説明

電気自動車のモータのカバー構造

【課題】高電圧ケーブル等の着脱作業が簡単で、高電圧ケーブル等を確実に取付け、冷却が必要な部位に低温の冷却流体を導入でき、電極端子取付部を外界から遮断し、専門作業者以外の高圧電流のモータ電極に接触するのを低減する。
【解決手段】車両後方にパワーユニット4が搭載され、車両幅方向にモータ2及び減速機3の共通の軸が配置され、モータ2の上部には、端子配置面14が設けられ、配置面14は、前面14a、上面14b及び後面14cの傾斜面で、モータ2の外殻円周部2aに接する台形形状に形成され、端子取付部15は前面14aと上面14bに設置され、高電圧ケーブル16は、端子取付部15の右側面15aから差し込まれて端子部カバー17内で締め付けられ、端子部カバー17は、4点の締付ボルト18で締め付け固定され、かつ複数点の取付ボルト21で締め付けられる上側モータカバー22により被われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の車両後方に搭載されるパワーユニットのモータのカバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に配慮して、ガソリンエンジンの自動車とともに、モータ(電動機)の駆動力により走行する電気自動車(EV)などが提供されている。そのため、電気自動車の車両後方には、モータ及び減速機によって構成されるパワーユニットが搭載されている。
【0003】
このようなパワーユニットのうち、モータには、モータ電極端子取付部や冷却水ホースのホース取付部などが設けられており、比較的容量が大きく、かつ重量の大きいものがある。そのため、電気自動車では、リヤフロアなどの車体下部に剛性を高めた特別な構造を設けることにより、パワーユニットを搭載することが行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。
一方、従来のモータをメンテナンスする場合は、電気自動車の補機バッテリメンテナンス用のカバーを外してモータを露出させ、その端子部カバーを、工具を用いて取り外すことにより、インバータからの高電圧ケーブルが接続されている高電圧端子の部位にアクセスして、作業することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4508260号公報
【特許文献2】特開2008−222032号公報
【特許文献3】特開2008−195259号公報
【特許文献4】特開2003−72392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の電気自動車におけるパワーユニットを搭載する構造では、リヤフロアなどの車体下部にモータを設置しているので、モータ電極端子取付部及びホース取付部に対する高電圧ケーブル及び冷却水ホースの着脱作業が煩雑となり、高電圧ケーブル及び冷却水ホースを確実に取付けることができないという問題があった。
また、冷却水ホースの取付けが高電圧ケーブルの周辺にある場合、冷却水ホースの着脱作業や脱落の場合に高電圧ケーブルの周辺に冷却水がかかるおそれがあった。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、モータ電極端子取付部及びホース取付部に対する高電圧ケーブル及び供給ホースの着脱作業が簡単に行え、高電圧ケーブル及び供給ホースを確実に取付けることができるとともに、冷却が必要な部位に低温の冷却流体を供給ホースより導入でき、モータ電極端子取付部を外界から確実に遮断し、モータ電極端子取付部を外界の飛び石等から保護するとともに、専門作業者以外が高圧電流のモータ電極に接触するのを低減することが可能な電気自動車のモータのカバー構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、車両後方にはモータ及び減速機によって構成されるパワーユニットが搭載され、車両幅方向には前記モータ及び前記減速機の共通の軸が配置されている電気自動車のモータのカバー構造において、
前記モータの上部には、モータ電極端子の配置面が設けられ、前記配置面は、前面が車両後方へ向かって延びる上り傾斜面であり、上面が車両後方へ向かって延びる下り傾斜面であり、後面が車両後方へ向かって下りながら前記モータの外殻円周部に接する傾斜面である台形形状に形成され、もしくは、前記配置面の前面と後面とにより三角形形状に形成され、前記モータ電極端子の取付部は、前記配置面の前面と上面に設置されており、前記モータに電力を供給する高電圧ケーブルは、前記モータ電極端子取付部の台形形状もしくは三角形形状の片側側面に差し込まれて、前記モータの高電圧端子部を被いかつ複数点の締付ボルトで締め付け固定される端子部カバー内で締め付けられるとともに、前記端子部カバーは、複数点の取付ボルトで締め付けられるモータカバーによって被われるように構成されている。
【0008】
また、本発明において、前記モータを冷却する冷却流体の供給ホースは、前記モータ電極端子取付部の台形形状もしくは三角形形状の前記高電圧ケーブルと反対側の側面に差し込まれて固定されるように構成されている。
さらに、本発明において、前記モータカバーは、車両側方視で台形形状もしくは三角形形状に形成されているとともに、前記端子部カバーと平行に配置されており、前記モータカバーの前面は、前記モータの外殻円周部に接する傾斜面となるように配置されている。
【0009】
そして、本発明において、前記モータカバーを締め付ける前記複数点の取付ボルトのうち、少なくとも車両前後の1個づつの取付ボルトの位置は、前記モータの外殻円周部の側部に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
上述の如く、本発明に係る電気自動車のモータのカバー構造は、車両後方にはモータ及び減速機によって構成されるパワーユニットが搭載され、車両幅方向には前記モータ及び前記減速機の共通の軸が配置されており、前記モータの上部には、モータ電極端子の配置面が設けられ、前記配置面は、前面が車両後方へ向かって延びる上り傾斜面であり、上面が車両後方へ向かって延びる下り傾斜面であり、後面が車両後方へ向かって下りながら前記モータの外殻円周部に接する傾斜面である台形形状に形成され、もしくは、前記配置面の前面と後面とにより三角形形状に形成され、前記モータ電極端子の取付部は、前記配置面の前面と上面に設置されており、前記モータに電力を供給する高電圧ケーブルは、前記モータ電極端子取付部の台形形状もしくは三角形形状の片側側面に差し込まれて、前記モータの高電圧端子部を被いかつ複数点の締付ボルトで締め付け固定される端子部カバー内で締め付けられるとともに、前記端子部カバーは、複数点の取付ボルトで締め付けられるモータカバーによって被われるように構成されているので、次のような効果を得ることができる。
【0011】
すなわち、本発明のカバー構造によれば、モータ電極端子のボルトや端子部カバーの締付ボルトを同じ方向の斜め上方から締め付けることが可能となるので、締付作業中にボルトが落下するおそれがなく、締め付ける際のボルト保持も簡単となり、端子部カバーを上方から簡単かつ確実に取付けることができ、車両上方からのカバー組付作業性を向上させるとともに、パワーユニットのメンテナンス性の向上を図ることができる。
また、本発明のカバー構造によれば、高電圧ケーブルをモータ電極端子取付部の台形形状などの側面に差し込み、高電圧端子部を被う端子部カバー内で締め付け、かつ当該端子部カバーを複数の締付ボルトにより締め付けているので、モータの高電圧部を外界に露出させることなく、簡単な組付作業で保護することができる。しかも、端子部カバーの外側周囲をモータカバーにより被っているので、外界からの遮断が確実になり、モータ電極端子取付部などを外界の飛び石、縁石等から保護することができる。
【0012】
さらに、本発明において、前記モータを冷却する冷却流体の供給ホースは、前記モータ電極端子取付部の台形形状もしくは三角形形状の前記高電圧ケーブルと反対側の側面に差し込まれて固定されるように構成されているので、高電圧ケーブルと反対側のモータ電極端子取付部の側面に冷却流体の供給ホースを横方向(車両幅方向)から差し込んで配置することが可能となり、リヤフロアとのクリアランスが狭くなるということはなく、供給ホースをリヤフロアから所定の間隔を空けて保持することができる。
【0013】
一方、本発明において、前記モータカバーは、車両側方視で台形形状もしくは三角形形状に形成されているとともに、前記端子部カバーと平行に配置されており、前記モータカバーの前面は、前記モータの外殻円周部に接する傾斜面となるように配置されているので、モータ電極周りの風の流れが整流されることになり、モータ電極付近の空気流れによって冷却効果を高め、モータ電極端子周りの温度上昇を抑えることができる。
また、本発明のモータカバーは、高電圧端子部を中心とした山形形状に形成されているので、全体的にカバーの剛性が向上することになり、カバーが曲がらずに組立工場において安定した荷姿で搬送できるとともに、カバーの取り外し時及び取付け時に山形部分をガイドにしてモータとの位置調整を簡単に行うことができる。しかも、車体やモータの振動に起因して、モータとモータカバーとが接触することにより異音が発生する事態を防止できる。
【0014】
さらに、本発明において、前記モータカバーを締め付ける前記複数点の取付ボルトのうち、少なくとも車両前後の1個づつの取付ボルトの位置は、前記モータの外殻円周部の側部に設けられているので、当該モータカバーを確実に取付けることが可能となり、当該モータカバーの上方へのズレや「めくれ」を低減させることができる。しかも、リヤフロアに設けられているモータ上部の作業用開口部からモータカバーを容易に外すことはできず、専門作業者以外の者が高圧電流のモータ電極に接触するのを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る電気自動車のモータのカバー構造が適用された車体後部において、パワーユニットを搭載した状態を車両の下方から見た下面図である。
【図2】図1において、パワーユニットを搭載した状態を車両の左斜め上方から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るパワーユニットを構成するモータを示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係るパワーユニットを構成するモータとモータカバーを示す斜視図である。
【図5】図4におけるモータとモータカバーを概念的に示す斜視図である。
【図6】図1において、パワーユニットを搭載した状態を車両前方の右斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図6は本発明の実施形態に係る電気自動車のモータのカバー構造を示すものである。
【0017】
本発明の実施形態に係るモータのカバー構造が適用される自動車は、商用車等のRR車(リヤドライブ車)からなる電動車両であって、電力が供給されるモータ(電動機)の駆動力により走行する電気自動車1である。この電気自動車1の車両後方には、図1〜図6に示すように、モータ2及び減速機3によって構成されるパワーユニット4が搭載されており、モータ2及び減速機3の共通の軸(図示せず)は、車両幅方向に沿って配置されている。
パワーユニット4は、減速機3をモータ2の車両幅方向の左側部に連結して構成され、その長手方向が車両幅方向に向かって配置されている。そして、パワーユニット4の車両前方には、図6に示すように、モータ2に電力を供給するバッテリーパック5が配置されている。なお、図1〜図6における矢印F方向は車両前方を示し、符号Lは車両左側を示し、符号Rは車両右側を示している。
【0018】
本実施形態の電気自動車1の車体下部には、車両前方のフロントフロア6と、該フロントフロア6に連結される車両後方のリヤフロア7とが車両前後方向及び車両幅方向に延在した状態で設けられており、該リヤフロア7の下方には、パワーユニット4を支持するサブフレーム8が配設されている。
このリヤフロア7は、図1〜図3に示すように、前部7aよりも後部7bが一段高くなるように形成されて配置されており、これら前部7aと後部7bとの間には、車両後方へ向かって上方に傾斜しながら徐々に延びる斜面部7cが設けられている。そして、パワーユニット4の前部は、リヤフロア7の前部7aもしくは斜面部7cの下方に懸架され、パワーユニット4の後部は、リヤフロア7の高くなった後部7bの下方に懸架されている。しかも、リヤフロア7の斜面部7cの車両前後方向の長さは、平面形状部分の前部7a及び後部7bよりも短く、前後に屈曲部を有していることから、当該斜面部7cは、他の部分よりも剛性が高くなっており、モータ2からの放射音、電極部の突起形状部からの放射音のリヤフロア7の透過を低減させる効果を具備している。
また、リヤフロア7の後部7bであって、モータ2の上方の箇所には、後述するモータ電極端子取付部への作業用の開口部(図示せず)が設けられており、該開口部の大きさ及び形状は、高電圧ケーブル等の接続及び取り外しの作業性や、リヤフロア7の剛性に影響が生じない範囲に形成されている。
【0019】
本実施形態のサブフレーム8は、図1及び図2に示すように、車両前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム部9,10と、これらサイドフレーム部9,10の間を連絡すべく、車両幅方向に延びる前後一対のクロスフレーム部11,12とを備えており、これらフレーム部によってパワーユニット4を囲むような閉回路形状に構成されている。サイドフレーム部9,10の車両後方側の部分は、上方に立ち上がって形成され、リヤクロスフレーム部12は、フロントクロスフレーム部11よりも高い位置に配置されている。
したがって、パワーユニット4は、前後左右の中間位置に配設したマウント部材13によって、サブフレーム8に懸架された状態で支持されている。このマウント部材13は、ゴムマウント構造であり、パワーユニット4をリヤフロア7の下面に前後左右の4点で弾性的に支持するように構成されている。
【0020】
一方、本実施形態に係るモータ2の上部には、図3及び図5に示すように、モータ電極端子の端子配置面14が設けられている。この端子配置面14は、車両前方側に位置する前面14aが車両後方へ向かって延びる上り傾斜面であり、上面14bが車両後方へ向かって延びる下り傾斜面であり、後面14cが車両後方へ向かって下りながらモータ2の外殻円周部2aに接する傾斜面であり、これら3つの傾斜面によって、車両側方視で台形形状に形成されている。モータ2のモータ電極端子取付部15は、端子配置面14の前面14aと上面14bに設置されている。
【0021】
また、モータ2に電力を供給する高電圧ケーブル16は、図2に示すように、モータ電極端子取付部15の台形形状(もしくは三角形形状)の片側の車両右側面15aに車両側方から差し込まれ、図3及び図5に示すような端子部カバー17(17a,17b)内で締め付けられて固定されるようになっている。この端子部カバー17は、前側カバー17aと上側カバー17bとから構成されており、モータ2の高電圧端子部を被って保護する機能を有している。これら前側カバー17a及び上側カバー17bは、四角形状に形成されており、4隅に配置した複数の点(本実施形態では4点)の締付ボルト18で締め付けられることにより、モータ電極端子取付部15にそれぞれしっかりと固定されている。
【0022】
さらに、図2に示すように、モータ2を冷却する冷却流体(例えば、冷却水)の供給ホース(冷却水ホース)19は、モータ電極端子取付部15の台形形状(もしくは三角形形状)の車両左側面15b側に車両側方から差し込まれて固定されるようになっている。すなわち、供給ホース19は、高電圧ケーブル16を差し込む車両右側面15aと反対側の側面に固定され、リヤフロア7とのクリアランスを狭くすることなく、冷却を必要とする高電圧のモータ電極端子取付部15やモータ稼動部の近くに低温の冷却流体を直接的に導入できるようになっている。このため、モータ電極端子取付部15の車両左側面15b側には、供給ホース19の一端部を接続する接続部20が車両幅方向へ延在している。
【0023】
また、本実施形態の端子部カバー17の外側周囲は、図2、図4及び図5に示すように、複数点の取付ボルト21で締め付けられる上側モータカバー22によって被われている。このため、上側モータカバー22は、前面22a、上面22b及び後面22cによって車両側方視で台形形状(もしくは三角形形状)に形成され、端子部カバー17と平行に配置されて、モータ2の外殻円周部2aに取付けられている。そして、上側モータカバー22の車両前方側に位置する前面22aは、モータ2の外殻円周部2aに接する傾斜面となるように形成されている。複数点の取付ボルト21のうち、少なくとも車両前後の1個づつの取付ボルト21の位置は、モータ2の外殻円周部2aにおいて、車両前後方向に位置する側部に設けられている。
なお、モータ2の外殻円周部2aの下面側は、図1及び図6に示すように、取付ボルト21を用いて締め付け固定される下側モータカバー23によって被われている。
【0024】
このように、本発明の実施形態に係る電気自動車1のモータ2のカバー構造においては、モータ2の上部にモータ電極端子の端子配置面14が設けられ、端子配置面14の前面14aと上面14bの両方に設置するモータ電極端子取付部15の台形形状の車両右側面15aに高電圧ケーブル16が車両側方から差し込まれて、モータ電極端子取付部15を被い、4点の締付ボルト18で締め付け固定される端子部カバー17の前側カバー17a及び上側カバー17b内で締め付けられるようになっているため、モータ電極端子のボルトや端子部カバー17の締付ボルト18を同じ方向の斜め上方から締め付けることができ、ボルトを落下させることなくしっかり保持しながら、端子部カバー17等を上方から簡単かつ確実に取付けることができる。したがって、本実施形態のカバー構造によれば、車両上方からの端子部カバー17の組付作業性の向上を図り、パワーユニット4のメンテナンス性を高めることができる。
また、本発明のカバー構造では、端子部カバー17によってモータ2の高電圧部を外界に露出させることなく、簡単な組付作業で保護することができる。しかも、端子部カバー17の外側周囲が上側モータカバー22により被われているため、モータの高電圧部を外界から確実に遮断することができ、モータ電極端子取付部15などを外界の飛び石、縁石等から保護できる。
【0025】
さらに、本実施形態のカバー構造においては、高電圧ケーブル16と反対側のモータ電極端子取付部15の車両左側面15bに供給ホース19を車両幅方向の横方向から差し込んで配置しているため、リヤフロア7とのクリアランスが狭くなるということはなく、供給ホース19をリヤフロア7から所定の間隔を空けて保持できる。しかも、モータ2の他の部分を回ることで温まった比較的高い温度の冷却流体ではなく、冷却が必要なモータ電極端子取付部15などの近くに低温の冷却流体を供給ホース19より迅速にかつ直接的に導入でき、冷却効果を向上させることができる。
【0026】
また、本実施形態のカバー構造においては、上側モータカバー22が、端子部カバー17と同じ形状の相似形であって、端子部カバー17と平行に配置され、高電圧端子部を中心とした山形形状に形成されているため、全体的に上側モータカバー22の剛性を向上させ、組立工場での荷姿を安定させた状態で搬送できるとともに、上側モータカバー22の取り外し時及び取付け時に山形部分をガイドにしてモータ2との位置を簡単に調整できる。しかも、車体やモータ2の振動によって、モータ2と上側モータカバー22とが接触することはなくなり、異音の発生を防止することができる。
さらに、本実施形態のカバー構造では、上側モータカバー22を締め付ける複数の取付ボルト21のうち、車両前後に位置する取付ボルト21が、モータ2の外殻円周部2aの側部に設けられているため、上側モータカバー22を確実に取付けることができ、上側モータカバー22が上方へズレたり、あるいは、めくれたりするのを低減させることができる。しかも、リヤフロア7に設けられているモータ2の上部の作業用開口部から上側モータカバー22を容易に外すことはできず、専門作業者以外の者が高圧電流のモータ電極に接触するのを避けることができ、優れた保安性を有している。
【0027】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、既述の実施形態では、端子配置面14が、車両側方視で台形形状に形成されているが、端子配置面14の前面14aと後面14cとにより車両側方視で三角形形状に形成されても良い。この場合、上側モータカバー22は、端子配置面14の形状に対応して、車両側方視で三角形形状に形成されている。
【符号の説明】
【0028】
1 電気自動車
2 モータ
2a 外殻円周部
3 減速機
4 パワーユニット
6 フロントフロア
7 リヤフロア
8 サブフレーム
13 マウント部材
14 端子配置面
14a 前面
14b 上面
14c 後面
15 モータ電極端子取付部
15a 車両右側面
15b 車両左側面
16 高電圧ケーブル
17 端子部カバー
18 締付ボルト
19 供給ホース
20 接続部
21 取付ボルト
22 上側モータカバー
22a 前面
22b 上面
22c 後面
23 下側モータカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方にはモータ及び減速機によって構成されるパワーユニットが搭載され、車両幅方向には前記モータ及び前記減速機の共通の軸が配置されている電気自動車のモータのカバー構造において、
前記モータの上部には、モータ電極端子の配置面が設けられ、前記配置面は、前面が車両後方へ向かって延びる上り傾斜面であり、上面が車両後方へ向かって延びる下り傾斜面であり、後面が車両後方へ向かって下りながら前記モータの外殻円周部に接する傾斜面である台形形状に形成され、もしくは、前記配置面の前面と後面とにより三角形形状に形成され、前記モータ電極端子の取付部は、前記配置面の前面と上面に設置されており、
前記モータに電力を供給する高電圧ケーブルは、前記モータ電極端子取付部の台形形状もしくは三角形形状の片側側面に差し込まれて、前記モータの高電圧端子部を被いかつ複数点の締付ボルトで締め付け固定される端子部カバー内で締め付けられるとともに、前記端子部カバーは、複数点の取付ボルトで締め付けられるモータカバーによって被われるように構成されていることを特徴とする電気自動車のモータのカバー構造。
【請求項2】
前記モータを冷却する冷却流体の供給ホースは、前記モータ電極端子取付部の台形形状もしくは三角形形状の前記高電圧ケーブルと反対側の側面に差し込まれて固定されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電気自動車のモータのカバー構造。
【請求項3】
前記モータカバーは、車両側方視で台形形状もしくは三角形形状に形成されているとともに、前記端子部カバーと平行に配置されており、前記モータカバーの前面は、前記モータの外殻円周部に接する傾斜面となるように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気自動車のモータのカバー構造。
【請求項4】
前記モータカバーを締め付ける前記複数点の取付ボルトのうち、少なくとも車両前後の1個づつの取付ボルトの位置は、前記モータの外殻円周部の側部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気自動車のモータのカバー構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−175853(P2012−175853A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36897(P2011−36897)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】