説明

電気油圧昇圧機

【課題】電気油圧昇圧機を提供すること。
【解決手段】電気油圧昇圧機を有する制動システムは、昇圧機室と、昇圧機ピストン作動室と、昇圧機室と昇圧機作動室との間に配置された昇圧機ピストンと、高圧源、昇圧機室、および昇圧機ピストン作動室に動作可能に接続された電磁弁とを含み、線輪筒が、(i)昇圧機室および昇圧機ピストン作動室が流体連通し、高圧源から流体的に分離される第1の位置と、(ii)昇圧機室および昇圧機ピストン作動室が、互いに、および高圧源から流体的に分離される第2の位置と、(iii)昇圧機ピストン作動室および高圧源が流体連通し、昇圧機室から流体的に分離される第3の位置との間で移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は制動システムに関し、特に電気制御油圧昇圧機に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]制動システムは、一般に、下流の制動回路に流体的に結合されるマスタシリンダを含む。一般に、マスタシリンダは流体貯蔵器に選択的に結合される。封止機構により、貯蔵器からマスタシリンダへの流体流れが可能になり、さらに、マスタシリンダが貯蔵器から分離される。マスタシリンダ内の流体を加圧し、それによって下流の制動回路を加圧するために、マスタシリンダ内のマスタシリンダピストンは封止機構に対してスライド可能に封止する。
【0003】
[0003]最新の制動システムでは、昇圧システムが、一般に、昇圧機能を提供する(すなわち、操作員によって制動ペダルに与えられた力の代わりに、またはそれに加えて増強された力をマスタシリンダピストンに与えることによってマスタシリンダピストンの移動を支援する)ために設けられる。一般に、昇圧機能は、エンジン内の利用可能な真空を利用する真空昇圧システム、または油圧昇圧システムによって与えられる。油圧昇圧システムでは、高圧流体発生器、例えばポンプが蓄圧器に高液圧を供給し、それを利用して所望の昇圧機能を行う。
【0004】
[0004]油圧昇圧システムは、昇圧の量を決定するのに制動ペダルに機械的に結合されている入力ロッドの位置を使用する。マスタシリンダピストンに与えられる昇圧の量は制動ペダルの位置に関連する。
【0005】
[0005]さらに、故障モード(すなわち、高圧システムが動作不能である場合)では、限定した制動機能を行うことが依然として望ましい。
【0006】
[0006]したがって、制動ペダルの移動に迅速に反応することができる高圧源を利用する油圧昇圧システムを設け、制動ペダルに結合された入力ロッドの位置に応じてマスタシリンダピストンに増強された力を与え、さらに、高圧源が動作不能である故障モードでは限定した制動機能を行うことが非常に望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本開示の一実施形態によれば、電気油圧昇圧機を有する制動システムが提供される。電気油圧昇圧機を有する制動システムは、昇圧機室と、昇圧機ピストン作動室と、昇圧機室と昇圧機作動室との間に配置された昇圧機ピストンと、高圧源、昇圧機室、および昇圧機ピストン作動室に動作可能に接続された電磁弁とを含み、線輪筒が、(i)昇圧機室および昇圧機ピストン作動室が流体連通し、高圧源から流体的に分離される第1の位置と、(ii)昇圧機室および昇圧機ピストン作動室が、互いに、および高圧源から流体的に分離される第2の位置と、(iii)昇圧機ピストン作動室および高圧源が流体連通し、昇圧機室から流体的に分離される第3の位置との間で移動可能である。
【0008】
[0008]本開示の一実施形態によれば、電気油圧昇圧機を有する制動システムが提供される。電気油圧昇圧機を有する制動システムは、高圧源と、昇圧機室と、昇圧機室の後方の昇圧機ピストンと、高圧源に選択的に流体的に結合された第1のポート、昇圧機室に選択的に流体的に結合された第2のポート、および昇圧機ピストンの後面の部分と流体連通する第3のポートを含む電磁弁とを含む。
【0009】
また、本発明は、電気油圧昇圧機を有する制動システムにおいて、高圧源と、昇圧機室と、前記昇圧機室の後方の昇圧機ピストンと、前記高圧源に選択的に流体的に結合された第1のポート、前記昇圧機室に選択的に流体的に結合された第2のポート、および前記昇圧機ピストンの後面の部分と流体連通する第3のポートを含む電磁弁とを含む。
【0010】
この場合において、前記電磁弁は、線輪筒が、(i)前記昇圧機室および前記昇圧機ピストン作動室が流体連通し、前記高圧源から流体的に分離されるように前記第1のポートが閉じられ、前記第2のポートが開かれる第1の位置と、(ii)前記昇圧機室および前記昇圧機ピストン作動室が、互いに、および前記高圧源から流体的に分離されるように前記第1のポートおよび前記第2のポートが閉じられる第2の位置と、(iii)前記昇圧機ピストン作動室および前記高圧源が流体連通し、前記昇圧機室から流体的に分離されるように前記第1のポートが開かれ、前記第2のポートが閉じられる第3の位置とに選択的に配置されるように構成されていてもよい。前記昇圧機ピストンに動作可能に接続された入力ロッドと、前記入力ロッドの移動を検出するように配置された移動センサと、プログラム命令を含むメモリと、前記メモリ、前記移動センサ、および前記電磁弁に動作可能に接続された制御装置であって、前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記第2の位置に前記電磁弁を配置し、前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記第3の位置に前記電磁弁を配置し、前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記電磁弁を前記第3の位置から前記第2の位置に移動できるようにするために前記プログラム命令を実行するように構成された、制御装置とをさらに含んでいてもよい。前記昇圧機室の前方に配置されたマスタシリンダピストンと、前記昇圧機室内で延び、前記マスタシリンダピストンおよび前記昇圧機ピストンを互いから離すように付勢させるように構成されたマスタシリンダばねとをさらに含んでいてもよい。前記電磁弁は、内部孔を含み、前記第2のポートを画定するピストンと、前記第1のポートを画定する入口封止部と、前記第2のポートおよび前記第1のポートを選択的に封止するように構成された封止部材とを含んでいてもよい。前記内部孔は前記入口封止部と配列されていてもよい。前記封止部材は前記内部孔および前記入口封止部と配列され、前記封止部材は封止部材ばねによって前記入口封止部の方向に付勢されていてもよい。前記入口封止部から離れる方向に前記ピストンを付勢させるように構成されたピストンばねをさらに含んでいてもよい。前記昇圧機ピストンに動作可能に接続された入力ロッドと、前記入力ロッドの移動を検出するように配置された移動センサと、プログラム命令を含むメモリと、前記メモリ、前記移動センサ、および前記電磁弁に動作可能に接続された制御装置であって、前記移動センサから受け取った入力に基づいて前記第1のポートを選択的に閉じ、前記移動センサから受け取った入力に基づいて前記第2のポートを選択的に開き、前記移動センサから受け取った入力に基づいて前記第2のポートを閉じることができるようにするために前記プログラム命令を実行するように構成された、制御装置とをさらに含んでいてもよい。前記昇圧機室の前方に配置されたマスタシリンダピストンと、前記昇圧機室内で延び、前記マスタシリンダピストンおよび前記昇圧機ピストンを互いに離すように付勢させるように構成されたマスタシリンダばねとをさらに含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】[0009]高圧蓄圧器、貯蔵器、昇圧ピストン組立体、マスタシリンダ組立体、および圧力調整組立体を含む制動システムの部分断面図であり、圧力調整組立体は第1の位置に配置されている。
【図2】[0010]図1に示された昇圧ピストン組立体の部分断面図である。
【図3】[0011]図1に示されたマスタシリンダ組立体の部分断面図である。
【図4】[0012]図1に示された圧力調整組立体の部分断面図である。
【図5】[0013]初期起動位置における図1に示された制動システムの部分断面図であり、圧力調整組立体は第2の位置に配置される。
【図6】[0014]後続の起動位置における図1に示された制動システムの部分断面図であり、圧力調整組立体は第3の位置に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0015]本発明の原理の理解を促進するために、図面で示され、以下の書面の明細書で説明される実施形態が次に参照される。それによって本発明の範囲を限定するものではないことが理解されよう。本発明は、図示の実施形態への任意の改変および変形を含み、本発明に関連する当業者が通常思いつくような本発明の原理のさらなる応用を含むことがさらに理解されよう。
【0013】
[0016]図1を参照すると、制動システム100の部分断面図が示される。制動システム100は筐体102、高圧蓄圧器104、および貯蔵器106を含む。高圧蓄圧器104は筐体102に機械的に結合され、高圧発生器(図示せず)、例えばポンプ(一般に、電気モータ/ポンプがこの目的のために利用される)に流体的に結合される。高圧発生器(図示せず)は貯蔵器106に流体的に結合され、貯蔵器106から高圧蓄圧器104に流体をポンプで注入することによって高圧蓄圧器104内の高圧を維持する。
【0014】
[0017]制動システム100は昇圧ピストン組立体108およびマスタシリンダ組立体110をさらに含む。昇圧ピストン組立体108は、さらに以下で説明されるように、筐体102内にスライド可能に配設され、高圧蓄圧器104からの高圧流体の付与に応じて、図1を参照すると右から左方に移動するように構成される。入力ロッド112は昇圧ピストン組立体108内に部分的に配置され、その中で移動するように構成される。入力ロッド112は、制動ペダル(図示せず)の移動が入力ロッド112の直線移動に変換されるように制動ペダル(図示せず)に結合される。入力ロッド112は、図2を参照しながら以下でさらに説明されるように、入力ロッド112の右方への移動を制限するように座金166と連係する留め輪114を含む。さらに、ばね115が留め輪114と昇圧ピストン組立体108との間に配置され、昇圧ピストン組立体108から離れるように、特に座金166の方に入力ロッド112を付勢させるように構成される。
【0015】
[0018]圧力調整組立体116が制動システム100にさらに含まれる。圧力調整組立体116は筐体102に機械的に結合され、高圧蓄圧器104および貯蔵器106と流体連通する。圧力調整組立体116は、昇圧機ピストン作動室118、内部室120、および流体流路124を画定する。
【0016】
[0019]昇圧ピストン組立体108とマスタシリンダ組立体110との間の界面は昇圧室126を画定し、一方、マスタシリンダ組立体はマスタシリンダ室128を画定する。昇圧室126は、流体流路208、室130、および流体流路132を介して貯蔵器106と選択的に流体連通する(図3も参照)。マスタシリンダ室128は、同様に、流体流路206を介して貯蔵器106と選択的に流体連通し、さらに、下流の制動回路(図示せず)と連続的に流体連通する。
【0017】
[0020]図2を参照すると、昇圧ピストン組立体108の部分断面図が示される。昇圧ピストン組立体108は、後部本体部分152、反力座金組立体154、および前部本体部分158を含む。前部本体部分158は、昇圧室126を部分的に画定する空胴160を含む。図3を参照しながら以下で説明されるマスタシリンダ組立体110のマスタシリンダピストン205から離れるように前部本体部分158を付勢させるばね210(幻像で示される)が空胴内にある。前部本体部分158は反力座金154を介して後部本体部分152と連係する。
【0018】
[0021]反力座金組立体154は、弾性部材155および剛性部材156を含むことができる複合部材である。代替として、反力座金組立体154は単一の剛性部材とすることができる。反力座金組立体154は後部本体部分152の空胴157内に配置される。
【0019】
[0022]後部本体部分152は、入力ロッド112および移動センサ162を受け取るための空胴168をさらに含む。入力ロッド112(幻像で示される)は、上述のように、空胴168内にスライド可能に配置され、空胴168内で左方に移動するが、座金166によって右側で制限されるように構成される。座金166は後部本体部分152に固定的に結合される。
【0020】
[0023]移動センサ162は、同様に、後部本体部分152に固定的に結合され、移動センサ162を基準にした入力ロッド112の相対位置に対応してケーブル164に載せられる電気信号を生成するように構成される。ケーブル164は、その上で信号を送出し受け取るための多数の電線を有することができる。移動センサ162は、以下でさらに説明するように、圧力調整組立体116、ならびに昇圧作動室118および昇圧室126内の圧力を制御するように構成される電子制御装置ユニット(ECU、図示せず)に結合される。ECU(図示せず)は、EC(図示せず)に搭載されているプロセッサによって実行することができるプログラム命令を含むメモリを包含する。
【0021】
[0024]移動センサ162は、入力ロッド112の位置に応じて、周波数が変化する信号を生成するように構成されたデジタル型センサ、例えば周波数偏移キーイング型、またはアナログ型センサ、例えば、振幅の変化を生成するように構成された振幅変調型センサのものとすることができる。
【0022】
[0025]上述のように、ばね115(幻像で示される)は、入力ロッド112の留め輪114に付勢力を与えることによって、後部本体部分152に形成された段差170から離れるように入力ロッド112を付勢させる。
【0023】
[0026]昇圧ピストン組立体108は、さらに、筐体102に対して後部本体部分152を封止するための封止部172および174を含む。
【0024】
[0027]図3を参照すると、マスタシリンダ組立体110の部分断面図が示される。マスタシリンダ組立体110は、端部部分204を画定するシリンダ202、マスタシリンダピストン205、ならびに流体流路206および208を含む。端部部分204とマスタシリンダピストン205との間の空間はマスタシリンダ室128を画定し、一方、マスタシリンダピストン205と昇圧ピストン組立体108の前部本体部分158(幻像で示される)との間の空間は昇圧室126を画定する。上述のように、ばね210は前部本体部分158をマスタシリンダピストン205から離れるように付勢させ、一方、ばね212はマスタシリンダピストン205を端部部分204から離れるように付勢させる。
【0025】
[0028]封止部214は昇圧室126を貯蔵器106から分離するように構成される。例えば、図3に示されるように、前部本体部分158(幻像で示される)は、流体流路208を越えるが封止部214を越えないように配置される。したがって、図3に示されたような昇圧室126は貯蔵器106と流体連通されたままである。
【0026】
[0029]2つの封止部216および218はマスタシリンダ室128を貯蔵器106から分離するように構成される。例えば、図3に示されたように、マスタシリンダピストン205の位置は封止部216および流体流路206を越えるが封止部218を越えない。したがって、図3に示されたようなマスタシリンダ室128は貯蔵器106と流体連通される。
【0027】
[0030]図4を参照すると、圧力調整組立体116の部分断面図が示される。圧力調整組立体116は本体部分252(断片で示される)および取付け金具254を含む。本体部分252は封止部250および251により筐体102で封止される。
【0028】
[0031]圧力調整組立体116は、入口座部262を画定する入口部材258とばね荷重受口266との間に封止的に配設される封止部材256をさらに含む。ばね荷重受口266は、本体部分252から離れるように封止部材256の方にばね268によって付勢される。ばね荷重受口266は、封止部材256と封止する形で整合するように構成され、その場合高圧蓄圧器104が封止部材256とばね荷重受口266との間の界面から分離される。
【0029】
[0032]圧力調整組立体116は線輪筒組立体270をさらに含む。線輪筒組立体は入口部材258から離れるようにばね272によって付勢される。線輪筒組立体270は、巻線274、芯276、および芯延長部280を含む。巻線274は本体部分252に固定的に結合され、一方、芯276および芯延長部280は本体部分252の断片間にスライド可能に配設される。芯延長部280は芯276に固定的に結合され、芯276の移動に応じて移動するように構成される。芯延長部280は芯276と一体化して形成することができ、または締結具で芯276に結合される別個の部材として形成することができる。芯延長部280は、室130と、したがって貯蔵器106と流体連通する中空中央部282を含む。
【0030】
[0033]圧力調整組立体116は、内孔286をもつ中空出口座部284をさらに含む。出口座部284は、出口座部284の内孔286が芯延長部280の中空中央部282と実質的に配列されるように芯延長部280に配列される。
【0031】
[0034]出口座部284は、出口座部284の第1の端部で芯延長部280に固定的に結合される。出口座部284と芯延長部280との間の界面は、恒久型、例えば溶接部材、または締付け型のものとすることができる。出口座部284は、出口座部284の第2の端部に座部288を含む。座部288は封止部材256と連係し、封止を形成するように構成される。
【0032】
[0035]制動システム100の動作が、最初に図1を参照して説明される。図1に示された入力ロッド112の位置は、解放された位置の制動ペダル(図示せず)に対応する。図1に示された制動システム100の位置は以下で「静止」位置と呼ばれる。静止位置では、昇圧室126およびマスタシリンダ室128は流体流路208および206を介して貯蔵器106と流体連通する(図3を参照)。
【0033】
[0036]静止位置では、線輪筒組立体270はECU(図示せず)によって電源を切られている。したがって、ばね272は、出口座部284を封止部材256から離間した場所に付勢させる。したがって、内孔286および中空中央部282は、流体流路124を通って室130および貯蔵器106までの出口経路を昇圧作動室118に与える(図4を参照)。
【0034】
[0037]さらに、封止部材256に堅く接触する(またはそれと一体化して形成される)ばね荷重受口266に作用するばね268は、封止部材256を入口部材258の入口座部262に押し付け、それによって、昇圧作動室118を高圧蓄圧器104から封止する。
【0035】
[0038]したがって、静止位置で室130と流体連通する昇圧室126は昇圧作動室118と流体連通し、高圧蓄圧器104から分離される。
【0036】
[0039]図5を参照すると、入力ロッドは、操作員が制動ペダル(図示せず)に力を付与するのに応じて図1と比較して左方に移動している。入力ロッドの移動は、留め輪114と座金166との間の分離によって特に例示されている。ばね115は、入力ロッド112の左方への移動に応じて圧縮される。
【0037】
[0040]移動センサ162は、入力ロッド112の左方への移動を感知し、信号をケーブル164によってECU(図示せず)に供給する。ECU(図示せず)は信号を受け取り、例えば、第1の電圧レベルを巻線274に供給することによって巻線274にエネルギーを与え、それにより、芯276および芯延長部280を右方に磁気的に押し進める(図5を参照)。出口座部284が芯延長部280に固定的に結合されているので、出口座部284は右方に移動し、封止部材256と接触する。
【0038】
[0041]図5に示された制動システムの位置は初期起動位置とも呼ばれる。初期起動位置では、出口座部284の座部288は封止部材256に対して封止し、したがって、中空中央部282と出口座部284の内孔286とを含む流体経路は、室130と昇圧作動室118との間にもはや流体連通がない。したがって、これらの室は互いに分離される。図1に示された静止位置または図5に示された初期起動位置の昇圧室126は室130と流体連通しているので、昇圧室126も昇圧作動室118から分離される。
【0039】
[0042]入口部材258の入口座部262は封止部材256に堅く取りついたままであり、それによって封止を行うので、昇圧作動室118および昇圧室126は高圧蓄圧器104から分離されたままである。初期起動位置では、制動システムは所望の制動機能を与える準備位置にある。
【0040】
[0043]図6を参照すると、入力ロッド112はさらに左方に移動している。移動センサ162は入力ロッド112の左方への移動を感知し、入力ロッド112の位置に対応する電気信号をケーブル164に載せる。ECU(図示せず)は信号を受け取り、例えば、第1の電圧レベルよりも高い第2の電圧レベルを供給することによって、巻線274にさらにエネルギーを与える。巻線274に追加のエネルギーを与えるのに応じて、芯276および芯延長部280は図6を基準としてさらに右方に移動し、その右方への移動により出口座部284がさらに右方に移動することになる。出口座部284の追加の右方への移動は、入口部材258の入口座部262から遠ざけるように封止部材256を移動させる。ばね荷重受口266に堅く接触したままである封止部材256に出口座部284により付与された力はばね268を圧縮する(図4も参照)。この位置では、昇圧機作動室118および高圧蓄圧器104は、内部室120および流体流路124を介して互いに流体連通する。
【0041】
[0044]流体が昇圧作動室118に入ると、その中の圧力は上昇し始める。圧力上昇に応じて、昇圧ピストン組立体108は左方に移動し、それによって、反力座金組立体154に接触している前部本体部分158を左方に移動させる(図6を参照)。昇圧ピストン組立体108の左方への移動により、前部本体部分158は封止部214に対して封止を行い、それによって、室130および貯蔵器106から昇圧室126を分離する(図3も参照)。
【0042】
[0045]昇圧室126が貯蔵器106から分離された後、圧力が昇圧室126中で上昇する。圧力上昇はマスタシリンダピストン205に力を付与し、それによりマスタシリンダピストン205が左方に移動して封止部218に対して封止を行い、それによって、マスタシリンダ室128を貯蔵器106から分離する。
【0043】
[0046]マスタシリンダ室128が貯蔵器106から分離された後、マスタシリンダ室128の圧力は上昇する。マスタシリンダ室128は下流の制動回路(図示せず)と連続的に流体連通するので、圧力上昇は所望の制動機能を与える。
【0044】
[0047]昇圧ピストン組立体108の左方への移動により、座金166は再度留め輪114と接触するようになる(図6に示されたように)。入力ロッド112と昇圧ピストン組立体108との、特に移動センサ162との相対位置により、移動センサ162はそれに対応する信号を生成する。移動センサ162によって生成され、ケーブル164に載せられた信号はECU(図示せず)によって受け取られる。それに応答して、ECU(図示せず)は、例えば、第3の電圧を巻線274に供給することによって、巻線274に供給されるエネルギーを低減し、それによって、第3の電圧は実質的に第2の電圧と同じとなる。
【0045】
[0048]より小さいエネルギーを受け取ることに応じて、巻線274はより小さい電磁力を与える。芯276および芯延長部280は、本体部分252に固定的に結合されている入口部材258から離れるように付勢されるので、芯276および芯延長部280は左方に移動する(図6を参照)。出口座部284は芯延長部280に固定的に結合されているので、出口座部284も左方に移動し、それにより、封止部材256は入口部材258の入口座部262に対する封止を可能にする(図4も参照)。したがって、線輪筒組立体270は図5に示された位置に戻る。上述のように、図5に示された位置では、昇圧作動室118および昇圧室126は、互いに、および高圧蓄圧器104から分離される。しかし、図5に示されている昇圧ピストン組立体108およびマスタシリンダ組立体110の位置での違いは、図6での昇圧室126は貯蔵器106から分離されている点である。この分離した位置では、昇圧室の圧力は図5の昇圧室126と比較して上昇しており、それによって、マスタシリンダピストン205への力を維持している。
【0046】
[0049]ECU(図示せず)は、第1の電圧レベルと第2の電圧レベルとの間で切り替えることによって巻線274に与えるエネルギーを増減し続ける。それによって封止部材256は、昇圧作動室118の圧力を調節するために図6を基準にして左右に移動する。
【0047】
[0050]図示されていないが、昇圧室126は、個別の制動機能を与えるために別の下流の制動回路に連続的に結合することができる。
【0048】
[0051]同様に、図示されていないが、例えば、高圧発生器(図示せず)の故障による高圧蓄圧器104の高圧の故障の場合には、入力ロッド112は、制動ペダル(図示せず)の移動に応じて左方に移動し、反力座金組立体154と接触することができる。入力ロッド112と反力座金組立体154との間の接触により、前部本体部分158を移動させ、昇圧機能なしで制動を行うことができる。制動ペダル(図示せず)の解放により、入力ロッド112は右方に移動し、それにより反力座金組立体154および前部本体部分158は右方に移動し、制動が低減する。右方への移動はばね115の付勢力によって部分的に生成される。
【0049】
[0052]本発明が図面および前述の説明で詳細に図示し説明されたが、これらは例示的なものと見なされるべきであり、文字通りに限定されるものと見なされるべきでない。好ましい実施形態だけが提示されており、本発明の趣旨の範囲内にあるすべての改変、変形、およびさらなる応用は保護されることが望まれることが理解されよう。
【符号の説明】
【0050】
100 制動システム
102 筐体
104 高圧蓄圧器
106 貯蔵器
108 昇圧ピストン組立体
110 マスタシリンダ組立体
112 入力ロッド
114 留め輪
115 ばね
116 圧力調整組立体
118 昇圧作動室、昇圧機ピストン作動室
120 内部室
124 流体流路
126 昇圧室
128 マスタシリンダ室
130 室
132 流体流路
152 後部本体部分
154 反力座金組立体
155 弾性部材
156 剛性部材
157 空胴
158 前部本体部分
160 空胴
162 移動センサ
164 ケーブル
166 座金
168 空胴
170 段差
172、174 封止部
202 シリンダ
204 端部部分
205 マスタシリンダピストン
206、208 流体流路
210 ばね
212 ばね
214、216、218 封止部
250、251 封止部
252 本体部分
254 取付け金具
256 封止部材
258 入口部材
262 入口座部
266 ばね荷重受口
268 ばね
270 線輪筒組立体
272 ばね
274 巻線
276 芯
280 芯延長部
282 中空中央部
284 中空出口座部、出口座部
286 内孔
288 座部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気油圧昇圧機を有する制動システムにおいて、
昇圧機室と、
昇圧機ピストン作動室と、
前記昇圧機室と前記昇圧機作動室との間に配置された昇圧機ピストンと、
高圧源、前記昇圧機室、および前記昇圧機ピストン作動室に動作可能に接続された電磁弁であって、線輪筒が、(i)前記昇圧機室および前記昇圧機ピストン作動室が流体連通し、前記高圧源から流体的に分離される第1の位置と、(ii)前記昇圧機室および前記昇圧機ピストン作動室が、互いに、および前記高圧源から流体的に分離される第2の位置と、(iii)前記昇圧機ピストン作動室および前記高圧源が流体連通し、前記昇圧機室から流体的に分離される第3の位置との間で移動可能である、電磁弁とを含む制動システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制動システムにおいて、
前記昇圧機室の前方に配置されたマスタシリンダピストンと、
前記昇圧機室内で延び、前記マスタシリンダピストンおよび前記昇圧機ピストンを互いから離すように付勢させるように構成されたマスタシリンダばねとをさらに含む、制動システム。
【請求項3】
請求項1に記載の制動システムにおいて、
前記昇圧機ピストンに動作可能に接続された入力ロッドと、
前記入力ロッドの移動を検出するように配置された移動センサと、
プログラム命令を含むメモリと、
前記メモリ、前記移動センサ、および前記電磁弁に動作可能に接続された制御装置であって、
前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記第2の位置に前記電磁弁を配置し、
前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記第3の位置に前記電磁弁を配置し、
前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記電磁弁を前記第3の位置から前記第2の位置に移動できるようにするために前記プログラム命令を実行するように構成された、制御装置とをさらに含む、制動システム。
【請求項4】
請求項1に記載の制動システムにおいて、
前記電磁弁は、
前記昇圧機室と流体連通する内部孔を含むピストンと、
入口封止部と、
前記電磁弁が前記第1の位置にあるとき前記内部孔を封止するように構成された封止部材であって、前記電磁弁が前記第1の位置および前記第2の位置にあるとき前記入口封止部で封止を形成するように構成された、封止部材とを含む、制動システム。
【請求項5】
請求項4に記載の制動システムにおいて、
前記内部孔は前記入口封止部と配列された、制動システム。
【請求項6】
請求項5に記載の制動システムにおいて、
前記封止部材は前記内部孔および前記入口封止部と配列され、
前記封止部材は封止部材ばねによって前記入口封止部の方向に付勢される、制動システム。
【請求項7】
請求項6に記載の制動システムにおいて、
前記昇圧機ピストンに動作可能に接続された入力ロッドと、
前記入力ロッドの移動を検出するように配置された移動センサと、
プログラム命令を含むメモリと、
前記メモリ、前記移動センサ、および前記電磁弁に動作可能に接続された制御装置であって、
前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記第2の位置に前記電磁弁を配置し、
前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記第3の位置に前記電磁弁を配置し、
前記移動センサによって生成された信号に基づいて前記電磁弁を前記第3の位置から前記第2の位置に移動できるようにするために前記プログラム命令を実行するように構成された、制御装置とをさらに含む、制動システム。
【請求項8】
請求項7に記載の制動システムにおいて、
前記昇圧機室の前方に配置されたマスタシリンダピストンと、
前記昇圧機室内で延び、前記マスタシリンダピストンおよび前記昇圧機ピストンを互いから離すように付勢させるように構成されたマスタシリンダばねとをさらに含む、制動システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−30788(P2012−30788A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−155909(P2011−155909)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】