説明

電池及び組電池

【課題】端子形状の変更を容易に行うことが可能な電池及び組電池を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、外装缶1と、電極群5と、蓋2と、第一端子21,23と、第二端子22,24とを含む電池が提供される。電極群5は、外装缶1内に収納され、かつ正極6及び負極7を含む。蓋2は、外装缶1の開口部に取り付けられる。第一端子21,23は、正極又は負極と電気的に接続されるもので、蓋2の上面に配置される。第二端子22,24は、第一端子21,23上に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電池及び組電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やパーソナルコンピュータなどの電子機器の進歩に伴い、これら機器に使用される二次電池は、小型化、軽量化が求められてきた。それに応えるエネルギー密度の高い二次電池として、リチウムイオン二次電池が挙げられる。一方、電気自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク、フォークリフトなどに代表される大型、大容量電源として、鉛蓄電池、ニッケル水素電池等の二次電池が使われているが、最近ではエネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池の採用に向けての開発が盛んになっている。それに応えるリチウムイオン二次電池の開発は、高寿命、安全性などを配慮しながら、大型化、大容量化の開発が行われている。
【0003】
これらの用途の電源として、駆動電力が大きいため、直列あるいは並列に接続した多数個の電池を収納した電池パックが使われる。電池パックにおいて、多数個の電池間の電気的接続は、電池の端子間をバスバーで接続することにより行われる。端子とバスバーの接続においては、電気的抵抗を最小限に抑えるため、端子にバスバーを直接レーザ溶接する接続方法を行われている。しかし、この接続方法は、高価な設備と、高度な技術を必要とするため、端子とバスバーを容易に接続する方法が望まれている。
【0004】
端子とバスバーを容易に接続するには、接続方法に合せて端子形状を変更することが必要となる。しかし、端子形状の異なる電池を生産するためには、端子形状毎に専用設備または複雑な設備が必要となり、多額な設備投資が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−251990号公報
【特許文献2】特開2003−346778号公報
【特許文献3】特開2008−98012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、端子形状の変更を容易に行うことが可能な電池及び組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施形態によれば、外装缶と、電極群と、蓋と、第一端子と、第二端子とを含む電池が提供される。電極群は、外装缶に収納され、かつ正極及び負極を含む。蓋は、外装缶の開口部に取り付けられる。第一端子は、正極又は負極と電気的に接続されるもので、蓋の上面に配置される。第二端子は、第一端子上に固定される。
【0008】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の電池を複数個と、該電池の第二端子間を電気的に接続するバスバーとを含む組電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る非水電解質電池の部分分解斜視図。
【図2】図1の非水電解質電池に用いられる電極群を示す部分展開斜視図。
【図3】図1の非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分を示す斜視図。
【図4】図1の非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分の部分分解斜視図。
【図5】図1の非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分について、電池を長辺方向から見た側面図。
【図6】第一端子の高さと凸部の高さとの関係を説明するための側面図。
【図7】レーザ溶接後に行われる初充電工程を示す側面図。
【図8】レーザ溶接前に行われる初充電工程を示す側面図。
【図9】図1の非水電解質電池にバスバーを溶接する前の状態を示す斜視図。
【図10】バスバーが溶接された非水電解質電池を長辺方向から見た正負極端子付近の側面図。
【図11】第2の実施形態に係る非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分を示す斜視図
【図12】第2の実施形態に係る非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分について、電池を長辺方向から見た側面図。
【図13】第3の実施形態に係る非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分を示す斜視図。
【図14】第4の実施形態に係る非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分を示す斜視図。
【図15】第二正負極端子を備えていない非水電解質電池の組電池の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係わる電池を図面を参照して説明する。なお、本発明は、これら実施形態に限られるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る非水電解質電池の部分分解斜視図であり、図2は図1の非水電解質電池に用いられる電極群を示す部分展開斜視図であり、図3は図1の非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分を示す斜視図であり、図4は図1の非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分についての部分分解斜視図であり、図5は図1の非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分について、電池を長辺方向に切断した際に得られる断面図で、図6は第一端子の高さと凸部の高さとの関係を説明するための断面図で、図7はレーザ溶接後に行われる初充電工程を示す断面図で、図8はレーザ溶接前に行われる初充電工程を示す断面図である。
【0012】
図1に示す電池は、密閉型の角型非水電解質二次電池である。図1及び図2に示すように、非水電解質二次電池は、外装缶1と、蓋2と、正極端子3と、負極端子4と、電極群5とを備える。図1に示すように、外装缶1は、有底角筒形状をなし、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。
【0013】
図2に示すように、偏平型の電極群5は、正極6と負極7がその間にセパレータ8を介して偏平形状に捲回されたものである。正極6は、例えば金属箔からなる帯状の正極集電体と、正極集電体の長辺に平行な一端部からなる正極集電タブ6aと、少なくとも正極集電タブ6aの部分を除いて正極集電体に形成された正極活物質層6bとを含む。一方、負極7は、例えば金属箔からなる帯状の負極集電体と、負極集電体の長辺に平行な一端部からなる負極集電タブ7aと、少なくとも負極集電タブ7aの部分を除いて負極集電体に形成された負極活物質層7bとを含む。
【0014】
このような正極6、セパレータ8及び負極7は、正極集電タブ6aが電極群の捲回軸方向にセパレータ8から突出し、かつ負極集電タブ7aがこれとは反対方向にセパレータ8から突出するよう、正極6及び負極7の位置をずらして捲回されている。このような捲回により、電極群5は、図2に示すように、一方の端面から渦巻状に捲回された正極集電タブ6aが突出し、かつ他方の端面から渦巻状に捲回された負極集電タブ7aが突出している。電解液(図示しない)は、電極群5に含浸されている。
【0015】
図3に示すように、矩形板状の蓋2は、外装缶1の開口部に例えばレーザでシーム溶接されている。蓋2は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属から形成される。蓋2と外装缶1は、同じ種類の金属から形成されることが望ましい。電解液の注液口18は、蓋2に開口され、電解液の注液後に封止蓋(図示しない)で封止される。
【0016】
図1に示すように、蓋2の外面の中央付近に安全弁9が設けられている。安全弁9は、蓋2の外面に設けられた矩形状の凹部9aと、凹部9a内に設けられたX字状の溝部9bとを有する。溝部9bは、例えば、蓋2を板厚方向にプレス成型することにより形成される。電池内圧が上昇した場合、溝部9bが破断することにより、電池内圧が開放され、電池の破裂を未然に防止することができる。
【0017】
蓋2の外面には、安全弁9を間に挟んだ両側に矩形状の凹部10が設けられている。一方の凹部10に正極端子3が収容され、他方の凹部10に負極端子4が収容される。各凹部10には、貫通孔11が設けられている。正極端子3は、第一正極端子21と、第二正極端子22とを有する。一方、負極端子4は、第一負極端子23と、第二負極端子24とを有する。
【0018】
第一正極端子21及び第一負極端子23は、それぞれ、図1,3,4及び5に示すように、矩形状の台座部25aと、台座部25aの上面から突出した矩形状の凸部25bと、台座部25aから下方に延出された軸部26とを有する。図6に示すように、凸部25bの高さHは、第一正極端子21(または第一負極端子23)の高さAの10%以上50%以下の範囲にすることが望ましい。この範囲内であると、第一端子と第二端子間の接触抵抗が低くなるからである。ここで、凸部25bの高さHは、台座部25aの上面から凸部25bの上面までの高さである。また、第一正極端子21(または第一負極端子23)の高さAは、蓋2の上面から凸部25bの上面までの高さである。
【0019】
第二正極端子22及び第二負極端子24は、それぞれ、図3〜図5に示すように、凸部27aを有する略菱形の台座部27と、台座部27の凸部27aの上面に配置された円筒状の突出部28とを有する。図4及び図5に示すように、第二正極端子22は、台座部27の周縁部27bが第一正極端子21の台座部25a上に配置される。また、台座部27の凸部27a内に、第一正極端子21の凸部25bが配置される。一方、第二負極端子24は、台座部27の周縁部27bが第一負極端子23の台座部25a上に配置される。また、台座部27の凸部27a内に、第一負極端子23の凸部25bが配置される。第二正極端子22及び第二負極端子24それぞれについて、台座部27の周縁部27bは、台座部25a上にレーザ溶接によって固定される。図5において、レーザ溶接箇所を29で示す。
【0020】
このように第一正負極端子21,23に第二正負極端子22,24をレーザ溶接で固定することによって、第一正負極端子21,23と第二正負極端子22,24間の接触抵抗を小さくすることができるため、電池及び組電池の電圧降下をより小さくすることができる。
【0021】
レーザ溶接は、電池に初充電を施す前か、初充電後に行うことができる。中でも、初充電後に行うことが望ましい。図7に例示されるように、第一正負極端子21,23に第二正負極端子22,24をレーザ溶接で固定した後、第二正負極端子22,24の突出部28の上面に充電プローブ40を当てて初充電を施す場合、レーザ溶接時の溶接熱により電解質(例えばリチウム塩)の加水分解が進み、フッ酸が発生し、そのフッ酸により抵抗が増加する。一方、図8に例示されるように、第一正負極端子21,23の凸部25bの上面に充電プローブ40を当てて初充電を施すと、初充電により電解液中の不可避不純物である水が電気分解される。初充電後、第一正負極端子21,23に第二正負極端子22,24をレーザ溶接で固定すると、その際の溶接熱による電解質(例えばリチウム塩)の加水分解が抑えられるため、抵抗の増加を抑制することができる。なお、初充電後、レーザ溶接前に、エージング等の必要な工程を行っても良い。
【0022】
負極活物質に炭素系材料を使用するリチウムイオン二次電池の場合、正極端子3には、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金が使用され、負極端子4には、例えば、銅、ニッケル、ニッケルメッキされた鉄などの金属が使用される。また、負極活物質にチタン酸リチウムを使用する場合は、上記に加え、負極端子4にアルミニウムあるいはアルミニウム合金を使用してもかまわない。
【0023】
外部絶縁体15は、正極端子3及び負極端子4のかしめ固定にそれぞれ使用される。図1に示すように、外部絶縁体15は、それぞれ、円筒状の筒部15aと、筒部15aの一方の開口端に鍔状に形成されたフランジ部15bとを有する。外部絶縁体15の筒部15aは、蓋2の凹部10内の貫通孔11に挿入され、筒部15aの下部開口端が内部絶縁体12の貫通孔12cに挿入される。外部絶縁体15のフランジ部15bは、蓋2の凹部10内の貫通孔11の周縁を覆う。第一正極端子21及び第一負極端子23の台座部25aと凸部25bは、それぞれ、外部絶縁体15のフランジ部15bで囲まれた空間内に収容される。
【0024】
図1に示すように、正極用及び負極用の内部絶縁体12は、それぞれ、蓋2の裏面に配置されている。一方の内部絶縁体12は、正極端子3が収容される凹部10と対応する箇所に配置され、他方の内部絶縁体12は、負極端子4が収容される凹部10と対応する箇所に配置されている。なお、二つの内部絶縁体12の間には隙間が存在し、安全弁9はこの空間と対向している。内部絶縁体12は、矩形状の天板12aと、天板12aの周縁から下方に延出した側板12bと、絶縁板12aに開口された貫通孔12cとを含む。
【0025】
正極リード13は、正極6と電気的に接続されている。正極リード13は、長方形状の支持板13aと、支持板13aの短辺から下方に延出した帯状の集電部13bと、支持板13aに開口された貫通孔13cとを備える。集電部13bは、正極集電タブ6aと溶接されている。
【0026】
負極リード14は、負極7と電気的に接続されている。負極リード14は、長方形状の支持板14aと、支持板14aの短辺から下方に延出した帯状の集電部14bと、支持板14aに開口された貫通孔14cとを備える。集電部14bは、負極集電タブ7aと溶接されている。
【0027】
正負極リード13,14の材質は、特に指定しないが、正負極端子3,4と同じ材質にすることが望ましい。例えば、端子の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合は、リードの材質をアルミニウム、アルミニウム合金にすることが好ましい。また、端子が銅の場合は、リードの材質を銅などにすることが望ましい。
【0028】
正負極リード13,14の集電部13b,14bを正負極集電タブ6a,7aに溶接する方法は、特に限定されるものではないが、例えば超音波溶接、レーザ溶接が挙げられる。
【0029】
第一正極端子21の軸部26は、外部絶縁体15、蓋2の貫通孔11、内部絶縁体12の貫通孔12c、及び、正極リード13の支持板13aの貫通孔13cに挿入されている。軸部26は、かしめ加工で拡径変形し、蓋2、内部絶縁体12及び正極リード13にかしめ固定されている。一方、第一負極端子23の軸部26は、外部絶縁体15、蓋2の貫通孔11、内部絶縁体12の貫通孔12c、及び、負極リード14の支持板14aの貫通孔14cに挿入されている。軸部26は、かしめ加工で拡径変形し、蓋2、内部絶縁体12及び負極リード14にかしめ固定されている。これにより、正負極端子3,4と蓋2は、絶縁性と気密性が確保された状態で固定され、さらに第一正負極端子21,23と正負極リード13,14は、電気的接続が確保された状態で固定される。
【0030】
外部絶縁体15及び内部絶縁体12は、いずれも、樹脂成形品であることが望ましい。カシメ固定による気密性確保のため、外部絶縁体15には、内部絶縁体12より融点の高い樹脂材料を使用した成形品を使用することが望ましい。これにより、高温時(例えば100℃以下)での気密性をより向上することができる。
【0031】
正負極のリード13,14と電気的に接続された電極群5は、両方の端面が、樹脂成型品からなるスペーサ16で覆われ、外装缶1から絶縁されている。すなわち、スペーサ16の第1の側板16aは、電極群5の端面上に配置された正負極リード13,14の集電部13b,14bを被覆する。第2の側板16bは、電極群5の両端部の最外周を被覆し、電極群5の最外周に絶縁テープ(図示しない)で固定されている。スペーサ16の底板(図示しない)は、電極群5の最外周における底面の一部分を被覆している。スペーサ16を用いることにより、電極群5並びに正負極リード13,14を、外装缶1から絶縁することができる。
【0032】
以上説明した電池を複数個用いて組電池を作製する場合、各電池の第二正負極端子22,24間をバスバー30で電気的に接続する。その一例を図9及び図10に示す。図9は、図1の非水電解質電池にバスバーを溶接する前の状態を示す斜視図で、図10はバスバーが溶接された非水電解質電池を長辺方向に平行に切断することにより得られる正負極端子付近の断面図である。
【0033】
バスバー30は、電池間の配線として機能するものであるが、電池から外部に電気エネルギーを取り出すために使用することも可能である。バスバー30は、長方形の板状をなし、両方の短辺付近に円形貫通孔30aを有する。バスバー30は、金属のような導電性を有する材料(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金)から形成されている。図9に示すように、バスバー30の円形貫通孔30aに第二正負極端子22,24の突出部28を挿入した後、円形貫通孔30aと突出部28との境界付近を例えば溶接により接続する。突出部28の高さが第一正負極端子21,23の高さAに比して高いため、突出部28がバスバー30から突出している。このため、溶接箇所に溶接電極を挿入しやすく、円形貫通孔30aと突出部28との境界付近を例えば設備が安価で技術的にも容易なアーク溶接により接続することができる。これにより、溶接作業が容易になるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0034】
第二正負極端子を備えていない電池から組電池を構成する場合を図15を参照して説明する。図15は、第二正負極端子を備えていない非水電解質電池から作製された組電池の斜視図である。組電池31は、複数の非水電解質電池321〜323を備える。各電池321〜323の正負極端子3,4は、第二正負極端子を備えておらず、凸部25bを持たないこと以外は図1と同様な構造の第一正負極端子21,23からなる。バスバー30は、両方の短辺付近にレーザ溶接用薄肉部30bを有する。正負極端子3,4の台座部25aとレーザ溶接用薄肉部30bが重ね合わせレーザ溶接により接続される。レーザ溶接を採用するのは、微細で高精度な溶接を行う為である。しかし、レーザ溶接を用いると、高価な設備と高度な技術を必要とするため、製造コストが増加する。レーザ溶接の結果、バスバー30は、電池321の負極端子4と電池322の正極端子3とを電気的に接続し、かつ電池322の負極端子4と電池323の正極端子3とを電気的に接続する。つまり、各電池321〜323は、バスバー30によって直列接続される。
【0035】
第1の実施形態によれば、第二端子が第一端子上に固定されているため、第一端子と第二端子間の抵抗を、第二端子を蓋の上面に設ける場合に比して低くすることができる。この第二端子をバスバーやリード等の配線を接続する外部端子として用いると、電池及び組電池の電圧降下を小さくすることができる。また、第二端子は、第一端子と別部品になっているため、形状や材質を配線の接続に適したものに自由に変更することができる。このため、第二端子に配線を接続する方法に自由度を持たせることができ、第二端子に配線を接続する方法を容易なものにすることができる。さらに、使用する配線や接続方法をユーザ毎に変更する必要がある場合、第二端子のみ変更すれば良いので、ユーザの要求に応じて容易に設計変更を行うことができる。
【0036】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、凸部25bを有する第一正負極端子21,23を用いたが、これに限らず、例えば、凸部25bを持たない第一正負極端子21,23を用いることができる。この例を図11及び図12に示す。なお、図11及び図12において、図1〜図10と同様な部材については同符号を付して説明を省略する。図11は第2の実施形態に係る非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分についての斜視図であり、図12は第2の実施形態に係る非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分について、電池を長辺方向から見た側面図である。
【0037】
図11及び図12に示すように、第一正極端子21及び第一負極端子23は、それぞれ、台座部25aと、台座部25aから下方に延出された軸部26とを有する。一方、第二正極端子22及び第二負極端子24は、それぞれ、略菱形の台座部27cと、台座部27cの側面の4箇所に設けられた勘合部27dと、台座部27cの上面に配置された円筒状の突出部28とを有する。第二正負極端子22,24の台座部27cは、第一正負極端子21,23の台座部25a上に配置される。また、第二正負極端子22,24の勘合部27dは、第一正負極端子21,23の台座部25aの周縁に嵌め込まれる。台座部27c及び勘合部27dは、台座部25aの上面からレーザ溶接により固定される。図12において溶接箇所を29で示す。
【0038】
第2の実施形態によれば、第二端子が第一端子上に固定されているため、第二端子をバスバーやリード等の配線を接続する外部端子として用いると、電池及び組電池の電圧降下を小さくすることができる。また、第二端子は、第一端子と別部品になっているため、形状や材質を配線の接続に適したものに自由に変更することができる。このため、第二端子に配線を接続する方法に自由度を持たせることができ、第二端子に配線を接続する方法を容易なものにすることができる。さらに、使用する配線や接続方法をユーザ毎に変更する必要がある場合、第二端子のみ変更すれば良いので、ユーザの要求に応じて容易に設計変更を行うことができる。また、第一端子が凸部を持たないため、初充電のための充電プローブが当てやすく、第一端子に第二端子をレーザ溶接する前の初充電を効率良く行うことができる。
【0039】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態では、第二正負極端子22,24の突出部28の形状を円筒形状にしたが、これに限らず、例えば、円柱形状、角筒状、角柱状、側面の一部が平坦な面である形状、ネジ形状等にすることができる。この一例を図13及び図14に示す。図13は第3の実施形態に係る非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分についての部分分解斜視図であり、図14は第3の実施形態に係る別の非水電解質電池の正負極端子が設けられた部分についての部分分解斜視図である。なお、図13及び図14において、図1〜図12と同様な部材については同符号を付して説明を省略する。
【0040】
図13に示す第二正負極端子22,24の突出部28は、下部28aが略円筒形状をしており、上部28bが平板から構成されている。このように突出部28の側面の一部に平面28bを設けることによって、この平面28bに矩形板状のバスバー30を接続することができる。
【0041】
接続方法は抵抗溶接や超音波溶接などを挙げることができる。図13では平面28bを2面設けているが、1面でもかまわない。
【0042】
図14に示す第二正負極端子22,24の突出部28は、ネジ形状を有する。ネジ状の突出部28をバスバー30の円形貫通孔30aに嵌め込むことによって、突出部28をバスバー30の円形貫通孔30aに接続する。
【0043】
このように第二正負極端子22,24の形状を変更することにより、融接、圧接、ろう接、締結等、様々な接続方法に対応することが可能である。
【0044】
第3の実施形態によれば、第二端子が第一端子上に固定されているため、第二端子をバスバーやリード等の配線を接続する外部端子として用いると、電池及び組電池の電圧降下を小さくすることができる。また、第二端子は、第一端子と別部品になっているため、形状や材質を配線の接続に適したものに自由に変更することができる。具体的には、第二端子の突出部の形状を円筒状にするとアーク溶接、突出部を平坦な側面を有する形状にすると抵抗溶接又は超音波溶接、突出部をネジ形状にすると嵌め込みを採用することができる。さらに、使用する配線や接続方法をユーザ毎に変更する必要がある場合、第二端子のみ変更すれば良いので、ユーザの要求に応じて容易に設計変更を行うことができる。
【0045】
以下、各実施形態で用いることが可能な正極、負極、セパレータ及び電解液について説明する。
【0046】
正極は、例えば、正極活物質を含むスラリーをアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔からなる集電体に塗着することにより作製される。正極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムを吸蔵放出できる酸化物や硫化物、ポリマーなどが使用できる。好ましい活物質としては、高い正極電位が得られるリチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウム燐酸鉄等が挙げられる。また、負極は、負極活物質を含むスラリーをアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔からなる集電体に塗着することにより作製される。負極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウムを吸蔵放出できる金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、合金等が使用でき、好ましくは、リチウムイオンの吸蔵放出電位が金属リチウム電位に対して0.4V以上貴となる物質である。このようなリチウムイオン吸蔵放出電位を有する負極活物質は、アルミニウムもしくはアルミニウム合金とリチウムとの合金反応を抑えられることから、負極集電体および負極関連構成部材へのアルミニウムもしくはアルミニウム合金の使用を可能とする。たとえば、チタン酸化物、リチウムチタン酸化物、タングステン酸化物、アモルファススズ酸化物、スズ珪素酸化物、酸化珪素などがあり、中でもリチウムチタン複合酸化物が好ましい。セパレータとしては、微多孔性の膜、織布、不織布、これらのうち同一材または異種材の積層物等を用いることができる。セパレータを形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合ポリマー、エチレン−ブテン共重合ポリマー等を挙げることができる。
【0047】
電解液は、非水溶媒に電解質(例えば、リチウム塩)を溶解させることにより調製された非水電解液が用いられる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン等を挙げることができる。非水溶媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ過リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)等のリチウム塩を挙げることができる。電解質は単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。電解質の非水溶媒に対する溶解量は、0.2mol/L〜3mol/Lとすることが望ましい。
【0048】
以上説明した実施形態によれば、第二端子が第一端子上に固定されているため、外部端子とバスバー等の配線との接続方法に自由度を持たせた電池を安価に提供することができる。これにより拡販も期待できる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…外装缶、2…蓋、3…正極端子、4…負極端子、5…電極群、6…正極、6a…正極集電タブ、7…負極、7a…負極集電タブ、8…セパレータ、9…安全弁、9a…凹部、9b…溝部、10…凹部、11…貫通孔、12…内部絶縁体、13…正極リード、14…負極リード、13a,14a…支持板、13b,14b…集電部、13c,14c…貫通孔、15…外部絶縁体、16…スペーサ、18…注液口、21…第一正極端子、22…第二正極端子、23…第一負極端子、24…第二負極端子、25a…台座部、25b…凸部、26…軸部、27c…台座部、27d…勘合部、28…突出部、29…レーザ溶接箇所、30…バスバー、31…組電池、40…充電プローブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装缶と、
前記外装缶に収納され、正極及び負極を含む電極群と、
前記外装缶の開口部に取り付けられる蓋と、
前記正極又は前記負極と電気的に接続され、かつ前記蓋の上面に配置される第一端子と、
前記第一端子上に固定される第二端子と
を備えることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記第二端子が突出部を有することを特徴とする請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記第二端子が前記第一端子上にレーザ溶接で固定されることを特徴とする請求項2記載の電池。
【請求項4】
前記第二端子の前記突出部が円筒状を有することを特徴とする請求項2記載の電池。
【請求項5】
前記第二端子の前記突出部が平坦な側面を有することを特徴とする請求項2記載の電池。
【請求項6】
前記第二端子の前記突出部がネジ形状を有することを特徴とする請求項2記載の電池。
【請求項7】
請求項1〜6いずれか1項記載の電池を複数個と、
前記電池の前記第二端子間を電気的に接続するバスバーと
を含むことを特徴とする組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−55020(P2013−55020A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194337(P2011−194337)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】