説明

電気自動車の駆動制御装置

【課題】運転者の判断による操作を行うことなく、降雨による濡れ等の路面状況に応じた安定した走行が行える電気自動車の駆動制御装置を提供する。
【解決手段】アクセル開度に応じたモータ指令トルクTrを出力するトルク指令手段23と、インバータ装置22とを有する電気自動車の駆動制御装置に適用する。車両の走行中の路面の状況を検出する路面状況センサまたは降雨を検出するレインセンサ32を設ける。前記トルク指令手段23に、アクセル開度とモータ指令トルクTrとの関係を示すアクセル特性曲線a〜dを複数設定したアクセル特性曲線設定部28を設ける。また、路面状況センサ等の検出信号に応じて、アクセル特性曲線a〜dを切り換えるアクセル特性切換部29を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バッテリ駆動、燃料電池駆動等の電気自動車の駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車の駆動制御装置において、運転者の意思により、最大出力及び最大トルクの上限を可変にするものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−46810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
路面状況が、降雨により濡れていたり、凍っている場合は、アクセル入力に対して俊敏にトルクが変わると空転する恐れがあり、運転し難い。また、電池残量が少ない状況では、電力消費を極力抑えて充電可能な場所へ移動する必要がある。
特許文献1では、運転者の意思により、最大出力及び最大トルクの上限を可変にし、省エネ運転を可能にすることが提案されているが、最大出力や最大トルクの制限では、濡れや凍結等の路面状況による適切な制御は難しい。また、特許文献1の技術では、運転者の判断や意思による切換操作が必要となる。
【0005】
この発明の目的は、運転者の判断による操作を行うことなく、降雨による濡れ等の路面状況に応じた安定した走行が行える電気自動車の駆動制御装置を提供することである。
この発明の他の目的は、電池残量が少ない状況では、電力消費を極力抑えて充電可能な場所へ移動可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の電気自動車の駆動制御装置は、アクセル操作手段10の操作量に応じたモータ指令トルクTrを出力するトルク指令手段23と、このトルク指令手段23の出力するモータ指令トルクTrに応じたトルクとなるように、車輪2の駆動用のモータ4の駆動電流を制御する指令トルク対応モータ制御手段22とを備えた電気自動車の駆動制御装置において、
車両の走行中の路面の状況を検出する路面状況センサ31または降雨を検出するレインセンサ32を設け、
前記トルク指令手段23に、前記アクセル操作手段10の操作量とモータ指令トルクTrとの関係を示すアクセル特性曲線a〜dを複数設定したアクセル特性曲線設定部28と、前記路面状況センサ31またはレインセンサ32の検出信号に応じて、モータ指令トルクTrの出力に用いるアクセル特性曲線を前記複数のアクセル特性曲線a〜dの内で切り換えるアクセル特性切換部29を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によると、複数のアクセル特性曲線a〜dが設定され、路面状況センサ31またはレインセンサ32の検出信号に応じて、使用するアクセル特性曲線a〜cが切り換えられる。このため、アクセル特性曲線b,cを、路面の濡れによるスリップ等を配慮した曲線とすることで、アクセルペダル等のアクセル操作手段10の操作量を、通常時と同様に操作しても、車両の加速や速度が抑えられる。したがって、濡れた路面等において、アクセル入力に対して俊敏にトルクが大きくなって車輪2の空転等が生じることが抑えられる。このように、運転者の判断による操作を行うことなく、降雨による濡れ等の路面状況に応じた安定した走行が行える。
【0008】
この発明において、前記路面状況センサ31は、路面の通常の状況である乾燥状況と濡れ状況との区別を検出可能であり、前記アクセル特性曲線設定部28は、前記アクセル特性曲線として、通常状況用の曲線aと濡れ状況用の曲線bとを有し、前記アクセル特性切換部29は、前記路面状況センサ31による前記濡れ状況の検出、または前記レインセンサ32による降雨の検出により前記濡れ状況用のアクセル特性曲線bに切り換えるようにしても良い。
この構成の場合、運転者の判断を待つことなく、路面の濡れ状況に応じた走行が行える。アクセル特性切換部29によるアクセル特性曲線に切り換えは、路面状況センサ31とレインセンサ32の両方の検出信号により判断を行うようにしても良い。
【0009】
また、前記路面状況センサ31を設ける場合に、この路面状況センサ31は、路面の通常の状況である乾燥状況と、濡れ状況と、凍結状況との区別を検出可能とし、前記アクセル特性曲線設定部28は、前記アクセル特性曲線として、通常状況用の曲線aと、濡れ状況用の曲線bと、凍結状況用の曲線cとを有し、前記アクセル特性切換部29は、前記路面状況センサ31による前記濡れ状況の検出により前記濡れ状況用のアクセル特性曲線bに切り換え、前記路面状況センサ31による前記凍結状況の検出により前記凍結状況用のアクセル特性曲線cに切り換えるようにしても良い。
【0010】
この発明において、モータ駆動用のバッテリ19の電圧を監視して閾値よりも低い場合にバッテリ残量少と判定するバッテリ残量検出手段33を設け、アクセル特性曲線設定部28に、バッテリ残量少用のアクセル特性曲線dを設け、前記アクセル特性切換部29は、前記バッテリ残量検出手段33がバッテリ残量少と判定した場合に、前記バッテリ残量少用のアクセル特性曲線dに切り換えるものとしても良い。
高速走行を行うと、空力抵抗が大きくなるため、同じバッテリ残量に対して航続距離が伸びない。この構成の場合、バッテリ残量がある程度まで少なくなると、バッテリ残量少用のアクセル特性曲線dによる制御を行うことで、高速走行が回避される。そのため、バッテリ残量が少ない場合に、僅かでも航続距離を延ばし、充電可能な場所に走行によって辿り着くことができる。
【0011】
この場合に、前記バッテリ残量少用のアクセル特性曲線dは、前記路面状況または降雨に対応して設定されたアクセル特性曲線b,cよりも、アクセル操作手段10の操作量に対するモータ指令トルクTrの大きさが小さく、前記アクセル特性切換部29は、前記バッテリ残量検出手段33がバッテリ残量少と判定した場合に、前記路面状況センサ31の検出信号にかかわらず、またレインセンサ32を有する場合はレインセンサ32の検出信号にも係わらず、前記バッテリ残量少用のアクセル特性曲線dに切り換えるようにしても良い。
これにより、路面状況の如何に係わらず、走行途中でのバッテリ切れを可能な限り回避することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の電気自動車の駆動制御装置は、アクセル操作手段の操作量に応じたモータ指令トルクを出力するトルク指令手段と、このトルク指令手段の出力するモータ指令トルクに応じたトルクとなるように、車輪の駆動用のモータの駆動電流を制御する指令トルク対応モータ制御手段とを備えた電気自動車の駆動制御装置において、車両の走行中の路面の状況を検出する路面状況センサまたは降雨を検出するレインセンサを設け、前記トルク指令手段に、前記アクセル操作手段の操作量とモータ指令トルクとの関係を示すアクセル特性曲線を複数設定したアクセル特性曲線設定部と、前記路面状況センサまたはレインセンサの検出信号に応じて、モータ指令トルクの出力に用いるアクセル特性曲線を前記複数のアクセル特性曲線の内で切り換えるアクセル特性切換部を有するため、運転者の判断による操作を行うことなく、降雨による濡れ等の路面状況に応じた安定した走行が行える電気自動車の駆動制御装置を提供することができる。
また、モータ駆動用のバッテリの電圧を監視して閾値よりも低い場合にバッテリ残量少と判定するバッテリ残量検出手段を設け、アクセル特性曲線設定部に、バッテリ残量少用のアクセル特性曲線を設け、前記アクセル特性切換部は、前記バッテリ残量検出手段がバッテリ残量少と判定した場合に、前記バッテリ残量少用のアクセル特性曲線に切り換えるようにした場合は、電池残量が少ない状況で、電力消費を極力抑え、充電可能な場所へ移動可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係る駆動制御装置を搭載した電気自動車を平面図で示す概念構成のブロック図である。
【図2】同駆動制御装置におけるアクセル特性曲線の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の一実施形態を図1および図2と共に説明する。この電気自動車は、車体1の左右の前輪となる車輪2が駆動輪でかつ操舵輪とされ、左右の後輪となる車輪3が従動輪の操舵輪とされた4輪の自動車である。駆動輪および従動輪となる車輪2,3は、いずれもタイヤを有し、それぞれ車輪用軸受を介して車体1に支持されている。駆動輪となる左右の前側の車輪2,2は、1台の走行用のモータ4により、減速機5および車軸6を介して駆動される。左右の車輪2,2の車軸6,6は、ディファレンシャル(図示せず)を介して、カーブ走行時に回転速度に差を付けることが可能とされている。モータ4は、IPMモータ(埋込磁石型同期モータ)等の同期モータや誘導モータが用いられ、バッテリ19の直流電流でインバータ装置22を介して駆動されるが、直流モータであっても良い。各車輪2,3にはブレーキ7が設けられている。
【0015】
左右の前輪となる操舵輪である車輪2,2は、転舵機構8を介して転舵可能であり、操舵機構9により操舵される。操舵機構9は、ステアリングホイールの回転を、機械的または電気的に連動させて転舵機構8に伝える機構である。運転席には、運転のための操作手段として、この他に、アクセルペダル等のアクセル操作手段10と、シフトギヤ操作手段11と、ブレーキペダル等のブレーキ操作手段(図示せず)とが設けられている。
【0016】
制御系を説明すると、自動車全般の統括制御を行う電気制御ユニットであるECU21と、このECU21の指令に従って走行用のモータ4の制御を行う前記インバータ装置22とが、車体1に搭載されている。ECU21は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等で構成される。モータ4の制御を行う駆動制御装置は、前記ECU21とインバータ装置22で構成される。ECU21には、アクセル操作手段10の操作量に応じたモータ指令トルクTrをインバータ装置22へ出力するトルク指令手段23が設けられている。
【0017】
インバータ装置22は、請求項で言う「指令トルク対応モータ制御手段」であり、パワー回路部24と、このパワー回路部24を制御するモータコントール部25とで構成される。パワー回路部24は、バッテリ19の直流電力をモータ4の駆動に用いる3相の交流電力に変換するインバータ26と、このインバータ26を制御するPWMドライバ27とで構成される。インバータ26は、複数の半導体スイッチング素子(図示せず)で構成され、PWMドライバ27は、入力された電流指令をパルス幅変調し、前記各半導体スイッチング素子にオンオフ指令を与える。モータコントール部25は、コンピュータとこれに実行されるプログラム、および電子回路により構成され、上位制御手段であるECU21から与えられるモータ指令Trを電流指令に変換し、パワー回路部24のPWMドライバ27に与える。
【0018】
この実施形態は、上記基本構成の駆動制御装置において、走行中の路面の状況を検出する路面状況センサ31およびバッテリ残量検出手段33を車体1に設けると共に、ECU21のトルク指令手段23に、アクセル特性曲線設定部28およびアクセル特性切換部29を設けている。路面状況センサ31に加え、または路面状況センサ31を設ける代わりに、降雨を検出するレインセンサ32を設けても良い。
【0019】
路面状況センサ31は、この例では、路面の通常の状況である乾燥状況と、濡れ状況と、凍結状況との区別を検出可能なものを用いている。このような乾燥状況,濡れ状況,凍結状況の区別を車両走行中に検出可能な路面状況センサとしては、画像処理による可視画像式、レーザレーダ式、光ファイバ式等のものが開発され、または市販のものもあり、それらを使用することができる。レインセンサ32は各種のものが市販されており、それらを使用することができる。バッテリ残量検出手段33は、バッテリ19の電圧を監視し、検出電圧が閾値よりも低い場合にバッテリ残量少と判定する手段である。閾値は、バッテリ19や、どの程度でバッテリ残量少とするかの設計に応じて、適宜設定すれば良い。
【0020】
アクセル特性曲線設定部28には、アクセル操作手段10の操作量(以下、「アクセル開度」と称す)と、出力するモータ指令トルクTrとの関係を示すアクセル特性曲線a〜d(図2)を複数設定した手段である。この実施形態では、通常状況用の曲線aと、濡れ状況用の曲線bと、凍結状況用の曲線cと、バッテリ残量少用の曲線dとの4つのアクセル特性曲線a〜dを設定している。これらの曲線a〜dの関係は、アクセル開度に対するモータ指令トルクTrの大きさが、図2のように、通常状況用の曲線aが最も大きく、濡れ状況用の曲線b、凍結状況用の曲線c、バッテリ残量少用の曲線dの順に小さくなっている。また、これらのアクセル特性曲線a〜dは、いずれも、アクセル開度に対してモータ指令トルクTrが比例的に大きくなるが、モータ指令トルクTrの上限に達した後は、アクセル開度の操作量に係わらず、各曲線毎に定められた一定値となる。
【0021】
図1のアクセル特性切換部29は、路面状況センサ31およびバッテリ残量検出手段33の検出信号に応じて、トルク指令手段23からインバータ装置22へ与えるモータ指令トルクTrの出力に用いるアクセル特性曲線を、前記複数のアクセル特性曲線a〜dの内で切り換える手段である。アクセル特性切換部29は、常時は、通常状況用の曲線aを用いるが、路面状況センサ31による濡れ状況の検出により濡れ状況用のアクセル特性曲線bに切り換え、凍結状況の検出により凍結状況用のアクセル特性曲線cに切り換える。また、バッテリ残量検出手段33によりバッテリ残量少と判定された場合は、路面状況センサ31の検出信号に係わらず、バッテリ残量少用の曲線dに切り換える。また、アクセル特性切換部29は、凍結状況用のアクセル特性曲線cやバッテリ残量少用の曲線d等に切り換えた後に、車両の走行等により凍結路面から乾燥路面等へ移動したり、バッテリ19の充電がなされるなどで、路面状況センサ31やバッテリ残量検出手段33の検出結果が変わったときは、そのときに路面状況センサ31やバッテリ残量検出手段33の検出結果に対応したアクセル特性曲線a〜dに切り換える。
【0022】
なお、アクセル特性切換部29は、通常状況用のアクセル特性曲線aと濡れ状況用のアクセル特性曲線bとに切り換えについては、レインセンサ32の検出信号を用いて切り換えるようにしても良い。また、アクセル特性切換部29に対して、常に通常状況用の曲線aを用いるように、切換機能を解除する操作手段(図示せず)を設けても良い。
【0023】
この構成の電気自動車の駆動制御装置によると、複数のアクセル特性曲線a〜dが設定し、路面状況センサ31またはレインセンサ32の検出信号に応じて、使用するアクセル特性曲線a〜cが切り換えられる。このため、アクセル特性曲線b,cを、路面の濡れや凍結によるスリップ等を配慮した曲線とすることで、アクセルペダル等のアクセル操作手段10の操作量を、通常時と同様に操作しても、車両の加速や速度が抑えられる。したがって、濡れた路面や凍結した路面等において、アクセル入力に対して俊敏にトルクが大きくなって車輪2の空転等が生じることが抑えられる。このように、運転者の判断による操作を行うことなく、降雨による濡れ等の路面状況に応じた走行が行える。
【0024】
また、バッテリ19の蓄電量がある程度以上に低下したときは、バッテリ残量検出手段33によりバッテリ残量少と判定され、バッテリ残量少用の曲線dに切り換えられる。高速走行を行うと、空力抵抗が大きくなるため、同じバッテリ残量に対して航続距離が伸びない。この構成の場合、バッテリ残量が少ない場合、バッテリ残量少用のアクセル特性曲線dによる制御を行うことで、高速走行が回避される。そのため、バッテリ残量が少ない場合に、僅かでも航続距離を延ばし、充電可能な場所に走行によって辿り着くことができる。
【0025】
なお、上記実施形態では、路面状況センサ31、レインセンサ32、およびバッテリ残量検出手段33を設け、4つのアクセル特性曲線a〜dを設定したが、バッテリ残量検出手段33は必ずしも設けなくても良く、また路面状況センサ31とレインセンサ32とは、いずれか一方を選択的に設けても良い。アクセル特性曲線については、例えば、通常状況用の曲線aと濡れ状況用の曲線bとの2種類としても良い。
また、アクセル特性曲線a〜dの切換と共に、コンソールに設けられた表示装置の画面(図示せず)等に、アクセル特性を変更した走行状況であることを知らせる表示を行う手段を設けても良い。
アクセル特性曲線設定部28およびアクセル特性切換部29は、上記実施形態では、ECU21に設けたが、インバータ装置22のモータコントロール部に25に設けても良い。その場合、トルク指令手段23は、例えば、ECU21に設けられる部分とインバータ装置22に設けられる部分とでなり、ECU21に設けられる部分は、アクセル操作手段10の操作量に応じたモータ指令トルクをインバータ装置22へ出力し、インバータ装置22に設けられた部分で、路面状況センサ31等の検出信号に応じたアクセル特性曲線a〜dを選ぶ処理を行う。
上記実施形態では、1台のモータ4で駆動される電気自動車に適用したが、インホイールモータを用いた電気自動車等、複数のモータを持つ電気自動車にもこの発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…車体
2,3…車輪
4…モータ
21…ECU
22…インバータ装置(指令トルク対応モータ制御手段)
23…トルク指令手段
28…アクセル特性曲線設定部
29…アクセル特性切換部
31…路面状況センサ
32…レインセンサ
33…バッテリ残量検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル操作手段の操作量に応じたモータ指令トルクを出力するトルク指令手段と、このトルク指令手段の出力するモータ指令トルクに応じたトルクとなるように、車輪の駆動用のモータの駆動電流を制御する指令トルク対応モータ制御手段とを備えた電気自動車の駆動制御装置において、
車両の走行中の路面の状況を検出する路面状況センサまたは降雨を検出するレインセンサを設け、
前記トルク指令手段に、前記アクセル操作手段の操作量とモータ指令トルクとの関係を示すアクセル特性曲線を複数設定したアクセル特性曲線設定部と、前記路面状況センサまたはレインセンサの検出信号に応じて、モータ指令トルクの出力に用いるアクセル特性曲線を前記複数のアクセル特性曲線の内で切り換えるアクセル特性切換部を有することを特徴とする電気自動車の駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1において、前記路面状況センサは、路面の通常の状況である乾燥状況と濡れ状況との区別を検出可能であり、前記アクセル特性曲線設定部は、前記アクセル特性曲線として、通常状況用の曲線と濡れ状況用の曲線とを有し、前記アクセル特性切換部は、前記路面状況センサによる前記濡れ状況の検出、または前記レインセンサによる降雨の検出により前記濡れ状況用のアクセル特性曲線に切り換える電気自動車の駆動制御装置。
【請求項3】
請求項2において、前記路面状況センサを設け、この路面状況センサは、路面の通常の状況である乾燥状況と、濡れ状況と、凍結状況との区別を検出可能であり、前記アクセル特性曲線設定部は、前記アクセル特性曲線として、通常状況用の曲線と、濡れ状況用の曲線と、凍結状況用の曲線とを有し、前記アクセル特性切換部は、前記路面状況センサによる前記濡れ状況の検出により前記濡れ状況用のアクセル特性曲線に切り換え、前記路面状況センサによる前記凍結状況の検出により前記凍結状況用のアクセル特性曲線に切り換える電気自動車の駆動制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、モータ駆動用のバッテリの電圧を監視して閾値よりも低い場合にバッテリ残量少と判定するバッテリ残量検出手段を有し、アクセル特性曲線設定部に、バッテリ残量少用のアクセル特性曲線を設け、前記アクセル特性切換部は、前記バッテリ残量検出手段がバッテリ残量少と判定した場合に、前記バッテリ残量少用のアクセル特性曲線に切り換える電気自動車の駆動制御装置。
【請求項5】
請求項4において、前記バッテリ残量少用のアクセル特性曲線は、前記路面状況または降雨に対応して設定されたアクセル特性曲線よりも、アクセル操作手段の操作量に対するモータ指令トルクの大きさが小さく、前記アクセル特性切換部は、前記バッテリ残量検出手段がバッテリ残量少と判定した場合に、前記路面状況センサの検出信号にかかわらず、またレインセンサを有する場合はレインセンサの検出信号にも係わらず、前記バッテリ残量少用のアクセル特性曲線に切り換える電気自動車の駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−175775(P2012−175775A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34356(P2011−34356)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】