの排出口42を含む。図1Aに示されている通り、原動機10は2つの排出口42を含む。排出口42は、例えば、外枠体30内に径方向に穴を開けること(tapping or drilling holes)により形成されてもよい。本開示の例示的実施形態によれば、各排出口42は、固定子12の対応する軸端部28を軸方向に越えて配置されるように外枠体30の軸端部36付近に配置される。各排出口42は、原動機10から流体を排出するための油圧継手44を受容するように構成されてもよい。流体を排出口42の方へ導くために外枠体30の内壁32が先細になっていてもよいことは、本開示の範囲内である。
【0019】
図2〜2Dを参照すると、原動機10は、少なくとも1つの略円形の端部平板または蓋部50をさらに含む。各端部蓋部50は、例えば、鋼鉄または鋳鉄で構成されてもよい。図示された実施形態では、原動機10は、2つの略同一の端部蓋部50を含み、各端部蓋部50は、外枠体30の対応する軸端部36に結合されている。各端部蓋部50は、外枠体30の軸端部36に寄り掛かる第1の蓋部分50aと、外枠体30の軸方向穴34内に延在する第2の円筒部50bとを含んでもよい。端部蓋部50を外枠体30に固定するために、各端部蓋部50の蓋部分50aは、ねじまたはボルトなどの適切な締め具(図示せず)を受容するために、外枠体30の取付け開口部40と整合する取付け開口部52を含んでもよい。構成要素を封止するために、エラストマーOリングなどの封止装置54が、外枠体30と各端部蓋部50との間に配置されてもよい。本開示の例示的実施形態によれば、封止装置54は、各端部蓋部50の円筒部50bと外枠体30の内壁32の小溝38との間で保持されてもよい。
【0020】
端部蓋部50が外枠体30に固定されている状態で、原動機10は、実質的に原動機10の円周の周囲に延在する内部環状経路56を含む。図2Cおよび2Dの図示された実施形態では、端部蓋部50の円筒部50bは、環状経路56を画定するために、外枠体30の内壁32と協働する円周方向の切欠き57を含む。環状経路56を画定するために、固定子12が端部蓋部50および外枠体30と協働してもよいこともまた、本開示の範囲内である。端部蓋部50の完全な内部で環状経路56を形成するのではなく、端部蓋部50で環状経路56の一部を、かつ外枠体30および/または固定子12で環状経路56の残部を形成することにより、端部蓋部50の構造が単純化する。例えば、図2Cおよび2Dの図示された実施形態では、端部蓋部50は、端部蓋部50の完全な内部に延在する中空の室ではなく、円周方向の切欠き57を含むように構成され得る。
【0021】
図2に示されている通り、各端部蓋部50は、中心穴58を含んでもよい。原動機10が完全に組み立てられた場合、回転子の軸受または軸(図示せず)が、各端部蓋部50の中心穴58を通って延在してもよい。端部蓋部50は、原動機10の動作中に、中心穴58内で回転子軸を支持してもよい。
【0022】
原動機10により作動する機械装置などの別の機械装置に原動機10を固定するために、各端部蓋部50はまた、取付け用開口部59を含んでもよい。端部蓋部50の取付け開口部52と同様に、端部蓋部50の取付け用開口部59は、ねじまたはボルトなどの締め具(図示せず)を受容するように構成されてもよい。本実施形態では、端部蓋部50は、原動機10を別の機械装置に取り付けるための取付け用腕木部としての機能を果たし得る。
【0023】
例示的端部蓋部50は、図3、3A、および3Bにさらに詳細に示されている。原動機10の端部蓋部50は、端部蓋部50内に径方向に延在する少なくとも1つの進入口60を含む。進入口60は、例えば端部蓋部50の蓋部分50a内に径方向に穴を開けること(tapping or drilling holes)により形成されてもよい。端部蓋部50の進入口60は、原動機10内に流体を注入するための油圧継手62を受容するように構成されてもよい。
【0024】
図3Aに示されている通り、端部蓋部50は、端部蓋部50の進入口60と端部蓋部50の切欠き57により部分的に画定されている原動機10の環状経路56との間に延在する進入経路64を含む。進入経路64は、端部蓋部50内に、特に端部蓋部50の蓋部分50a内に軸方向に穴を開けること(tapping or drilling holes)により形成されてもよい。動作中、進入口60内に注入された流体は、進入経路64経由で原動機10の環状経路56内に導かれてもよい。
【0025】
図3Bに示されている通り、端部蓋部50はまた、複数の排出経路66を含む。排出経路66は、端部蓋部50の切欠き57により部分的に画定されている原動機10の環状経路56から延在する。排出経路66は、端部蓋部50内に、特に端部蓋部50の円筒部50b内に穴を開けること(tapping or drilling holes)により形成されてもよい。動作中、進入口60内に注入された流体は、進入経路64経由で原動機10の環状経路56内に導かれてもよく、原動機10の環状経路56内の流体は、排出経路66経由で固定子12のコイル24の方へ導かれてもよい。本開示の例示的実施形態によれば、排出経路66は、端部蓋部50を巡って径方向に離間されている。各排出経路66は、コイル24の対応する折返し端部26と整合して、流体をその折返し端部26上に導いてもよい。図3Aと図3Bとの比較により示されている通り、排出経路66は、進入経路64に対して略平行に整合されてもよい。しかし、排出経路66が、環状経路56から固定子12のコイル24(図2Aおよび2B)の方へ径方向内側に延在してもよいこともまた、本開示の範囲内である。例えば、排出経路66は、端部蓋部50の円筒部50bを貫通する角度で延在してもよい。
【0026】
図3Aを再度参照すると、端部蓋部50はまた、端部蓋部50の進入口60と中心穴58との間に延在する軸受経路68を含んでもよい。軸受経路68は、端部蓋部50内に径方向内側に穴を開けること(tapping or drilling holes)により形成されてもよい。動作中、進入口60内に注入された流体は、軸受経路68経由で中心穴58の方へ、または進入経路64経由で原動機10の環状経路56内に導かれてもよい。
【0027】
図2Cおよび2Dに戻って参照すると、原動機10の動作中、油などの冷却液は、冷却のために原動機10に送達される。図2Cに示されている通り、油は、例えば外部油圧ホースまたは管(図示せず)を通って、一方または両方の端部蓋部50の進入口60内に導かれてもよい。端部蓋部50が軸受経路68を含む場合、進入口60に進入する油の一部は、軸受経路68経由で端部蓋部50の中心穴58(図2A)の方へ流動して回転子軸(図示せず)を潤滑してもよい。油が固定子12を実質的に取り巻くように、進入口60に進入する油の残部は、進入経路64経由で原動機10の環状経路56内に流入する。次に、図2Dに示されている通り、油は、固定子12を巡って径方向に離間されている排出経路66経由で環状経路56から固定子12のコイル24上に霧状に噴出する。例えば、油は、排出経路66経由でコイル24の折返し端部26上に霧状に噴出してもよい。コイル24に接触すると、油は、熱を吸収し、コイル24から熱を取り除く。結果として、冷却されたコイル24は、原動機10の中心から端部蓋部50の方へ熱を引き抜く。図2Aに示されている通り、加熱された油は、次いで、外枠体30の排出口42を通って原動機10を出る。加熱された油が、原動機10の外枠体30からではなく、原動機10の端部蓋部50から出てもよいこともまた、本開示の範囲内である。加熱された油が重力下で原動機10を出るように、排出口42は、原動機10の底部に沿って配置されてもよい。油は、例えば、排出口42から外部油圧ホースまたは管(図示せず)を通って導かれてもよい。原動機10を出る油は、冷却され、さらなる冷却のために原動機10を通って再循環されてもよい。
【0028】
前述の冷却方法もまた、図8に概略的に示されている。最初に、油は、一方または両方の端部蓋部50の進入口60を通って導かれる。次に、油は、軸受経路68を通って各端部蓋部50の中心穴58の方へ流動して回転子軸80を潤滑するか、または油は進入経路64を通って原動機10の環状経路56内に流入する。次に、環状経路56から、油は排出経路66を通って、固定子12のコイル24の折返し端部26上に流動する。固定子12のコイル24に接触し冷却した後、加熱された油は、外枠体30の排出口42を通って原動機10を出る。
【0029】
本開示は、原動機10の大きさおよび重量を増大させる可能性がある外部冷却筒の必要性を排除し得る。また、原動機10を油中に沈めるのではなく、本開示は、原動機10に出入りする油の連続流をもたらし、それにより、原動機10に対する抵抗を減少させ、原動機10の効率性を向上させることができる。
【0030】
図4〜5は、原動機10’の形態の別の例示的電気機械を提供する。以下の記載を除いて、原動機10’は、原動機10のものと同一または略同一の多数の要素を含み、プライム符号が後に続く同一の参照番号は、それらの間で同一または略同一の要素を示すのに使用される。
【0031】
図4および4Aに示されている通り、原動機10’は、固定子12’と、外枠体30’とを含む。固定子12’の外面16’は、外枠体30’の内壁32’と協働して軸方向管72’を画定する、径方向に離間された切欠き70’を含む。
【0032】
次に図5、5A、および5Bを参照すると、原動機10’は、第1の端部蓋部50’と第2の端部蓋部50’’とをさらに含む。図示された実施形態では、第1の端部蓋部50’と第2の端部蓋部50’’とが、外枠体30’の両側の軸端部36’に結合されている。第1の端部蓋部50’と第2の端部蓋部50’’とが外枠体30’に固定されている状態で、原動機10’は、第1の環状経路56’と第2の環状経路56’’とを含む。図5Aおよび5Bの図示された実施形態では、第1の端部蓋部50’の円筒部50b’が、外枠体30’の内壁32’および固定子12’と協働して第1の環状経路56’を画定し、原動機10’の反対側の軸端部36’では、第2の端部蓋部50’’の円筒部50b’’が外枠体30’の内壁32’および固定子12’と協働して第2の環状経路56’’を画定する。以下で検討されている通り、第1の端部蓋部50’および第2の端部蓋部50’’の第1の環状経路56’および第2の環状経路56’’は、固定子12’の軸方向管72’と協働する。
【0033】
例示的な第1のまたは被駆動の端部蓋部50’が、図6、6A、および6Bにより詳細に示されている。第1の端部蓋部50’は、進入口60’と排出口42’とを含む。図6Aに示されている通り、第1の端部蓋部50’の円筒部50b’は、流体を排出口42’の方へ導くように先細になっている。図6Bに示されている通り、第1の端部蓋部50’はまた、進入口60’と第1の環状経路56’との間に延在する進入経路64’と、第1の環状経路56’から固定子12’の方へ径方向内側に延在する複数の排出経路66’とを含む(図5B)。図6Aに示されている通り、第1の端部蓋部50’は、第1の端部蓋部50’の進入口60’と中心穴58’との間に延在する軸受経路68’をさらに含む。
【0034】
例示的な第2のまたは駆動端部蓋部50’’が、図7、7A、および7Bにより詳細に示されている。第2の端部蓋部50’’は、排出口42’’を含む。図7Aに示されている通り、第2の端部蓋部50’’の円筒部50b’’は、流体を排出口42’’の方へ導くように先細になっている。図7Bに示されている通り、第2の端部蓋部50’’はまた、第2の環状経路56’’から固定子12’の方へ径方向内側に延在する複数の排出経路66’’を含む(図5B)。図7Aに示されている通り、第2の端部蓋部50’’は、第2の環状経路56’’と第2の端部蓋部50’’の中心穴58’’との間に延在する軸受経路68’’をさらに含む。
【0035】
図5、5A、および5Bに戻って参照すると、原動機10’の動作中、油などの冷却液が、冷却のために原動機10’に送達される。図5Aに示されている通り、油は、例えば外部油圧ホースまたは管(図示せず)を通って、第1の端部蓋部50’の進入口60’内へ導かれてもよい。第1の端部蓋部50’が軸受経路68’を含む場合、進入口60’に進入する油の一部は、軸受経路68’経由で第1の端部蓋部50’の中心穴58’の方へ流動して回転子軸(図示せず)を潤滑してもよい。油が固定子12’を実質的に取り巻くように、進入口60’に進入する油の残部は、進入経路64’経由で原動機10’の第1の環状経路56’に流入する。第1の環状経路56’から、図5Bに示されている通り、油は、第1の端部蓋部50’の排出経路66’経由で固定子12’のコイル24’の折返し端部26’上に霧状に噴出するか、または、図5Aに示されている通り、油は、軸方向管72’経由で固定子12’の外面16’を伝わって軸方向に流動する。本実施形態では、油は固定子12’のコイル24’、および固定子12’自体を冷却する。軸方向管72’を通って流動した後、油が固定子12’を実質的に取り巻くように、油は第2の環状経路56’’に進入する。第2の環状経路56’’から、図5Bに示されている通り、油は、第2の端部蓋部50’’の排出経路66’’経由で固定子12’のコイル24’の折返し端部26’上に霧状に噴出するか、または、図5Aに示されている通り、油は、軸受経路68’’経由で第2の端部蓋部50’’の中心穴58’’の方へ流動して回転子軸(図示せず)を潤滑する。固定子12’のコイル24’に接触した後、加熱された油は、第1の端部蓋部50’の排出口42’または第2の端部蓋部50’’の排出口42’’から原動機10’を出てもよい。原動機10’を出る油は、冷却されており、追加冷却のために原動機10’を通って再循環されてもよい。
【0036】
前述の通り、軸方向管72’は、第1の環状経路56’および第2の環状経路56’’と連通して設けられて、固定子12’のコイル24’に加えて、固定子12’の外面16’を冷却してもよい。本実施形態は、原動機10’、特に長い原動機10’の冷却を強化し得る。
【0037】
前述の冷却方法もまた、図9に概略的に示されている。最初に、油は、第1の端部蓋部50’の進入口60’を通って導かれる。次に、油は、軸受経路68’を通って第1の端部蓋部50’の中心穴58’の方へ流動して回転子軸80’を潤滑するか、または、油は、進入経路64’を通って原動機10’の第1の環状経路56’内に流入する。第1の環状経路56’から、油は、排出経路66’を通って、固定子12’のコイル24’の折返し端部26’上に流動し、第1の端部蓋部50’の排出口42’を通って流出するか、または、油は、軸方向管72’を通って第2の環状経路56’’に流動する。第2の環状経路56’’から、油は、排出経路66’’を通って、固定子12’のコイル24’の折返し端部26’上に流動し、第2の端部蓋部50’’の排出口42’’を通って流出するか、または、油は、第2の端部蓋部50’’の軸受経路68’’を通って第2の端部蓋部50’’の中心穴58’’の方へ流動して回転子軸80’を潤滑する。
【0038】
本発明は好適な設計を有するように記載されているが、本発明は、本開示の精神および範囲内でさらに修正することができる。したがって、本出願は、本発明の一般原理を用いている本発明のいかなる変形、使用、または適合も包含するものとされる。さらに、本出願は、本開示が関連しかつ添付の特許請求の範囲内に入る、当技術分野の既知の慣習または慣行の圏内に入る本開示からの逸脱を包含するものとされる。
【符号の説明】
【0039】
10、10’ 原動機
12、12’ 固定子
14、34 軸方向穴
16、16’ 外面
18 内面
20 巻歯
24、24’ コイル
26、26’ 折返し端部
28、36、36’ 軸端部
30、30’ 外枠体
32、32’ 内壁
38 小溝
40、52 取付け開口部
42、42’、42’’ 排出口
44、62 油圧継手
50 端部蓋部
50’ 第1の端部蓋部
50’’ 第2の端部蓋部
50a 第1の蓋部分
50b 第2の円筒部
50b’、50b’’ 円筒部
54 封止装置
56 環状経路
56’ 第1の環状経路
56’’ 第2の環状経路
57、70’ 切欠き
58、58’、58’’ 中心穴
59 取付け用開口部
60、60’ 進入口
64、64’ 進入経路
66、66’、66’’ 排出経路
68、68’、68’’ 軸受経路
72’ 軸方向管
80、80’ 回転子軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルを含み、回転子を受容するように構成されている軸方向穴を画定する、固定子と、
第1の軸端部および第2の軸端部を有し、前記固定子を受容するように構成されている軸方向室を画定する、外枠体と、
前記外枠体の前記第1の軸端部および前記第2の軸端部の少なくとも1つに結合するように構成されている端部蓋部と、
前記端部蓋部により画定される少なくとも一部を含む、経路と、
前記経路内に流体を導くように構成されている、流体入口と、
前記経路の前記一部からの前記流体を前記複数のコイルまで導くように構成されている、複数の流体出口と、
を含む、電気機械。
【請求項2】
前記複数の流体出口は、前記電気機械を巡って径方向に離間されている、請求項1に記載の電気機械。
【請求項3】
前記複数のコイルは、前記複数の流体出口と径方向に整合して前記固定子を巡って径方向に離間されている、請求項1に記載の電気機械。
【請求項4】
前記端部蓋部は、前記回転子の軸を受容するように構成されている中心穴を画定し、前記電気機械は、前記流体入口からの前記流体を前記端部蓋部の前記中心穴まで導いて前記端部蓋部および前記回転子の前記軸を潤滑するように構成されている軸受経路をさらに含む、請求項1に記載の電気機械。
【請求項5】
前記外枠体は、前記端部蓋部と協働して前記経路を画定する、請求項1に記載の電気機械。
【請求項6】
前記経路は、前記固定子を実質的に径方向に取り巻く環状経路である、請求項1に記載の電気機械。
【請求項7】
前記流体入口は前記端部蓋部により画定される、請求項1に記載の電気機械。
【請求項8】
前記複数の流体出口は前記端部蓋部により画定される、請求項1に記載の電気機械。
【請求項9】
前記外枠体の前記第1の軸端部および前記第2の軸端部の少なくとも1つに結合するように構成されている、第2の端部蓋部と、
前記第2の端部蓋部により画定される少なくとも1つの第2の部分を含む、第2の経路と
をさらに含む、請求項1に記載の電気機械。
【請求項10】
複数のコイルを含み、回転子を受容するように構成されている軸方向穴を画定する、固定子と、
第1の軸端部および第2の軸端部を有し、前記固定子を受容するように構成されている軸方向室を画定する、外枠体と、
前記外枠体の前記第1の軸端部および前記第2の軸端部の少なくとも1つに結合するように構成されている端部蓋部であり、
流体を受容するように構成されている、流体入口と、
少なくとも1つが、前記流体入口からの前記流体を前記複数のコイルの少なくとも1つまで送達するように構成されている、複数の流体出口と
を有する、端部蓋部と、
を含む、電気機械。
【請求項11】
前記複数の流体出口は、前記電気機械を巡って径方向に離間されている、請求項10に記載の電気機械。
【請求項12】
前記複数のコイルは、前記複数の流体出口と径方向に整合して前記固定子を巡って径方向に離間されている、請求項10に記載の電気機械。
【請求項13】
前記端部蓋部は、前記回転子の軸を受容するように構成されている中心穴を画定し、前記電気機械は、前記流体入口からの前記流体を前記端部蓋部の前記中心穴まで導いて前記端部蓋部および前記回転子の前記軸を潤滑するように構成されている軸受経路をさらに含む、請求項10に記載の電気機械。
【請求項14】
前記流体入口からの前記流体は、前記複数のコイルへの送達のために、前記複数の流体出口の1つより多くを通って移動する、請求項10に記載の電気機械。
【請求項15】
前記固定子を実質的に径方向に取り巻く環状経路をさらに含む電気機械であり、前記環状経路は、前記端部蓋部により少なくとも部分的に画定されており、かつ前記流体入口および前記複数の流体出口と連通している、請求項10に記載の電気機械。
【請求項16】
前記外枠体は、前記端部蓋部と協働して前記環状経路を画定する、請求項15に記載の電気機械。
【請求項17】
電気機械を冷却する方法であり、前記電気機械が、複数のコイルを有する固定子と、前記固定子を取り巻きかつ第1の軸端部および第2の軸端部を有する外枠体と、前記外枠体の前記第1の軸端部および前記第2の軸端部の少なくとも1つに結合されている端部蓋部とを含む、方法であって、
冷却液を前記電気機械の前記端部蓋部に送達するステップと、
前記端部蓋部からの前記冷却液を前記固定子の前記複数のコイル上に噴霧するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
前記送達するステップは、前記固定子を実質的に径方向に取り巻く内部経路まで前記冷却液を送達するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記噴霧するステップは、前記端部蓋部上の径方向に離間された位置から前記固定子の前記複数のコイル上に前記冷却液を噴霧するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記端部蓋部は、前記外枠体の前記第1の軸端部に結合されており、もう一方の端部蓋部が、前記外枠体の前記第2の軸端部に結合されており、前記噴霧するステップは、両方の前記端部蓋部から前記固定子の前記複数のコイル上に前記冷却液を噴霧するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記噴霧するステップの後に、前記冷却液を前記電気機械から継続的に排出するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−4594(P2011−4594A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−137284(P2010−137284)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(591005165)ディーア・アンド・カンパニー (109)
【氏名又は名称原語表記】DEERE AND COMPANY
【Fターム(参考)】