説明

電気錠システム

【課題】携帯端末を鍵として利用し、携帯端末による照合時に各種情報確認が行え、利便性の向上を図る。
【解決手段】電気錠システム1は、錠前の施解錠に必要なキーデータを記憶した携帯端末3を用い、携帯端末3から取得したキーデータの照合結果に基づいて錠前の電気的な施解錠制御が可能な電気錠2を備える。電気錠2は、キーデータの照合結果や異常情報を含む錠前の施解錠に関わる一連の電気錠情報を記憶する機能と、携帯端末3からのキーデータの照合結果や異常情報の有無に応じて一連の電気錠情報を選択的に非接触通信によって携帯端末に送信する機能とを有する。携帯端末3は、キーデータの照合時に電気錠2から送信される電気錠情報を表示する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話などの携帯端末を鍵として利用し、携帯端末による照合時に各種情報確認が行え、利便性の向上を図ることができる電気錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ホテルやオフィスビル等の商業施設や公共施設の入出口、集合住宅や一般住宅のエントランスや玄関等にはカード式電気錠を用いた電気錠システムが広く普及している。この電気錠システムは、各所の電気錠毎に予め割り当てられた特定の暗号や施解錠情報等の各種カード情報が記憶されたカード状記憶媒体を施解錠カードとして用い、この施解錠カードに記憶された各種データ(例えば特定の暗号による施解錠データ)を読み取り、読み取った各種カード情報を予め登録された情報と照合して正当性を判別し、正常に認証した場合のみ、そのときの錠前の状態(扉の開閉状態、錠前の施解錠状態)に応じて錠前を電気的に施解錠制御するものである。
【0003】
また、このような電気錠システムは、ピッキング等の不正な施解錠行為を防止し、且つ、鍵の複製が非常に困難なため、セキュリティー面において信頼されている。さらに、各施解錠カード毎の各種データをホストコンピューターで管理しているため、データ破損等の心配がなく、施解錠カードを紛失した場合においても施解錠カードを再発行することが可能である。そして、このようなカード式電気錠を用いた電気錠システムとしては、例えば下記特許文献1に開示されるものが公知である。
【0004】
図3(a),(b)は下記特許文献1に開示される電気錠システムの概略斜視図である。図3(a),(b)に示すように、例えばホテルなどの各部屋のドア毎に錠装置101が設けられる。錠装置101は、螺子などの固定手段によってドア200の所定箇所に配設され、ドア200を閉めた際に解錠用ソレノイドに通電して自動的に本締めボルト102の進退を行うものである。この錠装置101には、手動式カードリーダ105と、解錠表示をする表示灯106と、鍵穴107及びサムターン108が設けられている。手動式カードリーダ105は、カード通過溝103が形成され、カード104を手動で通過溝103内を走査する形式のものである。
【0005】
そして、上述した特許文献1に開示される電気錠システムを例えばホテルに採用して利用する場合は、まず利用者が客室利用の申込みをしたホテルのフロントに出向き、フロントの従業員から客室番号や施解錠データなどの必要な情報が記録された施解錠カードが手渡される。利用者は、フロントから受け取った施解錠カードを用いて客室のドアに設けられるカード式電気錠を所定操作して解錠し入室する。
【特許文献1】特公昭58−51593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の電気錠システムでは、施解錠カードの照合を行った際、その結果をカード上で見た目判るように表示することが不可能であった。このため、LEDの点灯(正常時:緑色点灯、異常時:赤色点灯など)やブザー音などで照合結果を利用者に知らせていた。ところが、この方法では、外光によりLEDの点灯状態が見づらくなる場合や、周囲の騒音でブザー音が聞き取りにくい場面があり、利用者にとって照合結果が判りにくい状況が発生していた。
【0007】
また、施解錠操作時に何らかの理由により利用者に発行される施解錠カードの施解錠操作がNG判定となって照合エラーが発生した場合、そのエラー情報を含めて設定情報や操作履歴などがカード式電気錠に保持されるようになっているが、これらの情報を確認するためには専用の機器が必要であった。例えばカード操作に不慣れな利用者の場合、客室での施解錠操作でNG判定がなされると、NG判定の原因やその対処方法がわからず、客室からフロントへ出向きドアの施解錠ができない旨をクレームする。そして、クレームを受けたフロントの従業員は、ログ収集機能を有するデータ入力器を所持してNG判定となった客室に同行し、データ入力器を用いてカード式電気錠に保持された情報を収集後、再度フロントに戻ってカード式電気錠から収集した情報を確認することでしかNG判定の原因を特定ができなかった。そのため、従業員への負担が大きく、また対処するまでに時間がかかるため利用者にも不満が残り、その結果、ホテル側にとって大きな損失となっていた。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、携帯端末を鍵として利用し、携帯端末による照合時に各種情報確認が行え、利便性の向上を図ることができる電気錠システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載された電気錠システムは、錠前の施解錠に必要なキーデータを記憶した携帯端末を用い、該携帯端末との間で非接触通信を行って取得したキーデータの照合結果に基づいて前記錠前の電気的な施解錠制御が可能な電気錠を備えた電気錠システムであって、
前記電気錠は、前記キーデータの照合結果や異常情報を含む錠前の施解錠に関わる一連の電気錠情報を記憶する機能と、前記携帯端末からのキーデータの照合結果や異常情報の有無に応じて前記一連の電気錠情報を選択的に非接触通信によって前記携帯端末に送信する機能とを備えており、
前記携帯端末は、前記キーデータの照合時に前記電気錠から送信される前記電気錠情報を表示する機能を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載された電気錠システムは、請求項1の電気錠システムにおいて、
前記携帯端末は、前記キーデータの照合時に前記電気錠から前記電気錠情報の送信があった旨を振動や音によって知らせる機能を更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気錠システムによれば、携帯端末を鍵として利用し、この携帯端末を照合媒体とすることで照合時に各種情報確認が行え、従来に比べて利便性の向上を図ることができる。
【0012】
具体的には、以下に示すような効果を奏する。
(1)携帯端末の表示画面上に照合結果の表示が可能になる。
(2)操作した履歴を携帯端末に残すことができ、最終操作の確認を携帯端末で行うことができる。
(3)照合エラーが発生したときに、そのエラー内容を携帯端末に表示でき、即座に原因を究明して対処が可能になる。
(4)電気錠が保持している一連の履歴を携帯端末の表示画面上に表示でき、電気錠のメンテナンスに役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の最良の形態について、添付した図面を参照しながらそれぞれ詳細に説明する。図1は本発明に係る電気錠システムの概略構成を示すブロック図、図2は同電気錠システムの動作フローチャートである。
【0014】
図1に示すように、本例の電気錠システム1は、電気錠2の錠前を施解錠制御するにあたって、携帯端末3を鍵として利用している。以下、各構成について詳述する。
【0015】
まず、電気錠2は、図1に示すように、非接触通信手段2a、記憶手段2b、制御手段2c、駆動機構2d、電源部2eを備えている。
【0016】
非接触通信手段2aは、携帯端末3との間で相互に非接触通信を行うリーダ/ライタで構成され、例えば扉や扉付近の所定箇所に位置して設けられる。この非接触通信手段2aは、携帯端末3が通信エリア範囲内に近接したときに携帯端末3との間で非接触通信を行い、携帯端末3から受信したキーデータ(例えば携帯端末特定情報や暗証情報など)を制御手段2cに出力している。また、非接触通信手段2aは、携帯端末3からのキーデータの照合結果に基づく錠前の施解錠時に、照合結果や異常情報の有無に応じて制御手段2cから入力される電気錠情報を通信エリア範囲内にある携帯端末3に送信している。
【0017】
記憶手段2bは、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成され、非接触通信手段2aが携帯端末3から非接触通信によって受信したキーデータが正当な情報であるか否かを判別するための認証用キーデータ、キーデータの登録件数情報、携帯端末3を含む外部から施解錠操作の有無情報、不正(無効)カード操作の有無情報、照合時のエラーコードや対処方法などの詳細情報、こじ開け状態などの異常発生時のアラート内容、通常の鍵による解錠情報、メンテナンス情報(使用回数表示、錠前のエラー情報、電池残量情報など)、モニタ情報としての状態信号(錠前の施解錠状態信号や扉の開閉状態信号)等の錠前の施解錠制御に関わる各種データを記憶している。
【0018】
制御手段2cは、例えばCPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成され、後述する図2における判別処理を実行している。すなわち、制御手段2cは、非接触通信手段2aが取得した情報が携帯端末3からのキーデータか否かの判別を行い、携帯端末3からの情報と判別すると、そのキーデータと、予め記憶手段2bに記憶された認証用キーデータとを照合して正当性を判別し、正常に認証したときのみ現在の錠前の施解錠状態と扉の開閉状態に応じて錠前を電気的に解錠(又は施錠)制御するべく駆動機構2dに駆動制御信号を出力している。例えば携帯端末3から取得したキーデータを正常に認証し、現在の錠前が施錠状態で扉が閉状態であれば、錠前を電気的に解錠するべく駆動機構2dに駆動制御信号を出力している。
【0019】
さらに、制御手段2cは、携帯端末3からのキーデータを正常に認証したときに、異常情報があるか否かの判別を行い、異常情報の有無に応じて一連の電気錠情報を選択的に非接触通信手段2aから携帯端末3に送信させている。また、制御手段2cは、携帯端末3からのキーデータを正常に認証しないときでも、その照合結果としてエラー内容を示す電気錠情報を非接触通信手段2aから携帯端末3に送信させている。
【0020】
ここで、制御手段2cの制御によって非接触通信手段2aから携帯端末3に送信される一連の電気錠情報は、錠前の施解錠に関連する情報であって、施解錠動作が行われる度に記憶手段2bにログ情報として記憶され、例えば携帯端末3による施解錠操作時の照合結果、こじ開け状態、扉解放状態、通常の鍵による解錠、不正(無効)カード操作などが発生したときのアラート情報、記憶手段2bに記憶(登録)されている認証用キーデータ(登録件数情報)、メンテナンス情報(使用回数表示、錠前のエラー情報、電池残量情報など)などからなる。
【0021】
駆動機構2dは、例えばモータやソレノイド等の駆動装置と錠前で構成され、制御手段2cから入力される駆動制御信号により錠前を施錠または解錠するべく駆動し、扉枠の係止穴に対してデッドボルトを突出(施錠時)又は引き込む(解錠時)ことにより錠前が施解錠される。
【0022】
電源部2eは、例えば商用電源(AC100V)である外部電源からなり、通電金具を介して電気錠2を構成する各部の駆動に必要な電源を供給している。なお、電源部2eは、外部電源に限らず、電池などを用いることもできる。
【0023】
次に、携帯端末3は、機器本体内に非接触型ICチップを内蔵したICチップ内蔵タイプ若しくは非接触型IC内蔵カードが装着可能な携帯電話やPDAなどの外部通信機器で構成される。この携帯端末3は、図1に示すように、操作手段3a、非接触通信手段3b、制御手段3c、記憶手段3d、表示手段3e、動作機構3fを備えている。
【0024】
操作手段3aは、利用者が操作する例えばテンキーを含む各種操作キーからなる。本例では、携帯端末3を鍵として利用し、錠前の施解錠操作を行ったときに電気錠2から非接触通信によって送信される電気錠情報を表示手段3eに対して選択的に表示する場合に操作される。
【0025】
非接触通信手段3bは、電気錠2との間で相互に非接触通信が可能なリーダ/ライタで構成される。例えば携帯端末3が携帯電話の場合には、非接触ICカードの技術方式であるFeliCa(登録商標)によって非接触通信手段3bが構成され、電気錠2との間で相互に非接触通信を可能にしている。そして、この非接触通信手段3bでは、携帯端末3本体を電気錠2の通信エリア範囲内に近接させて錠前の施解錠操作を行ったときに、記憶手段3dに予め記憶されたキーデータを非接触通信によって電気錠2に送信している。また、非接触通信手段3bは、錠前の施解錠時に携帯端末3のキーデータの照合結果や異常情報の有無に応じて電気錠2から送信される電気錠情報を非接触通信によって受信し、この受信した電気錠情報を制御手段3cに出力している。
【0026】
制御手段3cは、携帯端末3本体を通信エリア範囲内に近接させて錠前の施解錠操作を行った際に非接触通信手段3bが受信した電気錠情報を表示手段3eに表示させている。また、そのときの電気錠情報を記憶手段3dに保存記憶させている。さらに、制御手段3cは、操作手段3aの操作に基づき、電気錠情報を選択的に表示手段3eの表示画面上に表示制御している。また、制御手段3cは、非接触通信手段3bが受信した電気錠情報に基づき、動作機構3fの駆動が必要と判別したときに、動作機構3fに動作信号を出力している。
【0027】
記憶手段3dは、電気錠2の錠前の施解錠に必要なキーデータとして、自身(携帯端末3)を特定する携帯端末特定情報や、事前に錠前の施解錠を許可する携帯端末3毎に付与された暗証情報などを記憶している。また、記憶手段3dは、錠前の施解錠時に電気錠2の判別処理結果に応じて電気錠2から選択的に送信される電気錠情報を制御手段3cの制御の元に保存記憶している。
【0028】
表示手段3eは、錠前の施解錠時に電気錠2から取得した電気錠情報を表示画面上に表示している。この表示手段3eの表示画面上に表示される電気錠情報は、操作手段3aの操作によって任意に選択して表示することも可能である。
【0029】
動作機構3fは、利用者に対して何らかの操作があったことを振動や音で知らせるための機構であり、制御手段3cからの動作信号によって駆動するバイブレータ機構やブザーで構成される。
【0030】
次に、上記構成による電気錠システム1の動作について図2を参照しながら説明する。本例の電気錠システム1では、電気錠2と携帯端末3との間で非接触通信を行い、携帯端末3からキーデータが電気錠2に送られ、電気錠2でキーデータの照合が行われる。
【0031】
電気錠2は、待機状態から非接触通信によって取得した情報が携帯端末3からのものか否かを判別する(ST1)。電気錠2は、取得情報が携帯端末3からのものでないと判断すると(ST1−No)、処理を終了し、待機状態に戻る。これに対し、電気錠2は、取得情報が携帯端末3からのキーデータと判断すると(ST1−Yes)、そのキーデータの照合を行い、その照合結果がOKか否かを判別する(ST2)。
【0032】
そして、電気錠2は、キーデータの照合結果がOKでないと判断すると(ST2−No)、照合結果を電気錠情報として携帯端末3に送信する。これにより、携帯端末3は、電気錠2から受信した電気錠情報の照合結果に基づくエラー内容を表示手段3eの表示画面上に表示する(ST3)。その後、電気錠情報としての照合結果(エラー内容)をログ情報として携帯端末3の記憶手段3dに記憶し保存する(ST4)。
【0033】
また、電気錠2は、ST2において、キーデータの照合結果がOKと判断すると(ST2−Yes)、異常情報があるか否かを判別する(ST5)。そして、電気錠2は、異常情報があると判断すると(ST5−Yes)、異常情報を含む一連の電気錠情報を携帯端末3に送信する。これにより、携帯端末3は、電気錠2から受信した一連の電気錠情報に含まれる異常情報に基づくアラート情報を表示手段3eの表示画面上に表示するとともに動作機構3fを動作させて振動、鳴動により利用者に知らせる(ST6)。その後、一連の電気錠情報に含まれるID登録情報の表示(ST7)、メンテナンス情報(使用回数、電池情報など)の表示を行い(ST8)、携帯端末3の操作情報、アラート情報、ID登録情報、メンテナンス情報を含む一連の電気錠情報をログ情報として携帯端末3の記憶手段3dに記憶し保存し(ST9)、待機状態に戻る。
【0034】
さらに、電気錠2は、ST5において、異常情報がないと判断すると(ST5−No)、照合結果を含む一連の電気錠情報を携帯端末3に送信する。これにより、携帯端末3は、電気錠2から受信した一連の電気錠情報に含まれる照合結果に基づいて照合OKの旨を表示手段3eの表示画面上に表示するとともに動作機構3fを動作させて振動、鳴動により利用者に知らせる(ST10)。その後、一連の電気錠情報に含まれるID登録情報の表示(ST7)、メンテナンス情報(使用回数、電池情報など)の表示を行い(ST8)、携帯端末3の操作情報、アラート情報、ID登録情報、メンテナンス情報を含む一連の電気錠情報をログ情報として携帯端末3の記憶手段3dに記憶し保存し(ST9)、待機状態に戻る。
【0035】
以上説明したように、本例の電気錠システム1では、携帯端末3を鍵として利用し、電気錠2の錠前を施解錠制御するときに、電気錠2と携帯端末3との間で非接触通信を行い、携帯端末3からのキーデータの照合を電気錠2で行い、その照合結果及び異常情報の有無に応じて錠前の施解錠に関連する一連の電気錠情報(照合結果、操作情報、アラート情報、ID登録情報、メンテナンス情報など)を電気錠2から携帯端末3に送信する。そして、携帯端末3では、電気錠2からの一連の電気錠情報に基づき、キーデータの照合結果を表示手段3eに表示したり、必要に応じて動作機構3fを動作させる。これにより、利用者に電気錠2が持っている様々な情報を提供することができる。その一例について以下に示す。
【0036】
(1)携帯端末3による施解錠時に、施解錠操作時の照合結果を電気錠情報として電気錠2から携帯端末3に送信する。これにより、携帯端末3に照合結果を表示したり、照合結果を音声案内することができ、利用者にとってより判りやすくなる。キーデータの照合エラー時には、エラーコードや対処方法など詳細な情報を電気錠情報として電気錠2から携帯端末3に送信すれば、その情報を携帯端末3の表示手段3eに表示することでエラーの内容を即時に把握でき、迅速な対処を行うための情報として役立てることができる。また、携帯端末3を振動させることで操作したことが感触として判る。さらに、操作したことを携帯端末3に記録し、履歴として残すことができる(外出時の戸締り確認などに利用できる)。
【0037】
(2)携帯端末3による施解錠時に、こじ開け状態、扉解放状態、通常の鍵による解錠、不正(無効)カード操作などがある場合には、そのアラート情報を電気錠情報として電気錠2から携帯端末3に送信し、アラート情報の内容を携帯端末3の表示手段3eに表示する。また同時に、動作機構3fを動作させ、振動やブザー鳴動によって利用者に知らせることができる。
【0038】
(3)携帯端末3による施解錠時に、電気錠2の記憶手段2bに登録されているキーデータ(登録件数情報)を電気錠情報として電気錠2から携帯端末3に送信する。これにより、電気錠2に他のキーデータが何件登録されているかを携帯端末3の表示手段3eに表示することができる。特にマンション等では管理者など第三者が登録する場合があり、入居者以外のキーを登録をされていないか即座に確認できる。
【0039】
(4)携帯端末3による施解錠時に、メンテナンス情報(使用回数表示、錠前のエラー情報など)を電気錠情報として電気錠2から携帯端末3に送信する。これにより、電気錠2の故障時の情報を携帯端末3の表示手段3eに表示し、的確な処理を実施できる。また、電気錠2が電池駆動の場合には、電池残量情報を電気錠情報として携帯端末3に送信すれば、電池残量が少なくなったときのアラート(表示、振動や音による警告)を携帯端末3でも行うことができ、利用者により強く訴えることができる。
【0040】
このように、本例の電気錠システム1では、携帯端末3を鍵として利用し、この携帯端末3を照合媒体とすることで照合時に各種情報確認が行え、従来に比べて利便性の向上を図ることができる。具体的には、以下に示すような効果を奏する。
(1)携帯端末の表示画面上に照合結果の表示が可能になる。
(2)電気錠を施解錠操作した履歴を携帯端末に残すことができ、最終操作の確認を携帯端末で行うことができる。
(3)キーデータの照合エラーが発生したときに、そのエラー内容を携帯端末に表示でき、即座に原因を究明して対処が可能になる。
(4)電気錠が保持している一連の履歴を携帯端末の表示画面上に表示でき、電気錠のメンテナンスに役立てることができる。
【0041】
ところで、本例の電気錠システム1に採用される電気錠2としては、少なくとも携帯端末3から取得したキーデータの照合結果に基づいて錠前の電気的な施解錠制御が可能な構成であれば良い。例えば携帯端末3を鍵として利用する他、通常の鍵を使用して錠前を機械的に施解錠したり、カード状記憶媒体に予め記憶されたキーデータの照合結果に基づいて錠前を電気的に施解錠する構成を併用したものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る電気錠システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電気錠システムの動作フローチャートである。
【図3】(a),(b) 特許文献1に開示される電気錠システムの概略斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 電気錠システム
2 電気錠
2a 非接触通信手段
2b 記憶手段
2c 制御手段
2d 駆動機構
2e 電源部
3 携帯端末
3a 操作手段
3b 非接触通信手段
3c 制御手段
3d 記憶手段
3e 表示手段
3f 動作機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠前の施解錠に必要なキーデータを記憶した携帯端末を用い、該携帯端末との間で非接触通信を行って取得したキーデータの照合結果に基づいて前記錠前の電気的な施解錠制御が可能な電気錠を備えた電気錠システムであって、
前記電気錠は、前記キーデータの照合結果や異常情報を含む錠前の施解錠に関わる一連の電気錠情報を記憶する機能と、前記携帯端末からのキーデータの照合結果や異常情報の有無に応じて前記一連の電気錠情報を選択的に非接触通信によって前記携帯端末に送信する機能とを備えており、
前記携帯端末は、前記キーデータの照合時に前記電気錠から送信される前記電気錠情報を表示する機能を備えたことを特徴とする電気錠システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記キーデータの照合時に前記電気錠から前記電気錠情報の送信があった旨を振動や音によって知らせる機能を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の電気錠システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−138467(P2008−138467A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327137(P2006−327137)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】