説明

電池パック

【課題】落下による衝撃や圧力に対する安全性を向上することができる電池パックを提供する。
【解決手段】電池3と、電池3を収容する略箱状の筐体2と、圧力を検出するシート状の部材であって、筐体2のすべての角の頂点K1〜K8と電池3との間に配設された圧力検出シート4と、圧力検出シート4によって検出された圧力が、予め設定された第1閾値を超える場合、電池3の充放電を禁止する禁止制御部532とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下に対する安全性が向上される電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型パーソナルコンピュータや携帯電話機、デジタルカメラ等、電池パックによって駆動される携帯型の電池駆動機器が広く用いられ、このような機器に用いられる電池パックの高容量化が進んでいる。そして、このような携帯型の電池駆動機器に用いられる電池パックは、ユーザが持ち運ぶ機会が多いため、電池パックが落下して衝撃が加えられるおそれが増大する。そして、高容量化の進んだ電池パックは、電池に蓄えられたエネルギーが大きいため、落下による衝撃により損傷を受けて内部短絡等の故障が生じた場合の発熱量も増大する。
【0003】
そこで、従来、電池パックに圧力センサや衝撃センサを備えて、電池パックに衝撃が加えられた場合、電池の充放電を禁止することにより、安全性を向上するようにした電池パックが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−102092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電池パックが平らな地面や床面に落下した場合、電池パックに加わる衝撃、圧力は電池パック全体で均一にならず、電池パックの筐体が、地面や床面にぶつかった箇所の付近で、電池パック内のセルに局所的に大きな衝撃、圧力が加わる。そうすると、上述のように、電池パック内のどこかに圧力センサや衝撃センサを備えていても、圧力センサや衝撃センサが配設されている位置がぶつかった箇所から離れていると、セルに局所的に加わった衝撃、圧力を検出することができないため、電池の充放電を禁止することができない結果、安全性を向上させることができないという、不都合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、落下による衝撃や圧力に対する安全性を向上することができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池パックは、電池と、前記電池を収容する略箱状の筐体と、圧力を検出するシート状の部材であって、前記筐体における外部からの圧力が集中する位置と前記電池との間に配設された圧力検出部と、前記圧力検出部によって検出された圧力が、予め設定された第1閾値を超える場合、前記電池の充放電を禁止する禁止制御部とを備える。
【0007】
この構成によれば、略箱状の筐体における外部からの圧力が集中する位置と電池との間にシート状の圧力検出部が配設されている。そうすると、このような筐体が落下した場合、地面や床面と衝突することにより生じた圧力は、圧力検出部が配設されている位置に集中するから、落下により生じた局所的な圧力のうち最大の圧力が圧力検出部によって検出される確実性が向上する。そして、禁止制御部によって、圧力検出部によって検出された圧力が第1閾値を超える場合、電池の充放電が禁止されるので、落下により生じた局所的な圧力のうち最大の圧力に基づき電池の充放電を禁止することで、電池パックの落下による衝撃や圧力に対する安全性を向上することができる。また、圧力検出部はシート状であるから、一定の広がりを有する領域で圧力を検出できると共に、圧力検出部の面積を増大させることで、圧力検出可能な範囲を増大させることが容易となる。そうすると、落下により局所的に加わる圧力を、広い範囲で検出することが容易となる結果、背景技術に係る電池パックのように、電池パック内の一カ所で圧力や衝撃を検知するものよりも、落下により生じた圧力を検出する確実性を向上させることができる。
【0008】
また、前記筐体における外部からの圧力が集中する位置は、前記筐体の頂点であり、前記圧力検出部は、前記筐体のすべての頂点と前記電池との間に配設されていることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、略箱状の筐体のすべての角の頂点と電池との間にシート状の圧力検出部が配設されている。このような略箱状の筐体が平らな地面や床面に落下した場合、筐体の角の頂点のうちいずれかが、最初に地面や床面と衝突することになる。そうすると、筐体の角の各頂点のうちいずれかに最も大きな衝撃が加えられ、その頂点部分で筐体が変形する結果、当該頂点と電池との間に配設された圧力検出部に圧力が加えられることで、落下により電池に与えられる圧力が、圧力検出部によって検出される。この場合、圧力検出部は、すべての角の頂点と電池との間に設けられているので、電池パックが落下した際に、地面や床面と衝突した頂点の位置に関わらず、当該衝突した頂点から電池に加えられる圧力を圧力検出部によって検出することができる結果、落下により生じた局所的な圧力のうち最大の圧力を圧力検出部によって検出する確実性が向上する。そして、禁止制御部によって、圧力検出部によって検出された圧力が第1閾値を超える場合、電池の充放電が禁止されるので、落下により生じた局所的な圧力のうち最大の圧力に基づき電池の充放電を禁止することで、電池パックの落下による衝撃や圧力に対する安全性を向上することができる。また、圧力検出部はシート状であるから、一定の広がりを有する領域で圧力を検出できると共に、圧力検出部の面積を増大させることで、圧力検出可能な範囲を増大させることが容易となる。そうすると、落下により局所的に加わる圧力を、広い範囲で検出することが容易となる結果、背景技術に係る電池パックのように、電池パック内の一カ所で圧力や衝撃を検知するものよりも、落下により生じた圧力を検出する確実性を向上させることができる。
【0010】
また、前記筐体は、扁平な略箱状であり、前記圧力検出部は、帯状であって、前記筐体における最も短い辺を含む壁面の内側に、前記電池を囲んで配設されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、帯状の圧力検出部は、筐体のすべての角の頂点と電池との間に、シート状の圧力検出部の少なくとも端部が位置するように、配設されることとなる結果、落下により生じた局所的な圧力のうち最大の圧力を圧力検出部によって検出する確実性が向上する。また、扁平な略箱状の筐体は、面積が小さい厚さ方向の外壁面を下にして落下した場合、筐体が地面や床面に衝突した際に電池に加わる衝撃、圧力が、面積の大きい外壁面を下にして落下した場合よりも増大する。そこで、帯状の圧力検出部が、筐体における最も短い辺を含む壁面の内側に、電池を囲んで配設されていることによって、面積が小さい厚さ方向の外壁面を下にして落下した場合、すなわち電池の損傷につながるおそれの大きい向きで電池パックが落下した場合に、電池に加わる圧力を効率よく検出することができる。
【0012】
また、前記筐体における厚さ方向の内壁面には、内側に突出する凸部が設けられていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、落下による衝撃で筐体が変形した場合、筐体の内壁面に設けられた凸部によって圧力検出部に圧力が加えられるので、筐体の内壁面から圧力検出部へ圧力が伝わりやすくなる結果、落下により生じる圧力を圧力検出部によって検出する確実性を向上させることができる。
【0014】
また、前記圧力検出部は、前記第1閾値に満たない予め設定された設定圧力が加えられた状態で、前記筐体の内壁面と前記電池とによって挟持されており、前記禁止制御部は、さらに、前記圧力検出部によって検出された圧力が、前記設定圧力に満たない値に予め設定された第2閾値以下の場合、前記電池の充放電を禁止することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、圧力検出部は、第1閾値に満たない予め設定された設定圧力が加えられた状態で、筐体の内壁面と電池とによって挟持されているので、例えば第三者が筐体を分解すると、筐体と電池とによって挟持されることで圧力検出部に印加されていた圧力が低下する。そして、圧力検出部によって検出された圧力が第2閾値以下になると、禁止制御部によって電池の充放電が禁止されるので、電池パックが分解されて品質を保証できなくなった場合に電池パックの使用を禁止することで安全性を向上することができる。
【0016】
また、前記電池の充放電経路を開閉する充放電経路開閉部をさらに備え、前記禁止制御部は、前記充放電経路開閉部により前記充放電経路を開かせることにより、前記電池の充放電を禁止することが好ましい。この構成によれば、禁止制御部によって、電池の充放電が禁止されると、電池の充放電経路が遮断されるので、電池の充放電を確実に禁止することができる。
【0017】
また、不揮発性の記憶部をさらに備え、前記禁止制御部は、前記電池の充放電を禁止する場合にさらに前記電池の充放電を禁止する旨の情報を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部によって、既に前記電池の充放電を禁止する旨の情報が記憶されている場合、前記圧力検出部によって検出される圧力に関わらず、前記電池の充放電を禁止することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、禁止制御部によって、電池の充放電が禁止されると、電池の充放電を禁止する旨の情報が不揮発性の記憶部に記憶される。そして、記憶部によって、既に電池の充放電を禁止する旨の情報が記憶されている場合、禁止制御部によって、圧力検出部によって検出される圧力に関わらず電池の充放電が禁止されるので、永続的に電池の充放電を禁止でき、制御回路自身の改造を防止することも容易となる結果、充放電が禁止された電池パックの安全性を向上させることができる。
【0019】
また、前記充放電経路開閉部は、ヒューズであり、前記禁止制御部は、前記ヒューズを溶断させることにより、前記電池の充放電を禁止するようにしてもよい。この構成によれば、禁止制御部によって、電池の充放電が禁止されると、ヒューズが溶断されることにより電池の充放電経路が遮断されるので、永続的に電池の充放電を禁止することができる結果、充放電が禁止された電池パックの安全性を向上させることができる。
【0020】
また、前記圧力検出部は、対向配置されたシート状の第1及び第2電極間に圧力によって変形し得る材料が充填され、当該材料中に当該材料よりも電気抵抗が小さい導電性フィラーが分散して保持されているものであり、前記禁止制御部は、前記第1及び第2電極間の抵抗値を、前記圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として取得することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、圧力検出部に圧力が加えられると、第1及び第2電極間に充填された材料が圧力変形して導電性フィラー相互間の間隔が狭くなり、第1及び第2電極間の抵抗値が減少する。この場合、圧力検出部に加えられる圧力が高いほど導電性フィラー相互間の間隔が狭くなって第1及び第2電極間の抵抗値が減少するので、第1及び第2電極間の抵抗値が、圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として得られる。
【0022】
また、前記圧力検出部は、互いに間隔を有して設けられた第3及び第4電極と、前記第3及び第4電極それぞれの少なくとも一部を覆うように対向配置された導電部材と、前記導電部材を、前記第3及び第4電極と離間させて保持する弾性部材とを備え、前記禁止制御部は、前記第3及び第4電極間の抵抗値を、前記圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として取得するようにしてもよい。
【0023】
この構成によれば、圧力検出部に圧力が加わると、導電部材が押圧されて弾性部材が変形し、導電部材が第3及び第4電極に接触して導通することで、第3及び第4電極間の抵抗値が低下する。これにより、第3及び第4電極間の抵抗値が、圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として得られる。
【0024】
また、前記圧力検出部は、両端にそれぞれ電極が設けられた柔軟性を有する管と、前記各電極と接触するように前記管に封入された液状の導電材料と、前記管を扁平になるように挟持する二つのシート部材とを備え、前記禁止制御部は、前記管の両端に設けられた電極間の抵抗値を、前記圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として取得するようにしてもよい。
【0025】
この構成によれば、圧力検出部に圧力が加わると、管が変形して管の断面積が減少し、すなわち導電部材による導体断面積が減少する結果、管の両端に設けられた電極間の抵抗値が増大する。これにより、圧力検出部は、与えられた圧力が増大するほど管の両端に設けられた電極間の抵抗値が増大するので、管の両端に設けられた電極間の抵抗値を、圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として取得することができる。
【発明の効果】
【0026】
このような構成の電池パックは、この構成によれば、略箱状の筐体における外部からの圧力が集中する位置と電池との間にシート状の圧力検出部が配設されている。そうすると、このような筐体が落下した場合、地面や床面と衝突することにより生じた圧力は、圧力検出部が配設されている位置に集中するから、落下により生じた局所的な圧力のうち最大の圧力が圧力検出部によって検出される確実性が向上する。そして、禁止制御部によって、圧力検出部によって検出された圧力が第1閾値を超える場合、電池の充放電が禁止されるので、落下により生じた局所的な圧力のうち最大の圧力に基づき電池の充放電を禁止することで、電池パックの落下による衝撃や圧力に対する安全性を向上することができる。また、圧力検出部はシート状であるから、一定の広がりを有する領域で圧力を検出できると共に、圧力検出部の面積を増大させることで、圧力検出可能な範囲を増大させることが容易となる。そうすると、落下により局所的に加わる圧力を、広い範囲で検出することが容易となる結果、背景技術に係る電池パックのように、電池パック内の一カ所で圧力や衝撃を検知するものよりも、落下により生じた圧力を検出する確実性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す斜視図である。図1は、電池パック1の筐体2における前面部分の壁を取り除いて、筐体2の内部が見える状態で、電池パック1の構造の一例を示している。また、図2は、図1に示す電池パック1のX−X断面を示す断面図である。
【0028】
図1に示す筐体2は、厚さdの方向に薄い扁平な略箱状にされている。そして、筐体2の内部に9個の電池3と、圧力検出シート4(圧力検出部)と、電池3の充放電を制御する制御ユニット5とが収容されている。また、筐体2の側面には、電池パック1を、電気機器と接続するための接続コネクタ6が設けられている。電池3は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等の二次電池である。なお、電池3は、一次電池であってもよい。
【0029】
圧力検出シート4は、帯状のシートであって、筐体2における厚さdの方向に沿う内壁面の内側、すなわち筐体における最も短い辺を含む壁面の内側に、9個の電池を囲むように配設されている。また、圧力検出シート4は、予め設定された所定の設定圧力Psが加えられた状態で、筐体2の内壁面及び制御ユニット5の内壁面と、9個の電池3とによって挟持されている。この場合、圧力検出シート4は、筐体2のすべての角の頂点K1〜K8と電池3との間に、圧力検出シート4の少なくとも端部が位置するように、配設されることとなる。
【0030】
図3は、電池3と圧力検出シート4とを取り外して筐体2の内壁が見えるようにした説明図である。図3に示すように、筐体2における最も短い辺を含む壁面の内側には、内側に突出する略くさび形の凸部21が設けられており、凸部21によって、筐体2から圧力検出シート4へ圧力が加わり易くなるようにされている。
【0031】
図4は、圧力検出シート4の構成の一例を示す説明図である。図4に示す圧力検出シート4は、対向配置されたシート状の電極41(第1電極)、電極42(第2電極)間に、圧力によって変形し得る絶縁性の材料43が充填され、材料43に導電性フィラー44が混合されて、材料43により導電性フィラー44が分散して保持されている。材料43としては、例えばポリマー樹脂や、ゴムを用いることができ、例えばスポンジ状の発泡材料を好適に用いることができる。導電性フィラー44としては、例えばカーボンを用いることができる。そして、材料43に混合する導電性フィラー44の濃度を適宜調節することにより、電極41,42間の抵抗値が適宜設定されている。
【0032】
図5は、圧力検出シート4による圧力検出の仕組みを説明するための説明図である。図5(a)は、圧力検出シート4に圧力が印加されていない状態を示し、図5(b)は、圧力検出シート4に圧力が印加された状態を示している。まず、圧力検出シート4は、図5(a)に示すように、圧力が印加されていない状態では、材料43中の導電性フィラー44がバラバラに分散されて保持されており、導電性フィラー44相互間の間隔が大きいために電極41,42間の抵抗値が増大する。
【0033】
一方、圧力検出シート4に圧力が加えられると、図5(b)に示すように、材料43が圧力変形して導電性フィラー44相互間の間隔が狭くなったり接触したりして、電極41,42間の抵抗値が減少する。この場合、圧力検出シート4に加えられる圧力が高いほど導電性フィラー44相互間の間隔が狭くなって電極41,42間の抵抗値が減少するので、圧力検出シート4に加えられる圧力が、電極41,42間の抵抗値として検出される。
【0034】
図6は、図1に示す電池パック1の電気的構成の一例を示すブロック図である。図1に示す電池パック1は、制御IC(Integrated Circuit)51,52、外部接続端子61,62,63,64、9個の電池3、圧力検出シート4、スイッチング素子Q1,Q2(充放電経路開閉部)、スイッチング素子Q3、抵抗R1,R2,R3,R4、温度ヒューズF1,F2(充放電経路開閉部)、及びヒータRhを備えて構成されている。
【0035】
9個の電池3は、3個ずつ並列接続されて3つの電池ブロック31,32,33にされ、さらに電池ブロック31,32,33が直列接続されて、一つの組電池30にされている。スイッチング素子Q1,Q2,Q3は、例えばFET(Field Effect Transistor)等のスイッチング素子である。
【0036】
外部接続端子61,62は、組電池30を充電するための充電装置を接続したり、組電池30からの放電電流により駆動される携帯電話機やデジタルカメラ、携帯型パーソナルコンピュータ等の電池駆動機器を接続したりするための接続端子である。外部接続端子61は、温度ヒューズF1,F2、スイッチング素子Q1,Q2を介して組電池30の正極に接続され、外部接続端子62は、組電池30の負極、すなわち回路グラウンドに接続されている。外部接続端子63,64は、電池パック1と接続される充電装置や電池駆動機器との間でデータ送受信を行うための通信端子である。
【0037】
スイッチング素子Q1は、寄生ダイオードのアノードが組電池30側になる方向にされており、スイッチング素子Q2は、寄生ダイオードのアノードが外部接続端子61側になる方向にされている。そして、スイッチング素子Q1は、組電池30が過充電になった場合に充電電流を遮断する過充電保護用のスイッチとして用いられ、スイッチング素子Q2は、組電池30の放電電流が過大になった場合に放電電流を遮断する過放電保護用のスイッチとして用いられる。
【0038】
また、温度ヒューズF1と温度ヒューズF2との接続点は、ヒータRhとスイッチング素子Q3とを介して組電池30の負極に接続されている。そして、スイッチング素子Q3のゲートは、抵抗R3を介して制御IC52と接続され、抵抗R4を介して制御IC51と接続されている。そして、制御IC51,52からの制御信号に応じてスイッチング素子Q3がオンすると、ヒータRhが発熱して温度ヒューズF1,F2が溶断するようになっている。
【0039】
制御IC51は、例えば、制御部53、A/D(アナログ/デジタル)コンバータ54,55,56、及びEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)57(記憶部)を備える。
【0040】
A/Dコンバータ54の入力端子は電池ブロック31の正極に接続され、出力端子は制御部53に接続されている。A/Dコンバータ55の入力端子は抵抗R1を介して電池ブロック32の正極に接続され、出力端子は制御部53に接続されている。A/Dコンバータ56の入力端子は電池ブロック33の正極に接続され、出力端子は制御部53に接続されている。A/Dコンバータ54は、電池ブロック31の端子電圧を検出し、デジタル値に変換して制御部53へ出力する。A/Dコンバータ55は、電池ブロック32の端子電圧を検出し、デジタル値に変換して制御部53へ出力する。A/Dコンバータ56は、電池ブロック33の端子電圧を検出し、デジタル値に変換して制御部53へ出力する。
【0041】
制御部53は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、I/Oポートと、これらの周辺回路等とを備えて構成され、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、保護制御部531、及び禁止制御部532として機能する。
【0042】
保護制御部531は、A/Dコンバータ54,55,56から入力された電池ブロック31,32,33の各端子電圧と、予め設定されている過充電保護電圧値V1とを比較する。そして、電池ブロック31,32,33の各端子電圧が過充電保護電圧値V1に達した場合、保護制御部531によって、スイッチング素子Q1がオフされて、電池ブロック31,32,33の充放電経路が開かれる。このように、電池ブロック31,32,33の端子電圧が過充電保護電圧値V1に達した場合、外部接続端子61と組電池30との間が遮断され、充電が停止され、過充電から保護される。過充電保護電圧値V1は、電池3の定格電圧が4.2Vであるので、例えば4.35Vに予め設定されている。
【0043】
また、保護制御部531は、A/Dコンバータ54,55,56から入力された電池ブロック31,32,33の端子電圧と、予め設定されている過放電電圧値とを比較する。電池ブロック31,32,33の端子電圧が過放電電圧値まで低下した場合、保護制御部531はスイッチング素子Q2をオフさせて、組電池30の充放電経路を開かせる。このように、電池ブロック31,32,33の端子電圧が過放電電圧値まで低下した場合、組電池30は回路から遮断されて保護される。過放電電圧値は、電池3の特性を劣化させない範囲の最小の電圧値に予め設定されている。
【0044】
禁止制御部532は、圧力検出シート4の抵抗値Rsを検出し、この抵抗値を圧力に換算することで、圧力検出シート4に印加された圧力を検出する。具体的には、例えば、圧力検出シート4の電極41,42間には、図略の定電流回路によって予め設定された一定の電流Isが流されており、禁止制御部532は、電極41,42間の電圧Vsを検出することで、圧力検出シート4の抵抗値RsをVs/Isとして算出する。そして、禁止制御部532は、例えば電池パック1が落下するなどして圧力検出シート4に圧力が加わり、抵抗値Rsが予め設定された抵抗値Rth1を下回った場合、スイッチング素子Q1,Q2をオフさせて速やかに組電池30の充放電を禁止すると共に、組電池30の充放電を禁止する旨の情報をEEPROM57に記憶させる。
【0045】
この場合、電池3が損傷を受けるおそれがある第1閾値の圧力が圧力検出シート4に加えられているときの抵抗値Rsが、抵抗値Rth1として設定されており、抵抗値Rsが抵抗値Rth1を下回ることは、圧力検出シート4に印加される圧力が第1閾値を超えたことを示している。
【0046】
さらに、禁止制御部532は、EEPROM57に組電池30の充放電を禁止する旨の情報が記憶されていると、圧力検出シート4の抵抗値に関わらず、スイッチング素子Q1,Q2がオフされて組電池30の充放電の禁止状態が維持される。また、禁止制御部532は、抵抗値Rsが抵抗値Rth1を下回った場合、スイッチング素子Q3をオンさせ、ヒータRhを発熱させて温度ヒューズF1,F2を溶断させることで、組電池30の充放電経路を開き、組電池30の充放電を永続的に禁止する。
【0047】
そして、禁止制御部532は、例えば第三者が筐体2を分解するなどして、筐体2と電池3とによって挟持されることで圧力検出シート4に印加されていた圧力が低下し、圧力検出シート4の抵抗値が予め設定された抵抗値Rth2を上回り、すなわち圧力検出シート4に印加される圧力が予め設定された第2閾値以下となった場合、スイッチング素子Q1,Q2をオフさせて速やかに組電池30の充放電を禁止すると共に、組電池30の充放電を禁止する旨の情報をEEPROM57に記憶させ、さらにスイッチング素子Q3をオンさせ、ヒータRhを発熱させて温度ヒューズF1,F2を溶断させることで、組電池30の充放電を永続的に禁止する。この場合、第2閾値は、設定圧力Psより低い圧力に予め設定されている。また、圧力検出シート4に、第2閾値で示される圧力が印加された場合の圧力検出シート4の抵抗値Rsが、抵抗値Rth2として予め設定されている。
【0048】
制御IC52は、論理回路521、コンパレータM1,M2,M3及び基準電圧源E1,E2,E3を備えている。また、電池ブロック31の正極が、コンパレータM1のプラス端子に接続され、基準電圧源E1から出力された基準電圧Ref1が、コンパレータM1のマイナス端子に印加され、コンパレータM1の出力端子は論理回路521に接続されている。コンパレータM1は、外部接続端子61,62に接続された図略の充電装置によって組電池30が充電され、電池ブロック31の端子電圧が基準電圧Ref1を超えると、過充電を示す検知信号を論理回路521へ出力する。
【0049】
また、電池ブロック32の正極が、コンパレータM2のプラス端子に接続され、基準電圧源E2から出力された基準電圧Ref2が、コンパレータM2のマイナス端子に印加され、コンパレータM2の出力端子は論理回路521に接続されている。コンパレータM2は、外部接続端子61,62に接続された図略の充電装置によって組電池30が充電され、電池ブロック32の端子電圧が基準電圧Ref2を超えると、過充電を示す検知信号を論理回路521へ出力する。
【0050】
また、電池ブロック33の正極が、コンパレータM3のプラス端子に接続され、基準電圧源E3から出力された基準電圧Ref3が、コンパレータM3のマイナス端子に印加され、コンパレータM3の出力端子は論理回路521に接続されている。コンパレータM3は、外部接続端子61,62に接続された図略の充電装置によって組電池30が充電され、電池ブロック33の端子電圧が基準電圧Ref3を超えると、過充電を示す検知信号を論理回路521へ出力する。
【0051】
基準電圧Ref1〜4は、過充電保護電圧値V1よりも大きい例えば4.45Vに予め設定されている。
【0052】
論理回路521は、コンパレータM1〜M4から過充電を示す検知信号が出力されると、組電池30の充電を停止させるべく制御信号をスイッチング素子Q3のベースへ出力することによりスイッチング素子Q3をオンさせる。そうすると、ヒータRhに電流が流れて発熱し、ヒータRhに熱接続された温度ヒューズF1,F2が溶融遮断し、充電電流を完全に遮断する。制御IC52は、制御IC51が何らかの異常により正常に動作しなかった場合に、組電池30を過剰な充電から保護するようになっている。
【0053】
次に、上述のように構成された電池パック1の動作について説明する。まず、図1に示す略箱状の筐体2が平らな地面や床面に落下した場合、筐体2の外面のいずれかが、地面や床面と完全に平行な状態で落下することはまれであるため、ほとんどの場合、筐体2の頂点K1〜K8のうちいずれかが、最初に地面や床面と衝突することになる。そうすると、頂点K1〜K8のうちいずれかに最も大きな衝撃が加えられ、その頂点部分に圧力が集中して筐体2が変形することで、当該頂点と電池3との間に配設された圧力検出シート4に圧力が加えられる。そうすると、図5(b)に示すように、材料43が圧力変形して導電性フィラー44相互間の間隔が狭くなり、電極41,42間の抵抗値Rsが減少する。
【0054】
そして、禁止制御部532によって、圧力検出シート4の抵抗値Rsが検出され、抵抗値Rsが予め設定された抵抗値Rth1を下回った場合、禁止制御部532によって、スイッチング素子Q1,Q2がオフされて速やかに組電池30の充放電が禁止されることで、落下による衝撃で電池3が損傷した場合の安全性が向上される。
【0055】
また、電池パック1が落下した際の圧力検出シート4の圧力変化は一時的であるが、衝撃により電池3が損傷を受けた場合には、時間が経過しても電池3の損傷は回復しない。そこで、禁止制御部532は、組電池30の充放電を禁止する旨の情報をEEPROM57に記憶させ、EEPROM57に組電池30の充放電を禁止する旨の情報が記憶されていると、圧力検出シート4の抵抗値に関わらず、スイッチング素子Q1,Q2をオフすることで、一度でも圧力検出シート4の抵抗値Rsが抵抗値Rth1を下回り、電池3が損傷しているおそれのある組電池30の充放電を永続的に禁止する。これにより、損傷しているおそれのある電池3が充放電されることが、永続的に禁止されるので、安全性を向上させることができる。
【0056】
さらに、圧力検出シート4の抵抗値Rsが抵抗値Rth1を下回った場合、禁止制御部532によって、スイッチング素子Q3がオンされ、ヒータRhが発熱することで温度ヒューズF1,F2が溶断されて、組電池30の充放電経路が開かれ、組電池30の充放電が永続的に禁止される。この場合、温度ヒューズF1,F2は、一度溶断されると、再び導通することがないので、落下により損傷しているおそれのある電池3が再び充放電されることが、より確実に永続的に禁止されて、安全性を向上させることができる。
【0057】
このとき、電池パック1が落下により地面や床面に衝突した場合において、ほとんどの場合に圧力が集中して最も大きな衝撃、圧力が加わる頂点K1〜K8のいずれについても、頂点K1〜K8と電池3との間に圧力検出シート4が配設されているので、落下により電池3に加えられる最大の圧力を、圧力検出シート4によって検出することができる。そうすると、電池パック1は、背景技術に係る電池パックのように、圧力センサや衝撃センサが配設されている位置がぶつかった箇所から離れているためにセルに局所的に加わった衝撃、圧力を検出することができない、といった不都合が生じるおそれが低減される結果、落下による衝撃や圧力に対する安全性を向上することができる。
【0058】
また、圧力検出シート4は、シート状にされており、広い面積で組電池30を囲むようにされているので、局所的に加わる圧力を広い範囲で検出することができる結果、背景技術に係る電池パックのように、電池パック内の一カ所で圧力や衝撃を検知するものよりも、落下により生じた圧力を検出する確実性を向上させることができる。
【0059】
そして、筐体2における厚さ方向dの内壁面には、内側に突出する楔状の凸部21が設けられているので、落下による地面や床面との衝突によって筐体2に加えられた衝撃や圧力が、凸部21に集中して圧力検出シート4へ効率よく印加される結果、圧力検出シート4による圧力の検出感度を向上させることができる。
【0060】
なお、凸部21や、電池3の形状、重心の位置等によって、頂点K1〜K8と電池3との間よりも圧力が集中し易い部位がある場合には、圧力検出シート4は、必ずしも頂点K1〜K8のすべてと電池3との間に設けられている必要はなく、このような圧力が集中し易い部位に圧力検出シート4が配設されていてもよい。
【0061】
また、図1に示すような厚さ方向dに薄い扁平な略箱状の筐体2は、面積が小さい厚さ方向dの外壁面を下にして落下した場合、筐体2が地面や床面に衝突した際に電池3に加わる衝撃、圧力が増大するのに対し、厚さ方向dの外壁面以外の、面積が大きい外壁面(図1における正面と裏面)を下にして落下した場合、筐体2は、広い面積で地面や床面に接地して衝撃や圧力が分散される結果、電池3に加わる衝撃や圧力は減少し、電池3が損傷するおそれが低減される。
【0062】
そこで、図1に示す電池パック1は、帯状の圧力検出シート4が、筐体2における厚さ方向dの内壁面に沿う方向に、組電池30を囲んで配設されていることによって、面積が小さい厚さ方向dの外壁面を下にして落下した場合、すなわち電池3の損傷につながるおそれの大きい向きで電池パック1が落下した場合に、電池3に加わる圧力を効率よく検出することができるようになっている。一方、厚さ方向dの外壁面以外の面積が大きい外壁面を下にして落下した場合には、電池3が損傷するおそれが少なくなるので、厚さ方向dの外壁面以外の外壁面の内側には、圧力検出シート4を設けない構造とすることによって、圧力検出シート4の面積を減少させてコストを低減すると共に、圧力検出シート4の厚さによって、電池パック1の厚さが増大し、電池パック1が大型化することが低減される。
【0063】
さらに、圧力検出シート4は、電極41,42間に、圧力によって変形し得るポリマー樹脂やゴム等からなる材料43が充填されているので、電池パック1が厚さ方向dの外壁面を下にして落下した場合、筐体2が地面や床面に衝突した際に電池3に加わる衝撃、圧力が、圧力検出シート4によって吸収され、電池3が落下による衝撃や圧力によって損傷するおそれが低減される。
【0064】
ところで、電池パックに収容されている二次電池は、充放電を繰り返すうちに劣化する。そこで、近年、電池パックの製造メーカに無断で、劣化した電池パックの二次電池を交換して、正規の電池パックであると偽って販売する不当業者が現れている。しかしながら、このような改造品は、電池パックの正規の製造メーカが品質管理を行うことができず、安全上問題がある。また、正規のメーカが製造したものであると信じて電池パックを購入したユーザの信頼を損なう結果ともなる。
【0065】
そこで、図1に示す電池パック1は、圧力検出シート4に、設定圧力Psが加えられた状態で、筐体2の内壁面及び制御ユニット5の内壁面と、9個の電池3とによって挟持する構造としており、例えば第三者が劣化した電池3を交換しようとして筐体2を分解すると、筐体2と電池3とによって圧力検出シート4に印加されていた圧力が開放されて、圧力検出シート4の圧力が低下するようにされている。
【0066】
これにより、第三者が筐体2を分解すると、圧力検出シート4に印加されていた圧力が低下し、圧力検出シート4の抵抗値が予め設定された抵抗値Rth2を上回り、すなわち圧力検出シート4に印加される圧力が予め設定された第2閾値以下となった場合、禁止制御部532によって、スイッチング素子Q1,Q2がオフされて速やかに組電池30の充放電が禁止され、電池パック1が分解された際の安全性が向上される。
【0067】
また、禁止制御部532によって、組電池30の充放電を禁止する旨の情報がEEPROM57に記憶される。そして、禁止制御部532は、EEPROM57に組電池30の充放電を禁止する旨の情報が記憶されていると、圧力検出シート4の抵抗値に関わらずスイッチング素子Q1,Q2をオフすることで、筐体2が分解されて電池3が交換されたおそれがある場合には、組電池30の充放電を永続的に禁止する。これにより、第三者により不当に改造され、安全性を保証できない電池パックが使用されるおそれが低減される。
【0068】
さらに、禁止制御部532によって、スイッチング素子Q3がオンされ、ヒータRhが発熱することで温度ヒューズF1,F2が溶断されて、組電池30の充放電経路が開かれ、組電池30の充放電が永続的に禁止される。この場合、温度ヒューズF1,F2は、一度溶断されると再び導通することがないので、永続的に組電池30の充放電が禁止される結果、第三者により不当に改造され、安全性を保証できない電池パックが再び使用されるおそれが低減される。
【0069】
なお、圧力検出シート4は、必ずしも筐体2における厚さ方向dの内壁面に沿う方向に、組電池30を囲むように配設される例に限られず、例えば図7に示す電池パック1aのように、略箱状の筐体2の頂点K1〜K8の内側、すなわち頂点K1〜K8と電池3との間に、それぞれ小さな小片にされた8個の圧力検出シート4を配設するようにしてもよい。そして、8個の圧力検出シート4が、直列、あるいは並列に接続されてその合成抵抗が抵抗値Rsとして禁止制御部532によって検出されるようにしてもよく、各圧力検出シート4の抵抗値がそれぞれ抵抗値Rsとして禁止制御部532によって検出されるようにしてもよい。
【0070】
この場合、電池パック1aが落下により地面や床面に衝突した場合において、ほとんどの場合に最も大きな衝撃、圧力が加わる頂点K1〜K8のいずれについても、頂点K1〜K8と電池3との間に圧力検出シート4が配設されているので、落下により電池3に加えられる最大の圧力を、圧力検出シート4によって検出することができる結果、落下による衝撃や圧力に対する安全性を向上することができる。そして、図1に示す電池パック1よりも、圧力検出シート4の合計面積を減少させることができるので、電池パック1aのコストを低減したり、小型化したりすることが容易となる。
【0071】
図8は、図4に示す圧力検出シート4の変形例を示す説明図である。図8に示す圧力検出シート4aは、例えば帯状のフレキシブル基板である基板451に、互いに間隔を有して設けられた線状の電極41a(第3電極)と電極42a(第4電極)とが形成されている。また、導電性の導電部材452が、複数、所定間隔で電極41a,42aを横切って覆うように、取り付けられている。導電部材452は、例えば導電性ゴムによって構成されており、矩形板状の部材の両端部分が基板451の方向に突出した形状の脚部453,454が設けられている。そして、脚部453,454が、電極41a,42aをまたいで基板451に取り付けられることにより、脚部453,454の突出長さだけ、導電部材452が電極41a,42aから離間するようになっている。この場合、脚部453,454が弾性部材の一例に相当している。
【0072】
さらに、基板451に取り付けられた導電部材452の上からシート部材455が覆い被せられて、取り付けられている。基板451としては、例えばポリイミド、PET(polyethylene terephthalate)、アラミド等を用いることができる。また、基板451は、フレキシブル基板に限られず、直線箇所についてはガラスエポキシ基板としてもよい。
【0073】
このように構成された圧力検出シート4aは、図1に示す電池パック1において、シート部材455が筐体2側になるように配設される。そして、電池パック1が落下して筐体2が変形すると、シート部材455の上から圧力が加えられ、導電部材452が押圧されて脚部453,454が変形し、導電部材452が電極41a,42aに接触して導通することで、電極41a,42a間の抵抗値Rsが低下するようになっている。また、シート部材455が取り付けられていることによって、電極にゴミが付着することが予防されて、防塵効果が得られると共に、導電部材452と導電部材452との間の部分でシート部材455が押圧された場合であっても、シート部材455を介して導電部材452が押圧されることにより、圧力を検出可能な面積が増大されている。
【0074】
図9は、図4に示す圧力検出シート4の他の変形例を示す説明図である。図9に示す圧力検出シート4bは、柔軟性を有する管461に液状の導電材料462が充填され、さらに管461の両端開口部が、電極41b,42bによってそれぞれ封口されている。そして、管461が、シート部材463,464によって所定の圧力で挟持されることによって、扁平にされることで、帯状かつシート状の形状にされている。
【0075】
管461は、例えばポリイミド、PET、アラミド、ポリエチレン等によって構成されている。導電材料462は、例えば、シリコーンオイルにゲル化剤として架橋シリコーンポリマーを用いたゲル状のシリコーン材料や、イソシアネートプレポリマーにアミン変性ポリオールを用いたゲル状のウレタン材料などに、例えばカーボン、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛等の導体フィラーが混入されて構成されている。導電材料462は、導電性を有していればよく、例えば電解液のように粘性の小さい導電性の液体を導電材料462としてもよいが、ある程度粘性が大きいゲル状の材料に導体フィラーを混入することで、ゲル状の材料中に導体フィラーが分散しやすくなる結果、導電材料462の抵抗値を均一にすることが容易となる。また、導電材料462の粘性が大きい方が、管461から漏れにくくなるという、利点もある。
【0076】
図10は、図9に示す圧力検出シート4bによって圧力が検出される仕組みを説明するための説明図である。図10(a)は、圧力検出シート4bに圧力が加えられていない場合の長手方向に垂直な方向の断面図である。図10(b)は、圧力検出シート4bに圧力が加えられた場合の長手方向に垂直な方向の断面図である。
【0077】
このように構成された圧力検出シート4bは、正常時、図10(a)に示す状態で、筐体2における最も短い辺を含む壁面の内壁に沿って、組電池30を囲むように配設されている。そして、電池パック1が落下して筐体2が変形すると、シート部材463の上から圧力が加えられて管461が図10(b)に示すように扁平に変形する。そうすると、管461の断面積が減少し、すなわち導電部材452による導体断面積が減少する結果、電極41b,42b間の抵抗値が増大する。
【0078】
これにより、圧力検出シート4bは、与えられた圧力が増大するほど電極41b,42b間の抵抗値が増大するので、圧力を電極41b,42b間の抵抗値として検出することができる。このとき、圧力が加えられて変形した部分から押し出された導電材料462は、例えば管461が他の部分で伸びることによって、吸収されるようになっている。
【0079】
圧力検出シート4、4aは、圧力が高いほど抵抗値が小さくなるのに対し、圧力検出シート4bは、圧力が高いほど抵抗値が大きくなるので、圧力検出シート4、4aを用いた場合の禁止制御部532とは、抵抗値Rbの圧力への換算方法のみが異なる禁止制御部532bが用いられる。禁止制御部532bは、圧力検出シート4bの抵抗値Rbを検出し、この抵抗値Rbを圧力に換算することで、圧力検出シート4bに印加された圧力を検出することができる。
【0080】
具体的には、禁止制御部532bは、例えば電池パック1が落下するなどして圧力検出シート4bに圧力が加わり、抵抗値Rbが予め設定された抵抗値Rth1bを超えた場合、スイッチング素子Q1,Q2をオフさせて速やかに組電池30の充放電を禁止すると共に、組電池30の充放電を禁止する旨の情報をEEPROM57に記憶させる。この場合、電池3が損傷を受けるおそれがある第1閾値の圧力が圧力検出シート4bに加えられたときの抵抗値Rbが、抵抗値Rth1bとして設定されており、抵抗値Rbが抵抗値Rth1bを超えることは、圧力検出シート4bに印加される圧力が第1閾値を超えたことを示している。
【0081】
さらに、禁止制御部532bは、EEPROM57に組電池30の充放電を禁止する旨の情報が記憶されていると、圧力検出シート4bの抵抗値に関わらず、スイッチング素子Q1,Q2がオフされて組電池30の充放電の禁止状態が維持される。また、禁止制御部532bは、抵抗値Rbが抵抗値Rth1を超えた場合、スイッチング素子Q3をオンさせ、ヒータRhを発熱させて温度ヒューズF1,F2を溶断させることで、組電池30の充放電経路を開き、組電池30の充放電を永続的に禁止する。
【0082】
そして、禁止制御部532bは、例えば第三者が筐体2を分解するなどして、筐体2と電池3とによって挟持されることで圧力検出シート4bに印加されていた圧力が低下し、圧力検出シート4bの抵抗値が予め設定された抵抗値Rth2b以下となり、すなわち圧力検出シート4bに印加される圧力が予め設定された第2閾値以下となった場合、スイッチング素子Q1,Q2をオフさせて速やかに組電池30の充放電を禁止すると共に、組電池30の充放電を禁止する旨の情報をEEPROM57に記憶させ、さらにスイッチング素子Q3をオンさせ、ヒータRhを発熱させて温度ヒューズF1,F2を溶断させることで、組電池30の充放電を永続的に禁止する。この場合、第2閾値は、設定圧力Psより低い圧力に予め設定されている。また、圧力検出シート4bに、第2閾値で示される圧力が印加された場合の圧力検出シート4bの抵抗値Rbが、抵抗値Rth2bとして予め設定されている。
【0083】
図11は、図4に示す圧力検出シート4の他の変形例を示す説明図である。図11に示す圧力検出シート4cは、対向配置されたシート状の電極41,42間に、印加された圧力に応じた電圧を誘起する圧電ポリマー47が充填されて構成されている。圧電ポリマー47としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられる。この場合、禁止制御部532とは、圧力検出シート4cで検出された圧力を直接電圧値として取得する点が異なる禁止制御部532cが用いられる。禁止制御部532cは、圧力検出シート4cで検出された圧力を直接電圧値として取得することができるので、圧力検出シート4,4a,4bを用いた場合のように、抵抗値を検出するために定電流回路を備える必要がなく、回路を簡素化することができる。
【0084】
具体的には、禁止制御部532cは、例えば電池パック1が落下するなどして圧力検出シート4cに圧力が加わり、圧電ポリマー47によって電極41,42間に誘起される電圧Vsが予め設定された電圧閾値Vth1を超えた場合、スイッチング素子Q1,Q2をオフさせて速やかに組電池30の充放電を禁止すると共に、組電池30の充放電を禁止する旨の情報をEEPROM57に記憶させる。この場合、電池3が損傷を受けるおそれがある第1閾値の圧力が圧力検出シート4bに加えられたときの電圧Vsが、電圧閾値Vth1として設定されており、電圧Vsが電圧閾値Vth1を超えることは、圧力検出シート4cに印加される圧力が第1閾値を超えたことを示している。
【0085】
さらに、禁止制御部532cは、EEPROM57に組電池30の充放電を禁止する旨の情報が記憶されていると、圧力検出シート4cの電極41,42間に誘起される電圧Vsに関わらず、スイッチング素子Q1,Q2がオフされて組電池30の充放電の禁止状態が維持される。また、禁止制御部532cは、電圧Vsが電圧閾値Vth1を超えた場合、スイッチング素子Q3をオンさせ、ヒータRhを発熱させて温度ヒューズF1,F2を溶断させることで、組電池30の充放電経路を開き、組電池30の充放電を永続的に禁止する。
【0086】
そして、禁止制御部532cは、例えば第三者が筐体2を分解するなどして、筐体2と電池3とによって挟持されることで圧力検出シート4cに印加されていた圧力が低下し、圧力検出シート4cの電極41,42間に誘起される電圧Vsが予め設定された電圧閾値Vth2以下となり、すなわち圧力検出シート4cに印加される圧力が予め設定された第2閾値以下となった場合、スイッチング素子Q1,Q2をオフさせて速やかに組電池30の充放電を禁止すると共に、組電池30の充放電を禁止する旨の情報をEEPROM57に記憶させ、さらにスイッチング素子Q3をオンさせ、ヒータRhを発熱させて温度ヒューズF1,F2を溶断させることで、組電池30の充放電を永続的に禁止する。この場合、第2閾値は、設定圧力Psより低い圧力に予め設定されている。また、圧力検出シート4cに、第2閾値で示される圧力が印加された場合における圧力検出シート4cの電極41,42間に誘起される電圧Vsが、電圧閾値Vth2として予め設定されている。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、携帯型パーソナルコンピュータやデジタルカメラ、携帯電話機等の電子機器、電気自動車やハイブリッドカー等の車両、等の電池搭載装置の電源として用いられる電池パックに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池パックの構成の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電池パックのX−X断面を示す断面図である。
【図3】図1に示す筐体の内壁構造の一例を示す説明図である。
【図4】図1に示す圧力検出シートの構成の一例を示す説明図である。
【図5】図4に示す圧力検出シートによる圧力検出の仕組みを説明するための説明図である。(a)は、圧力検出シートに圧力が印加されていない状態を示し、(b)は、圧力検出シートに圧力が印加された状態を示している。
【図6】図1に示す電池パックの電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図1に示す電池パックの変形例を示す説明図である。
【図8】図4に示す圧力検出シートの変形例を示す説明図である。
【図9】図4に示す圧力検出シートの変形例を示す説明図である。
【図10】図9に示す圧力検出シート4によって圧力が検出される仕組みを説明するための説明図である。(a)は、圧力検出シートに圧力が加えられていない場合の長手方向に垂直な方向の断面図である。(b)は、圧力検出シートに圧力が加えられた場合の長手方向に垂直な方向の断面図である。
【図11】図4に示す圧力検出シートの他の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1,1a 電池パック
2 筐体
3 電池
4,4a,4b,4c 圧力検出シート
21 凸部
30 組電池
31,32,33 電池ブロック
41,42,41a,42a,41b,42b 電極
43 材料
44 導電性フィラー
47 圧電ポリマー
53 制御部
452 導電部材
453,454 脚部
461 管
462 導電材料
463,464 シート部材
532,532b,532c 禁止制御部
F1,F2 温度ヒューズ
K1〜K8 頂点
Q1,Q2,Q3 スイッチング素子
Rh ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
前記電池を収容する略箱状の筐体と、
圧力を検出するシート状の部材であって、前記筐体における外部からの圧力が集中する位置と前記電池との間に配設された圧力検出部と、
前記圧力検出部によって検出された圧力が、予め設定された第1閾値を超える場合、前記電池の充放電を禁止する禁止制御部と
を備えることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記筐体における外部からの圧力が集中する位置は、前記筐体の頂点であり、
前記圧力検出部は、前記筐体のすべての頂点と前記電池との間に配設されていること
を特徴とする請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記筐体は、扁平な略箱状であり、
前記圧力検出部は、帯状であって、前記筐体における最も短い辺を含む壁面の内側に、前記電池を囲んで配設されていること
を特徴とする請求項3記載の電池パック。
【請求項4】
前記筐体における最も短い辺を含む壁面の内側には、内側に突出する凸部が設けられていること
を特徴とする請求項3記載の電池パック。
【請求項5】
前記圧力検出部は、前記第1閾値に満たない予め設定された設定圧力が加えられた状態で、前記筐体の内壁面と前記電池とによって挟持されており、
前記禁止制御部は、
さらに、前記圧力検出部によって検出された圧力が、前記設定圧力に満たない値に予め設定された第2閾値以下の場合、前記電池の充放電を禁止すること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記電池の充放電経路を開閉する充放電経路開閉部をさらに備え、
前記禁止制御部は、前記充放電経路開閉部により前記充放電経路を開かせることにより、前記電池の充放電を禁止すること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
不揮発性の記憶部をさらに備え、
前記禁止制御部は、
前記電池の充放電を禁止する場合にさらに前記電池の充放電を禁止する旨の情報を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部によって、既に前記電池の充放電を禁止する旨の情報が記憶されている場合、前記圧力検出部によって検出される圧力に関わらず、前記電池の充放電を禁止すること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記充放電経路開閉部は、ヒューズであり、
前記禁止制御部は、前記ヒューズを溶断させることにより、前記電池の充放電を禁止すること
を特徴とする請求項6記載の電池パック。
【請求項9】
前記圧力検出部は、対向配置されたシート状の第1及び第2電極間に圧力によって変形し得る材料が充填され、当該材料中に当該材料よりも電気抵抗が小さい導電性フィラーが分散して保持されているものであり、
前記禁止制御部は、前記第1及び第2電極間の抵抗値を、前記圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として取得すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記圧力検出部は、
互いに間隔を有して設けられた第3及び第4電極と、
前記第3及び第4電極それぞれの少なくとも一部を覆うように対向配置された導電部材と、
前記導電部材を、前記第3及び第4電極と離間させて保持する弾性部材とを備え、
前記禁止制御部は、
前記第3及び第4電極間の抵抗値を、前記圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として取得すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項11】
前記圧力検出部は、
両端にそれぞれ電極が設けられた柔軟性を有する管と、
前記各電極と接触するように前記管に封入された液状の導電材料と、
前記管を扁平になるように挟持する二つのシート部材とを備え、
前記禁止制御部は、
前記管の両端に設けられた電極間の抵抗値を、前記圧力検出部によって検出された圧力を示す情報として取得すること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−258110(P2008−258110A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101996(P2007−101996)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】