説明

電気設備機器の管理方法及び管理装置

【課題】 従来の電気設備機器の分野では、検査結果等の情報を帳票に記載する等、情報を紙媒体によって管理していた。
【解決手段】 本発明の電気設備機器の管理方法は、電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグをその電気設備機器に設け、製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署において、夫々の部署における電気設備機器の管理情報や個々の電気設備機器の図面情報を前記ICタグやICタグとは別の記憶媒体に記憶させ、前記各部署毎に記憶媒体内の各種情報を後の部署の記憶媒体に引き渡すようにしたり、各部署共有の記憶媒体を設けたりして、その記憶媒体に各部署の各種情報を付加して蓄積していくようにした。前記管理情報や図面情報は、ICタグ、記憶媒体から読み出し可能である。また、記憶媒体やICタグに、電気設備機器やその部品の管理時期を入力することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋内又は屋外に設置して用いられる制御盤、分電盤、高圧盤、高圧分岐盤といった各種電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署における管理を一貫して行う電気設備機器の管理方法と一貫管理を行なうことができる管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御盤、分電盤、高圧盤、高圧分岐盤といった各種電気設備機器(以下「電気設備機器」と記す。)は、メーカーで製造され、施工業者によって屋内又は屋外に設置され、ユーザ或いは管理業者によって使用(運用)されている。この種の電気設備機器分野では、製造部門(部署)、機器設置部門(部署)、機器運用部門(部署)の各部署において、電気設備機器の検査結果(データ)や保守管理に必要な他のデータを帳票に記録して保管したり、図面を紙で保管したりし、各部署がそれらデータや図面を使用して個別に電気設備機器のメンテナンス(保守・管理)を行っていた。この場合、電気設備機器に貼られている銘板を確認して電気設備機器を特定し、特定された電気設備機器のデータを引き出して電気設備機器ごとに保守・管理を行なっていた。
【0003】
物流分野においてはICタグを用いて物流や在庫を管理する方法があり、機械部品分野においてはICタグを用いた製造から廃棄までを管理する方法も考えられている(特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−334890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気設備機器の従来の管理方法は、製造に関するデータは製造部署に、設置に関するデータは設置部署に、運用に関するデータは運用部署に、といったように、夫々の部署には各部署に関連したデータしか保管されておらず、他の部署のデータが無いため、次のような課題があった。
(1)夫々の部署では担当したデータしか把握できないため、電気設備機器が設置されたシステム全体の一元管理(一貫管理)ができない。
(2)銘板に書き込まれている情報を目視で読み取る従来方法では読み間違いがあり、電気設備機器の特定を誤ることもあった。
(3)異常が発生しても異常発生原因がシステム中のどの箇所にあるのかを迅速に確認できないとか、確認するためには一々他の部署に問い合わせて管理情報や図面を借りたりしなければならず、補修や回復に時間が掛っていた。
(4)管理情報が書き込まれている帳票類を現場に持出したり、帳票類の保管場所に出向いたりしなければならず、情報確認が面倒であった。
(5)電気設備機器設置後に夫々の部署で独自に改修工事や部品交換等を行っても、その履歴が他の部署に連絡されないため、各部署の保管データが違っていることがあり、システム全体の一貫管理が益々難しくなる。
(6)電気設備機器に使用されている部品のメーカー、仕様、耐用年数等も夫々の担当部署でしか把握していないため、部品交換もしにくかった。特に、部品の耐用年数を予め把握できないと、耐用年数到来時期の管理ができず、異常発生の予防が難しくなる。異常発生により部品交換が必要になっても、異常の発生した部品の特定と新規部品の入手に時間がかかり、異常の迅速な回復が難しくなる。
(7)検査結果が帳票や紙図面のまま保管されているため迅速な情報検索ができない。また、データが長期間の保管で損傷したり紛失したりするおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電気設備機器を製造部署、機器設置部署、機器運用部署の各種部署を通じて一貫して管理し、部署毎の管理情報を迅速に検索でき、電気設備機器に関する履歴情報の追跡も可能であり、故障の予防にも役立つ電気設備機器の管理方法と、それに使用される管理装置を提供するものである。
【0007】
本件出願の電気設備機器の管理方法は、請求項1記載のように、次の1〜8の構成を備えた方法である。
1.電気設備機器の製造部署において、電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグをその電気設備機器に設け、
2.電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署において、夫々の部署における電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記ICタグ又は/及びICタグとは別の記憶媒体に記憶させ、
3.前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶された管理情報、又は管理情報と図面情報は前の部署からその後の部署に引き渡し、
4.引き渡された管理情報、又は管理情報と図面情報に、引き継いだ部署の管理情報、又は管理情報と図面情報を付加して蓄積し、
5.夫々の部署の管理情報、又は管理情報と図面情報は夫々の部署で保管して、
6.夫々の部署において、前記ICタグの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
7.特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を、前記ICタグ又は/及び記憶媒体から読み出してその電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
8.それら確認に基づいて、先に特定された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なう。
【0008】
本件出願の電気設備機器の管理方法は、請求項2記載のように、次の1〜7の構成を備えた方法である。
1.電気設備機器の製造部署において、電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグをその電気設備機器に設け、
2.電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署において、夫々の部署における電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記ICタグ又は/及びICタグとは別の記憶媒体に記憶させ、
3.夫々の部署の管理情報、又は管理情報と図面情報を夫々の部署において前記ICタグ又は/及び記憶媒体に付加して蓄積し、
4.前記記憶媒体に蓄積された管理情報、又は管理情報と図面情報を前記各部署で共有し、
5.夫々の部署において、前記ICタグの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
6.特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を、前記ICタグ又は/及び記憶媒体から読み出して、その電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
7.それら確認に基づいて、先に特定された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なう。
【0009】
本件出願の電気設備機器の管理方法は、請求項3記載のように、請求項1又は請求項2記載の電気設備機器の管理方法において、ICタグに記録された識別情報に対応した電気設備機器の図面情報が記憶された図面サーバをICタグ及び記憶媒体とは別に設け、前記ICタグに記録された識別情報の読み取りにより特定された電気設備機器の図面情報を図面サーバから読み出して図面内容を確認可能とする方法である。
【0010】
本件出願の電気設備機器の管理方法は、請求項4記載のように、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電気設備機器の管理方法において、ICタグ又は/及び記憶媒体に電気設備機器又は/及びその構成部品の保守、点検、交換等の管理時期が記憶され、その管理時期到来前又は到来時に必要部署に予知又は報知され、予知又は報知された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なう方法である。
【0011】
本件出願の電気設備機器の管理装置は、請求項5記載のように、次の1〜8の構成を備えたものである。
1.電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグを備えた電気設備機器と、
2.前記ICタグとは別の記憶媒体を備え、
3.前記ICタグ又は/及び記憶媒体には、電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署において電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報が記憶されており、
4.前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶された管理情報、又は管理情報と図面情報は前の部署からその後の部署に引き渡されて夫々の部署に備えられ、
5.夫々の部署のICタグ又は/及び記憶媒体には、前の部署から引き継いだ管理情報、又は管理情報と図面情報に、その部署の管理情報、又は管理情報と図面情報が付加されて蓄積されており、
6.夫々の部署において、前記ICタグからの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
7.先に特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記保管中のICタグ又は/及び記憶媒体から読み出して、その電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
8.前記確認に基づいて、確認された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なうことができるようにした。
【0012】
本件出願の電気設備機器の管理装置は、請求項6記載のように、次の1〜7の構成を備えたものである。
1.電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグを備えた電気設備機器と、
2.前記ICタグとは別に電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署で共有の記憶媒体を備え、
3.前記ICタグ又は/及び記憶媒体には、各種部署において電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報が記憶されており、
4.前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶された管理情報、又は管理情報と図面情報には前の部署から引き継いだ管理情報、又は管理情報と図面情報に、引き継いだ部署の管理情報、又は管理情報と図面情報が付加されて蓄積されており、
5.夫々の部署において、前記ICタグの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
6.先に特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記ICタグ又は/及び記憶媒体から読み出して、その電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
7.前記確認に基づいて、確認された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なうことができるようにした。
【0013】
本件出願の電気設備機器の管理装置は、請求項7記載のように、請求項5又は請求項6記載の電気設備機器の管理装置において、ICタグに記録された識別情報に対応した電気設備機器の図面情報が記憶された図面サーバをICタグ及び記憶媒体とは別に設け、前記ICタグに記録された識別情報の読み取りにより特定された電気設備機器の図面情報を図面サーバから読み出して図面内容を確認可能としたものである。
【0014】
本件出願の電気設備機器の管理装置は、請求項8記載のように、請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の電気設備機器の管理装置において、ICタグ又は/及び記憶媒体に電気設備機器又は/及びその構成部品の保守、点検、交換等の管理時期が記憶され、その管理時期到来前又は到来時に必要部署に予知又は報知可能とし、予知又は報知された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本件出願の電気設備機器の管理方法は次のような効果がある。
(1)電気設備機器に設けてあるICタグの識別情報を読み取って電気設備機器を特定できるので、夫々の部署で電気設備機器の特定を簡易且つ確実に行うことができる。
(2)特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報をICタグ又は/及び記憶媒体から読み出してそれら情報を簡易且つ確実に確認できるため、帳票等を持ち歩いたり、帳票等の保管場所まで戻ったりすることなく現場において迅速に情報を確認・利用することが可能となり、確認の作業効率が大幅に向上する。また、管理情報が電子データ形式であるため管理情報を保管し易く使用もし易い。
(3)電気設備機器の管理情報が製造部署、機器設置部署、機器運用部署の各種部署に引き継がれ、夫々の部署の管理情報、又は管理情報と図面情報が追加蓄積されたICタグ又は/及び記憶媒体が備えられるため、夫々の部署で必要なときに何時でもそれら情報を読み出して確認することができ、適切な保守、管理を容易且つ迅速に行うことができ、電気設備機器の一貫管理が可能となる。
(4)ICタグに識別情報と管理情報の双方を記憶させれば、電気設備機器の近くでそれら情報を読み取って電気設備機器の特定と、その電気設備機器の情報管理ができ、保守管理が容易になる。
(5)ICタグ又は/及び記憶媒体に蓄積された管理情報、又は管理情報と図面情報を各種部署で共有する場合は、どの部署においても最新の情報を確認可能であり、ICタグ又は/及び記憶媒体内の情報が各部署間で統一され、電気設備機器の一貫管理が可能となる。また、特定の電気設備機器についての情報履歴を追跡して異常発生時の責任の所在を明らかにすることも容易となる。
(6)ICタグに記録された識別情報に対応した電気設備機器の図面情報が記憶された図面サーバをICタグ及び記憶媒体とは別に設け、前記ICタグに記録された識別情報の読み取りにより特定された電気設備機器の図面情報を図面サーバから読み出して図面内容を確認可能とするため、製造部署、機器設置部署、機器運用部署の各種部署から全ての図面情報を得ることができ、多くの図面を有効に活用することができる。
(7)ICタグ又は/及び記憶媒体に電気設備機器又は/及びその構成部品の保守、点検、交換等の管理時期が記憶され、その管理時期到来前又は到来時に必要部署に予知又は報知されるようにしたので、電気設備機器やその構成部品の点検、交換を忘れずに定期的に行うことができ、異常の発生を大幅に減少させることができる。また、異常発生の予測もしやすくなるため、予め部品を調達するなどして異常の迅速な回復が可能となる。
【0016】
本件出願の電気設備機器の管理装置は次のような効果がある。
(1)電気設備機器にそれを特定可能な識別情報が記録されたICタグを設けてあるので、夫々の部署で電気設備機器の特定を簡易且つ確実に行うことができる。
(2)ICタグとは別の記憶媒体を備え、それらに管理情報、又は管理情報と図面情報が記憶されているので、ICタグの読み出しにより特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を、ICタグ又は/及び記憶媒体から読み出して簡易且つ確実に確認できるため、帳票等を持ち歩いたり、帳票等の保管場所まで戻ったりすることなく現場において迅速に情報を確認・利用することが可能となり、確認の作業効率が大幅に向上する。また、管理情報が電子データ形式であるため管理情報を保管し易く使用もし易い。
(3)各種部署に引き継がれた電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報に、夫々の部署の管理情報、又は管理情報と図面情報を追加蓄積したICタグ又は/及び記憶媒体が備えられるため、夫々の部署で必要なときに何時でもそれら情報を確認することができ、適切な保守、管理を容易且つ迅速に行うことができ、電気設備機器の一貫管理が可能となる。
(4)電気設備機器に備えたICタグに識別情報と管理情報、又は管理情報と図面情報の双方を記憶させておけば、電気設備機器の近くでそれらを読み取って電気設備機器の特定と、その電気設備機器の情報管理、保守管理が容易にできる。
(5)各種部署間で共有の記憶媒体を設け、記憶媒体に蓄積された管理情報、又は管理情報と図面情報を各部署で共有する場合は、どの部署においても最新の情報を確認可能であり、それら情報が各部署間で統一されるため、電気設備機器の一貫管理が可能となる。また、特定の電気設備機器についての情報履歴を追跡することもでき、異常発生時の責任の所在も明らかになる。
(6)ICタグに記録された識別情報に対応した電気設備機器の図面情報が記憶された図面サーバをICタグ及び記憶媒体とは別に設け、前記ICタグに記録された識別情報の読み取りにより特定された電気設備機器の図面情報を図面サーバから読み出して図面内容を確認可能とするため、製造部署、機器設置部署、機器運用部署の各種部署から全ての図面情報を得ることができ、多くの図面を有効に活用することができる。
(7)ICタグ又は/及び記憶媒体に電気設備機器又は/及びその構成部品の保守、点検、交換等の管理時期を記憶して、その管理時期到来前又は到来時に必要部署に予知又は報知可能としたので、電気設備機器やその構成部品の点検、交換を忘れずに定期的に行うことができ、故障の可能性を大幅に減少させることができる。また、異常発生の予測もしやすくなるため、予め部品を調達するなどして異常の迅速な回復が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(電気設備機器の管理装置の実施形態1)
本発明の電気設備機器の管理方法の説明に先立って、その管理方法で使用される電気設備機器の管理装置の一例を図1〜図3を示して以下に説明する。
【0018】
この管理装置は屋内又は屋外に設置して用いられる制御盤、分電盤、高圧盤、高圧分岐盤といった各種電気設備機器(以下「電気設備機器」とする。)1(図1)を管理できるようにした装置である。電気設備機器1の内側又は外側にはICタグ2が取り付けられている。このICタグ2は電気設備機器1を製造する製造業者(メーカー)等の製造部署(A)で電気設備機器1に取り付けられる。前記製造部署(A)と、電気設備機器1を屋内又は屋外に設置する施工業者等の機器設置部署(B)と、設置された電気設備機器1を運用・保全管理するユーザ、保守管理業者等の機器運用部署(C)の各種部署には、前記ICタグ2の記憶情報を読み取り可能な携帯型端末機3と、記憶媒体4が搭載された端末機5を備えている。
【0019】
前記ICタグ2には取り付けられた電気設備機器を特定可能な識別情報(ID)をはじめとして、機器名称、メーカー名、型式、製造番号等の基本情報が記録されている。ICタグ2としては例えばRFID(無線周波数認識:Radio Frequency Identification)技術を応用したRFIDタグを用いることができ、非接触で情報の記録及び読み取りが可能なものであれば他の任意のものを用いることができる。本発明におけるICタグ2は電気設備機器1に取付けて使用されるため、周辺に金属や磁気等があっても記憶情報が損なわれたり、失われたりしないものを使用することが好ましい。ICタグ2の記憶容量が大きい場合は、それに、前記識別情報及び基本情報の他に電気設備機器1に関する任意の情報、例えば、管理情報や製作図面、敷設図面、配線図面等の各種図面情報を記憶させることもできる。
【0020】
前記記憶媒体4は電子情報を記録可能な媒体であって、例えば、ハードディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RW、MO、リムーバブルディスク等任意のものを用いることができる。記憶媒体4は記録した情報を編集可能なものでも不可能なものでも用いることができるが、新たな情報を追加蓄積可能なものを使用するのが良い。
【0021】
前記端末機5は記憶媒体4に記録されている情報を読み出して表示したり、読み出した情報を編集して再度記憶媒体4に入力したり、携帯型端末機3を接続してその携帯型端末機3から情報を読み出したり、その携帯型端末機3に情報を書き込んだりすることのできる端末機、例えばパソコンが適する。パソコンは据置き型のものでも携帯可能なノートパソコン型のもの等であっても良い。
【0022】
前記携帯型端末機3は環状の読み取り部分8によってICタグ2の識別情報を読み取ってその電気設備機器1を特定でき、また、特定された電気設備機器1の管理情報を記憶媒体4から読み出して表示部9に表示できる端末機である。携帯型端末機3としては例えばPDA等の運搬可能な任意の端末機を用いることができる。この携帯型端末機3は電気設備機器1の検査結果や、製造環境、施工環境、各部品の交換時期や点検時期等の各種管理情報を入力することもできる。また、前記端末機5と接続して、入力した管理情報を記録媒体4に入力することも可能である。図1の読み取り部分8は環状のアンテナ型であるが、読み取り部分8はICタグ2の読み取りが可能であればこの形態には限られず、任意の形態とすることができる。また、前記表示部9には図2に示す基本画面10や図3に示す情報入力画面12等、種々の画面が表示されるようにしてある。もっとも、図2に示す基本画面10や図3に示す情報入力画面12はあくまで一例であり、他の画面構成とすることもできる。
【0023】
(電気設備機器の管理方法の実施形態1)
本発明の電気設備機器の管理方法の実施形態の一例を以下に示す。この管理方法は図1〜図3に示した管理装置を使用して行なう方法である。
【0024】
この管理方法は製造部署において図1に示すように電気設備機器1に、その機器を特定可能な特有の識別情報(IC情報)が記録されたICタグ2を取り付け、前記各部署(A〜C)において、その電気設備機器1に関する製造情報、設計情報、各種検査結果(検査情報)、敷設情報等の各種管理情報、電気設備機器1の設計図、敷設配線図等々の各種図面情報を夫々の記憶媒体4に入力する。記憶媒体4は各部署に個別に設けておき、各部署の記憶媒体4内の各種情報を次部署の記憶媒体4に引き渡して、各部署においてその部署の電気設備機器1に関する管理情報や図面情報を、前の部署から引き継いだ管理情報や図面情報に付加して蓄積する。各部署ではICタグ2に記録された識別情報を携帯型端末機3で読み取って電気設備機器1を特定し、その電気設備機器1の管理情報や図面情報を前記記憶媒体4から携帯型端末機3によって読み出してその電気設備機器1の管理内容や図面の内容を確認する。以下に部署ごとの管理方法を詳細に説明する。
【0025】
(電気設備機器製造部署での管理)
図1に示す製造部署(A)ではそこで製造した電気設備機器1にその機器特有の識別情報(ID)やその他の基本情報が記録された前記ICタグ2を貼付する。ICタグ2は予め電気設備機器1の部品に貼付しておいて電気設備機器1を組み立てることもできる。
【0026】
製造部署(A)では電気設備機器1の製造日、型式、製造番号、製造年月日、メーカーが行った電気設備機器1に関する各種管理情報、例えば、設計者名、組み立て者名、構成部品名、試験(検査)結果、製造環境等を携帯型端末機3に入力する。製造部署(A)においてメーカー等が行う検査としては例えば、外観、数量・寸法、塗装、構造、表示検査等の各種検査、動作試験、絶縁試験、耐電圧試験等がある。これら検査や試験結果等の管理情報は「良」「不良」等の入力欄にチェックを入れるチェック方式で入力したり、文字入力で入力したりすることも可能である。この携帯型端末機3による情報の入力は、主として製造現場において、又は各種検査現場において行われる。
【0027】
携帯型端末機3に検査結果等の各種情報を入力するには、まず、携帯型端末機3を起動させ、携帯型端末機3のICタグ読み取り部分8をICタグ2に接近させて表示部9の読み取りボタン16(図2参照。)を押してICタグ2に記憶されている各種情報を読み取る(図2)。読み取った情報中の識別情報から電気設備機器1が特定され、その電気設備機器1の基本情報を示す基本画面10が携帯型端末機3の表示部9に表示される。基本画面10が表示された状態で編集ボタン11を押すと、図3に示すような情報入力画面12が携帯型端末機3の表示部9に表示される。情報入力画面12には各検査結果等の管理情報を入力する入力欄13が設けられている。携帯型端末機3の情報入力画面12の入力欄に電気設備機器1に関する管理情報を入力する。この情報入力もチェックシート方式や文字入力方式など、情報入力画面12の構成に応じた任意の方式によって行うことができる。入力が完了したら確定ボタン14(図3)を押して入力した情報を確定させる。終了ボタン17(図3参照。)を押すと携帯型端末機3の前記読み取り機能、編集機能等の各機能が終了する。
【0028】
携帯型端末機3に前記管理情報を入力したらその携帯型端末機3を端末機5の据付けられた場所まで携行して、図1に示すように携帯型端末機3と端末機5とを接続して、携帯型端末機3に入力した管理情報を端末機5の入力部からその端末機5の記憶媒体4に入力する。このとき、電気設備機器1に関する管理情報はその機器特有の識別情報に関連づけられて記憶媒体4に入力される。記憶媒体4に入力された管理情報は端末機5によって読み出して端末機5の表示部15に表示したり、読み出した管理情報を編集して再度記憶媒体4に入力したりすることができる。端末機5は、記憶媒体4から読み出した管理情報を編集して携帯型端末機3に入力することもできる。端末機5の表示部15への表示方式は任意とすることができるが、電気設備機器1ごとに電気設備機器1の製造日、型式、製造番号、製造年月日、メーカーが行った電気設備機器1の検査結果、製造環境等の電気設備機器1に関する各種情報を一覧できる方式で表示することが望ましい。
【0029】
記憶媒体4に管理情報を入力した後は、製造現場や検査現場において、電気設備機器1に貼付されたICタグ2に記録された情報を携帯型端末機3によって読み取ると、ICタグ2に記録されたその機器特有の識別情報から電気設備機器1を特定し、その電気設備機器1の管理情報を記憶媒体4から読み出して携帯型端末機3の表示部9に表示できるようにしてある。また、携帯型端末機3の表示部9に表示した管理情報は、携帯型端末機3によって編集することもできる。
【0030】
製造部署(A)において記憶媒体4に入力した電気設備機器1についての管理情報は、図1に示すように、次の機器設置部署(B)の端末機5に搭載された記憶媒体4に引き渡されて入力される。従って、機器設置部署(B)の記憶媒体4には、初めから製造部署(A)の記憶媒体4に入力した管理情報と同じ情報が入力されて蓄積される。管理情報の引渡しは、電子メールで送信したり、運搬可能な記憶媒体に管理情報を記録して直接引き渡したりする等、任意の方法によることができる。
【0031】
この製造部署(A)においては、製造の際にメーカー等が作成、使用した電気設備機器1の設計図面、製造図面等の各種図面情報を、前記ICタグ又は及び記憶媒体に記録しておき、この図面情報をこの部署において読み出して使用することもできる。
【0032】
製造部署(A)においては、携帯型端末機3に管理情報を入力する際に、電気設備機器1やその構成部品の検査時期及び交換時期(管理時期)を入力しておき、それら管理時期をICタグ2や記憶媒体4に入力しておき、その時期の到来前又は到来時に、各段階(A〜C)の携帯型端末機3や端末機5に警報を表示する等して、時期の到来を予知又は報知することもできる。
【0033】
(電気設備機器設置部署での管理)
図1に示す機器設置部署(B)においては、設置施工業者が前記電気設備機器1を屋内又は屋外に設置する。この機器設置部署(B)ではメーカー担当者名、施工日、受電日、施工業者が行った電気設備機器1の検査結果、施工環境、機器の結線に関する情報等の電気設備機器1に関する各種管理情報を携帯型端末機3に入力する。この機器設置部署(B)において、施工業者が行う検査には、接地抵抗測定試験、絶縁耐力測定試験、保護継電器動作試験、シーケンス試験、インターロック試験、絶縁抵抗測定試験、高低圧配電盤検査、高圧検相検査、増し締検査、導通検査、電灯・動力検査、積算電力量検査、計測器検査等がある。この携帯型端末機3による管理情報の入力は、主として施工現場において、又は各種検査現場において行われる。
【0034】
携帯型端末機3への管理情報の入力は、前記製造部署(A)の場合と同様にして行う。情報の入力は、チェックシート方式や文字入力方式など、情報入力画面12の構成に応じた任意の方式によって行うことができる。携帯型端末機3に前記管理情報を入力したら、前記携帯型端末機3を端末機5の据付けられた場所まで携行し、図1に示すように、携帯型端末機3と端末機5とを接続して、携帯型端末機3に入力した管理情報を端末機5に搭載された記憶媒体4に入力する。このとき、電気設備機器1に関する管理情報は、その機器特有の識別情報に関連付けられて記憶媒体4に入力される。機器設置部署(B)の記憶媒体4には、前記製造部署(A)の情報に追加されて機器設置部署(B)の情報が入力され、蓄積される。この記憶媒体4に入力された管理情報は、端末機5によって読み出して端末機5の表示部15に表示したり、読み出した管理情報を編集して再度記憶媒体4に入力したりすることができる。端末機5は、記憶媒体4から読み出した管理情報を編集して携帯型端末機3に入力することもできる。端末機5の表示部15への表示方式は任意とすることができるが、電気設備機器1ごとに、メーカー担当者名、施工日、受電日、施工業者が行った電気設備機器1の検査結果、施工環境、機器の結線に関する情報等の電気設備機器1に関する管理情報を一覧できる方式で表示することが望ましい。
【0035】
記憶媒体4に管理情報を入力した後は、施工現場や検査現場において、電気設備機器1に貼付されたICタグ2に記録された情報を携帯型端末機3によって読み取ると、ICタグ2に記録されたその機器特有の識別情報から電気設備機器1を特定し、その電気設備機器1の管理情報を記憶媒体4から読み出して携帯型端末機3の表示部9に表示できるようにしてある。また、携帯型端末機3の表示部9に表示した管理情報は、携帯型端末機3によって編集することもできる。
【0036】
機器設置部署(B)において、記憶媒体4に入力した電気設備機器1についての管理情報は、図1に示すように、次の機器運用部署(C)の端末機5に搭載された記憶媒体4に引き渡されて入力されて蓄積される。従って、機器運用部署(C)の記憶媒体4には、初めから機器設置部署(B)の記憶媒体4に入力した管理情報と同じ情報が入力される。管理情報の引渡しは、電子メールで送信したり、運搬可能な記憶媒体に記録して直接引き渡したりする等、任意の方法によることができる。
【0037】
この機器設置部署(B)においては、電気設備機器1の設置の際に施工業者が作成、使用した結線図や電気設備機器1の改修用図面等の各種図面情報を前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶しておき、この図面情報をこの部署において読み出して使用することもできる。
【0038】
この機器設置部署(B)においても、携帯型端末機3に各種管理情報を入力する際に、電気設備機器1やその構成部品の管理時期を入力しておき、それら管理時期をIDタグ2又は記憶媒体4に入力して、その時期の到来前又は到来時に、各段階(A〜C)の携帯型端末機3や端末機5に警報を表示する等して予知又は報知するようにすることもできる。
【0039】
(電気設備機器運用部署での管理)
図1に示す機器運用部署(C)においては、ユーザや保守管理業者等が、前記機器設置部署(B)において施工業者等が設置した電気設備機器1を保守、補修、維持等して管理する。この機器運用部署(C)においては、設置場所、責任者名、施工業者名、ユーザや保守管理業者等が行った電気設備機器1の検査結果、運用環境、機器の補改修に関する情報等の電気設備機器1に関する各種管理情報を携帯型端末機3に入力する。この機器運用部署(C)において、保守管理業者が行う検査には、設置した電気設備機器1の電圧・電流・力率・積算電力量・電力・周波数・異音・うなり・外観といった運転状態の日常的検査や、電気事業法における電気設備定期点検等がある。この携帯型端末機3による管理情報の入力は、主として機器運用現場において、又は各種検査現場において行われる。
【0040】
携帯型端末機3への管理情報の入力は、前記製造部署(A)、機器設置部署(B)の場合と同様にして行う。管理情報の入力は、チェックシート方式や文字入力方式など、情報入力画面12の構成に応じた任意の方式によって行うことができる。携帯型端末機3に前記管理情報を入力したら、前記携帯型端末機3を端末機5の据付けられた場所まで携行し、図1に示すように、携帯型端末機3と端末機5とを接続して、携帯型端末機3に入力した管理情報を端末機5に搭載された記憶媒体4に入力する。このとき、電気設備機器1に関する各種管理情報は、その機器特有の識別情報に関連付けられて記憶媒体4に入力される。記憶媒体4には、前記機器設置部署(B)の情報に追加されて機器運用部署(C)の情報が入力され、蓄積される。この記憶媒体4に入力された管理情報は、端末機5によって読み出して端末機5の表示部15に表示したり、読み出した管理情報を編集して再度記憶媒体4に入力したりすることができる。端末機5は、記憶媒体4から読み出した管理情報を編集して携帯型端末機3に入力することもできる。端末機5の表示部15への表示方式は任意とすることができるが、電気設備機器1ごとに、設置場所、責任者名、施工業者名、保守管理業者が行った電気設備機器1の検査結果、運用環境、機器の改修に関する情報等の電気設備機器1に関する各種情報を一覧できる方式で表示することが望ましい。
【0041】
記憶媒体4に管理情報を入力した後は、機器運用現場や検査現場において、電気設備機器1に貼付されたICタグ2に記録された情報を携帯型端末機3によって読み取ると、ICタグ2に記録されたその機器特有の識別情報から電気設備機器1を特定し、その電気設備機器1の管理情報を記憶媒体4から読み出して携帯型端末機3の表示部9に表示できるようにしてある。また、携帯型端末機3の表示部に表示した管理情報は、携帯型端末機3によって編集することもできる。
【0042】
この機器運用部署(C)においては、電気設備機器1の保守管理の際に、保守管理業者等が作成、使用した電気設備機器1の改修用図面等の各種図面情報を前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶しておき、この図面情報をこの部署において読み出して使用することもできる。
【0043】
この機器運用部署(C)においても、携帯型端末機3に管理情報を入力する際に、電気設備機器1やその構成部品の管理時期を入力しておき、それら管理時期をICタグ2又は記憶媒体4に入力して、その時期の到来前又は到来時に、各段階(A〜C)の携帯型端末機3や端末機5に警報を表示する等して予知又は報知するようにすることもできる。
【0044】
(電気設備機器の管理装置の実施形態2)
この実施形態の管理装置は、図4に示すものであり、その基本的構成において、前記実施形態1と同じく、電気設備機器がICタグ2を備え、前記各部署(A〜C)がICタグ2に記録された情報を読み取り可能な携帯型端末機3を備えたものであり、異なるのは記憶媒体4を機器製造部署(A)、機器設置部署(B)、機器運用部署(C)の各種部署間において共用(共有)としたことである。
【0045】
(電気設備機器の管理方法の実施形態2)
この管理方法は前記図4に示す電気設備機器の管理装置を用いて実施可能な方法であって、図4に示すように、管理対象である電気設備機器1にその機器特有の識別情報及び基本情報が記録されたICタグ2を取付けて、前記各段階(A〜C)において電気設備機器1に関する各種管理情報や図面情報を、各携帯型端末機3からネットワーク6を介して前記各部署(A〜C)共有の記憶媒体4に入力し、記憶媒体4内に各段階における電気設備機器1の各種管理情報や図面情報が前段階の情報に付加されて蓄積されていくようにしてあり、前記ICタグ2に記録された情報は夫々の段階において携帯型端末機3で読み取り可能とし、読み取った識別情報に関連する電気設備機器1の管理情報や図面情報を夫々の段階において前記記憶媒体4からネットワーク6を介して読み出して携帯型端末機3によって確認可能としてある。
【0046】
(電気設備機器の管理装置の実施形態3)
この実施形態の管理装置は図5に示すものであり、基本的構成において前記実施形態1、2の管理装置と同じであり、異なるのは図面サーバ7を備えたことである。図面サーバ7は図面情報を記憶するデータベースを備えるコンピュータである。この図面サーバ7には図5に示すように各携帯型端末機3及び端末機5からネットワーク6を介してアクセス可能であり、図面サーバ7は各携帯型端末機3及び端末機5からの求めに応じてデータベース内に記録された図面情報をそれら携帯型端末機3及び端末機5に提供する図面提供機能と、図面情報をデータベース内に記録する図面記録機能を備えている。この場合は、端末機5に図面サーバ7から図面をダウンロードすることができる。ネットワーク6にはインターネットやその他任意の通信ネットワークを用いることができる。本実施形態では、ICタグ2には、識別情報、基本情報に加えて、図面サーバ7へアクセスするためのURLを記録しておく。
【0047】
(電気設備機器の管理方法の実施形態3)
図5の電気設備機器を用いた管理方法では、製造部署(A)においては、電気設備機器1の製造用図面等の各種図面情報を図面サーバ7のデータベース内に記録しておき、各部署(A〜C)の携帯型端末機3又は端末機5からネットワーク6を介して図面サーバ7にアクセスし、ダウンロードすることもできる。図面サーバ7へのアクセスは、携帯型端末機3の場合はICタグ2から読み取った図面URLから行うことができ、端末機5の場合は記憶媒体4内に記録された図面URLから行うことができる。図面情報の図面サーバ7のデータベース内への記録は、例えば、ネットワーク6を介して端末機5からアップロードする等、任意の方法によって行うことができる。また、携帯型端末機3又は端末機5から図面サーバ7にアクセスする際に、所定のID、パスワード等の識別情報の入力を求めるようにすることもできる。
【0048】
機器設置部署(B)では、電気設備機器1の設置の際に施工業者が作成、使用した結線図や電気設備機器1の改修用図面等の各種図面情報を図面サーバ7のデータベース内に記録しておき、各段階(A〜C)の携帯型端末機3又は端末機5からネットワーク6を介して図面サーバにアクセスしてダウンロードすることもできる。図面サーバ7へのアクセスは、携帯型端末機3の場合はICタグ2から読み取った図面URLから行うことができ、端末機5の場合は記憶媒体4内に記録された図面URLから行うことができる。図面情報の図面サーバ7のデータベース内への記録は、例えば、ネットワーク6を介して端末機5からアップロードする等、任意の方法によって行うことができる。また、携帯型端末機3又は端末機5から図面サーバ7にアクセスする際に、所定のID、パスワード等の識別情報の入力を求めるようにすることもできる。
【0049】
機器運用部署(C)では、電気設備機器1の保守管理の際に、保守管理業者等が作成、使用した電気設備機器1の改修用図面等の各種図面情報を図面サーバ7のデータベース内に記録しておき、各段階(A〜C)の携帯型端末機3又は端末機5からネットワーク6を介して図面サーバにアクセスしてダウンロードすることもできる。図面サーバ7へのアクセスは、携帯型端末機3の場合はICタグ2から読み取った図面URLから行うことができ、端末機5の場合は記憶媒体4内に記録された図面URLから行うことができる。図面情報の図面サーバ7のデータベース内への記録は、例えば、ネットワーク6を介して端末機5からアップロードする等、任意の方法によって行うことができる。また、携帯型端末機3又は端末機5から図面サーバ7にアクセスする際に、所定のID、パスワード等の識別情報の入力を求めるようにすることもできる。
【0050】
(その他の実施形態)
本発明の電気設備機器の管理方法は、前記各実施形態記載のような電気設備機器の管理情報を記憶媒体4に記録する方法には限られず、記憶媒体4を用いずに、電気設備機器1の管理情報や図面情報の一部又は全部をICタグ2に記録していく方法とすることもできる。この場合は、書き込み・読み出し可能な携帯型端末機3を用いて、その携帯型端末機3によってICタグ2から管理情報を読み出し、携帯型端末機3によってその管理情報を編集し、携帯型端末機3によって情報をICタグ2に書き込むようにする。この場合、ICタグ2は、電気設備機器1の情報を記憶できる容量を備えたものとする。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の電気設備機器の管理方法及び管理装置は、前記各電気設備機器の管理には限られず、屋内又は屋外に備えられる空調設備機器や衛生設備機器の管理にも応用することができる。その場合、例えば、空調機やポンプの運転状況を点検し、その結果等の情報を記憶媒体に蓄積する等して空調設備機器や衛生設備機器を管理する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の電気設備機器の管理装置の一例を示す説明図。
【図2】携帯型端末機の表示部に表示される基本画面を示す説明図。
【図3】携帯型端末機の表示部に表示される情報入力画面を示す説明図。
【図4】本発明の電気設備機器の管理装置の他の一例を示す説明図。
【図5】本発明の電気設備機器の管理装置の他の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0053】
1 電気設備機器
2 ICタグ
3 携帯型端末機
4 記憶媒体
5 端末機
6 ネットワーク
7 図面サーバ
8 読み取り部分
9 表示部(携帯型端末機)
10 基本画面
11 情報編集ボタン
12 情報入力画面
13 入力欄
14 確定ボタン
15 表示部(端末機)
16 読み取りボタン
17 終了ボタン
A 製造部署
B 機器設置部署
C 機器運用部署

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の1〜8の構成を備えたことを特徴とする電気設備機器の管理方法。
1.電気設備機器の製造部署において、電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグをその電気設備機器に設け、
2.電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署において、夫々の部署における電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記ICタグ又は/及びICタグとは別の記憶媒体に記憶させ、
3.前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶された管理情報、又は管理情報と図面情報は前の部署からその後の部署に引き渡し、
4.引き渡された管理情報、又は管理情報と図面情報に、引き継いだ部署の管理情報、又は管理情報と図面情報を付加して蓄積し、
5.夫々の部署の管理情報、又は管理情報と図面情報は夫々の部署で保管して、
6.夫々の部署において、前記ICタグの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
7.特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を、前記ICタグ又は/及び記憶媒体から読み出してその電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
8.それら確認に基づいて、先に特定された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なう。
【請求項2】
次の1〜7の構成を備えたことを特徴とする電気設備機器の管理方法。
1.電気設備機器の製造部署において、電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグをその電気設備機器に設け、
2.電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署において、夫々の部署における電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記ICタグ又は/及びICタグとは別の記憶媒体に記憶させ、
3.夫々の部署の管理情報、又は管理情報と図面情報を夫々の部署において前記ICタグ又は/及び記憶媒体に付加して蓄積し、
4.前記記憶媒体に蓄積された管理情報、又は管理情報と図面情報を前記各部署で共有し、
5.夫々の部署において、前記ICタグの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
6.特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を、前記ICタグ又は/及び記憶媒体から読み出して、その電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
7.それら確認に基づいて、先に特定された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なう。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電気設備機器の管理方法において、ICタグに記録された識別情報に対応した電気設備機器の図面情報が記憶された図面サーバをICタグ及び記憶媒体とは別に設け、前記ICタグに記録された識別情報の読み取りにより特定された電気設備機器の図面情報を図面サーバから読み出して図面内容を確認可能とすることを特徴とする電気設備機器の管理方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電気設備機器の管理方法において、ICタグ又は/及び記憶媒体に電気設備機器又は/及びその構成部品の保守、点検、交換等の管理時期が記憶され、その管理時期到来前又は到来時に必要部署に予知又は報知され、予知又は報知された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なうことを特徴とする電気設備機器の管理方法。
【請求項5】
次の1〜8の構成を備えたことを特徴とする電気設備機器の管理装置。
1.電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグを備えた電気設備機器と、
2.前記ICタグとは別の記憶媒体を備え、
3.前記ICタグ又は/及び記憶媒体には、電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署において電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報が記憶されており、
4.前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶された管理情報、又は管理情報と図面情報は前の部署からその後の部署に引き渡されて夫々の部署に備えられ、
5.夫々の部署のICタグ又は/及び記憶媒体には、前の部署から引き継いだ管理情報、又は管理情報と図面情報に、その部署の管理情報、又は管理情報と図面情報が付加されて蓄積されており、
6.夫々の部署において、前記ICタグからの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
7.先に特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記保管中のICタグ又は/及び記憶媒体から読み出して、その電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
8.前記確認に基づいて、確認された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なうことができるようにした。
【請求項6】
次の1〜7の構成を備えたことを特徴とする電気設備機器の管理装置。
1.電気設備機器を特定可能な識別情報が記録されたICタグを備えた電気設備機器と、
2.前記ICタグとは別に電気設備機器の製造部署、機器設置部署、機器運用部署といった各種部署で共有の記憶媒体を備え、
3.前記ICタグ又は/及び記憶媒体には、各種部署において電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報が記憶されており、
4.前記ICタグ又は/及び記憶媒体に記憶された管理情報、又は管理情報と図面情報には前の部署から引き継いだ管理情報、又は管理情報と図面情報に、引き継いだ部署の管理情報、又は管理情報と図面情報が付加されて蓄積されており、
5.夫々の部署において、前記ICタグの識別情報の読み取りにより電気設備機器を特定し、
6.先に特定された電気設備機器の管理情報、又は管理情報と図面情報を前記ICタグ又は/及び記憶媒体から読み出して、その電気設備機器の管理状況、図面内容を確認し、
7.前記確認に基づいて、確認された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行なうことができるようにした。
【請求項7】
請求項5又は請求項6記載の電気設備機器の管理装置において、ICタグに記録された識別情報に対応した電気設備機器の図面情報が記憶された図面サーバをICタグ及び記憶媒体とは別に設け、前記ICタグに記録された識別情報の読み取りにより特定された電気設備機器の図面情報を図面サーバから読み出して図面内容を確認可能とすることを特徴とする電気設備機器の管理方法。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の電気設備機器の管理装置において、ICタグ又は/及び記憶媒体に電気設備機器又は/及びその構成部品の保守、点検、交換等の管理時期が記憶され、その管理時期到来前又は到来時に必要部署に予知又は報知可能とし、予知又は報知された電気設備機器の保守、補修、維持等の管理を行えるようにしたことを特徴とする電気設備機器の管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−102696(P2008−102696A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284036(P2006−284036)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(592091529)東光電気工事株式会社 (10)
【Fターム(参考)】