説明

電気自動車のインジケータ

【課題】外部端末を利用してタイマー充電やプレ空調の設定が可能に構成された電気自動車の外部端末との通信状況を省スペースで且つ明確に把握することが可能である電気自動車のインジケータを提供する。
【解決手段】携帯端末3との通信によってタイマー充電やプレ空調の設定を行うことが可能である電気自動車に、携帯端末3との通信の可否を表示するLED122a、バッテリ115の予約充電の状態を表示するLED122b、プレ空調の状態を表示するLED122cからなる状態表示部を設け、これらLED122a,122b,122cの点灯状態を変化させることによってそれぞれの状態を把握することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車のインジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
車載バッテリを出力源として電気モータを駆動し動力を得る電気自動車にあっては、車載バッテリは、電気モータのほか、各種ランプ類、空調機器等の様々な電装品の電力源となる。そのため、例えば走行中の空調機器の使用は車載バッテリの消費電力を増加させ、該電気自動車の走行可能距離を短縮させるという問題があった。
【0003】
このような問題に対し、従来、電気自動車の走行可能距離を確保するために、外部電源による車載バッテリの充電時に外部電源によって車室内の空調を行う、具体的には、外部電源による車載バッテリの充電時であって乗車予定時刻の一定時間前に電動エアコンを駆動させ、乗車前に車室内の空調(以下、プレ空調という)を行うように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、深夜電力料金が適用される時間帯を利用して車載バッテリの充電を行うために、外部端末を介して充電する時間帯を指定すること(以下、タイマー充電)も行われている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−147420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、文献1に開示のものは乗車時刻を表示する手段は備えるものの、上述したような電気自動車におけるプレ空調やタイマー充電の設定を、電気自動車に対して非接触に通信可能な外部端末を利用して行う場合、電気自動車が外部端末と通信可能な状態であるか否か、また、プレ空調やタイマー充電の設定、実行の状況がどのような状態にあるか等を表示する手段を備えないため、これらの状態を把握することが困難であるという問題があった。
【0007】
また、上述したような通信、プレ空調、タイマー充電の状態を表示する表示手段を車載バッテリの充電率等を表示するインジケータ等と同様にメータ内に構成することも考えられるが、メータ内の表示が煩雑になるとともに、そのような表示手段を設けるためのスペースを確保することが困難な場合があるという問題もあった。
【0008】
このようなことから本発明は、外部端末を利用してタイマー充電やプレ空調の設定が可能に構成された電気自動車の外部端末との通信状況を省スペースで且つ明確に把握することが可能である電気自動車のインジケータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する第1の発明に係る電気自動車のインジケータは、車載バッテリを充電する時間帯、又は外部電源による前記車載バッテリの充電時であって乗車予定時刻の一定時間前に空調機器を駆動させるプレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻のうち少なくとも1つが設定可能である情報処理手段を備え、電気自動車との間で非接触に情報の送受信を行うことが可能に構成された外部端末と、前記外部端末から入力された設定条件に基づいて前記車載バッテリの充電、又は前記プレ空調の制御信号を出力する通信制御手段と、前記通信制御手段から出力される前記制御信号に基づいて前記車載バッテリの充電、又は前記プレ空調の制御を行う電子制御手段とを備え、外部電源を通じて車載バッテリの充電を行う電気自動車のインジケータであって、点灯状態を変化させることによって少なくとも前記電気自動車と前記外部端末との通信の可否と、前記通信制御手段から出力される前記制御信号に基づく前記外部端末との通信の状態とをそれぞれ表示する表示手段を備え、前記車載バッテリの充電率を表示する計器とは異なる位置であって、前記電気自動車の外から確認可能な位置に設置されることを特徴とする。
【0010】
第2の発明に係る電気自動車のインジケータは、第1の発明において、前記表示手段は複数の表示部からなり、前記表示部の一つとして前記電気自動車と前記外部端末との通信の可否を表示する第一の表示部を設け、前記外部端末との通信が不可である場合は前記第一の表示部を消灯させ、前記外部端末との通信が可能である場合は前記第一の表示部を点灯させることを特徴とする。
【0011】
第3の発明に係る電気自動車のインジケータは、第1又は第2の発明において、前記表示手段は複数の表示部の一つとして前記車載バッテリを充電する時間帯の予約充電の状態を表示する第二の表示部を設け、前記車載バッテリの予約充電の設定入力待ちの場合は前記第二の表示部を消灯させ、前記車載バッテリの予約充電が設定され且つ実行待ちである場合は前記第二の表示部を点滅させ、前記車載バッテリの充電を実行している場合は前記第二の表示部を点灯させることを特徴とする。
【0012】
第4の発明に係る電気自動車のインジケータは、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記表示手段は複数の表示部の一つとして前記プレ空調の予約の状態を表示する第三の表示部を設け、前記プレ空調の設定入力待ちの場合は前記第三の表示部を消灯させ、前記プレ空調の予約設定がなされ且つ実行待ちである場合は前記第三の表示部を点滅させ、前記プレ空調の実行中である場合は前記第三の表示部を点灯させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述した第1の発明に係る電気自動車のインジケータによれば、外部端末との通信状況をそれぞれの項目、例えば、通信可否の状況、充電の予約状況、プレ空調の予約状況ごとに割り当てた表示手段の状態で表示するようにしたことにより、僅かなスペースで且つ明確に上記通信状況を利用者に認識させることができる。
【0014】
また、第2の発明に係る電気自動車のインジケータによれば、複数の表示部の一つとして外部端末との通信の可否を表示する第一の表示部を設け、外部端末との通信が不可である場合は第一の表示部を消灯させ、外部端末との通信が可能である場合は第一の表示部を点灯させるようにしたため、外部端末との通信の可否を第一の表示部の点灯状態のみで明確に把握することができる。
【0015】
また、第3の発明に係る電気自動車のインジケータによれば、複数の表示部の一つとして車載バッテリを充電する時間帯の予約充電の状態を表示する第二の表示部を設け、車載バッテリの予約充電の設定入力待ちの場合は第二の表示部を消灯させ、車載バッテリの予約充電が設定され且つ実行待ちである場合は第二の表示部を点滅させ、車載バッテリの充電を実行している場合は第二の表示部を点灯させるようにしたため、車載バッテリの予約充電の状況を第二の表示部の点灯状態のみで明確に把握することができる。
【0016】
また、第4の発明に係る電気自動車のインジケータによれば、複数の表示部の一つとしてプレ空調の予約の状態を表示する第三の表示部を設け、プレ空調の設定入力待ちの場合は第三の表示部を消灯させ、プレ空調の予約設定がなされ且つ実行待ちである場合は第三の表示部を点滅させ、プレ空調の実行中である場合は第三の表示部を点灯させるようにしたため、プレ空調の予約の状況を第三の表示部の点灯状態のみで明確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る電気自動車の空調制御装置を以下に示す実施例において詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1及び図2に基づいて本発明の一実施例について説明する。図1は本実施例に係る電気自動車のシステム構成を示すブロック図、図2は本実施例に係る状態表示部の配置例を示す説明図である。
【0019】
図1に示すように、本実施例において電気自動車1は、交流電圧100V又は200Vの家庭用の電源などの外部電源2からケーブルを介して電力を供給されるとともに、外部端末(以下、携帯端末という)3と例えば非接触型ICカード、赤外線通信等を用いて非接触に通信が行えるように構成されている。
【0020】
電気自動車1には、電気自動車1全体の電子的な制御を行う電子制御手段としての電子制御部(Electric Vehicle‐Electronic Control Unit;EV−ECU)111が設けられている。電子制御部111には、電力供給手段としての充電器(Charger;CHG)112、充電状態監視手段としてのバッテリマネジメントユニット(Battery Management Unit;BMU)113、及びコンプレッサ・ヒータ制御部(Compressor & heater;COMP&HTR−ECU)114がそれぞれコントローラ・エリア・ネットワーク(Controller Area Network;CAN)により接続され、各々との間で相互に情報をやり取りすることができるようになっている。更に、バッテリマネジメントユニット113は車載バッテリである高電圧バッテリ115とCANにより接続されている。
【0021】
充電器112は、外部電源2を通じてバッテリ115又は後述する空調手段としての空調機器119へ電力を供給する部分であり、電子制御部111から出力される信号に基づいて電力の供給先を制御することができるように構成されている。
【0022】
また、バッテリマネジメントユニット113は、バッテリ115の状態、例えば、バッテリ115の充電率等の監視を行い、電気自動車1に搭載された図示しない電気モータや後述する空調機器119等の電装品に対してバッテリ115が供給する電力量の調整等を行う部分である。
【0023】
また、コンプレッサ・ヒータ制御部114は、電子制御部111から出力される信号に基づいてコンプレッサおよびヒータのON/OFFの制御を行う部分であり、電動ポンプ116及び電動温水ヒータ117に対してシリアル通信により制御信号を送信することができるようになっている。
【0024】
更に、コンプレッサ・ヒータ制御部114は空調制御手段としての空調機器制御部118との間でシリアル通信により相互に信号を送受信できるように構成されている。空調機器制御部118は空調機器119の制御を行う部分であり、例えば、コンプレッサ・ヒータ制御部114から出力される信号に基づいて空調機器119に対してシリアル通信により制御信号を送信する等により該空調機器119を制御する。
【0025】
更に、電子制御部111は、通信制御手段としての通信制御部(Mobile phone Operation System;MOS−ECU)120との間でシリアル通信によって相互に信号の送受信が行えるようになっている。通信制御部120は携帯端末3との通信の制御を行う部分であり、時計機能120aを備えている。時計機能120aは少なくとも経過時間のカウント、及び、例えば、一日を24時間と認識し24時以降はそれ以前とは異なる日付と認識する等の簡単な日時の管理を行うことができるものである。
【0026】
本実施例においては、例えば電気自動車1の運転席側に設けられた計器の近傍等、乗員が携帯端末3と通信を行ないやすい位置に携帯端末3との間で通信を行うための送受信部が設けられ、該送受信部に配された通信機121を介して通信制御部120が携帯端末3と通信を行うように構成されている。
【0027】
更に、通信制御部120には、状態表示部122が連結されている。状態表示部122は、図2に示すように、例えば電気自動車1の運転席130側にあって、充電率等を表示するインジケータ131が設置された位置とは異なる場所であり且つ受信部132近傍且つハンドルより窓側であって、運転席130側の窓の外から目視しやすい位置に設置され、携帯端末3との通信の可否を表示する第一のLED122a、充電状態を表示する第二のLED122b、プレ空調状態を表示する第三のLED122cの三つのLEDを表示部として備えている。
【0028】
これら三つのLED122a,122b,122cは相互に異なる配色(例えば、第一のLED122aは橙色、第二のLED122bは赤色、第三のLED122cは緑色)を有し、各々通信制御部120から入力される信号に基づいて点灯状態を制御されるものとする。
【0029】
また、携帯端末3は、プレ空調を行う際に必要な情報を設定し、電気自動車1側へ提供するものであって、時計機能311、情報処理手段としてのアプリケーション312、及び通信機313を備えている。時計機能311は精密な時刻の管理が可能であり、アプリケーション312に対して時刻を提供することができるように構成されている。アプリケーション312は、例えば、プレ空調を実行するために必要となる空調モード(冷房/暖房)やプレ空調終了時刻(乗車予定時刻)等の設定を行う部分である。
【0030】
アプリケーション312において設定された情報(以下、プレ空調設定情報という)は、通信機313、通信機121を介して携帯端末3から電気自動車1へ入力され、また、通信制御部120から送信された情報は、通信機121、通信機313を介して携帯端末3に入力される。なお、本実施例において、通信機313及び通信機121の間の通信は非接触で行うものとする。
【0031】
上述した本実施例の電気自動車1においては、アプリケーション312を用いて設定され、通信制御部120に入力された情報に基づく電子制御部111からの指示により、充電器112、又はバッテリ115の充電時間帯を制御したり、乗車前等に外部電源2を通じて車室内の空調を行うプレ空調の制御を行ったりすることができる。そして、それらの処理の状態を状態表示部122の第一、第二、第三のLED122a、122b、122cによって表示している。
【0032】
具体的には、第一のLED122aにおいて、電気自動車1と携帯端末3との通信が可能な状態であるか、また、携帯端末3から設定が入力された状態か等を表示する。即ち、イグニッションがONであるなど、携帯端末3との通信が不可である場合はLED122aを消灯させ、携帯端末3と電気自動車1との通信に何らかの障害が発生した場合はLED122aを点滅させ、携帯端末3との通信が可能な状態である場合はLED122aを点灯させるのである。これにより、利用者に携帯端末3との通信の可否を認識させることができる。
【0033】
また、第二のLED122bにおいて、タイマー充電の予約状況を表示する。即ち、バッテリ115の充電が予約設定されていない場合はLED122bを消灯させ、バッテリ115の充電が予約設定され且つ実行待ちの状態である場合はLED122bを点滅させ、バッテリ115の予約充電の実行中である場合はLED122bを消灯させるのである。これにより、利用者に充電の予約状況を認識させることができる。
【0034】
また、空調状態表示LED122cにおいて、プレ空調に関する予約状況を表示する。即ち、プレ空調の予約設定がなされていない場合はLED122cを消灯させ、プレ空調の予約設定がなされ且つ実行待ちの状態である場合はLED122bを点滅させ、プレ空調の実行中である場合はLED122cを消灯させるのである。これにより、乗員にプレ空調の予約状況を認識させることができる。
【0035】
上述した本実施例に係る電気自動車のインジケータによれば、状態表示LED122を設置し、携帯端末3との通信状況をそれぞれの項目(本実施例では、通信可否の状況、充電の予約状況、プレ空調の予約状況)ごとに割り当てたLEDの点灯状態で表示するようにしたことにより、僅かなスペースで且つ明確に上記通信状況を利用者に認識させることができる。
【0036】
なお、上述した実施例では、表示手段としてLED122a,122b,122cを用いる構成としたため、携帯端末3との通信状況を省電力に利用者に対して認識させることができるが、表示手段としては、LEDに限らず、他の発光装置を用いるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、電気自動車のインジケータに適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例に係る電気自動車のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係る状態表示部の配置例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
1 電気自動車
2 外部電源
3 携帯端末
111 電子制御部
112 充電器
113 バッテリマネジメントユニット
114 コンプレッサ・ヒータ制御部
115 バッテリ
116 空調機器制御部
117 電動ポンプ
118 電動温水ヒータ
119 空調機器
120 通信制御部
121 通信機
122 状態表示部
122a,122b,122c LED
311 時計機能
312 アプリケーション
313 通信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載バッテリを充電する時間帯、又は外部電源による前記車載バッテリの充電時であって乗車予定時刻の一定時間前に空調機器を駆動させるプレ空調の空調モード、又はプレ空調終了時刻のうち少なくとも1つが設定可能である情報処理手段を備え、電気自動車との間で非接触に情報の送受信を行うことが可能に構成された外部端末と、
前記外部端末から入力された設定条件に基づいて前記車載バッテリの充電、又は前記プレ空調の制御信号を出力する通信制御手段と、
前記通信制御手段から出力される前記制御信号に基づいて前記車載バッテリの充電、又は前記プレ空調の制御を行う電子制御手段とを備え、
外部電源を通じて車載バッテリの充電を行う電気自動車のインジケータであって、
点灯状態を変化させることによって少なくとも前記電気自動車と前記外部端末との通信の可否と、前記通信制御手段から出力される前記制御信号に基づく前記外部端末との通信の状態とをそれぞれ表示する表示手段を備え、前記車載バッテリの充電率を表示する計器とは異なる位置であって、前記電気自動車の外から確認可能な位置に設置されることを特徴とする電気自動車のインジケータ。
【請求項2】
前記表示手段は複数の表示部からなり、前記表示部の一つとして前記電気自動車と前記外部端末との通信の可否を表示する第一の表示部を設け、
前記外部端末との通信が不可である場合は前記第一の表示部を消灯させ、
前記外部端末との通信が可能である場合は前記第一の表示部を点灯させる
ことを特徴とする請求項1記載の電気自動車のインジケータ。
【請求項3】
前記表示手段は複数の表示部の一つとして前記車載バッテリを充電する時間帯の予約充電の状態を表示する第二の表示部を設け、
前記車載バッテリの予約充電の設定入力待ちの場合は前記第二の表示部を消灯させ、
前記車載バッテリの予約充電が設定され且つ実行待ちである場合は前記第二の表示部を点滅させ、
前記車載バッテリの充電を実行している場合は前記第二の表示部を点灯させる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気自動車のインジケータ。
【請求項4】
前記表示手段は複数の表示部の一つとして前記プレ空調の予約の状態を表示する第三の表示部を設け、
前記プレ空調の設定入力待ちの場合は前記第三の表示部を消灯させ、
前記プレ空調の予約設定がなされ且つ実行待ちである場合は前記第三の表示部を点滅させ、
前記プレ空調の実行中である場合は前記第三の表示部を点灯させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電気自動車のインジケータ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−89473(P2009−89473A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253109(P2007−253109)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】