説明

電気部品実装基板及び電気機器

【課題】本発明は、実装部品が動作時に高温となる場合であっても半田による固着の信頼性が低下しないとともに、実装時の製造性を容易に向上することができる電気部品実装基板及び照明装置を提供する。
【解決手段】本実施形態によれば、給電端子47,48に比較的多くの半田を塗布し、給電端子47,48では収まりきれない余剰半田が生じやすくなっているが、この余剰半田は、給電端子47,48の各両側に設けられた擬似半田実装領域47a、47a、48a、48aで流入し、この領域で凝固するため、余剰半田に起因した半田ボール等絶縁性の信頼性を低下する要因が生じることを抑制している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品を実装する電気部品実装基板及び電気部品実装基板を備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品を実装する電気部品実装基板又は電気機器として、LEDを用いた照明装置が知られている。これは、例えば、第1、第2の素子電極が設けられた片面電極型のベアチップからなる複数の青色発光LEDを、装置基板の一面に列をなして配設し、列が延びる方向に隣接されたLEDの第1の素子電極と第2の素子電極をボンディングワイヤで直列に接続するとともに、このLED列の両端に配置されたLEDの素子電極を夫々装置基板上の給電導体に端部ボンディングワイヤで接続し、かつ、給電導体の一部及びLED列が収まるように装置基板に装着された枠部材内に、黄色の蛍光体が混ぜられた透光性の封止部材を充填して、この封止部材でLED列を封止した照明装置である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−235719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のようにLEDを高密度に実装した発光モジュールを形成しようとすると、個々のLEDが発光する際に光出力とともに熱も生じることに起因し、LEDを実装する基板は高温化しやすくなる。そして、このようなLEDモジュールにおいて、例えばコネクタ等の電気部品をLEDが実装されている同一の基板に半田によって実装しようとすると、通常のフィレット形状では不具合を生じてしまう虞がある。
【0005】
これは、前記のような高密度の発光モジュールであると、LEDの動作時において、基板上の或る領域が例えば100℃前後になる虞もある。このような状況になると非動作時と動作時との温度差に影響や動作時の温度上昇の影響によるヒートショックによって、フィレット形状の半田部分ではクラックが生じてしまう虞があるためである。このような不具合が生じてしまうと電気的接続及び機械的接続のいずれの信頼性が低下してしまうので、好適ではないという課題があった。
【0006】
また、このような課題を解決するために、ヒートショックによる不具合を生じ得る箇所の半田実装パッドには比較的多くの半田を塗布することも考えられるが、半田の塗布量が多くなると半田ボールが発生しやすくなり、半田ボールの影響によって、絶縁性能の低下等の信頼性が低下してしまう虞もあった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、実装部品が動作時に高温となる場合であっても半田による固着の信頼性が低下しないとともに、実装時の製造性を容易に向上することができる電気部品実装基板及び電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の電気部品実装基板は、基板と;基板に実装された電気部品と;この電気部品のうち、少なくとも一種の電気部品を半田によって実装するために基板に形成された半田実装パッドと;半田実装パッドの近郊に設けられ、半田実装パッドに塗布される半田のうち余剰分の半田が流入するように設けられた抑止手段と;を具備することを特徴とする電気部品実装基板。
【0009】
本発明及び以下の発明において、用語の定義は以下の通りとする。
【0010】
基板は、アルミニウムや銅等の金属製基板又はセラミックスやガラエポ等の絶縁性部材からなる基板等、材質は特に限定しないものである。また、その構成は、単層、両面実装又は多層方式等のいずれでもよい。
【0011】
電気部品は、受動部品や能動部品として機能するものであってもよいし、外部からの電気供給用に設けられるコネクタ端子のような部材であることも許容する。なお、電気部品には、半導体素子も含むものであり、例えば半導体発光素子である場合には、ベアチップからなるLED(発光ダイオード)、又はEL(エレクトロルミネッセンス)素子等の半導体発光素子や片面電極型と通称されている発光素子も好適に使用できる。
【0012】
抑止手段における「半田実装パッドの近郊」とは、抑止手段を形成するための対象物である半田実装パッドと電気的に接続されている形態であっても良いし、後述のように前記半田実装パッドとは電気的に接続はされていないが、余剰半田が流入可能となるような位置に設けられているものであっても良い。
【0013】
なお、「半田が流入」とは、半田が凝固した後の状態を示している。これは、例えばディスペンサによる半田塗布とリフロー炉による半田付けの場合、半田実装パッドに半田を塗布した後、加熱炉内に半田が塗布された電気部品実装基板を搬入することによって半田が溶融してその後凝固する。この凝固した状態において、半田実装パッドに塗布した半田のうちの一部が抑止手段に凝固した状態で設けられていることを示すものである。
【0014】
本発明によれば、基板に実装される電気部品のうち、少なくとも一種の電気部品を基板に設けられた半田実装パッドに半田を用いて実装する。このとき、半田実装パッドには、凝固後の形状が全体的に比較的厚くなるような半田の量で塗布する。この状態で例えば加熱炉内に電気部品実装基板を搬入すると、半田は溶融し、その後凝固することによって半田実装パッド上の半田による接続部材との接続は強固になる。このとき、半田実装パッドには、比較的多くの半田を塗布しているため、余剰半田が生じやすくなっているが、この余剰半田は、半田実装パッド近郊に設けられた抑止手段に流入した状態で凝固する。
【0015】
本発明によれば、基板に実装される電気部品の動作温度が高温となる場合であっても、半田によって実装される電気部品における半田の塗布量を多くすることができるので、半田による固着の信頼性が低下することを抑制することができる。また、半田実装パッドに比較的多くの半田を塗布しても抑止手段に余剰半田が流入するので、余剰半田に起因した半田ボール等、絶縁性の信頼性を低下する要因が生じることを抑制することができる。これにより、半田実装の信頼性を高めるための半田塗布作業が最小限で済むとともに、半田塗布時に半田量の管理を厳格に管理しなくても良いので、製造性を容易に向上することができる。
【0016】
請求項2記載の電気部品実装基板は、請求項1記載の電気部品実装基板において、抑止手段は、半田実装パットと電気的に導通しないように設けられるとともに、半田が擬似的に設けられるような擬似半田実装領域が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、抑止手段は、基板に複数設けられた電気部品と一切電気的に接続されていないことを示すものである。これにより、抑止手段に半田が流入したとしても電気的不具合が確実に生じないとともに、半田実装パッドに塗布する半田の量のばらつきが生じても、このばらつきを考慮した大きさの擬似実装領域を確保していれば、ばらつきによる不具合の防止を容易に実現できるものである。
【0018】
請求項3記載の電気機器は、請求項1または2記載の電気部品実装基板と;電気部品実装基板を設ける本体部と;を具備することを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、請求項1又は2記載の作用効果を有する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、半田によって実装される電気部品における半田の塗布量を多くすることができるので、半田による固着の信頼性が低下することを抑制することができる。また、半田実装パッドに比較的多くの半田を塗布しても抑止手段に余剰半田が流入するので、半田塗布時に半田の量を厳格に管理しなくても良いので、製造性を容易に向上することができる。
【0021】
請求項2の発明によれば、半田実装パッドに塗布する半田の量のばらつきが生じても、このばらつきによる不具合の防止を容易に実現することができるので、製造性をより向上することができる。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の効果を有する電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電気機器としての電球型LEDランプを示す側面図である。
【図2】図1の電球型LEDランプを示す縦断面図である。
【図3】図1の電球型LEDランプが備えた発光モジュールを一部切欠いた状態で示す正面図である。
【図4】図3の発光モジュールが備えたモジュール基板を示す正面図である。
【図5】図3中F5−F5線に沿って示す発光モジュールの断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る発光モジュールの要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1〜図5を参照して本発明の第1の実施の形態について、詳細に説明する。
【0025】
図1及び図2中符号1は電気機器である例えば電球型のLEDランプを示している。このLEDランプ1は、本体2と、絶縁部材11と、口金15と、点灯装置21と、光源部をなす電気部品実装基板である発光モジュール31と、照明カバー61等を備えている。
【0026】
本体2は、アルミニウム製であり、図2に示すようにLEDランプ1の使用時に下向きとなる一端部に、水平状のモジュール固定面3と、このモジュール固定面3の周りを囲む円形のカバー装着凸部4を有している。本体2は、LEDランプ1の使用時に上向きとなる他端に開放する凹部5を有しているとともに、本体2の軸方向(高さ方向)に延びて凹部5の底面とモジュール固定面3の夫々に両端が開口されて本体2を上下方向に貫通する通線孔6を有している。通線孔6は、そのモジュール固定面3側の端部にこの固定面に沿って横向きに折れ曲がるように形成された溝部6aを有している。更に、本体2はその周部に複数の放熱フィン7を一体に有している。これら放熱フィン7は図1に示すように本体2の上下方向に延びて形成されている。
【0027】
図2に示すように絶縁部材11は、有底円筒状で、かつ、その高さ方向中間部に絶縁凸部12を有している。絶縁部材11は、その底壁11aを凹部5の底面に接触させるとともに、絶縁凸部12を凹部5の開口を囲んだ本体2の端面に接触させた状態で本体2に固定されている。そのため、凹部5の内面は絶縁部材11の底壁側部位で覆われている。これとともに、絶縁凸部12を境に絶縁部材11の底壁11aと反対側の開口側部位は本体2の外部に突出されている。絶縁部材11の底壁11aに、絶縁部材11の内部と通線孔6を連通させるための通孔14が設けられている。
【0028】
図2に示すように口金15は、絶縁材製のベース16に、口金本体17及びアイレット端子18を装着して、E26型の構成をなしている。口金15は、そのベース16で絶縁部材11の開口を塞いで、この絶縁部材11に固定されている。口金本体17の周部は、絶縁部材11の前記開口側部位の外周を覆っており、この周部に図示しない電源側の受金に螺合される螺旋溝が形成されている。
【0029】
図2に示すように発光モジュール31に直流を給電するための点灯装置21が絶縁部材11の内部に収容されている。点灯装置21は、回路基板22に、トランス、コンデンサ、及びトランジスタ、その他各種の回路部品23を実装して形成されている。この点灯装置21は口金15に電気的に接続されている。そのための接続部材24を図2に例示する。この接続部材24はアイレット端子18と回路基板22とを接続して設けられている。点灯装置21は、前記通線孔6を通る図示しない絶縁被覆電線を介して次に説明する発光モジュール31に接続されている。
【0030】
発光モジュール31は、COB(chip on board)型のものであり、図3等に示すようにモジュール基板32と、金属製の反射層41と、正極側給電導体43及び負極側給電導体45と、複数の発光素子51と、直列接続用のボンディングワイヤ53と、給電用のボンディングワイヤ(以下、識別のために端部ボンディングワイヤと称する。)54と、枠部材56と、封止部材58を具備している。
【0031】
モジュール基板32は所定形状例えば図3及び図4に示すように略四角形である。このモジュール基板32には、電気部品の一種である各発光素子51の放熱性を高める上で例えば金属ベース基板を用いることが好ましい。こうしたモジュール基板32として、金属製のベース板33の一面にこのベース板33より薄い絶縁材製の層からなる絶縁層34が積層された金属ベース基板が、図5に例示されている。ベース板33は例えばアルミニウム製である。絶縁層34は、電気絶縁性の有機材料である合成樹脂例えばエポキシ樹脂製で、好ましい例として酸化チタン製のフィラーが例えば50wt%混ぜられているとともに、この絶縁層34の厚みは150μm以下、例えば130μmである。この絶縁層34の全光線反射率は50%以下例えば35.9%である。
【0032】
モジュール基板32は前記本体2に固定されている。つまり、図3及び図4中符号32aは、モジュール基板32の周部に複数設けられた取付け用の溝を示しており、これらの溝32aを通って本体2にねじ込まれる図示しないねじにより、モジュール基板32がそのベース板33を前記モジュール固定面3(図2参照)に密接させて本体2に固定されるようになっている。LEDランプ1の点灯中に本体2のモジュール固定面3に放出されたモジュール基板32の熱は、本体2の放熱フィン7から大気中に放出されるようになっている。
【0033】
反射層41、正極側給電導体43、及び負極側給電導体45は、いずれも絶縁層34に積層されている。実装パッドとも称することができる反射層41は、図4に示すようにモジュール基板32の中央部を占めて略四角形に設けられている。電極パッドとも称することができる正極側給電導体43と負極側給電導体45は、対をなしていて、互いに平行にかつ、反射層41の両側に夫々配設されている。
【0034】
図3及び図4中符号47,48はいずれも半田実装パッドである給電端子を示している。図4に示すように給電端子47は正極側給電導体43に一体に連続され、給電端子48は負極側給電導体45に一体に連続されている。更に、各給電端子47、48の両側には、各給電導体43、45に電気的に接続されていない抑止手段である擬似半田実装領域47a、47a、48a、48aが形成されている。
【0035】
また、図3及び図4中符号49は図示しない電気部品の一種である電線コネクタを固定するための半田付け部を示している。そして、この電線コネクタは半田付け部49とは別の位置である給電端子47,48に半田付け接続されることで各給田導体47,48に電気的に接続される。そして、電線コネクタには前記図示しない絶縁被覆電線が接続され、この電線は、通線孔6の溝部6aを経由して発光モジュール31の裏側に回り込んで通線孔6に通されている。
【0036】
反射層41、正極側給電導体43、負極側給電導体45、及び給電端子47,48の表層部位は、いずれもAgからなり、その光反射率は絶縁層34の光反射率より高く、例えばAgからなる表層部位の全光線反射率は90.0%である。これら反射層41、正極側給電導体43、負極側給電導体45、及び給電端子47,48は、図5に示した反射層41、正極側給電導体43、及び負極側給電導体45で代表して示すようにベース層部位Aと、中間層部位Bと、表層部位Cの三層構造である。ベース層部位Aは、Cu製で、モジュール基板32の絶縁層34上にエッチングにより設けられている。中間層部位Bは、Ni製で、ベース層部位A上にめっきされている。Ag製の表層部位Cは、中間層部位B上に無電解めっきされている。
【0037】
各発光素子51はLED(発光ダイオード)のベアチップからなる。このベアチップには、半導体基板例えばサファイア等の上に窒化物系化合物半導体例えば窒化ガリウム系化合物半導体を形成してなる半導体ウエハーを、例えばダイシングカッター等によりカットして略直方体に形成されていて、その片面に正極側及び負極側の素子電極51aを有した片面電極型のものである。各発光素子51には、例えば白色系の光を発光部で発光させるために、青色の光を発するチップ状のLEDが用いられている。
【0038】
図5に示すように各発光素子51は、その直下でも反射ができるように好ましくは透光性のダイボンド材52を用いて、前記半導体基板の一面(前記片面に対して反対側に位置した他の片面)をモジュール基板32の実装面である反射層41上に接着して、モジュール基板43に装着されている。これらの発光素子51は図3に示すように縦横に整列されている。反射層41の互いに平行な第3の反射層縁41d(図4参照)と第4の反射層縁41e(図4参照)が延びるように並べられた複数の発光素子51によって複数列例えば9列の発光素子列が形成されている。
【0039】
個々の発光素子列において、その列が延びる方向に隣接された発光素子51の異極の素子電極同士、つまり、隣接された発光素子51の内で一方の発光素子51の正極側の素子電極51aと、隣接された発光素子51の内で他方の発光素子51の負極側の素子電極51aは、金属細線例えばAuの細線からなるボンディングワイヤ53で接続されている。それにより、個々の発光素子列が有した複数の発光素子51は電気的に直列に接続されていて、これら発光素子51は通電状態で一斉に発光されるようになっている。
【0040】
更に、個々の発光素子列において、その列の端に配置された発光素子51の素子電極51aは、正極側給電導体43又は負極側給電導体45に、金属細線例えばAuの細線からなる端部ボンディングワイヤ54で接続されている。したがって、前記各発光素子列は電気的には並列に設けられていて、正極側給電導体43及び負極側給電導体45を通じて給電されるようになっている。そのため、各発光素子列の内のいずれか一列がボンディング不良などを原因として発光できなくなることがあっても、発光モジュール31全体の発光が停止することはない。
【0041】
枠部材56は、例えば図示しないディスペンサを用いて未硬化の合成樹脂をモジュール基板32上に枠状に塗布し、この後に加熱硬化することにより、モジュール基板32上に接着されている。この枠部材56は、多角形状の反射層41と同様な多角形状、例えば略長四角形状の内周面56aを有している。この内周面56aで囲まれた枠部材56の内側に、反射層41の全体、及び正極側給電導体43と負極側給電導体45の全体が収められている。枠部材56の長手方向に延びるとともに互いに平行な一対の枠部位56bの内面間距離は、反射層41の第3の反射層縁41dと第4の反射層縁41e間の幅W(図4参
【0042】
照)、及びこの幅Wと同じ長さの正極側給電導体43と負極側給電導体45の全長に略等
しい。
【0043】
なお、第3図中符号57はモジュール基板32に積層されたレジストを示している。このレジスト57はモジュール基板32の所定部位を露出させるための露出孔等を有している。
【0044】
封止部材58は、枠部材56の内側に充填されてモジュール基板32上に設けられていて、反射層41、正極側給電導体43、負極側給電導体45、各発光素子51、ボンディングワイヤ53,54を埋めている。封止部材58はガス透過性を有する透光性合成樹脂例えば透明シリコーン樹脂製である。
【0045】
封止部材58には図示しない蛍光体が適量混ぜられている。蛍光体は、発光素子51が発する光で励起されて、発光素子51が発する光の色とは異なる色の光を放射する。発光素子51が青色光を発する本実施形態では、白色光を出射できるようにするために、蛍光体には青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。このように蛍光体が混ぜられた封止部材58は、その蛍光体が発光するので、発光モジュール31の発光部をなす。この封止部材58は、未硬化の状態で枠部材56の内側に所定量注入された後に加熱硬化させて設けられている。
【0046】
また、図1及び図2中符号61中は透光性合成樹脂製の照明カバーを示している。この照明カバー61は、カバー装着凸部4に嵌合して本体2に取付けられていて、発光モジュール31を覆い隠している。なお、図1及び図2中符号62は前記取付け溝及び係止凸部を隠すための目隠しリングを示している。
【0047】
本実施形態の作用について説明する。このように構成された発光モジュール31が点灯装置21により通電されると、封止部材58で覆われた各発光素子51が一斉に発光されて、発光モジュール31は白色の光を出射する面状光源として使用される。この発光中において、反射層41は各発光素子51が発した熱を拡散するヒートスプレッダとして機能する。更に、発光モジュール31の発光中、発光素子51が放射した光のうちでモジュール基板32側に向かった光は、反射層41で主として光の利用方向に反射される。
【0048】
このように高密度に複数の発光素子51が設けられた発光モジュール31は、各発光素子51が一斉に発光すると発光作用に起因して熱も発生する。すると、モジュール基板32のうち特に発光素子51が実装されている反射層41に近接して配置されている各給電導体43,45も熱伝導性を有するため、発光素子51の温度と略同等の温度となりやすい。したがって、各給電導体43,45は高温となりやすい。そこで、各給電導体43,45の給電端子47,48も比較的高温となるため、この給電端子47,48の領域で電気コネクタを電気的及び機械的に接続するために半田実装する場合、半田実装パッドである給電端子47,48には、凝固後の形状がいわゆるフィレット形状よりも全体的に厚くなるような半田の量を一度のディスペンサの塗布動作で塗布する。このときの半田の量は、給電端子47,48からはみ出す量であってもよい。この状態で図示しないリフロー炉である加熱炉内にモジュール基板32を搬入すると半田は溶融し、その後に凝固する。このような半田接続とすることで給電端子47,48上の半田による電気コネクタとの接続は強固になる。さらに、給電端子47,48には、上記のように比較的多くの半田を塗布しているため、加熱炉にて溶融して凝固する場合に給電端子47,48では収まりきれない余剰半田が生じやすくなっているが、この余剰半田は、給電端子47,48の各両側に設けられた擬似半田実装領域47a、47a、48a、48aで流入し、この領域で凝固するため、余剰半田に起因した半田ボール等、絶縁性の信頼性を低下する要因が生じることを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、モジュール基板32に実装される発光素子51の動作時の温度が高温となる場合であっても、半田によって実装される電気コネクタを電気的及び機械的に接続するための半田の塗布量を多くすることができるので、半田不足によって生じうるヒートサイクルによる不具合も抑制することができる。
【0050】
また、給電端子47,48に比較的多くの半田を塗布しても擬似半田実装領域47a,47a,48a,48aに余剰半田が流入するので、これにより、半田の信頼性を高めるためのディスペンサによる半田塗布作業が一度で済むとともに、半田塗布時に半田量の管理を厳格に管理しなくても良いので、製造性を容易に向上することができる。
【0051】
また、擬似半田実装領域47a,47a,48a,48aは、モジュール基板32に複数設けられた発光素子51及び各給電導体43,45と電気的に接続されていないことにより、擬似半田実装領域47a,47a,48a,48aに半田が流入したとしても回路機能として電気的不具合が確実に生じないとともに、給電端子47,48に塗布する半田の量のばらつきが生じても、このばらつきを考慮した大きさの擬似半田実装領域47a,47a,48a,48aを確保していれば、半田塗布量のばらつきによる不具合の防止を容易に実現することができる。
【0052】
次に第二実施形態について図面を参照して説明する。なお、第一実施形態と同一構成については、同一の具号を付し、その説明は省略する。
【0053】
図6は、第一実施形態で示した発光モジュール31のうち、給電端子部分を示す拡大図である。
【0054】
本実施形態において、各給電導体43,45における給電端子47,48との近傍であって、給電端子47,48よりは領域が小さくなるように設けられた擬似半田実装領域47b、48bが設けられている。そして、本実施形態によっても第一実施形態と略同様の作用効果を有する。また、本実施形態によれば、給電端子47、48が設けられている各給電導体43,45と電気的に接続されている領域に擬似半田実装領域47b、48bを設けているため、第一実施形態と比較して、半田ボールの抑止効果が高くなっている。なお、各給電端子47,48と擬似半田実装領域47b、48bがつながっている分、半田の塗布量の管理は第一実施形態の方が比較的容易となる。
【符号の説明】
【0055】
1…電気機器であるLEDランプ、31…電気部品実装基板である発光モジュール、32…基板であるモジュール基板、47,48・・・半田実装パッドである給電端子、47a,47B、48a、48B・・・抑止手段である擬似実装領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
基板に実装された電気部品と;
この電気部品のうち、少なくとも一種の電気部品を半田によって実装するために基板に形成された半田実装パッドと;
半田実装パッドの近郊に設けられ、半田実装パッドに塗布される半田のうち余剰分の半田が流入するように設けられた抑止手段と;
を具備することを特徴とする電気部品実装基板。
【請求項2】
抑止手段は、半田実装パットと電気的に導通しないように設けられるとともに、半田が擬似的に実装され得るような擬似実装領域が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電気部品実装基板。
【請求項3】
請求項1または2記載の電気部品実装基板と;
電気部品実装基板を設ける本体部と;
を具備することを特徴とする電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−210762(P2011−210762A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74291(P2010−74291)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】