電気測定装置、測定方法およびコンピュータプログラム製品
本発明は非接触で電気インピーダンス測定を行う電気測定装置に関する。この測定装置は、測定されるインピーダンス(7、8)を備えた測定ユニットと、能動的な送受信ユニットにより送信された問い合わせ信号を無線受信した際に、電気インピーダンスを測定するために、分離された能動的な送信/受信ユニットにより無線受信される測定信号を生成するためにインピーダンスに接続された受動共振回路(4)とを備える。更に、測定ユニットは追加の基準回路(5)を備え、この追加の基準回路は好ましくは共振回路に接続され、問い合わせ信号に依存して、能動的な送受信ユニットにより受信される基準信号を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気インピーダンス測定を行う電気測定装置に関する。この電気測定装置は、測定されるインピーダンスが取り付けられた測定ユニットと、測定信号を生成するためにその測定ユニットに接続された受動共振回路とを備える。この測定信号は、分離された能動送受信ユニットにより受信されるものであり、その能動送受信ユニットにより送信された問い合わせ信号の受信時に電気インピーダンスの測定に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許6870376号は、例えば土壌あるいは植物が根を張る基質の湿度を測定するための電気測定装置を開示している。このインピーダンスは基本的にコンデンサであり、このコンデンサの付近の湿度により変化する。従って、電気的には、湿度は局所的に測定される。
【0003】
更に公知のものとしては、例えば、2002年発行の刊行物Sensorsの219−232頁に掲載されたKheat Ghee Ong氏らによる科学論文「細菌成長モニタリングのための遠隔問い合わせ共振回路センサー:食品品質管理への応用(Remote Query Resonant-Circuit for Monitoring of Bacteria Growth: Application to Food Quality Control)」の論文の冒頭の段落に記載の電気測定装置がある。その電気測定装置においては、コンデンサとして設計されたインピーダンスが、測定ユニットの受動共振回路の一部分となっている。この測定ユニットは、電磁波を送受信する、分離された送受信ユニットの素子から、DC的に切り離されている。送受信ユニットを共振回路に電磁結合することにより、コンデンサについての情報が得られる。これは、コンデンサの容量値自体が例えば局所的な湿度に依存し、このコンデンサの容量値が共振回路の動作に影響を与えるからである。この測定装置は例えば食物における細菌の成長を調べるのに用いられる。
【0004】
測定装置の動作中に、送受信ユニットは電磁的な問い合わせ信号を送信する。この信号に反応して、受動共振回路は測定信号を生成し、この測定信号は分離された送受信ユニットにより解析される。コンデンサの実際の値に依存して、測定信号のピーク周波数は変化する。このようにして、測定ユニットのコンデンサの付近の湿度についての測定が得られる。
【0005】
このような非接触のインピーダンス測定の利点は、とりわけ測定ユニットあたりの生産コストが低いこと、受動素子の使用により比較的長寿命であること、測定を行う際に簡単に利用できることである。これはユーザーが、測定ユニットを試料に取付け、そして試料から取り除くといった、時間がかかる、測定ミスを誘発する機械操作を行う必要がもしあったとしても、それを行う必要がほとんど無いからである。
【0006】
品質の良い非接触のインピーダンス測定を行うため、測定ユニットは基準測定を用いて較正される。この基準測定において、インピーダンスは条件の管理された場所に設置される。このような基準測定は測定ユニットを現場に設置する前に実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これは、測定ユニットを設置すると、基準測定は実際上もはや不可能であるという問題があるからである。これは共振回路のパラメータが、例えば経年変化により、ドリフトするからである。これによりインピーダンス測定が正しいものから外れる結果となる。また、基準測定を行うことは、ユーザーフレンドリーでなく、骨の折れる作業であると経験的に認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は冒頭の段落にあるように、電気測定装置を提供することであり、利点を維持しつつ、不利な点を取り除くことである。とりわけ、本発明の目的は冒頭の段落にあるような電気測定装置を提供することであり、この装置によりインピーダンス測定の正確さを向上することである。そのため、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、能動送受信ユニットにより受信される基準信号を生成するため、測定ユニットがさらに設けられている。
【0009】
基準測定中に、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、能動送受信ユニットにより受信される基準信号を生成する測定装置を提供することにより、基準測定がどのような場所と時間においてもたやすく実行できるようになる。また、インピーダンス測定が行われる場所においてもたやすく実行できる。基準測定は、このように必要に応じ、また希望により何度でも実行され、この基準測定に基づいてインピーダンスを較正することができ、インピーダンス測定の正確さを向上できる。
【0010】
更に、共振回路のパラメータのドリフトの補正が可能となる。加えて、測定ユニットが条件の管理された場所に設置されて行われる基準測定は不要となる。これにより、使用の容易さがより改善され、測定ユニットを設置するための追加コストが大幅に削減される。また、共振回路の製造の精度が厳しくなくなるので、さらに原価の低下に寄与する。
【0011】
1つの送受信ユニットが複数の測定ユニットと共に用いられる場合は、これによりコスト的に有利となる。これは測定ユニットが比較的に少数の安価な部品で構成されているのに対して、送受信ユニットにおいては、測定信号および基準信号を解析するための、比較的複雑な電子回路が組み込まれるためである。
【0012】
更に、共振回路を用いて測定信号および基準信号両方を送信することにより、うまく部品を節減できる。
【0013】
尚、インピーダンスという用語は、種々の受動的な独立した電気素子を包含し、コンデンサ、インダクタおよび/または抵抗体等、また同様にコンデンサ、インダクタおよび/または抵抗性を示す物質が含まれると解釈される。この関連において、物質の誘電性の挙動または導電性のような語句は通常用いられている意味で使用している。物理的変化の評価尺度として電気インピーダンスを測定する技術はインピーダンス分光法と呼ばれることがある。
【0014】
基準信号は、問い合わせ信号に依存して生成される。この依存性の仕様については、種々の方式により設定される。例えば、問い合わせ信号の周波数および/または振幅が変化することにより、所望の測定信号または基準信号が生成されるようにしても良い。また、問い合わせ信号は測定信号または基準信号を生成するためのコードを伴って生成されて良い。このため、測定信号と基準信号が共に生成されるように問い合わせ信号を設計することとしても良い。
【0015】
測定ユニットから送信される信号は狭帯域であることが望ましい。測定信号と1つまたは複数の基準信号は、これにより限られた帯域に設定され、実際に電気測定装置が利用可能な周波数帯域で使用できるようになる。このため、測定信号と1つまたは複数の基準信号の周波数は、例えば互いに数%程度あるいはそれ以下の違いとなるようにする。
【0016】
本発明の有利な点として、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、複数の基準信号から特定の基準信号を生成するように設定することができる。複数の基準信号を送信可能とすることにより、分離された送受信ユニットにおいて、測定システムについてのより多くの情報が、例えば、測定の改善のため、あるいは測定ユニットの識別情報のような測定ユニットに関する情報の取得のために、利用できるようになる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、測定ユニットと分離された能動的な送受信ユニットは、無線の相互信号転送ができるようになっており、これにより非接触の測定が可能となっている。この結果、分離された能動的な送受信ユニットと測定ユニットとの間の信号転送確立のための配線が不要になるので、電気測定装置の使用の容易さが向上する。しかしながら、代替方法として、ケーブル接続を用いて信号伝送を行うことも可能であり、これにより例えばコストの節減、または信号伝送の信頼性および/または感度を向上することができる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用いた基準信号を生成する基準回路を、更に備えることが可能である。このように振幅特性の変化を制御することで、追加の測定を用いて絶対値の較正を行うことができる。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、測定ユニットが、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、測定信号の中心周波数と異なる中心周波数を持つ基準信号を生成するように設定されても、共振回路の電気的特性は不変に維持される。このようにして、特性に関する追加の情報が利用できるようになり、同様に絶対値の較正を行うことができる。
【0020】
追加の基準回路を共振回路に接続することにより、この回路は測定信号および基準信号の両方を生成するために用いることができるようになり、測定ユニットの多くの電子部品が節減できる。しかし、代替方法として、追加の基準回路を、分離された共振回路の一部分とし、測定信号と基準信号が別々に生成されるようにしても良い。
【0021】
測定されるインピーダンスまたは追加の基準回路を、切り替え素子を介して共振回路に接続することにより、この切り替え素子の状態に依存して、測定信号または基準信号が生成される。切り替え素子の状態は、所望の信号を得るための問い合わせ信号によって変更することができる。
【0022】
追加の基準回路は、少なくとも部分的に条件が管理された場所に設置されると良く、好ましくは、これに対応する被測定インピーダンスの特性変化と比較して、基準回路の電気特性が実質的に変化しないように条件管理することにより、意味のある基準測定が得られる。
【0023】
追加の基準回路を受動的な回路設計とすることで、測定ユニットは特に安価に製造でき、動作寿命は実質的に無限となる。しかしながら、追加の基準回路は小さな電源で設計できるので、解析する信号の複雑さを簡素化することができる。
【0024】
更に、本発明は方法に関連する。
【0025】
また、本発明はコンピュータプログラムの製品に関連する。
【0026】
更なる本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は更に図面に示される実施例に基づいて明確になる。図面は以下の通り。
【図1】図1は、本発明に基づく電気測定装置の第1の実施形態である。
【図2】図2は、本発明に基づく電気測定装置の第2の実施形態である。
【図3】図3は、本発明に基づく電気測定装置の第3の実施形態である。
【図4】図4は、図3の回路で生ずる信号の時間領域での概略図である。
【図5】図5は、図3の信号の振幅スペクトルである。
【図6】図6は、本発明に基づく電気測定装置の第4の実施形態である。
【図7】図7は、コイルを流れる電流の振幅スペクトルである。
【図8】図8は、本発明に基づく電気測定装置の第5の実施形態である。
【図8A】図8Aは方形波を示す。
【図8B】図8Bは基本波と2つの2次高調波を示す。
【図9】図9は、本発明に基づく電気測定装置の第6の実施形態である。
【図10】図10は、測定装置で生成された信号の第1の振幅スペクトルである。
【図11】図11は、測定装置で生成された信号の第2の振幅スペクトルである。
【図12】図12は、測定ユニットの第1の概略のブロック図である。
【図13】図13は、測定ユニットの第2の概略のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記の図面は本発明の好ましい実施形態の単なる概略図である。これらの図面で、等価または対応する部分は同じ参照番号で示されている。
【0029】
図1は本発明に基づく電気測定装置の第1の実施形態の回路1を示す。
【0030】
回路1は非接触のインピーダンス測定を実行するように構成されている。この回路は2つのコイル2、3を備え、これらはDC的に切り離されており、測定装置の動作中は電磁気的結合Kを生ずる。第1のコイル2は、分離された能動的な送受信ユニットに組み込まれ、第2のコイル3は測定ユニットの受動共振回路4の一部分となっている。この電磁的結合により、機械的には非接触測定を実行することが可能となる。尚、電磁気的結合または無線接続は他の方法で実現されても良い。例えば、電気的および/または磁気的ダイポールを用いて実現できる。
【0031】
図1から明らかなように、共振回路4は受動的であり、これにより測定ユニットはバッテリーを用いない有利な設計となっている。
【0032】
共振回路4のコイル3と並列に、基準コンデンサ5と測定されるインピーダンス6とが接続されている。基準コンデンサ5は、追加の受動的基準回路の、1つの可能な実装形態である。2つのインピーダンス電極6A、6Bの間の、測定されるインピーダンス6はスイッチ9を介して接続可能であり、相互に並列に接続された測定コンデンサ7と測定抵抗8とでモデル化されている。このコンデンサと抵抗は、例えば、通常それぞれ約100pFと1,000Ωである。これらの値は測定される物質、電極の表面および電極間の距離に依存し、同様に共振周波数にも依存する。
【0033】
測定装置の動作は以下の通りである。送受信ユニットのコイル2は電磁気的問い合わせ信号を送信する。例えば1MHzの周波数のラジオ波を送信し、これは共振回路4のコイル3により捕捉される。この共振回路4は、スイッチ9の状態に依存して、測定信号または基準信号が生成されるように調整されている。測定信号または基準信号はそこで、解析のため、送受信ユニットのコイル2により捕捉される。測定信号または基準信号の、スペクトルおよび/または振幅の情報のような、特性を測定することにより、共振回路4の電気特性が測定される。インピーダンス電極6A、6Bは測定される物質中に設置され、インピーダンス電極6A、6Bの間の物質の誘電率の変化が測定される。共振回路4の他の部品は、耐久性が必要なので、パッケージとも呼ばれるケースに収められる。
【0034】
スイッチ9が開いている時、共振回路はコイル3と基準コンデンサ5とによってのみ構成され、これにより基準信号が得られる。スイッチ9が閉じている時、共振回路4の特性はインピーダンス6にも影響され、これを反映した測定信号が生成される。この結果、測定コンデンサ7の作用により、ピーク周波数が離調される可能性があり、測定抵抗8の作用により最大スペクトル振幅が減少および/またはスペクトルのだれが生じる可能性がある。
【0035】
問い合わせ信号に依存した切り替え素子9の動作により、および、例えば、周波数スイープとも呼ばれる、周波数シフトを用いて、問い合わせ信号の周波数を変化させることにより、離調したピーク周波数が検出できる。
【0036】
本発明に基づく電気測定装置は、局所的な物質の特性の非接触測定に容易に使用できる。これは物質の状態が測定されるインピーダンスの電気的な挙動に影響を与えること、またこれによって、共振回路により生成される測定信号に影響を与えるからである。物質の変化は、例えば水分含有量、酸性度および/またはミネラルの濃度に関連している。また、例えばセラミクスの誘電率は外側の水分張力の評価尺度となり得る。更に、基質の上に設けられた粘土層は、温度、ガスの濃度またはpH値などの環境からの影響に敏感である。このように、測定装置は、例えば、花、植物および/そして他の作物が根を張っている、土および/または基質の水分センサーとして実装できる。測定装置は、これより、例えば栽培業者の鉢植えの植物においてまたは農地の区画において、モニターの目的で使用できる。他にオプションとして、測定装置は灌漑システムに適用できる。
【0037】
更に、他の分野での利用も考えられる。例えば、バイオナノテクノロジー分野での、生体的基質における変化を観察することに利用できる。この具体的な例は食品工業でのセンサーがあり、牛乳の品質管理、果汁の熟成および/または肉製品における細菌増殖等のセンサーである。当然、更に多くの応用が考えられ、例えば、砂またはセメント等の多孔質材料の水分測定、医療への応用、水の管理、石油工業での利用が考えられる。
【0038】
このように、実際は、測定ユニットは測定される環境に設置される。分離された送受信ユニットは可動式、あるいはオプションで可搬なモジュールに組み込まれ、ユーザーが持ち歩くことができる。このように、非接触の測定を行う目的で、1つおよびこれと同じ送受信ユニットが非接触で複数の測定ユニットに結合される。結果的に測定ユニットの部品が更に有効に節減できる。
【0039】
好ましくは、測定ユニットのコイル3と基準コンデンサのパラメータは、高品質なものが得られるように選択される。更に、好ましくは、追加の基準回路の部品のパラメータは、測定信号の主周波数と基準信号の主周波数とがお互いにおよそ数%異なるように選択される。これにより、送受信ユニットにおける装置の帯域についての条件は制限されたままとなり、副次的な影響はあからさまには表れてこない。しかしながら、原理的に、上記の2つの主周波数が互いにもっと離れるように、パラメータを選ぶことができる。図1に示す回路に対しては、一方の主周波数の比と他方のコンデンサの比との間には2次関数の関係がある。
【0040】
図1の切り替え素子9は外部場により作動される機械的スイッチとして設計されている。これには、例えば、リードリレーが、外部磁場の作用で切り替えられる。このために、分離された送受信ユニットは、たとえば外部磁場を生成するためのアクチュエータを備えてもよい。
【0041】
好ましくは、送受信ユニットでは自動振幅調整が行われると良く、その結果、送受信ユニットと測定ユニットとの間の距離および物質による電力損失が補正される。
【0042】
図2は本発明に基づく電気測定装置の第2の実施形態の回路を示す。ここでは切り替え素子9は半導体スイッチとして設計され、具体的にはMOSFET9Aがダイオード10とコンデンサ11による整流回路に接続されて実装されている。比較的小さな振幅の問い合わせ信号を受けた時、MOSFET9Aは閉じた状態であり、従って基準信号が生成される。しかし、もし比較的大きな振幅の問い合わせ信号が受信されると、MOSFET9Aは導通状態となり、従って測定信号が生成される。当然他の半導体スイッチでも可能である。更に、この回路は、比較的小さな問い合わせ信号を受けて、測定信号を生成するように設定することもできる。また、比較的大きな振幅の問い合わせ信号を受けて、基準信号を生成するように設定することもできる。
【0043】
更に、例えば図3で示すダイオード9Bのように、切り替え素子9は電気的に非線形な部品で設計されても良い。上記のMOSFET9Aの場合のように、ダイオード9Bは問い合わせ信号が比較的大きな振幅を持つ時、導通状態となる。定常的な問い合わせ信号のスイッチオンとスイッチオフの各々の間に、そのオンとオフの各々に応じて、スイッチオンとスイッチオフの現象が起こる。このスイッチオンとスイッチオフの現象は、測定信号と基準信号とが集積されている回路で起こるものである。
【0044】
適切に共振回路が動作するため、ダイオード9Bは、小さいダイオード電圧、大きな逆電圧と小さなジャンクション容量を持つことが好ましい。
【0045】
図4と図5は、それぞれ、図3に示す回路における共振回路4によって生成された信号の時間領域(time domain)で表した図と周波数スペクトル図(spectral diagram)を示す。電圧Vが、それぞれ時間tと周波数fに対してプロットされている。これらの信号は、1MHzの共振周波数における基準成分12と、約0.85MHz近辺に周波数がシフトした測定信号成分13とを持つ。この測定成分13は、測定抵抗8により生ずる所定のスペクトル幅を持つ。
【0046】
図6は本発明に基づく電気測定装置の第4の実施形態の回路を示す。ここでは、切り替え素子9は2つのダイオード9B、9Cの回路として設計されている。これら2つのダイオードはそれぞれ、測定されるインピーダンス6と追加の受動基準回路とに接続されている。測定ユニットのコイル3に並列に接続されているものは、共振回路4を得るための共振コンデンサ16である。追加の受動基準回路は、基準インピーダンスとも呼ばれ、基準コンデンサ14と基準抵抗15とを備え、双方互いに並列に接続されている。当然ながら、追加の受動基準回路は異なるように設計されて良く、例えばコンデンサ14のみか、または抵抗15のみでも、または他に追加したコイルと組み合わせたものでも良い。
【0047】
この回路の構成により、問い合わせ信号の高調波の正の部分は測定されるインピーダンスに与えられ、これに対し負の部分は基準インピーダンス14、15に与えられる。更に、問い合わせ信号の高次の高調波が発生する。この高次の高調波の振幅と位相は測定されるインピーダンス6と基準インピーダンス14、15に関する情報を含んでいる。測定および基準インピーダンス7、8および14、15が等しい特別な場合、偶数次高調波は消失する。また、基準インピーダンス14、15と測定インピーダンス6が他の状態の場合では、測定インピーダンス6のパラメータは高調波についての情報に基づいて決定される。ここで、種々のスペクトル成分の振幅および位相の両方の情報を利用することができる。
【0048】
図7は、第2のコイル3を流れる電流の振幅スペクトルを示し、これは以下に説明される。正弦波の電流が各々のダイオードに分岐して流れ、それぞれ、ダイオードの非線形性により、偶数次の高調波を発生する。正弦波の正の部分の間は、1つのダイオードが導通状態となり、他のダイオードがこの正弦波の負の部分で導通状態となるので、図8に示されるような2つのダイオードの分岐における偶数次の高調波は、打ち消しあう。これに対し、図8Aと8Bにおいて示されている、方形波60、基本波61と2つの2次高調波62、63のような電流波形は、それぞれ、第2のコイル3とダイオード9B、9Cの端子18、18、51、52での電流波形に対応する。2つのダイオード分岐におけるインピーダンス6、19が互いに等しい場合は、第2のコイル3を通る電流は、従って、第1のコイル2により誘導で生じた元の方形波60の奇数次高調波のみから成っている。インピーダンス6、19が異なる場合、偶数次高調波は2つのダイオード分岐では等しく無くなり、第2のコイル3には差分の電流が流れる。結果として、第2のコイル3を流れる電流は偶数次と奇数次の両方の高調波から成る。このようにして、振幅スペクトルは例えば図7に示されるようなものになる。ここでは高調波の振幅Aがa1、...、a10として示され、規格化した周波数fの関数として示されている。一般的に、偶数次高調波の振幅はインピーダンス6、17の差と元の方形波60の振幅の関数である。この理由により、受信した信号の振幅から2つのインピーダンスの差が求められる。奇数次高調波の振幅は実質的に殆ど全て方形波60の関数である。
【0049】
例えば、送受信ユニットにおいて局所的に高次高調波を発生し、共振回路により生成された信号のスペクトル成分との位相関係を決定するための同期検出を適用することにより、位相情報を得ることができる。同期検出器は非常に大きなダイナミックレンジと低い干渉感度を持つため有利である。
【0050】
ダイオードに対し安定した動作点を実現するため、1次高調波の振幅は、伝送された奇数次高調波の1つの振幅が、2つのコイル2、3の距離にかかわらず、この1次高調波の振幅に対し一定の比率を維持するように制御される。このようにして、偶数次と奇数次の高調波の間の振幅比率は一定となり、その振幅比率は、インピーダンス間の差の絶対測定の尺度となる。
【0051】
2つの分岐での差は、追加で2つのインピーダンスに印加する電圧または流す電流によっても起こり、例えば、異なるベースエミッタ間電圧を持つ複数のダイオードを用いることにより起こる。このように、偶数高調波は、例えば識別コードを含む他の信号により変調される可能性がある。
【0052】
図9は本発明に基づく電気測定装置の第6の実施形態の回路を示す。ここでは図3の回路が拡張され、第2のコイル3に並列に接続されるサブ回路が含まれている。この追加のサブ回路は直列に接続した2つのダイオード9D、9Eと追加のインピーダンス20である。追加のインピーダンス20が実際に更に追加で接続されるので、問い合わせ信号の振幅をさらに大きくするが、これにより追加サブ回路も導通状態にすることが可能で、問い合わせ信号に対応する、さらに他の、測定信号および基準信号と異なる信号が送信できる。結果として、例えば温度測定のような、追加の測定を行うことが可能となる。このように、問い合わせ信号の振幅レベルを設定することで、異なるタイプの応答信号を選択できるので、これにより、測定ユニットの問い合わせの符号化が可能となる。更に一般的には、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、能動的な送受信ユニットにより無線受信される追加の信号を生成するための追加の回路を備える。
【0053】
希望により、追加サブ回路のパターンは更に追加された並列回路も可能で、3つまたはそれ以上のダイオードが直列に接続される。更に、このような追加のサブ回路は本発明の他の実施形態と組み合わせて用いることができる。例えば図2と6に示すものである。
【0054】
送受信ユニットは、好ましくは、電気インピーダンスを測定するための測定信号および基準信号を処理するプロセッサを備える。
【0055】
この処理動作を実行する方法は特定のプロセッサ部品と特定のプログラムを利用して実施される。
【0056】
オプションとして、基準信号の計算は、1つまたはそれ以上の確定した高調波で行っても良く、測定信号の計算は1つまたはそれ以上の高調波に基づいて行って良い。
【0057】
本発明の実施形態に基づいて、信号は分離された送受信ユニットで処理され、電気インピーダンスが測定される。これには色々な実施方法がある。
【0058】
第1の実施形態では、1つまたは複数の基準測定の間、1つまたは複数のスイッチを用いて、1つまたは複数の基準回路をオンまたはオフすることにより、共振回路に接続されたインピーダンスを変えることができる。この結果、当然、共振回路の振幅特性は変化する。この測定毎に変化する特性は固定された周波数で測定される。しかし、原理的には、連続した測定において、他の周波数をランダムに選ぶことは可能である。更に、測定毎に変化する振幅特性のピーク周波数を測定しても良い。この第1の実施形態において、この振幅特性は、説明されたように、周波数の関数としてシフトする可能性がある。
【0059】
本発明の実際の実施形態では、固定された所定の周波数で複数の信号を受信する場合、全共振回路のインピーダンスでの、規格化された振幅が測定される。図10は周波数fの関数として3つの振幅特性c1、c2、c3を持つ、第1の振幅スペクトルAを示す。これは測定ユニットで生成された、測定信号と2つの基準信号に対応する。固定の周波数fcにおいて、これらに対応する、全共振回路のインピーダンスの規格化された振幅A1、A2、A3が決定される。この、周波数に依存する、全共振回路のインピーダンスは、3つのパラメータ、すなわち、抵抗率または導電率と、容量と、インダクタンスとでモデル化される。更に、測定ユニットと、分離された送受信ユニットとの間の転送についてのスカラー転送関数を、共振回路インピーダンスに乗じることにより、規格化が行われる。このスカラー転送関数を種々の信号測定の間不変であると仮定し、また、共振回路インピーダンスを特徴づける、他の3つのパラメータも一定またはスイッチの動作により制御されて変化するとして、一組の方程式が得られ、これから3つのパラメータとスカラー転送関数が解として得られる。これから、測定されるインピーダンスが決定される。インダクタンスが十分分かっていると仮定して、3つの測定が、3つのパラメータ、すなわちスカラー転送関数、導電率、および容量を決定するためには十分である。
【0060】
これに関連して、例えばインダクタンスの較正またはトリミングを行うことで、前以ってインダクタンスをもっと正確に決めておくことにより、測定の精度が全体として改善される。また、導電率および/または容量といった、他のパラメータは、例えば大気中における測定によって、更に良く決定される。また更に、基準測定によってインダクタンスのより良い推定値を得るために、基準容量が追加で回路に含まれると良い。
【0061】
尚、3つの測定の代わりに、異なる数の測定を行って、インピーダンスを決定しても良い。例えば、2つの測定で、これらの外挿から3番目のパラメータの推定値を求めることができる。あるいは、3つ以上の測定、例えば4つの測定で、例えば最小二乗法を用いて、測定の精度を向上することができる。
【0062】
信号処理を行う第2の実施形態において、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、測定信号の中心周波数と異なる中心周波数を持つ基準信号を、共振回路を用いて発生するように構成される。これにより、異なる周波数で、規格化した共振インピーダンスの振幅特性を測定することで、測定される電気インピーダンスの値が決定される。図11は、第2のスペクトルAで1つの振幅特性c1を、周波数fの関数として示したものであり、測定ユニットで生成された測定信号と2つの基準信号に対応する。異なる周波数fc1、fc2、fc3での振幅A2、A2、A3を決定することにより、上記のモデリングに基づいて電気インピーダンスが求められる。この振幅スペクトルの比較的傾斜の大きいスロープのところで、異なる周波数を選択して振幅スペクトルを測定すると、測定の分解能を向上することができる。
【0063】
本発明の他の実施形態によれば、問い合わせ信号を第1の周波数、例えば約27MHzで送信することができ、これに対し測定信号および/または基準信号は、異なる第2の周波数で測定される。このため、測定ユニットは第2の周波数、例えば約13.5MHzで、測定信号を送信するように構成して良い。また、測定ユニットが、実質的に第1の周波数の近辺にエネルギーが集中した、測定信号を送信し、その一方で、受信ユニットは第2の周波数で測定信号を測定するということも可能である。送信信号と帰還信号とに対し異なる周波数を用いることにより、例えば送信ユニットのインダクタンスに由来する干渉を抑えることができる。同様に、高次高調波の影響も抑えることができる。
【0064】
図12は、上記で概説した原理に基づく、測定ユニットの概略ブロック図である。測定ユニット70は、受信機71を備え、受信した信号を、これに接続された受信回路72に引き渡す。この受信回路72は、第1の周波数に調整されており、ここでは例えば約27MHzである。更に、測定ユニット70は分周器73を備える。この分周器73は電源75から電力を供給されており、電源75は受信回路からエネルギーを供給されている。更に、分周器73は多重周波数分割器74と共振回路77とに接続されている。この共振回路77はさらに測定電極76に接続されている。多重周波数分割器74は、第1と第2の基準回路79、80を連続して接続するように機能する。基準回路79、80はそれぞれ既知の基準容量である。結果として、それぞれの場合で、一連の測定信号と2つの基準信号が測定ユニット70から送信される。測定信号と2つの基準信号は全て、共振回路77を介して、これに接続された送信機78に転送され、送信される。これにより、分離された送受信ユニットはこれらの信号を受信して処理できる。共振回路77は13.5MHzに調整されている。従って、本実施形態でのこの測定ユニットでは、信号の周波数は、共振回路に接続されたインピーダンスが変化しても、一定になる。
【0065】
本発明の他の実施形態によれば、問い合わせ信号は、変調された信号から成り、例えば、元の信号を例えば約27MHzとすると、これが振幅変調によって、例えば2.4GHzのキャリア上で変調されたものである。この変調された信号は、測定ユニットにおいて、例えばダイオード回路を用いて、復調することができる。これにより、測定ユニットは、この復調に応じて、測定信号および/または基準信号を送信できる。
【0066】
図13は上記で概説した原理に基づく、測定ユニットの概略ブロック図である。測定ユニット70は受信機71を備え、受信機71は、受信した信号を、これに接続された受信回路81に引き渡す。この受信回路81は、第1の周波数に調整されており、ここでは約2.4GHzである。こうしてフィルターされた信号は、例えばダイオードとして設計された、振幅変調検出器に引き渡され、ベースバンド信号、例えば約27MHzの信号、を抽出する。この信号は、測定電極に接続された測定インピーダンスに依存した信号であり、送信機78を介して送信され、分離された送受信ユニットにより受信される。27MHzの信号の代わりに、当然僅かに変更された信号を使用しても良く、例えば26.9MHzまたは27.1MHzを使用しても良い。僅かに変更された周波数の信号を連続して用いることにより、これによる共振回路に接続されたインピーダンスの特性は変化しないので、同じ方式を用いることができ、一方では、異なる周波数で振幅スペクトルを測定することにより、追加の情報が得られる。
【0067】
尚、電気測定装置はただ1個の共振回路を備える。このため、比較的少ない数の部品しか必要としない。更に、測定ユニットは比較的コンパクトである。また更に、狭帯域測定が行われるので、実際には、その測定は、小さな帯域の範囲内において、高い信頼性で実行される。本発明はここで説明された実施形態の例に限定されない。多くの変形例が可能である。
【0068】
このように、追加の受動基準回路は様々に実装することができる。例えば、追加で基準抵抗を備えたり、または1個の基準抵抗のみを備えることとしてもよい。
【0069】
更に、切り替え素子として動作する、電気的に非線形な部品には、ダイオードだけでなく、サイリスタ、三極管、ガス放電管、多結晶ESD保護素子、または非線形抵抗を用いても良い。
【0070】
更に、図1で示す実施形態において、追加の受動基準回路と測定されるインピーダンスとは、原理的には入れ替えてもよい。
【0071】
また、並列に接続されたコイルと1または複数のコンデンサとに基づいた共振回路の代わりに、別の共振回路を用いてもよく、例えば2つまたはそれ以上のコイルを用いてもよい。
【0072】
更に、測定信号と基準信号とは、同一の受信ユニットまたは別々の複数の受信ユニットで受信されてもよい。
【0073】
本発明の1態様によれば、一方の分離された能動的な送受信ユニットと、他方の測定ユニットとの通信はケーブル接続に置き換えてもよい。このため、分離された能動的な送受信ユニットは測定を行うために、例えば取り外し可能なモジュールで測定ユニットに結合されてもよい。
【0074】
更に、測定装置は、湿った基質での電極により生じる伝送線の影響を補償するため、直列の回路を備えてよい。しかしながら、この代替方法として、コンピュータ計算による方法で後から補償を行ってもよい。
【0075】
更に、1つまたはそれ以上の基準回路を用いて、これらを繋げたり、1つまたはそれ以上の回路の使用を切り離したりすることにより、比較的大きな振幅レンジで、インピーダンスを測定するのに適した測定装置にすることができる。
【0076】
尚、切り替え素子として動作するように、ダイオードを並列に反対向きに接続することで、このダイオードの動作の障害となる、ダイオードに加わるDC電圧が生じない。
【0077】
このような変形例は当業者にとって明らかであり、以下に続く請求項に記載されている本発明の範囲にあると理解される。
【技術分野】
【0001】
本発明は電気インピーダンス測定を行う電気測定装置に関する。この電気測定装置は、測定されるインピーダンスが取り付けられた測定ユニットと、測定信号を生成するためにその測定ユニットに接続された受動共振回路とを備える。この測定信号は、分離された能動送受信ユニットにより受信されるものであり、その能動送受信ユニットにより送信された問い合わせ信号の受信時に電気インピーダンスの測定に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許6870376号は、例えば土壌あるいは植物が根を張る基質の湿度を測定するための電気測定装置を開示している。このインピーダンスは基本的にコンデンサであり、このコンデンサの付近の湿度により変化する。従って、電気的には、湿度は局所的に測定される。
【0003】
更に公知のものとしては、例えば、2002年発行の刊行物Sensorsの219−232頁に掲載されたKheat Ghee Ong氏らによる科学論文「細菌成長モニタリングのための遠隔問い合わせ共振回路センサー:食品品質管理への応用(Remote Query Resonant-Circuit for Monitoring of Bacteria Growth: Application to Food Quality Control)」の論文の冒頭の段落に記載の電気測定装置がある。その電気測定装置においては、コンデンサとして設計されたインピーダンスが、測定ユニットの受動共振回路の一部分となっている。この測定ユニットは、電磁波を送受信する、分離された送受信ユニットの素子から、DC的に切り離されている。送受信ユニットを共振回路に電磁結合することにより、コンデンサについての情報が得られる。これは、コンデンサの容量値自体が例えば局所的な湿度に依存し、このコンデンサの容量値が共振回路の動作に影響を与えるからである。この測定装置は例えば食物における細菌の成長を調べるのに用いられる。
【0004】
測定装置の動作中に、送受信ユニットは電磁的な問い合わせ信号を送信する。この信号に反応して、受動共振回路は測定信号を生成し、この測定信号は分離された送受信ユニットにより解析される。コンデンサの実際の値に依存して、測定信号のピーク周波数は変化する。このようにして、測定ユニットのコンデンサの付近の湿度についての測定が得られる。
【0005】
このような非接触のインピーダンス測定の利点は、とりわけ測定ユニットあたりの生産コストが低いこと、受動素子の使用により比較的長寿命であること、測定を行う際に簡単に利用できることである。これはユーザーが、測定ユニットを試料に取付け、そして試料から取り除くといった、時間がかかる、測定ミスを誘発する機械操作を行う必要がもしあったとしても、それを行う必要がほとんど無いからである。
【0006】
品質の良い非接触のインピーダンス測定を行うため、測定ユニットは基準測定を用いて較正される。この基準測定において、インピーダンスは条件の管理された場所に設置される。このような基準測定は測定ユニットを現場に設置する前に実施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これは、測定ユニットを設置すると、基準測定は実際上もはや不可能であるという問題があるからである。これは共振回路のパラメータが、例えば経年変化により、ドリフトするからである。これによりインピーダンス測定が正しいものから外れる結果となる。また、基準測定を行うことは、ユーザーフレンドリーでなく、骨の折れる作業であると経験的に認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は冒頭の段落にあるように、電気測定装置を提供することであり、利点を維持しつつ、不利な点を取り除くことである。とりわけ、本発明の目的は冒頭の段落にあるような電気測定装置を提供することであり、この装置によりインピーダンス測定の正確さを向上することである。そのため、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、能動送受信ユニットにより受信される基準信号を生成するため、測定ユニットがさらに設けられている。
【0009】
基準測定中に、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、能動送受信ユニットにより受信される基準信号を生成する測定装置を提供することにより、基準測定がどのような場所と時間においてもたやすく実行できるようになる。また、インピーダンス測定が行われる場所においてもたやすく実行できる。基準測定は、このように必要に応じ、また希望により何度でも実行され、この基準測定に基づいてインピーダンスを較正することができ、インピーダンス測定の正確さを向上できる。
【0010】
更に、共振回路のパラメータのドリフトの補正が可能となる。加えて、測定ユニットが条件の管理された場所に設置されて行われる基準測定は不要となる。これにより、使用の容易さがより改善され、測定ユニットを設置するための追加コストが大幅に削減される。また、共振回路の製造の精度が厳しくなくなるので、さらに原価の低下に寄与する。
【0011】
1つの送受信ユニットが複数の測定ユニットと共に用いられる場合は、これによりコスト的に有利となる。これは測定ユニットが比較的に少数の安価な部品で構成されているのに対して、送受信ユニットにおいては、測定信号および基準信号を解析するための、比較的複雑な電子回路が組み込まれるためである。
【0012】
更に、共振回路を用いて測定信号および基準信号両方を送信することにより、うまく部品を節減できる。
【0013】
尚、インピーダンスという用語は、種々の受動的な独立した電気素子を包含し、コンデンサ、インダクタおよび/または抵抗体等、また同様にコンデンサ、インダクタおよび/または抵抗性を示す物質が含まれると解釈される。この関連において、物質の誘電性の挙動または導電性のような語句は通常用いられている意味で使用している。物理的変化の評価尺度として電気インピーダンスを測定する技術はインピーダンス分光法と呼ばれることがある。
【0014】
基準信号は、問い合わせ信号に依存して生成される。この依存性の仕様については、種々の方式により設定される。例えば、問い合わせ信号の周波数および/または振幅が変化することにより、所望の測定信号または基準信号が生成されるようにしても良い。また、問い合わせ信号は測定信号または基準信号を生成するためのコードを伴って生成されて良い。このため、測定信号と基準信号が共に生成されるように問い合わせ信号を設計することとしても良い。
【0015】
測定ユニットから送信される信号は狭帯域であることが望ましい。測定信号と1つまたは複数の基準信号は、これにより限られた帯域に設定され、実際に電気測定装置が利用可能な周波数帯域で使用できるようになる。このため、測定信号と1つまたは複数の基準信号の周波数は、例えば互いに数%程度あるいはそれ以下の違いとなるようにする。
【0016】
本発明の有利な点として、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、複数の基準信号から特定の基準信号を生成するように設定することができる。複数の基準信号を送信可能とすることにより、分離された送受信ユニットにおいて、測定システムについてのより多くの情報が、例えば、測定の改善のため、あるいは測定ユニットの識別情報のような測定ユニットに関する情報の取得のために、利用できるようになる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、測定ユニットと分離された能動的な送受信ユニットは、無線の相互信号転送ができるようになっており、これにより非接触の測定が可能となっている。この結果、分離された能動的な送受信ユニットと測定ユニットとの間の信号転送確立のための配線が不要になるので、電気測定装置の使用の容易さが向上する。しかしながら、代替方法として、ケーブル接続を用いて信号伝送を行うことも可能であり、これにより例えばコストの節減、または信号伝送の信頼性および/または感度を向上することができる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用いた基準信号を生成する基準回路を、更に備えることが可能である。このように振幅特性の変化を制御することで、追加の測定を用いて絶対値の較正を行うことができる。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、測定ユニットが、問い合わせ信号に応じて、共振回路を用い、測定信号の中心周波数と異なる中心周波数を持つ基準信号を生成するように設定されても、共振回路の電気的特性は不変に維持される。このようにして、特性に関する追加の情報が利用できるようになり、同様に絶対値の較正を行うことができる。
【0020】
追加の基準回路を共振回路に接続することにより、この回路は測定信号および基準信号の両方を生成するために用いることができるようになり、測定ユニットの多くの電子部品が節減できる。しかし、代替方法として、追加の基準回路を、分離された共振回路の一部分とし、測定信号と基準信号が別々に生成されるようにしても良い。
【0021】
測定されるインピーダンスまたは追加の基準回路を、切り替え素子を介して共振回路に接続することにより、この切り替え素子の状態に依存して、測定信号または基準信号が生成される。切り替え素子の状態は、所望の信号を得るための問い合わせ信号によって変更することができる。
【0022】
追加の基準回路は、少なくとも部分的に条件が管理された場所に設置されると良く、好ましくは、これに対応する被測定インピーダンスの特性変化と比較して、基準回路の電気特性が実質的に変化しないように条件管理することにより、意味のある基準測定が得られる。
【0023】
追加の基準回路を受動的な回路設計とすることで、測定ユニットは特に安価に製造でき、動作寿命は実質的に無限となる。しかしながら、追加の基準回路は小さな電源で設計できるので、解析する信号の複雑さを簡素化することができる。
【0024】
更に、本発明は方法に関連する。
【0025】
また、本発明はコンピュータプログラムの製品に関連する。
【0026】
更なる本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は更に図面に示される実施例に基づいて明確になる。図面は以下の通り。
【図1】図1は、本発明に基づく電気測定装置の第1の実施形態である。
【図2】図2は、本発明に基づく電気測定装置の第2の実施形態である。
【図3】図3は、本発明に基づく電気測定装置の第3の実施形態である。
【図4】図4は、図3の回路で生ずる信号の時間領域での概略図である。
【図5】図5は、図3の信号の振幅スペクトルである。
【図6】図6は、本発明に基づく電気測定装置の第4の実施形態である。
【図7】図7は、コイルを流れる電流の振幅スペクトルである。
【図8】図8は、本発明に基づく電気測定装置の第5の実施形態である。
【図8A】図8Aは方形波を示す。
【図8B】図8Bは基本波と2つの2次高調波を示す。
【図9】図9は、本発明に基づく電気測定装置の第6の実施形態である。
【図10】図10は、測定装置で生成された信号の第1の振幅スペクトルである。
【図11】図11は、測定装置で生成された信号の第2の振幅スペクトルである。
【図12】図12は、測定ユニットの第1の概略のブロック図である。
【図13】図13は、測定ユニットの第2の概略のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記の図面は本発明の好ましい実施形態の単なる概略図である。これらの図面で、等価または対応する部分は同じ参照番号で示されている。
【0029】
図1は本発明に基づく電気測定装置の第1の実施形態の回路1を示す。
【0030】
回路1は非接触のインピーダンス測定を実行するように構成されている。この回路は2つのコイル2、3を備え、これらはDC的に切り離されており、測定装置の動作中は電磁気的結合Kを生ずる。第1のコイル2は、分離された能動的な送受信ユニットに組み込まれ、第2のコイル3は測定ユニットの受動共振回路4の一部分となっている。この電磁的結合により、機械的には非接触測定を実行することが可能となる。尚、電磁気的結合または無線接続は他の方法で実現されても良い。例えば、電気的および/または磁気的ダイポールを用いて実現できる。
【0031】
図1から明らかなように、共振回路4は受動的であり、これにより測定ユニットはバッテリーを用いない有利な設計となっている。
【0032】
共振回路4のコイル3と並列に、基準コンデンサ5と測定されるインピーダンス6とが接続されている。基準コンデンサ5は、追加の受動的基準回路の、1つの可能な実装形態である。2つのインピーダンス電極6A、6Bの間の、測定されるインピーダンス6はスイッチ9を介して接続可能であり、相互に並列に接続された測定コンデンサ7と測定抵抗8とでモデル化されている。このコンデンサと抵抗は、例えば、通常それぞれ約100pFと1,000Ωである。これらの値は測定される物質、電極の表面および電極間の距離に依存し、同様に共振周波数にも依存する。
【0033】
測定装置の動作は以下の通りである。送受信ユニットのコイル2は電磁気的問い合わせ信号を送信する。例えば1MHzの周波数のラジオ波を送信し、これは共振回路4のコイル3により捕捉される。この共振回路4は、スイッチ9の状態に依存して、測定信号または基準信号が生成されるように調整されている。測定信号または基準信号はそこで、解析のため、送受信ユニットのコイル2により捕捉される。測定信号または基準信号の、スペクトルおよび/または振幅の情報のような、特性を測定することにより、共振回路4の電気特性が測定される。インピーダンス電極6A、6Bは測定される物質中に設置され、インピーダンス電極6A、6Bの間の物質の誘電率の変化が測定される。共振回路4の他の部品は、耐久性が必要なので、パッケージとも呼ばれるケースに収められる。
【0034】
スイッチ9が開いている時、共振回路はコイル3と基準コンデンサ5とによってのみ構成され、これにより基準信号が得られる。スイッチ9が閉じている時、共振回路4の特性はインピーダンス6にも影響され、これを反映した測定信号が生成される。この結果、測定コンデンサ7の作用により、ピーク周波数が離調される可能性があり、測定抵抗8の作用により最大スペクトル振幅が減少および/またはスペクトルのだれが生じる可能性がある。
【0035】
問い合わせ信号に依存した切り替え素子9の動作により、および、例えば、周波数スイープとも呼ばれる、周波数シフトを用いて、問い合わせ信号の周波数を変化させることにより、離調したピーク周波数が検出できる。
【0036】
本発明に基づく電気測定装置は、局所的な物質の特性の非接触測定に容易に使用できる。これは物質の状態が測定されるインピーダンスの電気的な挙動に影響を与えること、またこれによって、共振回路により生成される測定信号に影響を与えるからである。物質の変化は、例えば水分含有量、酸性度および/またはミネラルの濃度に関連している。また、例えばセラミクスの誘電率は外側の水分張力の評価尺度となり得る。更に、基質の上に設けられた粘土層は、温度、ガスの濃度またはpH値などの環境からの影響に敏感である。このように、測定装置は、例えば、花、植物および/そして他の作物が根を張っている、土および/または基質の水分センサーとして実装できる。測定装置は、これより、例えば栽培業者の鉢植えの植物においてまたは農地の区画において、モニターの目的で使用できる。他にオプションとして、測定装置は灌漑システムに適用できる。
【0037】
更に、他の分野での利用も考えられる。例えば、バイオナノテクノロジー分野での、生体的基質における変化を観察することに利用できる。この具体的な例は食品工業でのセンサーがあり、牛乳の品質管理、果汁の熟成および/または肉製品における細菌増殖等のセンサーである。当然、更に多くの応用が考えられ、例えば、砂またはセメント等の多孔質材料の水分測定、医療への応用、水の管理、石油工業での利用が考えられる。
【0038】
このように、実際は、測定ユニットは測定される環境に設置される。分離された送受信ユニットは可動式、あるいはオプションで可搬なモジュールに組み込まれ、ユーザーが持ち歩くことができる。このように、非接触の測定を行う目的で、1つおよびこれと同じ送受信ユニットが非接触で複数の測定ユニットに結合される。結果的に測定ユニットの部品が更に有効に節減できる。
【0039】
好ましくは、測定ユニットのコイル3と基準コンデンサのパラメータは、高品質なものが得られるように選択される。更に、好ましくは、追加の基準回路の部品のパラメータは、測定信号の主周波数と基準信号の主周波数とがお互いにおよそ数%異なるように選択される。これにより、送受信ユニットにおける装置の帯域についての条件は制限されたままとなり、副次的な影響はあからさまには表れてこない。しかしながら、原理的に、上記の2つの主周波数が互いにもっと離れるように、パラメータを選ぶことができる。図1に示す回路に対しては、一方の主周波数の比と他方のコンデンサの比との間には2次関数の関係がある。
【0040】
図1の切り替え素子9は外部場により作動される機械的スイッチとして設計されている。これには、例えば、リードリレーが、外部磁場の作用で切り替えられる。このために、分離された送受信ユニットは、たとえば外部磁場を生成するためのアクチュエータを備えてもよい。
【0041】
好ましくは、送受信ユニットでは自動振幅調整が行われると良く、その結果、送受信ユニットと測定ユニットとの間の距離および物質による電力損失が補正される。
【0042】
図2は本発明に基づく電気測定装置の第2の実施形態の回路を示す。ここでは切り替え素子9は半導体スイッチとして設計され、具体的にはMOSFET9Aがダイオード10とコンデンサ11による整流回路に接続されて実装されている。比較的小さな振幅の問い合わせ信号を受けた時、MOSFET9Aは閉じた状態であり、従って基準信号が生成される。しかし、もし比較的大きな振幅の問い合わせ信号が受信されると、MOSFET9Aは導通状態となり、従って測定信号が生成される。当然他の半導体スイッチでも可能である。更に、この回路は、比較的小さな問い合わせ信号を受けて、測定信号を生成するように設定することもできる。また、比較的大きな振幅の問い合わせ信号を受けて、基準信号を生成するように設定することもできる。
【0043】
更に、例えば図3で示すダイオード9Bのように、切り替え素子9は電気的に非線形な部品で設計されても良い。上記のMOSFET9Aの場合のように、ダイオード9Bは問い合わせ信号が比較的大きな振幅を持つ時、導通状態となる。定常的な問い合わせ信号のスイッチオンとスイッチオフの各々の間に、そのオンとオフの各々に応じて、スイッチオンとスイッチオフの現象が起こる。このスイッチオンとスイッチオフの現象は、測定信号と基準信号とが集積されている回路で起こるものである。
【0044】
適切に共振回路が動作するため、ダイオード9Bは、小さいダイオード電圧、大きな逆電圧と小さなジャンクション容量を持つことが好ましい。
【0045】
図4と図5は、それぞれ、図3に示す回路における共振回路4によって生成された信号の時間領域(time domain)で表した図と周波数スペクトル図(spectral diagram)を示す。電圧Vが、それぞれ時間tと周波数fに対してプロットされている。これらの信号は、1MHzの共振周波数における基準成分12と、約0.85MHz近辺に周波数がシフトした測定信号成分13とを持つ。この測定成分13は、測定抵抗8により生ずる所定のスペクトル幅を持つ。
【0046】
図6は本発明に基づく電気測定装置の第4の実施形態の回路を示す。ここでは、切り替え素子9は2つのダイオード9B、9Cの回路として設計されている。これら2つのダイオードはそれぞれ、測定されるインピーダンス6と追加の受動基準回路とに接続されている。測定ユニットのコイル3に並列に接続されているものは、共振回路4を得るための共振コンデンサ16である。追加の受動基準回路は、基準インピーダンスとも呼ばれ、基準コンデンサ14と基準抵抗15とを備え、双方互いに並列に接続されている。当然ながら、追加の受動基準回路は異なるように設計されて良く、例えばコンデンサ14のみか、または抵抗15のみでも、または他に追加したコイルと組み合わせたものでも良い。
【0047】
この回路の構成により、問い合わせ信号の高調波の正の部分は測定されるインピーダンスに与えられ、これに対し負の部分は基準インピーダンス14、15に与えられる。更に、問い合わせ信号の高次の高調波が発生する。この高次の高調波の振幅と位相は測定されるインピーダンス6と基準インピーダンス14、15に関する情報を含んでいる。測定および基準インピーダンス7、8および14、15が等しい特別な場合、偶数次高調波は消失する。また、基準インピーダンス14、15と測定インピーダンス6が他の状態の場合では、測定インピーダンス6のパラメータは高調波についての情報に基づいて決定される。ここで、種々のスペクトル成分の振幅および位相の両方の情報を利用することができる。
【0048】
図7は、第2のコイル3を流れる電流の振幅スペクトルを示し、これは以下に説明される。正弦波の電流が各々のダイオードに分岐して流れ、それぞれ、ダイオードの非線形性により、偶数次の高調波を発生する。正弦波の正の部分の間は、1つのダイオードが導通状態となり、他のダイオードがこの正弦波の負の部分で導通状態となるので、図8に示されるような2つのダイオードの分岐における偶数次の高調波は、打ち消しあう。これに対し、図8Aと8Bにおいて示されている、方形波60、基本波61と2つの2次高調波62、63のような電流波形は、それぞれ、第2のコイル3とダイオード9B、9Cの端子18、18、51、52での電流波形に対応する。2つのダイオード分岐におけるインピーダンス6、19が互いに等しい場合は、第2のコイル3を通る電流は、従って、第1のコイル2により誘導で生じた元の方形波60の奇数次高調波のみから成っている。インピーダンス6、19が異なる場合、偶数次高調波は2つのダイオード分岐では等しく無くなり、第2のコイル3には差分の電流が流れる。結果として、第2のコイル3を流れる電流は偶数次と奇数次の両方の高調波から成る。このようにして、振幅スペクトルは例えば図7に示されるようなものになる。ここでは高調波の振幅Aがa1、...、a10として示され、規格化した周波数fの関数として示されている。一般的に、偶数次高調波の振幅はインピーダンス6、17の差と元の方形波60の振幅の関数である。この理由により、受信した信号の振幅から2つのインピーダンスの差が求められる。奇数次高調波の振幅は実質的に殆ど全て方形波60の関数である。
【0049】
例えば、送受信ユニットにおいて局所的に高次高調波を発生し、共振回路により生成された信号のスペクトル成分との位相関係を決定するための同期検出を適用することにより、位相情報を得ることができる。同期検出器は非常に大きなダイナミックレンジと低い干渉感度を持つため有利である。
【0050】
ダイオードに対し安定した動作点を実現するため、1次高調波の振幅は、伝送された奇数次高調波の1つの振幅が、2つのコイル2、3の距離にかかわらず、この1次高調波の振幅に対し一定の比率を維持するように制御される。このようにして、偶数次と奇数次の高調波の間の振幅比率は一定となり、その振幅比率は、インピーダンス間の差の絶対測定の尺度となる。
【0051】
2つの分岐での差は、追加で2つのインピーダンスに印加する電圧または流す電流によっても起こり、例えば、異なるベースエミッタ間電圧を持つ複数のダイオードを用いることにより起こる。このように、偶数高調波は、例えば識別コードを含む他の信号により変調される可能性がある。
【0052】
図9は本発明に基づく電気測定装置の第6の実施形態の回路を示す。ここでは図3の回路が拡張され、第2のコイル3に並列に接続されるサブ回路が含まれている。この追加のサブ回路は直列に接続した2つのダイオード9D、9Eと追加のインピーダンス20である。追加のインピーダンス20が実際に更に追加で接続されるので、問い合わせ信号の振幅をさらに大きくするが、これにより追加サブ回路も導通状態にすることが可能で、問い合わせ信号に対応する、さらに他の、測定信号および基準信号と異なる信号が送信できる。結果として、例えば温度測定のような、追加の測定を行うことが可能となる。このように、問い合わせ信号の振幅レベルを設定することで、異なるタイプの応答信号を選択できるので、これにより、測定ユニットの問い合わせの符号化が可能となる。更に一般的には、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、能動的な送受信ユニットにより無線受信される追加の信号を生成するための追加の回路を備える。
【0053】
希望により、追加サブ回路のパターンは更に追加された並列回路も可能で、3つまたはそれ以上のダイオードが直列に接続される。更に、このような追加のサブ回路は本発明の他の実施形態と組み合わせて用いることができる。例えば図2と6に示すものである。
【0054】
送受信ユニットは、好ましくは、電気インピーダンスを測定するための測定信号および基準信号を処理するプロセッサを備える。
【0055】
この処理動作を実行する方法は特定のプロセッサ部品と特定のプログラムを利用して実施される。
【0056】
オプションとして、基準信号の計算は、1つまたはそれ以上の確定した高調波で行っても良く、測定信号の計算は1つまたはそれ以上の高調波に基づいて行って良い。
【0057】
本発明の実施形態に基づいて、信号は分離された送受信ユニットで処理され、電気インピーダンスが測定される。これには色々な実施方法がある。
【0058】
第1の実施形態では、1つまたは複数の基準測定の間、1つまたは複数のスイッチを用いて、1つまたは複数の基準回路をオンまたはオフすることにより、共振回路に接続されたインピーダンスを変えることができる。この結果、当然、共振回路の振幅特性は変化する。この測定毎に変化する特性は固定された周波数で測定される。しかし、原理的には、連続した測定において、他の周波数をランダムに選ぶことは可能である。更に、測定毎に変化する振幅特性のピーク周波数を測定しても良い。この第1の実施形態において、この振幅特性は、説明されたように、周波数の関数としてシフトする可能性がある。
【0059】
本発明の実際の実施形態では、固定された所定の周波数で複数の信号を受信する場合、全共振回路のインピーダンスでの、規格化された振幅が測定される。図10は周波数fの関数として3つの振幅特性c1、c2、c3を持つ、第1の振幅スペクトルAを示す。これは測定ユニットで生成された、測定信号と2つの基準信号に対応する。固定の周波数fcにおいて、これらに対応する、全共振回路のインピーダンスの規格化された振幅A1、A2、A3が決定される。この、周波数に依存する、全共振回路のインピーダンスは、3つのパラメータ、すなわち、抵抗率または導電率と、容量と、インダクタンスとでモデル化される。更に、測定ユニットと、分離された送受信ユニットとの間の転送についてのスカラー転送関数を、共振回路インピーダンスに乗じることにより、規格化が行われる。このスカラー転送関数を種々の信号測定の間不変であると仮定し、また、共振回路インピーダンスを特徴づける、他の3つのパラメータも一定またはスイッチの動作により制御されて変化するとして、一組の方程式が得られ、これから3つのパラメータとスカラー転送関数が解として得られる。これから、測定されるインピーダンスが決定される。インダクタンスが十分分かっていると仮定して、3つの測定が、3つのパラメータ、すなわちスカラー転送関数、導電率、および容量を決定するためには十分である。
【0060】
これに関連して、例えばインダクタンスの較正またはトリミングを行うことで、前以ってインダクタンスをもっと正確に決めておくことにより、測定の精度が全体として改善される。また、導電率および/または容量といった、他のパラメータは、例えば大気中における測定によって、更に良く決定される。また更に、基準測定によってインダクタンスのより良い推定値を得るために、基準容量が追加で回路に含まれると良い。
【0061】
尚、3つの測定の代わりに、異なる数の測定を行って、インピーダンスを決定しても良い。例えば、2つの測定で、これらの外挿から3番目のパラメータの推定値を求めることができる。あるいは、3つ以上の測定、例えば4つの測定で、例えば最小二乗法を用いて、測定の精度を向上することができる。
【0062】
信号処理を行う第2の実施形態において、測定ユニットは、問い合わせ信号に応じて、測定信号の中心周波数と異なる中心周波数を持つ基準信号を、共振回路を用いて発生するように構成される。これにより、異なる周波数で、規格化した共振インピーダンスの振幅特性を測定することで、測定される電気インピーダンスの値が決定される。図11は、第2のスペクトルAで1つの振幅特性c1を、周波数fの関数として示したものであり、測定ユニットで生成された測定信号と2つの基準信号に対応する。異なる周波数fc1、fc2、fc3での振幅A2、A2、A3を決定することにより、上記のモデリングに基づいて電気インピーダンスが求められる。この振幅スペクトルの比較的傾斜の大きいスロープのところで、異なる周波数を選択して振幅スペクトルを測定すると、測定の分解能を向上することができる。
【0063】
本発明の他の実施形態によれば、問い合わせ信号を第1の周波数、例えば約27MHzで送信することができ、これに対し測定信号および/または基準信号は、異なる第2の周波数で測定される。このため、測定ユニットは第2の周波数、例えば約13.5MHzで、測定信号を送信するように構成して良い。また、測定ユニットが、実質的に第1の周波数の近辺にエネルギーが集中した、測定信号を送信し、その一方で、受信ユニットは第2の周波数で測定信号を測定するということも可能である。送信信号と帰還信号とに対し異なる周波数を用いることにより、例えば送信ユニットのインダクタンスに由来する干渉を抑えることができる。同様に、高次高調波の影響も抑えることができる。
【0064】
図12は、上記で概説した原理に基づく、測定ユニットの概略ブロック図である。測定ユニット70は、受信機71を備え、受信した信号を、これに接続された受信回路72に引き渡す。この受信回路72は、第1の周波数に調整されており、ここでは例えば約27MHzである。更に、測定ユニット70は分周器73を備える。この分周器73は電源75から電力を供給されており、電源75は受信回路からエネルギーを供給されている。更に、分周器73は多重周波数分割器74と共振回路77とに接続されている。この共振回路77はさらに測定電極76に接続されている。多重周波数分割器74は、第1と第2の基準回路79、80を連続して接続するように機能する。基準回路79、80はそれぞれ既知の基準容量である。結果として、それぞれの場合で、一連の測定信号と2つの基準信号が測定ユニット70から送信される。測定信号と2つの基準信号は全て、共振回路77を介して、これに接続された送信機78に転送され、送信される。これにより、分離された送受信ユニットはこれらの信号を受信して処理できる。共振回路77は13.5MHzに調整されている。従って、本実施形態でのこの測定ユニットでは、信号の周波数は、共振回路に接続されたインピーダンスが変化しても、一定になる。
【0065】
本発明の他の実施形態によれば、問い合わせ信号は、変調された信号から成り、例えば、元の信号を例えば約27MHzとすると、これが振幅変調によって、例えば2.4GHzのキャリア上で変調されたものである。この変調された信号は、測定ユニットにおいて、例えばダイオード回路を用いて、復調することができる。これにより、測定ユニットは、この復調に応じて、測定信号および/または基準信号を送信できる。
【0066】
図13は上記で概説した原理に基づく、測定ユニットの概略ブロック図である。測定ユニット70は受信機71を備え、受信機71は、受信した信号を、これに接続された受信回路81に引き渡す。この受信回路81は、第1の周波数に調整されており、ここでは約2.4GHzである。こうしてフィルターされた信号は、例えばダイオードとして設計された、振幅変調検出器に引き渡され、ベースバンド信号、例えば約27MHzの信号、を抽出する。この信号は、測定電極に接続された測定インピーダンスに依存した信号であり、送信機78を介して送信され、分離された送受信ユニットにより受信される。27MHzの信号の代わりに、当然僅かに変更された信号を使用しても良く、例えば26.9MHzまたは27.1MHzを使用しても良い。僅かに変更された周波数の信号を連続して用いることにより、これによる共振回路に接続されたインピーダンスの特性は変化しないので、同じ方式を用いることができ、一方では、異なる周波数で振幅スペクトルを測定することにより、追加の情報が得られる。
【0067】
尚、電気測定装置はただ1個の共振回路を備える。このため、比較的少ない数の部品しか必要としない。更に、測定ユニットは比較的コンパクトである。また更に、狭帯域測定が行われるので、実際には、その測定は、小さな帯域の範囲内において、高い信頼性で実行される。本発明はここで説明された実施形態の例に限定されない。多くの変形例が可能である。
【0068】
このように、追加の受動基準回路は様々に実装することができる。例えば、追加で基準抵抗を備えたり、または1個の基準抵抗のみを備えることとしてもよい。
【0069】
更に、切り替え素子として動作する、電気的に非線形な部品には、ダイオードだけでなく、サイリスタ、三極管、ガス放電管、多結晶ESD保護素子、または非線形抵抗を用いても良い。
【0070】
更に、図1で示す実施形態において、追加の受動基準回路と測定されるインピーダンスとは、原理的には入れ替えてもよい。
【0071】
また、並列に接続されたコイルと1または複数のコンデンサとに基づいた共振回路の代わりに、別の共振回路を用いてもよく、例えば2つまたはそれ以上のコイルを用いてもよい。
【0072】
更に、測定信号と基準信号とは、同一の受信ユニットまたは別々の複数の受信ユニットで受信されてもよい。
【0073】
本発明の1態様によれば、一方の分離された能動的な送受信ユニットと、他方の測定ユニットとの通信はケーブル接続に置き換えてもよい。このため、分離された能動的な送受信ユニットは測定を行うために、例えば取り外し可能なモジュールで測定ユニットに結合されてもよい。
【0074】
更に、測定装置は、湿った基質での電極により生じる伝送線の影響を補償するため、直列の回路を備えてよい。しかしながら、この代替方法として、コンピュータ計算による方法で後から補償を行ってもよい。
【0075】
更に、1つまたはそれ以上の基準回路を用いて、これらを繋げたり、1つまたはそれ以上の回路の使用を切り離したりすることにより、比較的大きな振幅レンジで、インピーダンスを測定するのに適した測定装置にすることができる。
【0076】
尚、切り替え素子として動作するように、ダイオードを並列に反対向きに接続することで、このダイオードの動作の障害となる、ダイオードに加わるDC電圧が生じない。
【0077】
このような変形例は当業者にとって明らかであり、以下に続く請求項に記載されている本発明の範囲にあると理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気インピーダンス測定を行う電気測定装置であって、
前記測定されるインピーダンスを備えた測定ユニットと、
分離された能動的な送受信ユニットにより送信された問い合わせ信号を受信すると、前記電気インピーダンスの測定のために前記能動的な送受信ユニットにより受信される測定信号を生成するために前記測定されるインピーダンスに接続される受動共振回路とを備え、
前記測定ユニットは更に、前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、前記能動的送受信ユニットにより受信される基準信号を生成するように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットにより送信される前記信号は狭帯域であることを特徴とする電気測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットは、前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、複数の基準信号から特定の基準信号を生成するように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットと前記分離された能動的な送受信ユニットとは無線相互信号転送を行うように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、基準信号を生成するための基準回路をさらに備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットは、前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、前記測定信号の中心周波数と異なる中心周波数を持つ基準信号を生成するように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記基準回路は前記共振回路に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定されるインピーダンスまたは追加の基準回路が、切り替え回路を介して、前記共振回路に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記切り替え回路は、外部場により動作する機械的スイッチまたは半導体スイッチとして設計されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記切り替え回路は、電気的非線形部品として設計されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は、少なくとも部分的に条件が管理された場所に設置されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は、前記共振回路の一部分である基準コンデンサを備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定されるインピーダンスと前記追加の基準回路は共に、切り替え回路を介して、前記共振回路に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は基準コンデンサと基準抵抗とを備え、前記基準コンデンサと前記基準抵抗とは互いに並列に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の電気測定装置において、
追加の受動基準回路の部品のパラメータは、前記測定信号の主周波数と前記基準信号の主周波数とが互いにおよそ数%異なるように、選定されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記能動的な送受信ユニットをさらに備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記能動的な送受信ユニットは、前記電気インピーダンスの測定のため、前記測定信号と前記基準信号とを処理するプロセッサを備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定信号と前記基準信号とは、1以上の高調波成分を含み、前記高調波成分は前記電気的非線形部品により生成されることを特徴とする電気測定装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットは、前記問い合わせ信号に依存して、前記能動的な送受信ユニットにより無線受信される追加の信号を生成するための追加の回路をさらに備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は受動的な設計のものであることを特徴とする電気測定装置。
【請求項21】
能動的な送受信ユニットを用いて問い合わせ信号を送信するステップと、
前記問い合わせ信号を受信すると、分離した測定ユニットの受動共振回路を用いて測定信号を生成するステップであって、該共振回路が測定されるインピーダンスに接続されているステップと、
前記電気インピーダンスを測定するために、前記能動的な送受信ユニットを用いて前記測定信号を受信するステップと、
前記測定ユニットで基準測定を行うステップであって、前記基準測定は、前記問い合わせ信号に依存して、前記能動的な送信/受信ユニットにより受信される基準信号を、追加の回路と前記共振回路とを介して生成することにより実行されるステップとを含むことを特徴とする電気インピーダンス測定を行う方法。
【請求項22】
電気インピーダンス測定を行うための測定装置の一部分を成す測定ユニットにおいて実行される基準測定を行わせる処理ユニットによって読み込まれるコンピュータプログラム製品であって、該プログラム製品において、
該測定ユニットは測定される電気インピーダンスとこれに接続される受動共振回路とを備え、
前記基準測定が実行され、該基準測定において、
分離された能動的な送受信ユニットにより受信され、前記能動的な送受信ユニットにより送信される問い合わせ信号の受信があると、前記共振回路によって生成される測定信号と、
前記能動的な送受信ユニットにより受信され、前記分離された送受信ユニットにより送信される問い合わせ信号に依存して、追加の回路と前記共振回路とを用い、生成される基準信号とが、前記電気インピーダンスを測定するために処理されることを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項1】
電気インピーダンス測定を行う電気測定装置であって、
前記測定されるインピーダンスを備えた測定ユニットと、
分離された能動的な送受信ユニットにより送信された問い合わせ信号を受信すると、前記電気インピーダンスの測定のために前記能動的な送受信ユニットにより受信される測定信号を生成するために前記測定されるインピーダンスに接続される受動共振回路とを備え、
前記測定ユニットは更に、前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、前記能動的送受信ユニットにより受信される基準信号を生成するように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットにより送信される前記信号は狭帯域であることを特徴とする電気測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットは、前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、複数の基準信号から特定の基準信号を生成するように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットと前記分離された能動的な送受信ユニットとは無線相互信号転送を行うように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、基準信号を生成するための基準回路をさらに備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットは、前記問い合わせ信号に依存して、前記共振回路を用い、前記測定信号の中心周波数と異なる中心周波数を持つ基準信号を生成するように構成されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記基準回路は前記共振回路に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定されるインピーダンスまたは追加の基準回路が、切り替え回路を介して、前記共振回路に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記切り替え回路は、外部場により動作する機械的スイッチまたは半導体スイッチとして設計されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記切り替え回路は、電気的非線形部品として設計されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は、少なくとも部分的に条件が管理された場所に設置されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は、前記共振回路の一部分である基準コンデンサを備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定されるインピーダンスと前記追加の基準回路は共に、切り替え回路を介して、前記共振回路に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は基準コンデンサと基準抵抗とを備え、前記基準コンデンサと前記基準抵抗とは互いに並列に接続されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の電気測定装置において、
追加の受動基準回路の部品のパラメータは、前記測定信号の主周波数と前記基準信号の主周波数とが互いにおよそ数%異なるように、選定されていることを特徴とする電気測定装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記能動的な送受信ユニットをさらに備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記能動的な送受信ユニットは、前記電気インピーダンスの測定のため、前記測定信号と前記基準信号とを処理するプロセッサを備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定信号と前記基準信号とは、1以上の高調波成分を含み、前記高調波成分は前記電気的非線形部品により生成されることを特徴とする電気測定装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記測定ユニットは、前記問い合わせ信号に依存して、前記能動的な送受信ユニットにより無線受信される追加の信号を生成するための追加の回路をさらに備えることを特徴とする電気測定装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載の電気測定装置において、
前記追加の基準回路は受動的な設計のものであることを特徴とする電気測定装置。
【請求項21】
能動的な送受信ユニットを用いて問い合わせ信号を送信するステップと、
前記問い合わせ信号を受信すると、分離した測定ユニットの受動共振回路を用いて測定信号を生成するステップであって、該共振回路が測定されるインピーダンスに接続されているステップと、
前記電気インピーダンスを測定するために、前記能動的な送受信ユニットを用いて前記測定信号を受信するステップと、
前記測定ユニットで基準測定を行うステップであって、前記基準測定は、前記問い合わせ信号に依存して、前記能動的な送信/受信ユニットにより受信される基準信号を、追加の回路と前記共振回路とを介して生成することにより実行されるステップとを含むことを特徴とする電気インピーダンス測定を行う方法。
【請求項22】
電気インピーダンス測定を行うための測定装置の一部分を成す測定ユニットにおいて実行される基準測定を行わせる処理ユニットによって読み込まれるコンピュータプログラム製品であって、該プログラム製品において、
該測定ユニットは測定される電気インピーダンスとこれに接続される受動共振回路とを備え、
前記基準測定が実行され、該基準測定において、
分離された能動的な送受信ユニットにより受信され、前記能動的な送受信ユニットにより送信される問い合わせ信号の受信があると、前記共振回路によって生成される測定信号と、
前記能動的な送受信ユニットにより受信され、前記分離された送受信ユニットにより送信される問い合わせ信号に依存して、追加の回路と前記共振回路とを用い、生成される基準信号とが、前記電気インピーダンスを測定するために処理されることを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−515048(P2010−515048A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543975(P2009−543975)
【出願日】平成20年1月2日(2008.1.2)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050002
【国際公開番号】WO2008/082302
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(501082624)テクニシェ ユニヴェルシテイト デルフト (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月2日(2008.1.2)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050002
【国際公開番号】WO2008/082302
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(501082624)テクニシェ ユニヴェルシテイト デルフト (3)
【Fターム(参考)】
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