説明

電流センサ装置

【課題】シャント抵抗体を備えた電流センサであって、シャント抵抗体のシャント抵抗とバスバーとの溶接部を保護する構造を有した電流センサ装置を提供する。
【解決手段】シャント抵抗体110を備えた電流センサ装置1において、シャント抵抗体は、抵抗体111と抵抗体の両端にそれぞれ溶接された金属製のバスバー112,113からなり、各バスバーのシャント抵抗体との溶接部と反対側の端部にハーネス接続部112a,113aが形成され、バスバーのハーネス接続部は、バッテリ取付けブラケット15に固定されるようになっている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両のエンジンルーム内のバッテリの電流を検知するのに適した電流センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリとハーネスとの間に配置され、バッテリの電流を検知する電流センサが一般に知られている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電流センサには、導電材料からなり一端側がバッテリのバッテリポスト(以下、適宜「電極」又は「端子」とする)に接続されるバッテリターミナルに連結固定され、他端側がハーネスの接続端子に連結固定される連結部材が一体的に設けられている。
【0003】
また、車載バッテリの上面に設けられたバッテリポストに取り付けられ、この車載バッテリの残存容量を監視する電流センサも知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2に記載の電流センサは、バッテリのバッテリポストに直接取付けられるタイプであって、ワイヤーハーネスの一方の端部をこの電流センサに取り付けて他方の端部を車両の電気接続箱や車体パネルに取付けるようになっている。
【特許文献1】特開2006−85945号公報(5−6頁、図1)
【特許文献2】特表2003−517613号公報(5−6頁、図1a、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような電流センサは、一般に例えば厚さ2〜3mmの矩形板状なすシャント抵抗と、このシャント抵抗の両端に夫々溶接される例えば銅(Cu)でできたバスバーからなるシャント抵抗体を備えている。そして、このシャント抵抗体の各バスバーの溶接部と反対側にはハーネスの丸端子が接続される接続部が形成されている。
【0005】
係るシャント抵抗体の接続部に車両のワイヤーハーネスの端部が接続されると、例えば車両組立ての際のワイヤーハーネス配索時にこれを無理に引張ったり、車両の走行中にワイヤーハーネスが振動したりして、この引張り力や振動による振れが接続部を介してシャント抵抗体のシャント抵抗とバスバーとの溶接部に伝わり、この溶接部が破断する恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、シャント抵抗体を備えた電流センサ装置であって、シャント抵抗体のシャント抵抗とバスバーとの溶接部を保護する構造を有した電流センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る電流センサ装置は、
シャント抵抗体を備えた電流センサ装置において、
前記シャント抵抗体は、シャント抵抗と該シャント抵抗の両端にそれぞれ溶接された金属製のバスバーからなり、
前記各バスバーのシャント抵抗体との溶接部と反対側の端部にハーネス接続部が形成され、
前記バスバーのハーネス接続部は、バッテリ取付けブラケットに固定されることを特徴としている。
【0008】
電流センサ装置がこのような構造を有することで、シャント抵抗体の各バスバーに接続されたワイヤーハーネスが例えば車両組立ての際のワイヤーハーネスの配索時にこれが無理に引張られたり、車両走行中の振動により振られたりしても溶接部に振動による過度な応力が発生せず、シャント抵抗体のシャント抵抗とバスバー部の溶接部を保護することができる。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る電流センサ装置は、請求項1に記載の電流センサ装置において、
前記ハーネス接続部は、前記バッテリ取付けブラケットにボルト及びナットで締結されることを特徴としている。
【0010】
ボルト及びナットを介してシャント抵抗体をバッテリ取付けブラケットにしっかりと固定することができるようになり、シャント抵抗体のシャント抵抗とバスバー部の溶接部を確実に保護することができる。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る電流センサ装置は、請求項1に記載の電流センサ装置において、
前記ハーネス接続部と前記ブラケットには、該ハーネス接続部を前記バッテリ取付けブラケットに対し着脱自在に係合させる係合部が備わっていることを特徴としている。
【0012】
電流センサ装置がバッテリ取付けブラケットに対してこのような着脱自在な構造を有することで、電流センサ装置の取付け及び取り外しの便宜を図ることができる。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る電流センサ装置は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電流センサ装置において、
前記バッテリ取付けブラケットは、断面コの字型の溝部を有したバッテリ押さえブラケットと、該バッテリ押さえブラケットに固定されたバッテリ位置ずれ防止ブラケットからなり、前記シャント抵抗体のハーネス接続部が前記バッテリ位置ずれ防止ブラケットに固定されるようになったことを特徴としている。
【0014】
このようにバッテリ位置ずれ防止ブラケットを利用してシャント抵抗体のバスバーの端部を固定することで、シャント抵抗体の位置ずれを確実に防止し、シャント抵抗とバスバーの溶接部を保護することができる。
【0015】
また、本発明の請求項5に係る電流センサ装置は、請求項4に記載の電流センサ装置において、
前記電流センサ装置の一部が前記バッテリ押さえブラケットの溝内に収容されていることを特徴としている。
【0016】
このように電流センサ装置の一部をバッテリ押さえブラケットの溝内に収容することで、電流センサ装置を機械的に保護すると共にノイズに対する影響を受け難くすることができる。
【0017】
また、本発明の請求項6に係る電流センサ装置は、請求項5に記載の電流センサ装置において、
前記バッテリ押さえブラケットの溝内に収容された電流センサ装置の部分が当該電流センサ装置の監視制御部であることを特徴としている。
【0018】
電流センサ装置の重要な部位である監視制御部をバッテリ押さえブラケットの溝内に収容することで、特にこの部分がノイズに対して影響を受けないようにすることができる。
【0019】
また、本発明の請求項7に係る電流センサ装置は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電流センサ装置において、
前記シャント抵抗体の各バスバーの一部には、それぞれ少なくとも一箇所ずつ切欠きが設けられ、前記シャント抵抗体と前記バスバーの切欠きを含む部分を樹脂で一体にモールドしていることを特徴としている。
【0020】
シャント抵抗体のこの部分が樹指モールドされていることで、外部からの防水や防塵、異物からの保護を図ることができる。また、切欠を設けることで、樹脂モールド後にシャント抵抗体が断面方向にずれること無く確実に固定することができる。
【0021】
また、本発明の請求項8に係る電流センサ装置は、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の電流センサ装置において、
絶縁性部材でできたカバーで前記電流センサの周囲を覆うことを特徴としている。
【0022】
電流センサ装置をこのようなカバーで覆うことで、電流センサ装置自体を確実に保護することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、シャント抵抗体を備えた電流センサ装置であって、シャント抵抗体のシャント抵抗とバスバーとの溶接部を保護する構造を有した電流センサ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る電流センサ装置の一実施形態としてのバッテリ状態検知センサ装置について図面に基づいて説明する。最初に、第1の実施形態について説明する。この第1の実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置は、シャント抵抗体を備えた電流センサ装置であって、シャント抵抗体は、シャント抵抗とシャント抵抗の両端にそれぞれ溶接された金属製のバスバーからなり、各バスバーのシャント抵抗体との溶接部と反対側の端部にハーネス接続部が形成され、バスバーのハーネス接続部は、バッテリ取付けブラケットに固定されている。
【0025】
図1は、本発明に係る電流センサ装置の第1の実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置の平面図である。また、図2は、図1に示したバッテリ状態検知センサ装置のハーネス長手方向断面図である。また、図3は、図1に示したバッテリ状態検知センサ装置を車両のエンジンルーム内に搭載されたバッテリに取り付けた状態を示す斜視図である。なお、図2においては、図示明確化のために断面ハッチングを省略している。
【0026】
本実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置1は、車両のエンジンルーム内に搭載されるバッテリ50の充電状態や劣化状態を検知するバッテリ状態検知センサ100を備え、バッテリ50のマイナス側端子51に一端が接続されるワイヤーハーネス10の途中にバッテリ状態検知センサ100を介在させてバッテリ50の状態を検知するようになっている。
【0027】
バッテリ状態検知センサ100は、バッテリ50の電流値のみを検出する通常の電流センサと異なり、バッテリ50に流れる電流及びバッテリ50の電圧・温度・インピーダンス(内部抵抗)の値を測定し、独自のアルゴリズムにより演算を行うことによってバッテリの状態(充電率、劣化度、放電能力等)を検知する高機能型のセンサである。
【0028】
バッテリ状態検知センサ100が固定されるバッテリ取付けブラケット15は、ある程度厚みのある細長い金属板の両側縁を折り曲げて端面視コの字型に形成されて内側に溝部151を有したバッテリ押さえブラケット150と、細長い金属板を端面視L字型に折り曲げて外側の一面がバッテリ押さえブラケット150に固定され内側面がバッテリの上側縁部に当接されるバッテリ位置ずれ防止ブラケット160からなる。なお、バッテリ位置ずれ防止ブラケット160はバッテリ50の上面対向する縁部に当接され、バッテリ押さえブラケット150がバッテリ上面に架橋するようになっている。
【0029】
そして、バッテリ押さえブラケット150の両端部にロッド170の一端を接続すると共にロッド170の他端を車体パネルのバッテリ50が載置される部分の近傍に引っ掛け、ロッド一端に形成されたネジ部に図示しないナットを締め込むことによって、バッテリ押さえブラケット150でバッテリ本体を車体パネルに押さえ付けると共に、バッテリ位置ずれ防止ブラケット160でバッテリ50が車体パネルからずれないようになっている。
【0030】
バッテリ状態検知センサ100は、図1及び図2に示すように、抵抗体111とバスバー112,113からなるシャント抵抗体110と、図示しないマイコン及び電流センシング回路が搭載されたプリント基板120と、バスバー112,113とプリント基板120を接続する接続部130とを有し、プリント基板120にはバッテリ状態の電源及び測定情報を図示しない車両内電子ユニットへ通信するための信号ライン接続用コネクタ121が備わっている。また、プリント基板120には図示しない温度センサが実装されている。
【0031】
温度センサは、バッテリ50の充電度合い(State of Charge)やバッテリ50の劣化状態(State of Health)を検知する際にバッテリ自体の温度を測定して補正演算を行う役目を果している。
【0032】
バッテリ状態検知センサ装置1の監視制御部をなすプリント基板120は、シャント抵抗体110の側方であってシャント抵抗体110と重ならないように配置され、接続部130によりシャント抵抗体110と電気的に接続している。
【0033】
接続部130は細いリード線からなり、各一方の端部が予めシャント抵抗体110に溶接接続されており、プリント基板120をバッテリ押さえブラケット150に固定後、各他方の端部がプリント基板120に半田付け接続されるようになっている。なお、接続部130には、リード線を用いる代わりにワイヤボンディングやフレキシブルプリント配線板を用いても良い。更に、接続部130とプリント基板120との接続方法は、半田付けだけでなく、溶接、導電性接着剤による接続でも良い。
【0034】
そして、プリント基板120、接続部130、シャント抵抗体110及びバスバー112,113の一部は、防水性の高い樹脂でできた樹脂モールド140,141で囲繞されている。特に、バッテリ状態検知センサ装置1の一部であって、電子部品が複数実装されバッテリ状態検知センサ装置1の監視制御部をなすプリント基板120とその接続部130はバッテリ押さえブラケット150の溝151内に収容され、樹脂モールドによりバッテリ押さえブラケット150と一体化している。
【0035】
また、これらの電子部品や電気部品は樹脂モールド140で覆われている。更に、樹脂モールド140及びシャント抵抗体110は、カバー180により覆われている。カバー180は断熱性と絶縁性に優れた樹脂材などの断熱部材でできており、かつ簡易的な防水性も有している。
【0036】
シャント抵抗体110は、抵抗体111とこの両端にそれぞれ溶接された銅(Cu)などの金属製のバスバー112,113からなる。各バスバー112,113と抵抗体111との溶接部の反対側の端部にはボルト挿通孔からなるハーネス接続部112a,113aが形成され、バスバー112,113のハーネス接続部112a,113aは、バッテリ位置ずれ防止ブラケット160にボルト171及びナット172で締結されて固定されるようになっている。
【0037】
バッテリ位置ずれ防止ブラケット160には、バッテリ押さえブラケット150を挟んで両側にバッテリ状態検知センサ固定用の台座161が備わっている。台座161にはボルト171と螺合するナット172が収容されている。そして、台座161の上には絶縁樹脂部材162が配置され、その上にシャント抵抗体110のハーネス接続部112a,113aが配置されている。また、シャント抵抗体110のハーネス接続部112a,113aのボルト挿通孔及びワイヤーハーネス10の丸端子には円筒状の絶縁樹脂部材163が挿入されている。また、ワイヤーハーネス10の丸端子とボルト171との間にワッシャ173及び絶縁樹脂材でできたスペーサ164が介装され、ボルト171とスペーサ164との間にワッシャ173を挟んでボルト171をナット172に締め付けるようになっている。これによって、ボルト締め付け力のトルク管理を行いつつシャント抵抗体110のハーネス接続部112a,113aをワイヤーハーネス10の丸端子とともにバッテリ位置ずれ防止ブラケット160の台座161にしっかりと固定することができる。なお、金属製のボルト171、ナット172、ワッシャ173とシャント抵抗体110との間は絶縁樹脂部材162,163及びスペーサ164を介して電気的に絶縁されている。
【0038】
また、バッテリ状態検知センサ100に一端が接続された第1のワイヤーハーネス11は、その他端がバッテリのマイナス側端子51に接続される。なお、第1のワイヤーハーネス11は、バッテリ状態検知センサ100がバッテリ50のバッテリ取付けブラケット15の適所に取り付けられる程度の長さを有している。
【0039】
一方、バッテリ状態検知センサ100に一端が接続された第2のワイヤーハーネス12は、その他端が図示しない車両の車体パネル自体や電気接続箱のグランドラインに接地されている。
【0040】
第1の実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置1がこのような構成を有することで、以下の作用を発揮する。
【0041】
バスバー112,113のハーネス接続部112a,113aは、バッテリ位置ずれ防止ブラケット160にボルト171及びナット172でしっかりと固定されているので、シャント抵抗体110の各バスバー112,113に接続されたワイヤーハーネス10が例えば車両組み立ての際のハーネス配索時に引っ張られたり、車両走行中の振動によって振られたりしてもこの引張り力や振動をバッテリ位置ずれ防止ブラケット160とシャント抵抗体110との固定部で全て受けるので、シャント抵抗体110の抵抗体111とバスバー112,113の溶接部に過度な応力が発生せずこの溶接部を保護することができる。
【0042】
また、シャント抵抗体110のバスバー112,113の端部をバッテリ位置ずれ防止ブラケット160に固定することで、シャント抵抗体110の位置ずれを確実に防止し、抵抗体111とバスバー112,113との溶接部を保護することができる。
【0043】
また、バッテリ状態検知センサ装置1の重要な部位である監視制御部をなすプリント基板120がバッテリ押さえブラケット150の溝151内に樹脂モールドされて一体化して収容されている。バッテリ押さえブラケット150は、端面視コの字型に折り曲げられた金属製の細長い板体からなるので、十分な強度と剛性を有している。従って、バッテリ押さえブラケット150がプリント基板120を囲む強固なケースとしての役目を果し、プリント基板120を機械的に保護すると共に、プリント基板120がノイズに対して影響を受けないようにすることができる。
【0044】
また、絶縁性部材でできたカバー180でバッテリ状態検知センサ100の周囲を覆っているので、バッテリ状態検知センサ100自体を外部の衝撃から保護することができる。
【0045】
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と同等の構成については対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0046】
本発明の第2の実施形態に係る電流センサ装置であるバッテリ状態検知センサ装置は、第1の実施形態に係るバッテリ状態検出装置と類似しており、シャント抵抗体を備えたバッテリー状態検知センサ装置であって、シャント抵抗体は、シャント抵抗とシャント抵抗の両端にそれぞれ溶接された金属製のバスバーからなり、各バスバーのシャント抵抗体との溶接部と反対側の端部にハーネス接続部が形成され、バスバーのハーネス接続部は、バッテリ取付けブラケットに着脱自在に取付けられるようになっている。
【0047】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置2の平面図である。また、図5は、図4に示したバッテリ状態検知センサ装置2の正面図である。また、図6は、図4に示したバッテリ状態検知センサ装置2の端面図である。また、図7は、図4に示したバッテリ状態検知センサ装置2を着脱自在に取付けるバッテリ取付けブラケット25の斜視図である。また、図8は、図7に示したバッテリ取付けブラケット25の平面図である。なお、第2の実施形態に係る図4乃至図6においては、ワイヤーハーネスとシャント抵抗体210のバスバー212,213との接続関係は第1の実施形態と同様であるので図示省略している。
【0048】
バッテリ状態検知センサ装置2の基本的構成は、上述した第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。第1の実施形態と異なる点として、バッテリ状態検知センサ装置2のバスバー212,213の両端部(シャント抵抗との溶接側と反対側端部)に対応する下面には、図5及び図6に示すように、バスバー212,213の端面視でL字型に折曲し、先端部近傍の内側にバッテリ位置ずれ防止ブラケット260のブラケット側係合部270とラッチ係合する突部175を有したセンサ側ラッチ係合部179をそれぞれ備えている。
【0049】
また、一方のバッテリ位置ずれ防止ブラケット260の両端近傍には、図7及び図8に示すようにそれぞれセンサ側ラッチ係合部179と係合するブラケット側ラッチ係合部270がバッテリ押さえブラケット250をはさんで備わっている。ブラケット側ラッチ係合部270は箱型をなし、センサ側ラッチ係合部179が入り込むための開口部271を前面に有すると共に、上側に開口部271と反対側から延在する片持ち張り状の可撓性を有するラッチ部272を備えている。そして、ラッチ部272の先端近傍には、センサ側ラッチ係合部179の突部175が係合する係合孔275が設けられている。
【0050】
なお、両係合部179,270は互いに着脱自在に係合するのに適した樹脂又は金属でできている。
【0051】
また、プリント基板220は、第一の実施形態と同様に樹脂でモールドされているが、バッテリ押さえブラケット250の溝内に一体にはモールドされておらず、このプリント基板220のモールド部の下側にこれと一体にモールドされ、この溝内に挿入可能な外径寸法を有した正面視矩形状のインサートモールド241が形成されている。
【0052】
一方、シャント抵抗体210の各バスバー212,213の一部には、第一の実施形態と異なり、それぞれ少なくとも一箇所ずつ切欠き212b,213bが設けられ、シャント抵抗体210とバスバー212,213の切欠き212b,213bを含む部分を樹脂で一体にインサートモールドした状態で樹脂等の絶縁部材でできたケース240に収容されている。
【0053】
本発明の第2の実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置2がこのような構成を有することで、上述した第1の実施形態に係るバッテリ状態検知センサと同様の作用を有する。即ち、バスバー212,213のハーネス接続部212a,213aは、バッテリ位置ずれ防止ブラケット260に取付けられているので、シャント抵抗体210の各バスバー212,213に接続されたワイヤーハーネスが例えば車両組み立ての際のハーネス配索時に引っ張られたり、車両走行中の振動により振られたりしても、シャント抵抗体210のシャント抵抗211とバスバー212,213の溶接部にハーネスの引張りや振動による過度な応力が発生せず、この溶接部を保護することができる。
【0054】
また、シャント抵抗体210のバスバー212,213の端部をバッテリ位置ずれ防止ブラケット260に係合させることで、シャント抵抗体210の位置ずれを確実に防止し、シャント抵抗211とバスバー212,213との溶接部を保護することができる。
【0055】
また、バッテリ状態検知センサ装置2の重要な部位である監視制御部をなすプリント基板220がバッテリ押さえブラケット250の溝内に収容されているので、バッテリ押さえブラケット250がプリント基板220の強固なケースとしての役目を果し、プリント基板220を機械的に保護すると共に、プリント基板220がノイズに対して影響を受けないようにすることができる。
【0056】
また、絶縁性部材でできたカバー280でバッテリ状態検知センサ200の周囲を覆うことで、バッテリ状態検知センサ自体を確実に保護することができる。
【0057】
また、上記作用に加えて、バッテリ状態検知センサ200とバッテリ位置ずれ防止ブラケット260には、バッテリ状態検知センサ200をバッテリ取付けブラケット25に対し着脱自在に係合させる係合部が備わっていることで、バッテリ状態検知センサ装置2のバッテリ取付けブラケット25に対する取付け及び取り外しの便宜を図ることができる。
【0058】
また、シャント抵抗体210の各バスバー212,213の一部には、それぞれ一箇所ずつ切欠き212b,213bが設けられ、シャント抵抗体200とバスバー212,213の切欠き212b,213bを含む部分を樹脂で一体にモールドしていることで、モールド部分が車両走行時の振動等でバスバー212,213から剥離するおそれがなく、外部からの防水や防塵、異物からの保護を図ることができる。
【0059】
なお、上述の実施形態においては、バッテリの電流やインピーダンス、温度を測り、バッテリの状態を正しく診断する高機能タイプのバッテリ状態検知センサ装置をバッテリ取付けブラケットに取付ける構造を紹介したが、必ずしもこれに限定されず、バッテリの電流のみを検知する電流センサを本発明に適用しても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る電流センサ装置の第1の実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置の平面図である。
【図2】図1に示したバッテリ状態検知センサ装置のハーネス長手方向断面図である。
【図3】図1に示したバッテリ状態検知センサ装置を車両のエンジンルーム内に搭載されたバッテリに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るバッテリ状態検知センサ装置の平面図である。
【図5】図4に示したバッテリ状態検知センサ装置の側面図である。
【図6】図4に示したバッテリ状態検知センサ装置の端面図である。
【図7】図4に示したバッテリ状態検知センサ装置を着脱自在に取付けるバッテリ取付けブラケットの斜視図である。
【図8】図7に示したバッテリ取付けブラケットの平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 バッテリ状態検知センサ装置
2 バッテリ状態検知センサ装置
10 ワイヤーハーネス
11 第1のワイヤーハーネス
12 第2のワイヤーハーネス
15,25 バッテリ取付けブラケット
50 バッテリ
51 マイナス側端子
100 バッテリ状態検知センサ
110 シャント抵抗体
111 抵抗体
112,113 バスバー
112a,113a ハーネス接続部
120 プリント基板
121 信号ライン接続用コネクタ
130 接続部
140,141 樹脂モールド
150 バッテリ押さえブラケット
151 溝部
160 バッテリ位置ずれ防止ブラケット
161 台座
162 絶縁樹脂部材
163 絶縁樹脂部材
164 スペーサ
170 ロッド
171 ボルト
172 ナット
173 ワッシャ
175 突部
179 センサ側ラッチ係合部
180 カバー
200 バッテリ状態検知センサ
210 シャント抵抗体
211 シャント抵抗
212,213 バスバー
212a,213a ハーネス接続部
212b,213b 切欠き
220 プリント基板
240 ケース
241 インサートモールド
250 バッテリ押さえブラケット
260 バッテリ位置ずれ防止ブラケット
270 ブラケット側係合部
271 開口部
272 ラッチ部
275 係合孔
280 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャント抵抗体を備えた電流センサ装置において、
前記シャント抵抗体は、シャント抵抗と該シャント抵抗の両端にそれぞれ溶接された金属製のバスバーからなり、
前記各バスバーのシャント抵抗体との溶接部と反対側の端部にハーネス接続部が形成され、
前記バスバーのハーネス接続部は、バッテリ取付けブラケットに固定されることを特徴とする電流センサ装置。
【請求項2】
前記ハーネス接続部は、前記バッテリ取付けブラケットにボルト及びナットで締結されることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ装置。
【請求項3】
前記ハーネス接続部と前記ブラケットには、該ハーネス接続部を前記バッテリ取付けブラケットに対し着脱自在に係合させる係合部が備わっていることを特徴とする、請求項1に記載の電流センサ装置。
【請求項4】
前記バッテリ取付けブラケットは、断面コの字型の溝部を有したバッテリ押さえブラケットと、該バッテリ押さえブラケットに固定されたバッテリ位置ずれ防止ブラケットからなり、前記シャント抵抗体のハーネス接続部が前記バッテリ位置ずれ防止ブラケットに固定されるようになったことを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電流センサ装置。
【請求項5】
前記電流センサ装置の一部が前記バッテリ押さえブラケットの溝内に収容されていることを特徴とする、請求項4に記載の電流センサ装置。
【請求項6】
前記バッテリ押さえブラケットの溝内に収容された電流センサ装置の部分が当該電流センサ装置の監視制御部であることを特徴とする、請求項5に記載の電流センサ装置。
【請求項7】
前記シャント抵抗体の各バスバーの一部には、それぞれ少なくとも一箇所ずつ切欠きが設けられ、前記シャント抵抗体と前記バスバーの切欠きを含む部分を樹脂で一体にモールドしていることを特徴とする、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の電流センサ装置。
【請求項8】
絶縁性部材でできたカバーで前記電流センサ装置の周囲が覆われていることを特徴とする、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の電流センサ装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−236641(P2009−236641A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82184(P2008−82184)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】