説明

電気透析法による沈降シリカを含有する高純度懸濁液の製造

本発明は、非常に低い塩含量を有し且つ少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液、その製造方法、更にその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に低い塩含量を有し且つ少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液、その製造方法、更にその使用に関する。
【0002】
沈降シリカは、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属ケイ酸塩と、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸又はCOなどの酸性化剤との反応によって製造されている。これは、所望の沈降シリカのみならず沈降シリカから分離されるべき大量の無機塩をも形成する。多くの用途、例えば、エラストマーでの充填剤としての用途の場合、ほとんどの塩を除去するためには水で沈降シリカを洗浄することで十分である。しかしながら、例えば、懸濁液として、沈降シリカが使用される幾つかの用途の場合、精製の費用が著しく増大する結果、塩の含量は非常に低くなければならない。ここでは、粒子の精製も、通常、従来の洗浄によって試みられている。これらの洗浄方法は、非理想の置換洗浄の原理に基づいており、従って、洗浄水の消費は、非常に高程度の精製の場合、低ppm範囲に至るまで非常に高い。
【0003】
化学ウェーハ研磨などの他の用途の場合、シリカ懸濁液の塩含量は、不純物がウェーハを通ることは許されないので、更に過酷な要求を満たさなければならない。従って、本出願の分野は、これまで沈降シリカを利用していなかった。
【0004】
シリカゾルを精製するために電気透析による塩不純物の除去を実施するための種々の提案が行われてきた。従って、例えば、JP2001072409号は、シリカゾルを形成するために水ガラスをイオン交換樹脂に通す方法を記載している。このシリカゾルは、次いで電気透析によって精製される。ここに記載される方法は、時として複数の電気透析法を行わなければならないので非常に複雑である。更に、これらの方法は、沈降シリカの懸濁液の精製方法と比較できない。なぜなら、シリカゾルの製造において水ガラスがイオン交換樹脂と反応し且つ酸と反応しないので、ゾル中の塩負荷量が最初から極めて低いからである。
【0005】
EP1353876B1号は、ゾルが希釈酸と水ガラスとの反応によって製造される方法を提案している。水ガラスと酸との反応の直後に、形成されたゾルを精製し、電気透析によって無機塩を遊離させる。電気透析を水ガラスと酸との反応の直後に行うので、この方法は非常に複雑であり且つ特殊な装置を必要とする。更に、この方法は、低程度のアグリゲーション及びアグロメレーションを有するシリカゾルのみに適している。かかるゾル粒子は、非常に小さく且つ小さい割合の内部空隙を有するので、もしあれば、ごく僅かの塩が粒子の内部に導入されている。この状況は、沈降シリカ懸濁液の場合とは異なる。というのは、その内部に、例えば、内部空隙に、導入された塩が存在するアグリゲート及びアグロメレートは、沈降シリカの製造中に形成されるからである。EP1353876B1号の方法は、従って、沈降シリカを含有する懸濁液を製造するために使用することはできない。
【0006】
従って、非常に低い塩含量を有する沈降シリカ懸濁液の単純且つ効率的な製造方法が今なお強く求められている。特に、高い割合のシリカのアグリゲート及びアグロメレートを有し且つ高い割合の内部空隙に導入された塩を有する懸濁液を精製するための効果的な方法が求められている。
【0007】
従って、本発明の課題は、非常に低い塩含量を有し且つ少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液の新規な製造方法を提供することであり、前記方法は、少なくとも幾つかの従来技術の方法の欠点を有していないか又はそれらの欠点を減じた程度まで有する。更に、本発明の課題は、低い塩含量を有し且つ少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液を提供することであった。
【0008】
本発明の特殊な課題は、少なくとも1種の沈降シリカを含有し且つ1000ppm未満の硫酸ナトリウム含量を有する懸濁液、さらに該懸濁液の効率的な製造方法を提供することであった。
【0009】
本発明の更に特殊な課題は、少なくとも1種の沈降シリカを含有し且つ400ppm未満のカルシウム、鉄及びマグネシウムの全含量を有する懸濁液、さらに該懸濁液の効率的な製造方法を提供することであった。
【0010】
明確に記載されていない更なる課題は、詳細な説明、図面、実施例及び特許請求の範囲の全文脈から導かれ得る。
【0011】
これらの課題は、詳細な説明、実施例及び特許請求の範囲に更に詳細に記載された方法によって、更に詳細にそこに記載された懸濁液によっても達成される。
【0012】
本発明の発明者らは、驚くことに、少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液のpHを5以下に設定し且つ電気透析を特殊な電気透析装置で行って非常に高い電位を作り上げた時に、少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液の硫黄含量を単純に且つ効果的に1000ppm未満、有利には500ppm未満まで低下させることが可能であることを発見した。正確には、これらの高い電位及び懸濁液のpHが、沈降シリカ粒子中に取り込まれた塩の問題を解決するために必要であることを見出した。特定の理論に束縛されることなく、本発明者らは、非常に狭い空隙でも又は空隙網に沿って、この高い電位によって、イオンがシリカ粒子の内部から出てきたと考えている。
【0013】
塩をシリカの洗浄によって分離する先行技術の方法とは異なり、本発明の方法は、洗浄水の無限希釈に基づいていない。その代わりに、塩イオンは、生成物チャンバから隔離されている電気透析セルの第2チャンバ内に選択的に移される。この「電気透析洗浄」では、解離状態で存在する塩が高い電界によって第2チャンバに直ちに移されるので、塩濃度は常にゼロに近い。特に、大きな内部表面積を有する高度に多孔質の材料の場合、塩の外側への十分な質量移動を行うために、粒子の内部と水の外部シェルとの間に高い濃度差を作り出すことが必要である。この方法の更なる利点は、洗浄水の消費が低いことである。不純物は陽極液及び陰極液中に蓄積する。
【0014】
EP1353876B1号の方法とは異なり、本発明の方法は、沈降シリカ懸濁液が最初に通常の製造工場内で製造されて、仕上げた懸濁液のみが精製されるという利点を有する。従って、水ガラスと酸との反応直後に材料の流れを変え且つこの目的のために新たな沈降容器を作る必要はない。
【0015】
本発明の方法によって製造される懸濁液は貯蔵安定であり、これは、とりわけ、pHによって達成される。とりわけ、低いpHに起因する更なる利点は、本発明による懸濁液が低い粘度を有し、従って容易に加工できることである。特定の理論に縛られることを意図しないで、本発明者らは、水和殻が選択されたpH値でシリカ粒子の周りに形成され、この水和殻が粘度を低下させると考えている。
【0016】
本発明の電気透析装置は、増大した電極間隔を有するという、これまでの公知の装置に優る利点がある。特定の理論に縛られることを意図しないで、本発明者らは、これが懸濁液の最適化された乱流を作り、従って陰イオンの最適の除去を可能にすると考えている。
【0017】
陰イオンの高度な除去は高電位によってもたらされる。この高電位しか利用することができないが、これは本発明の電気透析セルの生成物領域が、陽イオン交換膜によって陰極液領域から隔離されるからである。
【0018】
本発明は従って、低い塩含量を有し且つ少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液の製造方法において、以下の工程:
a.少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液を提供する工程、
b.工程a.からの懸濁液が未だ0.5〜5の範囲のpHを有していない場合、該懸濁液のpHをこの範囲の値に調整する工程、
c.電気透析によって懸濁液を精製する工程、その際、
i.電気透析装置が1つ以上の電気透析セルを含み、該セルは、いずれの場合にも、陽イオン交換膜と電極との間隔が2mm〜200mmであることによって生成物領域が陰極液領域から隔離されるように構成されている、
ii.5〜1000ボルトの電位が印加される、
を含む、前記懸濁液の製造方法を提供する。
【0019】
本発明は更に、低水準の塩不純物を有し且つ以下の詳細な説明及び特許請求の範囲に更に詳細に規定される少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液を提供する。
【0020】
本発明は更に、いずれの場合にも陽極、隔膜及び/又は陰イオン交換膜及び/又は別の適した膜によって生成物領域から隔離された陽極液領域、陰極液領域及び陰極を含む電気透析セルであって、
− 陽イオン交換膜が生成物領域と陰極液領域との間に配置され且つ
− 電極の間隔が2mm〜200mmである
ことを特徴とする、前記電気透析セルを提供する。
【0021】
本発明は同様に、本発明による少なくとも1つの電気透析セルを含む電気透析装置を提供する。
【0022】
最終的に、本発明は、インクジェットコーティングを製造するための、またCMP(化学機械的研磨)の分野での、更に低含量の塩不純物を有する乾燥した沈降シリカを製造するための、本発明の懸濁液の使用を提供する。
【0023】
本発明は以下に詳細に例示されるが、再懸濁及び流動化との用語並びに沈降シリカ懸濁液及び少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液との用語は、いずれの場合も同義に使用されている。
【0024】
低い塩含量を有し且つ少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液を製造するための本発明の方法は、以下の工程を含む:
a.少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液を提供する工程、
b.工程a.からの懸濁液が未だ0.5〜5の範囲のpHを有していない場合、該懸濁液のpHをこの範囲の値に調整する工程、
c.電気透析によって懸濁液を精製する工程、その際、
i.電気透析装置が1つ以上の電気透析セルを含み、該セルは、いずれの場合も陽イオン交換膜と電極との間隔が2mm〜200mmであることによって、生成物領域が陰極液領域から隔離されるように構成されている、
ii.5〜1000ボルトの電位が印加される。
【0025】
工程a.の懸濁液は、沈降懸濁液、即ち、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属ケイ酸塩と酸性化剤との反応によって得られる懸濁液であってよい。しかしながら、これは再懸濁した濾過ケークであってもよい。沈降懸濁液は、当業者に公知の慣用法によって濾過され、有利には水及び/又は蒸留水及び/又は脱イオン水で洗浄される。この方法は、電気透析の前に沈降懸濁液中に存在する大部分の塩が洗浄され且つ得られる懸濁液が電気透析にかけられる時に低い塩負荷量を有するという利点を提供する。懸濁液は工程a.の通り、予め乾燥した沈降シリカを再懸濁することによって製造してもよい。かかる乾燥した沈降シリカは、通常、塩含量が低下するように、乾燥前に同様に洗浄されている。乾燥した沈降シリカは、粉末、顆粒又は微顆粒の形態で使用できる。微顆粒は、沈降シリカが本質的に球状顆粒の形態で存在することを意味する。濾過ケーク又は乾燥した沈降シリカを再懸濁するために、剪断アグリゲートを使用すること及び/又は酸性化剤を添加することが必要であり得る。少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液のかかる製造技術は、例えば、DE2447613号から当業者に公知である。
【0026】
最終的に、いずれの混合形態も可能である。従って、例えば、予め乾燥した沈降シリカを濾過ケークと混合して再懸濁するか又は濾過ケークを沈降懸濁液と混合してよい。これらの混合形態は、懸濁液の特性プロフィールを最適化し、従って複数の、例えば、異なる沈降シリカの特性を組み合わせることを可能にする。類似の効果は、工程a.でフュームドシリカ又はシリカゲル又はシリカゾルを懸濁液に添加することによって達成され得る。フュームドシリカは、完全に異なる製造方法の結果として、異なる表面の性質及び低い塩含量を有するので、沈降シリカとフュームドシリカとを懸濁液中で組み合わせることによって非常に特殊な特性プロフィールが創出され得る。しかしながら、1種以上の沈降シリカ、分散媒体、有利には水及び/又は蒸留水及び/又は脱イオン水及び/又は酸性化剤、及び本発明の方法で分離されるべき塩からなる懸濁液を使用することが有利である。
【0027】
本発明の方法で分離されるべき塩は、沈降反応で形成される塩、沈降反応の前又はその間に電解質として添加されている塩及び/又は工程a.の通りに懸濁液中に存在する他の望ましくない無機又は有機塩、例えば、沈降反応のための出発材料中又は分散媒体中の不純物として当初に存在した塩を含む。
【0028】
本発明の方法の工程a.の通りに懸濁液を製造するために、水、特に有利には蒸留水又は脱イオン水を使用することが有利である。水の代わりに又は上述の水と一緒に塩酸、燐酸、硫酸及び硝酸からなる群から選択される酸性化剤を使用することも可能である。ここで流動化工程が必要である場合、流動化のために要求される機械的なエネルギーが酸の添加又はアルミン酸塩の添加によって低下し得る。多価の陰イオンが、特に、多くの用途において干渉する(これらは陽イオン化沈降シリカ粒子を「癒着」させて、望ましくない凝集/凝塊形成を引き起こす)ので、一価の陰イオンを有する酸を使用することが有利である。特殊な場合において、更に多くのイオンを懸濁液中に導入した後にそれらを再度除去しなければならないことを避けるために、酸の添加を省いている。
【0029】
本発明による懸濁液中に存在する沈降シリカは、任意の方法によって製造でき且つ計画された適用分野に適合する特性プロフィールを有し得る。かかるシリカの例は、Degussa AG社の製造パンフレット"Sipernat-Performance Silica"(2003年11月)に見出され得る。当然ながら、他の製造業者、例えば、W. R. Grace & Co., Rhodia Chimie, PPG Industries, Nippon Silica, Huber Inc.製の沈降シリカも同様に使用することができる。
【0030】
沈降が実施されるpH又は使用される沈降シリカのpHに応じて、工程a.からの懸濁液のpHは、工程b.において、0.5〜5、有利には0.5〜4、特に有利には1〜4、更に特に有利には1.5〜3及び極めて有利には2.5〜3の値に設定される。これは、工程a.からの懸濁液のpHに応じて、酸性化剤又は塩基の添加によって行うことができる。
【0031】
酸性化剤として塩酸を使用することが有利である。pHを記載された範囲に設定することは、懸濁液の十分な安定化を保証するために重要である。更に、懸濁液の粘度はそれによって調整される。
【0032】
工程cでは、懸濁液は電気透析によって精製され、その際、電気透析は、精製されるべき懸濁液の量に応じて、それぞれ3つのチャンバから構成される1つ以上のセルにおいて実施される。生成物は、中央のチャンバ、生成物領域を通過する。陽極液及び陰極液は、2つの外側チャンバ、即ち、それぞれ、陽極液領域及び陰極液領域を通る。生成物領域は、陽イオン交換膜、有利にはスルホン化陽イオン交換膜によって陰極液領域から隔離されている。陽イオン交換膜は、陽イオンのみを通過させ且つ粒子及び陰イオンに対して不浸透性である。
【0033】
陽極液領域は、隔膜又はイオン交換膜又は別の適切な膜、例えば、膜技術によるセパレータによって生成物チャンバから隔離されている。膜又は隔膜の細孔開口は、有利には、粒子が陽極液領域中に入り込まないように、精製されるべき粒子の粒度よりも小さくなるように選択される。従って、細孔開口は有利には5nm〜10μm、特に10nm〜5μm、特に有利には20nm〜1μm、更に一層有利には50nm〜500nm、極めて有利には50nm〜250nmである。
【0034】
電極材料は特に重要ではないが、目下の場合、電気透析に通例使用されている全ての電極を使用することが可能である。陰極として、例えば、鉛板、グラファイト又はステンレス鋼(1.4539)(陰極安定材料)を使用することが可能であり、陽極として白金板、白金被覆金属板、ダイアモンド又はDSA(登録商標)、即ち、寸法安定性の陽極(混合酸化物)を使用することが可能である。しかしながら、電極の間隔が2mm〜200mm、有利には6mm〜80mm、更に有利には10mm〜50mm、特に有利には10mm〜40mm、更に特に有利には10mm〜30mmの範囲であることが重要である。これは、セルの閉塞を防ぎ且つセルの操作中の乱流を保持するために重要である。
【0035】
セルが操作される際に、5〜1000ボルト、有利には10〜500ボルト、特に有利には10〜200ボルト、更に特に有利には20〜150ボルトの電位が適用される。非常に高い電位は、高い電位勾配、従って粒子の内部と外部の水シェルとの間の高い濃度差を保証する。これは、塩の速やかな外部への運搬と高い割合の陰イオン及び陽イオンの除去につながる。本発明者らは、特に沈降シリカを含有する懸濁液の場合に、粒子内部に存在するイオンを効果的に除去することもできるために、この高い電位が必要であることを発見した。しかしながら、高い電位は、上述の特定の構成のセル、即ち、陽イオン交換膜及び適した電極間隔を要求する。特に非常に高い電位では、スルホン化陽イオン交換膜が特に有利である。
【0036】
陽極液領域は、陰イオン交換膜又は隔膜又は他のセパレータ、例えば、セラミック及び焼結金属によって生成物領域から隔離することができるが、隔膜が好ましい。
【0037】
それぞれの電気透析セルのチャンバは、有利には乱流が確立されるように構成されている。このために、乱流のプロモータ、例えば、5mmのメッシュ開口及び1mmの材料厚さを有する織物PEメッシュは、有利な実施態様において、2つの外側チャンバ、即ち、陽極液領域及び陰極液領域に存在する。他方では、乱流プロモータは有利には閉塞を防ぐために生成物領域では省略される。3つの流れの最適化された乱流は、相境界での物質移動及び膜/セパレータの安定性を改善し得る。
【0038】
上述の電気透析セルは有利には電気透析装置の一部である。電気透析装置は、電気透析セルに加えて、3つの循環路、即ち、生成物循環路、陽極液循環路及び陰極液循環路を含む。懸濁液は、電気透析の間に適したポンプによって循環する。陰イオンは陽極液中に蓄積し、陽イオンは陰極液中に蓄積する。このプロセスの大きさ及び精製されるべき懸濁液の量に応じて、装置は本発明による複数の電気透析セルを対応する循環路と一緒に有することができる。
【0039】
本発明の方法は、有利には、陽極液、陰極液及び沈降シリカ懸濁液を電気透析装置にポンプ輸送することによって実施され、いずれの場合にも循環式で、陽極液及び陰極液は特に有利には沈降シリカ懸濁液に対して向流で移送される。向流モードの操作は、精製作用を更に向上させることができる。しかしながら、陽極液領域の圧力は、逆混合を防ぐために生成物領域の圧力以下であることが保証されるべきである。この文脈では、逆拡散が起こらない限り、陽極チャンバ内の陰イオン濃度が高くなりすぎないことも保証されるべきである。これは、例えば、陽極液を時々新たな陽極液で完全に又は部分的に置き換えることによって達成され得る。
【0040】
有利な実施態様において、セルは、電流源によって直流が供給されて且つ更に一層有利には上述の電位で定電位的に操作される。
【0041】
更に有利な実施態様において、この方法は、電気透析の開始時のpHが±0.3以内で変動するように及び/又は電気透析の終了時に、電気透析の開始時の初期値よりも25%以内、有利には15%以内で下回るように、電気透析過程の間、一定に維持されている懸濁液のpHで操作される。このために、pHは有利には、例えば、電気透析の間、pH電極によって連続的に監視され、適切であれば、酸又は塩基の添加によって調整される。
【0042】
本発明の方法において、水、蒸留水又は脱イオン水及び/又はNaOHを陰極液として使用することが有利である。好適な陽極液は、特に、水又は蒸留水又は脱イオン水である。導電率を改善するために、電解質の塩又は酸、有利には一価の陰イオン、例えば、HNO又はHClを有するものを添加することが可能である。
【0043】
意図される使用に応じて、沈降シリカ又は沈降シリカ懸濁液をプロセス過程の間に粉砕工程にかけることができる。ここで、沈降シリカ粒子の粉砕は、工程a)の前に及び/又は工程a)とb)の間に及び/又は工程b)とc)の間に及び/又は工程c)の後に実施することができる。粉砕は有利には工程c)の後に実施される。粉砕は、乾式粉砕として、工程aの前に、又は湿式粉砕として、工程aの間に又はその後に実施することができる。好適な粉砕方法及び当業者に公知の装置及びその情報は、例えば、Ullmannの第5版、B2、第5〜20頁に見出すことができる。乾式粉砕のためにインパクトミル又は対向ジェットミルを使用することが有利である。湿式粉砕は、有利にはボールミル、例えば、撹拌式ボールミル又は遊星ボールミルによって、又は高圧ホモジナイザーによって実施される。粉砕パラメータは有利には、精製及び粉砕された生成物が、プロセスの最後に、100nm〜10μm、有利には100nm〜5μm、特に有利には100nm〜1μm、更に特に有利には100nm〜750nm、極めて有利には100nm〜500nm、極めて特に有利には150nm〜300nmの平均粒度d50を有するように選択される。
【0044】
本発明の方法の更に有利な実施態様において、本発明の方法により塩を実質的に含有せず且つ任意に粉砕されている沈降シリカ粒子は、表面変性剤、例えば、p−DADMACに接触され得る。
【0045】
本発明の方法によって得られる懸濁液は、少なくとも1種の沈降シリカを含み且つ低含量の硫黄含有化合物を有することを特徴とする。特に硫酸ナトリウムの含量は有利には非常に低い。本発明の更に有利な実施態様において、懸濁液中のカルシウム、鉄及びマグネシウムの全含量は特に低い。これは、正確にこれらの元素が硫酸及びリン酸イオンなどの多価の陰イオンとの安定な塩を形成するので有利である。
【0046】
本発明の懸濁液中の硫黄含有化合物の全含量は、いずれの場合も乾燥した沈降シリカを基準として、有利には0.02[%g/g]未満、更に有利には0.015[%g/g]未満、特に有利には0.01[%g/g]未満である。
【0047】
有利な実施態様において、本発明の懸濁液は、1000ppm以下、有利には500ppm以下、特に有利には500ppm以下、更に特に有利には200ppm以下、殊に有利には100ppm以下、更に殊に有利には80ppm未満、特に60ppm未満、更に一層特に有利には20ppm未満、更に極めて一層有利には10ppm以下、最も有利には0.001〜0.8ppmの硫酸ナトリウム含量を有する。
【0048】
更に有利な実施態様において、本発明の懸濁液中のカルシウム、鉄及びマグネシウムの全含量は、乾燥した物質を基準として、400ppm未満、有利には1ppm〜350ppm、特に有利には10ppm〜300ppm、更に特に有利には50ppm〜260ppmである。
【0049】
特に、多価の陰イオンは、これらがシリカ粒子を「癒着」させて、アグロメレートの形成をもたらすので、多くの用途で、例えば、液体媒体の吸収の分野で、例えば、インクジェット印刷の分野で干渉し、そのため、本発明の懸濁液中の多価の陰イオンの全含量は有利には非常に低い。特定の実施態様において、これは50ppm未満、有利には20ppm、特に有利には0.0001〜10ppm、更に特に有利には0.001〜5ppmである。
【0050】
本発明の懸濁液中の沈降シリカ粒子は、有利には100nm〜10μmの平均粒度d50を有し、従って、紙被膜の製造に使用される際に、十分に小さい液滴サイズがインク吸収で達成されることを保証する。
【0051】
特定の用途、例えば、インクジェット媒体の場合、本発明の懸濁液中の沈降シリカ粒子は、表面変性剤、有利には高分子電解質、特に有利にはp−DADMACで被覆することができる。
【0052】
本方法の詳細な説明に上記される通り、本発明の懸濁液は、2種以上の沈降シリカ及び/又はフュームドシリカ及び/又はシリカゲルをも含む。この方法では、本発明の懸濁液の特性は、それぞれの適用分野の要求に非常に良く合致し得る。しかしながら、本発明の懸濁液は有利にはSiOのみを1種以上の沈降シリカの形で含有し、更に特に有利には分散媒体及び残留量の塩不純物と一緒に1種の沈降シリカのみを含有する。
【0053】
精製した懸濁液の乾燥によって非常に低い割合の塩不純物を有する高度に純粋な沈降シリカを製造することが可能である。ここで、原則的に当業者に公知の乾燥方法、例えば、フロー乾燥機、スプレー乾燥機、棚式乾燥機、ベルト乾燥機、管型回転乾燥機、フラッシュ乾燥機、スピンフラッシュ乾燥機又はノズル塔乾燥機を使用することが可能である。これらの乾燥変法は、アトマイザ、1液体もしくは2液体ノズル又は一体化された流動床を使用する作業を含む。噴霧乾燥は、例えば、US4094771号に記載される通りに実施することができる。ノズル塔乾燥は、例えば、EP0937755号に記載される通りに実施することができる。噴霧乾燥した粒子は、レーザー光散乱を用いて測定されて、15μmを上回る、有利には15〜80μmの平均直径を有し得る。ノズル塔乾燥粒子は、有利には、篩分析(Alpine)により測定されて、80μmを上回る、特に90μmを上回る、有利には200μmを上回る平均粒度を有する。
【0054】
本発明の懸濁液は、インクジェット記録媒体の紙被膜の製造に及び/又は化学機械的研磨の分野で使用することができる。
【0055】
測定方法
1)懸濁液のpH
懸濁液のpHは、予め較正された組み合わせ電極を用いて公知の方法によって決定される。
【0056】
2)熱いキャリアガスの抽出による全硫黄含量の決定
硫黄含量の決定は、LECO分析器SC144DRでの熱いキャリアガスの抽出によって行われる。
【0057】
分析のために、約250mgの未処理の試料をセラミックボートに秤量した。この試料を酸素の流れの下で電気抵抗炉で燃焼させる。試料中に存在する硫黄は二酸化硫黄に酸化されて、これは、分析器での種々の精製工程後に、赤外線検出器によって定量化される。
【0058】
3)硫酸ナトリウムの含量の決定
試料を遠心分離した。上澄液を、硫酸濃度に応じて、1:10〜1:200だけ蒸留水で希釈した。希釈した溶液を濾過した。硫酸含量をイオンクロマトグラフィによって測定した。硫酸ナトリウム含量は、従って硫酸含量から計算される。
【0059】
4)カルシウム、鉄及びマグネシウムの全含量の決定
カルシウム、鉄及びマグネシウムの全含量の決定は、ICP−MSによって行われる。結果は乾燥材料を基準とする。乾燥時の損失の決定は、従って最初に約25gの試料材料を秤量し、これを加熱板で95℃で蒸発させ、次いでこれを乾燥炉内で105℃で一定の重量になるまで乾燥することによって決定される。
【0060】
カルシウム、鉄及びマグネシウムの含量を決定するために、次に約25gの試料材料を白金皿に秤量し、濃縮した硫酸及びフッ化水素酸を450℃でマッフル炉内で数時間かけて添加して灰化する。灰残留物を濃縮した硫酸に溶解し、ポリプロピレン試験管に移し且つ高純度の水で仕上げる。二重反復測定を実行するために、これらの2つの蒸解をそれぞれの試料で実施することができる。
【0061】
試料溶液を、ポリプロピレン試験管中で希硝酸で希釈する。その上、ブランク溶液及び多元素原液からの種々の較正溶液も調製される。元素インジウムを追加的に全てのブランク、較正及び試料溶液に内標準として添加する。この方法で調製されるブランク、較正及び試料溶液の元素含量は、元素ヒ素及びセレンについて4000又は10000の質量分解能(m/△m)で高分解能誘導結合プラズマ質量分析(HR−ICPMS)によって測定され且つ外部較正によって定量化される。
【0062】
シリカ粒子の平均粒度の決定
高純度二酸化ケイ素の平均粒度d50の決定は、Coulter LS 230レーザー光散乱装置を使用して行う。
【0063】
説明:
粒度を決定するためのフラウンホーファーモデルによるレーザー光散乱の使用は、粒子が、単色光を異なる強度パターンにより全ての方向に散乱する現象に基づく。この散乱は、粒度に依存する。粒子が小さいほど、この散乱角は大きくなる。1μm未満の粒度の場合、評価をMie理論を用いて行う。
【0064】
手順:
Coulter LS 230レーザー光散乱装置は、一定の測定値を得るために、スイッチオンした後、1.5〜2.0時間の暖機時間が必要である。試料は、測定の前に非常によく振り混ぜなければならない。まずプログラム「Coulter LS 230」をダブルクリックで開始する。ここで、"Optische Bank benutzen"が作動し且つCoulter装置のディスプレイが"Speed off"を示すことが保証されなければならない。ボタン"Drain"を測定セル中の水がなくなるまで押し続け、その後、流体移送ポンプでボタン"On"を押し、同様に水が流れ込んで装置で溢れるまでこれを押し続ける。この操作を全部で2回行う。その後"Fill"を押す。プログラムを自動的に開始させてシステムから気泡を取り除く。この速度は自動的に上昇して再び下降する。測定のために選択されるポンプの動力は設定されなければならない。
【0065】
測定の前に、この測定をPIDSを用いて行うか又は用いずに行うか決定しなければならない。測定を開始するために、"Messung"、"Messzyklus"が選択される。
【0066】
a)PIDSを使用しない測定
測定時間は60秒であり、遅延時間は0秒である。レーザー光散乱に基づく計算モデルを続いて選択する。
【0067】
バックグラウンド測定は各測定前に自動的に行われる。バックグラウンド測定の後、8〜12%の濃度に到達するまで試料を測定セル中に導入しなければならない。プログラムは上部で"OK"を表示することによってこれを合図する。最後に、"Fertig"をクリックする。次にこのプログラムは全ての必要な工程を自動的に実行し、測定を終えた後に、試験される試料の粒度分布が生成される。
【0068】
b)PIDSを使用する測定
PIDSを使用する測定は、予想される粒度分布がサブミクロン範囲である時に実施する。
【0069】
測定時間は90秒であり、遅延時間は0秒である。レーザー光散乱に基づく計算モデルを続いて選択する。
【0070】
バックグラウンド測定は各測定前に自動的に行われる。バックグラウンド測定の後、少なくとも45%の濃度に到達するまで試料を測定セル中に導入しなければならない。プログラムは上部で"OK"を表示することによってこれを合図する。最後に、"Fertig"をクリックする。次にこのプログラムは全ての必要な工程を自動的に実行し、測定を終えた後に、試験される試料の粒度分布が生成される。
【0071】
以下の実施例は、単に本発明のより良い理解を助けるために役立つものであって、本発明を決して制限するものではない。
【0072】
実施例1:
20質量%の沈降シリカ(Ultrasil 7000)を含み且つpH4を有する500mlの懸濁液を、3つの循環路、即ち、生成物循環路、陽極液循環路及び陰極液循環路、及び電気透析セルを含む電気透析装置に置いた。懸濁液の最初の硫酸ナトリウム含量は800ppmであった。陽極液及び陰極液として、それぞれの場合に約500mlの脱イオン水を装置に置いた。生成物流れが陽極液及び陰極液流れに対して向流で電気透析セルを流れるように、懸濁液及び溶液を好適なポンプで循環させた。電気透析セルは、詳細な説明に上記される通り、2つの外側チャンバに設置されている乱流プロモータと共に、3つのチャンバを含んでいた。生成物が中間チャンバに通され、陽極液及び陰極液は、それぞれ、2つの外側チャンバに通された。生成物チャンバは、陽イオン交換膜(DuPont,Nafion 450)によって陰極液から隔離された。陽極液は、約100nmの細孔開口を有する隔膜によって生成物チャンバから隔離された。鉛板を陰極として使用し、白金箔を陽極として使用した。電極域は100cmである。電極間隔は30mmであった。H爆発を防止するために、全ての容器を窒素で覆った。生成物チャンバ内の圧力を、逆混合を防ぐために生成物チャンバ内の圧力よりも陽極液チャンバ内の圧力が高くならないように調整した。電源により直流が電位差でセルに供給され、これを75Vで操作した。電気透析の開始から2時間後、懸濁液中の硫酸ナトリウム濃度は約50ppmであり、電流は約0.01Aから0.05Aに増加した。pHは3.5に低下した。
【0073】
実施例2:
16質量%の沈降シリカ(Sipernat 200)を含み且つpH3.3を有する500mlの懸濁液を、3つの循環路、即ち、生成物循環路、陽極液循環路及び陰極液循環路、及び電気透析セルを含む電気透析装置に置いた。懸濁液の最初の硫酸ナトリウム含量は450ppmであった。陽極液及び陰極液として、それぞれの場合に約500mlの脱イオン水を装置に置いた。生成物流れが陽極液及び陰極液流れに対して向流で電気透析セルを流れるように、懸濁液及び溶液を好適なポンプで循環させた。電気透析セルは、詳細な説明に上記される通り、2つの外側チャンバに設置されている乱流プロモータと共に、3つのチャンバを含んでいた。生成物が中間チャンバに通され、陽極液及び陰極液は、それぞれ、2つの外側チャンバに通された。生成物チャンバは、陽イオン交換膜(DuPont,Nafion 450)によって陰極液から隔離された。陽極液は、約100nmの細孔開口を有する隔膜によって生成物チャンバから隔離された。鉛板を陰極として使用し、白金箔を陽極として使用した。電極域は100cmである。電極間隔は30mmであった。H爆発を防止するために、全ての容器を窒素で覆った。生成物チャンバ内の圧力を、逆混合を防ぐために生成物チャンバ内の圧力よりも陽極液チャンバ内の圧力が高くならないように調整した。電源により直流が電位差でセルに供給され、これを75Vで操作した。電気透析の開始から75分後、懸濁液中の硫酸ナトリウム濃度は約50ppmであり、電流は約0.01Aから0.05Aに増加した。pHは3.1に低下した。本発明による分散液中の重要な不純物の含量を以下の表1に示す:
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
低い塩含量を有し且つ少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液の製造方法において、
a)少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液を提供する工程、
b)工程a)からの懸濁液が未だ0.5〜5の範囲のpHを有していない場合、該懸濁液のpHを前記範囲の値に調整する工程、
c)電気透析によって懸濁液を精製する工程、その際、
i.電気透析装置が1つ以上の電気透析セルを含み、該セルは、いずれの場合にも陽イオン交換膜と電極との間隔が2mm〜200mmであることによって、生成物領域が陰極液領域から隔離されるように構成されている、
ii.5〜1000ボルトの電位が印加される、
を含む、前記懸濁液の製造方法。
【請求項2】
工程a.の懸濁液がアルカリ金属ケイ酸塩及び/又はアルカリ土類金属ケイ酸塩と、少なくとも1種の酸性化剤又は濾過ケークの液化によって得られる懸濁液又は濾過ケークの洗浄及び液化によって得られる懸濁液との反応によって直接得られる沈降懸濁液であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
懸濁液が、分散媒体、有利には水及び/又は蒸留水及び/又は脱イオン水及び/又は酸性化剤において、特に有利にはせん断力の作用下で、粉状、顆粒状又は微顆粒状の沈降シリカを懸濁することによって得られることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
電気透析を、電気透析セルに循環式でポンプ輸送される陽極液、陰極液及び懸濁液を用いて実施し、その際、陽極液及び陰極液が、有利には沈降シリカ懸濁液に対して向流で移送されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記方法を、乱流が生成物領域及び/又は陽極液領域及び/又は陰極液領域で確立されるように実施することを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
陽極液領域での圧力が生成物領域での圧力以下であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
生成物領域がいずれの場合にも陰イオン交換膜及び/又は隔膜によって陽極液領域から隔離されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
隔膜が5nm〜10μmの細孔開口を有することを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
懸濁液のpHを、電気透析の開始時のpHが±0.3以内で変動するように及び/又は電気透析の終了時に電気透析の開始時の初期値よりも25%以内で下回るように、電気透析の間、一定に維持することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
鉛、グラファイト又はステンレス鋼電極を陰極として使用し且つ白金電極、白金被覆金属電極、ダイアモンド又はDSA(登録商標)を陽極として使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの粉砕工程を、工程a)の前に及び/又は工程a)とb)との間に及び/又は工程b)とc)との間に及び/又は工程c)の後に実施することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記方法を、懸濁液中の沈降シリカ粒子が前記方法の最後に100nmから10μmまでの平均粒度d50を有するように制御することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
沈降シリカ粒子を表面変性剤と接触させる工程を含むことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
1000ppm以下の硫酸ナトリウム含量を有することを特徴とする、少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液。
【請求項15】
乾燥した沈降シリカを基準として、少なくとも0.02[%g/g]未満の硫黄含有化合物の含量を有することを特徴とする、懸濁液。
【請求項16】
ICP−MSによって測定して400ppm未満のカルシウム、鉄及びマグネシウムの全含量を有することを特徴とする、請求項14又は15記載の懸濁液。
【請求項17】
沈降シリカ粒子が100nmから10μmまでの平均粒度d50を有することを特徴とする、請求項14から16までのいずれか1項記載の少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液。
【請求項18】
沈降シリカ粒子の表面の少なくとも1部が表面変性剤で被覆されていることを特徴とする、請求項14から17までのいずれか1項記載の少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液。
【請求項19】
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法によって得られる沈降シリカ懸濁液。
【請求項20】
請求項14から19までのいずれか1項記載の少なくとも1種の沈降シリカを含有する懸濁液を、インクジェット記録媒体用の紙被膜の製造に及び/又は化学機械的研磨の分野に又は乾燥した沈降シリカの製造に用いる使用。
【請求項21】
陽極、隔膜及び/又は陰イオン交換膜及び/又は別の膜によって生成物領域から隔離されている陽極液領域、陰極液領域及び陰極を含む電気透析セルであって、
− 陽イオン交換膜が生成物領域と陰極液領域との間に存在し且つ
− 電極の間隔が2mm〜200mmである、
ことを特徴とする、前記電気透析セル。
【請求項22】
乱流プロモータが陽極液領域及び陰極液領域に存在することを特徴とする、請求項21記載の電気透析セル。
【請求項23】
スルホン化陽イオン交換膜を含むことを特徴とする、請求項21又は22記載の電気透析セル。
【請求項24】
請求項21から23までのいずれか1項記載の少なくとも1つの電気透析セルを含む電気透析装置。
【請求項25】
陽極液及び陰極液が生成物流れに対して向流で前記装置に移送されるように構成されることを特徴とする、請求項24記載の電気透析セル。

【公表番号】特表2012−520168(P2012−520168A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553454(P2011−553454)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053098
【国際公開番号】WO2010/103068
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】