説明

電池ユニット

【課題】電池ユニットがたわむのをより抑制可能にする。
【解決手段】複数の電池セル22と、複数のセパレータ30によって区分けされた複数の収容部32に複数の電池セル22を収容する電池ケース24と、隣接する電池セル22を電気的に接続するバスバーモジュール36と、電池ケース24の開口を覆うバスバーカバー40と、を備えるものにおいて、電池ケース24のセパレータ30の上端部のケース側嵌合部31とバスバーカバー40の突出部42の下端部のカバー側嵌合部43とを嵌合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ユニットに関し、詳しくは、複数の電池セルと、複数のセパレータによって区分けされた複数の収容部に複数の電池セルを収容する電池ケースと、隣接する電池セルを電気的に接続するバスバーと、電池ケースの開口を覆うカバーと、を備える電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電池ユニットとしては、電極端子を備えた複数の二次電池セルと、それぞれの二次電池セルを収容するケースおよびケースの開口を閉じる蓋体を有する収容体と、隣り合う二次電池セルの電極端子を電気的に接続するバスバーと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−34883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、こうした電池ユニットでは、平面状の天面と天面の外周に沿って天面に略垂直に形成された壁面とからなる蓋体をケースの側壁部の上面に載置または固定することにより、ケースの開口を閉じてそれぞれの二次電池セルの保護を図っている。しかしながら、こうした構成では、電池ユニットに力が作用したときに電池ユニットがたわみやすい、という課題があった。
【0005】
本発明の電池ユニットは、電池ユニットがたわむのをより抑制可能にすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池ユニットは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電池ユニットは、
複数の電池セルと、複数のセパレータによって区分けされた複数の収容部に前記複数の電池セルを収容する電池ケースと、隣接する前記電池セルを電気的に接続するバスバーと、前記電池ケースの開口を覆うカバーと、を備える電池ユニットであって、
前記カバーは、前記複数のセパレータに対向する位置に複数の突出部が形成されてなり、
前記電池ケースの複数のセパレータの少なくとも一部と前記カバーの複数の突出部の少なくとも一部とは嵌合されてなる、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の電池ユニットでは、電池セルの開口を覆うカバーは、複数のセパレータによって区分けされた複数の収容部に複数の電池セルを収容する電池ケースの複数のセパレータに対向する位置に複数の突出部が形成され、電池ケースの複数のセパレータの少なくとも一部とカバーの複数の突出部の少なくとも一部とは嵌合される。したがって、平面状の天面と天面の外周に沿って天面に略垂直に形成された壁面とからなるカバーをケースの側壁部の上面に載置したり固定したりするものに比して、電池ケースとカバーとの固定箇所を多くすることができるから、電池ユニットに力が作用したときに、電池ユニットがたわむのをより抑制することができる。
【0009】
こうした本発明の電池ユニットにおいて、前記カバーは、隣接する前記突出部間がアーチ状となるよう形成されてなる、ものとすることもできる。こうすれば、カバーの外側からカバーに力が作用したときにカバーが内側(電池セル側)にたわむのをより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例としての電池ユニット20を備えるハイブリッド自動車10の様子を説明する説明図である。
【図2】電池ユニット20の構成の概略を示す構成図である。
【図3】図2の点線で囲まれた領域Aを拡大して示す拡大図である。
【図4】電池ケース24のセパレータ30やバスバーカバー40の突出部42,バスバーモジュール36の一部を示す分解斜視図である。
【図5】バスバーモジュール36の外観を示す外観図である。
【図6】バスバーカバー40の外観を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の一実施例としての電池ユニット20を備えるハイブリッド自動車10の様子を説明する説明図である。図示するように、ハイブリッド自動車10の車両前部のエンジンルーム11には、走行用のエンジン12やモータ14,モータ14を駆動するインバータ16などの機器が搭載されており、車両後部(例えば、リヤシート後方や下方など)には、インバータ16に高圧用の電力ケーブル18を介して接続された電池ユニット20が搭載されている。
【0013】
図2は、電池ユニット20の構成の概略を示す構成図であり、図3は、図2の点線で囲まれた領域Aを拡大して示す拡大図であり、図4は、電池ケース24のセパレータ30やバスバーカバー40の突出部42,バスバーモジュール36の一部を示す分解斜視図であり、図5は、バスバーモジュール36の外観を示す外観図であり、図6は、バスバーカバー40の外観を示す外観図である。なお、図2やず3では、見やすさを考慮して、バスバーモジュール36にのみハッチングを付した。
【0014】
電池ユニット20は、図2〜図6に示すように、それぞれニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池などとして構成された複数の電池セル22と、複数の電池セル22を一列に配置された複数の収容部32に収容する電池ケース24と、隣接する電池セル22の端子部23を電気的に接続するバスバーモジュール36と、電池ケース24の開口を覆うように電池ケース24に固定されるバスバーカバー40と、を備える。なお、実施例では、収容部32の配列方向(電池ケース24の長手方向)は、図1の車両左右方向に対応するものとした。
【0015】
電池ケース24は、樹脂によって形成されており、図2に示すように、底面部26と、底面部26の外周に沿って底面部26に垂直に形成された外壁部28と、外壁部28の内側の部分(底面部26と外壁部28とで囲まれた領域)を図中左右方向(長手方向)に複数の収容部32に区分けするための複数のセパレータ30と、を備える。
【0016】
バスバーモジュール36は、銅などの金属によって形成されており、図2および図5に示すように、隣接する電池セル22の端子部23を電気的に接続できるようになっている。
【0017】
バスバーカバー40は、樹脂によって形成されており、図2〜図4,図6に示すように、電池ケース24の複数のセパレータ30に対向する位置に形成された複数の突出部42を有し、隣接する突出部42間(電池セル22の端子部23に対向する位置)がアーチ状となるよう形成されている。このバスバーカバー40は、図3および図4に示すように、突出部42の下端部に形成されたカバー側嵌合部43が、電池ケース24のセパレータ30の上端部に形成されたケース側嵌合部31と嵌合することによって電池ケース24に固定される。なお、このとき、バスバーモジュール36は、図3および図4から分かるように、電池ケース24のセパレータ30とバスバーカバー40の突出部42とによって挟まれて保持されることになる。
【0018】
このように、電池ケース24のセパレータ30の上端部にケース側嵌合部31を形成すると共にバスバーカバー40の突出部42の下端部にカバー側嵌合部43を形成して両者を嵌合させることにより、両者の相対的な位置決めをより容易に行なって両者を固定することができる。即ち、両者の組み付け性能を向上させることができると共に相対的な位置のズレをより抑制することができると言える。
【0019】
こうして電池ケース24とバスバーカバー40とを固定することにより、平面状の天面と天面の外周に沿って天面に垂直に形成された外壁とからなるバスバーカバーを電池ケース24の外壁部28の上端部に載置したり固定したりする比較例に比して、バスバーカバー40と電池ケース24との固定箇所を多くすることができる。これにより、例えば車両の衝突時など車両前後方向の力(電池ユニット20の短手方向の力)が電池ユニット20に作用したときに、電池ユニット20の短手方向のたわみをより抑制することができる。この結果、電池ユニット20をより保護することができる。また、電池ユニット20の車両前後方向に、電池ユニット20のたわみによる影響がない範囲で他の部品を配置可能なスペースをより確保することができる。
【0020】
また、バスバーカバー40の隣接する突出部42間をアーチ状とすることにより、車両上方側から電池ユニット20に力が作用したとき(バスバーカバー40の外側からバスバーカバー40に力が作用したとき)に、その力を電池ケース24のセパレータ30により伝達しやすくすることができる。これにより、比較例に比してバスバーカバー40が内側(電池セル22)側にたわむのをより抑制することができ、バスバーカバー40が電池セル22の端子部23に接触するのをより抑制することができる。この結果、電池セル22の端子部23をより保護することができる。また、バスバーカバー40の上方側に、他の部品のためのスペースなどをより確保することができる。
【0021】
以上説明した実施例の電池ユニット20によれば、電池ケース24のセパレータ30の上端部のケース側嵌合部31とバスバーカバー40の突出部42の下端部のカバー側嵌合部43とを嵌合させるから、電池ユニット20に力が作用したときの電池ユニット20のたわみをより抑制することができる。しかも、バスバーカバー40の隣接する突出部42間をアーチ状とするから、バスバーカバー40の外側からバスバーカバー40に力が作用したときのバスバーカバー40のたわみをより抑制することができる。
【0022】
実施例の電池ユニット20では、バスバーカバー40の隣接する突出部42間をアーチ状とするものとしたが、略平面状としたり階段状としたりするなどしてもよい。
【0023】
実施例の電池ユニット20では、電池ケース24のセパレータ30の上端部のケース側嵌合部31とバスバーカバー40の突出部42の下端部のカバー側嵌合部43とを嵌合させるものとして説明したが、ケース側嵌合部31やカバー側嵌合部43は、それぞれ、電池ケース24のセパレータ30の上端部やバスバーカバー40の突出部42の下端部の全てに形成するものに限定されるものではなく、一部(例えば、セパレータ30や突出部42の2つ毎や3つ毎など)に形成するものとしてもよい。
【0024】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、電池セル22が「電池セル」に相当し、電池ケース24が「電池ケース」に相当し、バスバーモジュール34が「バスバー」に相当し、バスバーカバー40が「カバー」に相当する。
【0025】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0026】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、電池ユニットの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 ハイブリッド自動車、11 エンジンルーム、12 エンジン、14 モータ、16 インバータ、18 電力ケーブル、20 電池ユニット、22 電池セル、23 端子部、24 電池ケース、26 底面部、28 外壁部、30 セパレータ、31 ケース側嵌合部、32 収容部、36 バスバーモジュール、40 バスバーカバー、42 突出部、43 カバー側嵌合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルと、複数のセパレータによって区分けされた複数の収容部に前記複数の電池セルを収容する電池ケースと、隣接する前記電池セルを電気的に接続するバスバーと、前記電池ケースの開口を覆うカバーと、を備える電池ユニットであって、
前記カバーは、前記複数のセパレータに対向する位置に複数の突出部が形成されてなり、
前記電池ケースの複数のセパレータの少なくとも一部と前記カバーの複数の突出部の少なくとも一部とは嵌合されてなる、
電池ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の電池ユニットであって、
前記カバーは、隣接する前記突出部間がアーチ状となるよう形成されてなる、
電池ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−105545(P2013−105545A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246940(P2011−246940)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】