説明

電気部品のリード部寸法調整方法、圧着端子組付け方法および端子圧着方法、並びに電気部品のリード部寸法調整装置および端子圧着設備

【課題】自動化により、各リード部の突出長さを所定の寸法に精度よく調整でき、サイクルタイムの向上および品質の向上を図った端子圧着設備を提供する。
【解決手段】コンデンサを順次送り出し、各リード部を所定長さに切断するリード部寸法調整装置を備えた電気部品供給ステーション11と、コンデンサを吸着して保持する吸引パイプ28を備え、コンデンサを吸着状態で順次搬送する吸着搬送手段16と、吸引パイプ28により搬送されたコンデンサの一方のリード部に、内導体端子の圧着部を圧着する内導体圧着ステーション12と、吸引パイプ28により搬送されるコンデンサのリード部に圧着された内導体端子を、外導体端子の接続部内に装着された絶縁材からなるホルダ部材の装着孔に挿入して装着する内導体装着ステーション13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線に圧着される圧着端子に備えられる電気部品のリード部寸法調整方法、圧着端子の組付け方法およびその圧着端子の端子圧着方法、並びにその実施に適したリード部寸法調整装置および端子圧着設備に関する。
【背景技術】
【0002】
同軸電線に接続される圧着端子として、外導体端子内に内導体端子を保持すると共に、その内導体端子にコンデンサを圧着接続したものが提案されている。この圧着端子と同軸電線との圧着接続は、外導体端子の圧着部を同軸電線の外部導体および外皮層に圧着し、さらに、別途共圧着端子を用いて同軸電線の内部導体とコンデンサのリードとを圧着することによってなされる。
【0003】
例えば、そのような圧着端子の圧着手順としては、図18ないし図23に示されるように、手作業で、同軸電線1を調尺して切断機で切断し、その端末部を皮剥装置により絶縁材層としての外皮層1aや内皮層1bの皮剥を行い、外部導体としての編組層1cや内部導体としての中心導体1dを所定長さ露出させる。
【0004】
一方、手作業により、コンデンサ2の一方に突出するリード部2aを、端子圧着機にセットされた内導体端子3の圧着部3aに位置合わせして、セットし、圧着部3aをリード部2aに圧着する。
【0005】
その後、手作業により、端子圧着機に、この内導体端子3が接続されたコンデンサ2の他方に突出するリード部2bと、同軸電線1の中心導体1dとを、位置合わせしてセットし、共圧着端子4で圧着する。
【0006】
次に、このコンデンサ2および内導体端子3が接続された同軸電線1における内導体端子3およびコンデンサ2を、手作業により、外導体端子5に軸方向から挿入していき、内導体端子3を外導体端子5の接続部5a内に装着された絶縁材からなるホルダ部材6の装着孔6aに挿入して装着し、外皮層1aおよび編組層1cを、圧着部5bの第1圧着片5cおよび第2圧着片5dの位置に位置合わせする。
【0007】
この外導体端子5が端末部に装着された同軸電線1における外導体端子5部分を端子圧着機にセットし、外導体端子5の第1圧着片5cおよび第2圧着片5dをそれぞれ圧着すれば、圧着工程が終了する。
【0008】
そして、それぞれの処理後は、目視の確認により処理状態の良否の検査を行っていた。
【0009】
なお、同軸電線に接続される端子を開示する先行技術としては、例えば特許文献1に記載のものがある。
【0010】
【特許文献1】特開2001−176566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のような圧着端子と同軸電線とを圧着接続する圧着手順によれば、各作業機器間の手作業による所定のワークの移動作業や位置決め作業が多く、またワークも小さいため、手間がかかり、サイクルタイムが長くなる欠点があると共に、端子圧着機に対して、手作業によりセットするため、安定した精度が得難く、製品の品質上も問題があった。
【0012】
特に、コンデンサ2においては、非常に小さな電気部品であり、その両側に突出する各リード部2a,2bの突出長さも所定の寸法に精度よく調整する必要があり、非常に面倒な作業となっていた。
【0013】
そこで、本発明は、自動化により、各リード部の突出長さを所定の寸法に精度よく、調整できるリード部寸法調整方法やリード部寸法調整装置、さらにはサイクルタイムの向上および品質の向上を図った圧着端子組付け方法および端子圧着方法並びに端子圧着設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための電気部品のリード部寸法調整方法の技術的手段は、電気部品の両側にそれぞれ突出配置されたリード部のそれぞれの突出端部がテープ材に装着されて、該テープ材の長手方向に沿って電気部品が所定間隔で連鎖状態に備えられた電気部品連鎖部材を備え、該電気部品連鎖部材から所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を1個ずつ切り離すための電気部品のリード部寸法調整方法であって、順次送り出される前記電気部品連鎖部材における前記電気部品の両側のリード部をそれぞれクランプ体で解除自在にクランプした状態で、各リード部を各クランプ体の外側位置で切断して前記テープ材から電気部品を切り離す切り離し工程と、切り離された前記電気部品の各リード部をクランプする各クランプ体のうち、リード部の突出方向に移動不能とされた一方の基準となるクランプ体に対して、リード部の突出方向に移動可能とされた他方のクランプ体を接近操作し、各クランプ体と各リード部との相対的な摺動により両クランプ体で電気部品を挟んだ状態とする位置決め工程と、前記両クランプ体で前記電気部品を挟んだ状態で、前記基準となるクランプ体における電気部品との当接面を基準面として、その基準面からそれぞれ所定寸法離れた位置で各リード部を切断する寸法調整工程と、を備える点にある。
【0015】
また、上記課題を解決するための端子圧着組付け方法の技術的手段は、圧着部を有する外導体端子に内導体端子と電気部品とを組込んだ圧着端子組付け方法であって、前記電気部品のリード部寸法調整方法により、前記電気部品連鎖部材から1個ずつ前記電気部品を切り離し、所定長さの前記リード部をそれぞれ備える電気部品を供給する電気部品供給工程と、前記供給された前記電気部品を吸着手段による吸引で吸着状態とする電気部品吸着工程と、前記吸着手段により吸着された前記電気部品を、内導体圧着機に搬送して、前記内導体端子の圧着部を一方の前記リード部に圧着する内導体圧着工程と、前記内導体端子の圧着後、前記吸着手段により吸着された前記電気部品を、前記外導体端子が所定姿勢で配置された内導体挿入ユニットに搬送し、前記一方のリード部に圧着接続されている内導体端子を、外導体端子の接続部内に装着された絶縁材からなるホルダ部材の装着孔に挿入して装着する内導体装着工程と、前記内導体端子の装着後、前記吸着手段による吸引を解除して、吸着手段を退避させる吸着手段退避工程と、を備える点にある。
【0016】
さらに、上記課題を解決するための端子圧着方法の技術的手段は、前記圧着端子組付け方法により組付けられた圧着端子に、2つの導体を有する電線を圧着接続する端子圧着方法であって、前記電線における前記2つの導体が露出された状態で、端子圧着機に所定姿勢で配置された前記圧着端子の上方よりセットし、一方の前記導体に前記外導体端子の前記圧着部を圧着し、他方の前記導体と前記電気部品の他方のリード部とを共圧着端子で圧着する点にある。
【0017】
また、上記課題を解決するための電気部品のリード部寸法調整装置の技術的手段は、電気部品の両側にそれぞれ突出配置されたリード部のそれぞれの突出端部がテープ材に装着されて、該テープ材の長手方向に沿って電気部品が所定間隔で連鎖状態に備えられた電気部品連鎖部材を備え、該電気部品連鎖部材から所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を1個ずつ切り離すための電気部品のリード部寸法調整装置であって、順次送り出されてくる前記電気部品連鎖部材における前記電気部品の両側のリード部をそれぞれ解除自在にクランプする対のクランプ体と、前記対のクランプ体により前記クランプされた状態で、各リード部を各クランプ体の外側位置で切断して前記テープ材から電気部品を切り離す切り離し機構と、前記切り離された前記電気部品の各リード部をクランプする前記各クランプ体のうち、リード部の突出方向に移動不能とされた一方の基準となるクランプ体に対して、リード部の突出方向に移動可能とされた他方のクランプ体を接近操作し、各クランプ体と各リード部との相対的な摺動により両クランプ体で電気部品を挟んだ状態とする位置決め機構と、前記両クランプ体で前記電気部品を挟んだ状態で、前記基準となるクランプ体における電気部品との当接面を基準面として、その基準面からそれぞれ所定寸法離れた位置で各リード部を切断する寸法調整機構と、を備える点にある。
【0018】
さらに、上記課題を解決するための端子圧着設備の技術的手段は、圧着部を有する外導体端子に内導体端子と電気部品とを組込んだ圧着端子を製造する端子圧着設備であって、前記電気部品のリード部寸法調整装置を備え、該リード部寸法調整装置により所定長さの前記リード部をそれぞれ備える前記電気部品を供給する電気部品供給ステーションと、前記電気部品供給ステーションで供給された前記電気部品を解除操作自在な吸引により吸着して保持する吸着手段を備え、該吸着手段により電気部品を吸着状態で順次搬送する吸着搬送手段と、前記吸着手段により吸着された状態で搬送された前記電気部品の一方のリード部に、前記内導体端子の圧着部を圧着する内導体圧着機が備えられた内導体圧着ステーションと、前記吸着手段により吸着された状態で搬送される前記電気部品の前記一方のリード部に圧着された前記内導体端子を、前記外導体端子の接続部内に装着された絶縁材からなるホルダ部材の装着孔に挿入して装着する内導体装着ステーションと、を備える点にある。
【0019】
また、前記内導体端子が装着された前記外導体端子に、前記2つの導体が露出された状態の前記電線がセットされて、一方の前記導体に前記外導体端子の前記圧着部を圧着し、他方の前記導体と前記電気部品の他方のリード部とを共圧着端子で圧着する外導体圧着ステーションをさらに備える構造としてもよい。
【0020】
さらに、前記電気部品における切断された前記一方の前記リード部を撮像手段により撮像し、画像処理によりその一方のリード部の長さの良否を判定する検査装置と、前記内導体端子の圧着部と前記一方のリード部との圧着位置を撮像手段により撮像し、画像処理により前記圧着位置の良否を判定する検査装置と、前記内導体端子の圧着部と前記一方のリード部との圧着状態を撮像手段により撮像し、画像処理により前記圧着状態の良否を判定する検査装置と、前記外導体端子の前記接続部内に前記内導体端子を装着した状態で、前記電気部品の前記他方の前記リード部を撮像手段により撮像し、画像処理によりその他方のリード部の長さおよび姿勢の良否を判定する検査装置と、を備える構造としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の電気部品のリード部寸法調整方法によれば、電気部品の両側にそれぞれ突出配置されたリード部のそれぞれの突出端部がテープ材に装着されて、該テープ材の長手方向に沿って電気部品が所定間隔で連鎖状態に備えられた電気部品連鎖部材を備え、該電気部品連鎖部材から所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を1個ずつ切り離すための電気部品のリード部寸法調整方法であって、順次送り出される電気部品連鎖部材における電気部品の両側のリード部をそれぞれクランプ体で解除自在にクランプした状態で、各リード部を各クランプ体の外側位置で切断してテープ材から電気部品を切り離す切り離し工程と、切り離された電気部品の各リード部をクランプする各クランプ体のうち、リード部の突出方向に移動不能とされた一方の基準となるクランプ体に対して、リード部の突出方向に移動可能とされた他方のクランプ体を接近操作し、各クランプ体と各リード部との相対的な摺動により両クランプ体で電気部品を挟んだ状態とする位置決め工程と、両クランプ体で電気部品を挟んだ状態で、前記基準となるクランプ体における電気部品との当接面を基準面として、その基準面からそれぞれ所定寸法離れた位置で各リード部を切断する寸法調整工程と、を備える方法であり、電気部品連鎖部材における各電気部品の取付け位置の誤差に左右されずに、切り離された電気部品における各リード部の突出長さを精度よく確保でき、ここに、各リード部の突出長さを所定の寸法に精度よく調整された電気部品を自動的に供給できる利点がある。
【0022】
また、請求項2に記載の圧着端子組付け方法によれば、電気部品のリード部寸法調整方法により、電気部品連鎖部材から1個ずつ電気部品を切り離し、所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を供給する電気部品供給工程と、供給された電気部品を吸着手段による吸引で吸着状態とする電気部品吸着工程と、吸着手段により吸着された電気部品を、内導体圧着機に搬送して、内導体端子の圧着部を一方のリード部に圧着する内導体圧着工程と、内導体端子の圧着後、吸着手段により吸着された電気部品を、外導体端子が所定姿勢で配置された内導体挿入ユニットに搬送し、一方のリード部に圧着接続されている内導体端子を、外導体端子の接続部内に装着された絶縁材からなるホルダ部材の装着孔に挿入して装着する内導体装着工程と、内導体端子の装着後、吸着手段による吸引を解除して、吸着手段を退避させる吸着手段退避工程と、を備える方法であり、外導体端子に内導体端子と電気部品を組込んだ一連の圧着端子の組付けが自動的に行えるため、サイクルタイムの向上が図れると共に、位置決め精度が向上し、製品の品質向上が図れる利点がある。
【0023】
さらに、請求項3に記載の端子圧着方法によれば、圧着端子組付け方法により組付けられた圧着端子に、2つの導体を有する電線を圧着接続するに際して、電線における2つの導体が露出された状態で、端子圧着機に所定姿勢で配置された圧着端子の上方よりセットし、一方の導体に外導体端子の圧着部を圧着し、他方の導体と電気部品の他方のリード部とを共圧着端子で圧着する方法であり、上記同様の利点を有すると共に、圧着部の上方から露出された導体をセットするため、前述のように外導体端子に対して軸方向から挿入する場合と比較して、圧着部と編組層等の導体との接触摺動が有効に防止でき、編組層のばらけ等の問題も有効に回避できる。
【0024】
また、請求項4に記載の電気部品のリード部寸法調整装置によれば、電気部品の両側にそれぞれ突出配置されたリード部のそれぞれの突出端部がテープ材に装着されて、該テープ材の長手方向に沿って電気部品が所定間隔で連鎖状態に備えられた電気部品連鎖部材を備え、該電気部品連鎖部材から所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を1個ずつ切り離すための電気部品のリード部寸法調整装置であって、順次送り出されてくる電気部品連鎖部材における電気部品の両側のリード部をそれぞれ解除自在にクランプする対のクランプ体と、対のクランプ体によりクランプされた状態で、各リード部を各クランプ体の外側位置で切断してテープ材から電気部品を切り離す切り離し機構と、切り離された電気部品の各リード部をクランプする各クランプ体のうち、リード部の突出方向に移動不能とされた一方の基準となるクランプ体に対して、リード部の突出方向に移動可能とされた他方のクランプ体を接近操作し、各クランプ体と各リード部との相対的な摺動により両クランプ体で電気部品を挟んだ状態とする位置決め機構と、両クランプ体で電気部品を挟んだ状態で、前記基準となるクランプ体における電気部品との当接面を基準面として、その基準面からそれぞれ所定寸法離れた位置で各リード部を切断する寸法調整機構と、を備える構造とされており、電気部品連鎖部材における各電気部品の取付け位置の誤差に左右されずに、切り離された電気部品における各リード部の突出長さを精度よく確保でき、ここに、各リード部の突出長さを所定の寸法に精度よく調整された電気部品を自動的に供給できる利点がある。
【0025】
さらに、請求項5に記載の端子圧着設備によれば、電気部品のリード部寸法調整装置を備え、該リード部寸法調整装置により所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を供給する電気部品供給ステーションと、電気部品供給ステーションで供給された電気部品を解除操作自在な吸引により吸着して保持する吸着手段を備え、該吸着手段により電気部品を吸着状態で順次搬送する吸着搬送手段と、吸着手段により吸着された状態で搬送された電気部品の一方のリード部に、内導体端子の圧着部を圧着する内導体圧着機が備えられた内導体圧着ステーションと、吸着手段により吸着された状態で搬送される電気部品の一方のリード部に圧着された内導体端子を、外導体端子の接続部内に装着された絶縁材からなるホルダ部材の装着孔に挿入して装着する内導体装着ステーションと、を備える構造とされており、外導体端子に内導体端子と電気部品を組込んだ一連の圧着端子の製造が自動的に行えるため、サイクルタイムの向上が図れると共に、位置決め精度が向上し、製品の品質向上が図れる利点がある。
【0026】
また、請求項6に記載の端子圧着設備によれば、内導体端子が装着された外導体端子に、2つの導体が露出された状態の電線がセットされて、一方の導体に外導体端子の圧着部を圧着し、他方の導体と電気部品の他方のリード部とを共圧着端子で圧着する外導体圧着ステーションをさらに備える構造とされているため、請求項5と同様の利点を有すると共に、圧着部の上方から露出された導体をセットすることができるため、前述のように外導体端子に対して軸方向から挿入する場合と比較して、圧着部と編組層等の導体との接触摺動が有効に防止でき、編組層のばらけ等の問題も有効に回避できる。
【0027】
さらに、電気部品における切断された一方のリード部を撮像手段により撮像し、画像処理によりその一方のリード部の長さの良否を判定する検査装置と、内導体端子の圧着部と一方のリード部との圧着位置を撮像手段により撮像し、画像処理により圧着位置の良否を判定する検査装置と、内導体端子の圧着部と一方のリード部との圧着状態を撮像手段により撮像し、画像処理により圧着状態の良否を判定する検査装置と、外導体端子の接続部内に内導体端子を装着した状態で、電気部品の他方のリード部を撮像手段により撮像し、画像処理によりその他方のリード部の長さおよび姿勢の良否を判定する検査装置と、を備える構造とされているため、前述のように目視により検査する場合と比較して、検査の精度が向上し、不良品の発生が有効に防止でき、製品の品質がより一層、向上できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は端子圧着設備全体の概略説明図を示しており、電気部品供給ステーション11と、内導体圧着ステーション12と、内導体装着ステーション13と、外導体圧着ステーション14と、製品検査ステーション15と、電気部品供給ステーション11,内導体圧着ステーション12,内導体装着ステーション13間にわたって所定のワークを搬送する吸着搬送手段16とを、主構成として備えた設備とされている。
【0029】
前記電気部品供給ステーション11においては、図2ないし図6に示されるように、電気部品の一例としてのコンデンサ18が所定の状態で順次送り出されるように構成されている。即ち、本実施形態においては、コンデンサ18の両側にそれぞれ突出配置された各リード部18a,18bのそれぞれの突出端部がそれぞれ細長帯状のテープ材19に貼着等により等間隔で取付けられて、電気部品連鎖部材20を構成しており、この電気部品連鎖部材20をコンデンサ18の1ピッチ毎に所定の送り方向Pに間欠送りする構造とされている。
【0030】
コンデンサ18を1ピッチ毎に間欠送りする機構としては、例えば、図2の仮想線で示されるように、各リード部18a,18bに係脱自在な送りピン21が、各リード部18a,18bの移動軌跡上に出没自在に突出して、送り方向Pに所定距離移動することにより、コンデンサ18の各リード部18a,18bを送りピン21で引っ掛けて、コンデンサ18を送り方向Pに1ピッチ分、間欠送りする構造とされている。なお、その他の間欠送り機構であってもよい。
【0031】
また、順次送り出されてくる電気部品連鎖部材20の送り出し方向下流端に位置するコンデンサ切り離し位置Aには、コンデンサ18の各リード部18a,18bの位置に対応して、両側のリード部18a,18bをそれぞれ解除自在にクランプする対のクランプ体22a,22bが備えられると共に、対のクランプ体22a,22bによりクランプされた状態で、各リード部18a,18bを各クランプ体22a,22bの外側位置、即ちテープ材19寄りの位置で切断する切り離しカッター体23a,23bが、例えば上方より出退操作自在に備えられている。なお、各クランプ体22a,22bによるクランプは、コンデンサ18の各リード部18a,18bを支承可能な状態で、保持する構造であればよい。
【0032】
そして、対のクランプ体22a,22bによりクランプされた状態で、各リード部18a,18bを切り離しカッター体23a,23bにより切断することにより、電気部品連鎖部材20のテープ材19からコンデンサ18を1個ずつ切り離す構造とされている(切り離し工程)。ここに、これら切り離しカッター体23a,23bにより、切り離し機構が構成されている。
【0033】
また、コンデンサ切り離し位置Aで電気部品連鎖部材20からコンデンサ18を切り離した状態で、コンデンサ18の各リード部18a,18bをクランプする各クランプ体22a,22bを、図2の仮想線で示されるように、一側方の寸法調整位置Bに移動操作される。このコンデンサ切り離し位置Aから寸法調整位置Bへの移動操作としては、例えば、各クランプ体22a,22bを支持する支持部を一側方へ180度反転した状態とすることによって移動させることができる。また、各クランプ体22a,22bを一側方へスライド移動させることによって移動操作する構造等であってもよい。
【0034】
各クランプ体22a,22bのうち、一方のクランプ体22aは、リード部18a,18bの突出方向に対して移動不能とされ、位置決めの基準となる、いわゆる基準クランプ体22aとして構成されている。これに対し、他方のクランプ体22bは、リード部18a,18bの突出方向に移動可能ないわゆる移動クランプ体22bとして構成されている。
【0035】
そして、寸法調整位置Bにおいて、各クランプ体22a,22bでコンデンサ18の各リード部18a,18bがクランプされた状態で、一方の基準クランプ体22aに対して他方の移動クランプ体22bを接近操作することにより、各リード部18a,18bと各クランプ体22a,22bとが相対的に摺動して、図3に示されるように、両クランプ体22a,22bでコンデンサ18を挟んだ状態とすることができる(位置決め工程)。ここに、各クランプ体22a,22bによりコンデンサ18を所定位置に位置決めする位置決め機構が構成されている。
【0036】
さらに、図4に示されるように、この両クランプ体22a,22bによるコンデンサ18を挟んだ状態で、基準クランプ体22aにおけるコンデンサ18との当接面を基準面25として、その基準面25から各リード部18a,18bの突出方向にそれぞれ所定寸法L1,L2離れた位置で、各リード部18a,18bの遊端部側を切断する寸法調整カッター体26a,26bがそれぞれ、例えば上方より出退操作自在に備えられている。
【0037】
そして、図4に示される状態で、各寸法調整カッター体26a,26bにより、各リード部18a,18bを切断することによって、コンデンサ18両側に突出するリード部18a,18bが所定長さにそれぞれ寸法調整される構造とされている(寸法調整工程)。ここに、これらクランプ体22a,22bや寸法調整カッター体26a,26bにより、寸法調整機構が構成されている。そして、これらの切り離し機構や位置決め機構や寸法調整機構等によりコンデンサ18のリード部18a,18bの突出長さを所望の寸法に調整するリード部寸法調整装置が構成されている。
【0038】
電気部品供給ステーション11において、電気部品連鎖部材20から切り離されると共に、所定長さのリード部18a,18bをそれぞれ備えるコンデンサ18が、上記のようにして供給されると(電気部品供給工程)、図5に示されるように、寸法調整位置Bに対応して配置された待機位置Cで、予め待機している吸着搬送手段16における吸引パイプ28が、クランプ体22a,22bでクランプされているコンデンサ18方向に移動して、他方のリード部18bにその軸方向より套嵌されるように構成されている。
【0039】
この吸引パイプ28は、リード部18bより大径で、コンデンサ18自体より小径の内径を有するパイプ体とされ、その他端側は真空ポンプ等の吸引装置に接続されており、吸引解除操作自在に構成されている。そして、吸引パイプ28が吸引状態でリード部18bに対してその軸方向より套嵌されることにより、図6に示されるように、コンデンサ18が吸引パイプ28に吸着されて保持(電気部品吸着工程)される構造とされている。即ち、吸引パイプ28のリード部18bに対して套嵌された吸引状態で、各クランプ体22a,22bは各リード部18a,18bに対するクランプ状態が解除され、退避し、次に送り出されてくるコンデンサ18の各リード部18a,18bをクランプすべく、初期位置の待機位置に戻され、仮想線で示されるように、コンデンサ18は吸引パイプ28に吸着されて保持されるように構成されている。
【0040】
そして、この吸引パイプ28の吸引によるコンデンサ18の保持状態で、実線で示されるように、吸引パイプ28は初期の待機位置Cに戻され、その後、コンデンサ18の吸着保持状態で、所定位置に配置された第1検査位置Dに移動操作される。
【0041】
この第1検査位置Dでは、寸法調整位置Bで切断された露出状態となっている一方のリード部18aの切断部分に対応する検査領域Eを撮像するCCDカメラ等からなる第1の撮像手段(図示省略)が配置されており、この検査領域Eを撮像し、その画像データに基づく画像処理によりその一方のリード部18aの長さが許容範囲に含まれるかどうかの良否の判定を行う第1の検査装置(図示省略)が備えられている。
【0042】
そして、この第1の検査装置による判定が不良の場合には、エラーとして適宜、配置された不良廃棄部に排除される。この場合の廃棄方法としては、例えば、吸引パイプ28による吸引状態が解錠され、下向傾斜されることにより、コンデンサ18が自然落下する方式等が採用される。また、第1の検査装置による判定が良の場合には、吸引パイプ28に吸着された状態のコンデンサ18が、次工程である内導体圧着ステーション12に対応する第1供給位置F(図1参照)に移動操作される。
【0043】
内導体圧着ステーション12では、端子圧着機としての内導体圧着機が備えられており、図8に示されるような接続部30aと圧着部30bとを備えた内導体端子30が、連鎖状の形態で内導体圧着機に順次供給されるように構成されている。
【0044】
この連鎖状内導体端子30は、複数の内導体端子30が圧着部30b側で内導体端子用連鎖帯31に所定間隔をあけて並列状に連結された構造とされている。なお、内導体端子用連鎖帯31には、所定間隔で送り孔31aが複数形成されており、この送り孔31aを利用して、適宜送り機構等で連鎖状内導体端子30の送り込みがなされる構造とされている。また、本実施形態では、接続部30aはその外形が四角筒状に構成されている。
【0045】
そして、第1供給位置Fに移動操作されたコンデンサ18は、吸引パイプ28の移動によって、内導体圧着ステーション12に供給される。この際、内導体圧着機における所定の圧着位置に送り込まれた内導体端子30の圧着部30bに対して、第1供給位置Fにおける吸引パイプ28の移動制御により、その先端部に吸着されているコンデンサ18の一方のリード部18aが所定の対応する位置に搬送される。
【0046】
その後、内導体圧着機の圧着駆動により、コンデンサ18の一方のリード部18aに圧着部30bが圧着されると共に、その圧着された内導体端子30が内導体端子用連鎖帯31から切り離され(内導体圧着工程)、ここに、コンデンサ18の一方のリード部18aに内導体端子30が連結された状態が得られる。
【0047】
この内導体端子30の圧着処理後、図9に示されるように、吸引パイプ28は一旦、第1供給位置Fに戻される。この際、吸引パイプ28の吸引作用により、吸着状態で保持されたコンデンサ18と共に内導体端子30も第1供給位置Fに移動操作される。
【0048】
その後、吸引パイプ28は前記第1検査位置Dに移動操作される。この第1検査位置Dでは、図10に示されるように、前記第1の撮像手段により、前述同様、検査領域Eを撮像することにより、一方のリード部18aと内導体端子30の圧着位置部分を撮像し、その画像データに基づく画像処理によりその圧着位置が許容範囲に含まれるかどうかの良否の判定が行われる。即ち、リード部18aの長さの判定と、内導体端子30の圧着部30bの圧着位置の判定を、共に第1の検査装置により行うように構成されている。
【0049】
そして、この第1の検査装置による判定が不良の場合には、エラーとして前述同様、例えば、前記不良廃棄部等に排除される。また、第1の検査装置による判定が良の場合には、図11に示されるように、次工程である内導体装着ステーション13に対向する第2供給位置Gに、吸引パイプ28が移動操作されて停止されるように制御されている。この吸引パイプ28の第2供給位置Gへの移動により、内導体端子30が圧着されたコンデンサ18が第2供給位置Gに供給される。
【0050】
この第2供給位置Gでは、内導体圧着ステーション12で圧着された一方のリード部18aと内導体端子30の圧着部30bとの圧着部分に対応する第2検査位置としての検査領域Hを撮像するCCDカメラ等からなる第2の撮像手段(図示省略)が配置されており、この検査領域Hを撮像し、その画像データに基づく画像処理によりその圧着部分の圧着状態が良好かどうかの良否の判定を行う第2の検査装置(図示省略)が備えられている。
【0051】
そして、この第2の検査装置による判定が不良の場合には、エラーとして前述同様、適宜、配置された不良廃棄部に排除される。また、第2の検査装置による判定が良の場合には、次工程である内導体装着ステーション13に内導体端子30とコンデンサ18が供給される。
【0052】
内導体装着ステーション13では、外導体端子33が連鎖状の形態で所定の供給方向Qに沿って順次送り出され、第2供給位置Gに対向する内導体装着位置Jに外導体端子33が順次供給されるように構成されている。この外導体端子33は、図12にも示されるように、接続部33aと端子中間部33bと圧着部33cとが直線状に連設された構成とされており、複数の外導体端子33が圧着部33c側で外導体端子用連鎖帯34に所定間隔をあけて並列状に連結された連鎖状の構造とされている。
【0053】
なお、この外導体端子用連鎖帯34には、所定間隔で送り孔34aが複数形成されており、この送り孔34aを利用して、適宜送り機構等で供給方向Qに沿って順次送り込みがなされる構造とされている。
【0054】
また、本実施形態では、接続部33aは、前部側の略筒状部分33dと後部側の半円筒部分33eとを有している。そして接続部33aには、絶縁材としての樹脂で成形されたホルダ部材35が装着されており、このホルダ部材35の略筒状部分33dに対応する部分では、嵌合状に装着される略筒状に構成され、その中心部には、接続部33aの軸方向に沿って、内導体端子30が挿入されて装着される四角の装着孔35aが形成されている。また、ホルダ部材35の半円筒部分33eに対応する部分では、その上半部が開放状とされた半筒状に構成され、コンデンサ18を収容するための空間が形成された構成とされている。
【0055】
さらに、外導体端子33の圧着部33cは、断面略U字状の圧着片33f,33gを外導体端子33の軸方向に沿って2箇所に有している。そして、端子中間部33b側の第1圧着片33fは、同軸電線1のうち編組層1cの露出部分に圧着可能に形成され、端部側の第2圧着片33gは外皮層1aの端部部分に圧着可能に形成されている。
【0056】
また、端子中間部33bは、両側に一対の側片33hを有しており、その上方は開放状とされ、その底部には適宜大きさの矩形の開口部33kが形成されている。そして、一対の側片33h間に、図15や図16に示されるような共圧着端子37を用いてコンデンサ18のリード部18bと同軸電線1の中心導体1dとを接続するための空間が形成されている。なお、この共圧着端子37は開口部33kを通じてその空間に供給され、図示省略の端子圧着機により、リード部18bと中心導体1dとを圧着し、互いに接続する構成とされている。
【0057】
さらに、内導体装着ステーション13においては、第2供給位置Gと内導体装着位置Jとの相互間に位置して、図11や図13に示されるような内導体ガイド体39が配設されている。
【0058】
内導体ガイド体39は、第2供給位置Gに搬送された内導体端子30と対向する位置に、ガイド孔39aが形成されており、このガイド孔39aは、内導体装着位置J側に配置された内導体端子30の外形よりも僅かに大きい四角形の姿勢規制孔部39bと、該姿勢規制孔部39bの第2供給位置G側の端縁より漸次テーパ状に拡開する姿勢ガイド孔部39cとを、第2供給位置Gから内導体装着位置Jへの挿入経路に沿って備えている。
【0059】
そして、第2供給位置Gに搬送された内導体端子30を、内導体装着位置Jに配置された外導体端子33におけるホルダ部材35の装着孔35aに挿入する搬送時において、内導体端子30が内導体ガイド体39のガイド孔39aを通過する際、内導体端子30の姿勢が姿勢ガイド孔部39cによって漸次所定の姿勢に矯正ガイドされていき、姿勢規制孔部39bを通過する際には、装着孔35aの挿入に適した所定の姿勢となるように構成されている。
【0060】
また、内導体ガイド体39は、ガイド孔39aを分割状とする1対の内導体ガイド39d,39eからなり、図11の仮想線で示されるように、内導体ガイド39d,39eは互いに接離操作自在に構成されている。
【0061】
そして、図11に示されるように、内導体装着位置Jに外導体端子33が配置され、第2供給位置Gに内導体端子30およびコンデンサ18が搬送され、内導体ガイド39d,39eが互いに接触した状態で、吸引パイプ28の内導体装着位置J方向への移動制御により、その先端部に吸着されている内導体端子30およびコンデンサ18が、外導体端子33のホルダ部材35における装着孔35aに向けて搬送されていく。
【0062】
この搬送時に、内導体端子30の姿勢の向きに歪みが生じていれば、内導体ガイド体39のガイド孔39aによって装着孔35aの挿入に適した所定の姿勢となるように矯正されていく。なお、内導体ガイド体39は内導体端子30の通過後、両内導体ガイド39d,39eが離隔操作される制御としてもよく、その後の挿入操作に支障がなければ、接触状態で維持される制御であってもよい。
【0063】
その後、吸引パイプ28の移動によって、所定の姿勢となった内導体端子30が装着孔35a方向に搬送され、装着孔35a内に内導体端子30が順次挿入されていき、最終的に、図14に示されるように、内導体端子30が装着孔35a内に挿入されて装着された状態が得られる(内導体装着工程)。なお、この装着孔35aに対する内導体端子30の装着状態においては、ホルダ部材35と内導体端子30とが適宜係止手段により抜止め状態に係止されている。そして、装着孔35aに対する内導体端子30の装着後、吸引パイプ28の吸引が解除され、その吸引解除状態で、吸引パイプ28は退避して第2供給位置Gに戻される(吸着手段退避工程)。
【0064】
ここに、図14に示されるように、外導体端子33における略筒状部分33dのホルダ部材35内に内導体端子30が嵌合状に装着され、半円筒部分33eにおけるホルダ部材35上にコンデンサ18が配置され、コンデンサ18の他方のリード部18bが、端子中間部33bの対向する側片33h間に、片持ち状で突出した状態の圧着端子41が得られる。
【0065】
そして、これら一連の動作の繰り返しにより、外導体端子33に内導体端子30とコンデンサ18が組込まれた圧着端子41が連鎖状として順次組付けられていく。
【0066】
そして、内導体装着ステーション13における内導体装着位置Jの下流側では、この片持ち状の他方のリード部18bの突出部分に対応する第3検査位置としての検査領域Kを撮像するCCDカメラ等からなる第3の撮像手段(図示省略)が配置されており、この検査領域Kを撮像し、その画像データに基づく画像処理によりその他方のリード部18bの長さおよび姿勢が許容範囲に含まれるかどうかの良否の判定を行う第3の検査装置(図示省略)が備えられている。なお、本実施形態では、前記第1の撮像手段がこの検査領域Kに予め移動して撮像し、前記良否の判定を行うように制御されている。即ち、第1の撮像手段および第1の検査装置を、第3の撮像手段および第3の検査装置に兼用する構成とされている。
【0067】
そして、この第3の検査装置による判定が不良の場合には、エラーとして適宜、配置された不良廃棄部に排除される。例えば、不良判定の圧着端子41は、供給方向Qのより下流側に配置された図示省略の不良端子切断装置によって、外導体端子用連鎖帯34と外導体端子33との連結部分で切り離されるように構成されている。また、第3の検査装置による判定が良の場合には、次工程である外導体圧着ステーション14に、圧着端子41が順次、供給されていく。
【0068】
また、第2供給位置Gに戻された吸引パイプ28は、その後、初期位置の待機位置Cに戻され、前述同様にして、次のコンデンサ18の搬送が行われる。
【0069】
外導体圧着ステーション14では、外導体端子33や共圧着端子37を圧着するための端子圧着機が備えられており、内導体装着ステーション13から順次供給されてくる連鎖状外導体端子33と並行して、図15に示されるように、連鎖状となった前記共圧着端子37も順次供給されるように構成されている。
【0070】
この連鎖状共圧着端子37は、断面略U字状の半円筒状に形成された複数の共圧着端子37が、その一端部側で共圧着端子用連鎖帯43に所定間隔をあけて並列状に連結された連鎖状の構造とされている。そして、この共圧着端子用連鎖帯43には、所定間隔で送り孔43aが複数形成されており、この送り孔43aを利用して、図16に示されるように、適宜送り機構等で供給方向Rに沿って順次送り込みがなされる構造とされている。
【0071】
そして、外導体圧着ステーション14における端子圧着位置Mに供給された圧着端子41の開口部33kに対応する下方位置に、前記共圧着端子37が順次、供給されるように構成されている。
【0072】
この端子圧着位置Mに圧着端子41が所定姿勢で供給されると共に、共圧着端子37が供給された状態で、前述同様、手作業等により所定長さに調尺して皮剥を行い、外部導体としての編組層1cや内部導体としての中心導体1dを所定長さ露出させた同軸電線1を、図16に示されるように、圧着端子41の上方よりセットする。即ち、外皮層1aの端部が第2圧着片33gに対応する上方位置に配置して、降ろせば、第2圧着片33g位置に外皮層1a端部がセットされ、第1圧着片33f位置に露出された編組層1cがセットされ、リード部18bに対応する位置に露出された中心導体1dがセットされる。
【0073】
この圧着端子41に対する同軸電線1のセット状態で、端子圧着機を圧着駆動させることにより、図17に示されるように、共圧着端子37でリード部18bと中心導体1dとが圧着されると共にその共圧着端子37は共圧着端子用連鎖帯43から切り離され、外導体端子33の第1圧着片33fおよび第2圧着片33gはそれぞれ編組層1cおよび外皮層1aに圧着されると共に外導体端子用連鎖帯34から切り離された状態が得られ、ここに、同軸電線1の端部に圧着端子41が圧着された状態が得られる(端子圧着工程)。
【0074】
そして、端子圧着処理後、製品検査ステーション15に備えられたCCDカメラ等からなる第4の撮像手段(図示省略)により、第1圧着片33f、第2圧着片33gおよび共圧着端子37による圧着部分を撮像し、その画像データに基づく画像処理によりその圧着部分の圧着状態が良好かどうかの良否の判定を第4の検査装置(図示省略)により行う構成とされている。なお、この端子圧着処理後の各圧着部分の外観検査を、目視により行う方法であってもよい。また、各検査装置における画像処理による良否の判定方法としては、公知の画像処理による方法を適宜採用すればよい。
【0075】
本実施形態は以上のように構成されており、圧着端子41の組付けに際しては、電気部品供給ステーション11において、順次送り出されてくる電気部品連鎖部材20におけるコンデンサ18の両側のリード部18a,18bをそれぞれ切断し(切り離し工程)、次に、各クランプ体22a,22bを利用してコンデンサ18を基準位置に位置合わせし(位置決め工程)、この位置合わせした状態で各寸法調整カッター体26a,26bにより各リード部18a,18bを切断して、各リード部18a,18bの突出長さを所定長さに寸法調整した後(寸法調整工程)、吸引パイプ28が吸引状態でリード部18bに套嵌されて、コンデンサ18が吸着状態で保持される(電気部品吸着工程)。そしてこの状態で、次工程に自動搬送される。
【0076】
そして、内導体圧着ステーション12では、吸引パイプ28の移動制御により、吸着されているコンデンサ18の一方のリード部18aに、内導体端子30の圧着部30bが圧着される(内導体圧着工程)。
【0077】
その後、コンデンサ18の一方のリード部18aに内導体端子30が連結された状態で、吸引パイプ28により次工程の内導体装着ステーション13に自動搬送される。
【0078】
そして、内導体装着ステーション13では、吸引パイプ28の移動制御により、吸着されている内導体端子30が、外導体端子33におけるホルダ部材35の装着孔35a内に挿入されて装着され(内導体装着工程)、その装着後、吸引パイプ28の吸引が解除され、その吸引解除状態で、吸引パイプ28は退避して第2供給位置Gに戻される(吸引手段退避工程)。ここに、圧着端子41の組付けがなされる。
【0079】
その後、圧着端子41は外導体圧着ステーション14に送り出され、外導体圧着ステーション14では、共圧着端子37が供給されると共に所望状態に皮剥された同軸電線1が供給されて、圧着処理され、リード部18bと中心導体1dとが共圧着端子37により圧着されて接続され、外導体端子33の第1圧着片33fおよび第2圧着片33gはそれぞれ編組層1cおよび外皮層1aに圧着接続および圧着され、同軸電線1の端部に圧着端子41が圧着接続された状態が得られる(端子圧着工程)。
【0080】
以上のように、外導体端子33に内導体端子30とコンデンサ18を組込む一連の圧着端子41の組付けが、吸引パイプ28による自動の搬送制御により自動的に行えるため、サイクルタイムの向上が図れ、生産性に優れ、コスト低減が図れると共に、位置決め精度が向上し、製品の品質向上が図れる利点がある。
【0081】
また、細かい部品である内導体端子30とコンデンサ18のリード部18aとの圧着も自動に行え、手作業のように手を近付ける必要がなく、安全性が向上する。
【0082】
特に、細かい部品である所定長さのリード部18a,18bを備えるコンデンサ18の供給に際して、両リード部18a,18bを各クランプ体22a,22bでクランプした状態で、切り離しカッター体23a,23bにより両リード部18a,18bを切断して、電気部品連鎖部材20から切り離し、その後、一方の基準クランプ体22aに対して移動クランプ体22bを接近操作して、両クランプ体22a,22bでコンデンサ18を挟み、基準クランプ体22aにおける基準面25を基準として各リード部18a,18bを、寸法調整カッター体26a,26bにより切断する構成としているため、電気部品連鎖部材20における製造誤差等により各コンデンサ18のリード部18a,18bの突出方向の位置ズレ等で取付け位置に誤差が生じている場合であっても、切り離し後の位置決め工程で、位置ズレ等の修正が行え、そのような誤差に左右されずに、コンデンサ18における各リード部18a,18bを所定の突出長さ位置で切断することができ、ここに、切り離されたコンデンサ18における各リード部18a,18bの突出長さを精度よく確保でき、各リード部18a,18bの突出長さを所定の寸法に精度よく調整されたコンデンサ18を自動的に供給できる。
【0083】
さらに、外導体圧着ステーション14の位置まで、順次組み付けられた圧着端子41が搬送されるため、作業者は外導体圧着ステーション14の位置にいればよく、各ステーション11,12,13,14,間にわたって移動する必要がない。
【0084】
また、各検査領域E,H,Kにおいて、それぞれの処理状況を画像処理により検査する方式であり、目視により検査する場合と比較して、検査の精度が向上し、不良品の発生が有効に防止でき、製品の品質がより一層、向上できる利点がある。
【0085】
さらに、圧着端子41と同軸電線1との圧着に際して、同軸電線1を上方からセットすることが可能となり、外導体端子33に対して軸方向から挿入する場合と比較して、圧着部33cと編組層1cとの接触摺動が有効に防止でき、編組層1cのばらけ等の問題が有効に回避できる。
【0086】
また、内導体装着ステーション13において、内導体装着位置Jと第2供給位置Gとの間に、内導体ガイド体39を配置しているため、外導体端子33の接続部33aに装着されたホルダ部材35の装着孔35aに対する内導体端子30の挿入に際して、内導体端子30の姿勢が所定の姿勢に矯正でき、内導体装着工程が円滑になされる利点がある。
【0087】
また、吸着手段として、他方のリード部18bに套嵌できる吸引パイプ28を採用しているため、コンデンサ18等の吸着状態が安定し、良好に搬送作業が行える。
【0088】
なお、上記実施形態においては、内導体装着ステーション13と外導体圧着ステーション14とを並設した構造とされているが、内導体装着ステーション13で組付けられた連鎖状の圧着端子41を巻取等により収容し、その収容された連鎖状圧着端子41を用いて、別途位置に配設された外導体圧着ステーション14で、同軸電線1に対する圧着端子41の圧着処理を行う構成としてもよい。
【0089】
また、同軸電線1において、編組層1cの内周囲または外周囲またはその双方にアルミ箔等の導電性箔が設けられていてもよく、さらには、2つの導体は必ずしも同心円状に配設される必要はなく、2つの導体が並列状に配置される電線であってもよい。さらに、2つの導体とは別にさらに他の導体を備えた電線であってもよい。即ち、加工対象としては、少なくとも2つの導体を有する電線全てが対象となる。
【0090】
さらに、電気部品として、コンデンサ18を用いた構造を示しているが、必要とされる電気的特性に応じて、抵抗部品や整流素子部品等、一対のリード部品を有する各種電気部品を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の実施形態に係る端子圧着設備の概略平面説明図である。
【図2】電気部品供給ステーションにおける動作説明図である。
【図3】電気部品供給ステーションにおける動作説明図である。
【図4】電気部品供給ステーションにおける動作説明図である。
【図5】電気部品供給ステーションにおける動作説明図である。
【図6】電気部品供給ステーションにおける動作説明図である。
【図7】第1検査位置における平面図である。
【図8】連鎖状内導体端子を示す平面図である。
【図9】コンデンサのリード部に対する内導体端子の圧着後説明図である。
【図10】内導体端子の圧着後における第1検査位置における平面図である。
【図11】内導体装着ステーションの概略説明図である。
【図12】連鎖状外導体端子を示す平面図である。
【図13】内導体ガイド体の概略斜視図である。
【図14】圧着端子の組付け状態説明図である。
【図15】連鎖状共圧着端子を示す平面図である。
【図16】外導体圧着ステーションでの説明図である。
【図17】圧着処理後の平面図である。
【図18】圧着端子の圧着手順説明図である。
【図19】圧着端子の圧着手順説明図である。
【図20】圧着端子の圧着手順説明図である。
【図21】圧着端子の圧着手順説明図である。
【図22】圧着端子の圧着手順説明図である。
【図23】圧着端子の圧着手順説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1 同軸電線
1a 外皮層
1b 内皮層
1c 編組層
1d 中心導体
11 電気部品供給ステーション
12 内導体圧着ステーション
13 内導体装着ステーション
14 外導体圧着ステーション
15 製品検査ステーション
16 吸着搬送手段
18 コンデンサ
18a 一方のリード部
18b 他方のリード部
19 テープ材
20 電気部品連鎖部材
22a,22b クランプ体
23a,23b 切り離しカッター体
25 基準面
26a,26b 寸法調整カッター体
28 吸引パイプ
30 内導体端子
30a 接続部
30b 圧着部
33 外導体端子
33a 接続部
33c 圧着部
35 ホルダ部材
35a 装着孔
37 共圧着端子
41 圧着端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品の両側にそれぞれ突出配置されたリード部のそれぞれの突出端部がテープ材に装着されて、該テープ材の長手方向に沿って電気部品が所定間隔で連鎖状態に備えられた電気部品連鎖部材を備え、該電気部品連鎖部材から所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を1個ずつ切り離すための電気部品のリード部寸法調整方法であって、
順次送り出される前記電気部品連鎖部材における前記電気部品の両側のリード部をそれぞれクランプ体で解除自在にクランプした状態で、各リード部を各クランプ体の外側位置で切断して前記テープ材から電気部品を切り離す切り離し工程と、
切り離された前記電気部品の各リード部をクランプする各クランプ体のうち、リード部の突出方向に移動不能とされた一方の基準となるクランプ体に対して、リード部の突出方向に移動可能とされた他方のクランプ体を接近操作し、各クランプ体と各リード部との相対的な摺動により両クランプ体で電気部品を挟んだ状態とする位置決め工程と、
前記両クランプ体で前記電気部品を挟んだ状態で、前記基準となるクランプ体における電気部品との当接面を基準面として、その基準面からそれぞれ所定寸法離れた位置で各リード部を切断する寸法調整工程と、
を備えることを特徴とする電気部品のリード部寸法調整方法。
【請求項2】
圧着部を有する外導体端子に内導体端子と電気部品とを組込んだ圧着端子組付け方法であって、
請求項1に記載の電気部品のリード部寸法調整方法により、前記電気部品連鎖部材から1個ずつ前記電気部品を切り離し、所定長さの前記リード部をそれぞれ備える電気部品を供給する電気部品供給工程と、
前記供給された前記電気部品を吸着手段による吸引で吸着状態とする電気部品吸着工程と、
前記吸着手段により吸着された前記電気部品を、内導体圧着機に搬送して、前記内導体端子の圧着部を一方の前記リード部に圧着する内導体圧着工程と、
前記内導体端子の圧着後、前記吸着手段により吸着された前記電気部品を、前記外導体端子が所定姿勢で配置された内導体挿入ユニットに搬送し、前記一方のリード部に圧着接続されている内導体端子を、外導体端子の接続部内に装着された絶縁材からなるホルダ部材の装着孔に挿入して装着する内導体装着工程と、
前記内導体端子の装着後、前記吸着手段による吸引を解除して、吸着手段を退避させる吸着手段退避工程と、
を備えることを特徴とする圧着端子組付け方法。
【請求項3】
請求項2に記載の圧着端子組付け方法により組付けられた圧着端子に、2つの導体を有する電線を圧着接続する端子圧着方法であって、
前記電線における前記2つの導体が露出された状態で、端子圧着機に所定姿勢で配置された前記圧着端子の上方よりセットし、一方の前記導体に前記外導体端子の前記圧着部を圧着し、他方の前記導体と前記電気部品の他方のリード部とを共圧着端子で圧着することを特徴とする端子圧着方法。
【請求項4】
電気部品の両側にそれぞれ突出配置されたリード部のそれぞれの突出端部がテープ材に装着されて、該テープ材の長手方向に沿って電気部品が所定間隔で連鎖状態に備えられた電気部品連鎖部材を備え、該電気部品連鎖部材から所定長さのリード部をそれぞれ備える電気部品を1個ずつ切り離すための電気部品のリード部寸法調整装置であって、
順次送り出されてくる前記電気部品連鎖部材における前記電気部品の両側のリード部をそれぞれ解除自在にクランプする対のクランプ体と、
前記対のクランプ体により前記クランプされた状態で、各リード部を各クランプ体の外側位置で切断して前記テープ材から電気部品を切り離す切り離し機構と、
前記切り離された前記電気部品の各リード部をクランプする前記各クランプ体のうち、リード部の突出方向に移動不能とされた一方の基準となるクランプ体に対して、リード部の突出方向に移動可能とされた他方のクランプ体を接近操作し、各クランプ体と各リード部との相対的な摺動により両クランプ体で電気部品を挟んだ状態とする位置決め機構と、
前記両クランプ体で前記電気部品を挟んだ状態で、前記基準となるクランプ体における電気部品との当接面を基準面として、その基準面からそれぞれ所定寸法離れた位置で各リード部を切断する寸法調整機構と、
を備えることを特徴とする電気部品のリード部寸法調整装置。
【請求項5】
圧着部を有する外導体端子に内導体端子と電気部品とを組込んだ圧着端子を製造する端子圧着設備であって、
請求項4に記載の電気部品のリード部寸法調整装置を備え、該リード部寸法調整装置により所定長さの前記リード部をそれぞれ備える前記電気部品を供給する電気部品供給ステーションと、
前記電気部品供給ステーションで供給された前記電気部品を解除操作自在な吸引により吸着して保持する吸着手段を備え、該吸着手段により電気部品を吸着状態で順次搬送する吸着搬送手段と、
前記吸着手段により吸着された状態で搬送された前記電気部品の一方のリード部に、前記内導体端子の圧着部を圧着する内導体圧着機が備えられた内導体圧着ステーションと、
前記吸着手段により吸着された状態で搬送される前記電気部品の前記一方のリード部に圧着された前記内導体端子を、前記外導体端子の接続部内に装着された絶縁材からなるホルダ部材の装着孔に挿入して装着する内導体装着ステーションと、
を備えることを特徴とする端子圧着設備。
【請求項6】
請求項5に記載の端子圧着設備であって、
前記内導体端子が装着された前記外導体端子に、前記2つの導体が露出された状態の前記電線がセットされて、一方の前記導体に前記外導体端子の前記圧着部を圧着し、他方の前記導体と前記電気部品の他方のリード部とを共圧着端子で圧着する外導体圧着ステーションをさらに備えることを特徴とする端子圧着設備。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の端子圧着設備であって、
前記電気部品における切断された前記一方の前記リード部を撮像手段により撮像し、画像処理によりその一方のリード部の長さの良否を判定する検査装置と、
前記内導体端子の圧着部と前記一方のリード部との圧着位置を撮像手段により撮像し、画像処理により前記圧着位置の良否を判定する検査装置と、
前記内導体端子の圧着部と前記一方のリード部との圧着状態を撮像手段により撮像し、画像処理により前記圧着状態の良否を判定する検査装置と、
前記外導体端子の前記接続部内に前記内導体端子を装着した状態で、前記電気部品の前記他方の前記リード部を撮像手段により撮像し、画像処理によりその他方のリード部の長さおよび姿勢の良否を判定する検査装置と、
を備えることを特徴とする端子圧着設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−300166(P2008−300166A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144526(P2007−144526)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】